JP2004167941A - タイヤ加硫金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】上のサイドモールドの厚さを充分に確保し、必要な耐久強度を維持しながらクリップ巾Wを広げうる。
【解決手段】上のサイドモールド3が、昇降可能な上部プレート7に固定される。前記上部プレート7に、その中心を含む係止孔20を形成するとともに、前記上のサイドモールド3には、前記上部プレート7の下面7Sに当接して固定されるモールド本体22に、段差状に突出しかつ前記係止孔20に嵌合されるとともに上面が前記上部プレート7の上面と略整一しうる嵌合凸部23を設けている。
【選択図】 図4
【解決手段】上のサイドモールド3が、昇降可能な上部プレート7に固定される。前記上部プレート7に、その中心を含む係止孔20を形成するとともに、前記上のサイドモールド3には、前記上部プレート7の下面7Sに当接して固定されるモールド本体22に、段差状に突出しかつ前記係止孔20に嵌合されるとともに上面が前記上部プレート7の上面と略整一しうる嵌合凸部23を設けている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加硫金型をプレス機に装着するコンテナにおけるクリップ巾の適応範囲を広げることができ、コンテナのサイズアップを行うことなく、より巾広の偏平タイヤを成形しうる好適なタイヤ加硫金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤの加硫金型aとして、図5(A)、(B)に示す如く、タイヤの両サイドウォール面をそれぞれ成形する上下のサイドモールドa1、a2と、環状に合体することによりトレッド面を成形する複数個のトレッドセグメントa3とからなるセクショナルタイプのものが多用されている。
【0003】
このタイプの金型aは、従来、前記上のサイドモールドa1を取り付る昇降可能な上部プレートb1と、前記下のサイドモールドa2を取り付る下部プレートb2と、各トレッドセグメントa3を取り付る複数個のトレッドセクターb3と、各トレッドセクターb3を半径方向内外に移動させるアウターリングb4とから構成されるコンテナbを用いて、プレス機に装着される(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−9840号公報
【0005】
なお前記アウターリングb4は、その上端がプレス機によって昇降自在に支持されるとともに、その内側面には、前記トレッドセクターb3の外側面と同勾配をなし下方に向かって半径方向外側に傾くコーン状の案内面を形成している。又前記上部プレートb1は、プレス機に設ける昇降具により、前記アウターリングb4とは独立して昇降自在に支持されている。
【0006】
そしてこのようなコンテナbでは、その直径D0および巾W0を含むコンテナサイズが、例えば大中小等の数段階に区分され、成形するタイヤサイズに応じてその使い分けがなされている。即ち、リム径15インチの乗用車用タイヤの場合、タイヤ外径Dが634.0mm以下かつクリップ巾Wが183.0mm以下のタイヤの成形に適応される小型コンテナ、およびタイヤ外径Dが710.0mm以下かつクリップ巾Wが269.6mm以下のタイヤの成形に適応される大型コンテナに区分されている。なおクリップ巾Wとは、金型におけるビード巾に相当する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
他方、空気入りタイヤでは、近年、高速耐久性、グリップ性、操縦安定性等の走行性能を向上させるために、タイヤ外径Dに対してクリップ巾Wを相対的に広げた巾広の低偏平タイヤへの移行が促進されている。
【0008】
しかしこのような低偏平タイヤを成形する場合、前記クリップ巾Wのみが適応範囲を超えてしまい、タイヤ外径Dに充分余裕があるにも係わらず、1サイズ大型のコンテナの使用が余儀なくされるという問題が発生する。
【0009】
その理由は、図6に示すように、従来の加硫金型aでは、上のサイドモールドa1の全体が、上部プレートb1の下面に沿ってボルト固定されるためであり、もし適応範囲を越えてクリップ巾Wを広げた場合には、上のサイドモールドa1が薄肉化し過ぎ、必要な強度および耐久性が確保できなくなるためである。
【0010】
そこで本発明は、前記上部プレートに、その中心を含んで穿設される係止孔を形成するとともに、前記上のサイドモールドには、前記上部プレートの下面に当接して固定されるモールド本体に、段差状に突出しかつ前記係止孔に嵌合されるとともに上面が前記上部プレートの上面と略整一しうる嵌合凸部を設けることを基本として、必要な強度および耐久性を確保しつつクリップ巾Wを広げることができ、より巾広な低偏平タイヤをコンテナのサイズアップを行うことなく成形しうるタイヤ加硫金型の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、タイヤの一方のサイドウォール面を成形しうる上のサイドモールド、他方のサイドウォール面を成形しうる下のサイドモールド、及び周方向に分割されかつ半径方向に移動しうるとともに縮径により環体となってトレッド面を成形しうる複数個のトレッドセグメントとを具え、
かつ前記上のサイドモールドが、昇降可能な上部プレートに固定されるタイヤ加硫金型であって、
前記上部プレートに、その中心を含んで穿設される係止孔を形成するとともに、
前記上のサイドモールドには、前記上部プレートの下面に当接して固定されるモールド本体に、このモールド本体から段差状に上方に突出しかつ前記係止孔に嵌合されるとともに上面が前記上部プレートの上面と略整一しうる嵌合凸部を設けたことを特徴としている。
【0012】
又請求項2の発明では、前記上部プレートは、その下面かつ前記係止孔の周囲に、前記モールド本体の上面が当接する底面を有しかつこの底面で前記係止孔が開口する環状の切欠凹部を設けたことを特徴としている。
【0013】
又請求項3の発明では、前記嵌合凸部は、前記上のサイドモールドを上部プレートとともに昇降可能に支持する昇降具を連結する連結部を設けたことを特徴としている。
【0014】
又請求項4の発明では、前記上のサイドモールドは、サイドウォール面とクリップ巾部をなすビード外側面を成形する成形面を有するとともに、前記係止孔は、タイヤ軸と同芯をなしかつその直径Daは、前記成形面の半径方向内端の直径Dbの0.8〜1.2倍としたことを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は、本発明のタイヤ加硫金型1をコンテナ2とともに示す断面図、図2はその左半分を拡大して示す断面図である。
【0016】
図1、2において、タイヤ加硫金型1は、タイヤTの一方のサイドウォール面を成形しうる成形面3Sを有する上のサイドモールド3、他方のサイドウォール面を成形しうる成形面4Sを有する下のサイドモールド4、及び周方向に分割されかつ半径方向に移動しうるとともに縮径により環体となってトレッド面を成形しうる成形面5Sを有する複数個のトレッドセグメント5とを具える。
【0017】
そして、このタイヤ加硫金型1は、従来的な加硫装置と同様、コンテナ2を用いて、プレス機(図示しない)に装着される。
【0018】
前記コンテナ2は、前記上のサイドモールド3を取り付る昇降可能な上部プレート7と、前記下のサイドモールド4を取り付る下部プレート8と、各トレッドセグメント5を取り付る複数個のトレッドセクター9と、各トレッドセクター9を半径方向内外に移動させるアウターリング10とから構成される。
【0019】
このうち、前記下部プレート8は、例えばプレス機のプレス台11に、例えばヒータ内蔵の熱板状の下のプラテン板12Lを介して固定される。
【0020】
又前記トレッドセクター9は、その内側に前記トレッドセグメント5をそれぞれ着脱自在に取付ける断面略台形状のブロック体であり、本例では、スライドワッシャ13を介して、前記上部プレート7に一体に昇降移動可能にかつ半径方向内外に水平移動可能に支持される。又トレッドセクター9は、その外側面9Sが下方に向かって半径方向外側に傾く傾斜面をなし、型閉止状態においては、各外側面9Sが協働して一つの滑らかな円錐状のコーン面14を形成する。又前記外側面9Sには、該外側面9Sと同勾配で上下にのびるセクター案内溝15が凹設される。このセクター案内溝15は、アウターリング10と離間不能に係合しうるよう、例えば断面略T字状、断面略三角形状等に形成される。
【0021】
又前記アウターリング10は、前記トレッドセクター9・・・ を囲んでタイヤ軸と同心に配されるリング状をなし、その内側面は、前記コーン面14と同勾配をなす円錐状の楔面16を形成している。なお該楔面16には、前記セクター案内溝15と離間不能に係合し、各トレッドセクター9をその傾斜に沿って案内する直線軸受け状のガイド17を突設している。なおアウターリング10は、上のプラテン板12Uを介してプレス機に昇降自在に支持される。
【0022】
従って、コンテナ2は、図3に略示する如く、型閉止状態Y1からアウターリング10がプレス金型によって上昇するとき、そのガイド17がセクター案内溝15に係合することにより、トレッドセクター9は引きずられ、下部プレート8上を拡径位置Y2まで半径方向外方にスライド移動する。又アウターリング10がさらに上昇すると、前記上部プレート7は、調整ボルト18を介してプラテン板12Uから吊り下げられ、この上部プレート7に接続されるトレッドセクター9とともに一体に上昇しうる。
【0023】
又アウターリング10が所定高さ位置Y3に上昇した後、プレス機に設ける昇降具19(図1,2に示す)によって、上部プレート7がトレッドセクター9とともに上昇し、型開放状態Y4となることにより、加硫成形されたタイヤTの取り出し、および次の未加硫タイヤの投入が行われる。なお型開放状態Y4から型閉止状態Y1へは、前述とは逆の順序をたどって作動し、加硫成形が行われる。
【0024】
そして本発明では、このようなコンテナ2のサイズアップを図ることなく、より巾広の偏平タイヤを成形するために、図4に拡大して示すように、まず前記上部プレート7には、その中心を含んで穿設される大径な係止孔20を形成している。
【0025】
この係止孔20は、本例ではタイヤ軸と同芯な中心孔であり、その直径Daを、好ましくは前記上のサイドモールド3に形成する成形面3Sの半径方向内端Eにおける直径Dbの0.8〜1.2倍の範囲に、さらに好ましくは0.9〜1.1倍の範囲に設定する。なお前記成形面3Sは、タイヤのサイドウォール面を形成するサイド面部3S1と、タイヤのクリップ巾Wをなすビード外側面を形成するビード外側面部3S2とを含んで形成される。
【0026】
又前記上部プレート7には、その下面7Sかつ前記係止孔20の周囲に、該下面7Sよりも段差h1を介して隔たる底面7S1を有し、この底面7S1で前記係止孔20が開口する環状の切欠凹部21を形成している。なお前記段差h1は、強度の観点から、前記上部プレート7の厚さt1の0.3倍以下、好ましくは0.25倍以下に設定するのが好ましい。
【0027】
次に、前記上のサイドモールド3には、前記上部プレート7の下面7S、本例では前記底面7S1に当接して固定されるモールド本体22に、このモールド本体22から段差状に上方に突出しかつ前記係止孔20に嵌合される嵌合凸部23を延設している。なおモールド本体22とは、前記成形面3Sを形成した部分であり、その上面を底面7S1に当接した状態で前記上部プレート7にボルト固定される。
【0028】
又前記嵌合凸部23は、その上面が前記上部プレート7の上面と略整一しうる突出高さh2を有し、これによって上のサイドモールド3を補強し、巾広の偏平タイヤを成形する際にも、上のサイドモールド3の耐久強度を確保することが可能となる。
【0029】
ここで、前記「略整一」するとは、嵌合凸部23の上面と上部プレート7の上面との段差が、上部プレート7の厚さt1の±15%以内、好ましくは±8%以内となる状態を意味し、本例では、段差が実質的に0、即ち面一状となるより好ましい場合を例示している。なお補強効果の観点から、前記嵌合凸部23の厚さt2を、前記厚さt1よりも大に設定するのが好ましい。
【0030】
又前記嵌合凸部23には、例えばシリンダなどの昇降具19(図1,2に示す)のロッド先端19Aを連結する連結部24が取り付き、これによって上のサイドモールド3を上部プレート7とともに昇降可能に支持している。このとき、前記嵌合凸部23をタイヤ軸に向かって半径方向内方に延在せしめ、その内端の直径Dcを、従来的な上部プレートの内径Dd(図6に示す)と略同程度の150〜200mmに形成するのが好ましい。これにより、昇降具19および連結部24を従来の部材を用いて形成することが可能となる。
【0031】
このように、上のサイドモールド3を、上部プレート7の下面に当接してボルト固定されるモールド本体22と、このモールド本体22から段差状に突出しかつ前記係止孔20に嵌合されるとともに上面が前記上部プレート7の上面と略整一しうる嵌合凸部23とで形成している。従って、上のサイドモールド3の厚さを充分に確保することができ、必要な耐久強度を維持しながらクリップ巾Wを広げうるなど、コンテナのサイズアップを行うことなく、より巾広な低偏平タイヤを成形することができる。
【0032】
本発明者の実験の結果、例えばリム径15インチの乗用車用タイヤの場合、従来、小型コンテナにおけるクリップ巾Wの適応範囲が183.0mm以下であったものが、その適応範囲を201.0mm以下まで約18.0mm広げることが可能となった。
【0033】
これにより、従来、乗用車用タイヤの2割程度が小型コンテナを用いて生産されていたものが、本発明に係わるサイドモールド3を採用することにより、5割以上のタイヤを小型コンテナを用いて生産することが可能となる。従って、モールド投資を削減でき、又広範囲のタイヤの生産を、数多くある小型の設備で対応可能となるなど、生産のフレキシビリティーを向上でき、生産性の向上を図ることができる。
【0034】
なお前記上のサイドモールド3以外の、例えば下のサイドモールド4、トレッドセグメント5、およびビードヒール面からビード底面にかけてを成形しうる上下のビードモールド25U、25Lとしては、従来的な周知の構造のものが採用できる。
【0035】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0036】
【発明の効果】
本発明は叙上の如く構成しているため、上のサイドモールドの厚さを充分に確保することができ、必要な耐久強度を維持しながらクリップ巾Wを広げうるなど、コンテナのサイズアップを行うことなく、より巾広な低偏平タイヤを成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ加硫金型の一実施例を示す断面図である。
【図2】その左半分を拡大して示す断面図である。
【図3】タイヤ加硫金型の型閉止状態から型開放状態までの動作を説明する略図である。
【図4】上のサイドモールドを上部プレートとともに拡大して示す断面図である。
【図5】(A)、(B)は、従来技術を説明する断面図である。
【図6】その問題点を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 タイヤ加硫金型
3 上のサイドモールド
4 下のサイドモールド
5 トレッドセグメント
7 上部プレート
19 昇降具
20 係止孔
21 切欠凹部
22 モールド本体
23 嵌合凸部
24 連結部
T タイヤ
【発明の属する技術分野】
本発明は、加硫金型をプレス機に装着するコンテナにおけるクリップ巾の適応範囲を広げることができ、コンテナのサイズアップを行うことなく、より巾広の偏平タイヤを成形しうる好適なタイヤ加硫金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤの加硫金型aとして、図5(A)、(B)に示す如く、タイヤの両サイドウォール面をそれぞれ成形する上下のサイドモールドa1、a2と、環状に合体することによりトレッド面を成形する複数個のトレッドセグメントa3とからなるセクショナルタイプのものが多用されている。
【0003】
このタイプの金型aは、従来、前記上のサイドモールドa1を取り付る昇降可能な上部プレートb1と、前記下のサイドモールドa2を取り付る下部プレートb2と、各トレッドセグメントa3を取り付る複数個のトレッドセクターb3と、各トレッドセクターb3を半径方向内外に移動させるアウターリングb4とから構成されるコンテナbを用いて、プレス機に装着される(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−9840号公報
【0005】
なお前記アウターリングb4は、その上端がプレス機によって昇降自在に支持されるとともに、その内側面には、前記トレッドセクターb3の外側面と同勾配をなし下方に向かって半径方向外側に傾くコーン状の案内面を形成している。又前記上部プレートb1は、プレス機に設ける昇降具により、前記アウターリングb4とは独立して昇降自在に支持されている。
【0006】
そしてこのようなコンテナbでは、その直径D0および巾W0を含むコンテナサイズが、例えば大中小等の数段階に区分され、成形するタイヤサイズに応じてその使い分けがなされている。即ち、リム径15インチの乗用車用タイヤの場合、タイヤ外径Dが634.0mm以下かつクリップ巾Wが183.0mm以下のタイヤの成形に適応される小型コンテナ、およびタイヤ外径Dが710.0mm以下かつクリップ巾Wが269.6mm以下のタイヤの成形に適応される大型コンテナに区分されている。なおクリップ巾Wとは、金型におけるビード巾に相当する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
他方、空気入りタイヤでは、近年、高速耐久性、グリップ性、操縦安定性等の走行性能を向上させるために、タイヤ外径Dに対してクリップ巾Wを相対的に広げた巾広の低偏平タイヤへの移行が促進されている。
【0008】
しかしこのような低偏平タイヤを成形する場合、前記クリップ巾Wのみが適応範囲を超えてしまい、タイヤ外径Dに充分余裕があるにも係わらず、1サイズ大型のコンテナの使用が余儀なくされるという問題が発生する。
【0009】
その理由は、図6に示すように、従来の加硫金型aでは、上のサイドモールドa1の全体が、上部プレートb1の下面に沿ってボルト固定されるためであり、もし適応範囲を越えてクリップ巾Wを広げた場合には、上のサイドモールドa1が薄肉化し過ぎ、必要な強度および耐久性が確保できなくなるためである。
【0010】
そこで本発明は、前記上部プレートに、その中心を含んで穿設される係止孔を形成するとともに、前記上のサイドモールドには、前記上部プレートの下面に当接して固定されるモールド本体に、段差状に突出しかつ前記係止孔に嵌合されるとともに上面が前記上部プレートの上面と略整一しうる嵌合凸部を設けることを基本として、必要な強度および耐久性を確保しつつクリップ巾Wを広げることができ、より巾広な低偏平タイヤをコンテナのサイズアップを行うことなく成形しうるタイヤ加硫金型の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、タイヤの一方のサイドウォール面を成形しうる上のサイドモールド、他方のサイドウォール面を成形しうる下のサイドモールド、及び周方向に分割されかつ半径方向に移動しうるとともに縮径により環体となってトレッド面を成形しうる複数個のトレッドセグメントとを具え、
かつ前記上のサイドモールドが、昇降可能な上部プレートに固定されるタイヤ加硫金型であって、
前記上部プレートに、その中心を含んで穿設される係止孔を形成するとともに、
前記上のサイドモールドには、前記上部プレートの下面に当接して固定されるモールド本体に、このモールド本体から段差状に上方に突出しかつ前記係止孔に嵌合されるとともに上面が前記上部プレートの上面と略整一しうる嵌合凸部を設けたことを特徴としている。
【0012】
又請求項2の発明では、前記上部プレートは、その下面かつ前記係止孔の周囲に、前記モールド本体の上面が当接する底面を有しかつこの底面で前記係止孔が開口する環状の切欠凹部を設けたことを特徴としている。
【0013】
又請求項3の発明では、前記嵌合凸部は、前記上のサイドモールドを上部プレートとともに昇降可能に支持する昇降具を連結する連結部を設けたことを特徴としている。
【0014】
又請求項4の発明では、前記上のサイドモールドは、サイドウォール面とクリップ巾部をなすビード外側面を成形する成形面を有するとともに、前記係止孔は、タイヤ軸と同芯をなしかつその直径Daは、前記成形面の半径方向内端の直径Dbの0.8〜1.2倍としたことを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は、本発明のタイヤ加硫金型1をコンテナ2とともに示す断面図、図2はその左半分を拡大して示す断面図である。
【0016】
図1、2において、タイヤ加硫金型1は、タイヤTの一方のサイドウォール面を成形しうる成形面3Sを有する上のサイドモールド3、他方のサイドウォール面を成形しうる成形面4Sを有する下のサイドモールド4、及び周方向に分割されかつ半径方向に移動しうるとともに縮径により環体となってトレッド面を成形しうる成形面5Sを有する複数個のトレッドセグメント5とを具える。
【0017】
そして、このタイヤ加硫金型1は、従来的な加硫装置と同様、コンテナ2を用いて、プレス機(図示しない)に装着される。
【0018】
前記コンテナ2は、前記上のサイドモールド3を取り付る昇降可能な上部プレート7と、前記下のサイドモールド4を取り付る下部プレート8と、各トレッドセグメント5を取り付る複数個のトレッドセクター9と、各トレッドセクター9を半径方向内外に移動させるアウターリング10とから構成される。
【0019】
このうち、前記下部プレート8は、例えばプレス機のプレス台11に、例えばヒータ内蔵の熱板状の下のプラテン板12Lを介して固定される。
【0020】
又前記トレッドセクター9は、その内側に前記トレッドセグメント5をそれぞれ着脱自在に取付ける断面略台形状のブロック体であり、本例では、スライドワッシャ13を介して、前記上部プレート7に一体に昇降移動可能にかつ半径方向内外に水平移動可能に支持される。又トレッドセクター9は、その外側面9Sが下方に向かって半径方向外側に傾く傾斜面をなし、型閉止状態においては、各外側面9Sが協働して一つの滑らかな円錐状のコーン面14を形成する。又前記外側面9Sには、該外側面9Sと同勾配で上下にのびるセクター案内溝15が凹設される。このセクター案内溝15は、アウターリング10と離間不能に係合しうるよう、例えば断面略T字状、断面略三角形状等に形成される。
【0021】
又前記アウターリング10は、前記トレッドセクター9・・・ を囲んでタイヤ軸と同心に配されるリング状をなし、その内側面は、前記コーン面14と同勾配をなす円錐状の楔面16を形成している。なお該楔面16には、前記セクター案内溝15と離間不能に係合し、各トレッドセクター9をその傾斜に沿って案内する直線軸受け状のガイド17を突設している。なおアウターリング10は、上のプラテン板12Uを介してプレス機に昇降自在に支持される。
【0022】
従って、コンテナ2は、図3に略示する如く、型閉止状態Y1からアウターリング10がプレス金型によって上昇するとき、そのガイド17がセクター案内溝15に係合することにより、トレッドセクター9は引きずられ、下部プレート8上を拡径位置Y2まで半径方向外方にスライド移動する。又アウターリング10がさらに上昇すると、前記上部プレート7は、調整ボルト18を介してプラテン板12Uから吊り下げられ、この上部プレート7に接続されるトレッドセクター9とともに一体に上昇しうる。
【0023】
又アウターリング10が所定高さ位置Y3に上昇した後、プレス機に設ける昇降具19(図1,2に示す)によって、上部プレート7がトレッドセクター9とともに上昇し、型開放状態Y4となることにより、加硫成形されたタイヤTの取り出し、および次の未加硫タイヤの投入が行われる。なお型開放状態Y4から型閉止状態Y1へは、前述とは逆の順序をたどって作動し、加硫成形が行われる。
【0024】
そして本発明では、このようなコンテナ2のサイズアップを図ることなく、より巾広の偏平タイヤを成形するために、図4に拡大して示すように、まず前記上部プレート7には、その中心を含んで穿設される大径な係止孔20を形成している。
【0025】
この係止孔20は、本例ではタイヤ軸と同芯な中心孔であり、その直径Daを、好ましくは前記上のサイドモールド3に形成する成形面3Sの半径方向内端Eにおける直径Dbの0.8〜1.2倍の範囲に、さらに好ましくは0.9〜1.1倍の範囲に設定する。なお前記成形面3Sは、タイヤのサイドウォール面を形成するサイド面部3S1と、タイヤのクリップ巾Wをなすビード外側面を形成するビード外側面部3S2とを含んで形成される。
【0026】
又前記上部プレート7には、その下面7Sかつ前記係止孔20の周囲に、該下面7Sよりも段差h1を介して隔たる底面7S1を有し、この底面7S1で前記係止孔20が開口する環状の切欠凹部21を形成している。なお前記段差h1は、強度の観点から、前記上部プレート7の厚さt1の0.3倍以下、好ましくは0.25倍以下に設定するのが好ましい。
【0027】
次に、前記上のサイドモールド3には、前記上部プレート7の下面7S、本例では前記底面7S1に当接して固定されるモールド本体22に、このモールド本体22から段差状に上方に突出しかつ前記係止孔20に嵌合される嵌合凸部23を延設している。なおモールド本体22とは、前記成形面3Sを形成した部分であり、その上面を底面7S1に当接した状態で前記上部プレート7にボルト固定される。
【0028】
又前記嵌合凸部23は、その上面が前記上部プレート7の上面と略整一しうる突出高さh2を有し、これによって上のサイドモールド3を補強し、巾広の偏平タイヤを成形する際にも、上のサイドモールド3の耐久強度を確保することが可能となる。
【0029】
ここで、前記「略整一」するとは、嵌合凸部23の上面と上部プレート7の上面との段差が、上部プレート7の厚さt1の±15%以内、好ましくは±8%以内となる状態を意味し、本例では、段差が実質的に0、即ち面一状となるより好ましい場合を例示している。なお補強効果の観点から、前記嵌合凸部23の厚さt2を、前記厚さt1よりも大に設定するのが好ましい。
【0030】
又前記嵌合凸部23には、例えばシリンダなどの昇降具19(図1,2に示す)のロッド先端19Aを連結する連結部24が取り付き、これによって上のサイドモールド3を上部プレート7とともに昇降可能に支持している。このとき、前記嵌合凸部23をタイヤ軸に向かって半径方向内方に延在せしめ、その内端の直径Dcを、従来的な上部プレートの内径Dd(図6に示す)と略同程度の150〜200mmに形成するのが好ましい。これにより、昇降具19および連結部24を従来の部材を用いて形成することが可能となる。
【0031】
このように、上のサイドモールド3を、上部プレート7の下面に当接してボルト固定されるモールド本体22と、このモールド本体22から段差状に突出しかつ前記係止孔20に嵌合されるとともに上面が前記上部プレート7の上面と略整一しうる嵌合凸部23とで形成している。従って、上のサイドモールド3の厚さを充分に確保することができ、必要な耐久強度を維持しながらクリップ巾Wを広げうるなど、コンテナのサイズアップを行うことなく、より巾広な低偏平タイヤを成形することができる。
【0032】
本発明者の実験の結果、例えばリム径15インチの乗用車用タイヤの場合、従来、小型コンテナにおけるクリップ巾Wの適応範囲が183.0mm以下であったものが、その適応範囲を201.0mm以下まで約18.0mm広げることが可能となった。
【0033】
これにより、従来、乗用車用タイヤの2割程度が小型コンテナを用いて生産されていたものが、本発明に係わるサイドモールド3を採用することにより、5割以上のタイヤを小型コンテナを用いて生産することが可能となる。従って、モールド投資を削減でき、又広範囲のタイヤの生産を、数多くある小型の設備で対応可能となるなど、生産のフレキシビリティーを向上でき、生産性の向上を図ることができる。
【0034】
なお前記上のサイドモールド3以外の、例えば下のサイドモールド4、トレッドセグメント5、およびビードヒール面からビード底面にかけてを成形しうる上下のビードモールド25U、25Lとしては、従来的な周知の構造のものが採用できる。
【0035】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0036】
【発明の効果】
本発明は叙上の如く構成しているため、上のサイドモールドの厚さを充分に確保することができ、必要な耐久強度を維持しながらクリップ巾Wを広げうるなど、コンテナのサイズアップを行うことなく、より巾広な低偏平タイヤを成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ加硫金型の一実施例を示す断面図である。
【図2】その左半分を拡大して示す断面図である。
【図3】タイヤ加硫金型の型閉止状態から型開放状態までの動作を説明する略図である。
【図4】上のサイドモールドを上部プレートとともに拡大して示す断面図である。
【図5】(A)、(B)は、従来技術を説明する断面図である。
【図6】その問題点を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 タイヤ加硫金型
3 上のサイドモールド
4 下のサイドモールド
5 トレッドセグメント
7 上部プレート
19 昇降具
20 係止孔
21 切欠凹部
22 モールド本体
23 嵌合凸部
24 連結部
T タイヤ
Claims (4)
- タイヤの一方のサイドウォール面を成形しうる上のサイドモールド、他方のサイドウォール面を成形しうる下のサイドモールド、及び周方向に分割されかつ半径方向に移動しうるとともに縮径により環体となってトレッド面を成形しうる複数個のトレッドセグメントとを具え、
かつ前記上のサイドモールドが、昇降可能な上部プレートに固定されるタイヤ加硫金型であって、
前記上部プレートに、その中心を含んで穿設される係止孔を形成するとともに、
前記上のサイドモールドには、前記上部プレートの下面に当接して固定されるモールド本体に、このモールド本体から段差状に上方に突出しかつ前記係止孔に嵌合されるとともに上面が前記上部プレートの上面と略整一しうる嵌合凸部を設けたことを特徴とするタイヤ加硫金型。 - 前記上部プレートは、その下面かつ前記係止孔の周囲に、前記モールド本体の上面が当接する底面を有しかつこの底面で前記係止孔が開口する環状の切欠凹部を設けたことを特徴とする請求項1記載のタイヤ加硫金型。
- 前記嵌合凸部は、前記上のサイドモールドを上部プレートとともに昇降可能に支持する昇降具を連結する連結部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤ加硫金型。
- 前記上のサイドモールドは、サイドウォール面とクリップ巾をなすビード外側面とを成形する成形面を有するとともに、前記係止孔は、タイヤ軸と同芯をなしかつその直径Daは、前記成形面の半径方向内端の直径Dbの0.8〜1.2倍としたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のタイヤ加硫金型。
Priority Applications (1)
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JP2002338348A JP2004167941A (ja) | 2002-11-21 | 2002-11-21 | タイヤ加硫金型 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018086742A (ja) * | 2016-11-28 | 2018-06-07 | 東洋ゴム工業株式会社 | タイヤの加硫方法 |
-
2002
- 2002-11-21 JP JP2002338348A patent/JP2004167941A/ja active Pending
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