JP6734923B2 - タイヤ加硫装置 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ加硫装置に関する。
タイヤは、未加硫のグリーンタイヤを作製し、タイヤ加硫装置を用いてグリーンタイヤを所定形状に成型しつつ加硫することにより製造される。
タイヤ加硫装置は、グリーンタイヤを所定形状に成型する加硫金型と、加硫金型を駆動するコンテナと呼ばれる駆動機構とを備え、加硫金型として、タイヤのトレッド部を形成するセクタと、タイヤのサイドウォール部を形成する上下一対のサイドプレートとを備えたものが知られている。
このタイヤ加硫装置では、上側のサイドプレート及びセクタを下側のサイドプレートから離隔させた型開き状態において、下側のサイドプレートにグリーンタイヤをセットする。その後、駆動機構が上側のサイドプレートを下降するとともにセクタをタイヤ径方向内方へ移動させることにより、下側のサイドプレートに上側のサイドプレート及びセクタを近接させて型閉め状態となる。なお、セクタは周方向で複数に分割されており、型開き状態では放射状に離間し、型閉め状態では互いに寄り集まって環状をなす。
トレッド部やサイドウォール部の外表面には、種々の凹凸形状のパターンが形成されている。近年、タイヤの意匠性を向上させるため、トレッド部からサイドウォール部にかけて連続する凹凸形状を形成することがある。このようなパターンを形成する場合、セクタとサイドプレートとで形成される金型分割面の金型内側端部(パーティングライン)をショルダ部に配置すると、金型分割面からはみ出したゴムが外観上目立つ位置に発生したり、トレッド部からサイドウォール部にかけて連続する凹凸形状が目立つ位置において周方向にずれるおそれがある。
そこで、従来より、セクタとサイドプレートとで形成される金型分割面をタイヤ径方向に平行な面やタイヤ径方向に斜めに傾斜する面で構成し、金型分割面の金型内側端部をトレッド部に配置することが提案されている。
特開2001−96538号公報
しかしながら、セクタとサイドプレートとで形成される金型分割面をタイヤ径方向に平行な面やタイヤ径方向に斜めに傾斜する面で構成した場合、セクタをタイヤ径方向に移動させる型閉め時に、セクタの径方向の位置が定まりにくいため、加硫成型不良が発生しやすいという問題がある。
本発明は、以上の点に鑑み、型閉め時にセクタを所定位置に配置することができ、加硫成型不良を抑えることができるタイヤ加硫装置を提供することを目的とする。
本発明に係るタイヤ加硫装置は、タイヤを加硫成型するタイヤ加硫装置において、タイヤのトレッド部を成型するタイヤ周方向に分割されたセクタと、前記セクタが固定されタイヤ径方向に前記セクタを移動させるセグメントと、タイヤのサイドウォール部を成型する上下一対のサイドプレートと、前記セクタと上下一対の前記サイドプレートとで形成される金型分割面とを備え、前記金型分割面は、金型内側端部がトレッド部に配置され、金型内側端部よりタイヤ径方向と平行にタイヤ径方向外方延び、前記セクタは、前記金型分割面から突出する上下一対のフランジ部を備え、タイヤ周方向に隣り合う前記セクタが密着した状態で、上下一対の前記フランジ部が上下一対の前記サイドプレートに当接するものである。
本発明の他の好ましい態様において、前記フランジ部及び前記サイドプレートのいずれか一方は他方へ向けて突出する第1突出ピンを備え、他方は前記第1突出ピンが嵌る第1凹部を備えてもよい。
他の好ましい態様において、前記セグメントが前記セクタをタイヤ径方向内方へ移動させると、上下一対の前記フランジ部が上下一対の前記サイドプレートに接触する前にタイヤ周方向に隣り合う前記セクタが接触してもよい。
他の好ましい態様において、上下一対の前記サイドプレートに固定され前記セグメントを摺動可能に支持する上下一対の取付プレートとを備え、前記セグメントは、上下一対の前記取付プレートを摺動する上下一対の摺動面を備え、上下一対の前記摺動面は、タイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向中央部に向かうように傾斜し、前記セグメントは、前記セクタをタイヤ径方向外方へ移動させると、上下一対の前記摺動面が上下一対の前記取付プレートを摺動し、前記金型分割面の間隔を広げてもよい。この場合に前記サイドプレート及び前記取付プレートのいずれか一方は他方へ向けて突出する第2突出ピンを備え、他方は前記第2突出ピンが嵌る第2凹部を備えてもよい。
他の好ましい態様において、前記セクタが鉄で形成されてもよい。
本実施形態のタイヤ加硫装置では、セクタが金型分割面から突出する上下一対のフランジ部を備え、タイヤ周方向に隣り合うセクタが密着した状態で、上下一対のフランジ部が上下一対のサイドプレートに当接するため、セクタをタイヤ径方向内方へ移動させても、セクタが所定の型閉め位置よりタイヤ径方向内方へ移動することがない。そのため、型閉め時にセクタを所定位置に配置することができ、加硫成型不良を抑えることができる。
一実施形態に係るタイヤ加硫装置の加硫時における状態を示す半断面図。 同タイヤ加硫装置のセクタが拡径している段階での半断面図。 図2の要部拡大図。 図2の要部拡大図。 同タイヤ加硫装置のセクタが完全に拡径した段階での半断面図。 同タイヤ加硫装置のセクタが上昇している段階での半断面図。 変更例に係るタイヤ加硫装置の半断面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
タイヤ加硫装置は、図1に示すように、加硫金型10と、加硫金型10が取り付けられるコンテナ20と、加硫金型10やコンテナ20を上下動させる第1昇降手段50及び第2昇降手段51と、ブラダー60とを備える。タイヤ加硫装置は、タイヤ軸方向(タイヤ幅方向)が上下になるようにセットされた未加硫のグリーンタイヤを加熱及び加圧により、所定形状に成型しつつ加硫する。
加硫金型10は、上下一対の上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12と、周方向に分割された複数のセクタ13と、上下一対のビードリング14,15とを備え、タイヤTの外表面(意匠面)を形成する成型金型である。
加硫金型10の材料としては、アルミニウムやアルミニウム合金や鉄などの金属材料を選択することができるが、加硫温度での熱膨張が小さいことから鉄を選択することが好ましく、加硫金型10に生じる金型分割面の間隔を加硫温度において所望の間隔に設定しやすいことから、加硫金型10を構成する上下一対のサイドプレート11、12、複数のセクタ13、及び上下一対のビードリング14、15をすべて鉄で形成することが好ましい。
セクタ13は、タイヤTのトレッド部1を成型する金型であり、タイヤ周方向に複数(例えば、9個)に分割され、タイヤ放射方向(タイヤ径方向)に拡縮変位可能に設けられている。各セクタ13を型閉め位置に配置した型閉め状態では、タイヤ周方向に隣り合うセクタ13が、互いに寄り集まって環状をなしている。
上側サイドプレート11は、タイヤTの上方に配置されたサイドウォール部2及びビード部3を成型する金型である。下側サイドプレート12は、下方に配置されたサイドウォール部2及びビード部3を成型する金型である。上下一対の上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12のタイヤ径方向内側にはそれぞれビードリング14,15が設けられている。ビードリング14,15は、タイヤTのビード部3が嵌合可能に構成されている。
加硫金型10は、タイヤ幅方向に金型を分割する金型分割面、つまり、セクタ13と上側サイドプレート11とで形成される金型分割面16と、セクタ13と下側サイドプレート12とで形成される金型分割面17とが、セクタ13の移動方向であるタイヤ径方向に対して平行に設けられている。セクタ13と上下一対の上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12とで形成される金型分割面16,17は、パーティングラインと呼ばれる金型内側端部16a,17aがタイヤTのトレッド部1に位置している。
また、セクタ13は、上側サイドプレート11との間で形成される金型分割面16から上方へ突出する上側フランジ部13aと、下側サイドプレート12との間で形成される金型分割面17から下方へ突出する下側フランジ部13bとを備える。タイヤ周方向に隣り合うセクタ13が密着した型閉め状態では、上側フランジ部13aが上側サイドプレート11に設けられたタイヤ径方向外側の端面11bに当接し、下側フランジ部13bが下側サイドプレート12に設けられたタイヤ径方向外側の端面12bに当接する。
好ましくは、上下一対の上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bが上下一対の上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に接触する前に、タイヤ周方向に隣り合うセクタ13が接触し、その後、上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bが上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に接触するように、金型分割面16,17における上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bの突出位置を設定する。
一例を挙げると、タイヤ周方向に隣り合うセクタ13が接触した時に、上側フランジ部13aと上側サイドプレート11の間隔や、下側フランジ部13bと下側サイドプレート12の間隔が、0.03mm〜0.2mmになるように上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bの突出位置を設定することができる。
上側フランジ部13a及びこれとタイヤ径方向に対向する上側サイドプレート11の端面11bのいずれか一方(この例では、上側フランジ部13a)には、他方(この例では、上側サイドプレート11の端面11b)へ向けて突出する第1突出ピン18が設けられ、他方には、タイヤ加硫装置の型閉め状態において第1突出ピン18が嵌まり込む第1凹部19が設けられている。
下側フランジ部13b及びこれとタイヤ径方向に対向する下側サイドプレート12の端面12bのいずれか一方(この例では、下側フランジ部13b)にも、他方(この例では、下側サイドプレート12の端面12b)へ向けて突出する第1突出ピン18が設けられ、他方には、タイヤ加硫装置の型閉め状態に第1突出ピン18が嵌まり込む第1凹部19が設けられている。
上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bに設けられた第1突出ピン18は、複数のセクタ13にそれぞれ少なくとも1つずつ設けられている。この例では、第1突出ピン18は、上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bのタイヤ周方向中央部に設けられている。
第1凹部19は、加硫金型10の型閉め時に第1突出ピン18が嵌まり込むことで、セクタ13と上下一対の上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12とのタイヤ周方向における相対位置を調整し、セクタ13を位置決めする。
なお、上側サイドプレート11の端面11b及び下側サイドプレート12の端面12bに第1突出ピン18を設け、上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bに第1凹部19を設けても良い。
加硫金型10には、トレッド部1にタイヤ周方向に延びる主溝を成型するための主溝成型用リブ(不図示)と、トレッド部1にタイヤ幅方向に延びる横溝4を形成するための横溝成型用リブ13cとがセクタ13に設けられ、サイドウォール部2にトレッド部1の横溝4に連続する凹部5を形成するための凹部成型用リブ11a,12aが、上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に設けられている。
コンテナ20は、セクタ13を保持する複数のセグメント21と、セグメント21をタイヤ径方向に移動させるジャケットリング22と、上側サイドプレート11及び上側のビードリング14を支持するとともにセグメント21の上側に配置された上側取付プレート23と、下側サイドプレート12及び下側のビードリング15を支持するとともにセグメント21の下側に配置された下側取付プレート24とを備える。
セグメント21は、セクタ13のタイヤ径方向外側に分割されたセクタ13ごとに設けられている。セグメント21は、タイヤ径方向に貫通するボルト孔25が設けられており、タイヤ径方向外側からボルト孔25に挿入されたボルト26によってセクタ13に固定されている。
セグメント21の上面には、タイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向中央部(つまり、下方へ)に向かうように傾斜する上側摺動面27が設けられている。上側摺動面27は、上側取付プレート23に設けられた上側スライド28を摺動する。
セグメント21の下面には、タイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向中央部(つまり、上方へ)に向かうように傾斜する下側摺動面29が設けられている。下側摺動面29は下側取付プレート24に設けられた下側スライド30を摺動する。
セグメント21に設けられた上側摺動面27及び下側摺動面29の傾斜角度は、特に制限が無いが、タイヤ径方向に対して5°以上10°以下であることが好ましい。また、セグメント21に設けられた上側摺動面27及び下側摺動面29は、好ましくは、湾曲することのない平面からなり、上側スライド28及び下側スライド30に対して面接触状態で摺動する。
また、セグメント21は、セクタ13が取り付けられた側面と反対側(タイヤ径方向外側)の側面が、下方に向かってタイヤ径方向外方に傾斜する傾斜面31をなしている。
ジャケットリング22は、複数のセグメント21の径方向外側に設けられた環状の部材で、セグメント21に設けられたボルト孔25に対応させてタイヤ径方向に貫通する貫通孔36が設けられている。貫通孔36は、ジャケットリング22に着脱可能な封止部材37によって閉塞されている。
ジャケットリング22の内周面は、セグメント21のタイヤ径方向外側に設けられた傾斜面31に沿って傾斜しており、傾斜面31に摺動可能に連結されている。ジャケットリング22は、下側取付プレート24から上方に離れたセグメント21を支持する(図6参照)。また、ジャケットリング22は、図1,2,及び5に示すようにセグメント21が下側取付プレート24の下側スライド30に載置された状態において、セグメント21に対して相対的に上下動することでセグメント21に設けられた傾斜面31を摺動しながらセグメント21をタイヤ径方向に移動させる。これにより、セグメント21に保持されたセクタ13がタイヤ径方向に拡縮変位可能に構成されている。
ジャケットリング22に設けられた貫通孔36は、ジャケットリング22がセグメント21をタイヤ径方向内方へ移動させて周方向に隣り合うセクタ13を互いに密着させた型閉め状態において、セグメント21に設けられたボルト孔25と連通する。これにより、タイヤ加硫装置の型閉め状態において、セクタ13をセグメント21に固定するボルト26を着脱することができるようになっている。
上側取付プレート23の下面には、上側サイドプレート11と上側スライド28が不図示のボルトによって固定されている。
上側サイドプレート11及び上側取付プレート23のいずれか一方(この例では、上側取付プレート23)には、他方(この例では、上側サイドプレート11)へ向けて突出する先細形状の第2突出ピン32が設けられ、他方には、第2突出ピン32が嵌まり込む第2凹部33が設けられている。第2凹部33は、第2突出ピン32の形状に対応する底へ向かって狭くなる円錐形状をなしており、第2突出ピン32が嵌まり込むことで、上側サイドプレート11と上側取付プレート23との相対位置を調整し、上側サイドプレート11を位置決めする。なお、上側サイドプレート11に第2突出ピン32を設け、上側取付プレート23に第2凹部33を設けても良い。
上側スライド28は、上側サイドプレート11のタイヤ径方向外側であって、セグメント21の上面に設けられた上側摺動面27と対向する位置に配置されている。上側スライド28には、セグメント21がタイヤ径方向に摺動可能に連結され、図6に示すように下側取付プレート24から上方に離れた状態でセグメント21を支持するとともに、セグメント21がタイヤ径方向に移動する際にその移動を案内する。
下側取付プレート24の上面には、下側サイドプレート12と下側スライド30が不図示のボルトによって固定されている。
下側サイドプレート12及び下側取付プレート24のいずれか一方(この例では、下側取付プレート24)には、他方(この例では、下側サイドプレート12)へ向けて突出する先細形状の第2突出ピン34が設けられ、他方には、第2突出ピン34が嵌まり込む第2凹部35が設けられている。第2凹部35は、第2突出ピン34の形状に対応する底へ向かって狭くなる円錐形状をなしており、第2突出ピン34が嵌まり込むことで、下側サイドプレート12と下側取付プレート24との相対位置を調整し、下側サイドプレート12を位置決めする。なお、下側サイドプレート12に第2突出ピン34を設け、下側取付プレート24に第2凹部35を設けても良い。
下側スライド30は、下側サイドプレート12のタイヤ径方向外側であって、セグメント21の下面に設けられた下側摺動面29と対向する位置に配置される。下側スライド30は、セグメント21をタイヤ径方向に摺動可能に支持し、セグメント21がタイヤ径方向に移動する際にその移動を案内する。
また、下側取付プレート24、及びジャケットリング22等には、不図示の加熱装置が設けられている。加熱装置は、例えば、熱媒体とこれが流通するパイプから構成され、加硫金型10全体を加熱する。
第1昇降手段50は、下側取付プレート24に対して上側取付プレート23を相対的に上下動させる。第2昇降手段51は、上側取付プレート23に支持されたセグメント21と別個にジャケットリング22を上下動させる。
ブラダー60は、軸方向中央部が外側に膨出したトロイダル状をなした拡縮可能なゴム弾性体からなり、グリーンタイヤの内面側に配置されて加圧気体(例えば、蒸気や窒素ガス)の供給によって膨らみグリーンタイヤを内側から加圧する。ブラダー60は、その軸方向両端部である上端部と下端部が伸縮支持部61により支持されており、不図示の流体ポートを介して、内部に加圧気体を供給し、また排出されるように構成されている。伸縮支持部61は、ブラダー60の上端部と下端部の間隔を伸縮可能に支持する部材であり、ブラダー60の上端部を固定する上側クランプリング62と、ブラダー60の下端部を固定する下側クランプリング63と、伸縮可能な伸縮軸部64とを備えてなる。
以上のような構成を備えたタイヤ加硫装置を用いてグリーンタイヤの加硫成型を行い、空気入りタイヤを製造する。
詳細には、公知の方法により成形されたグリーンタイヤが、型開き状態のタイヤ加硫装置の加硫金型10に装着されるとともに、グリーンタイヤの内面側にブラダー60が装着された後、加硫金型10を図1に示すような型閉め状態にする。
加硫金型10を型開き状態から型閉め状態にするには、第1昇降手段50が上側取付プレート23に設けられた上側サイドプレート11及びセグメント21を下降させるとともに、第2昇降手段51がジャケットリング22とこれに取り付けられたセグメント21を下降させる。
第1昇降手段50が上側サイドプレート11及びセグメント21を下降させる速度は、第2昇降手段51がジャケットリング22を下降させる速度と同じ速度に設定されている。そのため、セグメント21及びセクタ13はタイヤ径方向に移動することなく、上側サイドプレート11、セクタ13、セグメント21及びジャケットリング22が下方に移動し、下側取付プレート24に設けられた下側サイドプレート12に接近する。
そして、セグメント21の下側摺動面29が下側取付プレート24の下側スライド30に載置されると、第2昇降手段51は、ジャケットリング22を更に降下させる。これにより、セグメント21は、下側摺動面29が下側取付プレート24の下側スライド30上を摺動し、上側摺動面27が上側取付プレート23の上側スライド28を摺動して、タイヤ径方向内方へ移動する。その際、セグメント21に設けられた上側摺動面27及び下側摺動面29がタイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向中央部に向かうように傾斜しているため、セグメント21とともにセクタ13がタイヤ径方向内方へ移動すると、上側摺動面27の傾斜によって上側サイドプレート11が降下し、下側摺動面29の傾斜によってセグメント21及びセクタ13が下降する。つまり、セグメント21及びセクタ13のタイヤ径方向内方への移動に伴って、セクタ13と上側サイドプレート11とで形成される金型分割面16の間隔が漸次狭くなるとともに、セクタ13と下側サイドプレート12とで形成される金型分割面17の間隔が漸次狭くなる。
そして、セグメント21及びセクタ13がタイヤ径方向内方に所定量移動すると、上下一対の上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bが上下一対の上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に接触する前に、タイヤ周方向に隣り合うセクタ13が接触する。
タイヤ周方向に隣り合うセクタ13が接触した後、更に、セクタ13は、タイヤ径方向内方へ移動することでタイヤ周方向に隣り合うセクタ13同士が密着する型閉め位置に到達する。セクタ13が型閉め位置に到達すると、上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bが上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に接触する。これにより、セクタ13は、タイヤ径方向内方への移動が規制され、型閉め位置(タイヤ周方向に隣接するセクタ13同士が密着する位置)よりタイヤ径方向内方へ移動することがない。
また、セクタ13が型閉め位置に到達した状態では、セクタ13と上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12とで形成される金型分割面16,17が密着し、加硫金型10が図1に示すような型閉め状態となる。
なお、上記のようにセクタ13が型閉め位置までタイヤ径方向内方へ移動すると、上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bに設けられた第1突出ピン18が、上側サイドプレート11の端面11b及び下側サイドプレート12の端面12bに設けられた第1凹部19に嵌まり込み、上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に対してセクタ13をタイヤ周方向に位置決めする。
上記のように加硫金型10を型閉めした後、ブラダー60内に加圧気体を供給して膨張させることにより、加硫金型10とブラダー60との間でグリーンタイヤを加圧及び加熱し、この状態を所定時間維持することにより、タイヤTを加硫成型する。
グリーンタイヤを加硫した後、加硫金型10を型開き状態にして、加硫済みのタイヤTをタイヤ加硫装置から取り出す取り出し工程を行う。
加硫金型10を型閉め状態から型開き状態にするには、まず、第2昇降手段51によりジャケットリング22を上昇させることにより、セグメント21に保持されたセクタ13をタイヤ径方向外方に移動させ、セクタ13を拡径させる。この時、第1昇降手段50は停止しているが、上側取付プレート23や下側取付プレート24が上下方向の外力を受けると、当該外力に応じて上側取付プレート23が上方へ移動するようになっている。
上記のように本実施形態のタイヤ成型装置では、セグメント21に設けられた上側摺動面27及び下側摺動面29がタイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向中央部に向かうように傾斜している。そのため、図2に示すようにセグメント21がタイヤ径方向外方へ移動すると、上側摺動面27は、上側取付プレート23を上方へ押し上げながら上側取付プレート23の上側スライド28をタイヤ径方向外方へ摺動し、下側摺動面29は、下側取付プレート24を下方へ押し下げながら下側取付プレート24の下側スライド30をタイヤ径方向外方へ摺動する。
上側摺動面27より上方へ押し上げられた上側取付プレート23は、セグメント21に対して上方へ移動するため、セグメント21が径方向外方へ移動を開始すると、図3に示すように、上側取付プレート23に固定された上側サイドプレート11もセグメント21に対して上方へ移動し、セクタ13と上側サイドプレート11とで形成される金型分割面16の間隔が広がる。
また、下側摺動面29より下方へ押し下げられた下側取付プレート24は、セグメント21に対して下方へ移動するため、セグメント21が径方向外方へ移動を開始すると、図4に示すように、下側取付プレート24に固定された下側サイドプレート12もセグメント21に対して下方へ移動し、セクタ13と下側サイドプレート12とで形成される金型分割面17の間隔が広がる。なお、下側取付プレート24が固定されている場合、セグメント21が径方向外方へ移動を開始すると、セグメント21が上方へ移動し、セクタ13と下側サイドプレート12とで形成される金型分割面17の間隔が広がる。
そして、図5に示すようにセクタ13の拡径が完了した後、第1昇降手段50を上昇させて、図6に示すように上側取付プレート23に設けられた上側サイドプレート11及びセクタ13を上昇させ、すなわち下側サイドプレート12に対して離間移動させて、上側サイドプレート11と下側サイドプレート12の型開き動作を行う。そして、型開き状態になったタイヤ加硫装置から加硫済みのタイヤTを取り出す。なお、上側サイドプレート11及びセクタ13が上方に移動している間、ジャケットリング22は、セクタ13を拡径した状態のまま、第2昇降手段51によって上側サイドプレート11に同期して上昇する。
本実施形態のタイヤ加硫装置によれば、セクタ13は、金型分割面16から突出する上側フランジ部13aと、金型分割面17から突出する下側フランジ部13bとを備え、タイヤ周方向に隣り合うセクタ13が密着する型閉め位置に到達すると、上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bが上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に接触し、型閉め位置よりタイヤ径方向内方へ移動することがない。そのため、複数のセクタ13の一部が他のセクタ13より先に型閉め位置に到達することがあったとしても、加硫金型10の型閉め時に全てのセクタ13を所定位置に配置することができ、加硫成型不良を抑えることができる。
本実施形態のタイヤ加硫装置では、上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bに第1突出ピン18が設けられ、上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に第1突出ピン18が嵌まり込む第1凹部19が設けられている。そのため、型閉め状態で上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に対してセクタ13をタイヤ周方向に位置決めすることができ、セクタ13に設けられた溝成型用リブ13cと、上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に設けられた凹部成型用リブ11a,12aとを適切に連続させて、トレッド面からサイドウォール部に連続するパターンデザインを、周方向にずれを生じることなく良好に形成することができる。
本実施形態のタイヤ加硫装置では、型閉め時にセクタ13をタイヤ径方向内方へ移動させると、タイヤ周方向に隣り合うセクタ13が接触し、その後、上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bが上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に接触する。そのため、第2昇降手段51がジャケットリング22及びセグメント21を介してセクタ13を径方向内方へ押圧する力の大半は、周方向に隣接するセクタ13同士の接触面に作用することになり、周方向に隣接するセクタ13同士を密着させることができる。
また、本実施形態のタイヤ加硫装置では、上側取付プレート23及び下側取付プレート24を摺動する上側摺動面27及び下側摺動面29が、タイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向中央部に向かうように傾斜しているため、セグメント21がタイヤ径方向内方へ移動すると、金型分割面16、17の間隔が漸次狭くなり、セグメント21が径方向外方へ移動すると、金型分割面16、17の間隔が漸次広がる。つまり、セクタ13が型閉め位置にあると、セクタ13と上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12とで形成される金型分割面16,17が密着するが、セクタ13が型閉め位置よりタイヤ径方向外方に位置すると金型分割面16,17に隙間が形成される。そのため、タイヤ加硫装置の開閉を繰り返しても、金型分割面16,17が擦れ合うことがなく、タイヤ加硫装置の耐久性を向上させることができる。
しかも、セグメント21が径方向外方へ移動を開始した直後に上側取付プレート23とともに上側サイドプレート11が加硫成型後のタイヤTから離れる方向へ移動するため、タイヤTを脱型しやすくなる。
本実施形態のタイヤ加硫装置では、上側取付プレート23及び下側取付プレート24に第2突出ピン32が設けられ、上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に第2突出ピン32が嵌まり込む第2凹部35が設けられている。そのため、上側取付プレート23及び下側取付プレート24に対して上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12をタイヤ周方向に位置決めすることができる。そのため、セクタ13に設けられた溝成型用リブ13cと、上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に設けられた凹部成型用リブ11a,12aとを適切に連続させて、トレッド面からサイドウォール部に連続するパターンデザインを、周方向ずれを生じることなく良好に形成することができる。
(変更例)
図7に基づいて本発明の変更例について説明する。なお、上記の実施形態と同一の構成には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
上記した実施形態では、セクタ13と上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12で形成される金型分割面16,17がタイヤ径方向に平行な場合について説明したが、本発明はこのような場合に限られず、タイヤのトレッド部1に配置された金型分割面の金型内側端部からタイヤ径方向外方に延びる金型分割面であればよい。
例えば、本変更例のタイヤ加硫装置は、図7に示すように、セクタ13と上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12で形成される金型分割面160,170が、タイヤ径方向内側(つまり、金型内側端部160a,170a側)に行くほどタイヤ幅方向中央部に向かうようにタイヤ径方向に対して斜めに傾斜している。
本変更例のタイヤ加硫装置では、セクタ13と上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12で形成される金型分割面160,170が、タイヤ径方向内側に行くほどタイヤ幅方向中央部に向かうようにタイヤ径方向に対して斜めに傾斜している。このようなタイヤ加硫装置では、セクタ13が型閉め位置よりタイヤ径方向内方へ移動すると金型分割面160,170が擦れ合い摩耗する。しかし、本変更例では、セクタ13が型閉め位置に到達すると、上側フランジ部13a及び下側フランジ部13bが上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12に接触し、セクタ13が型閉め位置よりタイヤ径方向内方へ移動することがないため、金型分割面160,170の摩耗を抑えることができ、タイヤ加硫装置の耐久性を向上させることができる。なお、その他の構成及び作用効果は上記の実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
以上の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
1…トレッド部、2…サイドウォール部、3…ビード部、4…横溝、5…凹部、10…加硫金型、11…上側サイドプレート、11a…凹部成型用リブ、12…下側サイドプレート、12a…凹部成型用リブ、13…セクタ、13a…上側フランジ部、13b…下側フランジ部、13c…横溝成型用リブ、16…金型分割面、16a…金型内側端部、17…金型分割面、17a…金型内側端部、20…コンテナ、21…セグメント、22…ジャケットリング、23…上側取付プレート、24…下側取付プレート、25…ボルト孔、26…ボルト、27…上側摺動面、29…下側摺動面、50…第1昇降手段、51…第2昇降手段、60…プラダー

Claims (6)

  1. タイヤを加硫成型するタイヤ加硫装置において、
    タイヤのトレッド部を成型するタイヤ周方向に分割されたセクタと、
    前記セクタが固定されタイヤ径方向に前記セクタを移動させるセグメントと、
    タイヤのサイドウォール部を成型する上下一対のサイドプレートと、
    前記セクタと上下一対の前記サイドプレートとで形成される金型分割面とを備え、
    前記金型分割面は、金型内側端部がトレッド部に配置され、金型内側端部よりタイヤ径方向と平行にタイヤ径方向外方延び、
    前記セクタは、前記金型分割面から突出する上下一対のフランジ部を備え、タイヤ周方向に隣り合う前記セクタが密着した状態で、上下一対の前記フランジ部が上下一対の前記サイドプレートに当接するタイヤ加硫装置。
  2. 前記フランジ部及び前記サイドプレートのいずれか一方は他方へ向けて突出する第1突出ピンを備え、他方は前記第1突出ピンが嵌る第1凹部を備える請求項1に記載のタイヤ加硫装置。
  3. 前記セグメントが前記セクタをタイヤ径方向内方へ移動させると、上下一対の前記フランジ部が上下一対の前記サイドプレートに接触する前にタイヤ周方向に隣り合う前記セクタが接触する請求項1又は2に記載のタイヤ加硫装置。
  4. 上下一対の前記サイドプレートに固定され前記セグメントを摺動可能に支持する上下一対の取付プレートとを備え、
    前記セグメントは、上下一対の前記取付プレートを摺動する上下一対の摺動面を備え、
    上下一対の前記摺動面は、タイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向中央部に向かうように傾斜し、
    前記セグメントは、前記セクタをタイヤ径方向外方へ移動させると、上下一対の前記摺動面が上下一対の前記取付プレートを摺動し、前記金型分割面の間隔を広げる請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ加硫装置。
  5. 前記サイドプレート及び前記取付プレートのいずれか一方は他方へ向けて突出する第2突出ピンを備え、他方は前記第2突出ピンが嵌る第2凹部を備える請求項に記載のタイヤ加硫装置。
  6. 前記セクタが鉄で形成されている請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ加硫装置。
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