JP2014117924A - タイヤ加硫用金型およびタイヤの製造方法 - Google Patents

タイヤ加硫用金型およびタイヤの製造方法 Download PDF

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利行 河井
Norinaga Matsushita
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Abstract

【課題】ラグ溝に形成されるはみ出しゴムを低減したタイヤを得ることができる、タイヤ加硫用金型、および、タイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】タイヤのサイドウォール部を主に型付けする一対のサイドモールド3と、一対のサイドモールド3間に設置され、タイヤのトレッド部を主に型付けするセクターモールド5とを備え、セクターモールド5は、型締めの際に全体としてリング状を呈するとともに円周方向に複数分割された弧状セグメント5aからなり、型締めの際にセクターモールド5からサイドモールド3に亘って延びるとともに割り位置で分割されたラグ溝形成用突起部7を有し、ラグ溝形成用突起部7の分割端面9のうち、一方側の分割端面9に凹部13を、他方側の分割端面9に凸部11を形成し、凹部13および凸部11が型締めの際に嵌合することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、タイヤ加硫用金型およびタイヤの製造方法に関するものである。
従来、タイヤ加硫用金型として、例えば、タイヤの一方のサイドウォール部を主に型付けする型付け面を有する下モールド(サイドモールド)と、下モールドに対して接近および離隔可能でタイヤの他方のサイドウォール部を主に型付けする型付け面を有する上モールド(サイドモールド)と、下、上モールド間に設置され全体としてリング状を呈するとともに円周方向に複数分割された弧状セグメントからなり、タイヤのトレッド部を主に型付けする型付け面を有するセクターモールドを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなモールドを用いて未加硫のタイヤ(生タイヤ)を加硫する場合には、下モールド上に該生タイヤを搬入して載置した後、上モールドを下モールドに接近させるとともに、弧状セグメントを同期して半径方向最内側位置まで移動させ、モールドを閉止する。このとき、弧状セグメントは互いに密着して連続リング状となり、上、下モールドおよびセクターモールドが互いに密着して、その内部に生タイヤが収納される。その後、モールド内に高温、高圧の蒸気を注入し未加硫のタイヤを下、上、セクターモールドの型付け面に押付けながら加硫する。
特開平10−76527号公報
ところで、ラグ溝を有するタイヤの製造に用いられる加硫金型には、各モールドの内面にラグ溝形成用の突起が形成されており、モールドの割り位置に応じてこの突起も分割される。分割された突起の分割端面は、モールドが閉止した際、互いに密着することが望ましいが、完全に密着させることは難しく隙間が生じ易い。タイヤ加硫時にこの隙間に生ゴムが入り込むと、加硫後に薄い膜状のゴム(いわゆる、はみ出しゴム)となりラグ溝を遮るため、タイヤの排水性や放熱性を低下させてしまう。そしてこのようなはみ出しゴムを加硫後に切除しようとすると、タイヤの生産性が著しく低下する可能性があった。
それゆえ本発明は、ラグ溝に形成されるはみ出しゴムを低減したタイヤを得ることができる、タイヤ加硫用金型、および、タイヤの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のタイヤ加硫用金型は、一対のサイドモールドと、前記一対のサイドモールド間に設置されるセクターモールドとを備え、前記セクターモールドは、複数分割された弧状セグメントからなり、型締めの際に前記セクターモールドから前記サイドモールドに亘って延びるとともに割り位置で分割されたラグ溝形成用突起部を有し、前記ラグ溝形成用突起部の分割端面のうち、一方側の前記分割端面に凹部を、他方側の前記分割端面に凸部を形成し、前記凹部および前記凸部が型締めの際に嵌合することを特徴とするものである。
かかるタイヤ加硫用金型にあっては、突起部の分割端面に形成した凹部と凸部が嵌合して分割端面間の隙間を遮ることにより、製造されたタイヤのラグ溝に形成されるはみ出しゴムの発生量を低減することができる。
また、本発明のタイヤ加硫用金型にあっては、前記凹部および前記凸部が、前記ラグ溝形成用突起部の、前記分割端面とラグ溝を型付けする型付け面との境界であるエッジに沿って形成されてなることが好ましく、これによれば、はみ出しゴムの発生量低減効果をより高めることができる。
さらに、本発明のタイヤの製造方法にあっては、タイヤのサイドウォール部を主に型付けする一対のサイドモールドと、前記一対のサイドモールド間に設置され、タイヤのトレッド部を主に型付けするセクターモールドとを備え、前記セクターモールドは、型締めの際に全体としてリング状を呈するとともに円周方向に複数分割された弧状セグメントからなり、型締めの際に前記セクターモールドから前記サイドモールドに亘って延びるとともに割り位置で分割されたラグ溝形成用突起部を有し、前記ラグ溝形成用突起部の分割端面のうち、一方側の前記分割端面に凹部を、他方側の前記分割端面に凸部を形成し、前記凹部および前記凸部が型締めの際に嵌合するタイヤ加硫用金型を、内部に未加硫タイヤを載置した状態で、前記一対のサイドモールドおよび前記セクターモールドを互いに密着させることにより閉止した後、前記未加硫タイヤを加硫することを特徴とする。
かかるタイヤの製造方法にあっては、突起部の分割端面に形成した凹部と凸部が嵌合して分割端面間の隙間を遮ることにより、製造されたタイヤのラグ溝に形成されるはみ出しゴムの発生量を低減することができる。
本発明によれば、ラグ溝に形成されるはみ出しゴムを低減したタイヤを得ることができる、タイヤ加硫用金型、および、タイヤの製造方法を提供することができる。
(a)は、本発明の一実施形態に係るタイヤ加硫用金型の型締め前の状態を示す断面図であり、(b)は、本発明の一実施形態に係るタイヤ加硫用金型の型締め状態を示す断面図である。 図1のタイヤ加硫用金型を部分的に拡大した断面図および斜視図である。 (a)は、本発明の一実施形態としてのタイヤ加硫用金型を示す部分拡大断面図であり、(b)は、本発明の他の実施形態としてのタイヤ加硫用金型を示す部分拡大断面図である。 (a)は、従来のタイヤ加硫用金型を示す部分拡大断面図であり、(b)は、本発明の一実施形態に係るタイヤ加硫用金型を示す部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき例示説明する。
図1(a)は、本発明に従うタイヤ加硫用金型1に未加硫の生タイヤ2が載置された状態を示しており、当該タイヤ加硫用金型1は、上側および下側のサイドモールド3および、これら一対のサイドモールド3,3間に設置されたセクターモールド5を備える。図1(b)に示すようにタイヤ加硫用金型1を閉じた際、即ち、型締めの際に形成される内部空間は、タイヤに対応した形状となっており、各サイドモールド3は、タイヤのサイドウォール部を主に型付けする型付け面4を有し、セクターモールド5は、タイヤのトレッド部を主に型付けする型付け面6を有する。またセクターモールド5は、型締め状態で、全体としてリング状を呈する、円周方向に分割された複数の弧状セグメント5aからなるものである。さらに、サイドモールド3およびセクターモールド5の型付け面4、6には、タイヤのラグ溝(タイヤ幅方向に向かって延びる溝)に対応したラグ溝形成用突起部7が形成されている。型締め状態でセクターモールド5からサイドモールド3に亘って延びるラグ溝形成用突起部7は、サイドモールド3およびセクターモールド5の境界位置(割り位置)で分割されている。各サイドモールド3は、必要に応じて複数の部品に分割されうるものであり、例えば、タイヤのビード部を型付けする型付け面を有するビードリング等を備えることが可能である。またタイヤ加硫用金型1は、セクターモールド5の径方向外側に、セクターモールド5の弧状セグメント5aを径方向内外側に移動させるためのアウターリング10を備える。
図2は、図1におけるセクターモールド5と下側のサイドモールド3bの割り位置を拡大して示したものであり、図示のように、セクターモールド5側とサイドモールド3b側とに分割されたラグ溝形成用突起部7の分割端面9には、型締めの際に嵌合する凸部11および凹部13が形成されている。この例においては、セクターモールド5側の分割端面9に凸部11が形成され、サイドモールド3側の分割端面9に凹部13が形成されているが、これに限られず、凸部11と凹部13の配置を逆にしてもよい。また、上側のサイドモールド3aおよびセクターモールド5に形成されたラグ溝形成用突起部7の分割端面9にも、同様の凸部11と凹部13が形成される。図2に示すように、凸部11および凹部13はそれぞれ、ラグ溝形成用突起部7、7の分割端面9、9と、ラグ溝形成用突起部7、7のラグ溝を型付けする型付け面4、6との境界である、エッジ15、15に沿って形成されている。図3(a)、(b)は、凹部13と凸部11とが嵌合した状態で示す、図2のA−A線拡大断面図である。凸部11および凹部13の形状は、図2に示す例では、図3(a)に示すように断面が四角形状であるが、図3(b)に示すような三角形状や、図示しないが半円形状等であってもよい。より確実にはみ出しゴム低減効果を発揮するため、図3(a)に示す凹部13の位置および大きさは、エッジ15からの距離p1が5〜10mm、凹部の延在方向に垂直な幅w1が3〜8mm、凹部の深さd1が3〜5mmであることが好ましい。また凸部11は、凹部13に嵌合するよう、延在方向に垂直な幅が凹部13よりも2〜4mm小さい形状とすることが望ましい。また、図3(b)に示す凹部13の三角形状断面の位置および大きさは、エッジ15からの距離p2が5〜10mm、深さd2が3〜5mm、底部の角度a1が55〜65°であることが好ましく、凸部11の頂点の角度a2が50〜55°であることが好ましい。なお、図3(a)、(b)は、発明の理解を容易にするために、分割端面9、9間の微小な隙間を意図的に大きく示したが、このような状態も本発明においては「密着」に含まれることとする。
ここで、本発明のタイヤ加硫用金型1を備える加硫装置は、図示は省略するが、タイヤ加硫用金型1を有する加硫機と、上側のサイドモールド3aを支持する上部プレート、下側のサイドモールド3bを支持する下部プレート、およびタイヤ加硫用金型1の内側中央に位置するブラダーを備えることができる。加硫機は、タイヤの種類や大きさに応じた加硫条件(加硫時間、加硫温度)を選定することができる。
次に、本発明に係るタイヤの製造方法について説明する。本発明に係るタイヤの製造方法は、前述した本発明に従うタイヤ加硫用金型1を用いたものであるので、当該タイヤ加硫用金型についての詳細な説明は省略する。
先ず、下側のサイドモールド3b上に未加硫の生タイヤ2を載置する。次いで、上下側のサイドモールド3間の距離が所定の間隔となるまで、上側のサイドモールド3aを下側のサイドモールド3bに接近させる。さらに、アウターリング10をセクターモールド5に対して相対的に上側に移動させることにより、セクターモールド5の弧状セグメント5aを同期させて径方向内側に移動させる。弧状セグメント5aが径方向内側限まで移動すると、これら弧状セグメント5aは互いに密着して連続リング状となるが、このとき、上下のサイドモールド3およびセクターモールド5は密着して閉止し、その内部空間に上記の生タイヤ2が収納される。そして同時に、ラグ溝形成用突起部7の分割端面9に形成された凸部11および凹部13が嵌合して、分割端面9間の隙間を遮る壁を形成する。その後、モールド内に配置されたブラダーに高温、高圧の加硫媒体を注入し、未加硫の生タイヤ2を、上下のサイドモールド3およびセクターモールド5の型付け面4,6に押付けながら加硫することにより、タイヤが製造される。
このようにして、本発明に従うタイヤ加硫用金型1を用いてタイヤを製造することにより、製造されたタイヤのラグ溝に形成されるはみ出しゴムの発生量を低減することができる。即ち、従来、図4(a)に示すように、分割端面9、9間の隙間に加熱されたゴムが入り込んではみ出しゴム21を形成し、ラグ溝を塞ぐ場合があったが、図4(b)に示すように隙間を遮ることで、ゴムが隙間に深く入り込むのを防止し、はみ出しゴムの発生量を低減することが可能となる。また、上述の実施形態では、凸部11および凹部13がエッジ15に沿って形成されていることで、ゴムが入り込む隙間の容積をより縮小し、はみ出しゴムの発生量をさらに効果的に低減することができる。このようにして、ラグ溝に形成され、ラグ溝を遮るはみ出しゴムの発生を低減することにより、タイヤの排水性および放熱性の低下を抑制することが可能となる。
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができるものである。例えば、上述の実施形態におけるタイヤ加硫用金型においては、ラグ溝形成用突起部7、7の分割端面9、9にそれぞれ形成された凸部11および凹部13が、エッジ15、15に沿っているが、これに限られず、分割端面9、9それぞれの中央部分に、エッジ15、15に沿わない、直方体状、または半球状の凸部および凹部を形成することも可能である。
次にこの発明に従うタイヤ加硫用金型について、性能評価を行ったので以下で説明する。
実施例1のタイヤ加硫用金型は、図3(a)に示すように、断面が四角形状の凹部13および凸部11をラグ溝形成用突起部7の分割端面9に、エッジ15に沿って形成したものであり、p1を10mm、w1を3mm、d1を3mmとしたものである。実施例2のタイヤ加硫用金型は、図3(b)に示すように、断面が三角形状の凹部13および凸部11をラグ溝形成用突起部7の分割端面9に、エッジ15に沿って形成したものであり、p2を10mm、d2を3mm、a1を60°、a2を55°としたものである。実施例3のタイヤ加硫用金型は、ラグ溝形成用突起部の分割端面に、エッジ15に沿わない直方体状の凹部33および凸部31を形成したものであり、実施例4のタイヤ加硫用金型は、ラグ溝形成用突起部の分割端面に、エッジ15に沿わない半球状の凹部43および凸部41を形成したものである。比較例の金型は、従来通りラグ溝形成用突起部の分割端面が平坦なものである。温度および時間等の加硫条件、および使用する未加硫タイヤは同一とした。加硫後の各タイヤのラグ溝に形成されたはみ出しゴムのラグ溝の溝底面からの高さ(溝の底面から垂直に測定したはみ出しゴムの高さの、溝深さに対する割合)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2014117924
表1の結果から、実施例1〜4におけるはみ出しゴムの量は、比較例と比べて大きく低減していることがわかる。また、凹部及び凸部を、エッジに沿う形状とした実施例1、2は、凹部及び凸部がエッジに沿う形状でない実施例3、4と比べて、はみ出しゴムの量が低減している。
かくしてこの発明により、ラグ溝に形成されるはみ出しゴムを低減したタイヤを得ることができる、タイヤ加硫用金型、および、タイヤの製造方法を提供することが可能となった。
1:タイヤ加硫用金型、 2:未加硫タイヤ(生タイヤ)、 3:サイドモールド、 5:セクターモールド、 7:ラグ溝形成用突起部、 9:分割端面、 11:凸部、 13:凹部、 15:エッジ

Claims (3)

  1. タイヤのサイドウォール部を主に型付けする一対のサイドモールドと、前記一対のサイドモールド間に設置され、タイヤのトレッド部を主に型付けするセクターモールドとを備え、
    前記セクターモールドは、型締めの際に全体としてリング状を呈するとともに円周方向に複数分割された弧状セグメントからなり、
    型締めの際に前記セクターモールドから前記サイドモールドに亘って延びるとともに割り位置で分割されたラグ溝形成用突起部を有し、
    前記ラグ溝形成用突起部の分割端面のうち、一方側の前記分割端面に凹部を、他方側の前記分割端面に凸部を形成し、前記凹部および前記凸部が型締めの際に嵌合することを特徴とするタイヤ加硫用金型。
  2. 前記凹部および前記凸部が、前記ラグ溝形成用突起部の、前記分割端面とラグ溝を型付けする型付け面との境界であるエッジに沿って形成されてなる、請求項1記載のタイヤ加硫用金型。
  3. タイヤのサイドウォール部を主に型付けする一対のサイドモールドと、前記一対のサイドモールド間に設置され、タイヤのトレッド部を主に型付けするセクターモールドとを備え、
    前記セクターモールドは、型締めの際に全体としてリング状を呈するとともに円周方向に複数分割された弧状セグメントからなり、
    型締めの際に前記セクターモールドから前記サイドモールドに亘って延びるとともに割り位置で分割されたラグ溝形成用突起部を有し、
    前記ラグ溝形成用突起部の分割端面のうち、一方側の前記分割端面に凹部を、他方側の前記分割端面に凸部を形成し、前記凹部および前記凸部が型締めの際に嵌合するタイヤ加硫用金型を、内部に未加硫タイヤを載置した状態で、前記一対のサイドモールドおよび前記セクターモールドを互いに密着させることにより閉止した後、前記未加硫タイヤを加硫することを特徴とするタイヤの製造方法。
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