JP2004166076A - 温度補正装置および電圧制御発振装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】異なる温度に対して要求される補正電圧の実測波形をD/A変換の最小分解能の間隔で区分けし、実測波形の各区分け点から電圧値を表わす電圧デジタル値とその対応時刻とを求め、電圧デジタル値と時刻からなる複数の対を補正データにしてアドレスを付けて予め格納しておき、温度を表す検出アドレスを基に補正データを読み出し、検出アドレスが要求する補正電圧に関する電圧デジタル値と時刻を、補正データから抽出または算出し、得られた電圧デジタル値を対応する時刻に合わせてD/A変換手段に順次出力する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、温度によって動作に影響を受けやすい発振回路などの被補正装置に対して、その周囲温度を検出して補正処理を施した電圧波形をD/A変換器を通して出力する温度補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周囲温度の影響を受け本来の動作が行えなくなる回路として、例えば発振回路がある。これは発振回路の発振子が3次曲線などの温度特性を持っているからである。したがって、温度の影響を受けやすい回路の動作を温度に応じて補正することが求められてきた。このような目的に使用される従来の温度補正回路としては、温度センサにより周囲温度を検出し、検出した電圧を基に補正電圧を生成し被補正回路に与え補正制御するのが一般的である。しかし、広い温度範囲に亘り高精度の温度補正が要求される被補正回路では、温度領域を細分化して個々に補正を行うこと、加えて、用いられる温度センサの検出誤差やその検出特性のばらつきに対する影響の低減をも考慮しなければならない。
【0003】
上記のような要求を満たす従来の温度補正回路として、予め複数の温度の検出値をアドレス化し、各アドレスに対応して温度センサの温度特性を補正した補正アドレスを記憶部に格納しておき、また各補正アドレスに対応して被補正回路の温度特性を補正する補正電圧を考慮した補正データを設定して記憶部に格納しておき、温度センサにより周囲温度を検出し、その検出温度値をA/D変換してアドレスとし、この変換したアドレス対応する補正アドレスを読み出し、読み出した補正アドレスを基に補正データを読み出し、得られた補正データをD/A変換して被補正回路に与える補正電圧を生成するようにしたものがある(例えば、特許文献1)。また、その場合、高精度の補正をする際には、D/Aデータ量が増加するので、D/Aデータの全てをメモリに格納するのではなく、ある温度に対する差分データを格納することにより、メモリ容量を削減するものがある(例えば、特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−68996(図2)
【特許文献2】
特開2001−28514(図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の温度補正装置は、以上のように構成されているが、D/A変換器で、ある温度に対する補正のための電圧波形を生成する際に、一定のサンプリング間隔でデータが入力されるため、量子誤差の発生を考慮しなければならない。したがって、高精度の補正を行うには高ビット化の処理が要求され、D/Aデータ量が増大し、またD/A変換器として高ビットのものを用いることで、コストアップにつながっていた。また、特許文献2の記載のように、補正計算によりD/Aデータを算出しても、実際にはD/A変換器の分解能との関係があり、最小分解能である1LSB(Least Significant Bit :最下位ビット)の量子化誤差が発生するなどの課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、ビット数の低いD/A変換器を用いて量子化誤差の発生を抑えて高精度の補正を行い、かつ低価格の温度補正処理を実現する温度補正装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る温度補正装置は、異なる温度に対して被補正装置で要求されるそれぞれの補正電圧の実測波形をD/A変換の最小分解能の正の整数倍の間隔で区分けし、実測波形の各区分け点から電圧値を表わす電圧デジタル値と当該電圧デジタル値に対応した時刻とを求め、求めた電圧デジタル値と時刻からなる複数の対を補正データとして温度毎に生成し、各温度毎の補正データをそれぞれの温度を表わすアドレスと対応させて予め格納しておくメモリと、被補正装置の周囲温度を検出して検出電圧を取り出す温度センサ手段と、この検出電圧をA/D変換して温度を表す検出アドレスを得るA/D変換手段と、得られた検出アドレスを基に補正データを前記メモリから読み出し、当該検出アドレスが要求する補正電圧に関する電圧デジタル値とその時刻を補正データから抽出または算出し、得られた電圧デジタル値をその対応する時刻に合わせて順次出力する処理手段と、出力された電圧デジタル値をD/A変換して前記被補正装置に与える補正電圧として生成するD/A変換手段とを備えたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の各実施の形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による温度補正装置の回路構成を示すブロック図であり、図において、被補正装置31は周囲温度に依存して正規の動作が影響を受けやすい回路である。温度補正装置は、次の構成を持ち、周囲温度の変化に対応して被補正装置31で要求される補正電圧を生成する。この補正電圧は、温度補正装置のD/A変換により生成され、例えば図2に示すようにD/A変換の時刻間隔が不等な電圧波形1を有している。2はD/A変換の1LSB毎に目盛りを施した電圧軸、3は時間軸である。
【0009】
温度センサ(温度センサ手段)32は、被補正装置31に外周に配置され、その周囲温度を検出して検出電圧を取り出し、A/D変換器(A/D変換手段)33に与える。A/D変換器33は、この検出電圧をデジタルデータに変換する。このデータは温度を表す検出アドレスとして処理部(処理手段)35に与えられる。処理部35はマイクロコンピュータで構成され、後述する動作を行うために、読み出し部3511と電圧デジタル値出力部(電圧デジタル値出力手段)3521を有する。
【0010】
メモリ34には、次のようにして、予め設定されたデータが格納される。図3は補正電圧の実測波形をデジタルデータに変換する方法を示す説明図である。各点9は、ある周囲温度において被補正装置で要求される補正電圧を時刻方向に等間隔で実測した電圧値を表す。これらの実測電圧値の隣り合う2点間を直線10で順次結んで観測領域の電圧波形を形成する。この補正電圧の波形をD/A変換のLSBの間隔で区分けし、各区分け点(区分け線と波形の交点)の電圧v1,v2,…,vnを所定のビット数(例えば、8ビット)のデジタルデータにD/A変換し、電圧デジタル値d1,d2,…,dnを得る。また、電圧デジタル値を取り出した各交点の時刻t1,t2,…,tnをデータとして取り出す。次に、電圧デジタル値d1,d2,…,dnとそれに対応する各時刻t1,t2,…,tnとの対(d1,t1)、(d2,t2),…,(dn,tn)をつくり、全体を1つの補正データにして、その組にアドレスを付けてメモリ34に格納する。このアドレスは温度を示すデータであって、温度センサ32による検出温度を表わすA/D変換器33の検出アドレスと同種のデータである。
図3は、ある1つの温度に対する補正電圧の実測波形について説明したものであるが、メモリ34には、他の異なる温度に対する実測波形から、同様に各補正データがそれぞれ生成され、各アドレスが付けられて格納されるものとする。
【0011】
処理部35において、読み出し部3511は、入力された検出アドレスに基づいて、メモリ34からその検出アドレスに対応する補正データを読み出し、電圧デジタル値出力部3521に渡す。電圧デジタル値出力部3521は、受け取った補正データの電圧デジタル値d1,d2,…,dnをその対応する時刻t1,t2,…,tnに合わせてD/A変換器36へ順次出力する。これらの電圧デジタル値は、D/A変換器36でD/A変換され、ノイズ除去用のローパスフィルタ(LPF)37および滑らかなアナログ波形整形する波形出力部38を介して図2に示されるような補正電圧として生成される。生成された補正電圧は、被補正装置31に与えられ、その動作に対する温度補償を行う。なお、D/A変換器36、ローパスフィルタ37および波形出力部38で、この発明のD/A変換手段を構成するものとする。
【0012】
一例として、処理部35として使用するマイクロコンピュータの動作クロックを5MHzとし、D/A変換を8bit、D/A変換の最大電圧を5V振幅とすると、D/A変換のセトリングタイム(settling time)は一定値と見なせるため、1LSB=5V/28 =5000mV/256=19.53mV、隣り合う電圧デジタル値dn同志の時間間隔の最小値を200nsとして制御することが可能となる。
この方法で生成された電圧データは、D/A変換時のLSB毎の量子化誤差は0となるため、高精度な出力波形を得ることが可能となる。例えば、8bitのD/A変換器を用いた場合には、10bitのD/A変換器に匹敵する精度を有する波形を得ることが可能である。
【0013】
以上のように、実施の形態1によれば、メモリ34に、異なる温度に対して被補正装置で要求されるそれぞれの補正電圧の実測波形をD/A変換の最小分解能(LSB)の間隔で区分けし、実測波形の各区分け点から電圧値を表わす電圧デジタル値と当該電圧デジタル値に対応した時刻とを求め、求めた電圧デジタル値と時刻からなる複数の対を補正データとして温度毎に生成し、各温度毎の補正データをそれぞれの温度を表わすアドレスと対応させて予め格納しておき、処理部35において、検出アドレスを基に当該検出アドレスに対応する補正データを読み出し、読み出した当該補正データの電圧デジタル値をその対応する時刻に合わせて順次出力することで、D/A変換器36等で電圧波形を生成するようにしたので、ビット数の低いD/A変換器を用いて量子化誤差の発生を抑えて高精度の補正を行うことができ、また、データ量の低減が図れるため、使用するメモリ、マイクロコンピュータ、D/A変換器等など経済性に優れた温度補正処理装置を実現する効果が得られる。
【0014】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2による温度補正装置の処理部の構成を示すブロック図、図5は実施の形態2に係る補正電圧の実測波形をデジタルデータに変換する方法を示す説明図である。この実施の形態2では、メモリ34に予め格納する補正データとして、2つの温度T1、T2に関する組だけを用いた場合の温度補正装置について述べる。
【0015】
図5に示された温度T1の補正電圧の実測波形11と温度T2の補正電圧の実測波形12について、実施の形態1で説明した方法によりそれぞれの補正データを生成し、メモリ34に格納しておく。すなわち、温度T1の組の電圧デジタル値と時刻の対は、(d11,t11)、(d12,t12),…,(d1n,t1n)となり、また温度T2の組の電圧デジタル値と時刻の対は、(d21,t21)、(d22,t22),…,(d2n,t2n)となる。これらに温度T1,T2のそれぞれのアドレスを対応させて格納しておく。
【0016】
温度センサ32が温度Tc(ただし、T1<Tc<T2またはTc=T1またはTc=T2)を検出した場合、その検出電圧をA/D変換した検出アドレスが処理部35に与えられる。読み出し部(読み出し手段)3512は、この検出アドレスに基づいて2つの温度T1,T2の組のデータを読み出す。係数算出部(係数算出手段)353は、読み出された2つの温度T1,T2の組のアドレスと検出アドレスとから、検出アドレスが示す温度の温度差比率を温度補正係数として算出する。
ここで、温度Tcの温度補正係数をaとすると、温度T1,T2からの線形近似式により、
a=(T1−Tc)/(T1−T2)
として求めることができる。ただし、この係数aは温度T1,T2に対し温度Tcの比率がa:(1−a)となっている場合である。
【0017】
次に、時刻算出部(時刻算出手段)354は、2つの補正データで同じ電圧値を示す電圧デジタル値d1n、d2n(ただし、この場合d1n=d2nである)に対応する各時刻t1n,t2nと係数aとから、温度Tcの電圧デジタル値dcn(ただし、dcn=d1n=d2nである)を出力する時刻tcnを算出する。D/A変換するための時間軸上での出力時刻tcnは、線形近似を用いることにより、
tcn=(1−a)×t1n+a×t2n(ただし、n>1)
となる。
このような方法で順次算出した時刻tc1,tc2,…,tcnと電圧デジタル値dc1,dc2,…,dcnは電圧デジタル値出力部(電圧デジタル値出力手段)3522に与えられる。電圧デジタル値出力部3522は、各出力時刻に従って対応する電圧デジタル値を、検出アドレスが要求する電圧デジタル値としてD/A変換器36に対して順次出力する。D/A変換器36でD/A変換され、ローパスフィルタ37、波形出力部38を介して得られる温度Tcに対する補正電圧の波形13は、図5に示されるように、2つの温度T1,T2の電圧波形11,12との関係を持つことになる。したがって、温度補正して得られた任意の電圧波形に対しても、D/A変換において常に量子化誤差を0とすることができ、高精度な出力波形を得ることが可能である。
【0018】
以上のように、実施の形態2によれば、メモリ34には、実施の形態1と同じ方法で生成した2つの異なる温度T1,T2の補正データを予め格納しておき、処理部35が、検出アドレスを基に2つの温度T1,T2の補正データを読み出し、読み出した2つの補正データのアドレスと検出アドレスとから当該検出アドレスが示す温度の温度差比率を算出し、2つの補正データの同じ電圧値を示す電圧デジタル値に対応する各時刻と温度差比率とからD/A変換する出力時刻を算出し、算出された出力時刻に従って同じ電圧値の電圧デジタル値を検出アドレスが要求する電圧デジタル値として順次出力するようにしたので、ビット数の低いD/A変換器を用いて量子化誤差の発生を抑えて高精度の補正を行うことができ、また、データ量の低減が図れるため、メモリ、マイクロコンピュータ、D/A変換器等などに低価格なものを使用して温度補正装置を実現できる効果が得られる。さらに、この実施の形態2では、予め格納した2つの異なる温度T1,T2の組のデータだけを用いて、その中間の検出温度に対応できる補正電圧を得るようにしているが、これは、被補正装置31の設置される温度領域が狭く、予めその温度上下値が分っている場合に適用して有効であり、その結果として、メモリに格納するデータ量も少なく抑える効果が得られる。
【0019】
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3による温度補正装置の処理部の構成を示すブロック図、図7は実施の形態3に係る補正電圧の実測波形をデジタルデータに変換する方法を示す説明図である。この実施の形態3では、メモリ34に予め格納する補正データとして、複数の温度T1〜Tm(m>3で、mは補正電圧の実測波形の個数)の補正データを用いる温度補正装置について述べる。
図7において、21,22,23はそれぞれ温度T1,T2,Tmの補正電圧の実測波形、24および25は各々温度Tp(ただし、p=1,…,m)、温度Tp+1の補正電圧の実測波形である。26は温度センサ32が検出した温度Tcで要求される補正電圧の波形を示す。図から分るように、温度Tp,Tp+1(Tp<Tc<Tp+1またはTc=TpまたはTp+1)は、温度Tcに最も近く隣り合う位置にある補正電圧の実測波形であることを意味する。
【0020】
図6において、処理部35に温度Tcの検出アドレスが到来すると、温度検索部(温度検索手段)355は、検出アドレスに基づいてメモリ34内の複数のアドレスから、当該検出アドレスが示す温度Tcに対して最も近くに隣り合う温度Tp,Tp+1を示す2つのアドレスを検索する。検索された2つのアドレスを基に、読み出し部(読み出し手段)3513は、2つのアドレスに対応する温度Tp,Tp+1の補正データをメモリ34から読み出す。係数算出部353は、読み出した2つの温度Tp,Tp+1の補正データのアドレスと検出アドレスとから、実施の形態2と同様な方法により、検出アドレスが示す温度Tcの温度差比率
a=(Tp−Tc)/(Tp−Tp+1)
を算出する。
【0021】
次に、時刻算出部354において、2つの温度Tp,Tp+1の組の同じ電圧値を示す電圧デジタル値に対応する各時刻tp1,tp2,…,tpnと温度差比率aとからD/A変換するための出力時刻tc1,tc2,…,tcnを下記の式から算出する。
tci=(1−a)×tpi+a×ti+1 (i=1,2,…,n)
電圧デジタル値出力部3522は、算出された出力時刻tc1,tc2,…,tcnに従って同じ電圧値の電圧デジタル値dc1,dc2,…,dcnを、検出アドレスが要求する電圧デジタル値として順次出力する。D/A変換器36でD/A変換され、ローパスフィルタ37、波形出力部38を介して得られる温度Tcに対する補正電圧の波形は、図7の26で示されるように2つの温度Tp,Tp+1の電圧波形24,25との関係を持つことになる。このように補正電圧の実測波形のデータを予め多く用意しておくことで、中間に位置する検出温度に対しても補正電圧を生成でき、高精度な温度補正を行うことができる。また、補正後の任意の電圧波形に対しても常に量子化誤差を0とすることができるため、高精度な出力波形を得ることが可能である。
【0022】
以上のように、実施の形態3によれば、メモリ34には、実施の形態1と同じ方法で生成した複数の補正データを予め格納しておき、処理部35が、検出アドレスを基にメモリ内の複数のアドレスから、当該検出アドレスが示す温度に対して最も近くに隣り合う温度を示す2つのアドレスを検索し、検索された2つのアドレスを基に当該2つのアドレスに対応する補正データを読み出し、読み出した2つの補正データのアドレスと検出アドレスとから当該検出アドレスが示す温度の温度差比率を算出し、2つの補正データの同じ電圧値を示す電圧デジタル値に対応する各時刻と前記温度差比率とからD/A変換する出力時刻を算出し、算出された出力時刻に従って同じ電圧値の電圧デジタル値を当該検出アドレスが要求する電圧デジタル値としてD/A変換器36に順次出力するようにしたので、温度補正を行うための電圧波形のデータを予め多く用意することで、高精度な温度補正を行うことができる。また、ビット数の低いD/A変換器を用いて補正後の任意の電圧波形に対しても常に量子化誤差を0とすることで、高精度な出力波形を得る効果が得られる。さらに、データ量の低減が図れるため、使用するメモリ、マイクロコンピュータ、D/A変換器等など経済性に優れた温度補正処理装置を実現する効果が得られる。
【0023】
なお、これまで述べた実施の形態1乃至3では、実測電圧波形をデジタルデータ化する際にLSB単位で区分けしたが、この区分けの幅は、LSBの正の整数倍としてもよく、そのことによって、同様な効果が期待できることは理解できるであろう。
【0024】
実施の形態4.
昨今、高度交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)の開発が進められているが、その中に車間距離等を測るための車載レーダがある。この車載レーダとして有望視されているミリ波レーダに、FM−CW(Frequency Modulation Continuous Wave:周波数変調連続波)レーダがある。このFM−CWレーダは、電圧制御発振器(VCO)に予め設定した特定の周期で三角波やのこぎり波電圧を与えて送信波を周波数変調させ、物体からの反射波と送信波の一部をミキシングすることで、距離と速度成分を含んだビート信号を得ることができる。ビート信号を得るまでの高周波回路およびデータ処理が比較的単純であり、かつ距離・速度信号を直接得ることが可能なため車載レーダに適している。しかし、車載という過酷な条件からして、用いられる電圧制御発振器は温度による影響を受けやすい。
【0025】
実施の形態1乃至実施の形態3で説明した温度補正装置は、被補正装置31を電圧制御発振器とし、その電圧制御発振器に与える三角波やのこぎり波の補正電圧を生成する装置とすることで、FM−CWレーダの送信波の温度補正に適用できる。したがって、この発明の温度補正装置を用いたFM−CWレーダは、高性能でかつ経済性が要求される車載製品に適している。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ビット数の低いデジタルデータを用いて精度の高い温度補正処理を行うことが可能となり、また、温度補正処理を施した後も量子化誤差を抑制することが可能なため、精度の高い温度補正処理を行える効果がある。また、結果として低価格なD/A変換器を用いて構成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による温度補正装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1の動作に係る補正電圧の波形を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る補正電圧の実測波形をデジタルデータに変換する方法を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2による温度補正装置の回路構成の一部を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る補正電圧の実測波形をデジタルデータに変換する方法を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態3による温度補正装置の回路構成の一部を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る補正電圧の実測波形をデジタルデータに変換する方法を示す説明図である。
【符号の説明】
31 被補正装置、32 温度センサ、33 A/D変換器、34 メモリ、36 D/A変換器、37 ローパスフィルタ(LPF)、38 波形出力部、353 係数算出部、354 時刻算出部、355 温度検索部、3511,3512,3513 読み出し部、3521,3522 電圧デジタル値出力部。
Claims (4)
- 異なる温度に対して被補正装置で要求されるそれぞれの補正電圧の実測波形をD/A変換の最小分解能の正の整数倍の間隔で区分けし、実測波形の各区分け点から電圧値を表わす電圧デジタル値と当該電圧デジタル値に対応した時刻とを求め、求めた電圧デジタル値と時刻からなる複数の対を補正データとして温度毎に生成し、各温度毎の補正データをそれぞれの温度を表わすアドレスと対応させて予め格納しておくメモリと、
前記被補正装置の周囲温度を検出して検出電圧を取り出す温度センサ手段と、
この検出電圧をA/D変換して温度を表す検出アドレスを得るA/D変換手段と、
得られた検出アドレスを基に補正データを前記メモリから読み出し、当該検出アドレスが要求する補正電圧に関する電圧デジタル値とその時刻を前記補正データから抽出または算出し、得られた電圧デジタル値をその対応する時刻に合わせて順次出力する処理手段と、
出力された電圧デジタル値をD/A変換して前記被補正装置に与える補正電圧として生成するD/A変換手段とを備えた温度補正装置。 - メモリが、2つの異なる温度毎の補正データを予め格納しており、
処理手段が、
検出アドレスを基に前記2つの温度毎の補正データを読み出す読み出し手段と、
読み出した前記2つの補正データのアドレスと前記検出アドレスとから前記検出アドレスが示す温度の温度差比率を算出する係数算出手段と、
前記2つの補正データの同じ電圧値を示す電圧デジタル値に対応する各時刻と前記温度差比率とからD/A変換する出力時刻を算出する時刻算出手段と、
算出された出力時刻に従って前記同じ電圧値の電圧デジタル値を前記検出アドレスが要求する電圧デジタル値として順次出力する電圧デジタル値出力手段とを有したことを特徴とする請求項1記載の温度補正装置。 - メモリが、複数の温度毎の補正データを予め格納しており、
処理手段が、
検出アドレスを基に前記メモリ内の複数のアドレスから、当該検出アドレスが示す温度に対して最も近くに隣り合う温度を示す2つのアドレスを検索する温度検索手段と、
検索された2つのアドレスを基に当該2つのアドレスに対応する補正データを読み出す読み出し手段と、
読み出した前記2つの補正データのアドレスと前記検出アドレスとから前記検出アドレスが示す温度の温度差比率を算出する係数算出手段と、
前記2つ補正データの同じ電圧値を示す電圧デジタル値に対応する各時刻と前記温度差比率とからD/A変換する出力時刻を算出する時刻算出手段と、
算出された出力時刻に従って前記同じ電圧値の電圧デジタル値を前記検出アドレスが要求する電圧デジタル値として順次出力する電圧デジタル値出力手段とを有したことを特徴とする請求項1記載の温度補正装置。 - 周波数変調連続波レーダの送信波を三角波やのこぎり波で変調する電圧制御発振器を被補正装置とし、当該三角波やのこぎり波の補正電圧を得るようにしたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の温度補正装置。
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