JP2004162882A - 駆動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シール部材の耐用期間を延ばして等速自在継手の耐久信頼性を向上させ得るロール駆動力伝達装置を提供することにある。
【解決手段】内周面に複数のトラック溝を有する外側継手部材50と、外周面に複数のトラック溝を有する内側継手部材51と、両トラック溝で形成された複数のトラックにそれぞれ配されたトルク伝達ボール52と、このボール52を円周方向等間隔に保持する保持器53とを備えた一対の等速自在継手40を、駆動源またはロールと中間軸9との間に着脱可能に介装すると共に、外側継手部材50と内側継手部材51間の環状空間を密封するシール部材54,56,61を配設したロール駆動力伝達装置であって、前記等速自在継手40の外側継手部材50の外径に球面リング66を設け、中間軸側から延びる円筒状カバー64を球面リング66の外径面に当接させる。
【選択図】 図3
【解決手段】内周面に複数のトラック溝を有する外側継手部材50と、外周面に複数のトラック溝を有する内側継手部材51と、両トラック溝で形成された複数のトラックにそれぞれ配されたトルク伝達ボール52と、このボール52を円周方向等間隔に保持する保持器53とを備えた一対の等速自在継手40を、駆動源またはロールと中間軸9との間に着脱可能に介装すると共に、外側継手部材50と内側継手部材51間の環状空間を密封するシール部材54,56,61を配設したロール駆動力伝達装置であって、前記等速自在継手40の外側継手部材50の外径に球面リング66を設け、中間軸側から延びる円筒状カバー64を球面リング66の外径面に当接させる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は駆動力伝達装置に関し、例えば鉄鋼設備などにおいて劣悪雰囲気下でのロール駆動に使用される等速自在継手を具備した駆動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、連続鋳造設備(CCM)などの鉄鋼設備では、各種ロールに駆動力を伝達するため、等速自在継手を用いたロール駆動力伝達装置が設置されている。
【0003】
図10はマンネスマン方式の連続鋳造設備を示す概略構成図である。同図の連続鋳造設備では、サポートロール1、ガイドロール2および引き抜き矯正用ピンチロール3が所定ポジションに配設されており、これらサポートロール1、ガイドロール2およびピンチロール3に駆動力を伝達するためにロール駆動力伝達装置が使用されている。
【0004】
図11は等速自在継手を用いた一対のロール駆動力伝達装置の一例を示す。このロール駆動力伝達装置は、一対のロール4(例えば図10のピンチロール3)を所定の間隔寸法で対向配置し、それぞれのロール4の回転軸5を軸受6により回転自在に支持する。ロール4の回転軸5は、取り付けフランジ7および等速自在継手8を介して中間軸9に連結され、その中間軸9は、等速自在継手10および取り付けフランジ11を介して駆動軸12に連結されている。なお、中間軸9は、ロール4が配置された劣悪雰囲気下のロール加工域Aと駆動軸12が配置された駆動域Bとを仕切るチャンバ13に設けられた孔14に挿通されている。
【0005】
このロール駆動力伝達装置では、両駆動軸12を同期させて逆方向に回転駆動すると、等速自在継手10を介して中間軸9が回転し、その中間軸9の回転により等速自在継手8を介して回転軸5が回転する。この回転軸5の回転によりロール4が回転し、そのロール4間で鋳造品15が成形あるいは残留応力矯正されながら連続的に移送される。
【0006】
図12に示すように取り付けフランジ7と等速自在継手8、および等速自在継手8と中間軸9はそれぞれ一体的に連結されている。また、中間軸9と等速自在継手10、および等速自在継手10と取り付けフランジ11はそれぞれ一体的に連結されている。
【0007】
等速自在継手10は、図13に示すように外側継手部材20、内側継手部材21、トルク伝達ボール22および保持器23を具備し、中間軸9と等速自在継手10の内側継手部材21とが溶接部18で一体的に連結され、等速自在継手10の外側継手部材20と取り付けフランジ11とが溶接部19で一体的に連結されている。外側継手部材20には、シール取り付け部材24がボルト25により取り付けられ、このシール取り付け部材24と内側継手部材21とに跨ってゴムまたは樹脂製ブーツ26が装着されている。ブーツ26の両端は、ブーツバンド27によりシール取り付け部材24と内側継手部材21にそれぞれ固定され、このブーツ26により等速自在継手10内の潤滑剤の外部への漏洩と異物の侵入を未然に防止している(例えば非特許文献1参照)。
【0008】
【非特許文献1】
カタログ:「NTN等速ボールジョイント(産業機械用)」、CAT.NO1308−II、p.134−135、1992年8月2日発行
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、連続鋳造設備(CCM)などの鉄鋼設備におけるロール駆動力伝達装置は、80℃以上の輻射熱、水蒸気による高温多湿、スケールの飛散、薬品類などによる劣悪な雰囲気下で使用されるため、ゴム(CR)、シリコン、フッ素樹脂などからなるブーツ26からなるシール部材が劣化しやすく、シール性能および耐久性能の低下を招来する。
【0010】
そのため、ブーツ交換などを定期的に行う保守管理が必要である。等速自在継手8,10では、ブーツ26の交換に、取り外し、分解、部品交換、組立および取り付けからなる一連の作業が必要である。この作業は煩雑であるばかりでなく、その交換作業中、連続鋳造設備の運転を停止しなければならないので、設備稼働率が低下するという問題があり、このような保守点検や部品交換作業を簡略化して設備停止時間を短縮することが要求されている。
【0011】
また、万一、等速自在継手8,10や中間軸9が損傷した場合、等速自在継手8,10と中間軸9とがそれぞれ一体的な溶接により連結されているため、等速自在継手8,10と中間軸9とを一体物として交換しなければならず、交換費用が嵩むという問題もあった。
【0012】
この問題を解消するため、等速自在継手8,10または中間軸9のいずれかが損傷した場合、等速自在継手8,10または中間軸9のみを短時間で交換可能にし、劣悪な雰囲気下での使用でもシール性能および耐久性能の低下を抑制し得るロール駆動力伝達装置を、本出願人は先に提案している(特願2001−143666号)。
【0013】
このロール駆動力伝達装置では、等速自在継手と中間軸とを取り付けフランジを介して連結し、その取り付けフランジのボルト締結でもって着脱可能としている。これにより、等速自在継手または中間軸のいずれかが損傷した場合でも、その損傷した等速自在継手または中間軸のみを取り外して交換できるため、ロール駆動力伝達装置の保守が容易になる。しかも、その交換作業を従来と比較して著しく短時間で行えるため、交換保守作業中の設備停止時間を短縮できて、設備稼働率を向上させることができる。
【0014】
また、等速自在継手の外側継手部材と内側継手部材間の環状空間を密封するシール部材を二重構造としている。この二重構造のシール部材のうち、内側シール部材に金属メカニカルシールあるいは樹脂ブーツを使用し、外側シール部材に縫製蛇腹を使用している。このようなシール部材の二重構造により、前述の交換作業および保守点検作業の簡略化が図れるのみならず、内側シール部材により潤滑剤の漏洩が防止され、外側シール部材により内側シール部材が劣悪な雰囲気から保護される。
【0015】
しかしながら、シール部材を二重構造としても、万一、外側シール部材が損傷すると、内側シール部材が金属メカニカルシールの場合、シール部分の腐食や摺動部分に異物が噛み込んだりする問題があり、また、内側シール部材がゴムまたは樹脂ブーツの場合、そのブーツが直接的に熱影響を受けることになってゴムまたは樹脂の硬化劣化などを招来する問題がある。このロール駆動力伝達装置の実機テストを行った結果、外側シール部材が劣悪な雰囲気下に晒されていることもあって、6ヶ月程度で交換しなければならないというのが現状であり、更なる耐久信頼性の向上が要望されていた。
【0016】
そこで、本発明は前記問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、シール部材の耐用期間を延ばして等速自在継手の耐久信頼性を向上させ得る駆動力伝達装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための技術的手段として、本発明は、二軸の交差角が変化してもその二軸間で回転力を伝達し得る自在軸継手を前記二軸間に着脱可能に介装すると共に、前記自在軸継手と少なくとも一方の軸との間を密封するシール部材を配設した駆動力伝達装置であって、前記自在軸継手の一方の軸側の外径に球面リングを設け、前記自在軸継手の他方の軸側から延びる円筒状カバーを前記球面リングの外径面に当接させたことを特徴とする。
【0018】
本発明における前記構成では、二軸を連結する自在軸継手の一方の軸側の外径に球面リングを設け、前記自在軸継手の他方の軸側から延びる円筒状カバーを球面リングの外径面に当接させたことにより、前記円筒状カバーでもってシール部材を被覆する。これにより、シール部材を劣悪な雰囲気から保護することができ、そのシール部材の耐用期間を引き延ばすことができて部品交換などのメンテナンス作業を簡略化できる。
【0019】
本発明における前記構成において、前記円筒状カバーを一方の軸側と他方の軸側で分割し、その分割端部間に蛇腹状カバーを介装した構造とすることが望ましい。このようにすれば、蛇腹状カバーが有する可撓性により、二軸間で交差角をなす際の自在軸継手の動作を妨げることがなく、その自在軸継手が大きな作動角をとる時には特に有効である。また、蛇腹状カバーにより、各構成部品の精度誤差や相互の組み合わせ誤差を吸収することが可能となる。
【0020】
本発明における前記構成では、前記シール部材は、蛇腹構造あるいはメカニカルシール構造のいずれかとすることが望ましい。シール部材を蛇腹構造とすれば、そのシール部材が伸縮性および屈曲性を有することから、自在軸継手が作動角をとる際の動作を妨げることがなく、その自在軸継手が大きな作動角をとる時には特に有効である。また、シール部材をメカニカルシール構造とすれば、そのメカニカルシール構造が高いシール性を有することから、自在軸継手内からの潤滑剤の漏洩を防止することができる。
【0021】
本発明における前記構成では、前記シール部材を二重構造とすることが望ましい。このようにシール部材を二重構造とすることにより、その二重構造のシール部材と前記円筒状カバーとで三重構造となり、円筒状カバーによりシール部材を劣悪な雰囲気から保護することができる。
【0022】
なお、シール部材を二重構造とする場合、外側に位置するシール部材を蛇腹構造とし、内側に位置するシール部材をメカニカルシール構造とすることが望ましい。前述したようにシール部材を蛇腹構造とすれば、そのシール部材が伸縮性および屈曲性を有することから、自在軸継手が作動角をとる際の動作を妨げることがなく、その自在軸継手が大きな作動角をとる時には特に有効である。また、シール部材をメカニカルシール構造とすれば、そのメカニカルシール構造が高いシール性を有することから、自在軸継手内からの潤滑剤の漏洩を防止することができる。
【0023】
なお、前記自在軸継手として、内周面に複数のトラック溝を有する外側継手部材と、外周面に複数のトラック溝を有する内側継手部材と、前記両トラック溝で形成された複数のトラックにそれぞれ配されたトルク伝達ボールと、このボールを円周方向等間隔に保持する保持器とを備えた等速自在継手を使用することが可能であり、駆動軸と中間軸との間またはロールと中間軸との間の少なくともいずれか一方に着脱可能に介装することにより、ロール駆動力伝達装置として適用可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係るロール駆動力伝達装置の実施形態を以下に詳述する。この実施形態では、例えば、図10に示すマンネスマン方式の連続鋳造設備(CCM)に設置されたロール駆動力伝達装置について説明する。なお、図10乃至図13と同一部分には同一参照符号を付す。
【0025】
このロール駆動力伝達装置は、連続鋳造設備の所定ポジションに配設されたサポートロール1、ガイドロール2および引き抜き矯正用ピンチロール3に駆動力を伝達するためのもので、図1に示す構造を有する。
【0026】
同図に示すロール駆動力伝達装置は、一対のロール4(例えば図10のピンチロール3)が所定の間隔寸法で対向配置されており、それぞれのロール4の回転軸5は軸受6によって回転自在に支持されている。ロール4の回転軸5は、取り付けフランジ7および等速自在継手38を介して中間軸9に連結され、その中間軸9は、等速自在継手40および取り付けフランジ11を介して駆動軸12に連結されている。なお、中間軸9は、ロール4が配置された劣悪雰囲気下のロール加工域Aと駆動軸12が配置された駆動域Bとを仕切るチャンバ13に設けられた孔14に挿通されている。
【0027】
このロール駆動力伝達装置では、両駆動軸12を同期させて逆方向に回転駆動すると、等速自在継手40を介して中間軸9が回転し、その中間軸9の回転により等速自在継手38を介して回転軸5が回転する。この回転軸5の回転によりロール4が回転し、そのロール4間で鋳造品15が成形あるいは残留応力矯正されながら連続的に移送される。
【0028】
図2に示すように取り付けフランジ7と等速自在継手38、および等速自在継手40と取り付けフランジ11はそれぞれ一体的に連結されている。一方、等速自在継手38と中間軸9とは、取り付けフランジ41と42をボルト43で締結することにより連結され、また、中間軸9と等速自在継手40とは、取り付けフランジ44と45をボルト46で締結することにより連結されている。なお、取り付けフランジ42および44と中間軸9とは、溶接部47と48によりそれぞれ連結されている。
【0029】
この第一の実施形態における等速自在継手40は、図3に示すように内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝を有する外側継手部材50と、外周面に軸方向に延びる複数のトラック溝を有する内側継手部材51と、両トラック溝によって形成されたトラックに配された複数のトルク伝達ボール52と、これらボール52を円周方向等間隔に支持する保持器53とで構成されている。
【0030】
この等速自在継手40の外側継手部材50には、取り付けフランジ11が溶接部19にて一体的に連結されている。等速自在継手40の内側継手部材51には、取り付けフランジ45がねじ結合と取り付け部材58のボルト59による締結でもって一体的に取り付けられていると共に、Oリング60を介して金属製のメカニカルシール内環61が取り付けられている。メカニカルシール内環61は、Oリング62を介して金属製のメカニカルシール外環54と接している。メカニカルシール外環54は、ボルト55により外側継手部材50に取り付けられている。なお、内側継手部材51とメカニカルシール内環61との間にはコイルばね63が圧縮状態で介在し、このコイルばね63によりメカニカルシール内環61をメカニカルシール外環54に押し付けて高いシール性を確保している。
【0031】
メカニカルシール外環54と取り付けフランジ45とに跨って縫製蛇腹56が取り付けられ、その両端は、それぞれクランプ用バンド57によりメカニカルシール外環54および取り付けフランジ45に固定されている。縫製蛇腹56は伸縮性および屈曲性を有することから、図4に示すように等速自在継手40が作動角をとる際の動作を妨げることがなく、その等速自在継手40が大きな作動角をとる時には特に有効である。
【0032】
この縫製蛇腹56は、アルミガラス繊維クロスや炭素繊維クロス等の繊維強化プラスチックからなる外側部分と、シリコンゴムやフッ素ゴム等のエラストマーからなる内側部分の二層構造を有する。また、軸方向に所定の間隔で銅張り鋼材などからなる複数のリングを有し、軸方向に伸縮可能で、かつ、軸方向に対して傾斜可能に構成され、さらに、軸方向の一部にファスナが設けられている。
【0033】
前述のような二層構造とすることにより、外側部分が有する耐熱性でもって鋳造品からの輻射熱による潤滑剤の劣化および漏洩を防止すると共に縫製蛇腹自体の熱損傷を防止することができ、また、内側部分によって縫製蛇腹の通気性をなくして高い密閉性を確保することができる。
【0034】
このようにメカニカルシール内環61とメカニカルシール外環54で内側シール部材を構成し、縫製蛇腹56で外側シール部材を構成した二重シール構造を具備する。この内側シール部材および外側シール部材からなる二重シール構造により、等速自在継手40が作動角をとる際の動作を妨げることがない状態で、等速自在継手40からの潤滑剤の漏洩を確実に防止する。
【0035】
また、取り付けフランジ45と44のボルト締結部、例えば取り付けフランジ45と等速自在継手40の外側継手部材50とに跨ってその両者間の空間を覆うように円筒状カバー64が配置されている。その円筒状カバー64の一端は、ボルト65により取り付けフランジ45に固定され、その他端は、外側継手部材50の外径に設けられた球面リング66の外径面に当接させている。なお、球面リング66は、外側継手部材50に取り付けられたメカニカルシール外環54と止め輪67によって位置規制されて軸方向に固定されている。また、球面リング66は、継手中心Oと一致した外径中心を有し、その内径は外側継手部材50の外周面に嵌合可能なように設定されている。
【0036】
この円筒状カバー64は、耐腐食性に優れたSUS系材料が好適であるが、耐熱性を目的とする場合には機械構造用炭素鋼であってもよい。また、球面リング66は、円筒状カバー64と同様にSUS系材料が好適であるが、炭素鋼に自己潤滑性のあるテフロン(登録商標)系コーティングを施すようにしてもよい。また、耐熱性に優れたSiやフッ素系ゴム等のエラストマーを適用してもよい。
【0037】
このように等速自在継手40の外側継手部材50の外径に球面リング66を設け、取り付けフランジ45に固定された円筒状カバー64を球面リング66の外径面に当接させたことにより、その円筒状カバー64でもって、外側シール部材を構成する縫製蛇腹56を被覆する。このように二重構造の内外側シール部材と円筒状カバー64とで三重構造となることから、縫製蛇腹56を劣悪な雰囲気から保護することができ、その縫製蛇腹56の耐用期間を引き延ばすことができる。
【0038】
このロール駆動力伝達装置では、中間軸9と等速自在継手40とが、取り付けフランジ44と45をボルト46で締結することにより着脱可能に連結されているので、保守点検時は、円筒状カバー64を取り外した上で、クランプ用バンド57のいずれか一方のみを取り外して、縫製蛇腹56を収縮させることで内部の潤滑剤の漏洩の有無を確認できるので、点検作業が著しく容易になる。
【0039】
さらに、この等速自在継手40および中間軸9の一部が損傷した場合は、円筒状カバー64を取り外した上で、ボルト46を取り外して取り付けフランジ45から取り付けフランジ44を分離し、クランプ用バンド57を取り外して縫製蛇腹56を取り外し、また、ボルト59を取り外して取り付け部材58を取り外し、さらに、ボルト55を取り外してメカニカルシール外環54、メカニカルシール内環61を取り外すことによって、損傷した等速自在継手40または中間軸9のみを交換することができる。
【0040】
なお、この等速自在継手40は、その継手中心Oから軸方向等距離の位置に保持器53の内径中心O’と、保持器53の外径中心O’’を有するダブルオフセット構造を有する。また、継手中心Oから、メカニカルシール内環61の外周面半径およびメカニカルシール外環54の内周面半径が設定されている。
【0041】
以上で説明した第一の実施形態以外に、図5に示す第二の実施形態のように円筒状カバー64a,64bを外側継手部材側と中間軸側で分割し、その分割端部間にSUS製蛇腹状カバー68を介装した構造としてもよい。このようにすれば、蛇腹状カバー68が有する可撓性により、等速自在継手40が作動角をとる際の動作を妨げることがなく、その等速自在継手40が大きな作動角をとる時には特に有効である。また、この蛇腹状カバー68により、各構成部品の精度誤差や相互の組み合わせ誤差を吸収することが可能となる。
【0042】
なお、本発明は第一、第二の実施形態に限定されるものではなく、図6に示す第三の実施形態のように縫製蛇腹56の代わりにゴムまたは樹脂ブーツ26を使用することも可能である。また、図7に示す第四の実施形態のように図6のゴムまたは樹脂ブーツ26を省略したり、図8に示す第五の実施形態のように図6のメカニカルシール外環54およびメカニカルシール内環61を省略して円筒状カバー64との二重構造とすることも可能である。なお、図9に示す第六の実施形態のように固定型等速自在継手40’(ツェパー型等速自在継手:BJ)にも適用可能である。この等速自在継手40’では、外側継手部材50’に装着された金属製の円筒状ブーツアダプタ70と、内側継手部材51’にトルク伝達可能に嵌合し、取り付けフランジ45’に一体化したシャフト部分に装着された金属製の円筒状ブーツアダプタ71との間にブーツ26’が接着一体成形または加硫一体成形されたものを取り付けることによりシール部材として構成されている。
【0043】
なお、前記実施形態では、自在軸継手として、前述の等速自在継手を使用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、トリポード型などの他の等速自在継手や、十字ジョイントなどの不等速自在継手を含む他の自在軸継手に適用可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、自在軸継手の一方の軸側の外径に球面リングを設け、前記自在軸継手の他方の軸側から延びる円筒状カバーを球面リングの外径面に当接させたことにより、前記円筒状カバーでもってシール部材を被覆することができるので、シール部材を劣悪な雰囲気から保護することができ、そのシール部材の耐用期間を引き延ばすことができて部品交換などのメンテナンス作業を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の主要部を示す一部断面部分を含む正面図である。
【図2】図1のロール駆動力伝達装置の部分拡大断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【図4】図3の等速自在継手が作動角をとった状態を示す要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第三の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【図7】本発明の第四の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第五の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【図9】本発明の第六の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【図10】鉄鋼設備の一種である連続鋳造設備の一例を示す概略構成図である。
【図11】従来のロール駆動力伝達装置の主要部を示す一部断面部分を含む正面図である。
【図12】図11のロール駆動力伝達装置の部分拡大断面図である。
【図13】従来のロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
4 ロール
9 中間軸
38,40 等速自在継手
50 外側継手部材
51 内側継手部材
52 トルク伝達ボール
53 保持器
54 シール部材(メカニカルシール外環)
56 シール部材(縫製蛇腹)
61 シール部材(メカニカルシール内環)
64 円筒状カバー
66 球面リング
68 蛇腹状カバー
【発明の属する技術分野】
本発明は駆動力伝達装置に関し、例えば鉄鋼設備などにおいて劣悪雰囲気下でのロール駆動に使用される等速自在継手を具備した駆動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、連続鋳造設備(CCM)などの鉄鋼設備では、各種ロールに駆動力を伝達するため、等速自在継手を用いたロール駆動力伝達装置が設置されている。
【0003】
図10はマンネスマン方式の連続鋳造設備を示す概略構成図である。同図の連続鋳造設備では、サポートロール1、ガイドロール2および引き抜き矯正用ピンチロール3が所定ポジションに配設されており、これらサポートロール1、ガイドロール2およびピンチロール3に駆動力を伝達するためにロール駆動力伝達装置が使用されている。
【0004】
図11は等速自在継手を用いた一対のロール駆動力伝達装置の一例を示す。このロール駆動力伝達装置は、一対のロール4(例えば図10のピンチロール3)を所定の間隔寸法で対向配置し、それぞれのロール4の回転軸5を軸受6により回転自在に支持する。ロール4の回転軸5は、取り付けフランジ7および等速自在継手8を介して中間軸9に連結され、その中間軸9は、等速自在継手10および取り付けフランジ11を介して駆動軸12に連結されている。なお、中間軸9は、ロール4が配置された劣悪雰囲気下のロール加工域Aと駆動軸12が配置された駆動域Bとを仕切るチャンバ13に設けられた孔14に挿通されている。
【0005】
このロール駆動力伝達装置では、両駆動軸12を同期させて逆方向に回転駆動すると、等速自在継手10を介して中間軸9が回転し、その中間軸9の回転により等速自在継手8を介して回転軸5が回転する。この回転軸5の回転によりロール4が回転し、そのロール4間で鋳造品15が成形あるいは残留応力矯正されながら連続的に移送される。
【0006】
図12に示すように取り付けフランジ7と等速自在継手8、および等速自在継手8と中間軸9はそれぞれ一体的に連結されている。また、中間軸9と等速自在継手10、および等速自在継手10と取り付けフランジ11はそれぞれ一体的に連結されている。
【0007】
等速自在継手10は、図13に示すように外側継手部材20、内側継手部材21、トルク伝達ボール22および保持器23を具備し、中間軸9と等速自在継手10の内側継手部材21とが溶接部18で一体的に連結され、等速自在継手10の外側継手部材20と取り付けフランジ11とが溶接部19で一体的に連結されている。外側継手部材20には、シール取り付け部材24がボルト25により取り付けられ、このシール取り付け部材24と内側継手部材21とに跨ってゴムまたは樹脂製ブーツ26が装着されている。ブーツ26の両端は、ブーツバンド27によりシール取り付け部材24と内側継手部材21にそれぞれ固定され、このブーツ26により等速自在継手10内の潤滑剤の外部への漏洩と異物の侵入を未然に防止している(例えば非特許文献1参照)。
【0008】
【非特許文献1】
カタログ:「NTN等速ボールジョイント(産業機械用)」、CAT.NO1308−II、p.134−135、1992年8月2日発行
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、連続鋳造設備(CCM)などの鉄鋼設備におけるロール駆動力伝達装置は、80℃以上の輻射熱、水蒸気による高温多湿、スケールの飛散、薬品類などによる劣悪な雰囲気下で使用されるため、ゴム(CR)、シリコン、フッ素樹脂などからなるブーツ26からなるシール部材が劣化しやすく、シール性能および耐久性能の低下を招来する。
【0010】
そのため、ブーツ交換などを定期的に行う保守管理が必要である。等速自在継手8,10では、ブーツ26の交換に、取り外し、分解、部品交換、組立および取り付けからなる一連の作業が必要である。この作業は煩雑であるばかりでなく、その交換作業中、連続鋳造設備の運転を停止しなければならないので、設備稼働率が低下するという問題があり、このような保守点検や部品交換作業を簡略化して設備停止時間を短縮することが要求されている。
【0011】
また、万一、等速自在継手8,10や中間軸9が損傷した場合、等速自在継手8,10と中間軸9とがそれぞれ一体的な溶接により連結されているため、等速自在継手8,10と中間軸9とを一体物として交換しなければならず、交換費用が嵩むという問題もあった。
【0012】
この問題を解消するため、等速自在継手8,10または中間軸9のいずれかが損傷した場合、等速自在継手8,10または中間軸9のみを短時間で交換可能にし、劣悪な雰囲気下での使用でもシール性能および耐久性能の低下を抑制し得るロール駆動力伝達装置を、本出願人は先に提案している(特願2001−143666号)。
【0013】
このロール駆動力伝達装置では、等速自在継手と中間軸とを取り付けフランジを介して連結し、その取り付けフランジのボルト締結でもって着脱可能としている。これにより、等速自在継手または中間軸のいずれかが損傷した場合でも、その損傷した等速自在継手または中間軸のみを取り外して交換できるため、ロール駆動力伝達装置の保守が容易になる。しかも、その交換作業を従来と比較して著しく短時間で行えるため、交換保守作業中の設備停止時間を短縮できて、設備稼働率を向上させることができる。
【0014】
また、等速自在継手の外側継手部材と内側継手部材間の環状空間を密封するシール部材を二重構造としている。この二重構造のシール部材のうち、内側シール部材に金属メカニカルシールあるいは樹脂ブーツを使用し、外側シール部材に縫製蛇腹を使用している。このようなシール部材の二重構造により、前述の交換作業および保守点検作業の簡略化が図れるのみならず、内側シール部材により潤滑剤の漏洩が防止され、外側シール部材により内側シール部材が劣悪な雰囲気から保護される。
【0015】
しかしながら、シール部材を二重構造としても、万一、外側シール部材が損傷すると、内側シール部材が金属メカニカルシールの場合、シール部分の腐食や摺動部分に異物が噛み込んだりする問題があり、また、内側シール部材がゴムまたは樹脂ブーツの場合、そのブーツが直接的に熱影響を受けることになってゴムまたは樹脂の硬化劣化などを招来する問題がある。このロール駆動力伝達装置の実機テストを行った結果、外側シール部材が劣悪な雰囲気下に晒されていることもあって、6ヶ月程度で交換しなければならないというのが現状であり、更なる耐久信頼性の向上が要望されていた。
【0016】
そこで、本発明は前記問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、シール部材の耐用期間を延ばして等速自在継手の耐久信頼性を向上させ得る駆動力伝達装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための技術的手段として、本発明は、二軸の交差角が変化してもその二軸間で回転力を伝達し得る自在軸継手を前記二軸間に着脱可能に介装すると共に、前記自在軸継手と少なくとも一方の軸との間を密封するシール部材を配設した駆動力伝達装置であって、前記自在軸継手の一方の軸側の外径に球面リングを設け、前記自在軸継手の他方の軸側から延びる円筒状カバーを前記球面リングの外径面に当接させたことを特徴とする。
【0018】
本発明における前記構成では、二軸を連結する自在軸継手の一方の軸側の外径に球面リングを設け、前記自在軸継手の他方の軸側から延びる円筒状カバーを球面リングの外径面に当接させたことにより、前記円筒状カバーでもってシール部材を被覆する。これにより、シール部材を劣悪な雰囲気から保護することができ、そのシール部材の耐用期間を引き延ばすことができて部品交換などのメンテナンス作業を簡略化できる。
【0019】
本発明における前記構成において、前記円筒状カバーを一方の軸側と他方の軸側で分割し、その分割端部間に蛇腹状カバーを介装した構造とすることが望ましい。このようにすれば、蛇腹状カバーが有する可撓性により、二軸間で交差角をなす際の自在軸継手の動作を妨げることがなく、その自在軸継手が大きな作動角をとる時には特に有効である。また、蛇腹状カバーにより、各構成部品の精度誤差や相互の組み合わせ誤差を吸収することが可能となる。
【0020】
本発明における前記構成では、前記シール部材は、蛇腹構造あるいはメカニカルシール構造のいずれかとすることが望ましい。シール部材を蛇腹構造とすれば、そのシール部材が伸縮性および屈曲性を有することから、自在軸継手が作動角をとる際の動作を妨げることがなく、その自在軸継手が大きな作動角をとる時には特に有効である。また、シール部材をメカニカルシール構造とすれば、そのメカニカルシール構造が高いシール性を有することから、自在軸継手内からの潤滑剤の漏洩を防止することができる。
【0021】
本発明における前記構成では、前記シール部材を二重構造とすることが望ましい。このようにシール部材を二重構造とすることにより、その二重構造のシール部材と前記円筒状カバーとで三重構造となり、円筒状カバーによりシール部材を劣悪な雰囲気から保護することができる。
【0022】
なお、シール部材を二重構造とする場合、外側に位置するシール部材を蛇腹構造とし、内側に位置するシール部材をメカニカルシール構造とすることが望ましい。前述したようにシール部材を蛇腹構造とすれば、そのシール部材が伸縮性および屈曲性を有することから、自在軸継手が作動角をとる際の動作を妨げることがなく、その自在軸継手が大きな作動角をとる時には特に有効である。また、シール部材をメカニカルシール構造とすれば、そのメカニカルシール構造が高いシール性を有することから、自在軸継手内からの潤滑剤の漏洩を防止することができる。
【0023】
なお、前記自在軸継手として、内周面に複数のトラック溝を有する外側継手部材と、外周面に複数のトラック溝を有する内側継手部材と、前記両トラック溝で形成された複数のトラックにそれぞれ配されたトルク伝達ボールと、このボールを円周方向等間隔に保持する保持器とを備えた等速自在継手を使用することが可能であり、駆動軸と中間軸との間またはロールと中間軸との間の少なくともいずれか一方に着脱可能に介装することにより、ロール駆動力伝達装置として適用可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係るロール駆動力伝達装置の実施形態を以下に詳述する。この実施形態では、例えば、図10に示すマンネスマン方式の連続鋳造設備(CCM)に設置されたロール駆動力伝達装置について説明する。なお、図10乃至図13と同一部分には同一参照符号を付す。
【0025】
このロール駆動力伝達装置は、連続鋳造設備の所定ポジションに配設されたサポートロール1、ガイドロール2および引き抜き矯正用ピンチロール3に駆動力を伝達するためのもので、図1に示す構造を有する。
【0026】
同図に示すロール駆動力伝達装置は、一対のロール4(例えば図10のピンチロール3)が所定の間隔寸法で対向配置されており、それぞれのロール4の回転軸5は軸受6によって回転自在に支持されている。ロール4の回転軸5は、取り付けフランジ7および等速自在継手38を介して中間軸9に連結され、その中間軸9は、等速自在継手40および取り付けフランジ11を介して駆動軸12に連結されている。なお、中間軸9は、ロール4が配置された劣悪雰囲気下のロール加工域Aと駆動軸12が配置された駆動域Bとを仕切るチャンバ13に設けられた孔14に挿通されている。
【0027】
このロール駆動力伝達装置では、両駆動軸12を同期させて逆方向に回転駆動すると、等速自在継手40を介して中間軸9が回転し、その中間軸9の回転により等速自在継手38を介して回転軸5が回転する。この回転軸5の回転によりロール4が回転し、そのロール4間で鋳造品15が成形あるいは残留応力矯正されながら連続的に移送される。
【0028】
図2に示すように取り付けフランジ7と等速自在継手38、および等速自在継手40と取り付けフランジ11はそれぞれ一体的に連結されている。一方、等速自在継手38と中間軸9とは、取り付けフランジ41と42をボルト43で締結することにより連結され、また、中間軸9と等速自在継手40とは、取り付けフランジ44と45をボルト46で締結することにより連結されている。なお、取り付けフランジ42および44と中間軸9とは、溶接部47と48によりそれぞれ連結されている。
【0029】
この第一の実施形態における等速自在継手40は、図3に示すように内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝を有する外側継手部材50と、外周面に軸方向に延びる複数のトラック溝を有する内側継手部材51と、両トラック溝によって形成されたトラックに配された複数のトルク伝達ボール52と、これらボール52を円周方向等間隔に支持する保持器53とで構成されている。
【0030】
この等速自在継手40の外側継手部材50には、取り付けフランジ11が溶接部19にて一体的に連結されている。等速自在継手40の内側継手部材51には、取り付けフランジ45がねじ結合と取り付け部材58のボルト59による締結でもって一体的に取り付けられていると共に、Oリング60を介して金属製のメカニカルシール内環61が取り付けられている。メカニカルシール内環61は、Oリング62を介して金属製のメカニカルシール外環54と接している。メカニカルシール外環54は、ボルト55により外側継手部材50に取り付けられている。なお、内側継手部材51とメカニカルシール内環61との間にはコイルばね63が圧縮状態で介在し、このコイルばね63によりメカニカルシール内環61をメカニカルシール外環54に押し付けて高いシール性を確保している。
【0031】
メカニカルシール外環54と取り付けフランジ45とに跨って縫製蛇腹56が取り付けられ、その両端は、それぞれクランプ用バンド57によりメカニカルシール外環54および取り付けフランジ45に固定されている。縫製蛇腹56は伸縮性および屈曲性を有することから、図4に示すように等速自在継手40が作動角をとる際の動作を妨げることがなく、その等速自在継手40が大きな作動角をとる時には特に有効である。
【0032】
この縫製蛇腹56は、アルミガラス繊維クロスや炭素繊維クロス等の繊維強化プラスチックからなる外側部分と、シリコンゴムやフッ素ゴム等のエラストマーからなる内側部分の二層構造を有する。また、軸方向に所定の間隔で銅張り鋼材などからなる複数のリングを有し、軸方向に伸縮可能で、かつ、軸方向に対して傾斜可能に構成され、さらに、軸方向の一部にファスナが設けられている。
【0033】
前述のような二層構造とすることにより、外側部分が有する耐熱性でもって鋳造品からの輻射熱による潤滑剤の劣化および漏洩を防止すると共に縫製蛇腹自体の熱損傷を防止することができ、また、内側部分によって縫製蛇腹の通気性をなくして高い密閉性を確保することができる。
【0034】
このようにメカニカルシール内環61とメカニカルシール外環54で内側シール部材を構成し、縫製蛇腹56で外側シール部材を構成した二重シール構造を具備する。この内側シール部材および外側シール部材からなる二重シール構造により、等速自在継手40が作動角をとる際の動作を妨げることがない状態で、等速自在継手40からの潤滑剤の漏洩を確実に防止する。
【0035】
また、取り付けフランジ45と44のボルト締結部、例えば取り付けフランジ45と等速自在継手40の外側継手部材50とに跨ってその両者間の空間を覆うように円筒状カバー64が配置されている。その円筒状カバー64の一端は、ボルト65により取り付けフランジ45に固定され、その他端は、外側継手部材50の外径に設けられた球面リング66の外径面に当接させている。なお、球面リング66は、外側継手部材50に取り付けられたメカニカルシール外環54と止め輪67によって位置規制されて軸方向に固定されている。また、球面リング66は、継手中心Oと一致した外径中心を有し、その内径は外側継手部材50の外周面に嵌合可能なように設定されている。
【0036】
この円筒状カバー64は、耐腐食性に優れたSUS系材料が好適であるが、耐熱性を目的とする場合には機械構造用炭素鋼であってもよい。また、球面リング66は、円筒状カバー64と同様にSUS系材料が好適であるが、炭素鋼に自己潤滑性のあるテフロン(登録商標)系コーティングを施すようにしてもよい。また、耐熱性に優れたSiやフッ素系ゴム等のエラストマーを適用してもよい。
【0037】
このように等速自在継手40の外側継手部材50の外径に球面リング66を設け、取り付けフランジ45に固定された円筒状カバー64を球面リング66の外径面に当接させたことにより、その円筒状カバー64でもって、外側シール部材を構成する縫製蛇腹56を被覆する。このように二重構造の内外側シール部材と円筒状カバー64とで三重構造となることから、縫製蛇腹56を劣悪な雰囲気から保護することができ、その縫製蛇腹56の耐用期間を引き延ばすことができる。
【0038】
このロール駆動力伝達装置では、中間軸9と等速自在継手40とが、取り付けフランジ44と45をボルト46で締結することにより着脱可能に連結されているので、保守点検時は、円筒状カバー64を取り外した上で、クランプ用バンド57のいずれか一方のみを取り外して、縫製蛇腹56を収縮させることで内部の潤滑剤の漏洩の有無を確認できるので、点検作業が著しく容易になる。
【0039】
さらに、この等速自在継手40および中間軸9の一部が損傷した場合は、円筒状カバー64を取り外した上で、ボルト46を取り外して取り付けフランジ45から取り付けフランジ44を分離し、クランプ用バンド57を取り外して縫製蛇腹56を取り外し、また、ボルト59を取り外して取り付け部材58を取り外し、さらに、ボルト55を取り外してメカニカルシール外環54、メカニカルシール内環61を取り外すことによって、損傷した等速自在継手40または中間軸9のみを交換することができる。
【0040】
なお、この等速自在継手40は、その継手中心Oから軸方向等距離の位置に保持器53の内径中心O’と、保持器53の外径中心O’’を有するダブルオフセット構造を有する。また、継手中心Oから、メカニカルシール内環61の外周面半径およびメカニカルシール外環54の内周面半径が設定されている。
【0041】
以上で説明した第一の実施形態以外に、図5に示す第二の実施形態のように円筒状カバー64a,64bを外側継手部材側と中間軸側で分割し、その分割端部間にSUS製蛇腹状カバー68を介装した構造としてもよい。このようにすれば、蛇腹状カバー68が有する可撓性により、等速自在継手40が作動角をとる際の動作を妨げることがなく、その等速自在継手40が大きな作動角をとる時には特に有効である。また、この蛇腹状カバー68により、各構成部品の精度誤差や相互の組み合わせ誤差を吸収することが可能となる。
【0042】
なお、本発明は第一、第二の実施形態に限定されるものではなく、図6に示す第三の実施形態のように縫製蛇腹56の代わりにゴムまたは樹脂ブーツ26を使用することも可能である。また、図7に示す第四の実施形態のように図6のゴムまたは樹脂ブーツ26を省略したり、図8に示す第五の実施形態のように図6のメカニカルシール外環54およびメカニカルシール内環61を省略して円筒状カバー64との二重構造とすることも可能である。なお、図9に示す第六の実施形態のように固定型等速自在継手40’(ツェパー型等速自在継手:BJ)にも適用可能である。この等速自在継手40’では、外側継手部材50’に装着された金属製の円筒状ブーツアダプタ70と、内側継手部材51’にトルク伝達可能に嵌合し、取り付けフランジ45’に一体化したシャフト部分に装着された金属製の円筒状ブーツアダプタ71との間にブーツ26’が接着一体成形または加硫一体成形されたものを取り付けることによりシール部材として構成されている。
【0043】
なお、前記実施形態では、自在軸継手として、前述の等速自在継手を使用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、トリポード型などの他の等速自在継手や、十字ジョイントなどの不等速自在継手を含む他の自在軸継手に適用可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、自在軸継手の一方の軸側の外径に球面リングを設け、前記自在軸継手の他方の軸側から延びる円筒状カバーを球面リングの外径面に当接させたことにより、前記円筒状カバーでもってシール部材を被覆することができるので、シール部材を劣悪な雰囲気から保護することができ、そのシール部材の耐用期間を引き延ばすことができて部品交換などのメンテナンス作業を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の主要部を示す一部断面部分を含む正面図である。
【図2】図1のロール駆動力伝達装置の部分拡大断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【図4】図3の等速自在継手が作動角をとった状態を示す要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第三の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【図7】本発明の第四の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第五の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【図9】本発明の第六の実施形態で、ロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【図10】鉄鋼設備の一種である連続鋳造設備の一例を示す概略構成図である。
【図11】従来のロール駆動力伝達装置の主要部を示す一部断面部分を含む正面図である。
【図12】図11のロール駆動力伝達装置の部分拡大断面図である。
【図13】従来のロール駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
4 ロール
9 中間軸
38,40 等速自在継手
50 外側継手部材
51 内側継手部材
52 トルク伝達ボール
53 保持器
54 シール部材(メカニカルシール外環)
56 シール部材(縫製蛇腹)
61 シール部材(メカニカルシール内環)
64 円筒状カバー
66 球面リング
68 蛇腹状カバー
Claims (7)
- 二軸の交差角が変化してもその二軸間で回転力を伝達し得る自在軸継手を前記二軸間に着脱可能に介装すると共に、前記自在軸継手と少なくとも一方の軸との間を密封するシール部材を配設した駆動力伝達装置であって、前記自在軸継手の一方の軸側の外径に球面リングを設け、前記自在軸継手の他方の軸側から延びる円筒状カバーを前記球面リングの外径面に当接させたことを特徴とする駆動力伝達装置。
- 前記自在軸継手は、内周面に複数のトラック溝を有する外側継手部材と、外周面に複数のトラック溝を有する内側継手部材と、前記両トラック溝で形成された複数のトラックにそれぞれ配されたトルク伝達ボールと、このボールを円周方向等間隔に保持する保持器とを備えた等速自在継手であることを特徴とする請求項1に記載の駆動力伝達装置。
- 前記円筒状カバーを一方の軸側と他方の軸側で分割し、その分割端部間に蛇腹状カバーを介装したことを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動力伝達装置。
- 前記シール部材は、蛇腹構造あるいはメカニカルシール構造のいずれかを具備したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の駆動力伝達装置。
- 前記シール部材を二重構造としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の駆動力伝達装置。
- 前記シール部材のうち、外側に位置するシール部材を蛇腹構造とし、内側に位置するシール部材をメカニカルシール構造としたことを特徴とする請求項5に記載の駆動力伝達装置。
- 前記自在軸継手は、駆動軸と中間軸との間またはロールと中間軸との間の少なくともいずれか一方に着脱可能に介装されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の駆動力伝達装置。
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