JP2004161526A - リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マンガン化合物、コバルト化合物及びニッケル化合物より選ばれた少なくとも1種の遷移金属化合物、リチウム化合物及び、所望によりマンガン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物及びリチウム化合物以外の金属の化合物(以下、「他の金属化合物」ということがある)を含有するスラリーを噴霧乾燥し、次いで焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を製造する方法において、スラリー中の溶存塩類の濃度を全固形分量の5重量%以下とすることを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
負極活物質として金属リチウムに代わって、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素材料等を用いることにより、リチウム二次電池は安全性が大幅に向上し、実用段階に入った。
一方、リチウム二次電池の正極活物質としては、標準組成がLiCoO2やLiNiO2、LiMn2O4等で示されるリチウム遷移金属複合酸化物が実用段階に入っている。特に、LiMn2O4などのリチウムマンガン複合酸化物からなるマンガン系正極活物質は、成分となるマンガンがコバルトやニッケルに比較して埋蔵量が多く、安価であり、加えて過充電での安全性も高いというメリットを有している。
【0003】
リチウム遷移金属複合酸化物の製造としては、例えば、特許文献1には、リチウム化合物と遷移金属化合物を含むスラリーを噴霧乾燥し、次いで焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を製造する方法が記載されているが、この方法では、場合により得られるリチウム遷移金属複合酸化物が中空粒子になってしまい、単位体積あたりの電池容量を低下させるという問題があることを本発明者らは見出した。
【0004】
即ち、後述する比較例1に示すように、リチウム遷移金属複合酸化物のリチウム源として良く知られた、水酸化リチウム・1水和物を用いて、遷移金属化合物と共にスラリーを形成させ、噴霧乾燥、焼成したのでは、中空粒子が生成し易いという問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−48547号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、リチウム化合物と遷移金属化合物を含むスラリーを噴霧乾燥し、次いで焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を製造する方法において、噴霧乾燥に際し、中空粒子の生成を防止する方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、スラリー中の溶存塩類の濃度を一定濃度以下とすることで、噴霧乾燥、焼成して得られるリチウム遷移金属複合酸化物粒子が中空粒子となることを抑制できることを見い出して本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、マンガン化合物、コバルト化合物及びニッケル化合物より選ばれた少なくとも1種の遷移金属化合物及び、リチウム化合物及び、を含有し、更にこれら以外の金属の化合物を含有していてもよいスラリーを噴霧乾燥し、次いで焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を製造する方法において、スラリー中の溶存塩類の濃度を全固形分に対して5重量%以下とすることを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法に存する。
【0009】
【発明の実施の態様】
本発明においては、噴霧乾燥に供するスラリーの調整に用いるマンガン化合物、ニッケル化合物、コバルト化合物及びリチウム化合物としては、リチウム遷移金属複合酸化物の原料として用いうることが知られているものから適宜選択して用いればよい。具体的には、マンガン、ニッケル、コバルト及びリチウムの酸化物;水酸化物;ハロゲン化物;炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの無機酸塩;酢酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。好ましくは、水に難溶な化合物が用いられる。
なお、本発明において、水に難溶とは、25℃の水100gに対する溶解度が、5.0g以下、好ましくは2.0以下であることを指す。
【0010】
マンガン化合物としては、Mn2O3、MnO2、Mn3O4等のマンガン酸化物、MnCO3、Mn(NO3)2 、MnSO4、酢酸マンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガン等のマンガン塩、オキシ水酸化物、ハロゲン化物等が挙げられる。Mn2O3として、MnCO3やMnO2などの化合物を熱処理して作製造したものを用いてもよい。好ましくは、Mn2O3、Mn3O4、MnO2などの酸化物、Mn(OH)2等の水酸化物等の水に難溶な化合物が用いられる。
また、ニッケル化合物としては、具体的には、NiO、NiO2等の酸化物;Ni(OH)2;NiOOH;NiCl2などのハロゲン化物、NiCO3等が挙げられる。好ましくは、NiOなどの酸化物、Ni(OH)2などの水に難溶な化合物が用いられる。
【0011】
コバルト化合物としては、Co(OH)2などの水酸化物;CoO、Co2O3などの酸化物;CoCl2などのハロゲン化物;Co(NO3)2・6H2Oなどの硝酸塩、Co(SO4)2・7H2Oなどの硫酸塩等が挙げられる。好ましくは、水酸化コバルト、炭酸コバルト等の水に難溶な化合物が用いられる。
【0012】
リチウム化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム塩などが挙げられ、好ましくは、炭酸リチウム、硫酸リチウム、特に好ましくは炭酸リチウムが用いられる。
【0013】
スラリー中には、マンガン化合物、コバルト化合物及びニッケル化合物より選ばれた少なくとも1種の遷移金属化合物、並びにリチウム化合物以外の金属化合物を含有させて、最終的に得られるリチウム遷移金属複合酸化物に、マンガン、コバルト、ニッケル、及びリチウム以外の金属を含有させることもできる。
【0014】
このようなマンガン、コバルト、ニッケル及びリチウム以外の金属としては、リチウム遷移金属複合酸化物の構造に入りうるものであれば特に限定されない。
具体的には、Be、Mg、Caなどの2A族元素、Scなどの3A族元素、Ti、Zrなどの4A族元素、V、Nb、Taなどの5A族元素、Crなどの6A族元素、Feなどの8族元素、Cuなどの1B族元素、Znなどの2B族元素、B、Al、Gaなどの3B族元素、Biなどの5B族元素、Ge、Snなどの4B族元素等の金属元素が挙げられる。好ましくは、V、Nb、Cr、Fe、Bi、Alなどを挙げることができる。
【0015】
これらの金属を含むリチウム遷移金属複合酸化物は、もとの複合酸化物よりもリチウム二次電池の正極活物質としての性能が向上することが多いが、これはこれらの金属が、マンガン、コバルト及びニッケルより選ばれる遷移金属を置換して、リチウム遷移金属複合酸化物の構造中に存在し、その構造を安定化することによるものと考えられる。
【0016】
なお、リチウム遷移金属複合酸化物の基本組成は、マンガン、ニッケル、コバルトのいずれかの遷移金属とリチウムとからなるが、この遷移金属の一部を他の遷移金属で置換することもでき、この場合にも遷移金属以外の金属で置換した場合と同じく、リチウム遷移金属複合酸化物の正極活物質としての性能が向上することが多いが、これも同様の理由によるものと考えられる、遷移金属の一部を他の遷移金属で置換する場合には、原子比で50%以下、特に30%以下が好ましい。
【0017】
遷移金属がNiの場合、その一部を置換する金属としては、通常Co、Mn、Fe、Cr、V、Ti、Cu、Al、Ga、Bi、Sn、Zn、Mg、Ge、Nb、Ta、Be、B、Ca、Sc及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素が挙げられ、好ましくは、Co、Al、Fe、Mg及びMnからなる群から選ばれるものであり、特に好ましいのはCo、Alである。また、遷移金属がMnの場合、その一部を置換する金属としては、通常、B、Al、Fe、Sn、Cr、Cu、Ti、Zn、CoおよびNiからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素が挙げられ、好ましいのはAlである。遷移金属がCoの場合、その一部を置換する金属としては、通常、Co、Al、Fe、Mg及びMnからなる群から選ばれるものであり、好ましいのは、Al、Niである。
【0018】
遷移金属原子の一部を置換する金属も、遷移金属と同様に、酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、ジカルボン酸塩、脂肪酸塩、アンモニウム塩等としてスラリー中に含有させればよい。好ましくは、水に難溶な化合物、例えば、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物等が挙げられる。他の金属がアルミニウムの場合、AlOOHが好ましく用いられる。
【0019】
スラリーを作製するために用いられる溶媒としては、各種の有機溶媒、水性溶媒が使用できるが、好ましくは水である。
本発明においては、リチウム化合物、遷移金属化合物、及び所望により併用される他の金属化合物を、溶媒とともに混合し、スラリーを得る。スラリーは、次いで、ボールミルなどにより粉砕するのが好ましい。また、固体の原料を先に粉砕し、その後、溶媒と混合してスラリーとしてもよい。
【0020】
スラリー濃度は、特に限定されず、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上である。スラリー濃度が低すぎると生産性が低下し、噴霧乾燥により得られる粒子の嵩密度が小さくなる傾向がある。また、スラリー濃度の上限は、通常50重量%以下である。スラリー濃度が高すぎるとスラリーの粘度が高くなり、ノズルで噴霧できなくなる恐れがある。好ましいスラリー濃度は、45重量%以下、特に40重量%以下である
【0021】
また、スラリーの粘度は、通常100mPs・s以上、好ましくは300mPs・s以上であり、通常1000mPs・s以下、好ましくは800mPs・s以下である。スラリーの粘度が低すぎると噴霧した際に液滴内部で組成ズレが生じやすく、また、高すぎるとノズルで噴霧できなくなる恐れがある。
【0022】
スラリー中の金属相互の比率は、通常は、最終的に得ようとするリチウム遷移金属複合酸化物の組成と一致させればよく、リチウム遷移金属複合酸化物の標準組成に対して通常±20%以内、好ましくは±10%以内である。スラリー中におけるリチウム以外の金属(すなわち、遷移金属とリチウム遷移複合酸化物においいて遷移金属の一部を置換させるために所望により存在させる他の金属)の合計に対するリチウムの好適な原子比は、遷移金属により異なる。
【0023】
本発明においては、全固形分量に対する溶存塩類の割合が5重量%以下のスラリーを噴霧乾燥に供する。
溶存塩類とは、スラリーを構成する溶媒中に溶解している金属化合物を指し、具体的には、スラリー原料として用いるリチウム化合物、遷移金属化合物、及びこれら以外の他の金属化合物等のうち溶媒に溶解したものをいう。
【0024】
本発明において、スラリー中の全固形分量に対する溶存塩類の濃度は、以下の方法によって測定される。
まず、スラリーの一部(約50g)を300rpm、20分間遠心分離し、透明な上澄み液を分取する。分取した上澄み液の重量(W1)を測定した後、150℃で蒸発乾固させ、残留物の重量(W2)を測定する。一従って、液中の溶存塩類の濃度S(重量%)は、S=(W2/W1)×100となる。
【0025】
一方、スラリーの調製に用いた溶媒及び金属化合物の重量をそれぞれW3、W4として、スラリー中の全固形分に対する溶存塩類の濃度A(重量%)を次式で定義する。
【0026】
【数1】
A={(W3×S)/W4}×100
【0027】
噴霧乾燥に用いるスラリー中の溶存塩類の全固形分量に対する比を小さくすることにより、得られるリチウム遷移金属複合酸化物が中空になりにくい理由は明かではないが、以下のように推察される。噴霧により形成された液滴において、スラリー中の溶存塩類は、液滴中にほぼ均一な濃度で溶解している。乾燥が進み液滴表面から水分が蒸発するに従い、溶存塩類は、内部から液滴表面に輸送されて液滴表面に濃化していく。濃化が進んで溶存塩類が飽和濃度を越えると、溶存塩類は液滴表面で析出しはじめ、リチウム遷移金属複合酸化物粒子表面に皮膜を形成する。この皮膜を形成した後にも液滴内部の温度は引き続き上昇し、液がガス化する。このガスの発生速度が脱離速度を上回るようになると、内部の圧力が上昇して、被膜が破裂し、中空粒子が生成するものと推察される。
従って、溶存塩類の濃度が低ければ、発生ガスを封じ込める為に十分な連続した皮被膜が形成されないので、粒子の破裂は起きず、従って、中空粒子も生成しないものと考えられる。
【0028】
本発明者ら検討によれば、中空粒子の生成を抑制するには、噴霧乾燥に供するスラリー中の全固形分量に対する溶存塩類の濃度を、5重量%以下、好ましくは4.5重量%以下とする。スラリー中の全固形分量に対する溶存塩類の濃度は低いほど、溶存塩類による皮膜の形成を抑制することができるので好ましいが、通常0.05重量%以下とする必要はない。
【0029】
溶存塩類の濃度を上記範囲内に制御できれば、スラリー中には、リチウム化合物、遷移金属化合物、遷移金属を置換する金属化合物および溶媒以外の化合物、例えば、水に易溶な化合物等を添加してもよい。例えば、焼成助剤として作用するホウ酸、ホウ酸リチウムなどの低融点化合物を、スラリー中の固形分に対して0.2〜1重量%程度添加してもよい。
【0030】
スラリーの噴霧乾燥は、得られる噴霧乾燥粉の平均粒径が1〜100μm、特に3〜30μmとなるように行うのが好ましい。乾燥用ガスは、80〜300℃で噴霧装置に導入し、45〜250℃で装置から排出するのが好ましい。
得られた噴霧乾燥粉は、焼成して、リチウム遷移金属複合酸化物に転換する。
焼成条件は特に限定されるものではないが、例えば、特開平9−306490号公報、特開平9−306493号公報、特開平9−259880号公報等に記載の方法を用いることができる。
【0031】
主たる遷移金属がマンガンであるリチウムマンガン複合酸化物(以下「リチウムマンガン複合酸化物」ということがある)を得るための焼成温度は、通常600℃以上であり、通常1000℃以下、好ましくは950℃以下、特に好ましくは900℃以下である。焼成温度が低すぎると、結晶性の良いリチウムマンガン複合酸化物が得難い。また、焼成温度が高すぎると、リチウム化合物の気散が生じるため、目的とする化合物の組成のリチウムマンガン複合酸化物が得られない。
【0032】
焼成時間は、通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、通常100時間以下、好ましくは50時間以下である。焼成時間が短すぎると結晶性の良いリチウムニッケル複合酸化物が得られ難く、逆に焼成時間を必要以上に長くしても無意味である。
【0033】
焼成は、通常は空気中で行うが、他の酸素含有ガス中で行うこともできる。なお、空気中で焼成する場合には、二酸化炭素を予め除去した空気を用いるのが好ましい。
また、常温から上記の反応を温度迄昇温する際には、反応をより均一におこなう為に、例えば毎分5℃以下の温度で徐々に昇温するか、或いは途中で一旦昇温を停止し、一定温度での保持して、全体の温度が均一となるようにするのも好ましい。
【0034】
欠陥の少ないリチウムマンガン複合酸化物を得るためには、上記の焼成後、ゆっくり冷却する事が好ましく、700℃以下、好ましくは500℃迄は毎時100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。
焼成により生成するリチウムマンガン複合酸化物は、基本的には、LiMn2O4を基準組成とするスピネル構造のマンガン酸リチウム又はLiMnO2を基準組成とする層状構造のマンガン酸リチウムである。
【0035】
また、主たる遷移金属がニッケルであるリチウム遷移金属複合酸化物(以下「リチウムニッケル複合酸化物」ということがある)の場合の焼成温度は、通常500℃以上、好ましくは550℃以上であり、また通常1000℃以下、好ましくは900℃以下である。焼成温度が低すぎると、結晶性の良いリチウムニッケル複合酸化物が得難い。また、焼成温度が高すぎると、目的とするリチウムニッケル複合酸化物以外の相が生成するか、或いは欠陥が多いリチウムニッケル複合酸化物を生成する事がある。また、常温から上記の反応を温度迄昇温する際には、反応をより均一におこなう為に、例えば毎分5℃以下の温度で徐々に昇温するか、或いは途中で一旦昇温を停止し、一定温度での保持して全体の温度が均一となるようにするのが好ましい。
【0036】
焼成時間は、通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、通常100時間以下、好ましくは50時間以下である。焼成時間が短すぎると結晶性の良いリチウムニッケル複合酸化物が得難く、逆に長すぎる反応時間は工業的に無意味である。
焼成は、通常は空気中で行うが、他の酸素含有ガス中で行うこともできる。なお、空気中で焼成する場合には、二酸化炭素を予め除去した空気を用いるのが好ましい。
【0037】
欠陥の少ないリチウムニッケル複合酸化物を得るためには、上記の焼成後、ゆっくり冷却する事が好ましく、600℃、好ましくは400℃迄は毎分5℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。焼成により生成するリチウムニッケル複合酸化物は六方晶層状岩塩構造であるのが好ましい。
焼成に使用する加熱装置は、上記の温度、雰囲気を達成できるものであれば特に制限は無く、遷移金属の種類に関係なく、例えば箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を使用することができる
【0038】
焼成により生成するリチウムマンガン複合酸化物として、具体的には、LiMn2O4を基本組成とするスピネル構造のマンガン酸リチウム、LiMnO2を基本組成とする層状構造のマンガン酸リチウム等を挙げることができる。製造のしやすさ及び正極活物質として用いた場合のサイクル特性が優れているので、スピネル構造型のマンガン酸リチウムが好ましい。
【0039】
スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物の好ましい組成の一つは、下記式で表される。
【0040】
【化3】
LiaMn2−b MbO4
【0041】
MはLi、Mn以外の金属元素を表し、通常、B、Al、Fe、Sn、Cr、Cu、Ti、Zn、CoおよびNiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、好ましくはAlである。
【0042】
aは通常、0.8以上、好ましくは1.0以上であり、通常1.5以下、好ましくは1.2以下の数である。また、bは通常0より大きく、好ましくは0.05以上であり、通常1以下、好ましくは0.5以下の数である。
特に好ましいのは下記式で表されるものである。
【0043】
【化4】
LiaMn2−bAlbO4
【0044】
aは、通常0.9以上、好ましくは1以上であり、通常1.1以下、好ましくは1.05以下である。また、bは通常0より大きく、好ましくは0.05以上、通常1.0以下、好ましくは0.5以下を表す。
【0045】
なお、上記いずれの式においても、酸素の量は変動しうる。また、化学量論量以上のリチウムを原料として使用するなどによって、マンガン原子のサイトの一部をリチウムで置換することも可能である。
【0046】
焼成により生成する六方晶層状岩塩構造のリチウム複合酸化物の好ましい組成の一つは、下記式で表される。
【0047】
【化5】
Lic(NidMneCofMg)O2
【0048】
式中、Mは、Li、Ni、Mn、Co以外の金属元素を表し、通常Fe、Cr、V、Ti、Cu、Al、Ga、Bi、Sn、Zn、Mg、Ge、Nb、Ta、Be、B、Ca、Sc及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、好ましくは、Al、FeおよびMgからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。
【0049】
cは0.8以上であり、1.3以下、好ましくは1.2以下の数である。また、dは0以上、1以下の数、eは0以上、1以下の数、fは0以上1以下の数、gは0以上、1以下の数であり、かつ、d、e、f及びgの和は1である。
また、d、e、fのいずれかが0.5以上、1未満であることが好ましい。
【0050】
焼成により生成するリチウムニッケル複合酸化物は、具体的には、六方晶層状岩塩構造のリチウムニッケル複合酸化物等を挙げることができ、六方晶層状岩塩構造のリチウムニッケル複合酸化物は下記一般式で表される。
【0051】
【化6】
LixNi1−yMyO2
【0052】
Mは、Li、Ni以外の金属元素を表し、通常、Co、Mn、Fe、Cr、V、Ti、Cu、Al、Ga、Bi、Sn、Zn、Mg、Ge、Nb、Ta、Be、B、Ca、Sc及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、好ましくは、Co、Al、Fe、Mg及びMnからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、特に好ましくはCo、Alである。
xは通常0.8以上であり、通常1.3以下、好ましくは1.2以下の数である。また、yは通常0より大きく、好ましくは0.1以上であり、通常0.5以下、好ましくは0.4以下の数である。
【0053】
上記いずれの式においても、酸素の量は変動しうる。酸素の変動量、すなわち、酸素欠損又は酸素過剰量(δ)は、通常0.1より大きく、好ましくは0.07以上であり、通常0.1より小さく、好ましくは0.05以下の数を表す。
本発明の方法で得られたリチウム遷移金属複合酸化物の充填率は、通常90vol%以上、好ましくは95vol%以上と充填率が高く、中空部分が非常に小さくなっている。充填率は、通常100vol%以下である。充填率は、次の方法で求める。
【0054】
リチウム遷移金属複合酸化物を樹脂に包埋して硬化させた後、ダイアモンドカッターで切断し、断面を電子顕微鏡写真を撮影した。1000倍に拡大した電子顕微鏡写真(倍率1000倍)中の粒子のうち、大きいものから順に選び出した10個につき、各々、外殻までの最長の長さを各粒子の直径とし、その直径に相当する球の体積(Vp)を算出した。また、中空部分の視認される粒子については、中空部分の外殻までの最長の長さを各中空部分の直径とし、その直径に相当する球の体積(Vc)を算出した。この結果から、充填率(VR)を次式にて算出する。
【0055】
【数2】
VR=(ΣV1−ΣVc/ΣV1)×100
【0056】
本発明の製造方法で得られたリチウム遷移金属複合酸化物は、リチウム二次電池の正極として用いることができる。
正極は、通常、上記リチウム遷移金属複合酸化物とバインダーと導電剤とを含有する活物質層を集電体上に形成してなる。本発明において正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物である。活物質層は、通常、上記構成成分を含有するスラリーを調製し、これを集電体上に塗布・乾燥することで得ることができる。
【0057】
活物質層中のリチウム遷移金属複合酸化物の割合は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、通常99.9重量%以下、好ましくは99重量%以下である。正極材料が多すぎると正極の強度が不足する傾向にあり、少なすぎると容量の面で不十分となることがある。
【0058】
正極に使用される導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等を挙げることができる。活物質層中の導電剤の割合は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であり、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。導電剤が多すぎると容量の面で不十分となることがあり、少なすぎると電気導電性が不十分になることがある。
【0059】
また、正極に使用されるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等のフッ素系高分子の外、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等を挙げることができる。活物質層中のバインダーの割合は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。多すぎると容量の面で不十分となることがあり、少なすぎると強度が不十分になることがある。
【0060】
また、正極の活物質層を形成するためのスラリーを調製する際に使用する溶媒としては、通常は結着剤を溶解あるいは分散する有機溶剤が使用される。例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加えてSBR等のラテックスでスラリー化する場合もある。
正極の活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。
【0061】
正極に使用する集電体の材質としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属が用いられ、好ましくはアルミニウムである。
なお、塗布・乾燥によって得られた活物質層は、電極材料の充填密度を上げるためローラープレス等により圧密されるのが好ましい。
【0062】
本発明のリチウム二次電池は、通常上記正極、負極及び電解質とを有する。
本発明のリチウム二次電池に使用できる負極材料としては、炭素材料を使用するのが好ましい。このような炭素材料としては、天然ないし人造の黒鉛、石油系コークス、石炭系コークス、石油系ピッチの炭化物、石炭系ピッチの炭化物、フェノール樹脂・結晶セルロース等樹脂の炭化物およびこれらを一部炭化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、あるいはこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。負極材料は、通常、バインダー及び必要に応じて導電剤とともに集電体上に活物質層として形成される。また、リチウム金属そのものや、リチウムアルミニウム合金等のリチウム合金を負極として用いることもできる。負極に使用できるバインダーや導電剤は、正極に使用するものと同様のものを例示することができる。
【0063】
負極の活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。負極の活物質層の形成は、前記正極の活物質層の形成方法に準じて行うことができる。
負極の集電体の材質としては、通常銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属が用いられ、好ましくは銅である。
【0064】
本発明のリチウム二次電池に使用できる電解質としては、電解液、高分子固体電解質、半固体状電解質等が挙げられる。
電解液としては、好ましくは非水系電解液が挙げられる。非水系電解液としては、各種の電解塩を非水系溶媒に溶解したものを挙げることができる。
【0065】
非水系溶媒としては、例えばカーボネート類、エーテル類、ケトン類、スルホラン系化合物、ラクトン類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、アミン類、エステル類、アミド類、燐酸エステル化合物等を使用することができる。これらの代表的なものを列挙すると、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ビニレンカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、1,2−ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、燐酸トリメチル、燐酸トリエチル等の単独もしくは二種類以上の混合溶媒が使用できる。
【0066】
上述の非水系溶媒の中でも、電解質を解離させるために高誘電率溶媒を使用するのが好ましい。高誘電率溶媒とは、概ね25℃における比誘電率が20以上の化合物を意味する。高誘電率溶媒の中で、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びそれらの水素原子をハロゲン等の他の元素またはアルキル基等で置換した化合物が電解液中に含まれることが好ましい。このような高誘電率溶媒を使用する場合、高誘電率溶媒の電解液中に占める割合は、通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。該高誘電率溶媒の含有量が少ないと、所望の電池特性が得られない場合がある。
【0067】
電解塩としては、従来公知のいずれもが使用でき、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCl、LiBr、LiCH3SO3Li、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiC(SO2CF3)3、LiN(SO3CF3)2等のリチウム塩が挙げられる。
また、CO2、N2O、CO、SO2等のガスやポリサルファイドSx2−、ビニレンカーボネート、カテコールカーボネートなど負極表面にリチウムイオンの効率よい充放電を可能にする良好な皮膜を生成する添加剤を任意の割合で電解液中に存在させてもよい。
【0068】
なお、電解液の代わりに、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いることもできる。また、上記電解液を、高分子によって非流動化して半固体状電解質を用いることもできる。本発明のリチウム二次電池においては、正極と負極との間に、上記のような様々な材料によって電解質層を設けることができる。
【0069】
正極と負極との間には、通常セパレーターが設けられる。セパレータとしては、微多孔性の高分子フィルムが用いられ、その材質としては、ナイロン、ポリエステル、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンや、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン系高分子を挙げることができる。また、ガラス繊維等の不織布フィルター、さらにはガラス繊維と高分子繊維の複合不織布フィルター等も用いることができる。セパレータの化学的及び電気化学安定性は重要な因子であり、この点から材質としては、ポリオレフィン系高分子が好ましく、特に、電池セパレータの目的の一つである自己閉塞温度の点からポリエチレン製であることが好ましい。
【0070】
ポリエチレン製セパレータの場合、高温形状維持性の点から超高分子量ポリエチレンであることが好ましく、その分子量の下限は好ましくは50万、更に好ましくは100万、最も好ましくは150万である。他方分子量の上限は、好ましくは500万、更に好ましくは400万、最も好ましくは300万である。分子量が大きすぎると、流動性が低すぎて加熱されたときセパレータの孔が閉塞しない場合があるからである。
【0071】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0072】
<実施例1>
タンクに水81.4kgを入れ、これに東ソー製MnO2を850℃で焼成し、自製した三酸化二マンガン25kg、炭酸リチウム(本荘ケミカル社製)6.475kg、及びベーマイト(AlOOH、コンディア社製、商品名PURAL200)1.210kgを投入した。これを攪拌下で湿式ビーズミル粉砕を3時間行い、粘度は580mPa・sのスラリーを調製した。
【0073】
このスラリーを50g分取し、遠心沈降機にてスラリーの固形分を沈降させ、上部の透明な液を採取した。この液を150℃で蒸発乾固し、残留物の重量を測定した。この残留物を液中に溶解していた塩類として液中の溶解塩類の濃度を求めたところ、0.45重量%であった。従って、スラリー中の全固形分量に対する溶存塩類の濃度は(81.4×0.45×10−2/32.685)×100=1.127重量%であった。
【0074】
次にこのスラリーを乾燥空気温度105℃、スラリー供給速度560cc/min、噴霧空気量1200L/minの条件で噴霧乾燥して、噴霧乾燥粉を得た。得られた噴霧乾燥粉を900℃で10時間焼成し、リチウム遷移金属複合酸化物を得た。
【0075】
このリチウム遷移金属複合酸化物を樹脂に包埋して硬化させた後、ダイアモンドカッターで切断し、断面の電子顕微鏡写真を撮影した。電子顕微鏡写真(倍率1000倍)中の粒子のうち、大きい順に選び出した10個につき、各々、外殻までの最長の長さを各粒子の直径とし、その直径に相当する球の体積(Vp)を算出した。また、中空部分の視認される粒子については、中空部分の外殻までの最長の長さを各中空部分の直径とし、その直径に相当する球の体積(Vc)を算出した。この結果から、充填率を次式にて計算したところ、99.6vol%であった。結果を表−1に示す。
【0076】
【数3】
VR=(ΣV1−ΣVc/ΣV1)×100
【0077】
<実施例2>
タンクに水76.8kgを入れ、これに三酸化二マンガン(Mn2O3)25kg、炭酸リチウム4.858kg、水酸化リチウム一水塩(LiOH・H2O、本荘ケミカル社製)1.839kg、及びベーマイト(AlOOH)1.210kgを投入した他は、実施例1と同様にして、スラリー調製、噴霧乾燥、焼成を行って、リチウム遷移金属複合酸化物を製造し、各種評価を行った。
スラリーの粘度は1300mPa・s、スラリー中の溶媒に対する溶存塩類濃度は1.08重量%であり、スラリー中の全固形分量に対する溶存塩類濃度は(76.8×1.08×10−2/32.907)×100=2.547重量%であった。
また、得られたリチウム遷移金属複合酸化物の充填率は、99.3vol%であった。結果を表−1に示す。
【0078】
<実施例3>
タンクに、水77.3kgを入れ、これに三酸化二マンガン(Mn2O3)25kg、炭酸リチウム3.239kg、水酸化リチウム一水塩(LiOH・H2O)3.676kg、及びベーマイト(AlOOH)1.210kgを投入した他は、実施例1と同様にして、スラリー調製、噴霧乾燥、焼成を行ってリチウム遷移金属複合酸化物を製造し、各種評価を行った。
スラリーの粘度は940mPa・s、スラリー中の溶媒に対する溶存塩類濃度は1.55重量%であり、スラリー中の全固形分量に対する溶存塩類濃度は(77.3×1.55×10−2/33.125)×100=3.674重量%であった。
また、得られたリチウム遷移金属複合酸化物の充填率は、99.9vol%であった。結果を表−1に示す。
【0079】
<実施例4>
タンクに水77.8kgを入れ、これに三酸化二マンガン(Mn2O3)25kg、炭酸リチウム1.619kg、水酸化リチウム一水塩(LiOH・H2O)5.515kg、及びベーマイト(AlOOH)1.210kgを投入した他は、実施例1と同様にして、スラリー調製、噴霧乾燥、焼成を行ってリチウム遷移金属複合酸化物を製造し、各種評価を行った。
スラリーの粘度は740mPa・s、スラリー中の溶媒に対する溶存塩類濃度は1.81重量%であり、スラリー中の全固形分量に対する溶存塩類濃度は(77.8×1.81×10−2/33.344)×100=4.301重量%であった。
また、得られたリチウム遷移金属複合酸化物の充填率は、99.9vol%であった。結果を表−1に示す。
【0080】
<比較例1>
タンクに水81.4kgを入れ、これに三酸化二マンガン(Mn2O3)25kg、水酸化リチウム一水塩(LiOH・H2O)7.350kg、及びベーマイト1.210kgを投入した他は、実施例1と同様にして、スラリー調製、噴霧乾燥、焼成を行って、リチウム遷移金属複合酸化物を製造し、各種評価を行った。
スラリーの粘度は350mPa・s、スラリー中の溶媒に対する溶存塩類濃度は2.35重量%であり、スラリー中の全固形分量に対する溶存塩類濃度は(81.4×2.35×10−2/33.56)×100=5.837重量%であった。
また、得られたリチウム遷移金属複合酸化物の充填率は、74.5vol%であった。結果を表−1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、充填率の高いリチウム遷移金属複合酸化物を製造することができ、このリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として用いることにより、単位体積当たりの電池容量が高いリチウム二次電池を提供することができる。
Claims (9)
- マンガン化合物、コバルト化合物及びニッケル化合物より選ばれた少なくとも1種の遷移金属化合物及び、リチウム化合物及び、を含有し、更にこれら以外の金属の化合物を含有していてもよいスラリーを噴霧乾燥し、次いで焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を製造する方法において、スラリー中の溶存塩類の濃度を全固形分に対して5重量%以下とすることを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法。
- リチウム化合物が、水に難溶なリチウム化合物であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 遷移金属化合物を構成する金属の60重量%以上がマンガン化合物であり、かつ、スラリー中のリチウム以外の金属の合計に対するリチウムの原子比が、0.4〜0.6であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法。
- リチウム遷移金属複合酸化物が、標準組成が下記式で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法。
【化1】
LiaMn2−bAlbO4
(式中、0.9≦a≦1.1、0<b≦1.0を表す。) - リチウム遷移金属複合酸化物が、標準組成が下記式で表される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法。
【化2】
Lic(NidMneCofMg)O2
(式中、MはFe、Cr、V、Ti、Cu、Al、Ga、Bi、Sn、Zn、Mg、Ge、Nb、Ta、Be、B、Ca、Sc及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、0.8≦c≦1.2、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦1、0≦g≦1、d+e+f+g=1を表す。) - マンガン、コバルト及びニッケルの何れかが遷移金属化合物を構成する金属の60重量%以上を占めており、かつ、遷移金属に対する遷移金属とリチウム以外の合計の原子割合が、2.5〜30%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により製造されたリチウム遷移金属複合酸化物。
- 請求項7に記載のリチウム遷移金属複合酸化物とバインダーとを含有するリチウム二次電池用正極。
- 請求項8に記載の正極、負極及び電解質を有するリチウム二次電池。
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