JP2004159513A - 植生土嚢及びこれを用いた植生ユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】植生土嚢1は、表面21と裏面22とから構成され、その周縁が密封されている袋体2と、この袋体の内部に充填されている培土3と、この袋体を構成する表面の外側に植物の種を播種し、若しくは植物の苗を播苗することにより袋体に活着されている植物4と、から構成されるものであり、上記袋体は、50〜300g/m2の目付と1〜8mmの厚みを有する疎水性の不織布を構成資材とするものである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、植生土嚢及びこれを用いた植生ユニットに関し、特に土木工事における地盤法面若しくは建築物の屋上等に敷設して緑化する目的で用いる植生土嚢及びこれを用いた植生ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、土嚢を用いて施工面を緑化するために用いられる植生土嚢は、シート状ネットや多数の小孔を有する布地等を構成資材とするものであり、施工時にその口部から植物の種や培土等を充填して、例えば土木工事における地盤法面に敷設されて用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−109635号公報(第3項、第1図)
【特許文献2】
特開昭56−144001号公報(第1−2項)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の植生土嚢は、構成資材として目の粗い布地を用いているため、施工後における養生管理を十分に行なわないと、外から飛来する雑草の種の発芽、生育を効果的に抑止することができず、その結果施工面の美感が悪化するという問題があった。また、近年は、施工後における養生管理の負担を軽減すべく、施工完了と同時に緑化が完成する施工方法が要望されている。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みて行なわれたものであり、出荷前に植物を植栽できるとともに、施工後において雑草の発芽、生育を抑止することができる植生土嚢及びこれを用いた植生ユニットを提供することを主たる目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、特定範囲の目付と厚みを有する疎水性の不織布を袋体の構成資材として用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明の植生土嚢は、表面と裏面とから構成され、その周縁が密封されている袋体と、この袋体の内部に充填されている培土と、この袋体を構成する表面の外側に植物の種を播種し、若しくは植物の苗を播苗することにより袋体に活着されている植物と、から構成される植生土嚢であって、上記袋体は、50〜300g/m2の目付と1〜8mmの厚みを有する疎水性の不織布を構成資材とするものである。
【0008】
かかる特定範囲の目付と厚みを有する不織布を袋体の構成資材として用いることにより、出荷前において植物を一定の繁茂率で植栽することができるとともに、施工後において雑草の発芽、生育を効果的に抑止することができる。
【0009】
具体的には、上記の袋体を構成する不織布としては、ニードルパンチ法により製造されたものが好ましく用いられる。
【0010】
また、本発明の植生土嚢は、上記の構成に加えて、袋体を構成する表面と裏面とが少なくとも一箇所以上溶着されることにより、袋体内部に複数の培土収容部が形成されていることが好ましい。
【0011】
かかる複数の培土収容部を設けることにより、施工後において、充填された培土の片寄りを効果的に防止することができる。
【0012】
また、本発明の植生土嚢は、上記の構成に加えて、袋体を構成する表面が略平坦に形成され、袋体を構成する裏面がその外側方向に湾曲して、又は方形に形成されていることが好ましい。
【0013】
袋体をこのような構成とすることにより、出荷前において、袋体の表面に播かれた植物の種や苗の位置ずれや、袋体表面からの落下を防止することができるので、植物の植栽の作業性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の植生ユニットは、上記の植生土嚢の裏面に、無機質からなる多数の多孔質体が空隙を形成した状態で、容器内に堆積又は充填されている排水層が積層されており、上記植生土嚢を構成する植物の根が、上記排水層の空隙に進入することにより、排水層に絡み合っていることが好ましい。
【0015】
かかる植生ユニットを用いることにより、特に夏期において、排水層は、太陽の放射熱による熱伝導性を低く抑えるため、植生ユニット下の施工面の温度上昇を緩和することができる。また、排水層は、高い通水性を有するため乾燥状態が保持される。このため施工後における最も多い事故である、植物の根腐れを効果的に抑制することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の植生土嚢及びこれを用いた植生マットについて具体的に説明する。図1は本発明の植生土嚢の一実施例を示す外観斜視図であり、図2は図1の断面図である。植生土嚢1は、略四角形状の袋体2と、この袋体の内部に充填されている培土3と、上記袋体2に活着されている植物4を基本的な構成要素として備えるものである。なお、本発明では、袋体2を構成する二面のうち、植物4が植栽される面(図1では上側面)を表面といい、植物が植栽されない面を裏面という。
【0017】
袋体2は、その内部に培土を収容するとともに、植物を植栽するための基盤となる役割を主として有するものである。また、袋体2の形状は特に限定されるものではなく、使用目的に応じて任意の形状(例えば、三角形、四角形、多角形、円形等)を適宜採用することができる。一般的には、施工時において隣合う複数の植生土嚢を隙間なく敷設することが多いので、かかる場合には図1に示すように略四角形状(略正方形、略長方形)に形成されたものを用いることが好ましい。また、袋体の大きさとしては、一辺20〜200cmの範囲が一般的に採用される。
【0018】
本発明では、袋体2の外側から圧力がかかった場合において、その内部に充填されている培土3が袋体2の外方に飛散しないようにする必要があるので、袋体2は、その周縁が密封されていることが好ましい。本発明では、袋体2の口部を通じて袋体の内部に培土3を所定量充填した後に口部を溶着することにより、袋体2が密封される。口部の溶着手段としては、袋体2の構成資材として用いられる不織布の種類、材質、厚み、サイズ等に応じて公知の手段を適宜採用すればよく、例えば熱溶着(熱風式、熱版式、インパルス式、コテ式)、高周波溶着、超音波溶着などが挙げられる。
【0019】
具体的には、図1に示す略長方形状の袋体2を採用する場合には、1枚の長方形状の不織布を、その長手方向に二枚に折り重ねて表面21と裏面22を形成し、次いで長手方向の対向する二辺の縁に沿って上記と同様の溶着手段を用いて溶着を行なうことにより、口部を有する袋体とし、さらに袋体の口部から培土3を充填した後、口部を溶着することにより、表面21と裏面22の周縁が密封された袋体2とすることができる。また、他の例としては、2枚の同一サイズからなる長方形状の不織布を重ね合わせて表面21と裏面22を形成し、次いで長手方向の対向する二辺と、短手方向の一辺について、それぞれの縁に沿って上記と同様の溶着手段を用いて溶着を行なうことにより、口部を有する袋体とし、さらに袋体の口部から培土3を充填した後、口部を溶着することにより、表面21と裏面22の周縁が密封された袋体2とすることができる。
【0020】
本発明では、袋体2の構成資材としては、疎水性の不織布が好ましく用いられる。かかる性質を有する不織布を用いることにより、施工後において植生土嚢1の表面上に雨水等の水分が付着した場合においても、水分は植生土嚢1の内部への浸透が少なく、所定時間経過後に速やかに蒸発する。このため、施工後において植生土嚢1の表面上に雑草の種が飛来した場合においても、雑草種子は発芽するための水分の供給が非常に制限されるので、植生土嚢1に雑草が発芽、生育することを抑止することができる。
【0021】
本発明において適用可能な不織布の原料樹脂は、疎水性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の公知の汎用樹脂が製造安定性、低価格性及び入手容易性の点から好適に用いられる。
【0022】
また、上記の不織布は、その目付が50〜300g/m2の範囲にあることが好ましく、100〜200g/m2の範囲にあることが更に好ましく、90〜180g/m2の範囲にあることが特に好ましい。また、上記の不織布は、その厚みが1〜8mmの範囲にあることが好ましく、1〜4mmの範囲にあることが更に好ましく、1.5〜2.5mmの範囲にあることが特に好ましい。
【0023】
なお、本発明において不織布の厚みは、公知の方法により測定すればよく特に限定されるものではない。一般的には、不織布を10枚程度重ね合わせたものを試料として、この試料の上に200g前後の平板を置き、次いで試料を5つ以上均等に分割した点における高さを各々求めてその平均をとり、その平均値を不織布の積み重ね枚数で除した値を不織布の厚みとする方法が挙げられる。
【0024】
不織布の目付と厚みを上記の如く特定の範囲に設定することにより、出荷前において植物を一定の繁茂率で植栽することができる。すなわち、出荷前において袋体2の表面の外側に植物の種又は苗を播種又は播苗した場合において、植物の根が袋体の表面を通過するためには、不織布の目付と厚みを上記の特定範囲に設定することが必要となる。
【0025】
また、不織布の目付と厚みを上記の特定の範囲に設定することにより、施工後において植生土嚢1の表面上(すなわち、袋体2の表面上)に雑草の種が飛来した場合においても、▲1▼この種子は不織布の空隙によりろ過され地表より浮かされること、▲2▼発根が不織布を通過中に乾燥により水分が断たれること、及び、▲3▼発根が不織布を通過しても培土が乾燥しやすいため水分の補給ができないこと、から雑草の生育が抑制される。したがって、不織布の材質として疎水性のものを用い、かつ目付と厚みを上記の特定範囲に設定することにより、植生土嚢1の施工後において雑草の発芽、生育を効果的に抑制することができる。
【0026】
不織布の製造方法については、上記の特定範囲の目付と厚みを有する限り特に限定されるものではなく、例えばケミカルボンド法、サーマルボンド法、スパンレース法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法、スパンボンド法、メルトブロー法などの公知の製法を採用することができる。また、乾式法または湿式法のうち、いずれの製法も用いることができる。
【0027】
上記の製法のうち、本発明では、表面が緻密であり、かつ平滑性に優れる点で、ニードルパンチ法により製造された不織布が好ましく用いられる。ここで、「ニードルパンチ法」とは、上記の例示した樹脂で構成されるウエブを特殊針で無数に刺して交絡させることによりフェルトにしたものをいう。
【0028】
なお、不織布の繊維径については、特に限定されるものではなく、一般に4〜20D(デニール)が好適であり、5〜11Dが更に好適である。また、本発明では、不織布の強度を高めることを目的として、不織布の外側、内側若しくは内部に、補強材を別途積層することもできる。かかる補強材としては、例えばポリオレフィン系樹脂からなる繊維を縦横に連続的に積層してメッシュ構造としたものを挙げることができる。
【0029】
袋体2の内部に充填される培土3としては、植物の植栽において公知のものを用いることができ、植栽する植物の種類や施工場所の環境に応じて、基本用土と改良用土を単独で若しくは組合わせて用いることができる。基本用土としては、例えば赤玉土、黒土、鹿沼土、荒木田土などが挙げられる。また、改良用土材料としては、腐葉土、バーク、ピートモス、ケト土、水苔、高分子吸収材、軟質スポンジ類、フェノールスポンジ、紙等の有機質材料、またはパーライト、クレイボール、バーミキュライト、くん炭、軽石等の無機質材料が挙げられる。
【0030】
また、上記の基本用土や改良用土以外の成分として、植物の栽培において公知のpH調整剤、生長促進剤、生長抑制剤、防カビ剤、殺虫剤、その他植物の生育安定を促す薬剤を用いることもできる。
【0031】
植物4は、乾燥に強いものであれば特に限定されるものではなく、例えばツルナ科、ベンケイソウ科、スベリヒユ科、カタバミ科などが適用可能であり、特にベンケイソウ科セダム属、とりわけメキシコマンネングサは、表面を覆うコロニー状に繁茂し、給水停止後30日以上生育可能であることから好ましく用いられる。
【0032】
植生土嚢1は、まず上述した方法で、培土3が充填され、表面21と裏面22の周縁が密封されている袋体2を形成し、次いで袋体を構成する表面21の外側に植物の種を播種し、植物を袋体に活着させることにより製造される。ここで、培土の充填量は特に限定されるものではないが、一般的には厚みとして1〜30cmが好ましく、3〜10cmが更に好ましい。
【0033】
また、植物4の活着条件、すなわち発根して新芽を伸ばし根付いて生育させる条件についても、植栽する植物の種類に応じて、温湿度、水分供給量等について適宜好適な条件を設定すればよい。なお、本発明では、袋体に活着されている植物4を得るに当たり、上述した如く袋体を構成する表面の外側に植物の種を播種してもよいし、あるいは植物の苗を播苗してもよい。
【0034】
本発明の植生土嚢は、特に土木工事における地盤法面、例えば傾斜地の斜面部分に敷設したり、若しくは建築物の屋上や壁面等の人工地盤に敷設して緑化する場合に好適に用いられる。また、本発明の植生土嚢は、施工面に対して直接植生土嚢を敷設するだけで施工できるので、施工工程が非常に簡略化されるとともに、施工終了と同時に緑化が完成しているので、施工後の養生管理を軽減することができる。
【0035】
また、植生土嚢1には、図1と図2に示すように、長方形状の袋体2を構成する表面21と裏面22とが、その中央部分で長手方向に沿って溶着され、これにより形成された溶着部24によって、袋体内部に2個の培土収容部を形成することもできる。かかる溶着部24を設けることにより、充填された培土3の片寄りを減少させることができる。なお、図1及び図2では、1本の溶着部が形成されているが、例えば縦横に複数の溶着部24を形成するようにすれば、培土の片寄り防止効果をより効果的に発揮させることができる。
【0036】
溶着部24を形成するための溶着手段としては、袋体の構成資材に用いる不織布の種類、材質、厚み、サイズ等に応じて公知の手段を適宜採用すればよく、例えば熱溶着(熱風式、熱版式、インパルス式、コテ式)、高周波溶着、超音波溶着などが挙げられる。本発明では、溶着部の接合強度の点から、特に高周波溶着が好ましく用いられる。
【0037】
また、植生土嚢の他の実施形態としては、袋体を構成する表面が略平坦に形成され、袋体を構成する裏面がその外側に湾曲するようにして袋体を形成することもできる(図3参照)。袋体をこのような構成とすることにより、表面21に播かれた植物の種や苗の位置ずれを防止したり、落下を防止することができるため、出荷前における植物の植栽の作業性を向上させることができる。また、上記と同様の目的に適用される他の実施形態としては、袋体を構成する表面が略平坦に形成され、袋体を構成する裏面がその外側に方形を形成するようにして袋体を形成することもできる。
【0038】
また、本発明の植生土嚢と他の構成部材を組合わせることにより、植生土嚢と同様の目的に使用できる植生ユニットを形成することができる。図4は、図3に示した植生土嚢1を用いて構成した植生ユニットの一実施例を示したものである。植生ユニット5は、植生土嚢1の裏面に、無機質からなる多数の多孔質体61が空隙を形成した状態で、容器7内に堆積又は充填されて、排水層6が積層されて構成されている。また、植生ユニット5は、植生土嚢1を構成する植物の根(図示せず)が排水層6の空隙に進入することにより、排水層6に絡み合っている。
【0039】
このような構成からなる植生ユニット5は、植生土嚢1と図示しない施工面との間に高い通気性を有する排水層6が存在する。このため、特に夏期において、排水層6は太陽の放射熱の熱伝導性を低く抑える、すなわち断熱材としての作用を発揮するため、図示しない施工面の温度上昇を緩和することができる。また、排水層6は、高い通水性を有するため乾燥状態が保持される。このため、特に夏期において、施工後における最も多い事故である、植物の根腐れを効果的に抑制することができる。
【0040】
排水層6を構成する多孔質体61は、通気性と通水性を有する無機質であれば特に限定されることなく用いられる。本発明では、一般的には、軽石、黒曜石パーライト、真珠石パーライト、大粒石等の培土に配合される公知の無機質が好ましく用いられる。また、特に高い通水性が要求される場合には、陶器、レンガ、珪藻土焼結品、発泡コンクリート、発泡ガラス、軽石、溶岩石等の鉢栽培の底に入れて使用する公知の無機質が好適に用いられる。
【0041】
排水層6は、礫粒としての多孔質体61が相互に重なりあい、目詰まりしない空隙を有する礫層として形成されたものである。このため、排水層6は、上述の如く高い通水性と通気性を備え、かつ植生土嚢1を構成する植物の根が排水層6の空隙に進入して絡み合うことにより、結果的に植生土嚢1と排水層6とが一体化されたものとなる。
【0042】
容器7は、上記多孔質体61を収容して排水層6を形成するために主として用いられるものであり、植生土嚢1と略同一サイズの浅底の容器(いわゆる、「バット」と称されるもの)が好ましく用いられる。
【0043】
本発明の植生ユニット5は、まず植生土嚢1と略同一サイズの浅底の容器7に多孔質体61を、植生土嚢1の厚みと同程度若しくはそれ以下の厚みに敷き詰め、その上に植生土嚢1を載置して、播苗、播種を行ない、数ヶ月育成を行ない形成される。本発明では、かかる処理を出荷前に行ない、施工時に植生された植生土嚢をもって植生ユニット5を敷き詰める施工方法を採用することもできるし、施工時に上記の処理を行ない、施工後数ヶ月の時間を経て植生ユニット5が形成される施工方法を採用することもできる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0045】
[植物の活着性能の評価]
以下に示す不織布を構成資材として、縦35cm、横100cmの長方形状の不織布を、長手方向に二枚に折り重ねて表面と裏面を形成し、次いで高周波溶着により長手方向の対向する二辺の縁に沿って表面と裏面を溶着することにより口部を有する袋体を作成した。続いて袋体の口部から以下に示す培土を約4L充填した後、上記と同様の高周波溶着で口部を溶着することにより、表面と裏面の周縁が密封された袋体を作成した。次いで、作成した袋体の表面外側にメキシコマンネングサ(以下必要に応じて「植物」と略する)の種を播種して室温にて保管し、1週間毎に散水を行なって植物の根が上記袋体に活着するか否か目視観察を行なった。
【0046】
(不織布)
ポリエチレンテレフタレート(帝人社、商品名;テイジンテトロン)を構成資材とするニードルパンチ法により製造した不織布を用いた。なお、この不織布の内部には、延伸したポリエチレン繊維を縦横に連続的に積層してメッシュ構造としたものを補強材として積層した。
また、試験に供した不織布は、30、50、100、200、300、350、400g/m2の目付を有し、各々の目付について0.5、1、2、4、6、8、10mmの厚みを有する不織布(全部で49種類)を用いた。
なお、不織布の厚みは次のように測定した。すなわち、上述の不織布と各々同一ロットの不織布を25cm×25cm角にカットして、それを12枚重ねにしたものを試料とした。次に、この試料の上に200gの薄板を置き、試料を縦方向に6分割、横方向に2分割した各々の交点(全部で5点)における高さを求めてその平均をとり、その平均値を12で除した値を厚みとした。
【0047】
(培土)
パミス、ピートモス、黒土、肥料、堆肥、バーミキュライトを各々450L、200L、600L、10L、100L、300L混合したものを培土とした。
【0048】
上記試験の結果、厚みが0.5〜8mmで、かつ目付が30〜300g/m2の範囲にある不織布を構成資材とするものについてのみ、植物が袋体に活着することが確認された。
【0049】
[雑草の発生抑制効果]
上記試験にて植物の活着が確認された袋体(厚みが0.5〜8mmで、かつ目付が30〜300g/m2の範囲にある不織布を構成資材とする袋体;全部で30種類)を畑地露天に直接載置し、以後養生管理を行なわずに6ヶ月経過した時点で、下記の評価基準に基づいて袋体に雑草が繁茂しているか否かを観察した。結果を[表1]に示す。
(評価基準)
○・・・・雑草繁茂率が袋体上面の5%未満
△・・・・雑草繁茂率が袋体上面の5%以上10%未満
×・・・・雑草繁茂率が袋体上面の10%以上
【0050】
【表1】
【0051】
上記試験の結果、1〜8mmの厚みを有する袋体は、全て雑草繁茂率が5%未満となることが認められた。これに対して、0.5mmの厚みを有する袋体は、全て雑草繁茂率が5%以上であることが確認された。以上の結果から、厚みが1〜8mmで、かつ目付が30〜300g/m2の範囲にある不織布を構成資材とする袋体についてのみ、施工前に植物を確実に植栽でき、かつ施工後において雑草の発芽、生育を効果的に抑制できることが確認された。
【0052】
[植生ユニットの温度上昇の緩和効果]
(植生ユニット)
以下の植生土嚢と略同一サイズの浅底容器(バット)に多孔質体として黒曜石パーライト(芙蓉パーライト社、商品名;ビーナスライト)を厚み約3cmに敷き詰め、その上に、上記試験で用いた不織布(目付150g/m2、厚み1.5mm)を構成資材とする、メキシコマンネングサの繁茂率が約90%の植生土嚢(縦35cm、横50cm、厚み5cm)を載置し、3ヶ月その状態を維持することにより、植生土嚢を構成する植物の根が、黒曜石パーライトからなる排水層の空隙に進入することにより、排水層に絡み合っている植生ユニットを作成した。
【0053】
(1)乾燥状態における温度上昇の緩和効果
夏期(8月)に、ビル屋上のスラブ面に上記の植生ユニット25個を、5行5列に隣接して載置することにより植生ユニットの施工を行ない、中央植生ユニットにて9:00から18:00にかけて1時間ごとに、植生ユニットの下部分の温度(以下、「ユニット下温度」という)を測定するとともに、外気温度並びに植生ユニットが施工されていないスラブ面温度を測定した。結果を図5に示す。
【0054】
図5の結果から、スラブ面温度は35〜56℃という高い温度と、最大21℃の温度高低差を示したのに対し、ユニット下温度は28〜36℃という、外気温度とほぼ同レベルの温度と、最大8℃という温度高低差を示した。以上の結果から、乾燥状態において、植生ユニットは、その下のスラブ面の温度上昇を緩和する効果が非常に大きいことが確認された。
【0055】
(2)湿潤状態における温度上昇の緩和効果
植生ユニットに散水し、15時間経過後に温度測定を開始した以外は、上記(1)の乾燥状態における温度上昇の緩和効果と同様に行なった。なお、植生ユニットの散水前の重量は2.7kgであり、散水して15時間経過後の重量は4.6kgであった。結果を図6に示す。
【0056】
図6の結果から、スラブ面温度は30〜53℃という高い温度と、最大23℃の温度高低差を示したのに対し、ユニット下温度は27〜30℃という、外気温度よりも低い温度と、最大3℃という温度高低差を示した。以上の結果から、湿潤状態において、植生ユニットは、その下のスラブ面の温度上昇を緩和する効果が非常に大きいことが確認された。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の植生土嚢は、特定範囲の目付と厚みを有する不織布を袋体の構成資材とするので、出荷前において植物を一定の繁茂率で植栽することができるとともに、施工後において雑草の発芽、生育を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の植生土嚢の第一実施例を示す斜視説明図である。
【図2】図1の植生土嚢の断面図である。
【図3】本発明の植生土嚢の第二実施例を示す断面図である。
【図4】本発明の植生ユニットの一実施例を示す断面図である。
【図5】乾燥状態における植生ユニットの温度上昇の緩和効果を示す図である。
【図6】湿潤状態における植生ユニットの温度上昇の緩和効果を示す図である。
【符号の説明】
1 植生土嚢
2 袋体
21 表面
22 裏面
23 培土収容部
24 溶着部
3 培土
4 植物
5 植生ユニット
6 排水層
61 多孔質体
7 容器
Claims (5)
- 表面と裏面とから構成され、その周縁が密封されている袋体と、この袋体の内部に充填されている培土と、この袋体を構成する表面の外側に植物の種を播種し、若しくは植物の苗を播苗することにより袋体に活着されている植物と、から構成される植生土嚢であって、
前記袋体は、50〜300g/m2の目付と1〜8mmの厚みを有する疎水性の不織布を構成資材とするものである植生土嚢。 - 袋体を構成する不織布がニードルパンチ法により製造されたものである請求項1に記載の植生土嚢。
- 袋体を構成する表面と裏面とが少なくとも一箇所以上溶着されることにより、袋体内部に複数の培土収容部が形成されている請求項1または請求項2に記載の植生土嚢。
- 袋体を構成する表面が略平坦に形成され、袋体を構成する裏面がその外側方向に湾曲して、又は方形に形成されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の植生土嚢。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載の植生土嚢の裏面に、無機質からなる多数の多孔質体が空隙を形成した状態で、容器内に堆積又は充填されている排水層が積層されており、
前記植生土嚢を構成する植物の根が、前記排水層の空隙に進入することにより、排水層に絡み合っている植生ユニット。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006101742A (ja) * | 2004-10-04 | 2006-04-20 | Shinichiro Hayashi | 緑化用マット |
JP2007151449A (ja) * | 2005-12-02 | 2007-06-21 | Kureha Ltd | 緑化用マット構造体 |
JP2015092842A (ja) * | 2013-11-11 | 2015-05-18 | 株式会社タカショー | プランター |
JP2015101940A (ja) * | 2013-11-28 | 2015-06-04 | 日本植生株式会社 | 不織布並びにこれを用いた侵食防止材及び侵食防止方法 |
JP2016082695A (ja) * | 2014-10-16 | 2016-05-16 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 電動パワーステアリングモータのロータ、これを備えた電動パワーステアリングモータ、及びこれらの製造方法 |
-
2002
- 2002-11-11 JP JP2002326330A patent/JP2004159513A/ja active Pending
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