JP2004158426A - 反射型イオン付着質量分析装置 - Google Patents

反射型イオン付着質量分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い測定感度により微量成分を検出でき、質量分析計の擾乱、金属イオン放出体の劣化、装置サイズ、直接サンプリング等の問題を解決し、産業に幅広く適用できる一般的な分析方法としての反射型イオン付着質量分析装置を提供する。
【解決手段】この反射型イオン付着質量分析装置は、金属イオン発生領域1と付着領域2と質量分析領域3を備え、金属イオン発生領域と質量分析領域は共通の領域10として形成され、付着領域は共通の領域に隣接して設けられる。付着領域には、金属イオン発生領域から付着領域内に導入された金属イオンを反射させることにより質量分析領域へ導く静電界を形成する静電界発生部9を備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射型イオン付着質量分析装置に関し、特に、被測定ガスの成分を高感度かつ高精度で測定する反射型イオン付着質量分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオン付着質量分析方法(IAMS;Ion Attachment Mass Spectrometer )は、被測定ガスの分子を解離(フラグメントを生じさせること:元の分子をばらばらにすること)させることなくイオン化し、当該分子イオンを質量分析領域に移動させてその質量分析を行う方法である。イオン付着質量分析方法を実施する装置については、従来、いくつかの特許文献1〜8あるいは非特許文献1〜4で提案されている。
【0003】
本発明との関係で従来のイオン付着質量分析装置の基本的構成を図22を参照して説明する。図22において、1は金属イオン発生領域、2は付着領域、3は質量分析領域である。金属イオン発生領域1と付着領域2は同じ真空環境として形成される。付着領域2と質量分析領域3の間には隔壁6が設けられる。隔壁6には孔6aが形成されている。金属イオン発生領域1には金属イオン放出体(エミッタ)4が配置されている。図22中、5は金属イオンと付着イオンの移動軌跡を示す。質量分析領域3内には質量分析計8が設けられ、かつ真空ポンプ7が付設されている。
【0004】
金属イオン発生領域1、付着領域2、質量分析領域3は、すべて大気圧以下の減圧雰囲気となっている。金属イオン発生領域1では、アルカリ金属の酸化物である金属イオン放出体4が加熱され、Liなどの正電荷の金属イオンが発生している。金属イオン放出体4には図示しない電源による電圧印加で電流が供給され、加熱される。金属イオンは、電界によって、金属イオン発生領域1から付着領域2に輸送される。付着領域2には被測定ガス(試料ガス)の導入機構30によって被測定ガスが導入されている。被測定ガスの分子における電荷の片寄りのある場所に金属イオンが緩やかに付着する。金属イオンが付着した分子は全体として正電荷を持つイオンとなって付着イオン(擬分子イオン)が生成される。
【0005】
上記付着が行われた時に余分となるエネルギ、すなわち余剰エネルギは非常に小さいため、解離は発生しない。しかし、金属イオンが付着イオンから再び脱離(金属イオンが被測定ガス分子から外れる)しないように、余剰エネルギを雰囲気ガスとの衝突により取り除かなければならない。また付着の効率を上げるため、高い電圧によって金属イオン放出体4から引き出された金属イオンを雰囲気ガスとの衝突により、並進エネルギ1eV以下まで減速させなければならない。1eV以上の並進エネルギを持つ金属イオンは被測定ガス分子と接触しても、ほとんどが付着せずに離れてしまう。この2つの効果を最大とするために、従来のイオン付着質量分析装置では付着領域2の圧力を100Pa程度にするのが一般的であった。ただし、100Paの圧力ではイオンの動きがスムーズではなく、測定結果の定量性に問題が生じる。そこで最近では、減速は電界によって行うこととして、付着領域の圧力を1Pa程度で動作させる方法が開発されつつある。
【0006】
上記のごとくして生成した付着イオンは、電界によって再び加速され、孔付き隔壁6を通過して質量分析領域3に輸送される。Qポール型質量分析計など電磁気力を利用した質量分析計8が、付着イオンを質量電荷比(質量数)ごとに分別して計測する。質量分析計は、通常、10−3Pa以下の圧力でしか動作できないので、孔付き隔壁6によって圧力差を発生させている。図22は一般的な従来例を示したが、個々の従来では差動排気領域の有無や真空ポンプの数などが異なっている場合もある。
【0007】
また従来では、電子付着質量分析装置も提案されている(特許文献7)。この特許文献に開示される電子付着質量分析装置によれば、中性のガスに電子を付着させて全体として負のイオンにして質量分析する。さらに電界を利用して電子の速度を減速させ、対象のガス分子に電子を付着させて負イオンを作る技術思想も提案されている(特許文献8)。この特許文献によれば、ミラー静電界を利用して電子の速度を0またはそれに近い値にし、電子のガスへの付着を可能にしている。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−11485号公報
【特許文献2】
特開2001−174437号公報
【特許文献3】
特開2001−351567号公報
【特許文献4】
特開2001−351568号公報
【特許文献5】
特開2002−124208号公報
【特許文献6】
特開2002−170518号公報
【特許文献7】
米国特許第4,933,551号明細書
【特許文献8】
米国特許第4,649,278号明細書
【非特許文献1】
ホッジ(Hodge),「アナリティカル・ケミストリ(Analytcal Chemistry)」,(米国),1976,vol.48,No.6,P.825
【非特許文献2】
ボムビック(Bombick),「アナリティカル・ケミストリ(Analytcal Chemistry)」,(米国),1984,vol.56,No.3,P.396
【非特許文献3】
藤井,「アナリティカル・ケミストリ(Analytcal Chemistry)」,(米国),1989,vol.61,No.9,P.1026
【非特許文献4】
藤井,「ケミカル・フィジクス・レターズ(Chemical Physics Letters)」,(米国),1992,vol.191,No.1.2,P.162
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のイオン付着質量分析装置はいずれも分子を解離させずにイオン化することができ、被測定ガスの成分同定(定性分析)に関しては正しく行うことができた。これは他の手法を凌駕するものであって、科学技術や産業分野からイオン付着質量分析装置に大きな期待がかけられている。しかしながら、イオン付着質量分析装置には測定感度が不十分で微量成分の検出が難しいという弱点があった。特に、定量性を向上させる目的で付着領域2の圧力を1Paとする方法では測定感度はより悪化してしまうので、測定感度の不足は深刻な問題となっている。
【0010】
感度不足の理由について説明する。図22に示すごとく、従来のイオン付着質量分析装置では、金属イオン発生領域1、付着領域2、質量分析領域3の順番でそれぞれ隣接して位置しており、金属イオン放出体4と質量分析計8は付着領域2を挟んでほぼ一直線上に設置されている。従って、金属イオン放出体4から発生した金属イオンは付着領域2にて付着イオンに変化しても、方向を変えずにそのまま質量分析計8へ直進する。もし途中で並進エネルギの変化がない場合には、イオンを直進させる従来の方式はイオンの制御が最も容易で確実なものとなる。しかし、実際には途中で大幅な減速と加速が行われており、従来の方式では決して十分な制御が行われていない。
【0011】
具体的には、金属イオン放出体4からの金属イオンの引出し・輸送のため最初は金属イオンの並進エネルギは10〜20eVとなっているが、付着領域2では付着効率を向上させるために1eV以下まで減速している。その後、生成した付着イオンは加速され、再び10〜20eVの並進エネルギで質量分析計8に輸送される。このような大幅な減速が行われると、個々のイオンがもともと持っている横方向の並進エネルギ成分が強く出現し、イオンは空間的に大きく広がってしまう。このようにほぼ停止状態で空間に広がっているイオンを、再び同じ方向に加速させて集束させることは非常に困難となる。そのため、実際に検出される付着イオンは、生成された付着イオンの総量よりも桁違いに小さなものとなっている。
【0012】
特に、定量性を向上するためガスによる衝突を使わず、静電界のみにて減速を行う場合は、この問題がより深刻となる。静電界だけでは、イオンを減速・停止させた後再び同じ方向に加速させることは本質的に不可能となる。時間的に変化する電界を用いればこれは可能であるが、輸送・付着のプロセスが断続的となるので、時間平均での効率は非常に低下する。例えば特許文献8では時間的に変化する電界を利用している。
【0013】
以上のように、直進させながらの減速・加速におけるイオン制御の問題が従来のイオン質量分析装置における測定感度不足の大きな理由となっている。
【0014】
金属イオン放出体4と質量分析計8が同一直線上に配置されかつ対向している状態にある従来のイオン付着質量分析装置では、上記の測定感度不足以外についても、次ぎのような問題点もあった。
【0015】
(1)質量分析計8に擾乱(金属イオン放出体4からの光や中性粒子など)が入りやすい。
(2)金属イオン放出体4が劣化しやすい。
(3)装置サイズが大きい。
(4)直接モニタリングが難しい。
【0016】
上記の問題点について説明する。高温に加熱されている金属イオン放出体4からは光や中性粒子なども発生するが、これらは電荷を持たないため直進し対向している質量分析計8に入り込んでバックグランドレベルの上昇や電極の汚れなどを引き起こす。特に、質量分析計8として一般的なQポール型質量分析計は軸に平行な4本のポールから構成されているため、正面から直進して来る、すなわち軸に平行に飛来してくる光や中性粒子はQポール型質量分析計の奥深くまで入り込み、極めて深刻な問題となる。
【0017】
金属イオン放出体4は、被測定ガスが導入される付着領域2と真空的に同じ領域に位置している。そのため、高温に加熱されている金属イオン放出体表面は常に被測定ガスに曝され、金属イオン放出体表面で被測定ガスが反応を起こし、金属イオン放出体表面に生成物が堆積したり、あるいは表面をエッチングして金属イオン放出体4の劣化を引き起こす。
【0018】
また装置の構造としては、金属イオン発生領域1、付着領域2、質量分析領域3の3つが順に並んでいるので、全体の装置サイズが大きくなる。また被測定ガスが導入されるべき付着領域2が装置の中央部に位置しているため、被測定ガス成分の変化を引き起こす配管を使わずに被測定部と付着領域とを直結する直接サンプリングが難しくなっている。
【0019】
さらに特許文献7に開示される電子付着質量分析法では、電子を減速させる工夫がなされている。しかし、電子付着質量分析法は負イオンになりやすい負性ガスのみに電子が付着し、またほとんどの場合、電子付着後に解離が発生する、という特性を有する。イオン付着質量分析法ではそのような特性がなく、まったく異なるイオン化法である。さらに電子付着では付着される電子はガスの電子軌道まで電子が侵入するのに対して、イオン付着では金属イオンはガスと緩やかな結合関係を作り出す。以上のことから、電子付着質量分析法は一部の学術研究のための非常に特殊な分析法に留まるのに対して、イオン付着質量分析法は幅広い産業に利用される極めて一般的な分析方法として位置づけることができる。
【0020】
また他の観点で、図22に示した従来のイオン付着質量分析装置では、金属イオン発生領域の圧力と付着領域の圧力とがほぼ同じとなり、金属イオン放出体から放出された金属イオンを減速するのが難しいという問題があった。従って、金属イオン発生領域の圧力と付着領域の圧力と間で十分な差を付けることが可能な構成とし、金属イオン放出体から放出された金属イオンが付着領域に向かう途中で十分に減速されるようにすることが望まれる。
【0021】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、高い測定感度により微量成分を検出できると共に、質量分析計の擾乱、金属イオン放出体の劣化、装置サイズ、直接サンプリング等の問題を解決し、さらに産業に幅広く適用できる一般的な分析方法としての反射型イオン付着質量分析装置を提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、金属イオン発生領域の圧力と付着領域の圧力を異ならせて金属イオンの十分な減速を行うことのできる反射型イオン付着質量分析装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係る反射型イオン付着質量分析装置は、上記目的を達成するために、次の通り構成される。
【0024】
第1の反射型イオン付着質量分析装置(請求項1に対応)は、金属イオン発生領域で発生させた正電荷の金属イオンを付着領域で被測定ガスの分子に付着させて付着イオンを生成し、その後、質量分析領域で付着イオンの質量分析を行う装置であって、金属イオン発生領域と質量分析領域は共通の領域として形成され、付着領域は共通の領域に隣接して設けられる。付着領域には、金属イオン発生領域から付着領域内に導入された金属イオンを反射させることにより質量分析領域へ導く静電界を形成する静電界発生部を備える。
【0025】
第2の反射型イオン付着質量分析装置(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、反射によって金属イオンの並進エネルギを低下させることを特徴とする。
【0026】
第3の反射型イオン付着質量分析装置(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、金属イオンを反射させる静電界によって付着イオンを加速・収束させることを特徴とする。
【0027】
第4の反射型イオン付着質量分析装置(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、静電界発生部は金属イオンまたは付着イオンを透過させるグリッドを使用せずに静電界を形成することを特徴とする。
【0028】
第5の反射型イオン付着質量分析装置(請求項5に対応)は、上記の構成において、好ましくは、静電界に補正電界を重畳し、金属イオンおよび付着イオンの軌道を調整することを特徴とする。
【0029】
第6の反射型イオン付着質量分析装置(請求項6に対応)は、上記の構成において、好ましくは、静電界の強度分布がほぼ回転楕円体であることで特徴づけられる。
【0030】
第7の反射型イオン付着質量分析装置(請求項7に対応)は、上記の構成において、好ましくは、静電界の強度分布がほぼ球体であることを特徴とする。
【0031】
第8の反射型イオン付着質量分析装置(請求項8に対応)は、上記の構成において、好ましくは、付着領域と金属イオン発生領域および質量分析領域との間に隔壁が設けられ、この隔壁は、金属イオン発生領域から付着領域へ金属イオンを導入する孔と、付着領域から質量分析領域へ付着イオンを輸送する孔を有することで特徴づけられる。
【0032】
第9の反射型イオン付着質量分析装置(請求項9に対応)は、上記の構成において、好ましくは、付着領域と金属イオン発生領域および質量分析領域との間に隔壁が設けられ、この隔壁は、金属イオン発生領域から付着領域へ金属イオンを導入し、かつ付着領域から質量分析領域へ付着イオンを輸送する1つの孔を有することで特徴づけられる。
【0033】
ここで、前述の第1〜第9の本発明に係る反射型イオン付着質量分析装置について作用面に関して説明する。従来技術の箇所で述べた問題点は、すべて金属イオン放出体と質量分析計が付着領域を挟んでほぼ一直線上にて対向して設置され、金属イオンおよび付着イオンが直進していることに起因している。そこで、金属イオン放出体と質量分析計を同一の領域に並べて設置し、金属イオンを付着領域で反射させて反射の過程で付着イオンを生成、戻ってくる付着イオンを集束させ、質量分析計に導くようにする。これにより、上記問題について基本的な解決に導くことができる。
【0034】
本発明が依っている静電界におけるイオンの特徴的な挙動、すなわち「静電界では、同じ並進エネルギを持つイオンは、質量に拘らず全く同じ軌道を飛行する」について確認する。重いイオンは、軽いイオンに比べると同じ並進エネルギでも実際の速度は遅い。そのため、静電界を通過する時間は長くなり、静電界から受ける力は強くなる。しかし、質量が重いので、加速度(=力/質量)は同じとなり、軌道としては軽いイオンと全く同じになる。静電界の中で、金属イオンは途中で付着イオンとなってイオンの質量は増加するが、軌道の変化は全く生じない。
【0035】
本発明の構成では、以下のごとき作用・効果に基づいて、前述した課題の解決が行われる。
【0036】
(a)静電界によって鋭角で反射する場合、金属イオンは十分に減速するので付着の効率は非常に高くなる。
(b)減速時に生成された付着イオンは、同じ静電界によってそのまま逆方向に加速されるので、精度の良いイオン制御が行われる。
(c)静電界の形状を適切にすれば、金属イオンが空間的に広がっても付着イオンは逆の軌道をたどって集束するので、効率の良い検出が行える。
(d)金属イオン放出体と質量分析計が対向していないので、金属イオン放出体からの光や中性粒子は質量分析計に侵入できず、常に正常な質量分析を行うことができる。
(e)金属イオン放出体が10−3Pa以下であるべき質量分析計と同じ領域にあるため、被測定ガスとの接触が大幅に低減され、金属イオン放出体の劣化が生じない。
(f)独立した金属イオン発生領域がなくなるので、装置サイズを小さくできる。
(g)付着領域が装置の先端に位置するので、被測定部と直結する直接サンプリングが行える。
【0037】
次に、第10の反射型イオン付着質量分析装置(請求項10に対応)は、金属イオン発生領域で発生させた正電荷の金属イオンを付着領域で被測定ガスの分子に付着させて付着イオンを生成し、その後、質量分析領域で付着イオンの質量分析を行う装置であり、金属イオンを付着領域に入射し、この付着領域にて金属イオンを反射させながら被測定ガスの分子に付着させて付着イオンを発生し、この付着イオンを付着領域から射出させ質量分析計で付着イオンの質量分析を行う反射型構造部を有し、さらに金属イオンが付着領域に入射する孔と、付着イオンが付着領域から射出する孔とが同一の共通孔である。
【0038】
第11の反射型イオン付着質量分析装置(請求項11に対応)は、上記の第10の構成において、好ましくは、共通孔に入射する前の金属イオンの軌道と、共通孔から射出された後の付着イオンの軌道とを、電場または磁場によって分離することで特徴づけられる。
【0039】
第12の反射型イオン付着質量分析装置(請求項12に対応)は、上記の構成において、好ましくは、付着領域の電場の分布を共通孔を中心とした球面状にすることで特徴づけられる。
【0040】
第13の反射型イオン付着質量分析装置(請求項13に対応)は、上記の構成において、好ましくは、付着領域に超音速ジェットを形成することで特徴づけられる。
【0041】
第10〜第13の本発明に係る反射型イオン付着質量分析装置では次の作用を有する。イオン付着質量分析装置で利用し得る程度の金属イオンおよび付着イオンの密度では両者が同じ場所ですれ違っても互いの影響はほとんど無視される。そこで、反射型イオン付着質量分析装置の構造を採用する共に、「付着領域」、「金属イオン発生領域」、「質量分析領域」の順序で設置させた上で、「付着領域」と「金属イオン発生領域」の境界において金属イオンと付着イオンが同じ一つの孔(両イオン通過孔)を通過するように構成する。
【0042】
金属イオン発生領域では、金属イオンと付着イオンの軌道を電場や磁場により分離させて金属イオン放出体と質量分析計が干渉しないようにしている。付着領域では、球面電場を使用することにより、両イオン通過孔から放出された金属イオンが付着イオンとなって同じ場所に戻るようにする。
【0043】
また、付着領域の別の構造として、超音速型イオン付着質量分析装置と同様にして発生させた超音速ジェットの内部に、スキマー型の両イオン通過孔をマッハディスクから挿入させている。
【0044】
反射型構造を有するイオン付着質量分析装置では、金属イオンの減速を十分に行うことができ、付着イオンを生成効率を高めることができ、測定感度が高くなる。両イオン通過孔の構造を採用することによって、圧力差を十分につけることが可能となり、かつ高圧での測定に有効となる。これに対して2つの孔構造の場合には、イオンの飛行を乱さないような低い圧力で有効となる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0046】
実施形態で説明される構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成要素の組成(材質)については例示にすぎない。従って本発明は、以下に説明される実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0047】
図1は本発明の第1実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。図1において、図22で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付している。
【0048】
図1において、2は付着領域、10は金属イオン発生領域と質量分析領域が共通に形成された領域(共通領域)である。付着領域2は装置の図中左端部に単独の室として形成される。付着領域2と共通領域10の間には2つの孔11a,11bが形成された隔壁11が配置され、隔壁11によって2つの領域が分離される。共通領域10には金属イオン放出体(エミッタ)4と質量分析計8が配置される。金属イオン放出体4は孔11aに対応して配置され、質量分析計8は孔11bに対応して配置されている。金属イオン放出体4から放出された正電荷の金属イオンは孔11aを通って付着領域2内に入る。付着領域2には二重半球型の反射器9が設けられている。付着領域2における反射器9内での5は金属イオンと付着イオンの移動の軌跡である。付着領域2内に入った金属イオンは反射器9の入口に入り、反射器9の内部を移動する。共通領域10には真空ポンプ7が付設されている。被測定対象である試料ガスは、当該試料ガスの導入機構30によって付着領域2の反射器9内に導入される。
【0049】
金属イオン発生および質量分析の共通領域10と付着領域2との間に2つ孔付き隔壁11によって圧力差が生じており、付着領域2は試料ガスが導入されて約1Paの圧力となっているのに対して、金属イオン発生と質量分析の共通領域10は約10−3Paとなっている。金属イオンは例えばLiが使用されている。Liの10−3Paでの平均自由行程は10m程度、1Paでの平均自由行程は10mm程度となっているので、イオンはいずれの領域でも雰囲気ガスと衝突せずに進む自由飛行となっている。
【0050】
金属イオン放出体4には、図示しない電源によって約15Vのバイアス電圧が印加されているので、金属イオン放出体4から放出された金属イオンは、約15eVの並進エネルギを持って隔壁11の孔11aを通過し付着領域2に輸送・導入される。二重半球型の反射器9の内外の半球9a,9bには電圧が印加され、約15eVの並進エネルギのイオンが通過できるような静電界が形成されている。そこで、金属イオンは二重半球型の反射器9を通過するが、その途中で被測定ガスに付着して付着イオンとなる。付着イオンとなってもイオンの移動の軌道は変わらない。当初の軌道のまま進み隔壁11の孔11bを通過して質量分析計8まで輸送され、当該質量分析計8で質量分析が行われる。上記のような静電界は、角度的に広がりを持って付着領域2に入射されたイオンを集束する機能を有している。
【0051】
第1実施形態によれば、金属イオンは常に約15eVの並進エネルギを持って飛行するので、減速による付着効率の向上は期待できない。しかしながら、前述した(a)と(b)を除けば、すべての課題の解決に効果がある。
【0052】
次に図2を参照して本発明の第2実施形態を説明する。図2は本発明の第2実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。図2において、図1で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第2実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0053】
図2に示すごとく、第2実施形態では、付着領域2には平行電界を作るように構成された反射器12が設けられている。共通領域10に配置される金属イオン放出体4と質量分析計8は、金属イオン放出体4から放出される金属イオンの放出方向、質量分析計8の軸方向が付着領域側の1つの点に向くように傾斜されている。また金属イオン放出体4と質量分析計8の傾斜に対応して隔壁11に形成される2つの孔11a,11bも金属イオンや付着イオンを誘導する方向を傾斜させるようにして形成されている。その他の構成は第1実施形態で説明された構成と同じである。
【0054】
平行電界の反射器12では、図2中、右側(共通領域10側)のグリッド12aと左側の板12bの間に平行な静電界を形成している。グリッド12aは、ワイヤで編まれたメッシュ状の部材、あるいは多数の孔を有する板材である。反射器12では、静電界により、正電荷のイオンは図2中右方向に力を受けるようになっている。金属イオン放出体4から左側やや上方に向けて放出された金属イオンは、この静電界により減速されて30°程度の鋭角で反射される。反射時には、並進エネルギのうち図の水平方向成分は完全にゼロとなり、上下方向成分だけしか残らない。当初の並進エネルギをEとすると、反射時に残っている並進エネルギはE・sin(30°/2)となる。このように減速されたLiは試料ガスの分子に効率よく付着する。反射器12において生成された付着イオンは、同じ静電界により右側やや上方に向けてリターンして、質量分析計8に輸送される。
【0055】
第2実施形態によれば、第1実施形態に比べると、構造が簡単な上に、金属イオンの減速が行われるので、付着効率の向上が期待できる。他方、イオンを集束する機能はない。すなわち前述した(c)を除けば、すべての課題の解決に効果がある。
【0056】
次に図3を参照して本発明の第3実施形態を説明する。図3は本発明の第3実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。図3において、図1および図2で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第3実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0057】
図3に示すごとく、第3実施形態では、付着領域2に曲面電界を生成するように構成された反射器13が設けられている。その他の構成は、第2実施形態の構成と同じである。
【0058】
曲面電界の反射器13では、右側のグリッド13aと左側の湾曲した板13bの間には立体的な曲面(例えば放物面)を持った静電界が形成され、この静電界の領域に侵入した正電荷のイオンは右側やや中心方向に力を受けるようになっている。反射の過程で生成した付着イオンは静電界により右側やや上方にむけて加速されるが、この時にやや中心方向を向くので質量分析計8に効率的に輸送される。
【0059】
第3実施形態によれば、第2実施形態に比べると、イオンを集束する機能がある。すなわち、前述した(a)〜(g)のすべての課題の解決について効果がある。
【0060】
次に図4を参照して本発明の第4実施形態を説明する。図4は本発明の第4実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。図4において、図1および図2で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第4実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0061】
図4に示すごとく、第4実施形態では、付着領域2にグリッドレス曲面電界の反射器14が設けられる。その他の構成は、第2実施形態等の構成と同じである。グリッドレス曲面電界の反射器14では、金属イオンあるいは付着イオンが透過するグリッドは存在しないが、しみ出し電界によって図3に類似した立体的な曲面を持った静電界が形成される。
【0062】
第4実施形態によれば、例えば第3実施形態に比べると、グリッドが存在しないため構造が簡単な上、グリッドに衝突・吸収されて損失するイオンがない。またグリッドではLiや試料ガス(被測定ガス)の生成物が表面に堆積し、チャージアップが発生し感度低下を招くおそれがあるが、本実施形態ではこのような不具合が解消される。
【0063】
次に図5を参照して本発明の第5実施形態を説明する。図5は本発明の第5実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。図5において、図1および図2等で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第5実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0064】
図5に示すごとく、第5実施形態では、付着領域2にグリッドレス曲面電界の反射器14が設けられ、さらに反射器14の内部に例えば3つの補正電極15が設けられる。第5実施形態は第4実施形態の変形例であり、その他の構成は、第4実施形態の構成と同じである。
【0065】
補正電極15には微小な電圧が印加され、反射器14による静電界に補正電極15による補正電界が重畳される。これによって金属イオンおよび付着イオンの移動軌道の調整が行われる。例えば、質量分析計8に向かう付着イオンの軌道が図5中の上方にずれている場合は、上側にある補正電極15により正電圧を印加して付着イオンの軌道を下方に移動させる。また付着イオンの集束が足らない場合は、左側にある補正電極15により負電圧を印加して付着イオンの集束効果を強くする。
【0066】
第5実施形態の構成によれば、イオンの軌道の調整だけでなく、調整が必要かどうかを判断するために軌道の観察を行うこともできる。補正電極15により付着イオンの軌道を2次元走査して検出信号を輝度とした画像を表示すると、画像上で明るい部分が中心に集中していれば調整は不要、中心以外にずれている、あるいは広がっていれば調整が必要となる。
【0067】
第5実施形態によれば、常に最大感度での測定を行うことができるという利点を有している。
【0068】
次に図6を参照して本発明の第6実施形態を説明する。図6は本発明の第6実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。図6において、図1と図3で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。第6実施形態は、第1と第3の実施形態を組み合せて構成される変形例である。以下では第6実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0069】
図6に示すごとく、第6実施形態では、付着領域2に回転楕円体状電界を生成するように構成された反射器16が設けられる。その他の構成は、前述した実施形態と同じである。反射器16は内外2枚の電極から構成され、内側の電極はグリッド状となっており、イオンが通過できる。
【0070】
付着領域2へ金属イオンが入射する点、および付着領域2から付着イオンが射出する点は、回転楕円体における2つの焦点に一致している。
【0071】
理想的な条件として回転楕円体内面で鏡面反射する場合、1つの焦点から入射した光は、どのような角度であってもすべて他の焦点に集束することが知られている。従って第6実施形態によれば、例えば第3実施形態に比べると、イオンの集束効率がより高くなるという利点を有する。
【0072】
次に図7を参照して本発明の第7実施形態を説明する。図7は本発明の第7実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。図7において、図1等で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第7実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0073】
図7に示すごとく、第7実施形態では、付着領域2にグリッドレス回転楕円体状電界の反射器17が設けられる。その他の構成は、第6実施形態の構成と同じである。この実施形態では、反射器17によるしみ出し電界によって図6で説明した静電界に類似した回転楕円体状の静電界が形成される。この実施形態によれば、第6実施形態に比べると、グリッドが存在しないため、構造が簡単になり、感度面で有利であるという利点を有する。
【0074】
次に図8を参照して本発明の第8実施形態を説明する。図8は本発明の第8実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。図8において、図1等で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第8実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0075】
図8に示すごとく、第8実施形態では、付着領域2に球体状電界を生成するように形成された反射器18が設けられる。その他の構成は、図6で説明した構成と同じである。第8実施形態の構成では、付着領域2へ金属イオンが入射する点、および付着領域2から付着イオンが射出する点は、より中心に近づいている。第8実施形態によれば、反射器の製作がより容易であるという利点を有する。
【0076】
次に図9を参照して本発明の第9実施形態を説明する。図9は本発明の第9実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。図9において、図1等で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第9実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0077】
図9に示すごとく、第9実施形態では、グリッドレス球体状電界を生成するように構成された反射器19が設けられる。反射器19によって、しみ出し電界によって図8で説明された類似した球体状の静電界が形成される。その他の構成は、第8実施形態で説明した構成と同じである。この実施形態によれば、グリッドが存在しないため、構造が簡単であり、感度面で有利である。
【0078】
次に図10を参照して本発明の第10実施形態を説明する。図10は本発明の第10実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。図10において、図1や図8等で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第10実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0079】
図10に示すごとく、第10実施形態では、付着領域2に球体状電界を生成するように形成された反射器18が設けられ、付着領域2と共通領域10の間に1つの共通孔(両イオン通過孔)20aを有する隔壁20が設けられている。金属イオン放出体4から付着領域2へ金属イオンが入射する点、および付着領域2から質量分析計8への付着イオンが射出する点は、同位置であり、共に共通孔付き隔壁20の1つの孔20aで行われる。その他の構成は、第8実施形態の構成と基本的に同じである。ただし、金属イオン放出体4のイオン放出の方向、および質量分析計8の中心軸が共通孔20aに向くように、金属イオン放出体4と質量分析計8は図示されるごとく傾斜した姿勢によって配置されている。
【0080】
第10実施形態によれば、隔壁20の孔20aが1つなので圧力差の発生が有利となる。またどこの場所でも静電界の電気力線が中心の孔(射出点)20aの方向を向いているので、自由飛行せずに雰囲気ガスと衝突して並進エネルギを失った一部の付着イオンも射出点に集束させることができ、感度のよい測定を行うことができる。
【0081】
次に図11を参照して本発明の第11実施形態を説明する。図11は本発明の第11実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。図11において、図1や図10等で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第11実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0082】
図11に示すごとく第11実施形態では、共通領域10に静電偏向器21が設けられ、かつ付着領域2と共通領域10の間には共通孔20aを備えた隔壁20が設けられている。付着領域2には、第10実施形態と同様に、球体状電界を生成するように形成された反射器18が配置されている。静電偏向器21では、金属イオン放出体4から放出される金属イオンを90°曲げる偏向静電界と、付着イオンを直進させる無電界の状態が高速で切り換えられる構成が設けられる。この構成は、静電偏向器21における図11中に示された左右の電極(曲線状に形成された板部材)において印加される左右の電圧(左側がマイナス電圧、右側がプラス電圧)の両者をマイクロ秒の時間間隔で所定電圧とゼロ電圧とに交互に切り換えると共に、その中間にゼロ電位となる時間を設定することにより成る。これにより、静電偏向器21にマイナスとプラスの電圧を印加したときには金属イオンは90°偏向し、ゼロ電位に保持されるときには反射してくる付着イオンが質量分析計8の方へ直進することになる。金属イオン放出体4から発生した金属イオンは静電偏向器により90°曲げられて共通孔付き隔壁20の孔20aを通過して付着領域2に輸送・導入される。付着領域2で生成した付着イオンは、共通孔付き隔壁20の孔20aを通過した後、無電界となっている静電偏向器21を直進して質量分析計8に輸送される。なお、このとき、図11で示した静電偏向器21の右側の電極には付着イオンを通過させる通路が形成されているものとする。静電偏向器21の切り換え時間を、金属イオンの輸送・反射、付着イオンの生成・輸送に要する時間に合致させることにより、大きな損失なしに測定が行われる。その他の構成・動作は第8実施形態と同じである。
【0083】
第11実施形態によれば、180°反射となるので反射時に完全な停止状態となり、付着の効率が非常に高くなる。
【0084】
次に図12を参照して本発明の第12実施形態を説明する。図12は本発明の第12実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。第12実施形態は、第11実施形態の変形例である。図12において、図1や図11等で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第12実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0085】
この実施形態では、全体構造として、図12に示す通り、図の左側から付着領域2、金属イオン発生領域41、質量分析領域42の順序で設置されている。金属イオン発生領域41と質量分析領域42の間には開口43aを有した隔壁43が形成されている。この実施形態では、金属イオン発生領域と質量分析領域は共通の領域として形成されていない。
【0086】
金属イオン発生領域41では時間的に変化する静電偏向器44、付着領域2では2枚の反射電極45を使用している。なお図12で、46は金属イオンの移動軌跡を示し、47は付着イオンの移動軌跡を示している。
【0087】
上記の静電偏向器44の詳細は図13に示される。静電偏向器44において、セクタ型の内側電極44aには常に0Vが印加され、外側電極44bにはパルス波形電圧48に基づき所要レベルのプラス電圧と0Vが交互に印加されている。外側電極44bはグリッド状となっており、イオンが通過できるようになっている。金属イオン放出体4から放出された金属イオン46は、外側電極44bがプラス電圧となっている時、両電極間の電場によって偏向されて両イオン通過孔20aを通って付着領域2に入る。付着領域2から両イオン通過孔20aを通って出てきた付着イオン47は、外側電極44bが0Vとなっていれば、直進して質量領域42に入る。
【0088】
付着領域2では金属イオンの減速が行われているので、両イオン通過孔20aに金属イオンが入ってから付着イオンになって出てくるまでの時間は比較的長いので、このような時間変化の制御は容易である。
【0089】
上記の反射電極45の詳細は図14に示される。反射電極45は内外の部分45a,45bが共に球面状であり、その中心は両イオン通過孔20aに一致している。内側反射電極45aはグリッド状となっており、イオンが通過できる。内側反射電極45aには両イオン通過孔20aの付近の電位を同じ0Vが、外側反射電極45bにはプラス電圧が印加されている。両イオン通過孔20aを通って付着領域2に入った金属イオン46は、両イオン通過孔20aを焦点とするコーン状に広がる。これは、金属イオンが減速されるため、最初から持っていた横方向のエネルギが顕在化すること、および金属イオン同士のクーロン斥力の作用時間が長くなることが理由となっている。しかし、付着領域2の電場は両イオン通過孔20aを焦点とする球面電場49となっているので、すべての金属イオンは進行方向と正反対の力を受けて減速する。金属イオンが減速し、さらに停止している間に付着イオンが形成される。この付着イオンは、球面電場49によって今までとは全く逆方向に加速される。加速される方向は両イオン通過孔20aとなるので、すべての付着イオン47は両イオン通過孔20aに集束し、そこを通過する。すなわち、両イオン通過孔20aから付着領域2に入射した金属イオンは反射点(折返し点)で完全に停止し、生成した付着イオンはもと来た軌道をたどって両イオン通過孔20aを通過する。
【0090】
ただし、内側反射電極45aと両イオン通過孔20aの付近の間は球面電場ではなく、自由空間となっているので、付着領域2の圧力はイオンが自由に飛行できる分子流領域(10Pa以下)であることが望ましい。もし、イオンが自由に飛行できない粘性流領域(10Pa以上)であれば、途中でイオンが運動エネルギを失ってその場で滞留するおそれがある。
【0091】
次に図15を参照して本発明の第13実施形態を説明する。図15は本発明の第13実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の要部を概略的に示す。第13実施形態は、第12実施形態の変形例である。図15において、図12と図13で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第13実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0092】
この実施形態では金属イオン発生領域41の静電偏向器の構成が変更される。本実施形態では、付着領域2に対する質量分析領域42の配置が、通過孔を通過した瞬間の両イオンの運動方向からずれた位置、例えば直角方向となっている。従って、本実施形態に係る静電偏向器51は、直交方向の位置関係にある付着領域2と質量分析領域42とを関係づけるものである。
【0093】
以下に質量分析領域42が付着領域2に対して直角に配置されている場合を説明する。図15において、セクタ型の内側電極51aには0V、外側電極51bにはプラス電圧が常に印加されている。金属イオン放出体4から放出された金属イオン46は、傾きを持って両電極間に入り、60°程度偏向されて付着領域2に入る。付着領域2から出てきた付着イオン47は、運動エネルギを失って曲がりやすくなっているので、両電極間で90°偏向されて質量分析領域42に入る。付着領域2の圧力が粘性流領域(1Pa以上)となると、付着イオン47が失う運動エネルギは大きくなり、その値は確定できるので、このような軌道の制御は容易である。
【0094】
なお、金属イオン放出体4に対して質量分析領域42の軸がずれていることは、金属イオン放出体4から放出される中性分子や光が質量分析領域42に侵入し、バックグランドを発生したり、質量分析計を汚染したりすることを防止することができる。
【0095】
次に図16を参照して本発明の第14実施形態を説明する。図16は本発明の第14実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の要部を概略的に示す。第14実施形態は、前述の第12実施形態の変形例である。図16において、図12と図13で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第14実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0096】
この実施形態では、金属イオン発生領域41の偏向器が磁場型装置に変更され、質量分析領域42の配置が金属イオン発生領域41に対してやや斜めとなっている。この磁場偏向器52では、磁場の発生には矩形の2枚の板状永久磁石が平行に配置された機構が使用されている。2枚の永久磁石の両方を同電位として共に矩形波形53で示されるごとき0Vとマイナス電圧が交互に印加されている。金属イオン放出体4から放出された金属イオン46は、永久磁石が0Vとなっているとき、永久磁石間の磁場によって90°偏向されて付着領域2に入る。付着領域2から出てきた付着イオン47は、永久磁石がマイナス電圧となっていれば、永久磁石間を通過する際の運動エネルギが大きくなり、曲がりにくくなっていること、および付着イオンは金属イオンよりも試料分子の分だけ重くなっていることから、多少偏向されるだけで質量分析領域42に入る。
【0097】
なお付着イオンは、試料によって質量が同じではないので、偏向量は試料ごとに異なるが、ここでの偏向角はもともと小さいため質量差による質量分析計への入射効率の差異はほとんどない。
【0098】
次に図17を参照して本発明の第15実施形態を説明する。図17は本発明の第15実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の要部を概略的に示す。第15実施形態は、前述の第14実施形態の変形例である。図17において、図12、図13、図16等で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第15実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0099】
この実施形態では金属イオン発生領域41の磁場偏向器が変更されている。この磁場偏向器54では、永久磁石は、金属イオン46の通過経路は長く、付着イオン47の通過経路は短くなるような形状となっており、常に0Vとなっている。金属イオン放出体4から放出された金属イオンは、長い経路によって90°偏向されて付着領域2に入る。付着領域2から出てきた付着イオン47は、短い経路によって若干偏向され質量分析領域42に入る。経路の長さの違いのみによって金属イオンと付着イオンの偏向角を変えているので、永久磁石の電位を時間的に偏向する必要がない。
【0100】
次に図18を参照して本発明の第16実施形態を説明する。図18は本発明の第16実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の要部を概略的に示す。第16実施形態は、付着領域の反射電極の変形例に特徴がある。図18において、図12、図14等で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第16実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0101】
この実施形態では、付着領域2の反射電極の形状が変更されている。この反射電極55では、外側の反射電極が1枚のみとなっているが、両イオン通過孔20aがコーン状となっており、その内側周辺にリング状の補正電極56が備えられている。この構造によって、両イオン通過孔20aから反射電極55までの間全部がほぼ球面電場57となっている。そのため、付着領域2の圧力が粘性流領域(10Pa以上)であって、途中で付着イオンが運動エネルギを失ったとしても、その場で滞留することなく、加速されて両イオン通過孔20aに集束することができる。
【0102】
次に図19を参照して本発明の第17実施形態を説明する。図19は本発明の第17実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置を概略的に示す。図19において、図12等で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では第17実施形態の特徴的な構成が説明される。
【0103】
この実施形態では、前述した第12の実施形態において、付着領域2に設けられる構成が超音速型の構成に変更されている。全体構造としては、図に示す通り、付着領域2に試料ガス30が導入される部分が細い孔であるノズル61となっている。また付着領域2において固有の真空ポンプ62が備えられている。その他の構成は、第12の実施形態で説明した構成と同じである。
【0104】
上記の付着領域2の詳細な構造が図20に示される。ノズル61の高圧側の空間63の圧力はほぼ大気圧となっており、ノズル61の径は好ましくはほぼ0.1mm程度で低圧側はほぼ1Pa以下となっている。超音速ジェット64のマッハディスク65は、スキマー状部分20bとして形成された両イオン通過孔20aの後ろまで延びている。超音速ジェット64において、66は高圧部、67はバレルショック、68はサイレント部である。また両イオン通過孔20aの金属イオン発生領域41の側は分子流領域となっているので、イオンは自由に飛行できる。従って金属イオン46は、マッハディスク65に阻害されることなく超音速ジェット64の内部に侵入することができる。超音速ジェット64内に入った金属イオンはノズル付近の高圧部66で試料ガスの分子との衝突により減速し、高圧部66とサイレント部68で効率の良い付着が行われる。付着イオンは超音速ジェット64から数eVの運動エネルギを得て両イオン通過孔20aを通過し質量分析領域42の質量分析計8に入る。
【0105】
次に図21を参照して本発明の第18実施形態を説明する。図21は本発明の第18実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置を概略的に示し、この実施形態は第17実施形態の変形例である。図21において、図19等で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施形態では、前述した第17実施形態において、付着領域2と質量分析領域42の各ポンプが廃止され、その代わりに付着領域2と金属イオン発生領域41の境界に排気口71を設け、かつ金属イオン発生領域41に真空ポンプ72を設け、また唯一の当該真空ポンプ72の排気能力を大きくしている。さらに、ノズル61の径をほぼ0.01mm程度とし、付着領域2などの圧力は10−3Pa以下となっている。超音速ジェット64のすべてのガスが質量分析領域42側に入る以外は、その他構成および作用は前述の第17実施形態と同じである。
【0106】
以上の各実施形態に関して、本発明は以下のような変更を行うことも可能である。
【0107】
付着領域2の圧力はイオンが自由飛行する1Paとしたが、必ずしも完全な自由飛行が必須の条件ではない。一部あるいは全部のイオンが雰囲気ガスと衝突する条件ではイオンの集束などで多少問題が発生する場合もあるが、致命的とはならない。特に第10と第11の実施形態では集束の問題も発生しない。
【0108】
金属イオンとしてLiを使用したが、これに限定されず、K、Na、Rb、Cs、Al、Ga、Inなどの一価イオンあるいはニ価イオンに適用できる。また質量分析計8としてはQポール型質量分析計を使用したが、これに限定されず、外部イオン化方式によるイオントラップ型質量分析計、磁場セクタ型質量分析計、TOF(飛行時間)型質量分析計、ICR(イオンサイクロトロンレゾナンス)型質量分析計も使用することができる。
【0109】
被測定ガスとしては最初からガス状のもの以外に、本来は固体・液体であっても何らかの手段でガス状になっていれば良い。また、本装置を他の成分分離装置、例えばガスクロマトグラフや液体クロマトグラフに接続して、ガスクロマトグラフ/質量分析装置(GC/MS)、液体クロマト/質量分析装置(LC/MS)とすることもできる。
【0110】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように第1の本発明によれば、付着イオン質量分析装置において、金属イオン発生領域と質量分析領域は共通の領域を形成し、付着領域は共通の領域に隣接して設け、付着領域に金属イオン発生領域から付着領域内に導入された金属イオンを反射させることにより質量分析領域へ導く静電界発生部を備えたため、高い測定感度により微量成分を検出でき、質量分析計の擾乱、金属イオン放出体の劣化、装置サイズ、直接サンプリング等の問題を解決し、さらに産業に幅広く適用することができる。
【0111】
第2の本発明によれば、反射型イオン付着質量分析装置としての前述の効果に加えて、1つの孔を利用して両イオン通過孔として用いることにより、特にガス圧の高い試料ガスの測定に有効であり、金属イオン発生領域の圧力と付着領域の圧力を異ならせて金属イオンの十分な減速を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図6】本発明の第6実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図7】本発明の第7実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図8】本発明の第8実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図9】本発明の第9実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図10】本発明の第10実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図11】本発明の第11実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図12】本発明の第12実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図13】本発明の第12実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の要部構造を概略的に示す断面図である。
【図14】本発明の第12実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の要部構造を概略的に示す断面図である。
【図15】本発明の第13実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の要部構造を概略的に示す断面図である。
【図16】本発明の第14実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の要部構造を概略的に示す断面図である。
【図17】本発明の第15実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の要部構造を概略的に示す断面図である。
【図18】本発明の第16実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の要部構造を概略的に示す断面図である。
【図19】本発明の第17実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図20】本発明の第17実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の要部構造を概略的に示す断面図である。
【図21】本発明の第18実施形態に係る反射型イオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図22】従来のイオン付着質量分析装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 金属イオン発生領域
2 付着領域
3 質量分析領域
4 金属イオン放出体(エミッタ)
5 金属イオンと付着イオンの軌跡
6 孔付き隔壁
7 真空ポンプ
8 質量分析計
9 二重半球型の反射器
10 金属イオン発生と質量分析の共通領域
11 2つ孔付き隔壁
12 平行電界の反射器
13 曲面電界の反射器
14 グリッドレス曲面電界の反射器
15 補正電極
16 回転楕円体状電界の反射器
17 グリッドレス回転楕円体状電界の反射器
18 球体状電界の反射器
19 グリッドレス球体状電界の反射器
20 共通孔付き隔壁
21 静電偏向器

Claims (13)

  1. 金属イオン発生領域で発生させた正電荷の金属イオンを付着領域で被測定ガスの分子に付着させて付着イオンを生成し、その後、質量分析領域で前記付着イオンの質量分析を行う装置において、
    前記金属イオン発生領域と前記質量分析領域は共通の領域として形成され、
    前記付着領域は前記共通の領域に隣接して設けられ、
    前記付着領域に、前記金属イオン発生領域から前記付着領域内に導入された前記金属イオンを反射させることにより前記質量分析領域へ導く静電界を形成する静電界発生手段を備えたことを特徴とする反射型イオン付着質量分析装置。
  2. 反射によって前記金属イオンの並進エネルギを低下させることを特徴とする請求項1記載の反射型イオン付着質量分析装置。
  3. 前記金属イオンを反射させる前記静電界によって付着イオンを加速・収束させることを特徴とする請求項1または2記載の反射型イオン付着質量分析装置。
  4. 前記静電界発生手段は前記金属イオンまたは前記付着イオンを透過させるグリッドを使用せずに静電界を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射型イオン付着質量分析装置。
  5. 静電界に補正電界を重畳し、前記金属イオンおよび付着イオンの軌道を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射型イオン付着質量分析装置。
  6. 静電界の強度分布が回転楕円体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射型イオン付着質量分析装置。
  7. 静電界の強度分布が球体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射型イオン付着質量分析装置。
  8. 前記付着領域と前記金属イオン発生領域および前記質量分析領域との間に隔壁が設けられ、この隔壁は、前記金属イオン発生領域から前記付着領域へ前記金属イオンを導入する孔と、前記付着領域から前記質量分析領域へ前記付着イオンを輸送する孔を有することを特徴とする請求項1記載の反射型イオン付着質量分析装置。
  9. 前記付着領域と前記金属イオン発生領域および前記質量分析領域との間に隔壁が設けられ、この隔壁は、前記金属イオン発生領域から前記付着領域へ前記金属イオンを導入し、かつ前記付着領域から前記質量分析領域へ前記付着イオンを輸送する1つの孔を有することを特徴とする請求項1記載の反射型イオン付着質量分析装置。
  10. 金属イオン発生領域で発生させた正電荷の金属イオンを付着領域で被測定ガスの分子に付着させて付着イオンを生成し、その後、質量分析領域で前記付着イオンの質量分析を行う装置において、
    前記金属イオンを前記付着領域に入射し、この付着領域にて前記金属イオンを反射させながら被測定ガスの分子に付着させて付着イオンを発生し、この付着イオンを前記付着領域から射出させ質量分析計で前記付着イオンの質量分析を行う反射型構造部を有し、
    前記金属イオンが前記付着領域に入射する孔と、前記付着イオンが前記付着領域から射出する孔とが同一の共通孔であることを特徴とする反射型イオン付着質量分析装置。
  11. 前記共通孔に入射する前の前記金属イオンの軌道と、前記共通孔から射出された後の前記付着イオンの軌道とを、電場または磁場によって分離することを特徴とする請求項10記載の反射型イオン付着質量分析装置。
  12. 前記付着領域の電場の分布を前記共通孔を中心とした球面状にすることを特徴とする請求項11記載の反射型イオン付着質量分析装置。
  13. 前記付着領域に超音速ジェットを形成することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の反射型イオン付着質量分析装置。
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