JP3791783B2 - イオン付着質量分析装置、イオン化装置、およびイオン化方法 - Google Patents

イオン付着質量分析装置、イオン化装置、およびイオン化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン付着質量分析装置、イオン化装置、およびイオン化方法に関し、試料ガスの分子を解離させることなく当該試料を高感度に質量分析できる装置、およびこの装置等に適したイオン化装置およびイオン化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
試料の分子質量を測定する質量分析装置は、電磁場(電場と磁場の両方またはいずれか一方)でイオン化した試料ガスを通過させることにより、質量別に分離し検出する。イオン化法として最も一般的である電子衝撃法は、電子を試料ガスに70eV程度の高速で衝突させ、この衝突エネルギによって試料ガスの分子から電子を剥ぎ取って正のイオンにする。しかしながら、電子衝撃法によれば、高い衝突エネルギによって試料の分子自身が分裂(解離)され、正しい測定ができないという問題がある。
【0003】
そこで、試料の分子を解離させずにイオン化させる方法として、イオン付着法が開発されている。このイオン付着法は、ホッジ(Hodges, Analytical Chemistry vol.48 No.6 P825(1976))、ボムビック(Bombick, Analytical Chemistry vol.56 No.3 P396(1984))、藤井(Analytical Chemistry vol.61 No.9 P1026(1989)、Chemical Physics Letters vol.191 No.1.2 P162(1992)、特開平6-11485号公報、特公平7-48371号公報)によって報告されている。
【0004】
上記のイオン付着法では、まずLi,Na,Alなどの金属塩を含有するエミッタを加熱することによって、Li+,Na+,Al+などの金属イオンを発生させる。次に、金属イオンと試料分子を接触させると、試料分子の電荷が偏った場所に金属イオンが付着し、試料分子が全体としてイオン(以下「付着イオン(または擬分子イオン)」という)となる。金属イオンが試料分子に付着する力、すなわち付着力は1eV程度と非常に小さい。これは2〜3eVである通常の化合物の結合力よりも小さいので、付着後も分子が解離しない。
【0005】
しかし、付着力に対応する余剰エネルギが上記の付着イオンに残ったままであると、余剰エネルギを貰った金属イオンが脱離して試料が中性分子に戻ってしまう。そのため、付着イオンと雰囲気ガスを衝突させることにより、速やかに余剰エネルギを奪い去って安定した付着イオンにしている。雰囲気ガスは試料そのものでも試料以外のガスでもよいが、圧力としては約100Paが必要となっている。100Pa以下では、衝突回数が少なく、十分に余剰エネルギを奪い去ることができない。
【0006】
イオン付着法を利用した質量分析装置はイオン付着質量分析装置と呼ばれている。従来のイオン付着質量分析装置の全体構成を図17に示す。この図に示されるようにイオン付着質量分析装置は、通常、エミッタ101を設置してイオン化を行う第1室102、中間室である第2室103、質量分析器104を設置し質量分析を行う第3室105で構成されている。第1室102と第2室103の間にはφ1mm程度の開口106を有する隔壁107が設置されている。開口10は、通常、ノズル構造で与えられている。第2室103と第3室105の間にはアパーチャ108が設けられている。真空ポンプによる排気によって、第1室102は100Pa、第2室103は0.1Pa、第3室105は10−3Pa程度の圧力に減圧されている。なお第1室102に導入されるガス109は、試料のみの場合、あるいは不活性ガスなどのベースガスと試料を混ぜた場合の2通りがある。図17ではエミッタ101に関する構成の詳細は省略されている。
【0007】
一方、イオン付着質量分析装置とは異なった目的で、非常に高感度に試料を測定することのできる質量分析装置として誘導結合プラズマ(I.C.P:Inductively Coupled Plasma)質量分析装置、および大気圧イオン化(A.P.I:Atmospheric Pressure Ionization)質量分析装置がある。これらの質量分析装置でも前述したものと同様な第1室、第2室、第3室を備えている。いずれもイオン化を行う第1室の圧力を1×105Pa(大気圧)、第2室の圧力を10〜1000Pa、質量分析を行う第3室の圧力を10-3Pa程度にしている。
【0008】
イオン化の手段としては、誘導結合プラズマ質量分析装置ではプラズマ、大気圧イオン化質量分析装置ではコロナ放電を利用している。いずれも、発生した電子を試料分子に数十eVのエネルギで衝突させて試料分子から電子を剥ぎ取って正イオンとし、その後に電荷交換などのイオン化反応を連鎖的に発生させて効率の良いイオン化を実現している。
【0009】
一般的に圧力が高いとき、衝突回数が多くなって連鎖反応がより速く進みかつイオン化の反応が自から広がるという作用(自己拡張作用)があるので、圧力が高いことによるイオンの移動しにくさは問題とはならない。このため、上記の従来の質量分析装置のいずれにおいても、第1室の最適な圧力は大気圧となっている。通常、第1室と第2室の間にはφ1mm程度の開口を有するノズルが設置されており、第1室が高い圧力であるためノズルから吹き出すガスによって超音速ジェットを形成している。この超音速ジェットによって、イオンとなった試料を質量分析器に効率良く輸送させている。
【0010】
通常の真空状態は、ランダムなガスの動きが一様に広がっているだけである。この動きの並進エネルギ(速度)は室温の熱運動となるので、0.03eV程度である。これに対して、超音速ジェットは非常に特徴的なものとなっており、「膨張部」「サイレント部」「マッハデスク」「バレルショック」の4つから成っている(図2参照)。
【0011】
「膨張部」はノズル出口近傍にあって周囲よりも圧力の高い峯となっている部分である。そこではガスやイオンが高頻度で衝突しつつ、急激な圧力減少と体積膨張が起きており、断熱膨張によりガスやイオンは冷却されている。「サイレント部」は膨張部の後にあって周囲の雰囲気ガスよりも圧力の低い盆地である。ガスやイオンは方向・速度が揃ったビームとなって直進している。この速度は熱運動の100倍、3eV程度にも達する。なお、誘導結合プラズマ質量分析装置と大気圧イオン化質量分析装置では、この特質を利用してイオンの輸送効率を上げている。「マッハデスク」はサイレント部の終端、また「バレルショック」は側面にあって、いずれも周囲の雰囲気ガスよりも圧力の高い塀となっており、雰囲気ガスはこれに阻止されてサイレント部には侵入できない。
【0012】
超音速ジェットが形成されるためには、第1室でのガスの平均自由行程λをノズルの径Dで割ったクヌーセン数(λ/D)が0.01以下、かつ第2室が第1室の1/10以下の圧力であることが必要となる。特に、クヌーセン数が0.001以下、かつ第2室が第1室より1/100以下の圧力であれば、より強力な超音速ジェットが形成することが知られている。通常の誘導結合プラズマ質量分析装置と大気圧イオン化質量分析装置はこの条件を満足している。
【0013】
なお図17で説明した従来のイオン付着質量分析装置ではクヌーセン数は0.07程度であるので、超音速ジェットは形成されていない。
【0014】
なお、超音速ジェットの「膨張部」の特性を利用した例としては、ガスクラスタの生成が知られている。中性のガスは互いの付着力が非常に弱いので、ガス同士が衝突して一時的に付着しあっても余剰エネルギのためにすぐに離れ離れとなってしまう。従って、通常状態ではガスが固まりを形成することは決してないが、強力な超音速ジェットの「膨張部」においてはガスの固まり(ガスクラスタ)が形成される。これは、「膨張部」では、ガス同士が高頻度で衝突するため付着する機会が多いこと、および断熱膨張による冷却のため余剰エネルギが速やかに奪い去られること、の2つの理由による。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従来のイオン付着質量分析装置では測定の感度が低いという課題があった。誘導結合プラズマ質量分析装置や大気圧イオン化質量分析装置に比べると、従来のイオン付着質量分析装置は感度が103〜105も低い。この原因は、(1)金属イオンの付着領域への輸送効率、(2)金属イオンと試料ガスの付着効率、(3)付着イオンの質量分析器への輸送効率、の3つが十分でないためである。
【0016】
図18に、従来のイオン付着質量分析装置におけるエミッタ101と開口106の付近の詳細拡大図を示す。開口106はノズル110によって形成されている。111は噴散流である。エミッタ101から放出されたLi+などの金属イオンは、互いにクーロン力で反発するため第1室102内で四方に拡がる。ただ、ノズル110の方向への平行電界とガス109の流れによって、金属イオンの存在領域112はややノズル110よりの球状となる。金属イオンを特定の領域に集中させることができないのは、100Paである第1室102内での平均自由行程は70μmと非常に短く、電界で金属イオンを移動させてもすぐにガスと衝突して、停止したり方向が変化してしまうからである。一方、試料ガスは第1室102内に一様に拡がっているので、金属イオンの存在する球状の領域112内ではどこでも付着が起きている。しかし、ノズル110から遠く離れた部分で発生した付着イオンはノズル110には到達できないので、有効に利用される付着領域113はノズル110に近い、より小さな領域となっている。従って、従来のイオン付着質量分析装置では、上記(1)で指摘した金属イオンの付着領域への輸送効率はあまりよくない。
【0017】
次に、金属イオンの付着領域は100Paの一定圧なので、熱運動としてランダムに動く試料ガスと金属イオンの衝突によって、付着イオンが発生している。その後引き続いて、やはり熱運動としてランダムに動く雰囲気ガスと付着イオンの衝突によって余剰エネルギを奪い去っている。いずれも、室温での熱運動ランダムなガスの動きによっているので、上記(2)で指摘した金属イオンと試料ガスの付着効率はあまりよくない。
【0018】
ノズル110を通過した付着イオンは電界の力によって質量分析器104に輸送されている。しかしながら、ある大きさの付着領域から発生した付着イオンは、ノズル110を通過した後、それぞれの異なる速さ・方向を持っている。電界だけでは、異なる速さ・方向のイオンを特定場所に収束・輸送することが難しい。従って上記(3)で指摘した付着イオンの質量分析器への輸送効率はあまり良くない。
【0019】
なお第1室102を100Pa以上の高い圧力とすると、感度が低下するが、これは100Pa以上では余剰エネルギを奪う効率は飽和して増加しないのに対して、付着イオンの質量分析器への輸送効率が大幅に低下するからである。
【0020】
以上、(1)〜(3)の効率が十分でなく、感度が低いのがイオン付着質量分析装置の最も重要な課題である。
【0021】
また従来のイオン付着質量分析装置では、試料ガスがエミッタ101に接することによりエミッタ101の表面に生成物が堆積して金属イオンの放出量が減少してしまうという課題もある。特に、反応しやすい試料の場合には実用上大きな問題となる。
【0022】
さらに従来のイオン付着質量分析装置では、被測定ガスの圧力は第1室10の圧力(100Pa)より高くなければならないという課題もある。これは、試料を引込むためにはより高い圧力でなければならないからである。産業的に幅広い用途に適用するためには、測定可能なガス圧力はできるだけ低いほどよい。
【0023】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、金属イオンの付着領域への輸送効率、金属イオンと試料ガスの付着効率、付着イオンの質量分析器への輸送効率を改善し、測定感度を高めたイオン付着質量分析装置を提供することにある。
【0024】
本発明の他の目的は、ガス分子に金属イオンを付着することにおいて、金属イオンの付着領域への輸送効率、金属イオンとガスの付着効率を改善したイオン化装置およびイオン化方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るイオン付着質量分析装置、イオン化装置およびイオン化方法は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0026】
本発明に係る第1のイオン化付着質量分析装置(請求項1に対応)は、開口を有する隔壁で仕切られた第1室および第2室と、正の金属イオンを発生するエミッタと、質量分析器と、少なくとも第2室を減圧する真空ポンプと、試料を導入する試料導入機構とを備え、試料の分子に金属イオンを付着させて試料を正イオンにし、質量分析器で試料を質量分析するイオン付着質量分析装置であり、開口のクヌーセン数(λ/D:λは第1室でのガスの平均自由行程、Dは開口の径)を0.01以下、第2室の圧力を第1室の1/10以下として、第1室の試料のガスを開口から第2室へ吹き出させることによって第2室に形成された超音速ジェットの領域を備え、超音速ジェットの領域に試料のガスおよび金属イオンを注入させ、超音速ジェットの領域で試料の分子に金属イオンを付着させるように構成される。
【0027】
第2のイオン付着質量分析装置(請求項2に対応)は、上記の第1の構成において、好ましくは、クヌーセン数が0.001以下であり、第1室内の圧力が1×105Pa以上であり、第2室が1×103Pa以下であることで特徴づけられる。
【0028】
第3のイオン付着質量分析装置(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、第1室の圧力をP1、第2室の圧力をP2、開口から質量分析器の前に配置されたアパーチャまでの距離をLとするとき、これらの関係をL<0.67×D×(P1/P2)0.5とすることによって、超音速ジェットのマッハディスクをアパーチャの後方に存在させることを特徴とする。
【0029】
第4のイオン付着質量分析装置(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、第1室にエミッタを設置し、第1室内のガスの流れを制御して、エミッタから発生した金属イオンを第1室の開口入口近傍に輸送し、超音速ジェットの領域に金属イオンを注入させることを特徴とする。
【0030】
本発明に係るイオン化装置(請求項5に対応)は、開口が設けられた隔壁で仕切られた第1室および第2室と、第1室に配置されかつ正の金属イオンを発生するエミッタと、少なくとも第2室を減圧する真空ポンプと、第1室へ中性のガスを導入する試料導入機構を備え、ガスの分子に金属イオンを付着させることにより正イオンを作るイオン化装置であり、さらに、開口のクヌーセン数(λ/D:λは第1室でのガスの平均自由行程、Dは開口の径)を0.01以下、第2室の圧力を第1室の1/10以下として、第1室のガスを開口から第2室へ吹き出させることによって第2室に形成された超音速ジェットの領域を備え、超音速ジェットの領域にガスおよび金属イオンを注入させ、超音速ジェットの領域でガスの分子に金属イオンを付着させるように構成される。
【0031】
本発明に係るイオン化方法(請求項6に対応)は、中性のガスの分子に金属イオンを付着させてイオン化する方法であり、開口が設けられた隔壁で仕切られた2つの室を形成して、一方の室にガスを導入しながら他方の室を排気し、開口のクヌーセン数(λ/D:λは第1室でのガスの平均自由行程、Dは開口の径)が0.01以下、2つの室の間にPa値で1桁以上の圧力差をつけることにより、他方の室の側の開口の近傍で超音速ジェットの領域を形成し、超音速ジェットの領域に金属イオンを注入してイオン化する方法である。
【0032】
なお、上記のイオン付着質量分析装置では、次のような構成を採用することもできる。
(1)第2室にエミッタを設置し、第2室内の電界を制御して、エミッタから発生した金属イオンを、第2室のノズルの開口出口近傍に輸送することによって、超音速ジェットの領域に金属イオンを注入させること。
(2)第1室と第2室とは分離され、かつノズル内部と導通した室にエミッタを設置し、室内の電界を制御して、エミッタから発生した金属イオンを、ノズル内部に輸送することによって、超音速ジェットの領域に金属イオンを注入させること。
(3)ノズルの全部または一部がエミッタとなっており、ノズルを形成する内壁の全部または一部から金属イオンを発生させることによって、超音速ジェットの領域に金属イオンを注入させること。
(4)第1室に試料導入機構を接続し、試料を第1室のノズル入口近傍に輸送することによって、超音速ジェットの領域に試料を注入させること。
(5)第1室にベースガス導入機構を接続すると共に、第2室に試料導入機構を接続し、試料を第2室のノズル出口近傍に輸送することによって、超音速ジェットの領域に試料を注入させること。
(6)第1室にベースガス導入機構を接続すると共に、第1室および2室とは分離され、かつノズル内部と導通した室に試料導入機構を接続し、試料をノズル内部に輸送することによって超音速ジェットの領域に試料を注入させること。
(7)試料導入機構の先端が第2のノズルとなっており、第2のノズルの入口付近でのガスの平均自由行程λ'を第2のノズルの径D'で割ったクヌーセン数(λ'/D')が0.01以下、かつ第2室が第2のノズルの入口付近の1/10以下である条件において、このガスを第2のノズルから第2室に吹き出させることによって第2室に超音速である第2の超音速ジェットの領域を形成すること。
【0033】
本発明では、第1室と第2室の圧力、およびこの室の間にある開口を有するノズルを特定な条件にして第2室に超音速ジェットの領域を形成させると共に、この超音速ジェットの膨張部付近に金属イオンと試料を注入させる。膨張部においては、試料と金属イオンが高頻度で衝突するため付着する機会が多くなると共に、振動・回転・併進が冷却され、付着イオンを解離させる余剰エネルギが速やかに奪い去られる。そのため、付着イオンの発生効率が高くなる。このメカニズムは、基本的にガスクラスタ形成と同じと考えられる。イオン付着質量分析装置では中性ガスとイオンが付着するが、両者間にクーロン力は発生しないので中性ガス同士のガスクラスタ形成と同じ状況となる。なお、電子を剥ぎ取って正イオンとする誘導結合プラズマ質量分析装置や大気圧イオン化質量分析装置では、超音速ジェットはイオン化の効率向上には何の貢献もしない。
【0034】
超音速ジェットを形成するための特定な条件とは、クヌーセン数が0.01以下で、第2室が第1室の1/10以下の圧力とすればよい。さらに、より強力な超音速ジェットを形成するためには、クヌーセン数が0.001以下で第1室が大気圧以上かつ第2室が1000Pa以下とすればよい。
【0035】
超音速ジェットの膨張部付近に金属イオンと試料を注入させるには、それぞれ(a)第1室から、(b)第2室側から、(c)ノズル途中の孔から、の3つの方法が考えられる。第1室からの金属イオン注入では、圧力が高いことを利用しガスの流れを制御してノズルの開口入口に輸送する。第2室からの金属イオン注入では、圧力が低いことを利用し電界を制御してノズルの開口出口を照射する。ノズルの孔の途中からの金属イオン注入では、膨張部に接していることを利用し直接照射する、あるいはノズル内面をエミッタとする。また第1室からの試料注入では、従来例と同様、第1室に試料を導入する。第2室からの試料注入では圧力が低いこと、ノズルの途中から注入する場合には膨張部に接していることを利用して直接に導入する。
【0036】
上記の方法によって、金属イオンの付着領域への輸送効率を高くすることができる。さらにいずれにおいても、付着領域が小さく収束されていること、付着領域が第2室に存在すること、および超音速ジェットの特性としてここから射出するイオンの速度・方向がよく揃っていることによって、付着イオンの質量分析器への輸送効率を高くできる。
【0037】
特に質量分析器の前面に設置されるアパーチャの後方にマッハディスクが存在するというL<0.67×D×(P1/P2)0.5を満足させれば、付着イオンは方向と速度が揃ったまま質量分析器に入射するので、より高い輸送効率を実現できる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0039】
実施形態で説明される構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成要素の組成(材質)については例示にすぎない。従って本発明は、以下に説明される実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0040】
図1と図2を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1は第1実施形態に係るイオン付着質量分析装置の全体構成を模式的に示した図、図2はエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【0041】
装置容器10は、開口11を有する隔壁12によってそれぞれ密閉された第1室13と第2室14に分けられている。開口11はノズル15で形成されている。第1室13の内部には、正の金属イオンを発生するエミッタ16が配置されている。エミッタ16は球状であり、中心を貫通している線状のヒータにより加熱される。エミッタ16の線状ヒータに給電する電気回路等の構成の図示は省略されている。第2室14には電磁気力を利用してイオンを質量別に分離・検出する質量分析器17が設けられている。質量分析器17の前面にはアパーチャ18が設置されている。第2室14にはこれを減圧する真空ポンプ19が付設される。また第1室13には中性のガス20である試料を導入する試料導入機構(図示せず)が設けられる。
【0042】
図2に示すごとく、ノズル15の第2室14の側には超音速ジェット21が形成されている。超音速ジェット21には、膨張部21a、サイレント部21b、バレルショック部21c、マッハディスク21dが形成されている。
【0043】
第1室13の圧力P1は大気圧(1×105Pa)としているので、平均自由行程λは0.07μm(7×10-5mm)である。ノズル15の円形開口11の径(直径)Dは0.1mmとしているので、クヌーセン数(λ/D)は7×10-4となっている。真空ポンプ19の排気速度は1000L/Sとしているので、第2室14の圧力P2は0.1Paとなっている。ノズル15からアパーチャ18までの距離Lは50mmとしている。これはマッハディスク21cまでの距離の67mm(=0.67×D×(P1/P2)0.5)よりも短くなっている。この条件によれば、ノズル15の開口出口から吹き出すガスは、超音速ジェット21を形成していると共に、サイレント部21dが質量分析器17まで延びている。
【0044】
エミッタ16から放出されたLi+などの金属イオン(領域22)は、従来に比べて1000倍も高い圧力のガスの流れに乗ってノズル15の開口入口に効率良く輸送され、ノズル15の出口付近に存在する超音速ジェット21の領域の膨張部21aの付近に注入される。また試料ガスもノズル15を経て膨張部21aの付近に注入される。膨張部21aでは、試料ガスの分子と金属イオンが高頻度で衝突するため付着する機会が多くなると共に、振動・回転・併進が冷却され、付着イオンを解離させる余剰エネルギが速やかに奪い去られるため、付着イオンの発生効率が高い。さらに、小さく収束された付着領域が第2室14に存在し、ここから射出されるイオンの速度・方向はよく揃っているため、付着イオンの質量分析器17への輸送効率が高くなる。
【0045】
次に図3と図4を参照して本発明の第2実施形態を説明する。図3は第2実施形態に係るイオン付着質量分析装置の全体構成を模式的に示した図、図4はエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。これらの図において、前述の第1実施形態で説明された要素と実質的に同一の要素には同一の符号が付されている。
【0046】
構成の上で第1実施形態と相違する点は次の通りである。質量分析器17が第3室31に設置され、第1室13と第3室31の間に第2室32が形成されている。第2室32は真空ポンプ33により排気され、第3室31は真空ポンプ34により排気されている。質量分析器17の前面に位置するアパーチャ35が第2室と第3室の間の隔壁を兼ねると共に、第2室と第3室の間を接続する開口部分の形状が第2室32の側へ突出する円錐状となっている。その他の構成については、前述の第1実施形態で説明した構成と同じである。
【0047】
本実施形態では、第1室13の圧力P1は大気圧(1×105Pa)、ノズル15の円形開口11の径は1mmとしているので、クヌーセン数(λ/D)は7×10-5となっている。真空ポンプ33の排気速度は100L/Sとしているので、第2室32の圧力P2は100Paとなっている。アパーチャ35の径は0.3mm、真空ポンプ34の排気速度は100L/Sとしているので、第3室31の圧力は10-2Paとなっている。第3室31の平均自由行程は700mmとなり、イオンやガスは雰囲気ガスと衝突せずに直進する。ノズル15からアパーチャ35までの距離Lは5mmとしているが、これはマッハディスクまでの距離の6.7mm(=0.67×D×(P1/P2)0.5)よりも短くなっている。この条件では、ノズル15の開口出口から吹き出すガスは超音速ジェット21を形成していると共に、サイレント部21dがアパーチャ35まで延びている。
【0048】
膨張部21aの付近への金属イオンと試料ガスの分子の注入、および付着イオンの生成は、第1実施形態と同様に行われるので、付着イオンの発生効率が高い。第3室31では雰囲気ガスとの衝突はないので、付着イオンは速度・方向はよく揃ったまま質量分析器17に輸送され、付着イオンの質量分析器17への輸送効率が高い。ノズル15の開口11の径が第1実施形態のそれよりも10倍大きいこと、円錐形のアパーチャ35によってサイレント部21cの乱れが少ないことの2つの理由から、測定感度は第1実施形態の場合よりも高くなる。
【0049】
次に図5を参照して本発明の第3実施形態を説明する。図5はエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。本実施形態では、エミッタ・ノズルの付近部分の構成が変更されている。本実施形態の構成は、前述の第1または第2の実施形態の構成に任意に組み合わされる。この図において、前述の実施形態で説明された要素と実質的に同一の要素には同一の符号が付されている。
【0050】
第3実施形態の構成において、第1実施形態と異なる点は、第1室13にパイプ41を設けてガス42の流れを制御している点である。その他の構成は第1実施形態と同じである。パイプ41はエミッタ16を囲み、一端(図中左端部)は試料導入機構を内側に含んで第1室14の壁に密閉され、他端(図中右端部)は円錐状となり、ノズル15の開口入口の近くまで延びている。このようにして、ガス42の流れがノズル入口に向かうように制御されている。そのためエミッタ16から放出されたLi+などの金属イオンは、従来装置よりも1×103倍も高いガスの流れに乗ってノズル入口により効率良く輸送される。
【0051】
次に図6を参照して本発明の第4実施形態を説明する。図6はエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。本実施形態では、エミッタ・ノズルの付近部分の構成が変更されている。本実施形態の構成は、前述の第1または第2の実施形態の構成に任意に組み合わされる。この図において、前述の実施形態で説明された要素と実質的に同一の要素には同一の符号が付されている。
【0052】
本実施形態の構成において、第1実施形態と異なる点は、エミッタ16が第2室14の側に設置されている点である。エミッタ16はガスの流れから外れた位置において収束レンズ42を備えて設けられる。エミッタ16からノズル15の開口出口に向けてLi+ビーム43が与えられる。その他の構成は第1実施形態と同じである。第2室14の圧力は0.1Paなので、平均自由行程は70mmとなる。従って、Li+などの金属イオンは雰囲気ガスに衝突することなく直進することができる。そこで収束レンズ42の電界によってビーム43となった金属イオンが、超音速ジェット21の膨張部21a付近に向けて照射されている。金属イオンのビーム43のエネルギ(速度)はエミッタ16の電圧により調整される。
【0053】
超音速ジェット21の側面には圧力の高い塀のバレルショック21cがあって、熱運動をしているガスやイオンはこれを乗り越えることができない。しかし、ビーム43のエネルギを大きくすると、金属イオンはバレルショック21cを突き抜けて膨張部21aまで進むことができる。一方、膨張部21aの圧力はバレルショック21cよりもかなり高いので、膨張部21aでは金属イオンはガスとの衝突によって急速に減速する。そこで、ビーム43のエネルギを適当な値とすれば、金属イオンを膨張部21a付近に注入することができる。なお、超音速ジェット21自体は中性ガスにより形成されているので、電界の影響は全く受けない。
【0054】
本実施形態では、エミッタ16の表面に生成物が堆積して金属イオンの放出量が減少してしまう課題に対しても効果がある。エミッタ16に接する試料の濃度は圧力に比例するので、従来のイオン付着質量分析装置よりも1/1000倍、第1実施形態の構成よりも1/1000000倍も低くなっている。第1実施形態に比べると、金属イオンの付着領域への輸送効率がより高くなると共に、エミッタ16の表面への生成物の堆積が大幅に低減するという効果も発揮される。
【0055】
次に図7を参照して本発明の第5実施形態を説明する。図7はエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。本実施形態では、第4実施形態の構成を前提にして、エミッタ・ノズルの付近部分の構成が変更されている。本実施形態の構成は、前述の第1または第2の実施形態の構成に任意に組み合わされる。この図において、前述の実施形態で説明された要素と実質的に同一の要素には同一の符号が付されている。
【0056】
本実施形態の構成において、第4実施形態と異なる点は、エミッタ44がリング状となっている点である。リング状のエミッタ44は、ノズル15の開口出口の周囲に同軸的な位置関係によって配置されている。エミッタ44の周囲にはヒータ45が配置され、さらにその外側にリペラ46が設けられている。その他の構成は第4の実施形態と同じである。
【0057】
リング状のエミッタ44が外周にあるヒータ45により加熱されてLi+などの金属イオンを放出する。金属イオンはリング状のリペラ46の電界によってリング状のビーム47となって膨張部21aの付近に注入される。第4実施形態に比べて金属イオンを多量に注入でき、測定感度がより向上する。
【0058】
次に図8を参照して本発明の第6実施形態を説明する。図8はエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。本実施形態では、第1実施形態の構成を前提にして、エミッタ・ノズルの付近部分の構成が変更されている。本実施形態の構成は、前述の第1または第2の実施形態の構成に任意に組み合わされる。この図において、前述の実施形態で説明された要素と実質的に同一の要素には同一の符号が付されている。
【0059】
本実施形態の構成において、第1実施形態と異なる点は、エミッタ16が、第1室13と第2室14を分離し、かつノズル48の内部と導通した室49に設置されている点である。隔壁12の一部を利用して、室49とノズル48を備えた構造が付加される。室49内には、エミッタ16に収束レンズ50が付設されている。その他の構成は第1の実施形態と同じである。この実施形態によれば、ノズル48の開口11につながる途中の孔は膨張部21aに接しているので、Li+などの金属イオンビーム51を直接注入することができる。第4の実施形態に比べて金属イオンを安定に注入できる。
【0060】
次に図9を参照して本発明の第7実施形態を説明する。図9はエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。本実施形態では、第1実施形態の構成を前提にして、エミッタ・ノズルの付近部分の構成が変更されている。本実施形態の構成は、前述の第1または第2の実施形態の構成に任意に組み合わされる。この図において、前述の実施形態で説明された要素と実質的に同一の要素には同一の符号が付されている。
【0061】
本実施形態において、第6実施形態と比較して相違する点は、第5実施形態のごとくエミッタ44がリング状に形成され、その周囲にリング状のヒータ45とリペラ46が配置されている点である。エミッタ44とヒータ45とリペラ46を配置するための空間を形成する室49は、中央にノズル部分を有する容器52によって形成されている。53はリング状のLi+ビームである。本実施形態によれば、金属イオンを安定してかつ多量に注入することができる。
【0062】
次に図10を参照して本発明の第8実施形態を説明する。図10はエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。本実施形態では、第1実施形態の構成を前提にして、エミッタ・ノズルの付近部分の構成が変更されている。本実施形態の構成は、前述の第1または第2の実施形態の構成に任意に組み合わされる。この図において、前述の実施形態で説明された要素と実質的に同一の要素には同一の符号が付されている。
【0063】
本実施形態は実質的に第5実施形態の変形である。第5実施形態と相違する点は、ノズル54の一部がエミッタ55となっており、ノズルを形成するエミッタ55の内壁の全部から金属イオン56を発生させている点である。本実施形態によれば、構造が簡単となり、金属イオンを安定かつ多量に注入できる。
【0064】
次に図11を参照して本発明の第9実施形態を説明する。図11はエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。本実施形態では、第1実施形態の構成を前提にして、エミッタ・ノズルの付近部分の構成が変更されている。本実施形態の構成は、前述の第1または第2の実施形態の構成に任意に組み合わされる。この図において、前述の実施形態で説明された要素と実質的に同一の要素には同一の符号が付されている。
【0065】
本実施形態は第8実施形態の変形例である。本実施形態も、第8実施形態と同様に、ノズル状のエミッタ57を備えている。第8実施形態と相違する点は、開口11を有するノズル部材58を備え、その出口側にノズル状エミッタ57を備えることである。ノズルを形成する内壁の一部から金属イオンを発生させている。第8実施形態に比較して、エミッタによる微少な孔の形成が不要となる。
【0066】
次に図12を参照して本発明の第10実施形態を説明する。図12はエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。本実施形態では、第1実施形態の構成を前提にして、エミッタ・ノズルの付近部分の構成が変更されている。本実施形態の構成は、前述の第1または第2の実施形態の構成に任意に組み合わされる。この図において、前述の実施形態で説明された要素と実質的に同一の要素には同一の符号が付されている。
【0067】
本実施形態は図6で説明した第4実施形態の変形例である。本実施形態でも、第4実施形態と同様に、球状で、中心を貫通している線状のヒータにより加熱されるエミッタ16を備えている。第4実施形態と相違する点は、エミッタ16が超音速ジェット21内に位置していることである。エミッタ16の存在が超音速ジェット21でのガスの流れを乱すという欠点はあるものの、簡単な構造で金属イオンの注入が確実に行われる。なお本実施形態は、図11の第9実施形態においてエミッタが球状となって超音速ジェット21内に移動した変形例とみなすことができる。
【0068】
図13は第11実施形態を示し、この実施形態は第10実施形態の変形例である。この実施形態では、第10実施形態とは異なり、エミッタ16が線状のヒータの表面に保持されている。エミッタを保持しているヒータの部分が、できる限りガスを乱さず、しかも金属イオンを効率よく発生させることができる形状となっている。この構成によって、超音速ジェット21でのガスの流れを最小限にして、金属イオンの注入が確実に行われる。
【0069】
次に図14を参照して本発明の第12実施形態を説明する。図14はエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。本実施形態では、第1実施形態の構成を前提にして、エミッタ・ノズルの付近部分の構成が変更されている。本実施形態の構成は、前述の第1または第2の実施形態の構成に任意に組み合わされる。この図において、前述の実施形態で説明された要素と実質的に同一の要素には同一の符号が付されている。
【0070】
第1実施形態と相違する点は、第1室13にベースガス導入機構(図示せず)を接続すると共に、第2室14に試料導入機構61を接続するように設けている点、および試料導入機構61に細管62を取り付け、細管62の先端を超音速ジェット21の領域まで延ばしている点である。ベースガスとしてはN2を使用している。
【0071】
本実施形態では、被測定ガスの圧力は第1室13の圧力より高くなければならないという課題に対して効果がある。超音速ジェット21の領域の膨張部21aは、ノズル入口に近い先端付近では第1室13に近い圧力であるが、そこから急速に圧力が減少し、終端付近では第2室14に近い圧力になる。従って、細管62の先端の場所を選ぶことによって、必要となる試料の圧力を第1室13の圧力より低くすることができる。また第1室13の圧力は大気圧よりさらに高くした方が超音速ジェット21の効果は高くなることが知られている。本実施形態では、第1室13にはベースガスのみを導入しているので、第1室13の圧力を高くすることは容易となっている。
【0072】
次に図15を参照して本発明の第13実施形態を説明する。図15はエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。本実施形態では、第1実施形態の構成を前提にして、エミッタ・ノズルの付近部分の構成が変更されている。本実施形態の構成は、前述の第1または第2の実施形態の構成に任意に組み合わされる。この図において、前述の実施形態で説明された要素と実質的に同一の要素には同一の符号が付されている。
【0073】
本実施形態は第10実施形態の変形例である。本実施形態において、第10実施形態と相違する点は、試料導入機構63が第1室13および第2室14とは分離され、かつノズル64の内部と導通した室65に設置されている点である。ノズル64の途中の孔は膨張部21aに接しているので、試料を直接注入することができる。第10実施形態に比較して超音速ジェット21の乱れが少ない。
【0074】
次に図16を参照して本発明の第14実施形態を説明する。図16はエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。本実施形態では、第1実施形態の構成を前提にして、エミッタ・ノズルの付近部分の構成が変更されている。本実施形態の構成は、前述の第1または第2の実施形態の構成に任意に組み合わされる。この図において、前述の実施形態で説明された要素と実質的に同一の要素には同一の符号が付されている。
【0075】
本実施形態は第10実施形態の変形例である。本実施形態において、第10実施形態と相違する点は、試料導入機構62の先端に第2のノズル66が取り付けられ、試料の超音速ジェット67が形成されている点である。試料の超音速ジェット67のサイレント部が、第1室13からの超音速ジェット21のバレルショックに重なるようになっている。超音速ジェット67のサイレント部における試料の速度は雰囲気ガスの100倍の3eVにも達するので、試料は、超音速ジェット21のバレルショックを越境することができる。本実施形態によれば、第10実施形態に比較して、超音速ジェット21の乱れが少ない。
【0076】
以上、本発明をいくつかの実施形態で説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではない。ノズルの形状としては、先端が細く終端が広いラバール型で説明したが、逆に先端が太く終端が細いソニック型でもよいし、薄板に孔のあるアパーチャ型でも構わない。エミッタは、線状のヒータが貫通している球状と外部のヒータで加熱するリング状で説明したが、その他例えば円筒先端にエミッタを他端にヒータを設置した形式、リング状のヒータにエミッタを塗布した形式などでも構わない。金属イオンとしてはLi+以外に、Na+、K+、Rb+、Cs+、Al+、Ga+、In+などでも構わない。質量分析器は四重極型質量分析計で説明したが、その他磁場セクタ型、飛行時間型、イオンサイクロトロン型などでも構わない。またベースガスはN2に限定されず、He、Ne、Ar、Kr,Xeなどの希ガスであってもよい。
【0077】
またアパーチャは第1実施形態では平坦、第2実施形態では円錐状となっていたが、必ずしもこれに限定されず、逆でも構わない。第3実施形態から第14実施形態までは、第1実施形態をベースにしてこの変更箇所を示して説明したが、これらは第2実施形態をベースにしても構わない。金属イオンの注入に関する第3実施形態から第11実施形態と試料注入に関する第12実施形態から第14実施形態はいずれを組み合わせて使用しても構わない。
【0078】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、次の効果を奏する。イオン付着質量分析装置において、金属イオンの付着領域への輸送効率、金属イオンと試料ガスの付着効率、付着イオンの質量分析器への輸送効率を改善し、試料分子を解離させることなく、試料を高感度に質量分析することができる。さらにイオン付着を利用したイオン化装置またはイオン化方法において、ガス分子に金属イオンを付着することにおいて、金属イオンの付着領域への輸送効率、金属イオンとガスの付着効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるイオン付着質量分析装置の全体構成を模式的に示した構成図である。
【図2】第1実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図3】本発明の第2実施形態によるイオン付着質量分析装置の全体構成を模式的に示した構成図である。
【図4】第2実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図5】第3実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図6】第4実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図7】第5実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図8】第6実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図9】第7実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図10】第8実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図11】第9実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図12】第10実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図13】第11実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図14】第12実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図15】第13実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図16】第14実施形態によるイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【図17】従来のイオン付着質量分析装置の全体構成を模式的に示した構成図である。
【図18】従来のイオン付着質量分析装置のエミッタ・ノズル付近の部分詳細図である。
【符号の説明】
11 開口
12 隔壁
13 第1室
14 第2室
15 ノズル
16 エミッタ
17 質量分析器
18,35 アパーチャ
21 超音速ジェット
31 第3室
32 第2室

Claims (6)

  1. 開口を有する隔壁で仕切られた第1室および第2室と、正の金属イオンを発生するエミッタと、質量分析器と、少なくとも前記第2室を減圧する真空ポンプと、試料を導入する試料導入機構とを備え、前記試料の分子に前記金属イオンを付着させて前記試料を正イオンにし、前記質量分析器で前記試料を質量分析するイオン付着質量分析装置において、
    前記開口のクヌーセン数(λ/D:λは第1室でのガスの平均自由行程、Dは開口の径)を0.01以下、前記第2室の圧力を前記第1室の1/10以下として、前記第1室の前記試料のガスを前記開口から前記第2室へ吹き出させることによって前記第2室に形成された超音速ジェットの領域を備え、
    前記超音速ジェットの領域に前記試料のガスおよび前記金属イオンを注入させ、前記超音速ジェットの領域で前記試料の分子に前記金属イオンを付着させることを特徴とするイオン付着質量分析装置。
  2. クヌーセン数が0.001以下であり、前記第1室内の圧力が1×105Pa以上であり、前記第2室が1×103Pa以下であることを特徴とする請求項1記載のイオン付着質量分析装置。
  3. 前記第1室の圧力をP1、前記第2室の圧力をP2、前記開口から前記質量分析器の前に配置されたアパーチャまでの距離をLとするとき、これらの関係をL<0.67×D×(P1/P2)0.5とすることによって、前記超音速ジェットのマッハディスクを前記アパーチャの後方に存在させることを特徴とする請求項1または2記載のイオン付着質量分析装置。
  4. 前記第1室に前記エミッタを設置し、前記第1室内のガスの流れを制御して、前記エミッタから発生した金属イオンを前記第1室の開口入口近傍に輸送し、前記超音速ジェットの領域に金属イオンを注入させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のイオン付着質量分析装置。
  5. 開口が設けられた隔壁で仕切られた第1室および第2室と、前記第1室に配置されかつ正の金属イオンを発生するエミッタと、少なくとも前記第2室を減圧する真空ポンプと、前記第1室へ中性のガスを導入する試料導入機構を備え、前記ガスの分子に金属イオンを付着させることにより正イオンを作るイオン化装置において、
    前記開口のクヌーセン数(λ/D:λは第1室でのガスの平均自由行程、Dは開口の径)を0.01以下、前記第2室の圧力を前記第1室の1/10以下として、前記第1室の前記ガスを前記開口から前記第2室へ吹き出させることによって前記第2室に形成された超音速ジェットの領域を備え、
    前記超音速ジェットの領域に前記ガスおよび前記金属イオンを注入させ、前記超音速ジェットの領域で前記ガスの分子に前記金属イオンを付着させることを特徴とするイオン化装置。
  6. 中性のガスの分子に金属イオンを付着させてイオン化する方法であり、
    開口が設けられた隔壁で仕切られた2つの室を形成して、一方の前記室に前記ガスを導入しながら他方の前記室を排気し、
    前記開口のクヌーセン数(λ/D:λは第1室でのガスの平均自由行程、Dは開口の径)が0.01以下、前記2つの室の間にPa値で1桁以上の圧力差をつけることにより、前記他方の室の側の前記開口の近傍で超音速ジェットの領域を形成し、
    前記超音速ジェットの領域に前記金属イオンを注入してイオン化する、
    ことを特徴とするイオン化方法。
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