JP4331398B2 - パルスイオン源及びイオン運動を制動するための輸送デバイスを備えた分析計並びにその使用方法 - Google Patents

パルスイオン源及びイオン運動を制動するための輸送デバイスを備えた分析計並びにその使用方法 Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は質量分析計及びそのイオン源に関する。さらに詳しくは、本発明はパルスイオン源並びに、パルスイオン源が飛行時間型質量分析法(TOFMS)の適用範囲を広げ、また能力を高め、さらに、直交注入飛行時間型質量分析計だけでなく、その他多くのタイプの分析器とともに用いられるように、連続イオン源のもつ特性の多くをパルスイオン源に与える輸送デバイスの提供に関する。
【0002】
発明の背景
質量分析法のためのイオン源は、ESI(エレクトロスプレーイオン化)源またはSIMS(2次イオン質量分析法)源のような連続イオン源であっても、あるいはMALDI(マトリックス補助型レーザ脱離/イオン化)源のようなパルスイオン源であってもよい。連続イオン源は、セクタ型装置や、四重極子型、イオントラップ型及びイオンサイクロトロン共鳴型分析計のような、ほとんどのタイプの質量分析計にイオンを注入するために通常用いられてきた。近年、“直交注入”の使用により、連続イオン源から飛行時間(TOF)型質量分析計にイオンを注入できるようにもなっている。“直交注入”では連続ビームが主TOF軸に直交して注入され、TOF法に必要なパルスビームに変換される。これは、イオン源と分析計との間に衝突制動インターフェースを付加することにより最も効率的に行われ、4人の著者を本発明と共通に有する以下の論文(エイ・エヌ・クルチンスキー(A. N. Krutchinsky),アイ・ブイ・チェルヌシェビッチ(I. V. Chernushevich),ブイ・エル・スパイサー(V. L. Spicer),ダブリュー・エンス(W. Ens),ケイ・ジー・スタンディング(K. G. Standing):“ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ソサエティー・フォー・マススペクトロメトリー”誌,第9巻(1998年),569〜579ページ)に記載されている。
【0003】
一方パルスイオン源、例えばMALDI源は通常、イオン源の離散性すなわちパルス性を利用するために、TOF型質量分析計に直結されている。TOF型質量分析計には従来の四重極子型あるいはイオントラップ型質量分析計に優る利点がいくつかある。利点の1つは、TOF型質量分析計が四重極子型及びイオントラップ型質量分析計より広い質量対電荷比範囲を分析できることである。別の利点は、TOF型質量分析計が四重極子型及びイオントラップ型質量分析計より高感度で、スキャンを行わずに、全てのイオンを同時に記録できることである。四重極子型あるいはその他のスキャンを行うタイプの質量分析計では一度の1つの質量しか輸送できず、したがってデューティーサイクルは一般に0.1%という(低感度をもたらす)低い値になる。したがってTOF型質量分析計は感度に関して本質に大きな利点を有する。
【0004】
しかし、広く用いられている、ある範囲のエネルギー及び方向をもつイオンを生成する多くのイオン源で、TOF型質量分析計は問題に遭遇する。この問題は普及型のMALDI(マトリックス補助型レーザ脱離/イオン化)法により生成されるイオンが用いられる場合に特に深刻である。この方法では、レーザからの光子パルスがターゲットに打ち当たり、質量分析計で質量が測定されるイオンを脱離する。ターゲット材は、小さく、光子吸収性の高い化学種からなる固体または液体のマトリックスと、このマトリックスに埋め込まれた低濃度の、通常中程度の分子あたり光子吸収しか示さない検体分子からなる。急激に到来するエネルギーがマトリックス分子に吸収されると、マトリックス分子は蒸気化されてマトリックス分子及びイオンの小さな超音速ジェットが生成され、このジェットに検体分子が伴出する。この放出過程の間に、マトリックス分子に吸収されたエネルギーのいくらかが検体分子に移される。これによって検体分子がイオン化されるが、少なくとも理想的な場合には、過度のフラグメンテーションはおこらない。
【0005】
通常はパルスレーザが用いられるから、イオンもパルスとして現れ、飛行時間型分析計での測定に適したイオンが容易に得られる。しかしイオンは、700m/秒程度の速度をもつ超音速ジェット内でかなりの量のエネルギーを獲得する一方で、特に高加速電場内では、加速中にマトリックス分子との衝突によりエネルギーを失う。上記及び同様の効果により、イオンが分析計の軸にほぼ平行に引き出される単純な線形飛行時間型装置においてはピークにかなりの広がりが生じ、その結果として分解能が低下する。この問題の部分的解決策は、速度分散をある程度補正する反射型分析計により得られるが、より有効な方法は反射型分析計自体によるか、あるいはリペラーを併用することによる、遅延引出の使用である。遅延引出において、イオンは加速電圧が印加されるまで短時間ドリフトすることができる。この方法はイオン生成過程を測定からある程度分離し、個々のいかなる場合においても、イオン脱離及び加速の詳細パターンに対する測定感度を下げる。たとえそうではあっても、測定を成功させるには、レーザの流束量(すなわち、単位面積あたりに供給されるパワー量)の慎重な制御及び、通常は、好ましいスポットを求めてターゲット上をある程度探しまわることが必要である。さらに、最適な動作に必要な引出条件はある程度の質量依存性を有し、このことは較正手順を複雑にする上に、与えられたいかなる設定においても最適分解能で全質量範囲を観察することはできないことを意味する。また、 上記の方法は約20,000ドルトンより大きな質量をもつイオンに対する分解能の改善にも限定的にしか成功していない。従来のMALDI装置では、イオン選択及びフラグメンテーションがフラグメントのピーク幅を広げる傾向があるため、高品質のMS/MSデータを得ることは困難である。本発明の発明者等は、原パルス幅を維持する試みを断念し、代わりに優れた特性を有する擬連続ビームを生成し、次いでTOF型装置の注入電圧を独立した繰り返しレートでパルス化することにより、上記問題を克服できることを認めた。
【0006】
TOF型装置との結合が例として上で用いられているが、MALDIあるいはその他のパルスイオン源の、四重極子型(またはその他の多重極子型)、イオントラップ型、磁場セクタ型及びFTICRMS(フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型質量分析計)のような別のタイプの質量分析計との結合においても問題が生じる。さらに、MALDIあるいはその他のパルスイオン源を、MALDIイオンのMS/MSを得ることができるタンデム型質量分析計、例えば3連四重極子型または四重極子−TOFハイブリッド型装置に結合できることも望ましい。標準的なMALDI装置は高性能MS/MSを実行するように構成することができない。MALDI源または同様のイオン源で生成されたイオンのエネルギー及び角度の分散はイオン注入をさらになお困難にする。また、ほかのタイプの質量分析計のほとんどにおいてイオン滞留時間はTOF型装置よりかなり長いため、パルス内の大量の空間電荷によりさらに問題が生じ得る。これらの装置は全て連続イオン源とともに動作するように設計されているので、パルスイオン源の擬連続イオン源への変換は上記問題のほとんどを解決する。
【0007】
発明の概要
したがって、分析計をより完全にイオン源から分離し、より小さな角度及び速度の広がりをもつより連続なイオンビームが得られるようにして、MALDI源のようなパルスイオン源を様々な分析計装置に結合できるようにする、装置及び方法を提供することが望ましい。
【0008】
さらに詳しくは、イオンビームにおけるエネルギーの広がりが縮小され、既存の装置に比べてイオン源がより完全に分析計から分離され、イオンのフラグメンテーションにより生じる問題が軽減されて、新しいタイプの測定が可能になり、したがって質量分析計から得られる結果及び質量分析計の操作の平易さが向上する、パルスイオン源をもつ改善されたTOF型質量分析計を提供することが望ましい。
【0009】
連続イオン源及びパルスイオン源、例えばESI源及びMALDI源をともに有し、よっていずれのイオン源をも選択することができるTOF型質量分析計を提供することも望ましい。
【0010】
本発明に従えば:
検体イオンパルスを与えるための、パルスイオン源;
質量分析計;
イオン源から質量分析計の間にわたるイオン行路;及び
イオン行路に配置されており、イオン行路の少なくとも一部に制動ガスを有し:イオン源から放出されたイオンのエネルギー広がりの縮小;イオン源からのイオンパルスの擬連続イオンビームへの変換;及び検体イオンの不必要なフラグメンテーションの少なくともある程度の抑制;の内の少なくとも1つを生じさせるイオン輸送デバイス;
を含む質量分析計システムが提供される。
【0011】
本発明は特に飛行時間型質量分析計への使用に適している。飛行時間型質量分析計にはパルスビームが必要であるから、パルスイオン源はパルスとしての性格を維持しながら結合されるべきであると従来は教えられてきた。しかし発明者等は今や、パルスビームを連続な、少なくとも擬連続な、ビームに変換し、次いでパルスビームに戻すことに実際上の利点があることを認識している。これらの利点は:衝突制動によるビーム品質の向上;質量測定からのイオン生成の分離;イオンがいくつかの大きなパルスから多数の小さなパルス、例えば約1Hzから約4kHzに変換される, すなわち4,000倍に変換されることによる、単イオン計数によるビーム電流測定能力;1台の装置で両方のイオン源が稼働する可能性を提供する、ESIのような連続イオン源との共用性;である。
【0012】
本発明はまた、連続ビームではたらくか連続ビームを必要とする質量分析計にも適用できる。したがって、パルスイオン源をそのような分析計で実際に使用できるという利点もある。
【0013】
イオン源は輻射線によるイオン化のために検体を供給し、検体分子の脱離及びイオン化を生じさせる輻射線パルスを生成するための、イオン源に向けられた、電磁波源が与えられることが好ましく、パルスレーザが与えられることがより好ましい。
【0014】
イオン源はマトリックス及びマトリックス中の検体分子からなるターゲット材を含み、マトリックスは検体分子の脱離及びイオン化を促進するための、輻射線源からの輻射線の吸収に適した化学種を含んでいると有利である。
【0015】
輸送デバイスは多重極子ロッドセットを含むことが好ましい。2セット以上の多重極子ロッド及びこれらのロッドセットに相異なるRF及びDC電圧を供給するための手段を含むことができる。
【0016】
衝突制動はまた、緩衝ガス圧が十分高ければ、RF電場が存在しないチャンバ内でも達成することができる。この場合、減速したイオンはガス流に引きずられるか、あるいはDC静電場によりチャンバ出口に向かうことができる。静電場、RF電場及びガス流を衝突制動チャンバで併用することもできる。
【0017】
本発明の別の利点は、イオンの衝突冷却が分子イオンのフラグメンテーション量の低減に役立つことである。分子種を代表するイオンのみを含む単純な質量スペクトルを得られることが通常は望ましい。したがって、代表的なMALDIイオン源においては、フラグメンテーションを減じるためにレーザパワーがイオン化閾値に近くなるように、レーザパワーを慎重に最適化しなければならない。しかし発明者等は、レーザパワーが比較的高くとも、試料表面まわりのガスの存在がフラグメンテーションの低減に大きく役立つことを認めた。これはおそらく、脱離した化学種がフラグメンテーションを起こす前に脱離化学種から内部エネルギーを取り除く、ガス分子との衝突の効果による。このことは、過剰な分解を生じさせることなく、イオン信号強度を高めるためにレーザパワーを強め得ることを意味する。発明者等は、ガス圧を少なくともほぼ1Torr(約1.33×10Pa)まで高めるにつれてフラグメンテーション量が減少してゆくことを観察した。ガス圧をより高くすればさらに有利であろうが、より高い圧力下におけるクラスター化反応を避けるために電場が必要になる。
【0018】
本発明の質量分析計システムは連続イオン源並びにパルスイオン源及び連続イオン源の内1つを選択するための手段を含むことができ、したがって1台の装置で別々の2台の装置の特性が得られる。上記2つのイオン源には、MALDI源及びESI源を含めることができる。
【0019】
本発明の別の態様はイオンを生成して、イオンを質量分析計に送る方法を提供し、この方法は:
(1)イオン源を準備する工程;
(2)イオン源にイオンパルスを生成させる工程;
(3)イオン源から伸びるイオン行路に沿ってイオン輸送デバイスを設け、イオン輸送デバイスに:イオン源から放出されたイオンのエネルギー広がりの縮小;イオン源からのイオンパルスの擬連続イオンビームへの変換;及び検体イオンの不必要なフラグメンテーションの少なくともある程度の抑制;の内の少なくとも1つを生じさせるために、イオン行路の少なくとも一部に制動ガスを与える工程;及び
(4)質量分析のためにイオンをイオン輸送デバイスから質量分析計に渡す工程;
を含む。
【0020】
制動ガスのガス圧は約10−4Torr(約1.33×10−2Pa)から少なくとも760Torr(約1.01×10Pa)までの範囲とすることができる。工程(3)は輸送デバイス内にRFロッドセットを設ける工程を含む。さらに、DC電場をイオン源と分析計との間に与えて、分析計に向かうイオンの運動を促進することができる。
【0021】
本方法は、イオン輸送デバイスに2つ以上のロッドセットを設け、所望の質量−電荷比をもつイオンを選択できるようにするためのDCオフセットを少なくとも1つのロッドセットに与えて作動させる工程を含むことができる。隣接する2つのロッドセットの間にイオンを下流側のロッドセットに向けて加速するに十分な電位差を与えて、下流側のロッドセットで衝突誘起解離をおこさせることができる。
【0022】
パルスレーザが用いられる場合、レーザパルス毎に複数のイオンパルスが飛行時間型質量分析計に送られる。
【0023】
イオンは初めに、イオン源における圧力から質量分析計内の圧力まで推移する1つ以上の差動排気領域を通過する。イオン源の圧力は大気圧あるいは少なくとも下流の四重極子ステージ及び質量分析計の圧力よりも実質的に高い圧力とすることができる。上記領域の少なくとも1つにはロッドセットが含まれず、したがって質量分析計に向かうイオン運動はガス流及び/または静電ポテンシャルにより推進される。
【0024】
好ましい実施の形態の詳細な説明
本発明のよりよい理解のため、及び本発明をいかにして実行に移すことができるかをより明解に示すために、例として、本発明の好ましい実施の形態を示す添付図面を参照する。
【0025】
図1に示される第1の実施の形態は、一般的な質量分析計システムのブロック図である。ここで1はいずれかのタイプのパルスイオン源(例えばMALDI)、2は緩衝ガスで満たされ、あるRF電圧で駆動される多重極子3をもつ衝突集束チャンバまたは領域である。これに続いてオプションとして付加される操作ステージ4があり、さらに続いて質量分析器5がある。衝突イオン誘導器3は、本発明に従って、パルスイオンビームを時間的に広げ、ビーム品質(すなわち、空間分布及び速度分布)を初期速度を制動し、イオンを中心軸に集束させることにより改善する。したがってビームは擬連続であり、オプションとして付加される操作ステージ4に入って、そこでいかなるタイプの操作もさらに受けることができる。最後に、得られたイオンが質量分析器5で分析される。
【0026】
ステージ4におけるさらなる操作の簡単な例は、得られる娘イオンを質量分析器で調べることができるような、ガスセル内の衝突によるイオンの解離である。これは、単一検体の分子構造を決定するには十分であろう。検体が複雑な混合物であれば、ステージ4はさらに複雑にされる必要がある。(エイ・シェブチェンコ(A. Shevchenko)等:“ラピッドコミュニケーションズ・イン・マススペクトロメトリー”誌,第11巻(1997年),1015ページに発表されているような)3連四重極子型あるいはQqTOF型装置においては、注目する親イオンの選択のための四重極子型マスフィルタ及び衝突誘起解離(CID)による選択された親イオンの分解のための四重極子型衝突セルがステージ4に含まれる。次いで親イオン及び娘イオンはともに、3連四重極子の四重極子型マスフィルタあるいはQqTOF型装置の直交注入をもつTOF型分析計である、区画5で分析される。いずれの場合にもステージ1及び2はパルス源及び衝突制動イオン誘導器からなる。
【0027】
衝突集束チャンバ2が、いずれか適当なロッドセット、例えば四重極子、六重極子または八重極子とすることができる、多重極ロッドセット3とともに示されていることは当然であろう。選択される特定のロッドセットは提供されるべき機能に依存する。
【0028】
あるいは、衝突集束デバイスにラジオ周波リング誘導器を用い、ラジオ周波電場により定められるイオンを入れておくための空間内でイオン生成を行うこともできる。
【0029】
図2は、本発明に従うMALDI−TOF型質量分析計10の好ましい実施の形態を示す。分析計10は従来のMALDIターゲットプローブ11,既知の方法で排気されるシャフト封止チャンバ12,及びターゲット保持電極13に装着されたターゲットを含む。検査される試料の混合物及び適当なマトリックスが、通常のMALDIターゲット作成手順に従って試料プローブに塗布される。パルスレーザ14がレンズ16によりターゲット面15に、窓17を通して、集束される。レーザビームは20で示され、レーザは数Hz以下から数10kHzまでのいずれかの繰り返しレートで作動し、さらに特定すれば、本実施の形態では13Hzのレートが試された。流入口18が窒素またはその他の中性ガス用に設けられる。レーザショット毎に、中性及び荷電分子のプルームが生成される。試料検体のイオンが生成され、2連の四重極子ロッドセット31,32を収める真空チャンバ30内に広がるプルームに伴出する。チャンバ30は、ポート34に接続された(図示されていない)ポンプにより約70mTorr(約9.33Pa)まで排気されるが、圧力はリーク制御弁18によるガス流調節により実質的な範囲にわたって変えることができる。イオン化領域をチャンバ30の上流にあるチャンバにおき、それを通してイオンがチャンバ30に引き入れられる小さな開口を設けることにより、イオン生成領域に1気圧(約1.013×10Pa)までの圧力を用いることもできる。より低い圧力を用いることもできるが、重要な特性値は圧力とロッド長との積である。米国特許第4,963,736号にあるように22.5mTorr-cm(約3.00Pa-cm)という値が好ましいが、少なくとも10.0mTorr-cm(約1.33Pa-cm)の全長×圧力値を用いることができる。チャンバ30内のガス(一般には窒素またはアルゴンまたはその他の、不活性ガスであることが好ましい、適当なガス)は制動ガスまたは冷却ガスまたは緩衝ガスと称される。
【0030】
試験した実施の形態において、 四重極子ロッドセットは長さが4.45cmで直径が11mmのロッドで構成し、ロッド間隔、すなわちロッドセットの隣り合う角にあるロッドどうしの間隔は3mmとした。四重極子31及び32は、50kHzから2MHzの正弦波動作周波数で、ピーク間が0から1000ボルトの出力電圧を供給する電源で駆動される。代表的な周波数は200kHzから1MHzであり、代表的な電圧振幅はピーク間で100から1000Vである。いずれの四重極子も、二次巻線を2つ有する変圧器を介して同じ電源で駆動される。2つの二次巻線の巻数を異ならせることにより相異なる振幅を2つの四重極子に印加することができる。多重出力電源により、DCバイアスすなわちオフセット電位が四重極子31及び32のロッド並びにその他様々な部品に印加される。それぞれのロッド間に制動ガスをもつRF四重極子31及び32はRFのみが印加されるモードで作動することができ、以下で説明されるように、この場合には四重極子が四重極子を通過するイオンの軸方向エネルギー、径方向エネルギー及びエネルギー広がりを小さくするようにはたらく。以下でより詳細に説明するように、この過程はイオンプルームをイオン行路に沿って実質的に伸ばして、約13Hzのパルスであった初期ビームを擬連続ビームに変える。第1の四重極子31は、適当なDC電圧を印加することによりマスフィルタモードで作動させることもできる。この場合、第2の四重極子32は衝突誘起解離実験において衝突セル(及びRF誘導器)として用いることができる(以下参照)。
【0031】
チャンバ30からイオンはイオン行路27に沿い、集束電極19を通り、次いでオリフィス38を通過して、ポート42に接続された(図示されていない)ポンプにより排気される真空チャンバ40に入る。そこで、イオンはグリッド44により集束され、スロット46を通って、全体として50で示されるTOF型分析計のイオン蓄積領域48に入る。
【0032】
既知の方法で、イオンは蓄積領域48から引き出されて、単位電荷あたりほぼ4000電子ボルト(4keV)のエネルギーまでイオンを加速する通常の加速管51により加速される。イオンはイオン蓄積領域の中間でイオン行路27に概ね直交する方向に進み、一対の偏向板52を通過する。偏向板52は、イオンが検出される検出器56にイオンを反射する通常の静電イオンミラー54に向けてイオンが導かれるように、イオンの軌道を調節するはたらきをすることができる。イオンは単イオン計数を用いて検出され、時間−デジタル変換器(TDC)で記録される。加速管51,偏向板52,ミラー54及び検出器56は、ポート60に接続された(図示されていない)ポンプにより約2×10−7Torr(約2.66×10−5Pa)まで排気された主TOFチャンバ58に収められる。
【0033】
MALDI源13からTOF型分析計50へのMALDIイオンの直交注入を使用することには通常の軸方向注入配置に優るいくつかの潜在的な利点がある。直交注入は、イオン生成過程の質量測定からの分離のレベルを、通常の遅延引出MALDIで可能なレベルよりも高くするようにはたらく。このことは、質量スペクトルに影響を与えることなくターゲット条件を変えるための自由度がより大きく、分析計にイオンを注入するために電場が印加されるまでに、イオンプルームを引き伸ばして冷却する時間をより長くとれることを意味する。速度の最大広がりは、この場合はTOF軸に直交している、ターゲットに垂直な放出軸すなわちイオン行路27に沿っているから、ある程度の性能向上も期待できる。しかし衝突冷却無しにMALDIイオンをTOF50に直交注入することには、そのような配置を実施不可能にするいくつかの問題、すなわち:
(1)径方向エネルギー分布は軸方向エネルギー分布よりはるかに狭いが、それでもビームが四重極子ロッドセット32を出てTOF軸に向けて進む間にビームの実質的な広がり及び伸びを生じさせるに十分である。ビームのTOF軸に沿った空間的広がりは分解能を制限する。この効果は、感度を大きく犠牲にした場合にのみ、コリメーションにより小さくすることができる;コリメーションスリットは引出電場が歪まないようにTOF軸から十分遠くに配置しなければならず、したがってかなり平行なビームをつくるためにはターゲットをコリメーションスリットから十分遠くに配置しなければならない;
(2)プルーム内のイオンの軸方向速度、すなわちイオン行路27に沿う速度は、質量にほとんど依存せず、このことはエネルギーが質量依存であることを意味する。軸方向エネルギーはTOF型分析計への加速後の軌道の方向を決定するから、装置アクセプタンス(すなわちTOF型分析計によるアクセプタンス)は質量依存である;すなわち質量弁別がある。上述した先の論文に詳細に説明されているように、衝突冷却無しにESIイオンが注入された場合にも同じ効果が観察されている;及び
(3)軸方向エネルギー分布の幅は軸方向エネルギー自体の大きさと同等であり、よってビームはターゲットとTOF軸との間隔と同等の大きさまで軸に沿って広がる。蓄積領域から分析計にイオンを通過させる開口の大きさは明らかに、特にスリットがターゲットとTOF軸との間におかれていれば、一様な引出電場を維持するための大きさよりもはるかに小さくなければならない。このことは、感度をさらに下げる;
がある。
【0034】
通常の軸方向配置、すなわち図示されている直交配置ではない配置における遅延引出MALDIにおいては、アクセプタンスはほぼ完全であり、速度の最大広がりはTOF軸に沿うが、TOF軸に対してターゲット面を十分正確に垂直におくことにより、タイムラグ集束(最適化された遅延及び印加電圧値による遅延引出)及びイオンミラーにおける静電集束(最適化されたリペラー電圧値)を併用して、場合によっては分解能を10,000より十分高くすることができる。
【0035】
発明者等により行われた実験は、本発明による衝突冷却を用いなければ、直交注入を用いて上記に匹敵する分解能を許容できる信号とともに得ることはできないことを示唆している。さらに、遅延引出MALDIのいくつかの欠点――最適引出条件の質量依存性及びより複雑な較正の必要性――が、軸方向注入より低いレベルではあるが、冷却無しの直交注入MALDIには未だに存在する。
【0036】
MALDIターゲットと直交注入配置との間へのイオンの衝突冷却をともなうRF四重極子あるいはその他の多重極子の導入は上記の問題を回避する一方で、付加的な利点を提供する。これらについては、残りの図面を参照して以下に詳述する。
【0037】
イオンの径方向エネルギーを小さくすれば、イオンが蓄積領域に入る前のコリメーションにより生じる損失を大きく低減する、ほぼ平行なビームをつくることができる。このことにより、TOF型分析計50への入射開口をより大きくすることができ、損失をさらに低減できる。イオンの軸方向エネルギーを小さくし、次いでイオンを一様なエネルギーに再加速することにより、上述した質量弁別がなくなる。
【0038】
冷却後のイオンの一様なエネルギー分布により、最適引出条件に関するいかなる質量依存性も取り除かれ、TOFと質量との間の簡単な2次関係を2つの較正用物質のピークによる較正を用いることできる。図3は、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸マトリックス中の質量が726から5734ドルトンのいくつかのペプチド及びタンパク質の等モル混合物のスペクトルを示す。このスペクトルは1回ランでとられ、全質量範囲にわたり約5000の一様な質量分解能(M/ΔMFWHM)を示す。P物質及びメリチンによる簡単な外部較正を用いることにより、分子イオンのそれぞれの質量は約30ppm以内の精度で決定される。ここで、様々な物質についてのピークについては、ピーク60がロイシン−エンケファリン,ピーク61がP物質、ピーク62がメリチン,ピーク63がCD4,ピーク64がCD4のフラグメント25〜28,ピーク64がインスリンと同定される。全てのピークが、全体スペクトル及び部分拡大スペクトルのいずれについても識別される。図3で実証される分解能はESI源を用いた同じ装置で得られる分解能にかなり近い。本実施の形態においては、予備実験における調整をより容易にするために、入射オリフィスの直径はESIに通常用いられるより若干大きく、通常の直径が1/3mm程度であるのに対して1mmとした。このことは必要不可欠であるとは思われず、したがってより小さなオリフィスを用いれば、分解能の向上が当然期待できる。10,000までの分解能が同じ装置でESIイオンを用いて得られ、以下に説明するMALDI−QqTOF型装置においても得られた。
【0039】
質量にともなう分子イオンの相対強度の減少は、質量の増加にともなう検出効率の減少をある程度反映している。検出効率は、ある与えられたエネルギーにおける一価イオンに対して質量とともに減少する、速度に強く依存する。本実施の形態においては、一価イオンのエネルギーは(一般的なMALDI実験における30keVに対して)約5keVにすぎず、したがって検出効率は実用適用範囲を約6000ドルトンより小さい範囲に制限する。図3の分子イオンピークの相対強度は5kV加速を用いて同じ試料を通常のMALDI実験で分析したときに得られた相対強度と一致している。本実施の形態における検出効率は、イオンを分析計に向けて加速する電圧を上げるか、あるいは検出器にかける電圧を上げることにより、高めることができる。
【0040】
上述したように、衝突冷却はイオンをイオンビーム軸に沿って広げ、13Hzの初期パルスビームを擬連続ビームに変える。この例が、レーザパルス照射後の時間の関数としてのカウントレート、すなわちイオン誘導器を通る走行時間の分布を示す図4で説明される。時間分布の幅は20ms程度であり、それぞれのレーザパルス幅が約2nsであるのに対して少なくとも10倍まで広げられた時間上の増加を表している。20ms程度の時間分布をつくる必要はなく、例えば擬連続パルスの幅は0.1msと短くともよいことは当然である。軸方向分散は冷却無しの直交注入MALDIの欠点であるが、本発明によれば、最適引出条件がレーザショット後の時間遅延に依存しないから、TOF蓄積領域48への多重注入パルスをレーザショット毎に用いることができる。本実施の形態においては、TOF蓄積領域48への256の注入パルスをレーザショット毎に用いた。次いで損失が、この場合は約20%である、装置のデューティーサイクルから決定される。デューティーサイクルは、イオンを蓄積領域からTOF型分析計に注入できる時間の百分比であり;ここでは、TOF蓄積領域48がイオンの受け入れに利用できる時間の分率を事実上意味する。擬連続ビームは実際この動作モードにおいて有用である。13Hzの繰り返しレートのレーザショット毎にターゲットプローブからほぼ10から10個のイオンが放出されるが、ビーム軸すなわちイオン行路27に沿う広がり(及び若干の損失)の結果として、注入パルス毎にほぼ2から5個のイオンが注入され、これはある特定の化学種について平均して1個より少ない。このことにより、高い時間分解能(0.5ns)と(デューティーサイクルの最大化に欠くことができない)高い繰り返しレートの併用を、通常のMALDI実験に必要なトランジェントレコーダを用いる場合より技術的にはるかに簡単にする、TDC(時間−デジタル変換器)による単イオン計数を用いることができる。さらに単イオン計数の使用は、強いマトリックスピークによる検出器のマスキングの問題並びに、信号の強いレーザ流束量依存性及びショット間変動依存性のために、通常のMALDIでは減衰を必要とするピーク飽和の問題を排除する。最後に、パルスの電子的なリダクション及び数値化が検出器におけるパルス形状の影響をほとんど受けないため、検出器及び増幅器の時間分解能に対する単イオン計数による要求は非常にささやかなものでしかない。
【0041】
図4に、70で示されるロイシン−エンケファリン、72で示されるP物質、74で示されるメリチン、及び76で示されるインスリンについての、時間に対するカウントレートの4つのグラフが示されている。さらに、これらの物質のそれぞれについて、グラフすなわちスペクトル71,73,75及び77が挿入され、図3と同様の、通常のTOFスペクトルを示している。
【0042】
レーザショット毎に10個の単一分子イオン種のイオンが生成されると仮定すれば、RF四重極子の輸送効率は10%程度である。デューティーサイクルを考慮すると、ターゲットで生成されたイオンの内約2%が質量分析計で検出される。このことは、輸送効率がおそらく50%以上である通常の軸方向MALDI実験に比較してかなりの損失があることを表す。しかしデータレートの観点からは、この損失はより高い繰り返しレート及びより大きいレーザ流束量によりかなりの程度まで補償することができる。上記の実験において繰り返しレートは13Hzであったが、現在のレーザを用いて容易に20Hzまで高めることができ、また原理的には計数システムが飽和するまでに少なくとも100Hzまで高めることができる。対照的に通常のMALDI実験は約1または2Hzで行われる。通常のMALDI実験におけるレーザ流束量は最良性能を達成するために閾値近くに保たれなければならず、閾値はアナログ−デジタル変換器をもつ通常のトランジェントレコード方式を用いるに有効な信号をつくるために試料を蒸気化させるに必要な最小エネルギーである。本発明においては、レーザ゛流束量はイオン生成過程が飽和する流束量まで高めることができる。四重極子はレーザにより生成されたイオンバーストを平滑化するようにはたらくから、短く強いイオンバーストを受け入れることができる。絶対感度の観点からは、スペクトルがレーザ条件に依存しない(以下参照)ことによりターゲットに被着された試料を、より高い効率で使用できる。閾値より数倍高い流束量を用いることにより、マトリックスがターゲットプローブから完全に除去されるまでイオンが生成される。図5はP物質で得られる実用感度が通常のMALDIで得られる実用感度と同じレベルにあることを示す。4HCCAをマトリックスに用いて5フェムトモルのP物質をターゲットに塗布した。スペクトルの左側は80で示され、右側は44倍に拡大されて示され81と表示される。このスペクトルの一部は拡大されて82で示されて、分子イオン(MH)を示す。
【0043】
図6はシトラートシンターゼのトリプシン消化から得られたスペクトル85を示し、全質量範囲にわたる一様な質量分解能をやはり示している;挿入図86はターゲットに塗布された20フェムトモルから得られたスペクトルを示す。
【0044】
これらの結果は、ペプチドに関する本発明の能力が通常のMALDI実験と同等であること、ただし、質量に依存しない較正及び簡単な較正手順という利点をもつことを示している。しかし、最も重要な利点はイオン生成を質量測定からほぼ完全に分離することから生じている。通常のMALDI実験においては、性能の最適化のためにターゲット上のレーザスポットの位置並びにレーザの流束量及び位置が慎重に選ばれなければならず、これらの条件は一般にマトリックスが異なれば異なるし、ターゲット作成法が異なってさえも異なる。この状況は遅延引出の導入により改善されたが、遅延引出が導入されていてさえ、市販の装置の多くにはレーザ流束量、検出器利得及びレーザ位置を調節し、飽和が生じるショットを排除するためのソフトウエアが組み込まれている。本発明には、上記の技法のいずれも必要ではない。得られた性能はターゲット条件またはレーザ条件への依存性がないことを示している。レーザは単に最大流束量(通常の閾値の数倍)に設定されて、ターゲットがまだ使用されていない位置に時折動かされてもそのままにされる。このことは、(絶縁性ターゲットを含む)別のターゲットを容易に試験することができ、波長またはパルス幅が異なる別のレーザを使用できることを意味する。
【0045】
イオン生成の質量測定からの分離により、放出後質量分析までの間にイオンを様々に操作する機会も与えられる。その一例は親イオンの選択及びこれに引き続くフラグメンテーション(MS/MS)である。これは以下に説明されるように四重極子型マスフィルタの付加により最も適切に行われるが、図2の実施の形態でさえある程度の選択及びフラグメンテーションは可能である。
【0046】
図8のA,B及びCは、図2に示した装置の相異なる3つの動作モードを示す。電位レベルと装置のそれぞれの素子との間の対応を示すために、図2の参照数字がz軸に沿って与えられ、四重極子部31,32への電圧はそれぞれU(t)及びU(t)で示される(図2の該当部分が簡略に示される図7を参照されたい)。
【0047】
図8のAは、図4〜6に示した結果を得るのに用いられた単純な衝突イオン誘導モードを示す。この場合はそれぞれの四重極子部に同振幅のRF電圧が印加され、DCオフセット電圧は印加されない。軸方向の電位差はCIDによるフラグメンテーションを最小限に抑えるために小さくしておかれる。
【0048】
図8のBは、通常の四重極子型マスフィルタで実施される同じフィルタモードと類似の、マスフィルタモードを示す。ここでは注目するイオンを選択するために第1の四重極子部にDCオフセット電圧Vが印加され、一方第2の四重極子部は、2つの四重極子部間の電位差が小さいからCIDがおこらず、よって上と同じく普通のイオン誘導器としてはたらく。第2の四重極子部32に印加される電圧振幅は第1の四重極子部31に印加される電圧振幅の1/3にすぎない。
【0049】
図8のCは、四重極子部31と32との間の電位差が図7のBの電位差より高く、よってイオンが四重極子部31と32との間で加速され、高運動エネルギーをもって第2の四重極子部へ入ることが図7のBのモードと異なる、MS/MSモードであり、付加されるエネルギーがΔ衝突エネルギーとして示される。この場合、第2の四重極子部は衝突セルとしてはたらき、親イオンはそこで緩衝ガスとの衝突により分解される(CID)。図7のBの場合と同じく、第2の四重極子のRF電圧振幅は第1の四重極子部のRF電圧振幅の1/3にすぎず、このため、親イオンよりかなり軽い娘イオンが安定な軌道をとることができて、第2の四重極子を通して輸送されることができる。
【0050】
図9のA〜Dは図8のA〜Cで説明した様々なモードで得られたスペクトルの例を示し、特に、可能なビーム操作の例を与える。スペクトルは全て同じ初期試料からとった。
【0051】
図9のAは(図8のAのモードの)衝突集束イオン誘導器でイオンが冷却された質量スペクトルである。
【0052】
図9のBは、注目するイオンが第1の四重極子部で選択されて第2の四重極子部で冷却された(図8のBのモードの)例である。注目するイオンが選択されると、組成及び構造に関する詳細な情報を得るためのCIDによるフラグメンテーションに、選択されたイオンを用いることができる。
【0053】
図9のCは、そのようにして得られたP物質のMS/MSスペクトルである。P物質の分子イオンが(図8のCのモードにより)第1の四重極子部で選択されて第2の四重極子部で衝突によりフラグメント化される。第1と第2の四重極子間の電位差、すなわちΔ衝突エネルギーは100Vとした。フラグメントイオンの強度は一次イオンの強度に比して小さく、よって一点鎖線の内側の領域は56倍に拡大してある。図9のDは、同じモードであるが、四重極子31,32間の電位差を150Vとして得られたスペクトルを示す。この場合、より多くのフラグメントイオンが観測され、親イオンのピークは実質的に衰微している。
【0054】
図10は、MALDIターゲット上の同じスポットから信号がどの程度の時間続き得るかを示す。本実験においては、ある与えられたスポットを、13Hzで作動しているレーザからの一連のショットにより照射した。レーザ強度は“閾値”強度の2または3倍とした。平均して試料は約1分間もった。曲線の形状は、試料が消耗するまで、レーザショットが試料を深くまた深く掘り進むことを示唆している。レーザが金属基板を照射する時点で、信号が観測されなくなる。
【0055】
以前は、エレクトロスプレイイオン化(ESI)のような連続イオン源と、MALDIのようなパルスイオン源を同じ装置で併用するることは不可能であったが、両者の併用には重要な利点がある。発明者等の知るところでは、これまでに唯一成功したESI−TOF型装置は(本発明者等,ドドノフ(Dodonov)による、今ではパーセプティブ(PerSeptive)社等による市販装置である)直交注入分析計であったことから、エイ・エヌ・クルチンスキー,アイ・ブイ・チェルヌシェビッチ,ブイ・エル・スパイサー,ケイ・ジー・スタンディング:“ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ソサエティー・フォー・マススペクトロメトリー”誌,第9巻(1998年),569〜579ページに詳述されているように、衝突制動が状況を改善するが、衝突制動をもつにせよもたないにせよ、ESI−TOFには直交注入が必要であるように思われる。今までは、MALDIを直交注入装置に装着しようとする試みは衝突制動をともなっていなかった(例えば、本発明者等及びギルハウス(Guilhaus)社によってなされ、いずれも得られた結果には見込みが無かった)。本発明は2つのそのようなイオン源を1台の装置で利用できるようにする。この場合には、本装置でESIスペクトルの測定を可能にするために、図2のMALDIプローブ11をESI源で置き換えることができる。すなわち本装置は、“ラピッドコミュニケーションズ・イン・マススペクトロメトリー”誌,第12巻(1998年),508〜518ページの、エイ・エヌ・クルチンスキー,エイ・ブイ・ロボダ(A. V. Loboda),ブイ・エル・スパイサー,アール・ドワルスチャック(R. Dworschak),ダブリュー・エンス,ケイ・ジー・スタンディングの論文に説明された装置と本質的に同じである。上記の変更は、実際に1つのイオン源を取り外して別のイオン源で置き換えることにより行えることはもちろんであるが、多くのより便利な構成を与えることができる。
【0056】
例えば図11は、エレクトロスプレイイオン源94が、四重極子、あるいはその他の多重極子のロッドセット93を含む、衝突制動インターフェース92の入力部に取りつけられた別の実施の形態を示す。MALDIイオン源94は、側面から挿入されて、内外に移動させ得るプローブ95で導入される;この目的のため、衝突インターフェース92のハウジングにシャフト端96がスライドでき、気密封止できるようにはめ込まれる。MALDIイオン源94は、この場合には試料が円筒プローブの末端面の代わりに、プローブシャフト95の側面に機械加工された平坦面に被着されることを除いて、図2に示したMALDIイオン源と同様である。試料は全体として97で示される、付帯光学系をもつレーザにより照射され、イオンが98で示される分析計に輸送される。ESI源が作動しているときは、シャフト96がESIイオンの行路を開けるために十分離れたところまで引き出される。MALDIイオン源94が作動しているときは、MALDIターゲット94が中心位置になるようにシャフト96が押し戻される。
【0057】
現在、MALDI及びESI法は生化学的分析の相補的な方法と考えられることが多いので、多くの生化学または薬学研究室は2台の装置を使用している。明らかに、上述した実施の形態のように、両方のイオン源を1台の装置に複合することには大きな利点がある。特に、複合装置のコストは2台の個別の装置のコストの1/2よりやや高くなる程度でしかないと思われる。さらに、イオン生成が質量測定から大きく分離されているから、イオンの操作、検出及び質量較正に同じ手順を用いることができる。このことにより、個々のスペクトルの分析及び処理並びに比較が簡単になる。
【0058】
単一装置でMALDI及びESI源を用いる能力は図1に示した分析計に限られることはなく、衝突制動インターフェースをもつどのような質量分析計にも適用できる。特に上で論じられ、以下でさらに詳細に説明される、QqTOF型装置に適用できる
本発明の特定の実施の形態を説明したが、本発明の範囲内で多くの変形が可能であることは当然であろう。すなわち、装置は図1に示したようにただ1つの多重極子ロッドセットを含んでいても、あるいは図2に示したように2つのロッドセットを含んでいてもよい。四重極子ロッドセットが好ましいが、六重極子または八重極子のようなその他のロッドセットであってもよく、ロッドセットは様々なロッドセットの既知の特性に基づいて選ぶことができる。さらに、3つ以上のロッドセットを備えることもできる。さらにまた、図2は共通のチャンバ内に備えられた2つのロッドセット31及び32を示しているが、ロッドセットは、異なる動作を行えるようにするため、異なる圧力で作動する別々のチャンバに、既知の方法で、備えることもできる。すなわち、通常の質量選択を行うために、イオンと制動ガスとの間の衝突運動が少ししかあるいは全くおこらないように、一方のチャンバを非常に低い圧力で作動させることができる。さらに、ガス圧をそれぞれのチャンバ間で変えて、過剰な衝突は望ましくない衝突誘起フラグメンテーションとは対照的に、比較的大量の衝突が望ましい衝突制動のための必要条件に合わせることができる。
【0059】
ここで図12を参照する。わかりやすく簡潔にするため、図2の装置すなわち分析計と共通の部品には同じ参照数字が与えられ、これらの部品の説明は繰り返されない。
【0060】
本図では、MALDIターゲットが100で示され、102で示されるイオンビームを生成する。MALDIターゲット100は、106に示されるように既知の方法でポンプに接続された、差動排気チャンバ104内に置かれる。第1のロッドセットQ0がチャンバ104内に置かれる。開口及びロッドセット間開口板108が主チャンバ110への通路を与える。上と同じく、既知の方法によるポンプ接続が112に与えられる。
【0061】
主チャンバ110内には、ビームのコリメーションのために設けられた、時に“スタッビー”と称される、短いロッドセット111がある。チャンバ110内の第1の四重極子ロッドセットがQ1で、また第2のロッドセットがQ2で示される。
【0062】
ロッドセットQ2は、116で示される、衝突ガス用の接続を備えた衝突セル114内に置かれる。
【0063】
衝突セル114を出ると、イオンはグリッド、次いで開口を通過して、上と同じく50で示される、TOF型装置の蓄積領域48に入る。この場合、TOF型装置50には飛行領域のまわりにライナー118が設けられる。
【0064】
ここで、差動排気チャンバ104の圧力は約10−2Torr(約1.33Pa)に維持される。主チャンバ110の圧力は約10−5Torr(約1.33×10−3Pa)に維持され、一方衝突セル114の圧力は約10−2Torr(約1.33Pa)に維持される。衝突セル114の圧力は、既知の方法で、接続116を介した衝突セル114への窒素の供給を制御することにより制御できる。
【0065】
ここで、MALDIターゲット100から生成するイオンの衝突制動は差動排気チャンバ104内の比較的高い圧力により達成される。イオンは次いで所望のイオンを質量選択するように作動し得る四重極子ロッドセットQ1に渡される。
【0066】
質量選択されたイオンは次いで衝突セル114及びロッドセットQ2に渡される。電位は、イオンが衝突誘起解離を生じさせるに十分なエネルギーをもってロッドセットQ2に入るように与えられる。ここでのCIDにより生成されたフラグメントイオンは次いで分析のためにTOF型装置に渡される。
【0067】
MALDI−QqTOF型装置で得られた代表的なスペクトルが図13に示される。図13のaに示されるスペクトルはQ1を広帯域モードで作動させて得られたため、MALDIイオン源で生成されたイオンは全てTOF型質量分析器に送られた。図13のaの3つのピーク(121,122,123)はそれぞれロイシン−エンケファリン、P物質及びメリチンに対応する。Q1を選択モードで作動させると、図13のbに示されるスペクトルが見られる。この場合Q1は、m/zが約1347.7にあるP物質のイオン(ピーク122)のみを選択するように設定した。Q1の条件がほかのイオンの通過を防いだため、質量スペクトルには他のピークあるいはバックグラウンドが全く見られないことに注意されたい。図13のcは、P物質(ピーク122)の選択及びP物質イオンの衝突誘起解離の結果を示す。この場合、Q1は図13のbの場合と同じく選択モードに設定したが、CIDを促進するためにQ0とQ2との間の電位差を大きくした。低質量側の領域に見られるピークはP物質イオンのフラグメントである。
【0068】
次に図14を参照する。上と同じく、同じ部品には図12及び2と同じ参照数字が与えられている。
【0069】
図14においては、MALDI源が130で示され、イオンビームが132で示されている。ここでは、MALDI源130とロッドセットQ0との間にサンプリングコーン134を配置した。サンプリングコーン134は差動排気領域を第1の差動排気領域136と第2の差動排気領域138に実効的に分離する。差動排気領域136,138にはポンプへのそれぞれの接続137及び139が設けられている。
【0070】
上述と同様に、ここでは142で示されるチャンバに、短いロッドセットすなわちスタッビー140がロッドセットQ1とともに設けられる。
【0071】
図14に示した別構成の衝突制動機構をMALDI−QqTOF型装置に組み込んだが、この構成は先に説明し、図2に示した、より単純な構成のような、いかなる構成の衝突RFイオン誘導器にも用いることができる。図14の構成においては、RF電場がほとんど全く存在しない第1の領域すなわちチャンバ136で、ある程度の衝突制動が達成される。図2と同様に、窒素がチャンバ136に供給され、また図12のチャンバ104にも供給される。後から示された図12及び14には窒素の接続が示されていないが、窒素は図2と同じようにして供給される。第1の差動排気領域すなわちチャンバ136は一般に第2の差動排気領域すなわちチャンバ138より圧力が高く、イオンはDC電場とガス流の組み合わせにより、Q0の入口に向けて引きずられる。圧力がより高くなっているにも関わらず、スペクトルに有意な変化は見られなかった。この構成における信号強度は、サンプリングコーンの開口径を1mmより大きくすれば、図12に示した構成の信号強度と実質的に同じであった。開口径が1mmより小さい場合には、おそらく開口の大きさがイオンビーム径より小さくなるために、信号強度が低下する。
【0072】
図15はMALDIにより生成された信号の強度に対する圧力及び電場の効果を調べるために用いた装置を示す。MALDIイオンはUVレーザのパルスビーム152によりターゲット150で生成される。レーザビーム152は、上述した分析計構成と同様にレンズ154及び窓156を通過する。窓156は既知の方法で内部圧力を変えることができるチャンバ158に設けられる(ポンプへの接続等は図示されていない)。ターゲット150とコレクタ電極162との間の電位差Uは電源160により与えられる。
【0073】
すなわち、ターゲット150で生成されたイオンは164で示されているようにコレクタ電極162に進む。ほぼ均一な電場がターゲット150とコレクタ電極162との間の領域に確立される。この電場は印加電位差Uに比例する。ターゲットとコレクタとの間隔は約3mmとした。レーザを20Hzで作動させ、増幅器166を用いて全イオン電流を測定した。
【0074】
図16は、チャンバ158の様々な内部圧力においてMALDIにより生成された全イオン電流の依存性を、図15に示したターゲット150とコレクタ電極162との間に印加された電圧の関数として示す。明らかに、イオン収率が圧力の増加にともなって減少し、14Torr(約1.87×10Pa)と47Torr(約6.27×10Pa)の間で収率がかなり低下する。しかし、収率の低下は電場強度を高めることで埋め合わせることができる。
【0075】
図16に示した結果は、MALDI法を所望のいかなる圧力においても、RF衝突多重極子を使用できる範囲ではない圧力であってさえ、使用できることを示す。試料ターゲット近くの無RF電場領域で、少なくともある程度はイオンの衝突制動を達成できる。発明者等は、同様の圧力及び電場依存性をいくつかの他のパルスイオン源でもみることができ、これらのイオン化法もより高圧における衝突制動とともに用いることができると信じている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 質量分析計システムのブロック図を示す
【図2】 本発明に従う衝突制動インターフェース(四重極子イオン誘導器)を通して分析計にMALDIイオンを直交注入するMALDI−TOF型質量分析計を示す略図である
【図3】 図2の分析計で得られた、いくつかのペプチド及びタンパク質(ロイシン−エンケファリン−アルギニン(Le-R),P物質(Sub P),メリチン(ME),CD4のフラグメント25〜28(CD4),及びインスリン(INS))の混合物の質量スペクトルを示す
【図4】 様々なイオンのインターフェース通過時間のプロットを示す
【図5】 P物質の質量スペクトルを示す
【図6】 シトラートシンターゼのトリプシン消化の質量スペクトルを示す
【図7】 衝突インターフェース及び印加電圧を示す、図2の分析計の一部の略図である
【図8】 図2の質量分析計の様々な動作モードを示す
【図9】 図8に従う様々な動作モードで記録された、P物質から得られた質量スペクトルである
【図10】 単一のターゲットスポットからのイオン電流の時間の関数としての振る舞いを示す
【図11】 質量分析計のためのESI源及びMALDI源の併用の概要を示す
【図12】 衝突制動インターフェースと飛行時間型質量分析計との間に付加された追加イオン操作ステージを含む衝突制動インターフェースを利用するMALDI−QqTOF型質量分析計を示す
【図13】 図12のMALDI−QqTOF型質量分析計で得られた、単MSモード及びMS/MSモードにおける質量スペクトルを示す
【図14】 RF電場のない領域でイオン速度がある程度制動される、図12のMALDI−QqTOF型質量分析計の別の衝突制動機構を示す
【図15】 MALDIイオン電流に対する圧力及び電場強度の効果を調べるために用いた実験装置を示す
【図16】 様々なチャンバ内圧力の下で印加された電圧差の関数としての、図14のMALDI源により生成された全イオン電流を示すグラフである
【符号の説明】
10 MALDI−TOF型質量分析計
14 パルスレーザ
15 MALDIターゲット
30 真空チャンバ
31,32 四重極子
50 TOF型分析計
54 イオンミラー
56 検出器
58 主TOFチャンバ

Claims (33)

  1. 質量分析計システムにおいて:
    質量分析計;
    各プルームが複数の検体イオンを有する複数のプルームを供給するためのパルスイオン源;及び
    制動ガスを含有し、前記質量分析計につながるイオン行路に配置された少なくとも1つのRFイオン誘導器を有するイオン輸送デバイスであって、前記制動ガスが検体イオンに衝突制動を供給し、前記RFイオン誘導器が前記イオン行路に沿ってイオン閉じ込めを供給することによって、前記各プルームを前記イオン行路に沿って伸ばしてイオンパルスを擬連続イオンビームに変換するイオン輸送デバイス;
    を含むことを特徴とする質量分析計システム。
  2. 前記衝突制動が、前記検体イオンのフラグメンテーションを抑制することを特徴とする請求項1記載の質量分析計システム。
  3. 前記制動ガスが、前記RFイオン誘導器中で供給されることを特徴とする請求項1記載の質量分析計システム。
  4. 前記制動ガスの圧力と前記RFイオン誘導器の全長との積が、少なくとも10.0mTorr-cm(約1.33Pa-cm)であることを特徴とする請求項3記載の質量分析計システム。
  5. 前記イオン源が大気圧であることを特徴とする請求項1記載の質量分析計システム。
  6. 前記質量分析計が飛行時間型質量分析計を含むことを特徴とする請求項1記載の質量分析計システム。
  7. 前記飛行時間型質量分析計が、前記イオン行路に直交するイオン検出軸を有し、前記飛行時間型質量分析計による分析のために複数の注入パルスをイオンのビーム毎に用いるように作動されるイオン引出器を含むことを特徴とする請求項6記載の質量分析計システム。
  8. 前記質量分析計が四重極子型分析計を含むことを特徴とする請求項1記載の質量分析計システム。
  9. 前記質量分析計が、四重極子型分析計、イオントラップ型分析計、磁場セクタ型分析計及びフーリエ変換型質量分析計の内の1つを含むことを特徴とする請求項1記載の質量分析計システム。
  10. 前記制動ガスが、前記パルスイオン源を含むチャンバ中で供給されることを特徴とする請求項1記載の質量分析計システム。
  11. 前記パルスイオン源を含む第1のチャンバおよび該第1のチャンバと前記質量分析計との間に配置された第2のチャンバ、及び前記第1と第2のチャンバ間の圧力差を維持するための前記第1と第2のチャンバ間の開口を含むことを特徴とする請求項1記載の質量分析計システム。
  12. 前記第2のチャンバがRFイオン誘導器を含むことを特徴とする請求項11記載の質量分析計システム。
  13. 前記イオン行路において前記質量分析計の前に設けられた質量分析器及び衝突セルを含み、前記質量分析器は前駆型のイオンを選択するように構成された多重極子ロッドセットを含み、前記衝突セルは、前記質量分析器により選択された前記前駆型のイオンを前記質量分析計における分析のためのフラグメントイオンにフラグメンテーションする衝突ガスを含むことを特徴とする請求項11記載の質量分析計システム。
  14. 前記衝突セルが前記質量分析器とは別のチャンバに設けられることを特徴とする請求項13記載の質量分析計システム。
  15. 前記質量分析計が飛行時間型質量分析計であることを特徴とする請求項13記載の質量分析計システム。
  16. 前記質量分析計が四重極子型質量分析計であることを特徴とする請求項13記載の質量分析計システム。
  17. 前記パルスイオン源が検体分子を含むターゲット用表面及び、前記検体分子のイオン化をおこさせるためのレーザパルスを供給するための、前記ターゲット用表面に向けられたパルスレーザを含むことを特徴とする請求項1記載の質量分析計システム。
  18. 前記ターゲット用表面が、マトリックス材に埋め込まれた検体分子からなるターゲット材を含むことを特徴とする請求項17記載の質量分析計システム。
  19. 前記イオン行路に沿って連続イオンビームを供給するために配置された連続イオン源及び前記パルスイオン源と前記連続イオン源とを選択するための手段をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の質量分析計システム。
  20. 質量分析計システムにおいて:
    各プルームが複数の検体イオンを有する複数のプルームを供給するためのパルスイオン源;
    イオン行路に沿って配置され、制動ガスを含有し、イオン行路に配置された少なくとも1つのRFイオン誘導器を有するイオン輸送デバイスであって、前記制動ガスが検体イオンに衝突制動を供給し、前記RFイオン誘導器が前記イオン行路に沿ってイオン閉じ込めを供給することによって、前記各プルームを前記イオン行路に沿って伸ばしてイオンパルスを擬連続イオンビームに変換するイオン輸送デバイス;及び
    前記イオン行路に配置され、該イオン行路に概ね直交する方向に進むようにレーザショット毎に複数回パルスする電極を有する飛行時間型質量分析計;
    を含むことを特徴とする質量分析計システム。
  21. 前記制動ガスが、前記RFイオン誘導器中で供給されることを特徴とする請求項20記載の質量分析計システム。
  22. 前記制動ガスの圧力と前記RFイオン誘導器の全長との積が、少なくとも10.0mTorr-cm(約1.33Pa-cm)であることを特徴とする請求項21記載の質量分析計システム。
  23. 前記イオン源が大気圧であることを特徴とする請求項20記載の質量分析計システム。
  24. 前記イオン行路において前記質量分析計の前に設けられた質量分析器及び衝突セルを含み、前記質量分析器は前駆型のイオンを選択するように構成された多重極子ロッドセットを含み、前記衝突セルは、前記質量分析器により選択された前記前駆型のイオンを前記質量分析計における分析のためのフラグメントイオンにフラグメンテーションする衝突ガスを含むことを特徴とする請求項20記載の質量分析計システム。
  25. 前記パルスイオン源が、マトリックス材に埋め込まれた検体分子を含むターゲット用表面及び、前記検体分子のイオン化を起こさせるためのレーザパルスを供給するための、前記ターゲット用表面に向けられたパルスレーザを含むことを特徴とする請求項20記載の質量分析計システム。
  26. 前記イオン行路に沿って連続イオンビームを供給するために配置された連続イオン源及び前記パルスイオン源と前記連続イオン源とを選択するための手段をさらに含むことを特徴とする請求項20記載の質量分析計システム。
  27. イオンを生成し、イオンを質量分析計に送る方法において、前記方法が:
    各プルームが複数の検体イオンを有する複数のプルームを生成するようにイオン源を作動させる工程;
    制動ガス、及びイオン行路に沿った少なくとも1つのRFイオン誘導器を有するイオン輸送デバイスを供する工程;
    前記制動ガスにより前記検体イオンに衝突制動を供給し、前記RFイオン誘導器により前記イオン行路に沿ってイオン閉じ込めを供給することによって、前記各プルームを前記イオン行路に沿って伸ばしてイオンパルスを擬連続イオンビームに変換する工程;及び
    分析のための質量分析計の方向に前記イオン行路に沿って前記連続パルスを輸送する工程;
    を含むことを特徴とする方法。
  28. 前記衝突制動を供給する工程が、前記検体イオンのフラグメンテーションを抑制することを特徴とする請求項27記載の方法。
  29. 前記制動ガスが、前記RFイオン誘導器中で供給されることを特徴とする請求項27記載の方法。
  30. 前記供給工程が、前記制動ガスの圧力と前記RFイオン誘導器の全長との積が少なくとも10.0mTorr-cm(約1.33Pa-cm)となるように前記制動ガスの圧力を維持する工程を含むことを特徴とする請求項29記載の方法。
  31. 前記質量分析計が前記イオン行路に直交するイオン検出軸を有し、前記飛行時間型質量分析計の検出領域にイオンを引き出すように複数の注入パルスをイオンのビーム毎に用いる工程をさらに含むことを特徴とする請求項27記載の方法。
  32. 前記連続パルスを前記イオン行路中に配置された質量分析器に通過させて前駆型のイオンを選択する工程、及び衝突誘起解離により前記選択された駆型のイオンを、前記質量分析計における分析のためのフラグメントイオンにフラグメンテーションする工程、をさらに含むことを特徴とする請求項27記載の方法。
  33. 前記イオン源が、マトリックス材に埋め込まれた検体分子を含むターゲット用表面を有し、前記イオン源を作動させる工程が、前記検体分子のイオン化を起こさせるためのレーザパルスに前記ターゲット用表面をさらすことを特徴とする請求項27記載の方法。
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