JP2001351568A - イオン付着質量分析の方法および装置 - Google Patents

イオン付着質量分析の方法および装置

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JP2001351568A JP2000169644A JP2000169644A JP2001351568A JP 2001351568 A JP2001351568 A JP 2001351568A JP 2000169644 A JP2000169644 A JP 2000169644A JP 2000169644 A JP2000169644 A JP 2000169644A JP 2001351568 A JP2001351568 A JP 2001351568A
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Yoshiro Shiokawa
善郎 塩川
Megumi Nakamura
恵 中村
Toru Sasaki
亨 佐々木
Toshihiro Fujii
敏博 藤井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン付着質量分析の方法および装置におい
て定量分析を行うことを可能する。 【解決手段】 被検出ガスに正電荷の金属イオンを付着
させる反応室11、被検出ガスを質量分離・検出する質
量分析器51、質量分析器が設置された分析室14、反
応室と分析室を接続する差動排気室12,13、質量分
析器からの質量信号を入力し演算するデータ処理器17
を備えるイオン付着質量分析装置である。減圧雰囲気で
ある反応室と差動排気室と分析室の減圧雰囲気の全圧を
計測する真空計24,33を備え、測定中に計測された
真空計からの全圧信号をデータ処理器、導入機構、排気
機構のいずれかに入力させる。データ処理器は、各成分
の感度が減圧雰囲気の全圧依存性を持ちかつ全圧依存性
が各成分毎に異なることを利用して各成分の定量分析を
行う演算手段17aを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検出ガスの濃度
を正確に測定する定量分析のためイオン付着質量分析の
方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】イオン付着質量分析装置(Ion Attachme
nt Mass Spectrometer )は、被検出ガスの分子量を正
確に測定することを目的とし、解離(クラッキング)を
発生することなく被検出ガスをイオン化して質量分析を
行う方法である。イオン付着質量分析装置については、
ホッジ(Hodge)(Analytcal Chemistry vol.48 No.6P8
25 (1976) )、ボムビック(Bombick)(Analytcal Che
mistry vol.56 No.3P396 (1984))、藤井等(Analytcal
Chemistry vol.61 No.9 P1026 (1989)、Chemical Phy
sics Letters vol.191 No.1.2 P162 (1992)、特開平6-
11485号)により報告がなされている。
【0003】図9を参照して藤井による装置を説明す
る。図9において901は反応室、902は第1の差動
排気室、903は第2の差動排気室、904は分析室、
905はガス導入機構、906は排気機構、907はデ
ータ処理器である。また911はエミッタ、912は第
1アパーチャ、913は反応室用シール、914は反応
室用真空計、915はベーキング機構である。さらに9
21は第2アパーチャ、922は第1の差動排気室の隔
壁、931は第3アパーチャ、932は第2の差動排気
室の隔壁、933は静電レンズ、941はQポール型質
量分析器である。さらに951は被測定空間、952は
配管、953は流量調整弁である。961は第1の差動
排気室用ウェットポンプ、962は第2の差動排気室用
ウェットポンプ、963は分析室用ウェットポンプであ
る。
【0004】反応室901、第1の差動排気室902、
第2の差動排気室903、分析室904は真空室、すな
わち大気圧以下の減圧雰囲気の室となっている。反応室
901では、エミッタであるアルカリ金属の酸化物を加
熱し、Li+などの正電荷の金属イオンを放出させる。
反応室901には被検出ガスが導入されており、ガス分
子の電荷の片寄りのある場所に金属イオンが緩やかに付
着(会合)し、分子全体がイオン化される。付着時の余
剰エネルギは0.435〜1.304eV/分子と非常
に小さく、解離の発生は少なくなっている。
【0005】しかし、余剰エネルギが低いだけに、その
ままにしておくと、Li+が再度分子から離れてしまう
ので、反応室901の全圧を100Pa程度にし、ガス
との多数回の衝突により余剰エネルギを吸収するように
している。この余剰エネルギを吸収するガスは、付着す
るイオンでもなく付着されるガスでもないことから、第
3体ガスと通常呼ばれている。
【0006】第3体ガスは被検出ガス自体でも構わない
が、通常は、反応性の低いN2ガスなどが使用される。
また第3体ガスとしては、被測定空間において最初から
被検出ガスを含有しているベースガス(キャリアガス)
の場合もあるし、あるいは反応室901で別途に導入さ
れたガスの場合もある。汚染などの理由もあって、導入
される被検出ガスの分圧は通常1Pa以下とするので、
100Pa程度の反応室901の全圧はほとんどが第3
体ガスの分圧となっている。
【0007】金属イオンが安定付着したガス分子(イオ
ン)はアパーチャの開口を通過し、第1の差動排気室9
02に入る。この第1の差動排気室902は、100P
a程度であるべき反応室901と1×10-3Pa以下で
あるべき分析室904を真空的に接続する役目を担って
おり、0.1〜10Paの全圧となっている。第2の差
動排気室903には静電レンズ933が設置されてお
り、イオンはこれにより集束されて分析室904に入
る。分析室904に設置されているQポール型質量分析
器941は、飛来したイオンを電磁気力によりガス分子
(イオン)の質量毎に分離されて検出する。Qポール型
質量分析器941からは、質量数毎の強度を示す質量信
号がデータ処理器907に入力される。なお分析室90
4内の圧力は、Qポール型質量分析器941を正常に動
作させるため、1×10-3Pa以下に維持されている必
要がある。
【0008】また図10にボムビックによる装置、図1
1にホッジによる装置を示す。図10と図11におい
て、図9で説明された要素と実質的に同一の要素には同
一の符号を付している。図10に示した装置では、反応
室901が第1の差動排気室902の中に設置されてお
り、反応室901の全圧は計測されていない。図11に
示した装置でも同様に反応室901が第1の差動排気室
902の中に設置されているが、この場合には反応室9
01の全圧は計測される構成となっている。ただし、反
応室901から長い配管970を延ばして真空計914
が取り付けられているため、正確な全圧の計測は困難で
ある。その他の構成については先の説明を援用する。
【0009】イオン付着質量分析装置は、被検出ガスの
分子量測定を目的とする化学イオン化質量分析装置(C
IMS:Chemical Ionization Mass Spectrometer)の
一変形例として発展してきた。CIMSではメタンなど
の反応ガスを電子衝撃によりイオン化させ、イオン-分
子反応により被検出ガスを正電荷、あるいは負電荷にイ
オン化する。このイオン化のメカニズムは非常に複雑で
あって、(1)反応ガスの水素イオン結合、(2)被検
出ガスからの水素イオン引き抜き、(3)電荷移動、な
どの現象が発生する。水素イオン結合の場合の結合エネ
ルギは6.957〜8.696eV/分子と大きいため
解離してしまうことが多いが、ガス種によっては分子イ
オンピークが観測されることもある。
【0010】もともとCIMSは被検出ガスの分子量測
定、すなわち、「組成は何か?」という情報を得る「定
性分析」を目的としている。そのため、イオン付着質量
分析装置は有機物質やラジカルなどの定性分析には有効
であることが確認されている。しかし、イオン付着質量
分析装置では質量信号の安定性などに問題があって工業
的には定性分析にも全く使用されていない。
【0011】定性分析をより進めて「どの組成がどれだ
けあるか?」という情報を得る分析は「定量分析」と呼
ばれている。しかし、以下に示す理由によりイオン付着
質量分析装置は定量的な分析には全く使用されていなか
った。
【0012】定量分析について説明する。定量的な分析
には(1)適用試料、(2)信号対ノイズ比、(3)信
号安定性、(4)バックグラウンド(干渉ピーク)の4
つの要素が重要である。「適用試料」は適用できる試料
の種類の広さのことであり、「信号対ノイズ比」は質量
信号(ピーク高)とノイズ(雑音;ベースレベルの周期
の早い変動分)の比率のことであり、「信号安定性」は
質量信号の再現性のことであり、「バックグラウンド
(干渉ピーク)」は質量信号(ピーク高)を見かけ上変
化させる本来でないピークのことである。
【0013】現状では、定量的な分析には、電子衝撃イ
オン化質量分析装置(EIMS;Electron Impact Mass
Spectrometer)や大気圧イオン化質量分析装置(AP
IMS;Atmosphere pressure Ion Mass Spectromete
r)が使用されている。
【0014】EIMSでは、適用試料は良好であるが、
信号対ノイズ比やバックグラウンド(干渉ピーク)に問
題があった。すなわち電子衝撃を受けたガスからの真空
紫外光がノイズの原因となるため電子電流を増加するな
どで質量信号を増やしてもノイズ量も増加してしまい、
結果的にほとんど信号対ノイズ比は改善されない。ま
た、電子衝撃によりクラッキングしたフラグメント(破
片)ピークが干渉ピークとなりやすい。
【0015】一方APIMSでは、信号対ノイズ比は良
好であるが、信号安定やバックグラウンド(干渉ピー
ク)で問題があった。すなわち大気圧でのコロナ放電を
利用するため安定性を確保するのが難しく、大気圧での
イオン・分子反応によって発生するクラスタが干渉ピー
クとなりやすい。
【0016】上記に対してCIMSでは上記の4つの要
素すべてに問題があるため、定量的な分析にはほとんど
使用されていない。従来のIAMSもCIMS同様に4
つの要素で問題があると考えられていたので、定量分析
には使用されなかった。
【0017】次に上記のバックグラウンド(干渉ピー
ク)と、それに関連する真空技術について説明する。
【0018】理想的な排気過程においては圧力はe-t
指数関数で減少してくことが知られている。被排気容積
(V)を排気速度(S)で割った値(V/S)は「排気
時定数」とされ、排気時定数に相当する時間が経過する
と圧力はe-1の37%まで減少し、5倍相当の時間が経
過すると、e-5の1%まで減少する。従って反応室90
1での排気時定数は、測定の応答性に対応し、反応室9
01での被検出ガスの濃度変化が被測定空間における濃
度変化にどの程度の遅れをもって追従するかを決める。
【0019】排気時定数を左右する排気速度は、真空ポ
ンプ自体の排気速度と途中の配管などのコンダクタンス
とで決められる実質的は排気速度、すなわち実効排気速
度となる。従来のイオン付着型質量分析装置では、反応
室には直接に真空ポンプが取り付けられておらず、アパ
ーチャの開口を経て排気がなされている。この形式で
は、反応室に対する実効排気速度は、この開口のコンダ
クタンスの影響を大きく受ける。開口のコンダクタンス
は開口面積に比例するので、開口面積が小さい場合には
実効排気速度が小さくなり、排気時定数が大きくなる。
ただ従来のイオン付着質量分析装置では比較的大きな開
口面積を持ったアパーチャを使用しているため、排気時
定数1秒以下の比較的早い応答性を持っていた。
【0020】しかし、従来のイオン付着質量分析装置で
は、別の問題として反応室901内でガスの滞留があ
り、排気時定数を十分経過した後にもガスが完全に入れ
替わらず、以前の履歴が残る現象(メモリ効果)が発生
していた。メモリ効果を左右する装置特性は、ガスの
「滞留率」として次のように評価することができる。反
応室に導入するガスを瞬間的に異なるガスに変化させ
て、排気時定数の5倍相当の時間が経過した時点で以前
のガスの残っている割合(残留割合)をもって滞留率と
する。ただし排気時定数の効果を除くため、実測された
残留割合から1%(=e-5)を差し引いた値を正確な滞
留率とする。
【0021】イオン付着質量分析装置の反応室901の
全圧は通常100Pa程度とするが、この全圧ではガス
の流れは粘性流となり、ガス分子が互いに衝突し合って
全体として静かな川のような流れとなっている。そのた
め反応室901に角部や凹部があると、そこに流れの滞
留が誘発され、滞留率が増加してしまう。しかし、定性
分析が目的の従来のイオン付着質量分析装置では、滞留
率は問題とならないので反応室901には角部や凹部が
数多く存在していた。なおEIのイオン化室は1×10
-3Pa程度なので分子流となり、ガス分子は壁とだけ衝
突してランダムに拡散していくので、はっきりした全体
の流れはなく角部や凹部があっても滞留は発生しない。
【0022】真空ポンプには大きく分けて、油動作液を
使用する「ウェットポンプ」と油動作液を使用しない
「ドライポンプ」に分類される。動作液とは排気動作を
行わせる液体であり、通常、油が採用されている。ウェ
ットポンプは高圧力用として油回転ポンプ(RP)が、
また低圧力用として油拡散ポンプ(DP)が一般的であ
る。ドライポンプは、高圧力用としてメンブレンポン
プ、スクロールポンプ、ねじ溝ポンプ、軸流分子ポンプ
があり、低圧力用としてターボ分子ポンプ(TMP)、
イオンポンプ、ゲッターポンプがある。定性分析が目的
の従来のイオン付着質量分析装置では、多少の油汚染は
問題とならないので、反応室の排気にすべてウェットポ
ンプが使用されていた。
【0023】従来のイオン付着質量分析装置のうち、藤
井の装置では開口が大きいので到達圧力は低いが、排気
流量の大きなRPが使用され、ホッジやボムビックの装
置では開口が小さいので排気流量は小さいが、到達圧力
の高いDPが使用されていた。いずれにしろ反応室の排
気にウェットポンプを使用したイオン付着質量分析装置
では、反応室が油で汚染するので、わずかとは言え、油
成分による干渉ピークを発生し、定量分析には大きな問
題となる。ただし、たとえポンプからの汚染がないとし
ても、真空室の内壁や内部の部品からガスが放出され、
これが真空室内の残留不純物となる。このガス放出を低
減させる最も簡単な方法はベーキングである。排気しな
がら真空室全体を100〜200℃に加熱して十分にガ
スを放出させ、その後室温に戻すと、ガス放出が大幅に
低減する。藤井の装置では反応室用のベーキング機構が
あるが、ホッジやボムビックの装置では、反応室は第1
の差動排気室内に組み込まれているので、専用のベーキ
ング機構はない。
【0024】また真空シール材は、ゴム、テフロン(登
録商標)などの高分子有機系と、銅、アルミなどのメタ
ル系に分類される。高分子有機系は締め付け力が小さ
く、複雑な形状に対応できるので信頼性が高く、価格も
安価であるという長所を持っているが、材料からのガス
放出や高圧側からのガス透過が発生しやすい欠点があ
る。メタル系はこれと対照的な特徴となっている。その
ため定性分析が目的の従来のイオン付着質量分析装置で
はガス放出やガス透過は問題とならないので、高分子有
機系シール材が多く使用されていた。特に、反応室は複
雑な形状となるため、多くの高分子有機系シール材が使
用されていた。
【0025】真空容器の内壁表面は、ガス放出の低減を
目的として研磨・不動態化・精密洗浄などの処理が行わ
れることがある。研磨としては酸洗い・電解・バフ・ブ
ラスト・電解複合・化学などの方法が知られている。不
動態化としては、Cr酸化膜、Si酸化膜などの膜を形
成させる方法や酸化不雰囲気での加熱により材料の酸化
膜を形成させる方法などが知られている。精密洗浄は、
アルカリ脱脂液、清浄水など少なくとも2種類以上の液
を使って精密に清浄する方法である。これらの表面処理
は主に半導体製造装置用として最近実用化されたもので
ある。定性分析が目的の従来のイオン付着質量分析装置
には、これら研磨・不動態化・精密洗浄などの表面処理
は施されていなかった。
【0026】以上のように、排気機構からの油逆流や反
応室からのガス放出があると、測定中において反応室に
残留不純物の存在量(分圧)が多くなり、本来被測定空
間に存在しないはずの成分が計測される。この影響度合
は「残留不純物率」、すなわち測定中の全圧に対する残
留不純物の分圧の比率として評価することができる。反
応室にガス導入をしていない時の到達圧力が油逆流とガ
ス放出の合計の分圧に相当するので、実際に残留不純物
率を求めるには反応室の到達圧力を測定中の全圧で割れ
ばよい。
【0027】
【発明が解決しようする課題】従来のイオン付着質量分
析装置では、前述のごとく、4つの要素、すなわち適用
試料、信号対ノイズ比、信号安定性、バックグラウンド
(干渉ピーク)において問題があるとされ、定量分析に
は使用されていなかった。しかし本発明者らは従来特殊
な定性分析にしか使用されていなかったイオン付着質量
分析装置を新しい観点から詳しく検討した結果、適用試
料、信号対ノイズ比において、本質的な問題はないこと
を明らかとした。
【0028】すなわち、適用試料については、不可能と
思われていた電子親和力の大きなハロゲン化化合物でも
感度が十分とれることを確認した(特願平11−356
725号で既に出願済み)。このメカニズムについて
は、正イオンの付着しやすさは電子の付着しやすさ(=
電子親和力の大きさ)とは無関係であり、電子分布の片
寄りによって決まるからと考えられる。また信号対ノイ
ズ比については、EIMSと異なり、質量信号をアップ
させてもノイズは増加せず、各種の構造改良により信号
対ノイズ比が改善できることをを明らかとした。このメ
カニズムについては、フィラメントの温度が600℃と
非常に低いこと(EIMSでは1800℃)、真空紫外
を放出させるほどガスを励起させないことが理由と考え
られる。
【0029】そこでイオン付着質量分析装置を実用的な
定量分析装置として使用するには、他の2つの要素、信
号安定性、バックグラウンド(干渉ピーク)を解決する
ことが課題となる。達成すべき具体的数値は測定目的に
よって異なるが、一般的な定量分析としては次のように
想定することができる。信号安定性に関しては、少なく
とも1〜10%の信号安定性が必要であろう。バックグ
ラウンドに関しては、被測定空間における被検出ガスの
濃度変化に反応室での被検出ガスの濃度変化が正しく追
従していなければならないが、この時間的な要因は、排
気時定数と滞留率であって、それぞれ少なくとも1秒以
下、1%以下が必要であろう。次に被検出ガスと既知の
第3体ガス以外のガスが反応室に存在してはならない
が、この異種ガスによる要因は、ポンプによる汚染と、
容器からの放出ガスであって、いずれも測定中の残留不
純物率として少なくとも1ppm以下が必要であろう。
従来のイオン付着質量分析装置ではこれらを実現でき
ず、その理由も明らかではなかった。これらを実現する
ことが本発明の課題である。
【0030】本発明の目的は、上記の課題に鑑み、定量
分析を行うことのできるイオン付着質量分析の方法およ
び装置を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、定量分析において第1に必要な信号安定性について
詳しく検討した結果、イオン付着質量分析装置において
信号安定性を阻害する大きな要因を突き止めた。それ
は、図9に示された上記イオン付着質量分析装置を前提
にして考慮すると、感度が反応室と第1の差動排気室の
全圧に強く依存することである。ここで「感度」とは、
特定組成の存在量に対する質量信号の比率であり、定量
分析において計測された質量信号から真の存在量(定量
値)を算出するために使用する係数である。また「全
圧」とは含まれている全組成ガスのそれぞれの圧力(分
圧)の合計であり、通常、反応室と差動排気室の全圧は
第3体ガスの分圧にほぼ等しくなっている。
【0032】イオン付着質量分析装置の感度が全圧依存
性を持つのに対して、従来のEIMSやAPIMSでは
感度は全圧によっては変化しないと認識されている。感
度が成分によって変わることはEIMSやAPIMSで
も良く知られたことで、すでに各成分の感度表が得られ
ており、定量測定には不可欠なものとなっている。しか
しながら、これらの感度表には、電子エネルギなどの条
件は定められているが全圧については条件がない。これ
は感度が全圧によって変わらないとの了解があるからで
ある。EIMSで感度が全圧に依存しないのは、電子衝
撃によるイオン化過程に他のガスが影響しないこと、動
作全圧が10-3Paと低いことが理由となっている。A
PIMSでは全圧に依存する可能性もあるが、常に一定
の全圧(大気圧)で動作するため感度変化が現れてこな
い。CIMSでは全圧に依存するものと思われるが、そ
の他の不安定要因もあって全圧依存性が明確とはなって
いない。
【0033】図2はイオン付着質量分析装置の反応室に
おける感度の全圧依存性を示すグラフである。測定され
た装置は後述の第1実施形態による装置と基本的に同じ
である。被検出ガスは例えばH2OとC48である。こ
のグラフは、反応室でのH2OとC48の存在量を一定
(1Paの一定分圧)としておき、第3体ガスであるN
2の分圧を10〜300Paまで変化させて質量信号の
変化を読み取ることにより得られたものである。いずれ
も上に凸の2次関数に近い変化となっているが、ガス種
により極大値の位置、大きさが異なっている。
【0034】上記の感度の全圧依存性のメカニズムにつ
いては次のように考えられる。反応室の全圧が増加する
と余剰エネルギの吸収効率が高くなり、金属イオンが安
定付着したガス分子(イオン)が増加する。しかし、全
圧がさらに増加すると安定付着したガス分子(イオン)
の量は飽和する反面、平均自由行程が小さくなってアパ
ーチャの開口を抜けるガス分子(イオン)が減少してく
る。これらの現象が重なり合うので上に凸の2次関数に
近い変化となり、さらにガス種によって各現象の影響の
度合が異なるのでガス種による依存性に差が出ると考え
られる。
【0035】図9に示したイオン付着質量分析装置にお
いて、第1の差動排気室の全圧は、反応室の全圧、第1
アパーチャのコンダクタンス、第1の差動排気室用ドラ
イポンプの排気速度の3つの量によって決められる。し
かし、実際の測定では、第1アパーチャのコンダクタン
スと第2の差動排気室用ドライポンプの排気速度は一定
であるので、差動排気室の全圧は反応室の全圧に一対一
に対応している。従って図2のデータには反応室だけで
なく、それに対応した第1の差動排気室の全圧依存性も
含まれたものとなり、実際の測定に即したものとなって
いる。しかし、より厳密には差動排気室の全圧のみによ
る感度変化もあり得る。
【0036】図3は、反応室の全圧は一定とした状態で
の、感度の第1の差動排気室における全圧依存性を示す
グラフである。ガス種による差は比較的少ないが、感度
の減少が指数関数に近い変化となっている。これは、第
1の差動排気室では余剰エネルギ吸収の問題は無関係と
なり、ガス分子(イオン)の透過のみが関係するためと
考えられる。
【0037】上記の測定ではN2の流量を変化させて全
圧を変えているが、N2自体が反応などで消費されない
ことから依存性の要因は流量ではなく全圧であることは
明らかである。従って、反応室、第1の差動排気室のい
ずれにしても、感度は全圧に依存し、しかもガス種によ
ってその依存性は異なることが判明した。
【0038】感度が全圧に依存するということは、被検
出ガスの存在量が同じであっても全圧が変われば、質量
信号(ピーク高)が変化してしまうことを意味してい
る。従来はこのことが認識されずに、全圧が測定毎に異
なっていたり、測定最中に全圧の変動があったりしたた
めに、再現性のよい質量信号が得られなかった。この点
がイオン付着質量分析装置で定量分析ができないという
理由になっていた。
【0039】従ってイオン付着質量分析装置において定
量分析を行えるようにするためには信号安定性を確保す
ることが必須となる。本発明では、信号安定性を確保す
ることにより、イオン付着質量分析装置による定量分析
を可能にするものである。そして、イオン付着質量分析
装置で信号安定性を確保するためには、次のようにすべ
きことが判明した。
【0040】反応室、あるいは反応室および第1の差動
排気室の全圧を正確に計測できるようにし、これらの全
圧をある一定値に正確に設定する。その全圧の大きさは
定量値算出に使用する感度に対応した全圧とし、全圧の
変動は、感度変化による定量値の誤差が許容内に納まる
ような範囲に納める。より望ましくは、設定される全圧
を感度変化の少ない領域、すなわち反応室では100〜
250Pa、第1の差動排気室では1Pa以下とする。
以上の条件を満たすことによりイオン付着質量分析装置
での信号安定性を確保し、これにより当該イオン付着質
量分析装置によって定量分析が行えるようにした。
【0041】さらに本発明者らは、定量分析に第2に必
要なバックグラウンド(干渉ピーク)の低減について検
討した。その結果、「排気時定数」、「滞留率」、「ポ
ンプによる汚染」、「容器からの放出ガス」の4つの要
因を突き止め、それぞれについて次の手段で解決される
ことを明らかにした。(1)排気時定数には反応室の内
容積を小さくし、実効排気を大きくする。(2)滞留率
には反応室の角部や凹部をなくし、ガスの流れをスムー
ズな一方向とする。(3)ポンプによる汚染には反応室
を油の逆流のないドライポンプで排気させる。(4)容
器からの放出ガスには反応室のシールにメタル系シール
を使用し、反応室の内壁表面に研磨・不動態化・精密洗
浄などの処理を行う。
【0042】以上の観点から、本発明に係るイオン付着
質量分析の方法および装置は、次のように構成される。
【0043】本発明に係る第1のイオン付着質量分析方
法は、減圧雰囲気で被検出ガスに正電荷の金属イオンを
付着させてイオン化し質量分析の測定を行う方法であ
り、被検出ガスの各成分の感度が上記減圧雰囲気の全圧
依存性を持ちかつ全圧依存性が各成分毎に異なるという
特性を考慮して、これを利用し、質量分析の際に測定さ
れる減圧雰囲気の全圧データを各成分の質量分析データ
の処理に使用して定量分析を行う方法である。
【0044】また本発明に係る第2のイオン付着質量分
析方法は、減圧雰囲気で被検出ガスに正電荷の金属イオ
ンを付着させてイオン化し質量分析の測定を行うイオン
付着質量分析方法であり、被検出ガスの各成分の感度が
減圧雰囲気の全圧依存性を持ちかつ前記全圧依存性が各
成分毎に異なるという特性を考慮し、この特性を利用
し、質量分析の際に測定される減圧雰囲気の全圧データ
を各成分の質量分析の測定条件の設定に使用して定量分
析を行う方法である。
【0045】上記の各イオン付着質量分析方法におい
て、各成分毎に測定中の全圧に対応する感度を使って定
量値を算出する。この算出では、質量分析器で得られた
信号を各成分毎の感度に係る計数で割ることにより定量
値を得る。上記の各イオン付着質量分析方法において、
測定中での全圧を許容全圧変動量内に設定する。さらに
上記の方法において、各成分毎に測定中の全圧に対応す
る感度変化率と要求される定量誤差値を使って許容全圧
変動量を算出する。
【0046】本発明に係る第1のイオン付着質量分析装
置は、被検出ガスに正電荷の金属イオンを付着させる反
応室と、正電荷の金属イオンが付着した被検出ガスを質
量分離・検出する質量分析器と、この質量分析器が設置
された分析室と、反応室に被検出ガスを含むガスを導入
する導入機構と、被検出ガスを含むガスを排気する排気
機構と、質量分析器からの質量信号を入力し演算するデ
ータ処理器とを備え、減圧雰囲気である反応室と分析室
を経由して被検出ガスに正電荷の金属イオンを付着させ
てイオン化した後に質量分析の測定を行う分析装置であ
り、さらに、上記の減圧雰囲気の全圧を計測する真空計
を備え、測定中に計測された真空計からの全圧信号をデ
ータ処理器に入力させ、データ処理器は、各成分の感度
が減圧雰囲気の全圧依存性を持ちかつ全圧依存性が各成
分毎に異なることを利用して各成分の定量分析を行う演
算手段を含むように構成される。本発明に係る第2のイ
オン付着質量分析装置は、上記構成を有しかつ上記作用
を発揮する質量分析装置において、上記減圧雰囲気の全
圧を計測する真空計を備え、測定中に計測された真空計
からの全圧信号を導入機構または排気機構に入力させ、
データ処理器は成分の定量分析を行うように構成され
る。上記の構成を有するイオン付着質量分析装置におい
て、好ましくは、上記の反応室と分析室の間において反
応室と分析室を真空的に接続する減圧雰囲気の差動排気
室を設けるように構成される。
【0047】上記のイオン付着質量分析装置において、
全圧信号をデータ処理器に入力し、データ処理器の演算
手段が測定中の全圧に対応する感度と質量信号を使って
各成分の定量値を算出することを特徴とする。この演算
手段は、質量信号を感度に係る係数で割ることにより上
記定量値を算出する。
【0048】上記のイオン付着質量分析装置において、
全圧信号を導入機構または排気機構に入力し、導入機構
または排気機構は、減圧雰囲気の全圧が許容全圧変動量
内となるように全圧信号を使って制御されるように構成
される。また上記のイオン付着質量分析装置において、
全圧信号をデータ処理器に入力し、データ処理器は、減
圧雰囲気の全圧が許容全圧変動量内になっていることを
全圧信号を使って監視するように構成される。上記のイ
オン付着質量分析装置において、測定中の減圧雰囲気の
全圧に対応する感度変化率と、要求される定量誤差値と
から許容全圧変動量を算出することを特徴とする。
【0049】上記の構成において、全圧を計測・制御す
る減圧雰囲気は任意に選択することができる。例えば、
反応室および差動排気室であってもよいし、反応室であ
ってもよい。さらに全圧を計測する減圧雰囲気が差動排
気室であって、しかも全圧を制御する減圧雰囲気が反応
室であることも可能である。
【0050】上記の構成において感度の反応室全圧依存
性は二次関数で近似することができる。また感度の差動
排気室全圧依存性は指数関数で近似することができる。
【0051】反応室の全圧を好ましくは感度の変化率が
少ない領域に設定・維持して測定する。反応室の全圧は
好ましくは50〜250Paに設定・維持される。また
差動排気室の全圧を好ましくは感度の変化率が少ない領
域に設定・維持して測定する。差動排気室の全圧は好ま
しくは1Pa以下に設定・維持される。
【0052】導入機構または排気機構は、真空計からの
全圧信号によって減圧雰囲気の全圧をフィードバック制
御されることを特徴とする。さらに、減圧雰囲気の許容
全圧変動率よりも導入量の最大変動率と排気速度の最大
変動率の合計が小さい導入機構と排気機構を使用するよ
うに構成される。
【0053】排気機構としてドライポンプを使用するこ
とが好ましい。またこのドライポンプとしてはターボ分
子ポンプ、軸流分子ポンプ、ねじ溝ポンプを使用するこ
とが好ましい。
【0054】反応室の排気時定数が1秒以下となるよう
に反応室の内容積、および排気機構の実効排気速度とす
ることが好ましい。さらに反応室の滞留率が1%以下と
なるように反応室の内部形状、および排気機構の実効排
気速度と決めることが好ましい。さらに反応室の残留不
純物率が1ppm以下となるような反応室のガス放出
量、および排気機構の動作中不純物分圧とすることが好
ましい。
【0055】上記のイオン付着質量分析装置において、
上記の真空計は隔膜式の真空計を用いることが好まし
く、反応室にはベーキング機構を備えることが好まし
く、反応室のシール材にはメタル系材料を使用すること
が好ましい。
【0056】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
を添付図面に基づいて説明する。
【0057】第1の実施形態:図1を参照して本発明に
係るイオン付着質量分析装置の第1の実施形態を説明す
る。最初に構成要素を説明する。図1において、11は
反応室、12は第1の差動排気室、13は第2の差動排
気室、14は分析室、15はガス導入機構、16は排気
機構、17はデータ処理器である。21はエミッタ、2
2は第1アパーチャ、23は反応室用シール、24は反
応室用真空計、25はベーキング機構である。さらに3
1は第2アパーチャ、32は第1の差動排気室の隔壁、
33は第1の差動排気室用真空計であり、34は精細な
全圧信号ライン(例えば連続値またはそれに近い離散値
をとり得る信号)、41は第3アパーチャ、42は第2
の差動排気室の隔壁、43は静電レンズであり、51は
Qポール型質量分析器である。61は被測定空間、62
は配管、63は流量調整弁である。76は第1の差動排
気室用ドライポンプ、77は第2の差動排気室用ドライ
ポンプ、78は分析室用ドライポンプである。被検出ガ
スは100%濃度あるいはベースガスに含有された形
で、被測定空間61に存在している。
【0058】本実施形態による構成は、基本的な構成の
部分に関して、図7を参照して説明した従来の藤井の装
置と概ね同じである。しかし藤井の装置に対して、本実
施形態によるイオン付着質量分析装置は特徴部として次
の点で異なっている。
【0059】第1の差動排気室12には新たに差動排気
室用真空計33が取り付けられている。反応室用真空計
24と差動排気室用真空計33は、全圧の正確な測定が
行える隔膜式(ダイヤフラム式)の真空計となってい
る。反応室11と第1の差動排気室12の精細な全圧が
データ処理器17に入力されるように、データ処理器1
7と反応室用真空計24および差動排気室用真空計33
が精細な全圧信号ライン34で接続されている。
【0060】また反応室11は内容積が小さく、内部形
状は凹部や角部のない流線型となり、内壁表面には研磨
・不動態化・精密洗浄の処理がなされている。反応室用
シール23にはメタル系材料が使われている。ガス導入
機構15の配管62が反応室11の最も上流部に取り付
けられている。第1の差動排気室用ドライポンプ76は
軸流分子ポンプ、第2の差動排気室用ドライポンプ77
と分析室用ドライポンプ78はターボ分子ポンプが使用
されている。
【0061】上記構成を有する本実施形態のイオン付着
質量分析装置の動作を説明する。このイオン付着質量分
析装置によって定量分析が行われる。
【0062】データ処理器13には、Qポール型質量分
析器51からの質量信号と共に、反応室用真空計24と
差動排気室用真空計33からの精細な全圧信号がほぼリ
アルタイムで入力される。データ処理器17では、質量
信号と、実際に測定された全圧に対応する感度(感度に
係る係数)を用いて、定量値が算出される。データ処理
器13は、当該定量値を算出する手段としての演算手段
17aを含む。この演算手段17aは、上記の質量信号
を感度に係る係数で割って上記定量値を算出する。
【0063】第1アパーチャ22の直径は例えば1.5
mmと小さくなっているが、この開口面積ではコンダク
タンスが0.2L/Sとなり、軸流分子ポンプの排気速
度を5L/Sとして、反応室に対する実効排気速度は約
0.2L/Sとなる。これに対して反応室の内容積は
0.1Lなので、排気時定数は0.5秒となる。従って
必要となる排気時定数1秒以下の早い応答性を実現して
いる。
【0064】この実施形態では前述のごとく反応室の内
部形状が凹部や角部のない流線型となっていること、お
よび反応室の最上流部に配管62が取り付られているこ
とから、反応室のガスの流れはスムーズで溜りはほとん
ど発生しない。従来に比べて滞留率が非常に低くなって
いるのは明らかである。正確に滞留率の数値を見積もる
ことは難しいが、1%以下の滞留率を実現していると予
想される。
【0065】軸流分子ポンプの到達全圧は10-4Pa台
であるが、この時の残留成分の主成分は干渉ピークとは
ならないH2であって、干渉ピークとなる高質量成分は
少なくともこの1/10以下である。従って軸流分子ポ
ンプにより排気されている反応室は、ポンプからの油汚
染がなく残留不純物の分圧は1×10-4Pa以下となっ
ている。また反応室の内壁処理、ベーキング、メタル系
シールによりガス放出量は非常に低いものとなってい
る。このため、反応室の残留不純物率は1ppm以下
(残留不純物の分圧1×10-4Pa以下を測定中の全圧
100Paで割った値)が実現している。なお従来の藤
井の装置では、RPで排気されていたことなどで残留不
純物は1000ppmレベルとなっていたと思われる。
【0066】反応室11が100Pa、第2アパーチャ
31の直径を2mm、第2の差動排気室用ドライポンプ
77の排気速度を100L/Sとしているので、第1の
差動排気室12は4Pa、第2の差動排気室13は10
-3Pa台となる。このため、図2と図3から反応室11
と第1の差動排気室12の全圧が感度に大きく影響する
ことが分かる。しかし、第2の差動排気室13と分析室
14の全圧は十分低いため、感度にほとんど影響しない
ことが容易に推測できる。そのために、本実施形態で
は、第2の差動排気室13と分析室14の全圧の計測・
制御は行っていない。
【0067】次に定量分析を行う上記のイオン付着質量
分析装置において定量値を算出する方法について説明す
る。
【0068】まず実際の測定前に次のような予備測定を
行う。被測定空間61に既知濃度の特定成分のガスを存
在させる。これには、ベースガス中に既知濃度の特定成
分のガスが充填された一つのガスボンベを使用してもよ
いし、あるいは100%濃度の特定成分のガスが充填さ
れたガスボンベとベースガスが充填されたガスボンベの
二つを使用して被測定空間61への導入比率を制御して
もよい。反応室用真空計24により反応室の全圧を計測
しながら流量調整弁63を調整して反応室11に被検出
ガスを導入し、反応室11を特定な全圧とする。導入に
よる全圧増加分と被測定空間61での既知である濃度か
ら、反応室11における特定成分の存在量(分圧)が算
出できる。この状態で計測された質量信号を特定成分の
分圧で割ると、感度が算出される。例えば、質量信号を
A(アンペア)、分圧をPa(パスカル)の単位で計測
されたとすると、感度はA/Paの単位となる。この時
の反応室11と第1の差動排気室12の全圧より、特定
な全圧における特定成分の感度が確定する。
【0069】定量値の算出のためには図2に示す感度の
反応室全圧依存性グラフを、特定の成分毎に求めること
が必要となる。この例ではH2OとC48についての感
度の反応室全圧依存性が示されている。ただし、全圧を
細かく変化させて実測値によってグラフを描けるように
することは大変な作業となるので、数点の代表的な全圧
での感度を求め、これらを2次曲線で近似してグラフを
求めることが望ましい。第1の差動排気室12による単
独の依存性も考慮する場合には、図3のような感度の差
動排気室全圧依存性のグラフが必要となり、この場合に
も数点の実測値を指数関数で近似してグラフを求めるこ
とができる。この例でもH2OとC48についての感度
の作動排気室全圧依存性が示されている。このようにし
て求められた特定成分の感度の全圧依存性を、予めデー
タ処理器17に入力し、そのメモリに保存しておく。た
だし必要な感度データは、実際の測定に使用する成分
で、しかも測定に使用する全圧の範囲であればよい。
【0070】また被測定空間61に複数の既知濃度の特
定成分のガスを存在させることができれば、複数の特定
成分の感度の反応室全圧依存性を同時に求めることがで
きる。これには、例えばそれぞれ既知濃度である複数の
ガスが混合・充填されたガスボンベを用意してもよい
し、単独の成分が充填されたそれぞれのボンベからそれ
ぞれ既知の導入比率で被測定空間61に導入してもよ
い。
【0071】次に、実際の測定では以下のような処理が
行われる。被検出ガスに関する質量分析の測定を行うと
共に、測定中の反応室11、あるいは反応室11および
第1差動排気室12の全圧を必ず計測する。データ処理
器17には、Qポール型質量分析器51からの質量数信
号と、反応室用真空計24と差動排気室用真空計33か
ら精細な全圧信号がほぼリアルタイムで入力される。全
圧信号としては、例えば有効数字2桁の値が、1秒の遅
れで1秒毎に入力される。データ処理器17では、上記
の演算手段17aで、実際に測定された成分・全圧に対
応した感度が呼び出され、この感度(感度に係る係数)
でQポール型質量分析器51からの質量信号を割ること
により定量値が算出される。
【0072】上記のように、本実施形態では、定量計算
において測定中の圧力に対応する感度を使用するため、
反応室11および第1差動排気室12の全圧の設定値を
任意の値とすることができる。また応室および第1差動
排気室の全圧はフィードバック制御がなされていないの
で時間と共に変動する可能性があるが、この全圧信号入
力・質量信号入力・定量値算出の処理はほぼリアルタイ
ムに行われるので、圧力変動があっても常に正しい定量
値を算出することができる。
【0073】なおこれらの方法で算出されるのは反応室
11での特定成分の存在量である。そこで、当然なが
ら、被測定空間61での存在量を求めるには、反応室1
1での存在量に被測定空間61に対する反応室11の減
圧比率で割ればよい。
【0074】第2の実施形態:図4を参照して本発明に
係るイオン付着質量分析装置の第2の実施形態を説明す
る。図4において、図1で説明した要素と実質的に同一
の要素には同一の符号を付している。図4で111は簡
単な全圧信号ライン、112は流量調整信号ライン、1
13はコンダクタンス調整信号ライン、114は流量調
整制御器、115はコンダクタンス調整弁、116はコ
ンダクタンス制御器である。その他の構成は、図1で説
明した構成と同じである。
【0075】本実施形態の構成は、基本的構成は前述の
第1実施形態の構成と同じであり、さらに特徴的構成を
有する。すなわち、反応室用真空計24とデータ処理器
17は簡単な全圧信号ライン111で接続されており、
精細な全圧信号8(例えば連続的に変化するアナログ信
号)ではなく、接点信号(上限、下限を越えているか否
かを示す信号)だけがデータ処理器17に入力される。
接点信号は監視信号として用いられる。反応室用真空計
24と流量調整制御器114は精細な全圧信号ライン3
4で接続され、精細な全圧信号が流量調整制御器114
に入力される。流量調整制御器114と流量調整弁63
は流量調整信号ライン112で接続され、流量調整弁6
3が精細に制御される。同様にして差動排気室用真空計
33、精細な全圧信号ライン113、コンダクタンス制
御器116により、コンダクタンス調整弁115が精細
に制御される。
【0076】第2実施形態のイオン付着質量分析装置の
動作では、反応室11の全圧と第1の差動排気室12の
全圧は、それぞれ特定な値に維持されるように、それぞ
れフィードバック制御される。従って基本的には反応室
11および第1差動排気室12の全圧は一定で、長いレ
ンジでの時間変動はない。そこで定量計算には、広い範
囲での感度の全圧依存性は不要となり、特定な全圧に対
する感度のみ必要となる。このため、感度の全圧依存性
を得る予備測定と実際の測定における定量計算が非常に
簡単となる。
【0077】第1の実施形態では測定中に全圧が変動し
ても定量値に誤差は生じないが、本実施形態の構成では
全圧が変動すると、定量値に誤差が生じる。そこで、測
定時での短いレンジの全圧の変動量が問題となる。すな
わち、ある定量誤差値を確保するためには、測定時に許
容され得る全圧変動量(許容全圧変動量)以内に全圧を
維持する必要がある。
【0078】定量誤差値ΔSと許容全圧変動量ΔP、全
圧を変数とした感度の関数をS(P)、S(P)の導関
数(Pに関して微分された関数)をS'(P)とする
と、S'(P)は「感度変化率」とみなされる。測定時
の全圧Pm付近における定量誤差値ΔS(Pm)、許容
全圧変動量ΔP(Pm)、感度変化率S’(Pm)の間
にはΔS(Pm)=ΔP(Pm)・S’(Pm)という
関係がある。つまり、感度の全圧依存性S(P)が予め
得られていれば許容全圧変動量ΔPが求められる。従っ
て測定時にはこの許容全圧変動量が満足できるように全
圧を制御すればよいことになる。
【0079】ただし実際には、このような実際の測定、
および厳密な計算をしなくても、代表的な全圧依存性か
ら許容全圧変動量を見積もることが可能である。また設
定する全圧を感度変化率の小さい値に、すなわちグラフ
が平坦となっている所に合わせることにより、許容全圧
変動量を大きくして制御を容易にすることが有益であ
る。
【0080】いずれにせよ、もし測定中に許容全圧変動
量以上に全圧が変動したとすると定量値が誤ったものと
なる。その確認のため、反応室用真空計24から許容全
圧変動量に合わせた接点信号がデータ処理器17に入力
され、得られた定量値の成否が判断できるようにしてい
る。すなわち真空計から監視用のエラー信号を入力する
ようにしている。なお差動排気室用真空計を設けること
により、この真空計から上記エラー信号を入力するよう
に構成することもできる。
【0081】第3の実施形態:図5を参照して本発明に
係るイオン付着質量分析装置の第3の実施形態を説明す
る。図5において、211は第3体ガス用ボンベ、21
2は第3体ガス用流量調整弁、213は反応室用ドライ
ポンプである。図5におけるその他の構成は図1または
図4に示した構成と同じであり、前述の実施形態で説明
した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付して
いる。
【0082】本実施形態による構成では、基本的構成は
前述の第2実施形態に類似している。特徴的構成として
は、反応室11には、直接に、反応室用ドライポンプ2
13が取り付けられている。反応室用ドライポンプ21
3は軸流分子ポンプで排気速度5L/Sのものである。
第1アパーチャ22の直径を1mmと小さくし、コンダ
クタンスを0.1L/Sとしている。第1の差動排気室
用ドライポンプ76には、軸流分子ポンプよりも低圧ま
で排気することが可能なターボ分子ポンプで排気速度1
00L/S以上のものを採用している。流量調整制御器
114は、流量調整弁63と第3体ガス用流量調整弁2
12を独立して制御できるものである。この実施形態で
は、第1の差動排気室用真空計は存在しない。図1で示
した第2の差動排気室13は存在せず、当然のことなが
ら、第2の差動排気室用ドライポンプや第2の差動排気
室と分析室との間の隔壁も存在しない。ただし静電レン
ズ43は同じ位置に残るので、分析室14の中に設置さ
れることになる。
【0083】第3の実施形態によるイオン付着質量分析
装置の基本的な動作は、第2実施形態の動作に類似して
いる。特徴的動作としては、反応室の排気時定数は0.
2秒となり、より早い応答性が実現している点である。
第1の差動排気室12の全圧は0.1Pa以下となって
いる。図3によれば、第1の差動排気室12の全圧が
0.1Paより低圧では、感度がほぼ一定となることが
示されているので、全圧信号のデータ処理器17への入
力や全圧のフィードバック制御などをしていないが、安
定な信号を得ることができる。また第1の差動排気室1
2の全圧が低いため、第2の差動排気室13がなくて
も、分析室14の全圧は十分に低い値となっている。
【0084】反応室11には、被測定空間61からの被
検出ガスと第3体ガス用ボンベ211からの第3体ガス
の両方が導入される。導入量比率、すなわち両方のガス
に対する被検出ガスの導入量の割合は、被検出ガスの濃
度、特性などから決められる。例えば被検出ガスが被測
定空間61内の濃度が高く汚染しやすい性質を持ってい
る場合には、被検出ガスの導入比率は小さくし、第3体
ガスによる希釈率を大きくする。
【0085】流量調整制御器114は、被検出ガスと第
3体ガスの導入量の比率は一定としながら、反応室11
が特定な全圧に維持されるように、流量調整弁63と第
3体ガス用流量調整弁212をフィードバック制御して
いる。被測定空間61での存在量を求めるには、反応室
11での存在量を、反応室11の減圧比率と導入量比率
で割ればよい。
【0086】第4の実施形態:図6を参照して本発明に
係るイオン付着質量分析装置の第4の実施形態を説明す
る。図6において、211は第3体ガス用ボンベ、31
1は高精度な流量調整弁、312は高精度な第3体ガス
用流量調整弁、313は反応室11および第1差動排気
室12用の複合ドライポンプである。図6において、そ
の他の構成は図5に示した実施形態の構成と同じであ
り、図5で示した要素と実質的に同一の要素には同一の
符号を付している。
【0087】本実施形態によるイオン付着質量分析装置
の構成は、基本的に、第3の実施形態と類似している。
この実施形態では、上記の流量調整制御器114は存在
していない。高精度な流量調整弁311と高精度な第3
体ガス用流量調整弁312は温度変化や経時変化が少な
いものである。反応室11および第1差動排気室12用
の複合ドライポンプ313はターボ分子ポンプ313a
の前段と軸流分子ポンプ(あるいはねじ溝ポンプ)31
3bの後段が組み合わされたポンプであって、前段入口
は差動排気室12に、後段入口は横から反応室11に接
続されている。従って後段の軸流分子ポンプ313bは
ターボ分子ポンプ313aの背圧維持と反応室11の排
気の二つの役目を果たしている。
【0088】第4の実施形態によるイオン付着質量分析
装置では、高精度な流量調整弁311と高精度な第3体
ガス用流量調整弁312はフィードバック制御されず、
流量の大きさは固定されている。しかし、温度変化や経
時変化が少ない高精度な流量調整弁を使用し、反応室1
1は大きな排気速度で排気されているので、反応室11
の全圧を許容全圧変動量内に維持することが可能であ
る。これは全圧変動量が、導入量の変動量と排気速度の
変動量に比例し、排気速度の絶対値に反比例するからで
ある。
【0089】第5の実施形態:図7を参照して本発明に
係るイオン付着質量分析装置の第5の実施形態を説明す
る。図7において、411は3次元(3D)型質量分析
器、412は反応室11および分析室14用の複合ドラ
イポンプである。第5の実施形態におけるその他の構成
は前述の第4の実施形態と実質的に同じであり、図7に
おいて図6に示した要素と実質的に同一の要素には同一
の符号を付している。
【0090】本実施形態による構成は第4の実施形態と
概ね同じであり、その特徴的構成は、質量分析器として
0.1Paでも動作が可能な3次元(3D)型質量分析
器411が使用されている点である。この実施形態では
第1の差動排気室12は存在せず、当然のことながら、
前述の第1の差動排気室用ドライポンプ76や第1の差
動排気室の隔壁32は存在しない。反応室11および分
析室14用の複合ドライポンプ412は、反応室および
第1差動排気室用の上記の複合ドライポンプ313と同
じものであるが、前段入口が分析室14に接続されてい
る。
【0091】本実施形態によるイオン付着質量分析装置
の動作は、第4の実施形態と概ね同じであるが、反応室
および分析室用の複合ドライポンプ412が唯一の真空
ポンプとなっている点に特徴がある。分析室用の全圧は
0.1Paを下回る程度であるが、3次元(3D)型質
量分析器411によって質量分析は正常に行うことがで
きる。
【0092】第6の実施形態:図8を参照して本発明に
係るイオン付着質量分析装置の第6の実施形態を説明す
る。本実施形態は第4の実施形態を変形したものであ
り、基本的構成は第4の実施形態と概ね同じである。特
徴的構成として、反応室11は、前述した第2の従来例
と同じであり、第1の差動排気室12の中に設置されて
いる。また反応室11には直接に真空計が取り付けられ
ていない。しかし、反応室11と第1の差動排気室12
との間のコンダクタンス、および第1の差動排気室用ド
ライポンプ76の排気速度は既知となっているので、こ
れらの値から第1の差動排気室用真空計33による第1
の差動排気室12の全圧と反応室11の全圧の相関関係
を求めることができる。なお第1の差動排気室12を排
気する真空ポンプは複合型ではなく、第3の実施形態と
同様に第1の差動排気室用ドライポンプ76となってい
る。
【0093】第6実施形態における動作は第4実施形態
の動作と概ね同じである。特徴的動作は、測定中に反応
室11の全圧が許容全圧変動量を越えたかどうかを確認
するため、第1の差動排気室用真空計33の接点信号3
4の設定を、上記の相関関係から得られた反応室11の
許容全圧変動量に対応する第1の差動排気室12の許容
全圧変動量に設定する点である。このようにして、第1
の差動排気室用真空計33からエラー信号を得ている。
【0094】前述した各実施形態は次のように変形する
ことができる。
【0095】前述の第2〜第6の実施形態では、真空計
24からエラー信号だけをデータ処理器17へ送ってい
るが、これに限られることはない。精細な全圧信号を送
り、データ処理器17で定量計算を行うことも可能であ
る。第4と第5の実施形態では、全圧のフィードバック
制御は行っていないが、反応室11とドライポンプ31
3をつなぐ配管にコンダクタンス変調調整弁を挿入し、
第2実施形態での第1差動排気室のフィードバック制御
と同様な方法で、反応室11の全圧をフィードバック制
御することもできる。第6の実施形態では、全圧のフィ
ードバック制御は行っていないが、第1の差動排気室用
真空計33からの精細な全圧信号をガス導入機構へ送
り、反応室11の全圧をフィードバック制御は、必要に
応じていろいろな変形・組合せに使用することができ
る。
【0096】第1の実施形態と第2の実施形態では、第
1の差動排気室用真空計33を備えているが、これを省
略することもできる。実際の測定では第1アパーチャ2
2のコンダクタンスと第2の差動排気室用ドライポンプ
77の排気速度は一定なので、第1の差動排気室12に
よる単独の依存性を考慮する必要は薄いからである。ま
た、装置簡素化のため、感度を多少犠牲にしても第1ア
パーチャ22を小さくすることにより、第1の差動排気
室12自体を省略することもできる。すなわち、室とし
て反応室11と分析室14だけで構成されることもある
し、これらの間に1つ以上の差動排気室が配置されるこ
ともある。
【0097】以上の実施形態では、感度の全圧依存性を
求める予備測定を実際の測定のすぐ前に行っているが、
これに限られるわけではない。今後、測定が予想される
成分に関して、かなり以前に感度の全圧依存性を求めて
おくことも可能である。さらには、同じ装置で予備測定
を行わず、同じ型式の別の装置で行われた感度の全圧依
存性のデータを利用することもできる。これは、感度の
全圧依存性のメカニズムが、装置の経時変化・劣化や同
型式装置ごとの機差とはあまり関係ないからである。
【0098】以上の実施形態では、測定中に定量値の算
出を行っているがこれに限られない。実際の測定後に、
全圧データと質量信号を一括に処理して定量値を算出す
ることもできる。なお、この場合には予備測定を実際の
測定の後に行うことも可能となる。
【0099】以上の実施例では、データ処理器17は一
個でかつ質量分析器と直結しているが、これに限られな
い。データ処理器は複数に分割されていてもよいし、質
量分析器とは直接接続されてはいないが何らかの手段で
データが入力されるものであれば構わない。
【0100】以上の実施形態では、全圧による依存性を
考慮しているが、さらに厳密に感度を求める場合には、
全圧だけでなく分圧依存性も考慮することもできる。こ
れは、感度が存在量に対して完全に一定ではないことを
考慮したもので、予備測定で被測定空間に既知濃度の特
定成分のガスを存在させる際に、濃度を変えてそれぞれ
の感度を求めることにより達成される。感度が存在量に
対して一定ではないことを補正する手法は、従来からよ
く知られた検量線法に相当する。ただし、従来の検量線
法では全圧による感度変化がないと仮定されているが、
本発明では特定な全圧における固有な量として感度や検
量線を捉えるところが異なっている。
【0101】以上の実施形態では、3種類のガス導入機
構(図1,4と図5と図6〜8)、3種類の全圧補正方
法(図1と図4,5と図6〜8)、6種類の排気機構
(図1,4と図5と図6と図7と図8)、2種類の質量
分析器(図1,4,5,6,8と図7)を示したが、こ
れらの組み合わせは実施形態に示されたものに限定され
ず、あらゆる組み合わせが可能である。またここで示し
た以外のガス導入機構、全圧補正方法、排気機構、質量
分析器との組み合わせも可能である。
【0102】以上の実施形態では、反応室11は小さく
凹部や角部のない流線型で、内壁表面は研磨・不動態化
・精密洗浄がなされ、反応室用シール23にはメタル系
材料が使われ、配管62は反応室の最も上流部に取り付
けられ、反応室用真空計24と差動排気室用真空計33
は隔膜式の真空計となっている。しかし、これらは必ず
しもすべてが不可欠という訳ではなく、分析目的に応じ
て選択的に採用することができる。また、反応室11は
必ずしも流線型である必要はなく、大きく深い凹部や角
部がなく、流れが概ねスムーズな一方向であって滞留が
少ない構造であれば良い。
【0103】また以上の実施形態では、ターボ分子ポン
プ、軸流分子ポンプ、ねじ溝ポンプが使用されている
が、これに限定されずメンブレンポンプ、スクロールポ
ンプ、イオンポンプ、ゲッターポンプなど他の多くの種
類のドライポンプを使用することができる。
【0104】以上の実施形態では、金属イオンとして最
も軽いLi+を使用したが、これに限定されずK+、Na
+、Rb+、Cs+、Al+、Ga+、In+などに適用でき
る。また質量分析器としてはQポール型質量分析器と3
次元(3D)型質量分析器を使用したが、これに限定さ
れず磁場セクター型質量分析計、TOF(飛行時間)型
質量分析計、ICR(イオンサイクロトロンレゾナン
ス)型質量分析計も使用することができる。
【0105】以上の実施形態では、測定すべき試料とし
てはすべてガス状のもので説明したが、試料自体は固体
でも液体でも構わない。固体や液体の試料が何らかの手
段でガス状にされ、そのガスを分析するものであれば構
わない。また、本装置を他の成分分離装置、例えばガス
クロマトグラフや液体クロマトグラフに接続して、ガス
クロマトグラフ/質量分析装置(GC/MS)、液体クロ
マト/質量分析装置(LC/MS)とすることもできる。
【0106】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、イオン付着質量分析装置において、定量分析を行
おうとするガス種について全圧に対して依存する感度特
性を取得し、当該感度に関する係数を用いて質量分析器
から得られる質量信号に対して所定の処理を行うなどと
したため、イオン付着質量分析装置が本来有していた信
号安定性の問題やバックグラウンド(干渉ピーク)の問
題を解消し、定量分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るイオン付着質量分析装置の第1
の実施形態を示す構成図である。
【図2】 第1の実施形態に関して感度の反応室全圧依
存性を示すグラフである。
【図3】 第1の実施形態に関して感度の作動排気室全
圧依存性を示すグラフである。
【図4】 本発明に係るイオン付着質量分析装置の第2
の実施形態を示す構成図である。
【図5】 本発明に係るイオン付着質量分析装置の第3
の実施形態を示す構成図である。
【図6】 本発明に係るイオン付着質量分析装置の第4
の実施形態を示す構成図である。
【図7】 本発明に係るイオン付着質量分析装置の第5
の実施形態を示す構成図である。
【図8】 本発明に係るイオン付着質量分析装置の第6
の実施形態を示す構成図である。
【図9】 従来のイオン付着質量分析装置の第1例(藤
井)を示す構成図である。
【図10】 従来のイオン付着質量分析装置の第2例
(ボムビック)を示す構成図である。
【図11】 従来のイオン付着質量分析装置の第3例
(ホッジ)を示す構成図である。
【符号の説明】
11 反応室 12 第1の差動排気室 13 第2の差動排気室 14 分析室 15 ガス導入機構 16 排気機構 17 データ処理器 17a 演算手段 24 反応室用真空計 33 第1の差動排気室用真空計 34 全圧信号ライン 51 Qポール型質量分析器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 亨 東京都府中市四谷5丁目8番1号 アネル バ株式会社内 (72)発明者 藤井 敏博 東京都羽村市五の神1丁目10番12号 Fターム(参考) 5C038 HH02 HH16 HH28

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 減圧雰囲気で被検出ガスに正電荷の金属
    イオンを付着させてイオン化し質量分析の測定を行うイ
    オン付着質量分析方法において、 前記被検出ガスの各成分の感度が前記減圧雰囲気の全圧
    依存性を持ちかつ前記全圧依存性が各成分毎に異なると
    いう特性を利用し、質量分析の際に測定される前記減圧
    雰囲気の全圧データを前記各成分の質量分析データの処
    理に使用して定量分析を行うことを特徴とするイオン付
    着質量分析方法。
  2. 【請求項2】 減圧雰囲気で被検出ガスに正電荷の金属
    イオンを付着させてイオン化し質量分析の測定を行うイ
    オン付着質量分析方法において、 前記被検出ガスの各成分の感度が前記減圧雰囲気の全圧
    依存性を持ちかつ前記全圧依存性が各成分毎に異なると
    いう特性を利用し、質量分析の際に測定される前記減圧
    雰囲気の全圧データを前記各成分の質量分析の測定条件
    の設定に使用して定量分析を行うことを特徴とするイオ
    ン付着質量分析方法。
  3. 【請求項3】 前記各成分毎に測定中の全圧に対応する
    感度を使って定量値を算出することを特徴とする請求項
    1または2記載のイオン付着質量分析方法。
  4. 【請求項4】 測定中での全圧を許容全圧変動量内に設
    定することを特徴とする請求項1または2記載のイオン
    付着質量分析方法。
  5. 【請求項5】 前記各成分毎に測定中の全圧に対応する
    感度変化率と要求される定量誤差値を使って許容全圧変
    動量を算出することを特徴とする請求項4記載のイオン
    付着質量分析方法。
  6. 【請求項6】 被検出ガスに正電荷の金属イオンを付着
    させる反応室と、正電荷の金属イオンが付着した前記被
    検出ガスを質量分離・検出する質量分析器と、この質量
    分析器が設置された分析室と、前記反応室に前記被検出
    ガスを含むガスを導入する導入機構と、前記被検出ガス
    を含むガスを排気する排気機構と、前記質量分析器から
    の質量信号を入力し演算するデータ処理器とを備え、減
    圧雰囲気である前記反応室と前記分析室を経由して前記
    被検出ガスに正電荷の金属イオンを付着させてイオン化
    した後に質量分析の測定を行うイオン付着質量分析装置
    において、 前記減圧雰囲気の全圧を計測する真空計を備え、測定中
    に計測された前記真空計からの全圧信号をデータ処理器
    に入力し、前記データ処理器は各成分の感度が前記減圧
    雰囲気の全圧依存性を持ちかつ前記全圧依存性が各成分
    毎に異なることを利用して前記各成分の定量分析を行う
    演算手段を含むことを特徴とするイオン付着質量分析装
    置。
  7. 【請求項7】 被検出ガスに正電荷の金属イオンを付着
    させる反応室と、正電荷の金属イオンが付着した前記被
    検出ガスを質量分離・検出する質量分析器と、この質量
    分析器が設置された分析室と、前記反応室に前記被検出
    ガスを含むガスを導入する導入機構と、前記被検出ガス
    を含むガスを排気する排気機構と、前記質量分析器から
    の質量信号を入力し演算するデータ処理器とを備え、減
    圧雰囲気である前記反応室と前記分析室を経由して前記
    被検出ガスに正電荷の金属イオンを付着させてイオン化
    した後に質量分析の測定を行うイオン付着質量分析装置
    において、 前記減圧雰囲気の全圧を計測する真空計を備え、測定中
    に計測された前記真空計からの全圧信号を前記導入機構
    または前記排気機構に入力し、前記データ処理器は成分
    の定量分析を行うことを特徴とするイオン付着質量分析
    装置。
  8. 【請求項8】 前記反応室と前記分析室の間に両室を真
    空的に接続する減圧雰囲気である差動排気室を設けたこ
    とを特徴とする請求項6または7記載のイオン付着質量
    分析装置。
  9. 【請求項9】 前記全圧信号を前記データ処理器に入力
    し、前記データ処理器の前記演算手段が測定中の全圧に
    対応する感度と質量信号を使って各成分の定量値を算出
    することを特徴とする請求項6記載のイオン付着質量分
    析装置。
  10. 【請求項10】 前記全圧信号を前記導入機構または前
    記排気機構に入力し、前記導入機構または前記排気機構
    は、前記減圧雰囲気の全圧が許容全圧変動量内となるよ
    うに前記全圧信号を使って制御されることを特徴とする
    請求項7記載のイオン付着質量分析装置。
  11. 【請求項11】 前記全圧信号を前記データ処理器に入
    力し、前記データ処理器は、前記減圧雰囲気の全圧が許
    容全圧変動量内になっていることを前記全圧信号を使っ
    て監視することを特徴とする請求項10記載のイオン付
    着質量分析装置。
  12. 【請求項12】 測定中の減圧雰囲気の全圧に対応する
    感度変化率と、要求される定量誤差値とから許容全圧変
    動量を算出することを特徴とする請求項10または11
    記載のイオン付着質量分析装置。
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