JP2004155217A - 農用走行車両の倍速変速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】農用走行車両の倍速変速装置の切り替えをショックを少なくし円滑に行なう。
【解決手段】エンジン8から左・右前輪2,2及び左・右後輪3,3への伝動経路中に倍速変速装置24を設け、前・後輪等速四駆状態及び前輪倍速四駆状態に変速可能に構成する。倍速変速装置24の前・後輪等速四駆状態及び前輪倍速四駆状態の切替手段32を、油圧ポンプからの圧油を切り替える制御弁34及び油圧の給排される油圧シリンダ35からなる倍速油圧ユニット33により作動する。倍速油圧ユニット33の制御弁34を左・右前輪2,2の左右旋回操作に関連して作動し、倍速変速装置24を前・後輪等速四駆状態から前輪倍速四駆状態に切り替える。
【選択図】 図1
【解決手段】エンジン8から左・右前輪2,2及び左・右後輪3,3への伝動経路中に倍速変速装置24を設け、前・後輪等速四駆状態及び前輪倍速四駆状態に変速可能に構成する。倍速変速装置24の前・後輪等速四駆状態及び前輪倍速四駆状態の切替手段32を、油圧ポンプからの圧油を切り替える制御弁34及び油圧の給排される油圧シリンダ35からなる倍速油圧ユニット33により作動する。倍速油圧ユニット33の制御弁34を左・右前輪2,2の左右旋回操作に関連して作動し、倍速変速装置24を前・後輪等速四駆状態から前輪倍速四駆状態に切り替える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、農用走行車両の倍速変速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の農用走行車両の倍速変速装置は、エンジンから左・右前輪及び左・右後輪への伝動経路中に前・後輪等速四駆状態及び前輪倍速四駆状態に変速可能な前輪変速装置を設け、左・右前輪の旋回操作に関連してアーム、ロッド、ワイヤ等からなる操作手段を関連的に操作し、前輪変速装置のシフトフォークを作動して、前・後輪等速四駆状態から前輪倍速四駆状態に変速する構成である。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−162554号公報(第1頁、第2図、7図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の前輪変速装置の切替操作装置は、ロッド・アーム、ワイヤ等のメカ構成で左・右前輪を操舵するナックルアームに連係する構成であり、左・右前輪の旋回動が前輪変速装置のシフトフォークに直接伝達され、切替時のショックや音が大きくオペレータに不快感を与えていた。
【0005】
そこで、この発明は前輪変速装置の切替手段を所定の速さで安定的に作動し、ショック及び音の発生を少なくしようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記の課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。請求項1の発明は、エンジン8から左・右前輪2,2及び左・右後輪3,3への伝動経路中に倍速変速装置24を設けて前・後輪等速四駆状態及び前輪倍速四駆状態に変速可能な農用走行車両において、前記倍速変速装置24の前・後輪等速四駆状態及び前輪倍速四駆状態の切替手段を、油圧ポンプからの圧油を切り替える制御弁34及び油圧の給排される油圧シリンダ35からなる倍速油圧ユニット33により作動するように構成し、前記倍速油圧ユニット33の制御弁34を左・右前輪2,2の左右旋回操作に関連して前記倍速変速装置24を前・後輪等速四駆状態から前輪倍速四駆状態に切り替えるように構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明は、エンジン8から左・右前輪2,2及び左・右後輪3,3への伝動経路中に設けられている倍速変速装置24を左・右前輪2,2の旋回操作に関連して前・後輪等速四駆状態から前輪倍速四駆状態に変速するにあたり、左・右前輪2,2の旋回作動に関連して倍速油圧ユニット33の制御弁34を操作し油圧シリンダ35の伸縮作動により倍速変速装置24の切替手段を作動し、前・後輪等速四駆状態から前輪倍速四駆状態に切り替える。
【0008】
【発明の効果】
請求項1の発明は、左・右前輪2,2の旋回作動に関連して倍速油圧ユニット33の制御弁34を操作し油圧シリンダ35の伸縮作動により倍速変速装置24の切替手段を作動し、前・後輪等速四駆状態から前輪倍速四駆状態に切り替えるので、切替手段を動かす力とスピードが油圧力により安定して得られ、切替時のショック及び音を小さくすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態のトラクタを図面に基づき説明する。
図1に示すトラクタ1は、前後四輪駆動車両であって、車体前後の左右両側部に左・右前輪2,2及び左・右後輪3,3を設けている。左・右前輪2,2の車軸を支持する前車軸ケース4は前フレーム5の下側に取り付けられ、左・右後輪3,3を支持する後車軸ケース6,6は、ミッションケース7の後側面に取り付けられている。
【0010】
前フレーム5の中央部上側にはエンジン8を搭載し、エンジン8や補機類(図示省略)の前側部・左右両側部をボンネット9で被覆し、ハンドル10を左右に回転操作させると、左・右前輪2,2が左右に舵取りされる。左・右後輪3,3の上側を左・右フェンダ12,12で被覆し、左・右フェンダ12,12の間に座席13が設けられている。座席13下方のフロア14の前部右側には、左・右後輪3,3に制動する左・右ブレーキぺダル(図示省略)が設けられている。
【0011】
機体の後部には、昇降油圧シリンダ(図示省略)により上下回動するリフトアーム15,15が設けられている。このリフトアーム15,15の先端部と、ロワーリンク16,16との間を、リフトロッド17,17で連結し、リフトアーム15,15の上下回動により、ロワーリンク16,16の後端部に連結した作業機が昇降する構成である。
【0012】
次に、トラクタの伝動構成について説明する。エンジン8の回転動力は、主クラッチ(図示省略)を経由して、前後輪を駆動する走行駆動系と、作業機を駆動するライブPTO駆動系の2系統に分岐伝動される。走行伝動系の動力はミッションケース7前部の入力軸17に入力され、前後進切替装置18・主変速装置19・副変速装置20を経て後輪駆動軸21に伝達され、更に、後輪駆動軸21から後輪デフ装置22を経て左・右後輪3,3に伝達される。
【0013】
後輪駆動軸21の動力は、その前側部の前輪出力ギヤ23から倍速変速装置24を経て前輪駆動軸25にも伝動される。倍速変速装置24は、倍速変速軸26に遊嵌している等速第1ギヤ27、倍速第1ギヤ28と、前輪駆動軸25に設けている等速第2ギヤ29、倍速第2ギヤ30と、倍速変速軸26の軸心孔26aに摺動自在のシフト軸31、シフト軸31にピン連結されているキーシフト爪32により構成されている。
【0014】
倍速変速軸26の軸心孔26aには、シフト軸31を介してキーシフト爪32,32を軸方向にスライドのみ自在に嵌合し、キーシフト爪32,32を等速第1ギヤ27の係止溝27aあるいは倍速第1ギヤ28係止溝28aに係合可能に構成している。
【0015】
倍速変速装置24の近傍に倍速油圧ユニット33を配置している。この倍速油圧ユニット33は、図4にそのブロック図を示すように、油圧ポンプからの圧油を切り替える制御弁34、油圧の給排される油圧シリンダ35、油圧シリンダ35の圧油をタンクに還流制御する第2制御弁36等で構成されていて、倍速油圧ユニット33の制御弁34を切り替えて油圧シリンダ35を伸縮し、シフト軸31を介してキーシフト爪32,32を移動させる構成である。
【0016】
次に、倍速油圧ユニット33の作動構成について説明する。
ミッションケース7の側部には、倍速作動体37を軸支し、ハンドル10の操作によりパワステ装置38が操舵作動されると、倍速ロッド39を介して倍速作動体37が回動される構成である。ミッションケース7の側部には倍速アーム40の中間部を軸支すると共に、倍速油圧ユニット33の制御弁34に連係している倍速第2アーム41を軸支し、倍速アーム40の一端を倍速作動体37の作動溝37aに係合し、倍速アーム40と倍速第2アーム41との間をロッド42により連係している。
【0017】
また、操縦席13の近傍には倍速切替レバー43を設け、倍速切替レバー43を切替ロッド44・切替アーム46を介して倍速油圧ユニット33の第2制御弁36に連係し、倍速油圧ユニット33を作動状態としたり、非作動状態に切替可能に構成している。
【0018】
しかして、ハンドル10を左右に旋回操作し所定のハンドル切り角になると、倍速ロッド39、倍速作動体37、倍速アーム40、ロッド42、倍速第2アーム41を介して倍速油圧ユニット33の制御弁34が倍速側に切り替えられ、油圧シリンダ35が短縮する。すると、キーシフト爪32,32が倍速変速位置にシフトされ、倍速第1ギヤ28から倍速第2ギヤ30を経由して左・右前輪2,2に倍速動力が伝達され、左・右後輪3,3の回転速度よりも略倍速で駆動される「前輪倍速四駆」状態に変速される。
【0019】
また、旋回走行が終了しハンドル10が所定角度以下に操作され倍速第2アーム41が復帰回動すると、制御弁34が前輪等速四駆位置に切り替えられて油圧シリンダ35が伸長し、倍速変速装置24は等速伝動側に切り替えられる。すると、等速第1ギヤ27から等速第2ギヤ29を経由して左・右前輪2,2の回転速度が左・右後輪3,3の回転速度と同等の前・後輪等速四駆」状態に切り替えられる。
【0020】
なお、前輪出力ギヤ23を切り位置に操作すると、左・右後輪3,3だけを駆動する「後輪二駆」状態に切り替えられる。
従来装置は倍速変速装置24の切替装置は、ロッド・アーム等のメカ構成で、左・右前輪を操舵するナックルアームに連係する構成であり、構成が複雑で調整作業が煩わしく、調整具合により個体差が大きく、また、左・右前輪の旋回動が直接切替手段に連動され、切替時にはショックや音が大きく、安定しないものであった。
【0021】
しかし、この実施例では前記のように、倍速油圧ユニット33の油圧シリンダ35によりキーシフト爪32を作動して倍速変速装置24の変速をするので、キーシフト爪32を動かす力とスピードが油圧力により安定して得られ、切替時のショック及び音を小さくすることができる。
【0022】
また、倍速変速装置24の倍速油圧ユニット33の切替装置を、図5のように構成しても前記実施例と同様の効果が期待できる。ハンドル10のハンドル軸45にウォームギヤ46を設け、切替アーム47に設けたウォームホイール48をウォームギヤ46に噛み合わせている。そして、倍速油圧ユニット33のシフト軸31の端部にワイヤ49の後端部を連結すると共に、シフト軸31に後方に復帰しがちに作用するリターンスプリング50を装着し、ワイヤ49の前端部を切替アーム47に連結している。
【0023】
しかして、ハンドル10を左右に回動操作しトラクタを旋回すると、ウォームギヤ46とウォームホイール48との噛合により、切替アーム47が上下に回動し、ワイヤ49が引っ張られ、シフト軸31及びキーシフト爪32が倍速位置にシフトされ、前輪倍速四駆状態に切り替えられる。また、ハンドル10を直進走行に操作すると、リターンスプリング50によりシフト軸31及びキーシフト爪32が後側の等速位置に移動し、前輪等速四駆状態に切り替えられる。
【0024】
前記のように、ハンドル10により倍速油圧ユニット33を作動するので、ハンドル10の近い位置に倍速切替装置を配置できて作動誤差が少なくなり、また、ワイヤ49の長さ調節することにより切替タイミングを簡単に調整することができ、ハンドル10の切れ角の小さい代掻き作業時にも、前輪倍速四駆状態に変速することができる。
【0025】
次に、図6に基づきトラクタの旋回走行時のスロットル操作装置について説明する。
前フレーム5の下側には前車軸ケース4を取り付け、前車軸ケース4の左右両端部に左・右前輪2,2のケース部2a,2aを操舵自在に取り付け、左右の前輪アーム51,51を操舵ロッド52により連結し、ハンドル10の操作により左右の前輪アーム51,51の一方を操舵可能に構成している。操舵ロッド52の中間部にはスロットル連動ワイヤ53の一端を連結し、スロットル連動ワイヤ53の他端をスロットルアーム54に連結している。
【0026】
しかして、ハンドル10を左右に旋回操作すると、スロットル連動ワイヤ53を介してスロットルアーム54が前方のアイドル位置に回動し、エンジン8の回転を低下させ、走行速度を遅くしながら円滑に旋回することができる。
また、図7に示すように、操舵ロッド52の例えば右寄りにスロットル連動ワイヤ53の前端部を連結し、スロットル連動ワイヤ53を前フレーム5の外側に沿わせて配置し、インナーワイヤ53aに対するアウタワイヤ53bの調整部55を前フレーム5の側面に設けることにより、ワイヤの取付作業及び調整作業を容易化できる。
【0027】
また、スロットル連動ワイヤ53の取付構造を図8及び図9に示すように構成してもよい。前フレーム5の下側には前車軸ケース4を取り付け、前車軸ケース4の左右両端部に左・右前輪2,2のケース部2a,2aを取り付け、ケース部2a,2aから前側内方に向けて突出した左右の前輪アーム51,51に操舵ロッド52の両端部を連結し、ケース部2a,2aの後側内向きにハンドル10への操舵連結部2bを突出している。操舵ロッド52の例えば右寄りにスロットル連動ワイヤ53の前端部を連結し、前フレーム5の右側部側面に沿わせてスロットル連動ワイヤ53を配置し、インナーワイヤ53aに対するアウタワイヤ53bの調整部55を前フレーム5の右側部側面に設け、スロットル連動ワイヤ53の中途部を上方に迂回してその後端部を後方に向けて延出し、スロットルレバー54に連結する。しかして、スロットル連動ワイヤ53を短くしながら、ワイヤの取付作業及び調整作業を容易化することができる。
【0028】
また、図10に示すように、スロットル連動ワイヤ53の調整部55を取付プレート58に取り付けると共に、取付プレート58を前フレーム5の右側面に沿わせて前後方向に移動調節自在に構成し、操作レバー56及びロッド57を介して調整部55を前後方向に調節できる構成としてもよい。このように構成すると、作業時に操作レバー56を後側に操作し、取付プレート58を前側に移動調節してスロットル連動ワイヤ53の弛みを少なくすることができる。すると、作業時以外にはスロットル連動ワイヤ53が十分に引かれないので、スロットルレバー54が作動しなく路上走行等を円滑に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの全体側面図である。
【図2】要部の切断側面図である。
【図3】要部の切断側面図である。
【図4】油圧回路図である。
【図5】要部の側面図ロック図である。
【図6】要部の平面図である。
【図7】要部の平面図である。
【図8】要部の平面図である。
【図9】要部の側面図である。
【図10】要部の側面図である。
【符号の説明】
1 トラクタ
2 左・右前輪
3 左・右後輪
4 前車軸ケース
5 前フレーム
6 後車軸ケース
7 ミッションケース
8 エンジン
9 ボンネット
10 ハンドル
24 倍速変速装置
32 切替手段(キーシフト爪)
33 倍速油圧ユニット
34 制御弁
35 油圧シリンダ
【発明の属する技術分野】
この発明は、農用走行車両の倍速変速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の農用走行車両の倍速変速装置は、エンジンから左・右前輪及び左・右後輪への伝動経路中に前・後輪等速四駆状態及び前輪倍速四駆状態に変速可能な前輪変速装置を設け、左・右前輪の旋回操作に関連してアーム、ロッド、ワイヤ等からなる操作手段を関連的に操作し、前輪変速装置のシフトフォークを作動して、前・後輪等速四駆状態から前輪倍速四駆状態に変速する構成である。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−162554号公報(第1頁、第2図、7図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の前輪変速装置の切替操作装置は、ロッド・アーム、ワイヤ等のメカ構成で左・右前輪を操舵するナックルアームに連係する構成であり、左・右前輪の旋回動が前輪変速装置のシフトフォークに直接伝達され、切替時のショックや音が大きくオペレータに不快感を与えていた。
【0005】
そこで、この発明は前輪変速装置の切替手段を所定の速さで安定的に作動し、ショック及び音の発生を少なくしようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記の課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。請求項1の発明は、エンジン8から左・右前輪2,2及び左・右後輪3,3への伝動経路中に倍速変速装置24を設けて前・後輪等速四駆状態及び前輪倍速四駆状態に変速可能な農用走行車両において、前記倍速変速装置24の前・後輪等速四駆状態及び前輪倍速四駆状態の切替手段を、油圧ポンプからの圧油を切り替える制御弁34及び油圧の給排される油圧シリンダ35からなる倍速油圧ユニット33により作動するように構成し、前記倍速油圧ユニット33の制御弁34を左・右前輪2,2の左右旋回操作に関連して前記倍速変速装置24を前・後輪等速四駆状態から前輪倍速四駆状態に切り替えるように構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明は、エンジン8から左・右前輪2,2及び左・右後輪3,3への伝動経路中に設けられている倍速変速装置24を左・右前輪2,2の旋回操作に関連して前・後輪等速四駆状態から前輪倍速四駆状態に変速するにあたり、左・右前輪2,2の旋回作動に関連して倍速油圧ユニット33の制御弁34を操作し油圧シリンダ35の伸縮作動により倍速変速装置24の切替手段を作動し、前・後輪等速四駆状態から前輪倍速四駆状態に切り替える。
【0008】
【発明の効果】
請求項1の発明は、左・右前輪2,2の旋回作動に関連して倍速油圧ユニット33の制御弁34を操作し油圧シリンダ35の伸縮作動により倍速変速装置24の切替手段を作動し、前・後輪等速四駆状態から前輪倍速四駆状態に切り替えるので、切替手段を動かす力とスピードが油圧力により安定して得られ、切替時のショック及び音を小さくすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態のトラクタを図面に基づき説明する。
図1に示すトラクタ1は、前後四輪駆動車両であって、車体前後の左右両側部に左・右前輪2,2及び左・右後輪3,3を設けている。左・右前輪2,2の車軸を支持する前車軸ケース4は前フレーム5の下側に取り付けられ、左・右後輪3,3を支持する後車軸ケース6,6は、ミッションケース7の後側面に取り付けられている。
【0010】
前フレーム5の中央部上側にはエンジン8を搭載し、エンジン8や補機類(図示省略)の前側部・左右両側部をボンネット9で被覆し、ハンドル10を左右に回転操作させると、左・右前輪2,2が左右に舵取りされる。左・右後輪3,3の上側を左・右フェンダ12,12で被覆し、左・右フェンダ12,12の間に座席13が設けられている。座席13下方のフロア14の前部右側には、左・右後輪3,3に制動する左・右ブレーキぺダル(図示省略)が設けられている。
【0011】
機体の後部には、昇降油圧シリンダ(図示省略)により上下回動するリフトアーム15,15が設けられている。このリフトアーム15,15の先端部と、ロワーリンク16,16との間を、リフトロッド17,17で連結し、リフトアーム15,15の上下回動により、ロワーリンク16,16の後端部に連結した作業機が昇降する構成である。
【0012】
次に、トラクタの伝動構成について説明する。エンジン8の回転動力は、主クラッチ(図示省略)を経由して、前後輪を駆動する走行駆動系と、作業機を駆動するライブPTO駆動系の2系統に分岐伝動される。走行伝動系の動力はミッションケース7前部の入力軸17に入力され、前後進切替装置18・主変速装置19・副変速装置20を経て後輪駆動軸21に伝達され、更に、後輪駆動軸21から後輪デフ装置22を経て左・右後輪3,3に伝達される。
【0013】
後輪駆動軸21の動力は、その前側部の前輪出力ギヤ23から倍速変速装置24を経て前輪駆動軸25にも伝動される。倍速変速装置24は、倍速変速軸26に遊嵌している等速第1ギヤ27、倍速第1ギヤ28と、前輪駆動軸25に設けている等速第2ギヤ29、倍速第2ギヤ30と、倍速変速軸26の軸心孔26aに摺動自在のシフト軸31、シフト軸31にピン連結されているキーシフト爪32により構成されている。
【0014】
倍速変速軸26の軸心孔26aには、シフト軸31を介してキーシフト爪32,32を軸方向にスライドのみ自在に嵌合し、キーシフト爪32,32を等速第1ギヤ27の係止溝27aあるいは倍速第1ギヤ28係止溝28aに係合可能に構成している。
【0015】
倍速変速装置24の近傍に倍速油圧ユニット33を配置している。この倍速油圧ユニット33は、図4にそのブロック図を示すように、油圧ポンプからの圧油を切り替える制御弁34、油圧の給排される油圧シリンダ35、油圧シリンダ35の圧油をタンクに還流制御する第2制御弁36等で構成されていて、倍速油圧ユニット33の制御弁34を切り替えて油圧シリンダ35を伸縮し、シフト軸31を介してキーシフト爪32,32を移動させる構成である。
【0016】
次に、倍速油圧ユニット33の作動構成について説明する。
ミッションケース7の側部には、倍速作動体37を軸支し、ハンドル10の操作によりパワステ装置38が操舵作動されると、倍速ロッド39を介して倍速作動体37が回動される構成である。ミッションケース7の側部には倍速アーム40の中間部を軸支すると共に、倍速油圧ユニット33の制御弁34に連係している倍速第2アーム41を軸支し、倍速アーム40の一端を倍速作動体37の作動溝37aに係合し、倍速アーム40と倍速第2アーム41との間をロッド42により連係している。
【0017】
また、操縦席13の近傍には倍速切替レバー43を設け、倍速切替レバー43を切替ロッド44・切替アーム46を介して倍速油圧ユニット33の第2制御弁36に連係し、倍速油圧ユニット33を作動状態としたり、非作動状態に切替可能に構成している。
【0018】
しかして、ハンドル10を左右に旋回操作し所定のハンドル切り角になると、倍速ロッド39、倍速作動体37、倍速アーム40、ロッド42、倍速第2アーム41を介して倍速油圧ユニット33の制御弁34が倍速側に切り替えられ、油圧シリンダ35が短縮する。すると、キーシフト爪32,32が倍速変速位置にシフトされ、倍速第1ギヤ28から倍速第2ギヤ30を経由して左・右前輪2,2に倍速動力が伝達され、左・右後輪3,3の回転速度よりも略倍速で駆動される「前輪倍速四駆」状態に変速される。
【0019】
また、旋回走行が終了しハンドル10が所定角度以下に操作され倍速第2アーム41が復帰回動すると、制御弁34が前輪等速四駆位置に切り替えられて油圧シリンダ35が伸長し、倍速変速装置24は等速伝動側に切り替えられる。すると、等速第1ギヤ27から等速第2ギヤ29を経由して左・右前輪2,2の回転速度が左・右後輪3,3の回転速度と同等の前・後輪等速四駆」状態に切り替えられる。
【0020】
なお、前輪出力ギヤ23を切り位置に操作すると、左・右後輪3,3だけを駆動する「後輪二駆」状態に切り替えられる。
従来装置は倍速変速装置24の切替装置は、ロッド・アーム等のメカ構成で、左・右前輪を操舵するナックルアームに連係する構成であり、構成が複雑で調整作業が煩わしく、調整具合により個体差が大きく、また、左・右前輪の旋回動が直接切替手段に連動され、切替時にはショックや音が大きく、安定しないものであった。
【0021】
しかし、この実施例では前記のように、倍速油圧ユニット33の油圧シリンダ35によりキーシフト爪32を作動して倍速変速装置24の変速をするので、キーシフト爪32を動かす力とスピードが油圧力により安定して得られ、切替時のショック及び音を小さくすることができる。
【0022】
また、倍速変速装置24の倍速油圧ユニット33の切替装置を、図5のように構成しても前記実施例と同様の効果が期待できる。ハンドル10のハンドル軸45にウォームギヤ46を設け、切替アーム47に設けたウォームホイール48をウォームギヤ46に噛み合わせている。そして、倍速油圧ユニット33のシフト軸31の端部にワイヤ49の後端部を連結すると共に、シフト軸31に後方に復帰しがちに作用するリターンスプリング50を装着し、ワイヤ49の前端部を切替アーム47に連結している。
【0023】
しかして、ハンドル10を左右に回動操作しトラクタを旋回すると、ウォームギヤ46とウォームホイール48との噛合により、切替アーム47が上下に回動し、ワイヤ49が引っ張られ、シフト軸31及びキーシフト爪32が倍速位置にシフトされ、前輪倍速四駆状態に切り替えられる。また、ハンドル10を直進走行に操作すると、リターンスプリング50によりシフト軸31及びキーシフト爪32が後側の等速位置に移動し、前輪等速四駆状態に切り替えられる。
【0024】
前記のように、ハンドル10により倍速油圧ユニット33を作動するので、ハンドル10の近い位置に倍速切替装置を配置できて作動誤差が少なくなり、また、ワイヤ49の長さ調節することにより切替タイミングを簡単に調整することができ、ハンドル10の切れ角の小さい代掻き作業時にも、前輪倍速四駆状態に変速することができる。
【0025】
次に、図6に基づきトラクタの旋回走行時のスロットル操作装置について説明する。
前フレーム5の下側には前車軸ケース4を取り付け、前車軸ケース4の左右両端部に左・右前輪2,2のケース部2a,2aを操舵自在に取り付け、左右の前輪アーム51,51を操舵ロッド52により連結し、ハンドル10の操作により左右の前輪アーム51,51の一方を操舵可能に構成している。操舵ロッド52の中間部にはスロットル連動ワイヤ53の一端を連結し、スロットル連動ワイヤ53の他端をスロットルアーム54に連結している。
【0026】
しかして、ハンドル10を左右に旋回操作すると、スロットル連動ワイヤ53を介してスロットルアーム54が前方のアイドル位置に回動し、エンジン8の回転を低下させ、走行速度を遅くしながら円滑に旋回することができる。
また、図7に示すように、操舵ロッド52の例えば右寄りにスロットル連動ワイヤ53の前端部を連結し、スロットル連動ワイヤ53を前フレーム5の外側に沿わせて配置し、インナーワイヤ53aに対するアウタワイヤ53bの調整部55を前フレーム5の側面に設けることにより、ワイヤの取付作業及び調整作業を容易化できる。
【0027】
また、スロットル連動ワイヤ53の取付構造を図8及び図9に示すように構成してもよい。前フレーム5の下側には前車軸ケース4を取り付け、前車軸ケース4の左右両端部に左・右前輪2,2のケース部2a,2aを取り付け、ケース部2a,2aから前側内方に向けて突出した左右の前輪アーム51,51に操舵ロッド52の両端部を連結し、ケース部2a,2aの後側内向きにハンドル10への操舵連結部2bを突出している。操舵ロッド52の例えば右寄りにスロットル連動ワイヤ53の前端部を連結し、前フレーム5の右側部側面に沿わせてスロットル連動ワイヤ53を配置し、インナーワイヤ53aに対するアウタワイヤ53bの調整部55を前フレーム5の右側部側面に設け、スロットル連動ワイヤ53の中途部を上方に迂回してその後端部を後方に向けて延出し、スロットルレバー54に連結する。しかして、スロットル連動ワイヤ53を短くしながら、ワイヤの取付作業及び調整作業を容易化することができる。
【0028】
また、図10に示すように、スロットル連動ワイヤ53の調整部55を取付プレート58に取り付けると共に、取付プレート58を前フレーム5の右側面に沿わせて前後方向に移動調節自在に構成し、操作レバー56及びロッド57を介して調整部55を前後方向に調節できる構成としてもよい。このように構成すると、作業時に操作レバー56を後側に操作し、取付プレート58を前側に移動調節してスロットル連動ワイヤ53の弛みを少なくすることができる。すると、作業時以外にはスロットル連動ワイヤ53が十分に引かれないので、スロットルレバー54が作動しなく路上走行等を円滑に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの全体側面図である。
【図2】要部の切断側面図である。
【図3】要部の切断側面図である。
【図4】油圧回路図である。
【図5】要部の側面図ロック図である。
【図6】要部の平面図である。
【図7】要部の平面図である。
【図8】要部の平面図である。
【図9】要部の側面図である。
【図10】要部の側面図である。
【符号の説明】
1 トラクタ
2 左・右前輪
3 左・右後輪
4 前車軸ケース
5 前フレーム
6 後車軸ケース
7 ミッションケース
8 エンジン
9 ボンネット
10 ハンドル
24 倍速変速装置
32 切替手段(キーシフト爪)
33 倍速油圧ユニット
34 制御弁
35 油圧シリンダ
Claims (1)
- エンジン8から左・右前輪2,2及び左・右後輪3,3への伝動経路中に倍速変速装置24を設けて前・後輪等速四駆状態及び前輪倍速四駆状態に変速可能な農用走行車両において、前記倍速変速装置24の前・後輪等速四駆状態及び前輪倍速四駆状態の切替手段を、油圧ポンプからの圧油を切り替える制御弁34及び油圧の給排される油圧シリンダ35からなる倍速油圧ユニット33により作動するように構成し、前記倍速油圧ユニット33の制御弁34を左・右前輪2,2の左右旋回操作に関連して前記倍速変速装置24を前・後輪等速四駆状態から前輪倍速四駆状態に切り替えるように構成したことを特徴とする農用走行車両の倍速変速装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002319959A JP2004155217A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | 農用走行車両の倍速変速装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002319959A JP2004155217A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | 農用走行車両の倍速変速装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004155217A true JP2004155217A (ja) | 2004-06-03 |
Family
ID=32801035
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002319959A Pending JP2004155217A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | 農用走行車両の倍速変速装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004155217A (ja) |
-
2002
- 2002-11-01 JP JP2002319959A patent/JP2004155217A/ja active Pending
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