JP2004152677A - 高強度超電導線材 - Google Patents

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征治 林
Hidefumi Kurahashi
秀文 倉橋
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Abstract

【課題】高磁場用の高強度超電導線材を提供する。
【解決手段】本発明は、多数の合金系超電導フィラメント束(3)を埋設し、且つ、良電導性の金属からなる安定化材(2)を有する超電導線材(1)であって、前記安定化材(2)としてAg含有量が20〜30重量%のCuAg合金を用いる事を特徴とする高強度超電導線材である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超電導線の構造に関するもので、特に、強度を改善された高磁場用の高強度超電導線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超電導現象は、電気抵抗“0”で大電流を流し得るという特徴を活かして、大電流送電や強磁場発生装置等の各方面での応用が広がりつつある。特に高分解能NMR用マグネット装置では、大電流通電により強磁場を発生させ、抵抗“0”を利用した永久電流運転を行うものであり、超電導でのみ実現可能な応用の典型である。
【0003】
又、NMR分光では、マグネットの発生磁場が高ければ高いほど分解能が高まるので、近年益々高磁場化の傾向にある。高磁場化を達成するには、単位断面積に出来るだけ多くの電流を流す事ができる様に、超電導線材に各種の工夫がなされている。特に、強磁場中で超電導線材に大電流が流れると、該線材には非常に大きな電磁力が作用する。この強大な電磁力が作用しても、該線材が破断して超電導性能が低下しない様に、該線材の一層の高強度化が要求されており、典型的な例では300MPa以上の0.2%耐力が要求されている。
【0004】
現在一般に使用されている超電導線材は、NbTi系合金とNb3Sn系合金であり、これらの臨界磁場(超電導特性を保持できる最高磁場)は、前者で略11T,後者で23Tである。従って、中低磁場領域ではNbTi系合金が使用され、高磁場領域ではNb3Sn系合金が使用されている。
【0005】
これら従来の超電導線材の構成を図5〜9によって以下に説明する。先ず、図5はNbTi合金系超電導線材51の断面概念図であり、純銅からなるマトリックス52の中にNbTi合金系からなる超電導フィラメント束53が多数埋設された構成となっている。
【0006】
このNbTi合金系超電導線材51の製法について図6によって説明する。図6は、典型的な超電導線材の製造法を示す工程図であり、先ず、工程(A)では、純銅(無酸素銅)のパイプ52a内に、予め用意されているNbTi合金のロッド55を挿入し、これを所定の減面率で静水圧押出その他の伸線手段によって伸線加工する事により、工程(B)に示している如き断面六角形のNbTi合金のフィラメント第1素線53aを得る。次に工程(C)に示す様に、予め用意されている純銅のパイプ52b内に前記NbTi合金のフィラメント第1素線53aを多数挿入し、所定の減面率で同様に伸線加工して、工程(D)に示した如き断面六角形のフィラメント第2素線53bを製造する。続いて、工程(E)に示している様に、該フィラメント第2素線53bを予め用意されている純銅のパイプ52c内に多数挿入して、これを所定の減面率で同様に伸線加工して、所定の断面形状に成形する。これにより前記図5に示した如き断面形状のNbTi合金系超電導線材51が得られる。即ち、上記製造工程は、3段階の伸線工程によって超電導線材を製造する方法であるので、前記フィラメント束53は、工程(D)のフィラメント第2素線53bが伸線されて形成されるものであるが、該フィラメント束53内のNbTi合金系フィラメント数をもっと増やしたい場合には、前述した伸線工程を更に増やして4段伸線或いは5段伸線が採用されている。尚、上述した如きNbTi合金系超電導線材の構成については、特許文献1に記載されている。
【0007】
又、上記純銅製のパイプ52a〜52cは、伸線加工工程において互いに接合して一体化され、上述の純銅のマトリックス52を形成する。この純銅マトリックス52の役割は、NbTi合金系の超電導フィラメント束53が、何らかのトラブルにより超電導特性を失った場合に、電流が抵抗値の低い純銅部分に分流して、線径の細いNbTi合金系超電導フィラメントの溶断を防止するための安定化材の役割を有するものであり、本例においては、NbTi合金のフィラメント部分以外は、全て安定化材で構成されている。
【0008】
次に、図7は、高磁場発生用に使用されるNb3Sn合金系超電導線材71の例を示す断面概念図であり、内部安定化線材と呼ばれるものである。同図において、該超電導線材は、線材中央に純銅からなる内部安定化材74が配置され、その外側にNb又はTaからなるバリア材76が配置され、その外側に多数のNb3Sn系合金の超電導フィラメント束73が埋設されたブロンズマトリックス77とからなっている。この構造の線材においても、前記超電導フィラメント束73が常電導に移行した際に、前記純銅からなる内部安定化材74に電流を分流して超電導フィラメントの溶断を防止するものである。
【0009】
尚、本例におけるNb3Sn合金系超電導線材71の製造は、前記図6に示した工程と略同様であるが、若干異なる部分もあるので、便宜上図6を用いて以下に簡単に説明する。
【0010】
前記図6において、工程(A)では、Nbロッド55を高錫ブロンズのパイプ52a内に挿入して所定の減面率で伸線加工する事により、工程(B)に示している如き断面六角形のフィラメント第1素線53aを得る。次に、工程(C)に示す様に、同様の高錫ブロンズのパイプ52b内に前記フィラメント第1素線53aを多数挿入し、所定の減面率で伸線加工して、工程(D)に示した如き断面六角形のフィラメント第2素線53bを製造する。続いて、工程(E)では、高錫ブロンズのパイプ52cの中央に、外周面をNb箔又はTa箔で被覆された純銅の内部安定化材或いはNbパイプ又はTaパイプ内に前記純銅の内部安定化材を配置し、その周囲に多数の前記フィラメント第2素線53bを挿入配置し、これを所定の減面率で伸線加工して所定の断面形状に成形した後、これを熱処理する事によってNbと高錫ブロンズ中の錫(Sn)とを反応させてNb3Sn合金を形成すると、前記図7に示した如き断面形状の超電導線材71が得られる。尚、フィラメント束73内のNb3Sn合金の超電導フィラメント数をもっと増やしたい場合には、伸線工程を増やして対応する事は前述の通りである。因みに、この様な方法でNb3Sn合金系超電導線材を製造する事は特許文献2に開示されている。
【0011】
次に、図8は、外部安定化材を用いたNb3Sn合金系の超電導線材81の断面概念図を示すもので、多数の超電導フィラメント束73を埋設したブロンズマトリックス87の外周部に、Nb又はTaからなるバリア86で画成された純銅の外部安定化材89を配置した構造のものである。この構造の線材においても、前記超電導フィラメント束83が常電導に移行した際に、前記純銅からなる外部安定化材89に電流を分流して超電導フィラメントの溶断を防止するものである。
【0012】
尚、本例におけるNb3Sn合金系超電導線材81の製造は、前記図7の超電導線材71の製造工程と略同様であるが、一部に異なる部分もあるので、以下に図6を用いて簡単に説明する。前記図6において、工程(A)〜(D)は、前記図7の場合と同一である。工程(E)において、本例では、パイプ52cを純銅のパイプとなし、このパイプ52cの内面に沿う様に、Nbパイプ或いはTaパイプを配置し、その内部に、前記フィラメント第2素線53bを多数挿入配置し、これを所定の減面率で伸線加工して所定の断面形状に成形した後、熱処理する事によってNbとブロンズ中の錫(Sn)とを反応させてNb3Sn合金を形成すると、前記図8に示した如き断面形状の超電導線材81が得られる。因みに、この様な方法でNb3Sn合金系超電導線材を製造する事は特許文献3に開示されている。
【0013】
次に、図9は、外部安定化材を用いたNb3Sn合金系の他の超電導線材91の断面概念図を示すもので、特に超電導線材の強度増強を図ったものであって、超電導線材の中心部に補強用のTa芯材100が配置され、その外面にNbバリア層101が設けられ、その外側に前述の多数の超電導フィラメント束73を埋設したブロンズマトリックス97が形成され、更にその外周部にNb又はTaからなるバリア96で画成された純銅の外部安定化材99を配置した構造のものである。この構造の線材においても、前記超電導フィラメント束73が常電導に移行した際に、前記純銅からなる外部安定化材99に電流を分流して超電導フィラメントの溶断を防止するものである。
【0014】
尚、本例におけるNb3Sn合金系超電導線材91の製造は、前記図7の超電導線材71の製造工程と略同様で有り、前記図6の工程(E)において、純銅のパイプ52cの中央に、外周面をNb箔で被覆されたTa芯材100を配置し、その周囲に多数の前記フィラメント第2素線53bを挿入配置し、これを所定の減面率で伸線加工して所定の断面形状に成形した後、熱処理してNbとブロンズ中のSnとの反応によるNb3Sn合金化を行わせるものである。因みに、この様な方法でNb3Sn合金系超電導線材を製造する事は特許文献4に開示されている。
【0015】
又、前記マトリックス材として、酸化物超電導線材の場合に銀銅合金を用いる事が特許文献5に記載されている。
【0016】
【特許文献1】
特開2000−113746号公報(段落0023の実施例1参照)
【特許文献2】
特許第3182978号公報(図4,5及び段落0024及び0025の実施例1参照)
【特許文献3】
特開平11−111084号公報(図6、段落0022〜0025の実施例1,2参照)
【特許文献4】
特開平10−255563号公報(図7、段落0024〜0028の実施例参照)
【特許文献5】
特開平6−44841号公報(請求項1,2参照)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の超電導線材におけるNb3Sn合金系超電導線材は、Nbとブロンズ中のSnとの反応を行わせるために、伸線加工の後、或いは巻枠に巻き取った後に、約700℃程度の温度で熱処理が行われる。この結果、構成部材は焼きなまされて柔らかくなり、特に、安定化材としての純銅の強度は低下する事になる。尚、線材の強度は、係る純銅の断面積中に占める割合にもよるが、熱処理により低下する事には変わりはない。以下に、前記図5,図7〜図9に示した構造の超電導線材についての試験例について説明する。
【0018】
図5に示した構造の純銅マトリックス2内にNbTi合金系超電導フィラメント束3を埋設した超電導線材1aと、図7に示した構造の内部安定化型のブロンズマトリックス7内にNb3Sn合金系フィラメント束3を埋設した超電導線材1bと、図8に示した構造の外部安定化型のブロンズマトリックス7内にNb3Sn合金系フィラメント束3を埋設した超電導線材1cと、図9に示した構造の内部強化外部安定化型のブロンズマトリックス7内にNb3Sn合金系フィラメント束3を埋設した超電導線材1dとを、夫々室温から冷却して超電導転移直前の略20Kに達した時点における、各線材の電気抵抗値の測定と引っ張り試験による0.2%耐力の測定を行った。その測定結果を表1に示す。尚、電気抵抗値は安定化材としての純銅部分の断面積を考慮して計算した値である。
【0019】
次の表1から分かる様に、電気抵抗値はいずれも5×10−9〜2×10−8程度であり、純銅の安定化材が十分機能を果たし、超電導状態が破壊されても純銅による分流作用が期待できる事が明らかである。一方、0.2%耐力の方は、NbTi合金系超電導線材(図5)で260MPa、内部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材(図7)で165MPa、外部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材(図8)で205MPa、Ta強化の内部強化外部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材(図9)で280MPaであり、高磁場用のNb3Sn合金系超電導線材では、図9の構造のものが、内部に補強芯材として配置されたTa芯線の効果により、比較的高い値が示されているが、これでも超高磁場用線材としては強度不足は否めず、更なる強度向上が期待されている。又、中央にTa芯線を配置する事は、単位断面積当たりの超電導フィラメントの数を減らす事になり、電流容量を減少させ、高磁場化に対するマイナス要因にもなっている。この様に、従来の合金系超電導線材では、線材強度の向上と臨界電流の向上とは、相反する事項となっており、両者を同時に向上させる事は不可能であった。
【0020】
【表1】
Figure 2004152677
【0021】
本発明は、上記問題点に鑑み、線材強度の向上と臨界電流の向上とを同時に達成する新規な構造の超電導線材の提供を目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであって、その特徴とするころは、安定化材として、従来の純銅に代えてCuAg合金を使用する点にある。
【0023】
具体的には、先ず、本発明の請求項1に記載の高強度超電導線材は、多数の合金系超電導フィラメント束を埋設し、且つ、良電導性の金属からなる安定化材を有する超電導線材であって、前記安定化材を、Ag含有量が20〜30重量%のCuAg合金で形成した高強度超電導線材である。このような構成によると、電気抵抗値は純銅と変わらず、純銅よりは強度の高い所定組成のCuAg合金を安定化材として採用する事により、超高磁場化への対応を可能にすると共に超電導状態が破壊された際の電流の分流効果を保持して超電導フィラメントの損傷を防止する事を可能にしている。
【0024】
又、請求項2に記載の高強度超電導線材は、請求項1において、前記合金系超電導フィラメント束がNbTi系合金又はNb3Sn系合金で形成され、該フィラメント束が前記CuAg合金製の安定化材からなるマトリックス中に多数埋設されてなるものである。即ち、安定化材としてのCuAg合金を、超電導フィラメント束が埋設されるマトリックス材に使用するものである。
【0025】
又、請求項3に記載の高強度超電導線材は、請求項1において、超電導線材の中心部に前記CuAg合金からなる内部安定化材が配置され、その外側にNb製又はTa製のバリア材が配置され、更にその外側にNb3Sn系合金の超電導フィラメント束を埋設したブロンズマトリックスが配置されているものである。即ち、Nb3Sn合金系超電導フィラメント束を埋設するマトリックス材は従来のブロンズを使用し、内部安定化材としてのみ前記CuAg合金を使用するものである。
【0026】
又、請求項4に記載の高強度超電導線材は、請求項1において、前記合金系超電導フィラメント束がNb3Sn系合金で形成され、該フィラメント束はブロンズマトリックス内に多数埋設された構成となっており、該ブロンズマトリックスの外側にNb製又はTa製のバリア材が配置され、その外側に前記CuAg合金からなる外部安定化材が配置されてなるものである。即ち、Nb3Sn合金系超電導フィラメント束を埋設するマトリックス材は従来のブロンズを使用し、外部安定化材としてのみ前記CuAg合金を使用するものである。
【0027】
又、請求項5に記載の高強度超電導線材は、請求項1において、前記超電導線材の中心部に内部安定化材兼補強材としてのCuAg合金が、その外側にNb製又はTa製の内側バリア材が、その外側にNb3Sn系合金の超電導フィラメント束が多数埋設されたブロンズマトリックスが、その外側にNb製又はTa製の外側バリア材が、更にその外側にCuAg合金からなる外部安定化材が、夫々配置された構造を有するものである。即ち、Ta補強型の超電導線材のTa芯線に代えて前記CuAg合金からなる内部強化芯材(内部安定化材を兼ねる)を配置し、更に外部安定化材として前記CuAg合金を使用するものである。
【0028】
又、請求項6に記載の高強度超電導線材は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、前記CuAg合金のAg含有量が22〜26重量%である。
【0029】
又、請求項7に記載の高強度超電導線材は、請求項6において、前記CuAg合金のAg含有量が24±1重量%である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を図面及び実施例に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る第1実施例を示すNbTi合金系超電導線材1の断面写真であり、前記従来例として記載した図5のNbTi合金系超電導線材51の改良に相当するものである。
【0031】
図1において、NbTi合金系超電導線材1は、NbTi合金系超電導フィラメント束3が、CuAg合金2の安定化材からなるマトリックス中に多数埋設された構造であり、その製造方法は、図5の線材における純銅部分をCuAg合金に置き換えれば、同一工程であるので重複説明は省略する。
なお、NbTi合金系超電導線材1の形状は、断面が略長方形状を有しているが、特に限定するものではなく、適宜、所望の形状に製造過程で成形すれば良いものである。
【0032】
次に、図2は、本発明に係る第2実施例を示すNb3Sn合金系超電導線材11の断面写真であり、前記従来例として記載した図7のNb3Sn合金系超電導線材71の改良に相当するものである。
【0033】
図2において、Nb3Sn合金系超電導線材11は、Nb3Sn合金系超電導フィラメント束13がブロンズマトリックス17内に多数埋設され、その中心部に内部安定化材としてのCuAg合金12が配置されている。該CuAg合金12と前記ブロンズマトリックス17との間には、Nb又はTaからなるバリア材16が配置され、画成された構造となっている。この超電導線材11の製造方法は、図7の線材における内部安定化材としての純銅74を前記CuAg合金12に置き換えれば、同一工程であるので重複説明は省略する。
なお、Nb3Sn合金系超電導線材11の形状は、断面が略真円形状を有しているが、特に限定するものではなく、適宜、所望の形状に製造過程で成形すれば良いものである。
【0034】
次に、図3は、本発明に係る第3実施例を示すNb3Sn合金系超電導線材21の断面写真であり、前記従来例として記載した図8のNb3Sn合金系超電導線材81の改良に相当するものである。
【0035】
図3において、Nb3Sn合金系超電導線材21は、Nb3Sn合金系超電導フィラメント束13がブロンズマトリックス27内に多数埋設されており、その外側である外周部には、Nb又はTaからなるバリア材26によって画成されたCuAg合金22からなる外部安定化材が配置された構造となっている。このNb3Sn合金系超電導線材21の製造方法は、図8の線材における外部安定化材としての純銅部分89を前記CuAg合金22に置き換えれば、同一工程であるので重複説明は省略する。
なお、Nb3Sn合金系超電導線材21の形状は、断面が略長方形状を有しているが、特に限定するものではなく、適宜、所望の形状に製造過程で成形すれば良いものである。
【0036】
次に、図4は、本発明に係る第4実施例を示すNb3Sn合金系超電導線材31の断面写真であり、前記従来例として記載した図9のNb3Sn合金系超電導線材91の改良に相当するものである。
【0037】
図4において、Nb3Sn合金系超電導線材31は、Nb3Sn合金系超電導フィラメント束13がブロンズマトリックス37内に多数埋設され、その内外周部には、Nb又はTaからなる内側バリア材36と外側バリア材38とが配置され、前記内側バリア材36によって画成された中心部に補強材兼内部安定化材である前記CuAg合金からなる内部強化芯線32aが配置され、更に前記外側バリア材38で画成された最外層には外部安定化材としてのCuAg合金32bが配置された構造となっている。
【0038】
即ち、図9の中心部に配置されている補強材としてのTa芯線100に代えてCuAg合金32aが補強材兼内部安定化材として配置され、最外層には、純銅製の外部安定化材99に代えてCuAg合金製の外部安定化材32bが配置された構造となしたものである。又、その製造方法は、図9の線材におけるTa芯線100に代えてCuAg合金からなる内部強化芯線32aを使用し、外部安定化材99としての純銅部分を前記CuAg合金に置き換えれば、同一工程であるので重複説明は省略する。
なお、Nb3Sn合金系超電導線材31の形状は、断面が略長方形状を有しているが、特に限定するものではなく、適宜、所望の形状に製造過程で成形すれば良いものである。
【0039】
次に、上記図1〜図4に示した構造の本発明に係る超電導線材1,11,21,31についての性能試験例について説明する。
【0040】
図1に示した構造のCuAg合金2のマトリックス内にNbTi合金系超電導フィラメント束3を埋設したNbTi合金系超電導線材1と、図2に示した構造のブロンズマトリックス17内にNb3Sn合金系フィラメント束13を埋設し、且つ内部安定化材としてCuAg合金12を使用した内部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材11と、図3に示した構造のブロンズマトリックス27内にNb3Sn合金系フィラメント束13を埋設し、その外部に外部安定化材としてのCuAg合金22を配置した外部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材21と、図4に示した構造のブロンズマトリックス37内にNb3Sn合金系フィラメント束13を埋設し、その外側に外部安定化材としてのCuAg合金32bを配置し、更に中心部にも補強材兼内部安定化材である内部強化芯線32aとしてのCuAg合金を配置したCuAg合金補強内部強化外部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材31と、を夫々室温から冷却して超電導転移直前の略20Kに達した時点における各線材の電気抵抗値の測定と引っ張り試験による0.2%耐力の測定を行った。その測定結果を下記の表2に示す。尚、使用したCuAg合金の組成はAg24%−Cu76%である。
【0041】
【表2】
Figure 2004152677
【0042】
上記の表2から分かる様に、電気抵抗値はいずれも1.5×10−8〜3×10−8程度であり、電流の分流、即ち安定化材としての機能は十分に果たせる事が分かる。
【0043】
又、0.2%耐力は、NbTi合金系超電導線材1(図1)で305MPa(図5の約1.2倍)、内部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材11(図2)で290MPa(図7の約1.8倍)、外部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材21(図3)で308MPa(図8の約1.5倍)、内部強化外部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材31(図4)で360MPa(図9の約1.3倍)である。
【0044】
従って、超高磁場用に要求されている0.2%耐力は300MPa以上であるため、図1のNbTi合金系超電導線材1および図3,4のNb3Sn合金系超電導線材21,31であればクリアできる事が判明した。特に、図4のCuAg合金からなる内部強化芯線32aによる内部強化外部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材31では、従来型線材の最高値である図9のTa強化型のNb3Sn合金系超電導線材91に比べて約30%も上回る強度が実現されている。又、図2の線材の強度向上率が最大であるが、この事実からも、CuAg合金が単に内部安定化材として機能するだけではなく、内部強化用の芯線の機能を有する事も理解される。
【0045】
以上の各実施例では、Ag24%のCuAg合金を使用した例であるが、本発明において使用するCuAg合金の組成は、Ag含有量は20〜30%の範囲での含有が必要であり、これより少ないと強度向上効果が小さくなり好ましくない。又、30%を越えると強度が低下する傾向が認められるのみならず、高価なAgの無駄使いにもなる。従って、好ましいAgの範囲は22〜26%で、最も好ましいのは24±1%である。特に24±1%の範囲で、強度的には最高値を示す事になる。
【0046】
又、上記説明は、典型的な4種の合金系超電導線材1,11,21,31の構造についての説明であるが、本発明は上記の各実施例に限定されることなく、各種合金系の超電導線材に適用できるものである事はいうまでもない。
【0047】
因みに、本発明に類似するものとして、特許文献5に記載の技術がある。この技術は、酸化物系超電導線材において、酸化物層の団塊化や断線を防止する目的の元に、酸化物系超電導材料との組み合わせで銀銅合金基材を使用する点に特徴を有するものであって、本発明における超高磁場化に対応する高強度線材とは、基本思想において相違している。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明によれば、従来の安定化材としての純銅に代えてCuAg合金を使用する事により、従来から問題となっていた超電導線材の高強度化と臨界電流値の向上という相反する問題を一挙に解決する事ができ、超高磁場化への要求に対応可能となり、NMR分光においては高解像度化が可能となって、科学技術の発展に大きく寄与する事が期待される。
【0049】
又、従来のマトリックス材としての純銅に代えてCuAg合金を使用した場合には、該CuAg合金はマトリックス材の機能のみならず、補強材としての機能をも有する事になり、線材強度の大幅向上に寄与する事になる。
【0050】
又、従来のTa芯線を内部に配置する等の超電導電流の流れる有効断面積を減じさせる方策を取る事なく、安定化材や内部強化芯線をCuAg合金に置き換えるだけで高強度の超電導線材を得る事が可能となり、その製造工程や製造設備も従来のものをそのまま使用する事ができるので、新たな設備投資を行う必要もなく、容易に高強度の線材を製造する事が可能となる。
【0051】
特に、本発明を内部強化外部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材における内部強化芯線としてCuAg合金を用いた図4に示した構造の超電導線材においては、このCuAg合金は内部安定化材を兼ねているので、超電導状態が破壊された場合においては、この内部強化芯線部分も安定化材として機能し、電流分流の役割を果たすので、超電導線フィラメントの安全性が一層向上する事になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例を示す超電導線材の断面写真である。
【図2】本発明に係る第2実施例を示す超電導線材の断面写真である。
【図3】本発明に係る第3実施例を示す超電導線材の断面写真である。
【図4】本発明に係る第4実施例を示す超電導線材の断面写真である。
【図5】従来の超電導線材の例を示す断面概念図である。
【図6】超電導線材の製造工程を示す概念図である。
【図7】従来の超電導線材の他の例を示す断面概念図である。
【図8】従来の超電導線材の更に他の例を示す断面概念図である。
【図9】従来の超電導線材の更に他の例を示す断面概念図である。
【符号の説明】
1 NbTi合金系超電導線材
2 CuAg合金(安定化材)
3 フィラメント束
11 Nb3Sn合金系超電導線材(内部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材)
12 CuAg合金(安定化材)
13 フィラメント束
16 バリア材
17 ブロンズマトリックス
21 Nb3Sn合金系超電導線材(外部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材)
22 CuAg合金(安定化材)
26 バリア材
27 ブロンズマトリックス
31 Nb3Sn合金系超電導線材(内部強化外部安定化型Nb3Sn合金系超電導線材)
32a 内部強化芯線(CuAg合金)
32b CuAg合金(安定化材)
36 バリア材(内側バリア材)
37 ブロンズマトリックス
38 バリア材(外側バリア材)

Claims (7)

  1. 多数の合金系超電導フィラメント束(3,13)を埋設し、且つ、良電導性の金属からなる安定化材(2,12,22,32a,32b)を有する超電導線材(1,11,21,31)であって、
    前記安定化材(2,12,22,32a,32b)を、Ag含有量が20〜30重量%のCuAg合金で形成した事を特徴とする高強度超電導線材。
  2. 前記合金系超電導フィラメント束(3)がNbTi系合金又はNb3Sn系合金で形成され、該フィラメント束(3)が前記CuAg合金製の安定化材からなるマトリックス(2)中に多数埋設されてなる請求項1に記載の高強度超電導線材。
  3. 前記超電導線材(11)の中心部に前記CuAg合金からなる内部安定化材(12)が配置され、その外側にNb製又はTa製のバリア材(16)が配置され、更にその外側に前記Nb3Sn系合金の超電導フィラメント束(13)を埋設したブロンズマトリックス(17)が配置されている請求項1に記載の高強度超電導線材。
  4. 前記合金系超電導フィラメント束(13)がNb3Sn系合金で形成され、該フィラメント束(13)はブロンズマトリックス(27)内に多数埋設された構成となっており、該ブロンズマトリックス(27)の外側にNb製又はTa製のバリア材(26)が配置され、その外側に前記CuAg合金からなる外部安定化材(22)が配置されてなる請求項1に記載の高強度超電導線材。
  5. 前記超電導線材(31)の中心部に内部安定化材兼補強材としてのCuAg合金(32a)が、その外側にNb製又はTa製の内側バリア材(36)が、その外側にNb3Sn系合金の超電導フィラメント束(13)が多数埋設されたブロンズマトリックス(37)が、その外側にNb製又はTa製の外側バリア材(38)が、更にその外側にCuAg合金からなる外部安定化材(32b)が、夫々配置された構造を有する請求項1に記載の高強度超電導線材。
  6. 前記CuAg合金(2,12,22,32a,32b)のAg含有量が22〜26重量%である請求項1乃至5のいずれかに記載の高強度超電導線材。
  7. 前記CuAg合金(2,12,22,32a,32b)のAg含有量が24±1重量%である請求項6に記載の高強度超電導線。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103310914A (zh) * 2013-07-02 2013-09-18 西北有色金属研究院 一种高强MgB2线材的制备方法
CN111599530A (zh) * 2020-05-15 2020-08-28 西部超导材料科技股份有限公司 获取超导线材铜槽线加工率的方法

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