JP2004150011A - 横架材の接合装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】横架材1の端面に係合溝7を縦設し、該係合溝7の相対する側壁7´の内側に補強板2を重ね合わせて前記横架材1に止着する。そして横架材1を通じて前記補強板2,2間に掛止杆5を架設し、この掛止杆5を嵌合掛止する切欠19を上端に備えた一対の側板17,17を取付板16の両側に相対設して接合金具4を構成し、該接合金具4を、前記取付板16において柱3の側面にボルト14で固着する。また、この接合金具4の前記側板17には、前記切欠19に前記掛止杆5を掛止して前記係合溝7に前記側板17を前記補強板2,2間に介在させて係合したとき、前記横架材1および前記補強板2を通じて嵌挿する接合杆嵌挿用の透孔12Aを設ける。
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、接合金具を用いた横架材の柱に対する接合装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、接合金具を用いた横架材(梁や桁)の接合装置としては、柱の側面に設けた受止穴に接合金具のプレート状の本体板の基端に突設した掛止材を嵌合掛止し、組付けて前記本体板を柱側面より突出させ、この本体板に横架材の端部を端面に設けたスリットを係合させて組合わせるようにして前記スリットを通じて横架材の端部に予め横設した掛止杆を前記本体板に掛止して仮接合した後、横架材を通じて本体板に接合杆を嵌挿して接合するようにした構造のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−295799号公報(第3頁、図1および図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来例は、接合金具の掛止材を受止するために柱側に特殊形状の受止穴を形成しなければならず、その加工が従来のほぞ接合のほぞ等と同様にきわめて煩雑で、接合金具を用いることによる利点である木材の加工上の簡便さを期待できない。また、柱側に組付けた接合金具のプレート体(プレート状本体)で横架材を受支する構成を採るため、いわば横架材の幅方向の1点で該横架材を受支することになるから、地震等の外力の付与に対処するにはその接合状態は必ずしも安定したものとはいえない。
【0005】
本発明は、接合金具を用いることによる利点を生かし、横架材の安定した接合状態を得るべく創案したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
横架材の端面に係合溝を縦設し、該係合溝の相対する側壁の内側に補強板を重ね合わせて前記横架材に止着し、該横架材を通じて前記補強板間に掛止杆を架設し、この掛止杆を嵌合掛止する切欠を上端に備えた一対の側板を取付板の両側に相対設して構成した接合金具を、前記取付板において柱の側面にボルトで固着すると共に、この接合金具の前記側板には、前記切欠に前記掛止杆を掛止して前記係合溝に前記側板を係合したとき、前記横架材および前記補強板を通じて嵌挿する接合杆嵌挿用の透孔を設けた構成としたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
図面は本発明に係る横架材の接合装置の実施形態を示し、図1は縦断面図、図2は横断面図、図3は図1の1A−1A線断面図、図4は補強板の斜視図、図5は接合金具の斜視図、図6は第二実施形態の横断面図、図7は第三実施形態の横断面図、図8は第四実施形態の横断面図、図9は掛止杆又は接合杆と通しボルトとの関係に係る他の実施形態の説明図、図10は掛止杆又は接合杆と通しボルトとの関係に係るさらに他の実施形態の説明図である。
【0008】
各実施形態は、横架材(梁や桁)1側に補強板2を、柱3側に接合金具4をそれぞれ止着し、補強板(鋼材で構成する)2と接合金具4を掛止杆5と接合杆6とで組付けるようにして前記横架材1を柱3に接合するものである。
【0009】
横架材1は端面に縦設した係合溝7を備え、該係合溝7内に収納するようにして一対の前記補強板2,2を止着、組付けたもので、係合溝7を方形状の大径部7aと該大径部7aの奥壁の両隅部にスリット状にして連通させた細径部7b,7bとで構成し、この係合溝7の細径部7bに基端側を挟挿するようにして補強板2を係合溝7(大径部7a)の側壁7´に重ね合わせ、補強板2の基端側に縦方向に並べて設けた各第一透孔8に、前記横架材1に前記係合溝細径部7bを横切るようにして前記第一透孔8と一致するように設けた第一嵌挿孔9を通じて固定杆10を打込み、嵌挿して一対の補強板2,2を係合溝7内において空隙11を存して組付けたものである。
【0010】
また、横架材1に組付けた補強板2は、後端側に縦方向に並べて設けた前記第一透孔8,8,8と同様に縦方向に並べて前端側に設けた第二透孔12,12A,12Aを備え、これらを前記係合溝7の大径部7a部に配置して前記横架材1の係合溝大径部7a位置に前記第一嵌挿孔9,9,9と同様に縦方向に並べて設けた第二嵌挿孔13,13A,13Aと一致させ、最上位の第二透孔12に該第二透孔12と一致する最上位の第二嵌挿孔13を通じて前記掛止杆5を嵌挿して補強板2,2間に架設するようにして横架材1の係合溝大径部7a部位である先端部上部に横設してある。
【0011】
前記柱3は、前記第二透孔12,12A,12Aやこれらと一致する第二嵌挿孔13,13A,13Aと対応するようにして縦方向に沿う中央に並べて設けた貫通孔15,15,15を備え、該貫通孔15に貫通させた通しボルト14を利用してその側面に接合金具4を止着したものである。
【0012】
接合金具4は、取付板16の両側に一対の側板17,17を相対設して成り、取付板16には前記柱3に設けた貫通孔15,15,15(該貫通孔15に貫通させた通しボルト14,14,14)のそれぞれと一致するようにして取付孔18,18,18を縦方向に並べて設ける一方、側板17には上端の切欠19と該切欠19の直下に位置するようにして一対の接合孔20,20を設け、切欠19を補強板2に設けた上位の前記第二透孔12と、接合孔20,20を他の第二透孔12A,12Aと一致するように設けて構成したものである。
【0013】
また、接合金具4は、取付板16に設けた取付孔18,18,18のそれぞれに前記柱3の側面より前記貫通孔15,15,15を利用して予め突出させた前記通しボルト14の先端を挿通させるようにして柱3に組合わせ、通しボルト14先端にワッシャー21を介してナット22を螺合締付けて柱3側面に固着したもので、柱3に対する接合金具4の、この取付け状態にあって、側板17に設けた切欠19および一対の接合孔20,20のそれぞれに対応して前記通しボルト14の先端が下側に近接して配置してある。
【0014】
そして、補強板2,2およびこれらに架設するようにして配した掛止杆5を組付けた横架材1端部を、通しボルト14およびナット22によって柱3の側面に固着した接合金具4上に位置させて降下させると、接合金具4を係合溝7すなわち補強板2,2間の空隙11内に相対的に嵌合しつつ該横架材1は降下し、この降下に伴って切欠19に掛止杆5が嵌合して切欠19内を降下し、ついには、切欠19の下縁で掛止杆5は受支され、該掛止杆5を組付けた横架材1は柱3に仮接合されることになる(このとき、掛止杆5は補強板2の第二透孔12にも通してあるので、該掛止杆5に横架材1の全荷重が第二嵌挿孔13部において負荷されることはなく、従って、補強板2は、この仮接合状態にあっても横架材1の第二嵌挿孔13部からの損傷[裂傷]を防ぎ、補強材として機能する)。
【0015】
この仮接合状態にあって、柱3側である接合金具4の側板17に設けた一対の接合孔20,20と、横架材1側である補強板2に設けた下側の一対の第二透孔12A,12Aおよびこれに一致させた横架材1の第二嵌挿孔13A,13Aは互いに一致した位置に配するようにしてあるから、これらに一方の第二嵌挿孔13A側から前記接合杆6を打込み嵌挿することによって横架材1は柱3に接合され、実施形態を適用した横架材の接合状態を得られる。
【0016】
なお、柱3側である接合金具4の接合孔20,20の柱3側面からの離開距離より、横架材1側である第二透孔12A,12A(補強板2に設けた)や第二嵌挿孔13A,13Aの横架材1端面からの離開距離を短かくしておくと接合杆6をこれらに打込んで嵌挿する際に、横架材1が柱3方向に移動する引寄せ効果を期待でき、また、切欠19を下縁方向に柱3側に漸次近づくように傾斜させると、掛止杆5がその傾斜に沿って移動することになるから、やはり、引寄せ効果を期待できる。
【0017】
【第一実施形態】
図1乃至図5で示す第一実施形態は、補強板2の前端側に断面半円状の屈曲部片2aを設け、該屈曲部片2aが圧接して弾性変形するように接合金具4の相対する側板17,17の基部側である取付板16側を基部側から先端側方向に漸次互いに離開する平面視傾斜上の受圧部17aと成し、また、側板17,17の上端を取付板16より上方に突出させて相対する方向に折り曲げて案内部17b,17b´を設けたものである。
【0018】
この第一実施形態にあっては、横架材1の端部を柱3に固着した接合金具4の直上に位置させて降下させると、接合金具4の側板17の案内部17b,17b´の存在によって補強板2,2間すなわち空隙11内に接合金具4を係合しやすく、その作業を円滑に行うことができる。また、横架材1の端部を接合金具4に沿って降下させて掛止杆5を切欠19に係合受支させての仮接合時に、補強板2側の屈曲部片2aが受圧部17aを押圧して両者間に弾性が作用するので補強板2と接合金具4はよく密接してガタ付きがなく、次段の接合杆6の打込み操作などを円滑に行うことができる。
【0019】
【第二実施形態】
図6で示す第二実施形態は、第一実施形態の屈曲部片2aに代えて補強板2の前端を直角状に折り曲げた折曲部片2a´と突条縁2cを設け、これらで受圧部17aを押圧して補強板2と接合金具4をよく密接させて第一実施形態と同様の効果を期待するもので、残余の点は第一実施形態と同様である。
【0020】
【第三実施形態】
図7で示す第三実施形態は、接合金具4の側板17全体を、第一、第二実施形態の側板受圧部17aのように平面視傾斜状と成し、これに第二実施形態と略同様に形成した折曲部片2a´と突条縁2cを圧接させるようにして第一実施形態と同様のガタつき防止効果を期待するものである(突条縁2cを第二実施形態のものより突出量を大きくしてある)。
【0021】
残余の点は第二実施形態と同様である。
【0022】
【第四実施形態】
図8で示す第四実施形態は、補強板2と接合金具4の側板17を共に平板状と成して構成し、側板17の外面間の離開幅と補強板2の内面間すなわち前記空隙11幅をほぼ一致させるようにして両者間のガタつきを防いだものとし、残余の点は第一乃至第三の各実施形態と同様である。
【0023】
【他実施形態】
なお、図9および図10は、掛止杆5又は接合杆6と通しボルト14との関係の説明図を示し、図9は掛止杆5又は接合杆6を通しボルト14と接する直上に配置して横架材1の荷重を掛止杆5や接合杆6を介して通しボルト14によっても受けるようにしてより強固な接合状態を得られるようにしたものである。
【0024】
図10の場合は、掛止杆5又は接合杆6を図9のようにするのと同時に、ナット22と接する位置に配してナット22の緩み止めも機能させようとしたものである。
【0025】
いずれにしても、掛止杆5や接合杆6は通しボルト14とナット22との接触位置(図9や図10)に在ることが望ましく、接触位置に存することにより、前記の通り接合強度の優れた装置を得られると共に、図1乃至図4の実施形態で掛止杆5や接合杆6として用いたドリフトピンの、接合金具側板17に設けた切欠19又は接合孔20や補強板2に設けた第二透孔12又は12A或いは横架材1に設けた第二嵌挿孔13又は13Aを通じての嵌挿打込み操作時における当該ドリフトピンの案内材にもなるのである。
【0026】
図9や図10で示す掛止杆5又は接合杆6と通しボルト14との関係は、柱3側の通しボルト14を貫通させる貫通孔15と掛止杆5や接合杆6を貫通させる前記接合孔20(又は切欠19)、第二透孔12(又は12A)および第二嵌挿孔13(又は13A)が互いに当該関係位置に存することを前提とすることは勿論である。また、掛止杆5と接合杆6の全部がそれぞれ通しボルト14やナット22との配置関係で図9や図10の状態になくとも良く、その一部が図9や図10の状態であっても良い。
【0027】
図9や図10は、第一乃至第四の各実施形態のそれぞれに適用できることはいうまでもない。
【0028】
【発明の効果】
本発明は前記の通りの構成であるから、木材側に複雑な加工を施こす必要がなく、従って、木材に対する金具の組付けが簡単な、斬新な構造の接合装置を提供できる。また、掛止杆や接合杆を介する横架材の荷重は、横架材の幅方向の2個所で接合金具に負荷されるから安定した接合状態を得られ、さらに、補強板を横架材側に、接合金具(の側板)を柱側に組付けたものであるから、柱と横架材の相対的な動きを原因とする横架材内の接合金具による横架材の損傷を補強板によって防止でき、全体として耐久的な横架材の接合装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦断面図。
【図2】横断面図。
【図3】図1の1A−1A線断面図。
【図4】補強板の斜視図。
【図5】接合金具の斜視図。
【図6】第二実施形態の横断面図。
【図7】第三実施形態の横断面図。
【図8】第四実施形態の横断面図。
【図9】掛止杆又は接合杆と通しボルトとの関係に係る他の実施形態の説明図。
【図10】掛止杆又は接合杆と通しボルト関係に係るさらに他の実施形態の説明図。
【符号の説明】
1 横架材
2 補強板
3 柱
4 接合金具
5 掛止杆
7 係合溝
16 取付板
17 側板
19 切欠
Claims (1)
- 横架材の端面に係合溝を縦設し、該係合溝の相対する側壁の内側に補強板を重ね合わせて前記横架材に止着し、該横架材を通じて前記補強板間に掛止杆を架設し、この掛止杆を嵌合掛止する切欠を上端に備えた一対の側板を取付板の両側に相対設して構成した接合金具を、前記取付板において柱の側面にボルトで固着すると共に、この接合金具の前記側板には、前記切欠に前記掛止杆を掛止して前記係合溝に前記側板を係合したとき、前記横架材および前記補強板を通じて嵌挿する接合杆嵌挿用の透孔を設けた、横架材の接合装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002312873A JP2004150011A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 横架材の接合装置 |
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- 2002-10-28 JP JP2002312873A patent/JP2004150011A/ja active Pending
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彰国社 編, 建築大辞典, vol. 第1版第10刷, JPN4006024264, 20 August 1987 (1987-08-20), JP, pages 1147頁, ISSN: 0000800632 * |
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