JP2004149725A - 炭素繊維チョップドストランド - Google Patents

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Yuki Onishi
祐輝 大西
Tadayuki Aoyama
忠幸 青山
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Teijin Ltd
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Abstract

【課題】集束性に優れ、炭素繊維強化樹脂を製造する場合、各種のマトリックス樹脂との接着性が優れ、各種の汎用エンジニアリングプラスチックや汎用プラスチック強化用として有用な汎用性に優れた炭素繊維チョップドストランドを提供する。
【解決手段】サイズ剤を用いて集束された炭素繊維チョップドストランドであって、該チョップドストランドのサイズ剤付着量が1.5〜5.0質量%で、該チョップドストランドの示差走査熱量計による測定において、発熱量10〜50J/g、発熱開始温度が200℃以下の発熱ピークを示す炭素繊維チョップドストランド。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、集束性に優れたチョップドストランドに関する。更に詳しくは、熱可塑性樹脂をマトリックスとする高強度の炭素繊維強化樹脂を製造することのできる炭素繊維チョップドストランドに関する。
【0002】
【従来の技術】
チョップドストランドは、繊維束を所定長さに切断した補強用繊維束である。チョップドストランドは、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする複合材料の製造等に用いられ、チョップドストランドを用いて、シート・モールディング・コンパウンド(SMC)法、バルク・モールディング・コンパウンド(BMC)法、ハンドレイアップ法等により複合材料が製造される。
【0003】
また、炭素繊維チョップドストランドは、熱可塑性樹脂、特にエンジニアリングプラスチックをマトリックス樹脂とする複合材料の製造にも多用される。
【0004】
かかる炭素繊維チョップドストランドは、通常、長さ1〜10mm、フィラメント数3,000本(3K)乃至50,000本(50K)程度の束状に形成してある。この炭素繊維チョップドストランドは、樹脂ペレットあるいは樹脂パウダーとともに押出機で溶融混練してペレット化しておき、このペレットを射出成形することによって複合材料を製造するのが一般的である。
【0005】
チョップドストランドは、ペレット製造用の押出機に定量的にかつ安定的に供給できるように、種々のサイズ剤により集束されている。例えば、にはエポキシ樹脂をサイズ剤に用いることが提案されている。しかしながらエポキシ樹脂系サイズ剤は集束性の点で不十分である。
【0006】
また、サイズ剤にウレタン樹脂を用いることも提案されている。ウレタン樹脂は靭性に優れるため、ウレタン樹脂を用いるこのようなサイズ剤は、集束性については充分機能する。しかし、これらサイズ剤はマトリックス樹脂と炭素繊維との接着性について十分に考慮がされていないため、複合材料における炭素繊維の補強効果は不十分である。
【0007】
また、炭素繊維チョップドストランドとポリアミド樹脂強化目的に、ポリアミド樹脂をサイズ剤に用い、マトリックス樹脂との接着性を向上させることが提案されている(特許文献1)。しかし、この場合マトリックス樹脂がポリアミド樹脂の場合以外には接着性向上効果が少ない。
【0008】
また、スーパーエンジニアリングプラスチックの強化用の目的に150〜350℃に発熱ピークを有する炭素繊維のチョップドストランドを使用することが提案されている(特許文献2)。しかし、マトリックス樹脂が成形温度が高いスーパーエンジニアリングプラスチックである場合は、スーパーエンジニアリングプラスチックは耐熱性があるため、充分接着性向上効果があるが、広く使用されている汎用エンジニアリングプラスチックや汎用プラスチックにおいては、スーパーエンジニアリングプラスチックほど接着強度向上効果が現れにくく、場合によりマトリックス樹脂の熱分解を招き、この場合は得られる複合材料の物性を低下させる問題がある。
【0009】
【特許文献1】
特開昭53−106752号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開平9−105080号公報(請求項1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は上記問題を解決するため種々検討しているうちに、示差走査熱量計による熱分析において特定の発熱パターンを示すチョップドストランドが集束性に優れ、かつこれを用いて複合材料(炭素繊維強化樹脂)を製造する場合、各種のマトリックス樹脂との接着性に優れた性能を示し、その結果各種の汎用エンジニアリングプラスチックや汎用プラスチックの強化用として有用であることを知得し本発明を完成するに至ったもので、その目的とするところは、上記問題を解決する炭素繊維チョップドストランドを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
【0012】
〔1〕 サイズ剤を用いて集束された炭素繊維チョップドストランドであって、該チョップドストランドのサイズ剤付着量が1.5〜5.0質量%で、該チョップドストランドの示差走査熱量計による測定において、発熱量10〜50J/g、発熱開始温度が200℃以下の発熱ピークを示す炭素繊維チョップドストランド。
【0013】
〔2〕 嵩密度が300g/L以上である〔1〕に記載の炭素繊維チョップドストランド。
【0014】
〔3〕 サイズ剤の主成分がポリアミド樹脂である〔1〕又は〔2〕に記載の炭素繊維チョップドストランド。
【0015】
〔4〕 炭素繊維チョップドストランドを構成する炭素繊維の比表面積がKr−BET多点法による測定で0.2〜0.6m/gである〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の炭素繊維チョップドストランド。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
【発明の実施の態様】
本発明の炭素繊維チョップト゛ストランドは所定長に切断された炭素繊維ストランドにサイズ剤を1.5〜5.0質量%付着してなる。
【0018】
サイズ剤の付着量が1.5質量%未満の場合はストランドの集束性が劣る。更に、これを用いて複合材料を製造する場合、各種マトリックス樹脂との接着性が不足する。一方、サイズ剤の付着量が5.0質量%を超える場合は、これを用いて複合材料を製造する場合、炭素繊維の分散性が劣るので好ましくない。
【0019】
本発明の炭素繊維チョップドストランドは、長さ1〜10mm、好ましくは3〜8mm、炭素繊維径5〜10μmの炭素繊維を12000〜50000本集束してなるものが好ましい。
【0020】
本発明の炭素繊維チョップドストランドは、示差走査熱量計を用いて不活性雰囲気で前記炭素繊維チョップドストランドの熱分析をする場合、発熱量10〜50J/g、発熱開始温度が200℃以下の発熱ピークを示す。
【0021】
発熱ピークが現れる理由は、現在のところ充分解明されていないが、炭素繊維表面の官能基とサイズ剤とが化学的に反応することに起因すると考えられる。本発明炭素繊維チョップドストランドと、熱可塑性樹脂とを用いて複合材料を製造する場合、この発熱により炭素繊維極近傍のマトリックス樹脂が変性し、炭素繊維とマトリックス樹脂との濡れ性を高めるものと考えられる。
【0022】
発熱量が10J/g未満の場合はマトリックス樹脂の炭素繊維への濡れ性が十分に改善されず、アイゾット衝撃値や曲げ強度等で代表される各種物性値で示される好ましい複合材料物性が得られない。一方、発熱量が50J/gを超える場合は、マトリックス樹脂の分解が促進され、やはり満足な複合材料物性が得られない。
【0023】
炭素繊維チョップドストランドが主に使用されるマトリックス樹脂の成形温度は通常200〜300℃であるので、DSC曲線のベースラインからの立ち上がり点である発熱開始温度が200℃を超える炭素繊維チョップドストランドは成形時に発熱が起りにくく、この発熱によるマトリックス樹脂との濡れ性の改善が起り難くなるので、好ましくない。
【0024】
本発明において、炭素繊維チョップドストランドの製造に用いる炭素繊維は、特に制限がなく、各種の公知の炭素繊維、例えばレーヨン、ポリアクリロニトリル、ピッチ、リグニン、炭化水素ガスを用いて製造された炭素繊維や黒鉛質繊維等を用いることが出来る。
【0025】
炭素繊維チョップドストランドの製造に用いる炭素繊維ストランドのフィラメント構成本数は特に限定されないが、コスト面や成形加工時の取扱い性の点で12,000〜50,000が好ましい。
【0026】
炭素繊維径は特に限定されないが、コスト面や性能面の点で5〜10μmが好ましい。
【0027】
炭素繊維チョップドストランドの製造原料である炭素繊維ストランドは、それ自体公知の各種炭素繊維の製造方法により製造される。炭素繊維は、その製造工程において、炭素化処理終了後表面処理を施すことが好ましい。この処理を施すことにより得られる炭素繊維チョップドストランドのマトリックス樹脂に対する接着性が改良される。
【0028】
かかる表面処理は、液相処理、気相処理などを挙げることができる。本発明においては、生産性、処理の均一性、安定性等の観点から、液相電解表面処理が好ましい。
【0029】
炭素繊維の表面処理の程度を表す指標としては、X線光電子分光法(XPS)により測定される炭素繊維の表面酸素濃度比O/Cを用いることが好ましい。本発明においては、O/Cは次に記載する方法に従って求める。即ち、日本電子(株)製X線光電子分光器ESCA JPS−9000MXの測定室内を減圧(10−6Pa)にし、この測定室中に、予めサイジング剤を除去した炭素繊維を入れ、Mgを対極として電子線加速電圧10kV、10mAの条件で発生させたX線を照射し、炭素原子、酸素原子より発生する光電子のスペクトルを測定し、その面積比を算出するものである。
【0030】
発生する光電子の割合は各元素により異なる。日本電子(株)製X線光電子分光器ESCA JPS−9000MXの装置特性に依存する換算係数は2.69である。表面処理の程度は上記表面酸素濃度O/Cが0.1〜0.3の範囲に入る様に制御することが好ましい。
【0031】
表面酸素濃度O/Cが0.1未満の場合は、炭素繊維チョップドストランドとマトリックス樹脂との接着性が劣り、得られる複合材料の物性低下の原因になる。 一方、表面酸素濃度O/Cが0.3を超える場合は、炭素繊維自体の強度が低下する。
【0032】
このようにして得られる炭素繊維ストランドの引っ張り強さは3000MPa以上、引っ張り弾性率は200GPa以上、単繊維直径は5〜10μmのものが好ましい。
【0033】
本発明で使用する炭素繊維ストランドの比表面積はKr−BET多点法による測定で0.2m/g〜0.6m/gであることが好ましい。
【0034】
比表面積が0.2m/g未満である場合は、炭素繊維にマトリックス樹脂が充分に含浸できず、好ましくない。一方、0.6m/g以上である場合は炭素繊維の表面欠陥が多くなり、炭素繊維自身の強度が低下する傾向があり好ましくない。
【0035】
上記表面処理を施した炭素繊維を、次いで充分に洗浄して電解質を除去した後、更に炭素繊維にサイズ剤を付与する。サイズ剤の付与量は、既に述べた。
【0036】
サイズ剤は、マトリックス樹脂と相溶性の高いものが好ましく、マトリックス樹脂の種類に応じ適宜選択する。
【0037】
サイズ剤としては例えば、エポキシ樹脂系、ポリアミド樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリイミド樹脂系、フェノール樹脂系等を例示できる。ポリアミド樹脂は、高靭性で集束性に優れ、また通常融点が存在するため、マトリックス樹脂中における炭素繊維チョップドストランドの分散性を良好にするので、好ましいものである。
【0038】
サイズ剤の付着方法は、スプレー法、液浸法、転写法等の既知の方法を採択し得るが、液浸法が汎用性、効率性、付着の均一性に優れるので好ましい。
【0039】
炭素繊維束をサイズ剤液に浸漬する際、サイズ剤液中に設けられた液没ローラ又は液浸ローラを用いて開繊と絞りを繰り返し、ストランドの中心部までサイズ剤を含浸させることが好ましい。
【0040】
サイズ剤の付着方法は、エマルジョン法と溶剤法がある。溶剤としては、アセトン、MEK等のケトン類、メタノール、エタノール等のアルコール類、メチレンクロライド等の有機塩素化合物等が使用できる。しかし、人体への安全性の面及び自然環境を汚さない環境対策の面からエマルジョン法が好ましい。
【0041】
サイズ剤が水エマルジョン系の場合、炭素繊維ストランドに付着させるサイズ量を適正化する上で、サイズ剤の濃度は1〜100g/L、25℃での溶液粘度は0.1〜100ポアズとすることが好ましい。サイズ剤を付着させる際のサイズ剤浴温度は0〜50℃が好ましい。サイズ剤の付着量を制御するため、サイズ剤溶液を付着させた後、スクイズ処理しても構わない。
【0042】
サイズ剤の付着方法は、単独または二種類以上のサイズ剤樹脂を、二段階以上に分けて付着させてもかまわない。
【0043】
サイズ剤溶液を付着させた後、炭素繊維ストランドを乾燥させる。更に乾燥操作と共に、又は乾燥操作に付加して熱処理操作を行っても良い。乾燥ゾーンの雰囲気温度は、サイズ剤が溶剤に溶解したサイズ剤の場合には、その溶剤の沸点により決まる。サイズ剤が汎用的な水エマルジョンの場合は乾燥ゾーンの雰囲気温度は80〜200℃が好ましい。乾燥温度が高い場合、あるいは乾燥時間が長い場合、乾燥状態は良好となる。しかし、熱履歴が多くかかりすぎた場合、サイズ剤の樹脂の劣化が起こり、ストランドの柔軟に欠けるようになる。この場合は、後述する切断工程に付す際に、ストランドが割れやすくなり、その結果得られる炭素繊維チョップドストランドの嵩密度が低くなる等の弊害が起こる。従って、適正な乾燥条件で乾燥することが好ましい。
【0044】
上記サイズ剤の付着方法において、サイズ剤浴温度、乾燥温度及び乾燥時間、必要により行う熱処理温度及び熱処理時間を適宜制御することにより、本発明炭素繊維チョップドストランドの発熱量、及び発熱開始温度を本発明において規定する範囲に制御するものである。
【0045】
ストランドの集束性を高めるために、炭素繊維製造原料のプリカーサーからサイズ剤の乾燥までの工程において、加撚しても良い。加撚は、ストランドの集束のみならず、単糸切れによるストランドの毛羽立ちを抑制するためにも有効である。加撚の程度は、2個/m〜30個/mが良い。
【0046】
サイズ剤の付着処理後、乾燥されたストランドは、切断工程に送られる。切断方法としてはロービングカッター等のロータリー式カッターや、ギロチンカッター等通常用いられているカッターを用いることが出来る。
【0047】
切断工程において、炭素繊維チョップドストランドの繊維長は、通常1〜10mm、好ましくは3〜8mmに切断される。
【0048】
なお、炭素繊維チョップドストランドの製造方法としては、炭素繊維焼成工程より排出して得られた炭素繊維ストランドを巻き取ることなく、前記サイズ剤の付着、乾燥工程を経由させ、複数本を合糸しながら、切断工程に供し、所定長に切断する連続的製造方法が生産効率が高く好ましいが、本発明はこれに限定されない。
【0049】
このようにして得られた炭素繊維チョップドストランドの緻密性を評価する尺度として、嵩密度を用いることができる。本発明のチョップドストランドは、繊維長によって若干の変動はあるが、嵩密度300g/L以上、好ましくは350g/L以上、更に好ましくは400g/Lである。
【0050】
本発明の炭素繊維チョップドストランドは、各種熱可塑性樹脂と混練してペレット化し、これを成形することにより各種複合材料を製造できる。
【0051】
複合材料のマトリックス樹脂として用いられる熱可塑性樹脂樹脂としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール等の汎用エンジニアリングプラスチックが多く採用される。また、ポリプロピレンやABS等の汎用プラスチックや ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶性の芳香族ポリエステル等の耐熱性ポリマー類も使用される。本発明の炭素繊維チョップドストランドが使用されうるマトリックス樹脂は特に限定されないが、汎用エンジニアリングプラスチックにおいて使用するのが特に好ましい。
【0052】
本発明の炭素繊維チョップドストランドの、マトリクス樹脂に対する配合量は、特に制限が無く、通常の公知の配合量による。
【0053】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。尚、実施例に於ける各測定値は下記の方法により求めた。
【0054】
[嵩密度]
2000mLのメスシリンダーに300gのチョップドストランドを充填し、軽く衝撃を与えてチョップドストランドの体積に変化が無くなったときの体積を求め、この体積とチョップドストランドの質量とから嵩密度を算出した。
【0055】
[サイズ付着量](硫酸分解法)
200mLのコニカルビーカー中に炭素繊維チョップドストランドを2g(W1)精秤した。これに濃硫酸100mLを加え、時計皿で蓋をし、約200℃で1時間加熱してサイズ剤を熱分解した。冷却後、過酸化水素水溶液を溶液が透明になるまで少量づつ加えた。しかる後、予め乾燥、精秤してあるガラスフィルター(W2)を用いて炭素繊維を濾別した。約1000mLの水で炭素繊維を洗浄した後、炭素繊維の入ったガラスフィルターを110±3℃で2時間乾燥し、デシケーター中で室温まで冷却した後の質量(W3)を測定した。
【0056】
次式によって、サイズ剤付着量を求めた。
【0057】
サイズ剤付着量(質量%)=(W1−W3+W2)×100/W1
[発熱量及び発熱開始温度]
示差走査熱量計(マック・サイエンス社製のDSC3100)を用い、発熱量及び発熱開始温度を測定した。測定条件は、サンプル量約20mg、窒素流量100mL/分、昇温速度10℃/分とした(JIS K 7122「プラスチックの転移熱測定方法」及びJIS K 7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠)。
【0058】
[比表面積測定]
サイズ剤を除去した炭素繊維約0.5gを200℃×1時間真空脱気後、デシケーター中で冷却して精秤したサンプルを用いて、Kr−BET多点法にて測定した。測定条件を以下に示す。
【0059】
装置: 日本ベル(株)製高精度全自動ガス吸着装置 BELSORP36
吸着ガス:Kr
死容積:He
吸着温度:77K
測定前処理:200℃×2時間 真空脱気
測定モード:等温での吸着
[炭素繊維強化ポリカーボネート樹脂特性]
得られた炭素繊維チョップドストランドと、分子量24000のポリカーボネート樹脂ペレット(帝人化成社製 パンライトL−1250)を炭素繊維が30質量%になるようにドライブレンドした。次いで、4mmベント式押出機にて、溶融混練してストランド状に押出し、水冷後切断して炭素繊維含有ポリカーボネートペレットを得た。このペレットを十分乾燥後、射出成形にて試験片を成形し、曲げ強度とアイゾット衝撃値を測定した。尚、曲げ強度測定はJIS K 7203に準拠して行った。また、アイゾット衝撃値測定は試験片に切欠き部(ノッチ)を入れない以外はJIS K 7110に準拠した。
【0060】
[炭素繊維強化ポリアセタール樹脂特性]
得られた炭素繊維チョップドストランドとポリアセタール樹脂ペレット(ポリプラスチックス社製 ジュラコン M90)を炭素繊維が20質量%になるようにドライブレンドした後、4mmベント式押出機にて、溶融混練してストランド状に押出し、水冷後切断して炭素繊維含有ポリアセタールペレットを得た。このペレットを十分乾燥後、射出成形にて試験片を成形し、曲げ強度とアイゾット衝撃値を測定した。尚、曲げ強度測定はJIS K 7203に準拠して行った。また、アイゾット衝撃値測定は試験片に切欠き部(ノッチ)を入れない以外はJIS K 7110に準拠した。
【0061】
[炭素繊維強化ポリアミド樹脂特性]
得られた炭素繊維チョップドストランドとナイロン66ペレット(宇部興産社製 UBEナイロン66 2020U)を炭素繊維が30質量%になるようにドライブレンドした後、4mmベント式押出機にて、溶融混練してストランド状に押出し、水冷後切断して炭素繊維含有ナイロンペレットを得た。このペレットを十分乾燥後、射出成形にて試験片を成形し、曲げ強度とアイゾット衝撃値を測定した。尚、曲げ強度測定はJIS K 7203に準拠して行った。また、アイゾット衝撃値測定は試験片に切欠き部(ノッチ)を入れない以外はJIS K 7110に準拠した。
【0062】
実施例1〜5、比較例1〜3
表1に示す電気量で電解表面処理した未サイジングの炭素繊維束(東邦テナックス社製ベスファイト、24000フィラメント、引張強度4800MPa、引張弾性率240GPa、単繊維径7μm)をポリアミド6のエチレンオキサイド変性物(松本油脂製薬(株)製 商品名BF−252)の水溶液が入ったサイジング浴に連続的に浸漬させた。その後、水分を乾燥除去/または熱処理させた後、繊維長6mmに切断した。その際、浴濃度、乾燥温度/または熱処理温度及び時間を調整することにより、表1に挙げる炭素繊維チョップドストランドを得た。これらの炭素繊維チョップドストランドを用いて、上記各種評価試験を行った。その結果を表1にまとめて示した。
【0063】
【表1】
Figure 2004149725
【0064】
表1に示すように、実施例1〜5は何れも満足な結果が得られた。しかし、比較例1では炭素繊維チョップドストランドの集束性が劣るため、押出し工程で炭素繊維チョップドストランドの供給が不安定になり、まともな成形物が得られなかった。比較例2はマトリックス樹脂との接着性が劣るため、複合材料の性能が満足な値ではなかった。また、比較例3はマトリックス樹脂の分解が促進されるため、複合材料の性能が満足する値ではなかった。更にポリカーボネートマトリックス樹脂の射出成形において、ノズルからハナタレを生じ、成形物にヒケが生じるなどの問題も発生した。
【0065】
実施例6、比較例4〜5
表2に示す電気量で電解表面処理された未サイジングの炭素繊維束(東邦テナックス社製ベスファイト、24000フィラメント、引張強度4800MPa、引張弾性率240GPa、単繊維径7μm)をサイジング浴に連続的に浸漬させた。サイズ剤は表2に示すとおり、エステル系ポリウレタン樹脂エマルジョン溶液であるBF−151(松本油脂製薬製)、同じくエステル系ポリウレタン樹脂エマルジョン溶液であるハイドランHW−940(大日本インキ化学製)及び水溶性ナイロン樹脂であるトレジンFS−1000(帝国化学産業製)を用いた。また、水分を乾燥除去/または熱処理させた後、繊維長6mmに切断した。その際、浴濃度、乾燥温度/または熱処理温度及び時間を調整することにより、表2に挙げる炭素繊維チョップドストランドを得た。これらの炭素繊維チョップドストランドを用いて、上記各種評価試験を行った。その結果を表2にまとめて示した。
【0066】
【表2】
Figure 2004149725
【0067】
表2に示すように、実施例6は満足な結果が得られた。しかし、比較例4〜5はマトリックス樹脂との接着性が劣るため、複合材料の性能が満足な値ではなかった。
【0068】
【発明の効果】
本発明の炭素繊維チョップドストランドは集束性に優れ、かつこれを用いて炭素繊維強化樹脂を製造する場合、各種のマトリックス樹脂との接着性が優れ、各種の汎用エンジニアリングプラスチックや汎用プラスチック強化用として有用な汎用性に優れる。

Claims (4)

  1. サイズ剤を用いて集束された炭素繊維チョップドストランドであって、該チョップドストランドのサイズ剤付着量が1.5〜5.0質量%で、該チョップドストランドの示差走査熱量計による測定において、発熱量10〜50J/g、発熱開始温度が200℃以下の発熱ピークを示す炭素繊維チョップドストランド。
  2. 嵩密度が300g/L以上である請求項1に記載の炭素繊維チョップドストランド。
  3. サイズ剤の主成分がポリアミド樹脂である請求項1又は2に記載の炭素繊維チョップドストランド。
  4. 炭素繊維チョップドストランドを構成する炭素繊維の比表面積がKr−BET多点法による測定で0.2〜0.6m/gである請求項1乃至3の何れかに記載の炭素繊維チョップドストランド。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011111559A1 (ja) 2010-03-08 2011-09-15 東邦テナックス株式会社 炭素繊維チョップドストランド及びその製造方法

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