JP2004149676A - ポリベンゾオキサゾール樹脂、その前駆体およびこれらを用いた光導波路用材料ならびに光導波路 - Google Patents
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Abstract
【課題手段】一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体と一般式(2)及び/又は一般式(3)で表されるエンドキャップ剤とを、前記エンドキャプ剤が、前記一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体の電位差滴定で測定される1級アミノ基1molに対し、1.1〜5.0molの割合で反応させ、1級アミノ基が0.00008mol/g以下であるポリベンゾオキサゾール前駆体及びその樹脂。前記ポリベンゾオキサゾール前駆体又は樹脂を主たる成分とする光導波路用材料。また、前記光導波路用材料を用いた光導波路。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリベンゾオキサゾール樹脂、その前駆体およびこれらを用いた光導波路用材料ならびに光導波路に関するものである。さらに詳しくは光インターコネクションや光デバイスなどに好適で、耐熱性、電気特性、機械特性および無色透明性に優れたポリベンゾオキサゾール樹脂とその前駆体、およびそれらを含む光導波路用材料、ならびにその光導波路用材料を用いた光導波路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光導波路材料としては、ガラス(石英)やプラスチックなどの材料が検討されている。そのうち、石英で構成した光導波路は、低損失および高耐熱性などの利点を有するため、光ファイバーや光インターコネクション・光通信デバイスなどの分野において数多く検討され実際に利用されている。しかし従来の石英光導波路では、作製に長い工程を要するため、本質的に低価格化は困難である。また、製作プロセスにおいて、1000℃前後の高熱処理を要するため、電気回路基板との融合性が悪いうえ、大面積化が困難である問題があった。
【0003】
一方、プラスチックで構成された光導波路は、石英光導波路よりも作製および大面積化が容易であり、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよび紫外線硬化型樹脂などのポリマーを用いたプラスチック光導波路が検討されている。これらプラスチック光導波路では、その構成材料の耐熱性は、100℃前後であるため使用環境が限定されると共に、実装回路として組み込むためには、数百℃のハンダ工程を通過することが必要となり、電気回路基板との融合性が悪くなるという問題があった。
【0004】
そこで、プラスチック材料でありながら300℃以上の耐熱性を有するポリイミド樹脂をプラスチック光導波路に用いようとする試みもなされているが現状のポリイミドでは、その特異な分子構造のため、構造に起因する吸収による光損失がはなはだ大きかった。また、ポリイミド樹脂において、その構造から結晶性の高い樹脂があり、膜厚が薄い場合は影響が少ないが、光導波路に使用する膜厚になると、その結晶性の高さから膜が脆くなる場合や、屈折率が変化することがあった。
【0005】
ポリベンゾオキサゾール樹脂はポリイミド樹脂をしのぐ耐熱性、低吸湿性から耐熱用途、電子用途に向けた研究開発がなされている。しかしながら通常ポリベンゾオキサゾール樹脂は黄色あるいは褐色に着色していて光通信、光デバイス用途における光導波路用材料などに適用するのは困難であった。これは主に不純物、末端官能基の残留などの要因によるものであり、このことが樹脂の無色透明性だけでなく機械特性、電気特性などにも悪影響を及ぼしてきた。これら問題を解決するためにポリベンゾオキサゾール樹脂の末端をエンドキャップする試みがなされている(例えば特許文献1および2参照)。しかしこれらの試みは主に樹脂の機械強度の改善に重点がおかれ樹脂の無色透明性の点では必ずしも十分とは言えなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−109620号公報(第6−10頁)
【特許文献2】
特開2002−138248号公報(第1−2頁)
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、鋭意検討の結果なされたもので、耐熱性、電気特性、機械特性および無色透明性に優れるポリベンゾオキサゾール樹脂とその前駆体、およびそれらを含む、低価格で、光損失が少なく、大面積化を実現することができる光導波路用材料とそれを用いた光導波路を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
1. 一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体と一般式(2)および/または一般式(3)で表されるエンドキャップ剤とを、前記エンドキャプ剤が、前記一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体の電位差滴定で測定される1級アミノ基1molに対し、1.1〜5.0molの割合で反応させて得られるポリベンゾオキサゾール前駆体であって、電位差滴定で測定される1級アミノ基が0.00008mol/g以下であることを特徴とするポリベンゾオキサゾール前駆体、
【0009】
【化11】
(式(1)中、Xは4価の有機基を、Yは2価の有機基を、mは5〜10000の整数をそれぞれ表す)
【0010】
E1−COCl(2)
(式(2)中、E1は炭素数2〜50の1価の有機基を表す。)
【0011】
【化12】
(式(3)中、E2は炭素数2〜50の2価の有機基を表す。)
【0012】
2.一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体が、一般式(1)におけるXとして、一般式(4)で表される基を有するものである第1項に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体、
【0013】
【化13】
(式(4)において、ベンゼン環上の水素原子は、メチル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基および塩素原子の中から選ばれた少なくとも1個の基で置換されていても良い。式(4)中のZ1は、単結合あるいは式(5)および式(6)で表される基の中から選ばれた2価の基を表す。)
【0014】
【化14】
【0015】
【化15】
(式(5)、および式(6)で表される基において、ベンゼン環上の水素原子は、メチル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基および塩素原子の中から選ばれた少なくとも1個の基で置換されていても良い。)
【0016】
3.一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体が、一般式(1)におけるYとして、式(7)〜(9)で表される基の中から選ばれた2価の基を有するものである第1項または第2項のポリベンゾオキサゾール前駆体、
【0017】
【化16】
【0018】
【化17】
(式(8)中、i,j,kは2〜20までの整数を表す。)
【0019】
【化18】
(式(7)、および式(9)中のベンゼン環上の水素原子および式(8)中の水素原子は、メチル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基および塩素原子の中から選ばれた少なくとも1つの基で置換されていても良い。式(9)中、Z2は単結合ならびに式(5)および式(6)で表される基の中から選ばれた2価の基を示す。)
【0020】
4.一般式(2)で表されるエンドキャップ剤が、式(10)で表される化合物から選ばれた化合物である第1項〜第3項のいずれかに記載のポリベンゾオキサゾール前駆体、
【0021】
【化19】
【0022】
5.一般式(3)で表されるエンドキャップ剤が、式(11)で表される化合物から選ばれた化合物である第1項〜第3項のいずれかに記載のポリベンゾオキサゾール前駆体、
【0023】
【化20】
(式(10)、式(11)中の水素原子は、メチル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、塩素原子、ビニル基およびエチニル基の中から選ばれた少なくとも1個の基で置換されていても良い。)
【0024】
6.第1項〜第5項のいずれかに記載のポリベンゾオキサゾール前駆体を、脱水閉環してなるポリベンゾオキサゾール樹脂、
【0025】
7.第1項〜第5項のいずれかに記載のポリベンゾオキサゾール前駆体または第6項に記載のポリベンゾオキサゾール樹脂を主たる成分とする光導波路用材料、
【0026】
8.第7項に記載の光導波路用材料を、コアおよび/またはクラッドに用いたことを特徴とする光導波路、を提供するものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体は、ビスアミノフェノール化合物もしくはジアミノジヒドロキシ化合物、またはそれらのエステル化物やエーテル化物などの誘導体と、ジカルボン酸とから、酸クロリド法、活性化エステル法またはポリリン酸もしくはジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤の存在下での縮合反応等の方法により、反応させ合成して得ることができる。前記反応における、ジアミノヒドロキシ化合物もしくはビスアミノフェノール化合物あるいはその誘導体と、ジカルボン酸あるいはその誘導体との量比は、一般式(1)で表されるアミノヒドロキシ末端構造とするポリベンゾオキサゾール前駆体を得るために、主にジアミノヒドロキシ化合物もしくはビスアミノフェノール化合物が過剰の条件で反応させる。しかしながら、ジカルボン酸あるいはその誘導体の反応性が低かったり、失活しやすいなどの理由で、高分子量体が得られにくい場合は、ジカルボン酸過剰の条件で反応することも可能である。この場合は、未反応、あるいは失活したジカルボン酸を、一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体の精製工程で、取り除く必要がある。一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体が、一般式(1)におけるXとして、一般式(4)で表される4価の基を有する構造である場合は、耐熱性、機械特性、耐薬品性および透明性の性能を、両立できるので好ましい。また、一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体が、一般式(1)におけるYとして、式(7)〜(9)で表される基の中から選ばれた2価の基を有する構造である場合も、耐熱性、機械特性、耐薬品性および透明性の性能を両立できるので好ましい。
【0028】
本発明に用いるビスアミノフェノール化合物の例で、一般式(1)中のXとして、特に、式(4)で表される基を構成するものでZ1が単結合であるものとしては、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメチルビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ジメチルビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−6,6’−ジメチルビフェニル、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメチルビフェニル、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−トリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−5,5’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−6,6’−トリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−6,6’−トリフルオロメチルビフェニル、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−5,5’−トリフルオロメチルビフェニル、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−6,6’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ジフルオロビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−5,5’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ジフルオロビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−6,6’−ジフルオロビフェニル、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ジフルオロビフェニル、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ジクロロビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−5,5’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ジクロロビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−6,6’−ジクロロビフェニル、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ジクロロビフェニル等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。またこれらのエステル化合物やエーテル化合物などの誘導体を挙げることができる。これらのビスアミノフェノール化合物は単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0029】
本発明に用いるビスアミノフェノール化合物の例で、一般式(1)中のXとして、特に、式(4)で表される基を構成するもので、Z1が式(5)で表される2価の基を有するものとしては、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−2−(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)−2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。またこれらのエステル化合物やエーテル化合物などの誘導体を挙げることができる。これらのビスアミノフェノール化合物は単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0030】
本発明に用いるビスアミノフェノール化合物の例で、一般式(1)中のXとして、特に、式(4)で表される基を構成するもので、Z1が式(6)で表される2価の基を有するものとしては、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,3’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,3’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのビスアミノフェノール化合物は単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0031】
本発明に用いることが出来るジアミノジヒドロキシ化合物およびビスアミノフェノール化合物で、前記ビスアミノフェノール化合物以外のもの例としては、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシベンゼン、3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ジヒドロキシジフルオロベンゼン、1,2−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシジフルオロベンゼン、1−メチル−2,4−ジアミノ−3,5−ジヒドロキシベンゼン、1−メチル−2,5−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシベンゼン、1−メチル−2,4−ジアミノ−3,5−ジヒドロキシフルオロベンゼン、1−メチル−2,5−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシフルオロベンゼン、1,4−ジメチル−2,5−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシベンゼン、1−トリフルオロメチル−2,4−ジアミノ−3,5−ジヒドロキシベンゼン、1−トリフルオロメチル−2,5−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシベンゼン、1−トリフルオロメチル−2,4−ジアミノ−3,5−ジヒドロキシフルオロベンゼン、1−トリフルオロメチル−2,5−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシフルオロベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)−2,5−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシジクロロベンゼン、1,4−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシジクロロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ジヒドロキシジクロロベンゼン、1,2−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシジクロロベンゼン、2,7−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジアミノ−3,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシナフタレン、3,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジアミノ−1,8−ジヒドロキシナフタレン、1−メチル−3,6−ジアミノ−2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジメチル−3,7−ジアミノ−2,6−ジヒドロキシナフタレン、1−メチル−3,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシナフタレン、1−トリフルオロメチル−3,6−ジアミノ−2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ビス(トリフルオロメチル)−3,7−ジアミノ−2,6−ジヒドロキシナフタレン、1−トリフルオロメチル−3,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシテトラフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−3,7−ジヒドロキシテトラフルオロナフタレン、1,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシテトラフルオロナフタレン、3,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシテトラフルオロナフタレン、2,7−ジアミノ−1,8−ジヒドロキシテトラフルオロナフタレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシテトラクロロナフタレン、2,6−ジアミノ−3,7−ジヒドロキシテトラクロロナフタレン、1,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシテトラクロロナフタレン、3,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシテトラクロロナフタレン、2,7−ジアミノ−1,8−ジヒドロキシテトラクロロナフタレン、−3,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシナフタレン、1,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)テトラフクロロベンゼン、1,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、9,9−ビス−((4−アミノ−3−ヒドロキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス−((3−アミノ−4−ヒドロキシ)フェニル)フルオレン等を挙げることができ、またこれらのエステル化合物やエーテル化合物などの誘導体を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。これらのジアミノジヒドロキシ化合物およびビスアミノフェノール化合物は単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0032】
また、本発明に用いるポリベンゾオキサゾール前駆体において、式(4)で表される構造を有するビスアミノフェノール化合物またはその他のビスアミノフェノール化合物あるいはジアミノジヒドロキシ化合物の中から1種、または2種以上混合して用いることが出来る。
【0033】
本発明に用いるジカルボン酸として、一般式(1)中のYとして、特に式(7)で表される2価の基を構成するものとしては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2−メチルイソフタル酸、3−メチルフタル酸、2−メチルテレフタル酸、2,4,5,6−テトラメチルイソフタル酸、3,4,5,6−テトラメチルフタル酸、2−フルオロイソフタル酸、3−フルオロフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタル酸、3,4,5,6−テトラフルオロフタル酸、2−トリフルオロメチルイソフタル酸、3−トリフルオロメチルフタル酸、2−トリフルオロメチルテレフタル酸、2,4,5,6−トリフルオロメチルイソフタル酸、3,4,5,6−トリフルオロメチルフタル酸、2−クロロイソフタル酸、3−クロロフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラクロロイソフタル酸、3,4,5,6−テトラクロロフタル酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのジカルボン酸化合物は単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0034】
本発明に用いるジカルボン酸として、一般式(1)中のYとして、特に式(8)で表される2価の基を構成するものとしては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、テトラフルオロコハク酸、ヘキサフルオログルタル酸、オクタフルオロアジピン酸、パーフルオロピメリン酸、パーフルオロスベリン酸、パーフルオロアゼライン酸、パーフルオロセバシン酸、1,9−パーフルオロノナンジカルボン酸、パーフルオロドデカン二酸、パーフルオロトリデカン二酸、1,12−パーフルオロドデカンジカルボン酸、テトラクロロコハク酸、ヘキサクロログルタル酸、オクタクロロアジピン酸、パークロロピメリン酸、パークロロスベリン酸、パークロロアゼライン酸、パークロロセバシン酸、1,9−パークロロノナンジカルボン酸、パークロロドデカン二酸、パークロロトリデカン二酸、1,12−パークロロドデカンジカルボン酸、1,4−パーフルオロシクロヘキサンジカルボン酸、1,3−パーフルオロシクロヘキサンジカルボン酸、1,2−パーフルオロシクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−パークロロシクロヘキサンジカルボン酸、1,3−パークロロシクロヘキサンジカルボン酸、1,2−パークロロヘキサンジカルボン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのジカルボン酸化合物は単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0035】
本発明に用いるジカルボン酸として、一般式(1)中のYとして、特に式(9)で表される基を構成するもので、Z2が単結合であるものとしては、4,4’−ジカルボキシビフェニル、3,3’−ジカルボキシビフェニル、3,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジカルボキシ−5,5’−ジメチルビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−5,5’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジカルボキシ−6,6’−ジメチルビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−6,6’−ジメチルビフェニル、3,4’−ジカルボキシ−5,5’−ジメチルビフェニル、3,4’−ジカルボキシ−6,6’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジカルボキシ−5,5’−トリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−5,5’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジカルボキシ−6,6’−トリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−6,6’−トリフルオロメチルビフェニル、3,4’−ジカルボキシ−5,5’−トリフルオロメチルビフェニル、3,4’−ジカルボキシ−6,6’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジカルボキシ−5,5’−ジフルオロビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−5,5’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジカルボキシ−6,6’−ジフルオロビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−6,6’−ジフルオロビフェニル、3,4’−ジカルボキシ−5,5’−ジフルオロビフェニル、3,4’−ジカルボキシ−6,6’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジカルボキシ−5,5’−ジクロロビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−5,5’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジカルボキシ−6,6’−ジクロロビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−6,6’−ジクロロビフェニル、3,4’−ジカルボキシ−5,5’−ジクロロビフェニル等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。これらのジカルボン酸化合物は単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0036】
本発明に用いるジカルボン酸として、一般式(1)中のYとして、特に式(9)で表される基を構成するもので、Z2が式(5)で表される2価の基を有するものとしては、4,4’−オキシビス安息香酸、3,3’−オキシビス安息香酸、3,4’−オキシビス安息香酸、2,4’−オキシビス安息香酸、3,4’−オキシビス安息香酸、2,3’−オキシビス安息香酸、4,4’−オキシビスオクタフルオロ安息香酸、3,3’−オキシビスオクタフルオロ安息香酸、3,4’−オキシビスオクタフルオロ安息香酸、2,4’−オキシビスオクタフルオロ安息香酸、3,4’−オキシビスオクタフルオロ安息香酸、2,3’−オキシビスオクタフルオロ安息香酸、4,4’−オキシビスオクタクロロ安息香酸、3,3’−オキシビスオクタクロロ安息香酸、3,4’−オキシビスオクタクロロ安息香酸、2,4’−オキシビスオクタクロロ安息香酸、3,4’−オキシビスオクタクロロ安息香酸、2,3’−オキシビスオクタクロロ安息香酸、ビス(4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(2−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(2−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(3−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(4−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(5−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(5−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(6−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(2−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(2−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(3−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(4−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(5−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(5−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(6−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(6−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(4−カルボキシオクタフルオロフェニル)−スルフィド、ビス(3−カルボキシオクタフルオロフェニル)−スルフィド、ビス(4−カルボキシオクタクロロフェニル)−スルフィド、ビス(3−カルボキシオクタクロロフェニル)−スルフィド、ビス(4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(2−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(2−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(3−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(4−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(5−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(5−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(6−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(2−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(2−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(3−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(4−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(5−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(5−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(6−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(6−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(4−カルボキシオクタフルオロフェニル)−スルホン、ビス(3−カルボキシオクタフルオロフェニル)−スルホン、ビス(4−カルボキシオクタクロロフェニル)−スルホン、ビス(3−カルボキシオクタクロロフェニル)−スルホン、ビス(4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(2−メチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(2−メチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(3−メチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(4−メチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(5−メチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(5−メチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(6−メチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(2−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(2−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(3−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(4−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(5−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(5−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(6−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(6−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(4−カルボキシオクタフルオロフェニル)−ケトン、ビス(3−カルボキシオクタフルオロフェニル)−ケトン、ビス(4−カルボキシオクタクロロフェニル)−ケトン、ビス(3−カルボキシオクタクロロフェニル)−ケトン、ビス(4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(2−メチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(2−メチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(3−メチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(4−メチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(5−メチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(5−メチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(6−メチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(2−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(2−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(3−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(4−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(5−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(5−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(6−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(6−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(4−カルボキシオクタフルオロフェニル)−メタン、ビス(3−カルボキシオクタフルオロフェニル)−メタン、ビス(4−カルボキシオクタクロロフェニル)−メタン、ビス(3−カルボキシオクタクロロフェニル)−メタン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(2−メチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−メチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(5−メチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(5−メチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(6−メチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(2−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(2−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(5−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(5−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(6−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシオクタフルオロフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシオクタフルオロフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシオクタクロロフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシオクタクロロフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−メチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−メチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(5−メチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(5−メチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(6−メチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(5−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(5−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(6−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(6−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシオクタフルオロフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシオクタフルオロフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシオクタクロロフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシオクタクロロフェニル)−ヘキサフルオロプロパン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのジカルボン酸化合物は単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0037】
本発明に用いるジカルボン酸として、一般式(1)中のYとして、特に式(9)で表される基を構成するもので、Z2が式(6)で表される2価の基を有するものとしては、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,3’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,3’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,3’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,3’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらのジカルボン酸は単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0038】
本発明に用いるジカルボン酸として前記以外のものの例としては、1,4−ジカルボキシナフタレン、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、1,8−ジカルボキシナフタレン、2,5−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレン、2,7−ジカルボキシナフタレン、1,4−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、1,5−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、1,6−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、1,7−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、1,8−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、2,6−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、2,7−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、1,4−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、1,5−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、1,6−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、1,7−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、1,8−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、2,6−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、2,7−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,2−ビス(3−カルボキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,3−ビス(4−カルボキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,3−ビス(3−カルボキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(4−カルボキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3−カルボキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,2−ビス(3−カルボキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,3−ビス(4−カルボキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,3−ビス(3−カルボキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,4−ビス(4−カルボキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,4−ビス(3−カルボキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラフェニルジシロキサン、α,ω−ビス(3−カルボキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−カルボキシプロピル)ポリジフェニルシロキサン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのジカルボン酸化合物は単独、または組み合わせて使用することができる。
【0039】
また、本発明に用いるポリベンゾオキサゾール前駆体において、式(7)〜式(9)で表される構造を有するジカルボン酸化合物またはその他のジカルボン酸の中から1種、または2種以上混合して用いることが出来る。
【0040】
本発明に用いる一般式(2)で表されるエンドキャップ剤の例で、一般式(10)で表される化合物およびその水素原子がメチル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、塩素原子、ビニル基およびエチニル基で置換された化合物としては、ベンゾイルクロライド、o−メチル−ベンゾイルクロライド、m−メチル−ベンゾイルクロライド、p−メチル−ベンゾイルクロライド、3,5−ジメチル−ベンゾイルクロライド、o−トリフルオロメチル−ベンゾイルクロライド、m−トリフルオロメチル−ベンゾイルクロライド、p−トリフルオロメチル−ベンゾイルクロライド、3,5−ジトリフルオロメチル−ベンゾイルクロライド、o−フルオロ−ベンゾイルクロライド、m−フルオロ−ベンゾイルクロライド、p−フルオロ−ベンゾイルクロライド、ペンタフルオロ−ベンゾイルクロライド、o−クロロ−ベンゾイルクロライド、m−クロロ−ベンゾイルクロライド、p−クロロ−ベンゾイルクロライド、ペンタクロロ−ベンゾイルクロライド、o−ビニル−ベンゾイルクロライド、m−ビニル−ベンゾイルクロライド、p−ビニル−ベンゾイルクロライド、o−エチニル−ベンゾイルクロライド、m−エチニル−ベンゾイルクロライド、p−エチニル−ベンゾイルクロライド、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、クロトン酸クロライド、2−メチル−アクリル酸クロライド、1−トリフルオロメチル−アクリル酸クロライド、2−トリフルオロメチル−アクリル酸クロライド、1−フルオロ−アクリル酸クロライド、2,2−ジフルオロ−アクリル酸クロライド、2,2−ジフルオロ−メタクリル酸クロライド、トリフルオロ−アクリル酸クロライド、1−クロロ−アクリル酸クロライド、2,2−ジクロロ−アクリル酸クロライド、2,2−ジクロロ−メタクリル酸クロライド、トリクロロ−アクリル酸クロライド、2−ビニル−アクリル酸クロライド、2−エチニル−アクリル酸クロライド、2−ビニル−メタクリル酸クロライド、2−エチニル−メタクリル酸クロライド、5−ノルボルネン−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−5−メチル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−6−メチル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−7−メチル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−2−トリフルオロメチル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−5−トリフルオロメチル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−6−トリフルオロメチル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−7−トリフルオロメチル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−ノナフルオロ−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−ノナクロロ−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−2−ビニル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−5−ビニル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−6−ビニル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−7−ビニル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−2−エチニル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−5−エチニル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−6−エチニル−2−カルボン酸クロライド、5−ノルボルネン−7−エチニル−2−カルボン酸クロライド等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。またこれらの酸クロライド化合物は単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0041】
本発明に用いる一般式(2)で表されるエンドキャップ剤において、前記酸クロライド化合物以外の例としては、酢酸クロライド、トリフロオロ酢酸クロライド、クロロ酢酸クロライド、ジクロロ酢酸クロライド、トリクロロ酢酸クロライド、フェニル酢酸クロライド、ジフェニル酢酸クロライド、プロピオン酸クロライド、α−クロロプロピオン酸クロライド、β−クロロプロピオン酸クロライド、絡酸クロライド、吉草酸クロライド、カプロン酸クロライド、シクロペンチルカルボン酸クロライド、シクロヘキシルカルボン酸クロライド、2−メチルシクロヘキシルカルボン酸クロライド、3−メチルシクロヘキシルカルボン酸クロライド、4−メチルシクロヘキシルカルボン酸クロライド、無水トリメリット酸クロライド、4−フェニル安息香酸クロライド、4−ヒドロキシ安息香酸クロライド、3−ヒドロキシ安息香酸クロライド、サリチル酸クロライド、α−ナフトエ酸クロライド、β−ナフトエ酸クロライド、ピコリン酸クロライド、ピラジンモノカルボン酸クロライド等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。しかしながら、本発明の重要な課題である透明性の点から、1級アミノ基を有する化合物は好ましくない。また、これらの酸クロライド化合物は、単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0042】
本発明に用いる一般式(3)で表されるエンドキャップ剤の例で、一般式(11)で表される化合物およびその水素原子がメチル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、塩素原子、ビニル基およびエチニル基で置換された化合物としては、無水フタル酸、3−メチル無水フタル酸、4−メチル無水フタル酸、3−トリフルオロメチル無水フタル酸、4−トリフルオロメチル無水フタル酸、3−フルオロ無水フタル酸、4−フルオロ無水フタル酸、テトラフルオロ無水フタル酸、3−クロロ無水フタル酸、4−クロロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、3−ビニル無水フタル酸、4−ビニル無水フタル酸、3−エチニル無水フタル酸、4−エチニル無水フタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、ジメチル無水マレイン酸、トリフルオロメチル無水マレイン酸、ジトリフルオロメチル無水マレイン酸、フルオロ無水マレイン酸、ジフルオロ無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、ジクロロ無水マレイン酸、ビニル無水マレイン酸、エチニル無水マレイン酸、無水ナジック酸、無水5−ノルボルネン−2−メチル−2,3−ジカルボン酸、無水5−ノルボルネン−5−メチル−2,3−ジカルボン酸、無水5−ノルボルネン−7−メチル−2,3−ジカルボン酸、無水5−ノルボルネン−2−トリフルオロメチル−2,3−ジカルボン酸、無水5−ノルボルネン−5−トリフルオロメチル−2,3−ジカルボン酸、無水5−ノルボルネン−7−トリフルオロメチル−2,3−ジカルボン酸、無水5−ノルボルネン−オクタフルオロ−2,3−ジカルボン酸無水物、無水5−ノルボルネン−オクタクロロ−2,3−ジカルボン酸、無水クロレンド酸、無水5−ノルボルネン−2−ビニル−2,3−ジカルボン酸、無水5−ノルボルネン−5−ビニル−2,3−ジカルボン酸無水物、無水5−ノルボルネン−7−ビニル−2,3−ジカルボン酸、無水5−ノルボルネン−2−エチニル−2,3−ジカルボン酸、無水5−ノルボルネン−5−エチニル−2,3−ジカルボン酸、無水5−ノルボルネン−7−エチニル−2,3−ジカルボン酸、等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。また、これらの酸無水物は単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0043】
本発明に用いる一般式(3)で表されるエンドキャップ剤において、前記酸無水物以外の例としては、無水コハク酸、メチル無水コハク酸、トリフルオロメチル無水コハク酸、テトラフルオロ無水コハク酸、テトラクロロ無水コハク酸、フェニル無水マレイン酸、無水トリメリット酸、3−ヒドロキシ無水フタル酸、4−ヒドロキシ無水フタル酸、3−tert−ブチル無水フタル酸、4−tert−ブチル無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロ無水フタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水1,2−ジカルボキシシクロペンタン、無水2,3ピリジンジカルボン酸、無水2,3ピラジンジカルボン酸等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。しかしながら、本発明の重要な課題である透明性の点から1級アミノ基を有する化合物は好ましくない。また、これらの酸無水物は単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0044】
本発明に用いる一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法としては、その中の一例として、酸クロリド法による合成の例を挙げる。まず、前記ジカルボン酸を、N,N−ジメチルホルムアミド等の触媒存在下、過剰量の塩化チオニルと、室温から75℃で反応させ、過剰の塩化チオニルを加熱及び減圧により、留去する。その後、残査をヘキサン等の溶媒で再結晶することにより、酸クロリドであるジカルボン酸クロリドを得ることができる。次いで、前記ビスアミノフェノール化合物もしくはジアミノジヒドロキシ化合物を、N−メチル−2−ピロリドン等の極性溶媒に溶解し、ピリジン等の酸受容剤存在下で、上記で得たジカルボン酸クロリドと、−30℃から室温で反応することにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体を得ることができる。また、この前駆体は、加熱などにより閉環し、ポリベンゾオキサゾール樹脂となるが、この場合、末端に1級アミノ基を持った状態で閉環するため、閉環時あるいは閉環後に、1級アミノ基が酸化を受け、着色した樹脂となってしまう。
【0045】
本発明においては、一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体を、一般式(2)および/または一般式(3)で表されるエンドキャップ剤で、末端封止することで、樹脂の着色を防ぐことが出来る。この末端封止における反応は、−30〜100℃程度の温度で行われるが、一般式(2)で表されるエンドキャップ剤を用いる場合は、ピリジン等の酸受容体を反応中に用いる必要がある。
エンドキャップによって得られるポリベンゾオキサゾール前駆体の構造は、エンドキャップ剤として、一般式(2)で表されるエンドキャップ剤を用いた場合は、下記一般式(12)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体となる。また、エンドキャップ剤として、一般式(3)で表されるエンドキャップ剤を用いた場合は下記一般式(13)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体となる。一般式(12)および一般式(13)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体は、従来法の通り、加熱または脱水剤での処理により、主鎖および末端部分が同時に脱水閉環する。この時、一般式(12)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体は、末端にオキサゾ−ル環を有するポリベンゾオキサゾール樹脂となり、一般式(13)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体は、末端にイミド環と水酸基を有するポリベンゾオキサゾール樹脂となる。
【0046】
【化21】
(式(12)中、Xは4価の有機基を、Yは2価の有機基を、E1は炭素数2〜50の1価の有機基を、mは5〜10000の整数をそれぞれ表す)
【0047】
【化22】
(式(13)中、Xは4価の有機基を、Yは2価の有機基を、E2は炭素数2〜50の2価の有機基を、mは5〜10000の整数をそれぞれ表す)
【0048】
一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体とエンドキャップ剤との反応における量比は、一般式(1)のポリベンゾオキサゾール前駆体の1級アミノ基1molに対し、エンドキャップ剤1.1〜5.0molの割合で反応させるが、確実なエンドキャップと副反応防止の観点から、エンドキャップ剤の添加量は1.5〜3.0molが好ましい。前期下限値より少ないと、エンドキャップが不十分で残留する1級アミノ基量が多くなり、前期上限値より多いと、副反応によりポリベンゾオキサゾール前駆体の分子量が低下し耐熱性、機械強度に悪影響を及ぼす。なお、本発明において、1級アミノ基の量は電位差滴定で測定できる。
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体は、樹脂の無色透明性において、十分な性能を得るためには、エンドキャップにより、1級アミノ基の量を0.00008mol/g以下にしなければならない。一般式(1)のポリベンゾオキサゾール前駆体の合成において、末端に残留する1級アミノ基の量は、原料のモル比のみでは決まらず、モノマーの反応性、反応条件、原料の純度、溶媒中の水分量、雰囲気中の水分量など、さまざまな要因で変化する。従って、ある一定条件での反応で得られる一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体の1級アミノ基の量を、予め把握して、かつ過剰量のエンドキャップ剤を反応させなければ、1級アミノ基の量を0.00008mol/g以下に抑えることは困難である。このようにして得られたポリベンゾオキサゾール前駆体は、加熱閉環などの工程を経ても着色することなく、光導波路用材料として好適である。
【0049】
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体は、通常、これを溶剤に溶解し、ワニス状にして、使用するのが好ましい。溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ジクロロメタン、クロロホルム等を例示できる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数を混合して用いても良い。これらの溶媒の中でもポリベンゾオキサゾール前駆体の溶解性に優れたテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
【0050】
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体の使用方法は、まず、前記溶剤に溶解し、ポリベンゾオキサゾール前駆体の溶液として、適当な支持体、例えば、シリコンウエハーやセラミック基板等に塗布した後、加熱処理等で、ポリベンゾオキサゾール樹脂に変換して用いることが好ましい。また、ジアミノヒドロキシ化合物およびビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸化合物あるいはその誘導体との組み合わせを選ぶことにより、溶剤に可溶なポリベンゾオキサゾール樹脂を得ることも可能であるので、予め、脱水閉環したポリベンゾオキサゾール樹脂を溶剤に溶解し、ポリベンゾオキサゾ−ル樹脂溶液として用いることも出来る。
【0051】
また、本発明に用いるポリベンゾオキサゾール前駆体は、感光剤のナフトキノンジアジド化合物と一緒に用いることで、ポジ型の感光性樹脂組成物として用いることが可能である。また一般式(1)のYの構造においてメタクリロイル基のような光架橋性基を有する基がある場合は、光開始剤を用いることで、ネガ型感光性樹脂組成物として用いることが可能である。
【0052】
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリベンゾオキサゾール樹脂はその優れた耐熱性、電気特性、機械特性からフィルムや成形材料として絶縁性の電気、電子材料用途に好適である。また、さらに、無色透明性にも優れることから、特に光通信、光エレクトロニクス用途や表示デバイス用途に好適である。
【0053】
本発明の光導波路用材料は、前記ポリベンゾオキサゾール前駆体またはポリベンゾオキサゾール樹脂を主たる成分とするものであり、その他の成分としては、レベリング剤、消泡剤、密着助剤等の添加剤を適宜配合して、用いることができる。
【0054】
本発明の光導波路用材料は、一般に製造されている基板上のシングルモード光導波路、またはマルチモード光導波路と同様の構造に適用できる。その構造には、スラブ型、リッジ型、埋め込み型等がある。また、フレキシブルなフィルム光導波路等としても適用できる。本発明の光導波路は、光屈折率の異なる光導波路用材料を、コア層およびクラッド層として用いることにより得られる。この時、光導波路の種類により、コア層とクラッド層に用いる光導波路用材料は、その屈折率差を設定して、それぞれ選ばれる。例えば、シングルモード光導波路を作製する場合は、屈折率差を0.3〜1.5%、マルチモード光導波路を作製する場合は、屈折率差を1.0%以上にすることが、光損失を少なくすることができるので好ましい。
【0055】
一例として、埋め込み型シングルモード光導波路の製造方法について、図1を参照しつつ説明する。まず、シリコンウエハ等の基板1の上に下部クラッド用として、本発明の光導波路用材料の溶液をスピンコート等の方法により塗布し、さらに加熱して、下部クラッド層2とする。次に、下部クラッド層2の上に、下部クラッド層の材料よりも屈折率が高い本発明の光導波路用材料を用い、その溶液を用い、下部クラッド層2を形成したときと同様の方法で、コア層3を形成する。次に、コア層3の上に、コアパターンを形成するためのマスク層4を形成する(図1(a))。マスク層用材料としては、Al、Ti等の金属、SiO2、スピオングラス(SOG)、Si含有レジスト、感光性ポリベンゾオキサゾール等を用いることができる。次いで、マスク層4の上に、レジストを塗布して、プリベーク、露光、現像、アフターベークを行い、パターニングされたレジスト層5を得る(図1(b))。次に、レジスト層5で保護されていないマスク層4をエッチングで除去(図1(c))した後、レジスト層5をエッチング液で除去し、マスク層4で保護されていない部分のコア層3をドライエッチングにより除去する(図1(d))。マスク層4にSi含有レジストや感光性ポリベンゾオキサゾールを用いた場合には、フォトレジストを使用する必要はない。次に、残ったマスク層4を、ドライエッチングやはく離液を用いることにより除去する。(図1(e))。更に、この上に、前記下部クラッド層と同じ光導波路用材料を用い、下部クラッド層2を形成したときと同様の方法で上部クラッド層6を形成する(図1(f))。
【0056】
このようにして、光損失等の特性の良好な光導波路用材料からなる光導波路を作製できる。
【0057】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。
【0058】
尚、実施例および比較例で使用する原料は、下記の略号で示した。
6F−AP:2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
8F−AP:4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル
BF−AP:3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル
B−CC :イソフタル酸ジクロリド
S−CC :スベリン酸ジクロリド
O−CC :4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド
6F−CC:2,2’−ビス(4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパンのジカルボン酸クロリド
B−C :ベンゾイルクロライド
FB−C :3,5−ジトリフルオロメチル−ベンゾイルクロライド
A−C :アクリル酸クロライド
M−C :メタクリル酸クロライド
N−C :5−ノルボルネン−2−カルボン酸クロライド
P−A :無水フタル酸
EP−A :4−エチニル無水フタル酸
M−A :無水マレイン酸
N−A :無水ナジック酸
MN−A :無水5−ノルボルネン−7−メチル−2,3−ジカルボン酸
NMP :N−メチル−2−ピロリドン
【0059】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体PA−01Aの合成)
8F−AP 544.4重量部(1.0mol)を乾燥したNMP 2177.6重量部に溶解し、ピリジン 197.8部(2.5mol)を添加後、乾燥窒素下、−15℃で、NMP 812.0重量部にB−CC 203.0重量部(1.0mol)を溶解したものを30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温まで戻し、室温で5時間攪拌した。その後、反応溶液を、大量のイオン交換水に滴下し、再沈殿し、沈殿物を集め、乾燥することにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体PA−01A 670重量部を得た。ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィ(以下GPCと略記)を用いて、得られた前駆体の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は53000であった。また、得られた前駆体を、m−クレゾールとメタノールが7:3の体積比で混合した溶媒に溶解し、0.05mol/Lの過塩素酸酢酸を規定液とした電位差滴定法で、得られた前駆体の有する1級アミノ基量を測定したところ、0.00013mol/gであった。
【0060】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体PA−01B〜PA−08Bの合成)
前記ポリベンゾオキサゾール前駆体PA−01Aと同様の方法で、表1および表2に示す配合にて、ポリベンゾオキサゾール前駆体PA−01B〜PA−08Bの合成を行った。なお、溶媒は、全てNMPを使用し、PA−01Aの場合と同様に、モノマーの濃度が20%になるような量比で溶解して合成を行った。また、ピリジンの添加量はジカルボン酸クロリドモノマーの2.5倍モルの量比となるように添加した。得られた前駆体のGPCで測定した重量平均分子量および電位差滴定で測定した1級アミノ基量も表1および表2に合わせて示した。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体PE−01Aの合成)
PA−01A 76.92重量部(0.01molの1級アミノ基を有する)を乾燥したNMP 307.7重量部に溶解し、ピリジン 3.96部(0.050mol)を添加後、乾燥窒素下、−15℃で、NMP 11.2重量部にB−C 2.81重量部(0.020mol)を溶解したものを15分間かけて滴下した。滴下終了後、室温まで戻し、室温で3時間攪拌した。その後、反応溶液を大量のイオン交換水に滴下し再沈殿し、沈殿物を集め、乾燥することによりポリベンゾオキサゾール前駆体PE−01A 77重量部を得た。得られた前駆体の有する1級アミノ基量を、電位差滴定で前記と同様の条件にて測定したところ、0.00002mol/gと大幅に減少している事が分かった。
【0064】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体PE−01B〜PE−08Bの合成)
前記ポリベンゾオキサゾール前駆体PE−01Aと同様の方法で、表3および表4に示す配合にて、ポリベンゾオキサゾール前駆体PE−01B〜PE−08Bの合成を行った。なお、溶媒は全てNMPを使用し、PE−01Aの場合と同様に、モノマーの濃度が20%になるような量比で溶解して合成を行った。エンドキャップ剤として、カルボン酸クロリドを用いた配合(PE−01B〜PE−04B)においては、PE−01Aの場合と同様に、カルボン酸クロリドの2.5倍モルのピリジンを添加した。得られた前駆体の電位差滴定で測定した1級アミノ基量も、表3および表4に合わせて示した。全ての配合で1級アミノ基量が大幅に減少し、0.00008mol/g以下になっていることが分かった。
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体PR−01A〜PR−06Bの合成)
前記ポリベンゾオキサゾール前駆体PE−01Aと同様の方法で、表5に示す配合にてポリベンゾオキサゾール前駆体PR−01A〜PR−06Bの合成を行った。なお溶媒は全てNMPを使用し、PE−01Aの場合と同様にモノマーの濃度が20%になるような量比で溶解して合成を行った。エンドキャップ剤としてカルボン酸クロリドを用いた配合(PR−01AおよびPR−01B)においては、PE−01Aの場合と同様にカルボン酸クロリドの2.5倍モルのピリジンを添加した。得られた前駆体の電位差滴定で測定した1級アミノ基量も表5に合わせて示した。これらの配合ではエンドキャップ剤の量が少なく、1級アミノ基量が0.00008mol/gよりも多いことが分かった。
【0068】
【表5】
【0069】
(実施例1)
ポリベンゾオキサゾール前駆体PE−01A 30重量部を、70重量部のNMPに溶解した。得られた溶液を、シリコン基板上に、スピンコート法で塗布し、350℃で1時間加熱し、厚さ約3μmのフィルムを得た。このフィルムの1300nmの光における屈折率を、メトリコン社製プリズムカプラにて測定したところ、屈折率は1.605であった。次に、このサンプルを2%のフッ化水素酸水溶液に浸漬し、シリコン基板から剥離、水洗、乾燥することで、単体のフィルムを得た。得られたフィルムは、無色透明の均一なフィルムであった。この単体のフィルムについて、TG/DTA測定機を用い、昇温速度10℃/分で、窒素中の5%減量温度を測定したところ、523℃であった。このように得られた光導波路用材料が、耐熱性と無色透明性を兼ね備えたものであることが分かった。
【0070】
(実施例2〜16)
実施例1と同様の方法で、表6〜表8に示したポリベンゾオキサゾール前駆体を使用して、光導波路用材料のフィルムを作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を、表6〜表8に合わせて示した。全ての材料が、耐熱性と無色透明性を兼ね備えたものであることが分かった。
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】
【表8】
【0074】
(比較例1〜10)
実施例1と同様の方法で、表9および表10に示したポリベンゾオキサゾール前駆体を使用して、光導波路用材料のフィルムを作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を、表9および表10に合わせて示した。エンドキャップ剤を使用しない比較例1〜4、およびエンドキャップ剤の添加量の少ない比較例5、6、9および10では、耐熱性は問題ないものの、フィルムが着色することが分かった。また、エンドキャップ剤の添加量が多い比較例7および8では、フィルムの着色はないものの耐熱性が低下する事が分かった。
【0075】
【表9】
【0076】
【表10】
【0077】
(実施例17)
ポリベンゾオキサゾール前駆体PE−01Bを、実施例1と同様の方法でNMP溶液とし、スピンコート法により、シリコン基板上に塗布し、320℃で1時間加熱してフィルム化し、下部クラッド層とした。次いで、前記下部クラッド層上に、ポリベンゾオキサゾール前駆体PE−01Aを、下部クラッド層と同様の方法で、フィルム化しコア層とした。この際、下部クラッド膜とコア膜の間で、インターミキシングはまったく認められなかった。次に、前記コア層上に、膜厚0.3μmのアルミニウム層を蒸着し、マスク層を形成した。さらに、前記アルミニウム層上に、ポジ型フォトレジスト(ジアゾナフトキノン−ノボラック樹脂系、東京応化製、商品名OFPR−800)を、スピンコート法により塗布した後、約95℃でプリベークを行った。次に、パターン形成用のフォトマスク(Ti)を配置し、超高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射した後、ポジ型レジスト用現像液(TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、東京応化製、商品名NMD−3)を用いて現像した。その後、135℃でポストベークを行った。これにより、線幅8μmを有する直線状のレジストパターンが得られた。次に、アルミニウム層のウエットエッチングを行い、レジストパターンをアルミニウム層に転写した。更に、パターニングされたアルミニウム層をマスクとして、コア層をドライエッチングにより加工した。次に、アルミニウム層をエッチング液で除去した。更に、コア層が露出した面上に、ポリベンゾオキサゾール前駆体PE−01Bを、下部クラッド層と同様の方法でフィルム化し、上部クラッド層とした。最後に光導波路の両端を、ダイシングソーで切り落として、光の入出射端面を形成した。このようにして、シリコン基板上に埋め込み型シングルモード光導波路が得られた。
【0078】
上記で得られた埋め込み型シングルモード光導波路の光伝搬損失を、カットバック法で測定したところ、波長1.3μmで0.2dB/cm、1.55μmで0.2dB/cmであった。また、光伝搬損失の偏波依存性は波長1.3μmでも波長1.55μmでも0.5dB/cm以下であった。さらに、この光導波路の光伝搬損失は、75℃/相対湿度90%の条件以下においても1ヶ月以上変動しなかった。
【0079】
(実施例18〜28)
実施例17と同様の方法で、表11および表12に示したポリベンゾオキサゾール前駆体を、コア層、クラッド層に用いて、光導波路を作成し、実施例17と同様の評価を行った結果を、表11および表12に合わせて示した。全ての系で、光伝搬損失が小さく優れた性能の光導波路が得られていることが分かる。
【0080】
【表11】
【0081】
【表12】
【0082】
(比較例11〜15)
実施例17と同様の方法で、表13に示したポリベンゾオキサゾール前駆体を、コア層、クラッド層に用いて、光導波路を作成し、実施例17と同様の評価を行った結果を、表13に合わせて示した。どの例においても、光伝搬損失値が大きく光導波路としての性能は、劣る結果となった。比較例11〜13および15では、ポリベンゾオキサゾール前駆体が有する1級アミノ基が導波路作成時に酸化し、着色したことが光伝搬損失値を大きくした原因と思われる。また、比較例14は、材料の耐熱性が低下したため、導波路作成時に生じた微量の分解物が、光伝搬損失値を大きくした原因と思われる。
【0083】
【表13】
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリベンゾオキサゾール樹脂本来の耐熱性、電気特性、機械特性を維持したまま無色透明の優れた光導波路用材料を提供することができる。この材料を用いて作製した光導波路は光伝搬損失値の小さな優れた性能を容易に得ることができで光デバイス等の用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による埋め込み型光導波路の作成方法の一例を示す工程図である。
【符号の説明】
1 基板
2 下部クラッド層
3 コア層
4 コアパターンを形成するためのマスク層
5 レジスト層
6 上部クラッド層
Claims (8)
- 一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体と一般式(2)および/または一般式(3)で表されるエンドキャップ剤とを、前記エンドキャプ剤が、前記一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体の電位差滴定で測定される1級アミノ基1molに対し、1.1〜5.0molの割合で反応させて得られるポリベンゾオキサゾール前駆体であって、電位差滴定で測定される1級アミノ基が0.00008mol/g以下であることを特徴とするポリベンゾオキサゾール前駆体。
E1−COCl(2)
(式(2)中、E1は炭素数2〜50の1価の有機基を表す。)
- 一般式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体が、一般式(1)におけるXとして、一般式(4)で表される基を有するものである請求項1記載のポリベンゾオキサゾール前駆体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリベンゾオキサゾール前駆体を、脱水閉環してなるポリベンゾオキサゾール樹脂。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリベンゾオキサゾール前駆体または請求項6記載のポリベンゾオキサゾール樹脂を主たる成分とする光導波路用材料。
- 請求項7記載の光導波路用材料を、コアおよび/またはクラッドに用いたことを特徴とする光導波路。
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