JP2004149668A - 水性汚染防止被覆組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】水系塗料からなる塗膜において屋外に曝露されたとき従来に比べ雨筋状汚染または雨じみの汚染を低減でき、とくに塗膜形成直後からの汚れが防止でき、および雨筋状汚染または雨じみ汚染を防ぐ持続性に優れ、かつ塗液の保存安定性が良好な水性汚染防止被覆組成物を提供する。
【解決手段】フェニル基を含有しシリコーン構造を有する水性分散体であって、該分散体から成膜したクリアーフィルムの水接触角が60°以下であることを特徴とする水性汚染防止被覆組成物。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料、建築仕上塗材などとして有用であり、具体的には、建築物、鋼構造物、建材、モルタル、コンクリート、プラスチック、自動車への塗料、建築仕上塗材などの上塗りとして塗装するかあるいは、建材、モルタル、コンクリート、鋼材、自動車、プラスチックへ直接塗装するクリアーコート剤、トップコート剤、塗料などとして各種用途に利用することができる汚染防止性に優れた水性被覆組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建築物の壁面に見られる雨筋あるいは雨だれの汚染は、雨水が流れ落ちる箇所に発生し、雨筋が付いていない場所との汚れの差が建築物の美観を損ねてしまうことが問題視されている。通常この雨筋汚染を防ぐには、塗膜表面の親水性を高めることによって達成できる。溶剤系塗料においては、アルコキシシランを塗膜表面へ配位させ、経時的に加水分解することによって塗膜表面を親水性化させる技術が提案されている。この技術の問題点は塗膜形成直後の1ヶ月間前後の気象条件により、加水分解の程度が左右されるため、とくに乾燥した条件が続くことで加水分解が遅れ、塗膜が汚れてしまうという欠点があった。
【0003】
水系塗料において、この雨筋汚染を防ぐ方法として特開平9−52974号公報では、特定の溶剤を水性エマルジョンへ添加することによりその塗膜の水接触角が小さくなり、雨筋を低減できることが提案されているが、その効果は充分なものではなく、長期にわたりその効果を持続することが充分でなかった。
特開平10−46099号公報では、特定の不飽和単量体と重合性界面活性剤にて乳化重合により雨筋を低減できることが提案されているが、長期にわたりその効果を持続することが充分でなかった。
特開平10−298489号公報では、特定のブロックコポリマーの架橋剤とジヒドラジド化合物架橋剤を併用し、ポリカルボニル化合物との架橋塗膜により雨筋を低減できることが提案されているが、耐水性が充分なものではなく、その持続性にも充分でなかった。
【0004】
特開平11−217480号公報では、重合乳化剤にオキシアルキレン基を使用する方法が開示されているが、汚染防止には充分なものではなかった。
特開昭54−139938号公報では、アクリル系樹脂とコロイダルシリカの混合物の上塗り塗料を、無機質充填剤を含有するコロイダルシリカ水分散体無機塗料の塗膜上に塗装する方法が提案されているが、上塗り塗料だけでは、充分な表面硬度と汚染性は得られなかった。
特開平7−26165号公報では耐熱ブロッキング性と塗液の貯蔵安定性改良を目的に、反応性界面活性剤を使用して乳化重合して得たエマルジョンにコロイダルシリカをブレンドすることが提案されているが、コロイダルシリカの添加量が多く、得られる塗膜の耐水性が充分でなかった。
【0005】
特開昭56−57860号公報では無機建材用の下塗り塗料として密着性の改善を目的に、また特開平11−116885号公報では塗料塗膜の耐汚染性を付与する目的で、両者ともエチレン性基を持つアルコキシシランを乳化重合時に共重合したエマルジョンと、コロイダルシリカとをブレンドすることが提案されているが、当該混合塗液は保存すると凝集を起こし塗装が不可能となるか、安定化のために多量の乳化剤を添加すると塗膜の耐水性が充分ではなかった。
特公平3−47669号公報では、エマルジョンに対してコロイダルシリカの添加量が多く、得られる塗膜の耐水性が充分ではく、またエマルジョンとコロイダルシリカの混合塗液を保存すると凝集を起こし塗装が不可能となった。
特開平7−118573号公報では、防滑性を目的にコロイダルシリカ含有エマルジョンとコロイダルシリカのブレンド品をコーティングすることが提案されているが、塗料へ利用した場合、充分な光沢を得ることができなかった。
【0006】
特開昭59−217702号公報では、コロイダルシリカと乳化能のある重合性モノマーの存在下での乳化重合で得られた水分散体樹脂組成物が提案されているが、重合安定性と耐水性が劣りまたコロイダルシリカ含有量が少なく低汚染性を発揮するに至らなかった。
特開平11−1893号公報では、コロイダルシリカ、活性剤と水の存在下でのエチレン性不飽和化合物を乳化重合して得られた水性コーティング組成物が提案されているが、コロイダルシリカ含有量が多く、重合安定性と耐水性が劣った。
特開平9−165554号公報では、ジメチルシロキサン単位を多く含み、およびケト基を含有するラテックスと、ヒドラジド化合物と、コロイダルシリカとからなる組成物が開示されているが、耐汚染性を発現させるには塗液中のコロイダルシリカを多く必要とするため、塗液の貯蔵安定性が充分なものではなかった。
特開平10−168393号公報では、ケト基およびシラノール基含有エマルジョンと、ヒドラジド化合物と、加水分解性シランで表面処理したコロイダルシリカとからなる組成物が開示されているが、耐汚染性を発現させるには塗液中の表面処理コロイダルシリカを多く必要とするため、塗液の貯蔵安定性が充分なものではなかった。
【0007】
特開2001−335721号公報では、表面をノニオン系界面活性剤やビニルポリマーで被覆したコロイダルシリカとエマルジョンをブレンドした組成物が開示されているが、安定性を維持するために多くの界面活性剤を必要とし、結果として耐水性が劣るものになってしまった。また安定性も充分なものでなかった。
特開2000−319579号広報では、フェニル基含有ポリシロキサン単位により橋かけされたビニル重合体よりなる水性分散粒子が開示されているが、耐水性が充分ではなく、塗膜の水接触角は低いものとはならなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−52974号公報
【特許文献2】
特開平10−46099号公報
【特許文献3】
特開平10−298489号公報
【特許文献4】
特開平11−217480号公報
【特許文献5】
特開昭54−139938号公報
【特許文献6】
特開平7−26165号公報
【特許文献7】
特開昭56−57860号公報
【特許文献8】
特開平11−116885号公報
【特許文献9】
特公平3−47669号公報
【特許文献10】
特開平7−118573号公報
【特許文献11】
特開昭59−217702号公報
【特許文献12】
特開平11−1893号公報
【特許文献13】
特開平9−165554号公報
【特許文献14】
特開平10−168393号公報
【特許文献15】
特開2001−335721号公報
【特許文献16】
特開2000−319579号広報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、水系塗料からなる塗膜において屋外に曝露されたとき従来に比べ雨筋状汚染や雨じみの汚染を低減でき、とくに塗膜形成直後からの汚れが防止でき、さらにこれら効果の持続性に優れ、かつ塗液の保存安定性が良好な水性汚染防止被覆組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような問題点を解決するため鋭意検討をかさねた結果、特定の水性分散体と、コロイド状無機粒子と、特定の界面活性剤とからなる組成物から得られる塗膜は水に対する接触角を75°以下に低下でき、塗膜の雨筋状汚染や雨じみの汚染を低減できるという効果を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明の第1は、(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体を含有し、成膜した塗膜の水接触角が75°以下であることを特徴とする水性汚染防止被覆組成物。
本発明の第2は、(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体が(C)スルフォコハク酸系界面活性剤を含むことを特徴とする発明の第1の水性汚染防止被覆組成物。
本発明の第3は、(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体が、(B)コロイド状無機粒子を含むことを特徴とする発明の第1または2の水性汚染防止被覆組成物。
本発明の第4は、(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体が(D)アルキレンオキサイド基を有する界面活性剤を含むことを特徴とする発明の第1〜4のいずれかの水性汚染防止被覆組成物。
【0012】
本発明の第5は、(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体が、アクリル系エマルジョンであることを特徴とする発明の第1〜5のいずれかの水性汚染防止被覆組成物。
本発明の第6は、(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体が(F)フェニル基含有加水分解性シランの存在下、(E)エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られるアクリル系エマルジョンであることを特徴とする発明の第1〜6のいずれかの水性汚染防止被覆組成物。
本発明の第7は、(B)コロイド状無機粒子がコロイダルシリカであることを特徴とする発明の第3〜7のいずれかの水性汚染防止被覆組成物。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明において詳細に説明する。
本発明において、塗膜の水接触角を低くするためには、(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体が必須である。
本発明において(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体として、水性分散体がアクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、フッ素系エマルジョン等であるものがあげられるが、本発明においてアクリル系エマルジョンであることが好ましい。アクリル系エマルジョンはウレタン系エマルジョンに比べて安価であり、単独でも耐汚染性が良い。また、アクリル系エマルジョンはフッ素系エマルジョンと比べてもは安価であり、リコート性、耐汚染性が良い。
【0014】
本発明の上記アクリル系エマルジョンは、アクリル酸エステル、またはメタクリル酸エステルが重合した構造を含む重合体のエマルジョンであり、該エマルジョン粒子中にシリコーン、シラノール基またはアルコキシシラン基の構造を共存しているエマルジョンならいずれでもよい。
例えば、アルコキシシランの脱水縮合乳化重合により得られたシロキサン乳濁液に、重合触媒およびアクリレート単量体を加えてシロキサンとアクリレートとを酸性条件下で共重合させることにより得られた水性乳濁液(例えば、特公昭51−25369号公報と同様に製造できる)が挙げられる。
【0015】
また、有機系重合体粒子にアルコキシシランを吸収させた後縮合反応を進行させることによりポリシロキサンを複合化させたポリシロキサン複合重合体粒子(例えば、特開平3−45628号公報と同様に製造できる)が挙げられる。
また、レドックス触媒を用い60℃以下の温度で、pH5〜8で、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコキシシラン基を有する重合性単量体とを乳化重合してなる常温架橋型エマルジョン(例えば、特開平3−227312号公報と同様に製造できる)が挙げられる。
【0016】
また、特定のオルガノシロキサンと共重合可能な他のビニル系単量体とを乳化共重合することにより得られる乳化共重合体(例えば、特開平4−202515号公報と同様に製造できる)が挙げられる。
また、シリコーン系マクロモノマーと(メタ)アクリレートと共重合性モノマーよりなる単量体組成物を、乳化重合して得られるシリコン含有アクリル酸エステル共重合体エマルジョンとアクリルエマルジョンの混合することにより得られた水性トップコート剤(例えば、特開平5−194911号公報と同様に製造できる)が挙げられる。
【0017】
また、レドックス触媒を用い60℃以下の温度で、pH5〜8で、シクロアルキル基含有重合性単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコキシシラン基を有する重合性単量体とを乳化重合してなる耐久性塗料用合成樹脂水性エマルジョン(例えば、特開平6−122734号公報と同様に製造できる)が挙げられる。
また、アルコキシシランおよび環状シロキサン、アルコキシシラン基を有する重合性単量体を共縮合して得たポリオルガノシラン系重合体エマルジョンの存在下に、アルキル(メタ)クリレートおよびエチレン性不飽和単量体を重合し、さらにこの重合によって得られるポリオルガノシラン系重合体エマルジョンの存在下に、アルコキシシランおよび環状シロキサンを縮合反応させて得るポリシラン複合重合体エマルジョン(例えば、特開平6−157758号公報と同様に製造できる)が挙げられる。
【0018】
また、エマルション粒子の芯部分の単量体組成がシリル基を有するビニル系単量体、シクロアルキルメタクリレートおよび親水性でない他のビニル系単量体からなり、エマルションの最外殻部分の単量体組成がシリル基を有するビニル系単量体、シクロアルキルメタクリレート親水性でない他のビニル系単量体、および親水性ビニル系単量体からなり、これらの単量体成分を多段乳化重合して得られたエマルション(例えば、特開平6−306123号公報と同様に製造できる)等が挙げられる。
【0019】
本発明において、(A)フェニル基を含むシリコーン構造を持つ物質としては、フェニル基含有ポリシロキサン乳濁液を利用することが好ましい。該乳濁液の製造方法としては、フェニル基含有環状低分子シロキサンの開環乳化重合、環状低分子アルキルシロキサン開環乳化重合中にフェニル基含有アルコキシシランを反応させる方法、フェニル基含有ポリシロキサンの機械的乳化方法等が挙げられる。フェニル基含有量の調節、ポリシロキサン乳濁液の粒子径制御の点からフェニル基含有環状低分子シロキサンの開環乳化重合、環状低分子シロキサン開環乳化重合中にフェニル基含有アルコキシシランを反応させる方法を用いることが好ましい。環状低分子シロキサン化合物の乳化重合は、乳化分散系で強酸あるいは強アルカリを触媒として開環して行われ、末端シラノール基高分子ポリシロキサンの水性分散体が得られる。この方法については公知(特公昭41−13995号公報、特公昭44−20116号公報)であり、広く実用化されている。本発明における重合についてもこの方法が適用できる。該(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体の製造方法としては、ラジカル重合中または重合後に酸性状態でシロキサンを再分配反応させる方法も用いることができる。(A)フェニル基を含むシリコーン構造を持つ物質が、好ましくは、(F)フェニル基含有加水分解性シランの縮合物であるのが好ましい。また(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体が(F)フェニル基含有加水分解性シランの存在下、(E)エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られるアクリル系エマルジョンであることが好ましい。(F)フェニル基含有加水分解性シランを存在下で乳化重合させることにより、塗膜の水接触角を低下させ塗膜の高耐久性化を可能となる。
【0020】
本発明において、(F)フェニル基含有加水分解性シランは、具体的にはトリアルコキシフェニルシランとしてフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが挙げられ、ジアルコキシフェニルシランとしてジメトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシランが挙げられ、モノアルコキシフェニルシランとして、ジフェニルエトキシメチルシラン、エトキシトリフェニルシラン、ジフェニルメトキシメチルシラン、メトキシトリフェニルシランが挙げられ、その他にフェニル基を含有するアルコキシシランオリゴマー、ジフェニルシロキサン単位を含むアルコキシシランオリゴマー、フェニル基を含有し加水分解基を有する線状シロキサン等が挙げられ、フェニルシラノールとしてフェニルシラントリオール、ジフェニルシランジオール、トリフェニルシラノールが挙げられる。その中で、(F)フェニル基含有加水分解性シランとして、ジフェニルシランの単位を含むものを用いることが、塗膜の水接触角を低下させ、塗膜の柔軟性付与することを可能にするため、好ましい。ジフェニルシランの単位を含むフェニル基含有加水分解性シランとしては、具体的にはジアルコキシフェニルシランであるジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジフェニルシランジオール、ジフェニルシロキサン単位を含むアルコキシシランオリゴマー、フェニル基を含有し加水分解基を有する線状シロキサン等が挙げられる。
【0021】
フェニル基含有環状低分子シロキサンとしては、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサンなどがある。
フェニル基を含有し加水分解基を有する線状シロキサンとしては、下記の一般式(1)、(2)、(3)で表される化合物が挙げられる。
【0022】
【化1】
Figure 2004149668
【0023】
【化2】
Figure 2004149668
【0024】
【化3】
Figure 2004149668
【0025】
(式中、R の10%以上がフェニル基、Rの90%以下が水素、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、フェニル基以外の炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基又は炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基から選ばれ、各R はそれぞれ、独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、水酸基、エポキシ基、アルキレンオキサイド基又はポリアルキレンオキサイド基から選ばれ、mは1〜999の正の整数を表す。)
【0026】
フェニル基を含有するアルコキシシランオリゴマーとしては、信越化学(株)製KR−9218、KR−213、KR−510、X−40−9227、X−40−9247などがある。
本発明において(F)フェニル基含有加水分解性シランと併用できる加水分解性シランは、下記式(a)で表される、シロキサン構造を有するシラン、環状シラン、加水分解基を有する線状シロキサンから選ばれる。
(R−Si−(R4−n (a)
(式中nは0〜3の整数であり、Rは水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、フェニル基以外の炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基、または炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基から選ばれる。n個のRは同一であっても、異なっても良い。Rは炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基または水酸基から選ばれる。4−n個のRは同一であっても、異なっても良い。)
【0027】
好ましくは、(F)フェニル基含有加水分解性シランと併用できる加水分解性シランは、下記式(b)で表されるシリコーン構造を有するシランから選ぶことにより、塗膜の水接触角を低下させる。
(R−Si−(R4−n (b)
(式中nは0,1または3の整数であり、Rは水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、フェニル基以外の炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基、または炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基から選ばれる。n個のRは同一であっても、異なっても良い。Rは炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基または水酸基から選ばれる。4−n個のRは同一であっても、異なっても良い。)
【0028】
上記式(b)においてn=0のテトラアルコキシシランのRはそれぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が好ましい。テトラアルコキシシランの好ましい具体例として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどがある。
上記式(b)においてn=1のトリアルコキシシランのRとしてはメチル基、ビニル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基が好ましく、Rはそれぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が好ましい。トリアルコキシシランの好ましい具体例としては、メチルトリメトシキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランなどがある。また3官能シランのラジカル重合性二重結合を有する加水分解性シランとしてビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどがある。
【0029】
上記式(b)においてn=3のモノアルコキシシランのRとしてはメチル基、ビニル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基が好ましく、Rはそれぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が好ましい。モノアルコキシシランの好ましい具体例としては、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシランなどがある。上記式(b)で表されるこれらは単独または二種以上含んでいてもよく、好ましくはラジカル重合性二重結合を有する加水分解性シランとラジカル重合性二重結合を有しない加水分解性シランを併用できる。
【0030】
環状シランの具体例としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンなどが挙げられる。
ジアルコキシシランの具体例として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
【0031】
加水分解基を有する線状シロキサンの例としては、下記の一般式(4)、(5)、(6)で表される化合物が挙げられる。
【0032】
【化4】
Figure 2004149668
【0033】
【化5】
Figure 2004149668
【0034】
【化6】
Figure 2004149668
【0035】
(式中、R は水素、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、フェニル基以外の炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基又は炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基から選ばれ、各R はそれぞれ、独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、水酸基、エポキシ基、アルキレンオキサイド基又はポリアルキレンオキサイド基から選ばれ、mは1〜999の正の整数を表す。)
【0036】
本発明において、塗膜柔軟性および塗膜耐久性に問題があるときは、上記の(F)フェニル基含有加水分解性シランと併用できる加水分解性シランより選ばれる少なくとも1種を併用することが好ましい。その量は、(F)フェニル基含有加水分解性シランと該フェニル基含有加水分解性シランと併用できる加水分解性シランとのモル比が100/1〜10/100であることが好ましく、100/1〜35/100であることがより好ましい。(F)フェニル基含有加水分解性シランが10/100以上でシランの重合性に問題が無く、シランの低分子量物の残留が実質的に問題ない
【0037】
その他の加水分解性シランとして、クロロシラン、例えばメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、ビニルクロルシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジクロロメチルシランを含むことができる。
【0038】
上記したシラン縮合物の存在は、29SiNMR(29Si核磁気共鳴スペクトル)または HNMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)によって知ることができる。例えば、シラン(II)の縮合物は、29SiNMRのケミカルシフトが−40〜−80PPMにピークを示すことで同定することができる。また、シラン(IV)あるいは環状シランの縮合物は29SiNMRのケミカルシフトが−16〜−26PPMにピークを示すことで同定することができる。
【0039】
本発明において、アクリル系エマルジョンはアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルが重合した構造を含む重合体のエマルジョンを指す。当該アクリル系エマルジョンの重合に用いる(E)エチレン性不飽和単量体として、まずアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル(本願においてアクリル酸および又はメタクリル酸をまとめて(メタ)アクリル酸と表す)が挙げられる。当該(メタ)アクリルエステルと共重合可能な単量体は、特に制限がないが、その具体例を示せば、カルボン酸基を持つ単量体、メタクリルアミド系単量体、シアン化ビニル類等が挙げられる。
【0040】
カルボン酸基を持つ単量体としてはイタコン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸およびこれらのモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルの例としては、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0041】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
【0042】
(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
【0043】
(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体例としては、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、(E)エチレン性不飽和単量体の総質量に対して好ましくは80質量%〜100質量%、より好ましくは90質量%〜100質量%用いることが望ましい。
【0044】
本発明において、(E)エチレン性不飽和単量体としてシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことが、特に耐久性に優れるため好ましい。(E)エチレン性不飽和単量体の5質量%以上、より好ましくは5質量%以上99質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上80質量%以下が、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、あるいはそれらの混合物であることが好ましい。シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸が5質量%以上で耐久性に優れ、80%以下で成膜性が良好である。
【0045】
(メタ)アクリルアミド系単量体類としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどがあり、シアン化ビニル類としては、例えば(メタ)アクリロニトリルなどがある。
アルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和単量体としては、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、ホルミルスチロール等や、その併用が挙げられる。
【0046】
また、上記以外の(E)エチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、ブタジエン等のジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエステル類、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル類、アリルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、さらに、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピロメチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2,3−シクロヘキセンオキサイド、(メタ)アクリル酸アリル等やそれらの併用が挙げられる。
【0047】
本発明において(F)フェニル基含有加水分解性シランおよび加水分解性シランは、(E)エチレン性不飽和単量体の質量に対して0.01質量%〜300質量%用いることができる。
本発明において、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤は、下記式(7)で表されるスルフォコハク酸系化合物が挙げられる。
【0048】
【化7】
Figure 2004149668
【0049】
{式中、R,Rは同一でも、異なっていてもよく、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数6〜19アラルキル基等の炭化水素基、またはその一部が水酸基、カルボン酸基などで置換されたもの、もしくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が2〜4、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)などのアルキレンオキサイド化合物を含む有機基またはアルカリ金属、アンモニウム、有機アミン塩基または有機第四級アンモニウム塩基であり、Mはアルカリ金属、アンモニウム、有機アミン塩基または有機第四級アンモニウム塩基を示す。)
【0050】
さらに詳しくは、上記式(7)で表される化合物のR,Rにおいて、Rおよび/またはRが下記式(8)、(9)、(10)で表される化合物が挙げられる。
【0051】
【化8】
Figure 2004149668
【0052】
【化9】
Figure 2004149668
【0053】
【化10】
Figure 2004149668
【0054】
{式(8)、(9)、(10)、のそれぞれにおいて、R81は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数6〜19アラルキル基等の炭化水素基、またはその一部が水酸基、カルボン酸基などで置換されたもの、もしくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が2〜4、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)などのアルキレンオキサイド化合物を含む有機基であり、Aは炭素数2〜4個のアルキレン基または置換されたアルキレン基であり、nは0〜200の整数であり、R82は水素またはメチル基である。)}
【0055】
本発明において、一般式(7)〜(10)で表されるものとして、例えばスルフォコハク酸ジオクチルナトリウム{花王(株)製ペレックス(商標)OT−P、または三井サイテック(株)製エアロゾル(商標)OT−75など}、スルフォコハク酸ジヘキシルナトリウム{三井サイテック(株)製エアロゾル(商標)MA−80など}、三洋化成(株)製エレミノール(商標)JS−2,JS−5、花王(株)製ラテムル(商標)S−120,S−180,S−180A、三井サイテック(株)製エアロゾル(商標)TR−70、A−196−85、AY−100、IB−45、A−102,A−103、501などがある。
【0056】
本発明において、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤は、(A)フェニル基を含有しシリコーン構造を有する水性分散体の固形分100質量部に対して、0.1〜20質量部用いられ、好ましくは、0.5〜10質量部、さらに好ましくは1.0〜5質量部用いる。この範囲で使用すると、塗膜の水接触角が65°以下であり耐水性良好なフィルムが形成される。
本発明において、(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、分子内にラジカル重合性二重結合を有するアニオン性界面活性剤、ノニオン性の界面活性剤、分子内にラジカル重合性二重結合を有するノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0057】
(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤であってアニオン性界面活性剤は下記式(11)、(12)で表される化合物が挙げられる。
【0058】
【化11】
Figure 2004149668
【0059】
【化12】
Figure 2004149668
【0060】
(上記式(11)、(12)中、R111は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20アルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜19のアラルキル基などの炭化水素基、またはその一部が水酸基、カルボン酸基などで置換されたもの、もしくはポリオキシエチレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)などのアルキレンオキサイド化合物を含む有機基である。Aは炭素数2〜4のアルキレン基または一部が置換されたアルキレン基であり、nは0〜200の整数であり、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムである。)
【0061】
本発明において、(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤であって分子内にラジカル重合性二重結合を有するアニオン性界面活性剤は下記式(13)、(14)、(15)で表される化合物が挙げられる。
【0062】
【化13】
Figure 2004149668
【0063】
(式中、R131は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基であり、R132は水素、炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、またはアラルキル基、R133は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基または一部が置換されたアルキレン基であり、nは1〜200の整数、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムである。)
【0064】
【化14】
Figure 2004149668
【0065】
(式中、R141は水素またはメチル基、R142は炭素数8〜24のアルキル基またはアシル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは0〜50の整数、mは0〜20の整数、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムである。)
【0066】
【化15】
Figure 2004149668
【0067】
(式中、R151は炭素数8〜30のアルキル基、R152は水素またはメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基もしくは置換アルキレン基、nは0または1〜200の整数であり、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムもしくはアルカノールアミン残基である。)
【0068】
上記式(13)で表されるアルキルフェノールエーテル系化合物として、例えば第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)HS−10などがあり、上記式(14)で表される化合物として例えば、旭電化工業(株)製アデカリアソープ(商標)SE−1025A、SR−1025A、SR−10N、SR−20Nなどがあり、上記式(15)で表される化合物として例えば、第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)KH−5、KH−10などが挙げられる。その他アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤であって分子内にラジカル重合性二重結合を有するアニオン性界面活性剤として例えば、日本乳化剤(株)製Antox(商標)−MS−60などがあり、花王(株)製ラテムルPD−101、PD−104などがあり、三洋化成(株)製エレミノール(商標)RS−30などがある。
【0069】
本発明において、(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤において、ノニオン性の界面活性剤は下記式(16)、(17)で示される化合物が挙げられる。
【0070】
【化16】
Figure 2004149668
【0071】
【化17】
Figure 2004149668
【0072】
(上記式(16)、(17)中、R161は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20アルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜19のアラルキル基などの炭化水素基、またはその一部が水酸基、カルボン酸基などで置換されたもの、もしくはポリオキシエチレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)などのアルキレンオキサイド化合物を含む有機基である。Aは炭素数2〜4のアルキレン基または一部が置換されたアルキレン基であり、nは0〜200の整数であり、R162は水素またはメチル基である。)
【0073】
本発明において、(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤であって分子内にラジカル重合性二重結合を有するノニオン性界面活性剤は下記式(18)、(19)、(20)で表される化合物が挙げられる。
【0074】
【化18】
Figure 2004149668
【0075】
(式中、R181は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基であり、R182は水素、炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、またはアラルキル基、R183は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基または一部が置換されたアルキレン基であり、nは1〜200の整数である。)
【0076】
【化19】
Figure 2004149668
【0077】
(式中、R191は水素またはメチル基、R192は炭素数8〜24のアルキル基またはアシル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは0〜100の整数、mは0〜50の整数である。)
【0078】
【化20】
Figure 2004149668
【0079】
(式中、R201は炭素数8〜30のアルキル基、R202は水素またはメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基もしくは置換アルキレン基、nは0または1〜200の整数である。)
上記式(18)で表される化合物として例えば、第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)RN−10、RN−20、RN−30、RN−50などが挙げられる。上記式(19)で表される化合物として例えば、旭電化工業(株)製アデカリアソープ(商標)NE−20、NE−30、NE−40、ER−10、ER−20、ER−30、ER−40などが挙げられる。
【0080】
本発明において、(D)アルキレンオキサイド基を含有する界面活性剤の使用量は、特に限定はしないが、耐水性良好なフィルムを得るためには使用量が少ないことが好ましく、(A)フェニル基を含有しシリコーン構造を有する水性分散体の固形分100質量部に対し、0.1〜5質量%使用することができる。
本発明において乳化重合に使用される界面活性剤として(C)スルフォコハク酸系界面活性剤、(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤以外には、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸カリウム、アクリル酸−(2−スルホエチル)エステルナトリウム、アクリル酸−(2−スルホエチル)エステルカリウム、メタクリル酸−(2−スルホエチル)エステルナトリウム、アクリル酸−(3−スルホプロピル)エステルカリウム、メタクリル酸−(3−スルホプロピル)エステルナトリウム、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどが挙げられる。
【0081】
本発明における本発明における(B)コロイド状無機粒子としては、(B)コロイド状無機粒子としては、コロイダルシリカが入手が容易で、安価であり好ましい。コロイダルシリカは、ゾル−ゲル法で調製して使用することもでき、市販品を利用することもできる。コロイド状シリカをゾル−ゲル法で調製する場合には、Werner Stober et al;J.Colloid and Interface Sci., 26, 62−69 (1968)、Rickey D.Badley et al;Lan g muir 6, 792−801 (1990)、色材協会誌,61 [9] 488−493 (1988) などを参照できる。コロイダルシリカは、二酸化ケイ素を基本単位とするシリカの水または水溶性溶媒の分散体であり、その平均粒子径は好ましくは5〜120nm、より好ましくは10〜80nmである。粒子径が5nm以上では塗液の貯蔵安定性が良く、120nm以下では耐水白化性が良い。上記範囲の粒子径のコロイダルシリカは、水性分散液の状態で、酸性、塩基性のいずれであっても用いることができ、混合する(A)水性分散体の安定領域に応じて、適宜選択することができる。水を分散媒体とする酸性のコロイダルシリカとしては、例えば市販品として日産化学工業(株) 製スノーテックス(商標)−O、スノーテックス−OL、旭電化工業(株)製アデライト(商標)AT−20Q、クラリアントジャパン(株)製クレボゾール(商標)20H12、クレボゾール30CAL25などが利用できる。
【0082】
塩基性のコロイダルシリカとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アミンの添加で安定化したシリカがあり、例えば日産化学工業(株)製スノーテックス−20、スノーテックス−30、スノーテックス−C、スノーテックス−C30、スノーテックス−CM40、スノーテックス−N、スノーテックス−N30、スノーテックス−K、スノーテックス−XL、スノーテックス−YL、スノーテックス−ZL、スノーテックスPS−M、スノーテックスPS−Lなど、旭電化工業(株)製アデライトAT−20、アデライトAT−30、アデライトAT−20N、アデライトAT−30N、アデライトAT−20A、アデライトAT−30A、アデライトAT−40、アデライトAT−50など、クラリアントジャパン(株)製クレボゾール30R9、クレボゾール30R50、クレボゾール50R50など、デュポン社製ルドックス(商標)HS−40、ルドックスHS−30、ルドックスLS、ルドックスSM−30などを挙げることができる。
【0083】
また、水溶性溶剤を分散媒体とするコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製MA−ST−M(粒子径が20〜25nmのメタノール分散タイプ)、IPA−ST(粒子径が10〜15nmのイソプロピルアルコール分散タイプ)、EG−ST(粒子径が10〜15nmのエチレングリコール分散タイプ)、EG−ST−ZL(粒子径が70〜100nmのエチレングリコール分散タイプ)、NPC−ST(粒子径が10〜15nmのエチレングリコールモノプロピルエーテール分散タイプ)などを挙げることができる。
また、これらの一種または二種類以上組み合わせてもよい。少量成分として、アルミナ、アルミン酸ナトリウムなどを含んでいてもよい。また、コロイダルシリカは、安定剤として無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニアなど)や有機塩基(テトラメチルアンモニウムなど)を含んでいてもよい。
【0084】
また、(B)コロイド状無機粒子としては、シリカ以外のコロイド状粒子を与える無機化合物を使用してもよく、当該無機化合物の具体例としては、TiO、TiO、SrTiO、FeTiO、WO、SnO、Bi、In、ZnO、Fe、RuO、CdO、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO、MoS、LaRhO、GaN、CdP、ZnS、ZnSe、ZnTe、Nb、ZrO、InP、GaAsP、InGaAlP、AlGaAs、PbS、InAs、PbSe、InSbなどの光触媒能を有する半導体の他、Al、AlGa、As、Al(OH)、Sb、Si、Sn−In、Sb−In、MgF、CeF、CeO、3Al・2SiO、BeO、SiC、AlN、Fe、Co、Co−FeO、CrO、FeN、BaTiO、BaO−Al−SiO、Baフェライト、SmCO、YCO、CeCOPrCO、SmCO17、NdFe14B、Al、α−Si、SiN、CoO、Sb−SnO、Sb、MnO、MnB、Co、CoB、LiTaO、MgO、MgAl、BeAl、ZrSiO、ZnSb、PbTe、GeSi、FeSi、CrSi、CoSi、MnSi1.73、MgSi、β−B、BaC、BP、BaC、BP、TiB、ZrB、HfB、RuSi、TiO(ルチル型)、TiO、PbTiO、AlTiO、ZnSiO、ZrSiO、2MgO−Al−5SiO、Nb、LiO−Al−4SiO、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフェライト、Liフェライト、Srフェライトなど挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0085】
本発明で用いるコロイド状無機粒子(B)は有機ポリマーで被覆されていても良い。 有機ポリマーで被覆されたコロイド状無機粒子としては、特に限定されるものではないが、例えばエチレン性不飽和単量体、ラジカル重合性二重結合を有する加水分解性シランを、コロイダルシリカを乳化重合する方法により得られる粒子(例えば、特開昭59−71316号公報に開示)、エチレン性不飽和単量体、陰イオン性重合性単量体をコロイダルシリカの存在下乳化重合する方法により得られる粒子(例えば、特開昭59−217702号公報に開示)、無機粒子に水溶性高分子化合物を吸着させついでラジカル重合性モノマーの重合物で被覆する方法より得られる粒子(例えば、特開昭60−58237号公報に開示)、エチレン性不飽和単量体、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体をコロイダルシリカの存在下乳化重合する方法より得られる粒子(例えば、特開平6−199917号公報で開示)、コア/シェル構造を有し、コア中に有機高分子と有機高分子と共有結合していないシリカおよび/またはコロイダルシリカを配し、シェル中に有機高分子を配し、コア有機高分子/シェル有機高分子間に三次元架橋網目構造および/またはIPN構造を形成せしめることにより、コア中のシリカおよび/またはコロイダルシリカを共有結合によることなく物理化学的に粒子内に保持した粒子(例えば、特開平8−290912号公報に開示)、コロイダルシリカ、活性剤および水の存在下、エチレン性不飽和化合物を乳化重合する方法より得られる粒子(例えば、特開平11−1893号公報に開示)、カチオン性残基を介して、コロイド状シリカ粒子表面にビニル重合体が結合した粒子(例えば、特開平11−209622号公報に開示さ)、直接またはノニオン界面活性剤を介して無機または有機粒子表面にビニル重合体が結合した粒子(例えば、特開2000−290464号公報に開示)、無機または有機粒子表面にノニオン界面活性剤が集合または凝集して沈着しているコロイド状微粒子(例えば、特開2001−335721号公報に開示)などであることが好ましい。
【0086】
本発明において、(B)コロイド状無機粒子は、(A)フェニル基を含むしシリコーン構造を有する水性分散体の固形分100質量部に対し、好ましくは0.1〜95質量部用いられ、より好ましくは0.1〜50質量部、さらに好ましくは0.5〜20質量部用いる。
本発明において、(A)フェニル基を含むしシリコーン構造を有する水性分散体、(B)コロイド状無機粒子、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤および(D)アルキレンオキサイド基を含有する界面活性剤を混合する順序はとくに限定されるものではないが、(A)、(B)、(C)、(D)を混合する方法として具体的には、(A)へ(B)、(C)、(D)の順に混合する方法、(A)へ(B)、(D)、(C)の順に混合する方法、(A)へ(C)、(B)、(D)の順に混合する方法、(A)へ(C)、(D)、(B)の順に混合する方法、(A)へ(D)、(B)、(C)の順に混合する方法、(A)へ(D)、(C)、(B)の順に混合する方法、(A)へ、(B)と(C)の混合物、(D)の順に混合する方法、(A)へ、(D)、(B)と(C)の混合物の順に混合する方法、(A)へ、(B)と(D)の混合物、(C)の順に混合する方法、(A)へ、(C)、(B)と(D)の混合物の順に混合する方法、(A)へ、(C)と(D)の混合物、(B)の順に混合する方法、(A)へ、(B)、(C)と(D)の混合物の順に混合する方法、(A)へ、(B)、(C)、(D)の混合物を混合する方法が挙げられる。
【0087】
(A)を製造する際に(C)および/または(D)を使用した具体例としては、(A)を製造する際に(C)および/または(D)を使用し、その後(B)を混合する方法、(A)を製造する際に(C)および/または(D)を使用し、その後(B)、(C)を混合する方法{この場合(C)は同一であっても異なっていてもよい}、(A)を製造する際に(C)および/または(D)を使用し、その後(B)、(D)を混合する方法{この場合(D)は同一であっても異なっていてもよい}、(A)を製造する際に(C)および/または(D)を使用し、その後(B)、(C)、(D)を混合する方法{この場合(C)、(D)は同一であっても異なっていてもよい}が挙げられる。混合する際、室温で混合すること、または90℃を上限として加熱混合することもできる。
【0088】
本発明において、(A)水性分散体の樹脂固形分100質量部に対し、好ましくは(B)コロイド状無機粒子の固形分が0.1〜95質量部であり、より好ましくは(A)水性分散体の樹脂固形分100質量部に対し、(B)コロイド状無機粒子の固形分が0.1〜50質量部、さらに好ましくは(A)水性分散体の樹脂固形分100質量部に対し、(B)コロイド状無機粒子の固形分が0.5〜20質量部である。(B)コロイド状無機粒子がこの範囲内であると得られる塗膜の耐水性が良好であり、かつ塗膜の雨筋が目立たない。
【0089】
本発明において、(A)水性分散体の樹脂固形分100質量部に対し、好ましくは(C)スルフォコハク酸系界面活性剤が0.1〜20質量部であり、より好ましくは(A)水性分散体の樹脂固形分100質量部に対し、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤が0.5〜10質量部であり、さらに好ましくは(A)水性分散体の樹脂固形分100質量部に対し、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤が1.0〜5質量部である。(C)スルフォコハク酸系界面活性剤がこの範囲内であると得られる塗膜の耐水性が良好であり、かつ塗膜の雨筋が目立たない。また塗液の貯蔵安定性が良好となる。
【0090】
本発明において、混合時にあるいは塗料顔料の前分散時に(C)スルフォコハク酸系界面活性剤や、(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤、重合時に加えることのできるその他の界面活性剤の他、必要により以下の界面活性剤を併用することができる。具体的には、例えばヘキサメタリン酸のナトリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩、トリポリリン酸のナトリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩、ポリアクリル酸等のカルボン酸基を持つポリマーのナトリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩。その他、例えば、高級脂肪酸、樹脂酸、酸性脂肪アルコール、硫酸エステル、高級アルキルスルホン酸、スルホン酸アルキルアリル、スルホン化ひまし油等の塩に代表されるアニオン性界面活性剤、あるいはエチレンオキサイドと長鎖脂肪アルコールまたはフェノール類、リン酸類との公知の反応生成物に代表されるノニオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩等を含有するカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0091】
本発明において(F)フェニル基を含有加水分解性シランの存在下、(E)エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られるアクリル系エマルジョンであることが好ましい。(F)フェニル基を含有加水分解性シランの存在下で乳化重合させることにより、塗膜の耐汚染性と耐久性の向上を可能としている。
本発明において、(E)エチレン性不飽和単量体および(C)スルフォコハク酸系界面活性剤および/または(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤とをプレ乳化液とし、該プレ乳化液と(F)フェニル基含有加水分解性シランまたは(F)フェニル基含有加水分解性シランと併用できる加水分解性シランとの混合物とを混合した後、水性媒体中において、重合されている反応系へ連続的または間欠的に逐次添加することが好ましい。
【0092】
本発明において、(E)エチレン性不飽和単量体および(C)スルフォコハク酸系界面活性剤および/または(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤とからなるプレ乳化液は、ホモジナイザー等の高せん断力のかかる撹拌機によりプレ乳化液とするのが好ましい。また任意に水、重合開始剤とともにプレ乳化液とすることができる。
本発明において、(E)エチレン性不飽和単量体および(C)スルフォコハク酸系界面活性剤および/または(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤とからなる乳化液とした後、該プレ乳化液と(F)フェニル基含有加水分解性シランまたは(F)フェニル基含有加水分解性シランと併用できる加水分解性シランとの混合物とを連続的または間欠的に混合しながら、水性媒体中において乳化重合することにより得られ、重合は重合されている反応系へ連続的または間欠的に逐次添加することが必要である。
【0093】
本発明において、該プレ乳化液と(F)フェニル基含有加水分解性シランまたは(F)フェニル基含有加水分解性シランと併用できる加水分解性シランとの混合物とを連続的または間欠的に混合しながらという混合方法とは、混合後1分以内、好ましくは30秒以内、さらに好ましくは10秒以内に重合されている反応系へ逐次添加するか、最も好ましくは反応系に添加される直前に混合された後、重合されている反応系へ連続的または間欠的に逐次添加される。
【0094】
このときの該プレ乳化液と(F)フェニル基含有加水分解性シランまたは(F)フェニル基含有加水分解性シランと併用できる加水分解性シランとの混合物の混合方法としてホモジナイザー等を高速回転により高せん断力のかかる撹拌で乳化すると、(F)フェニル基含有加水分解性シランまたは(F)フェニル基含有加水分解性シランと併用できる加水分解性シランとの混合物が加水分解し、アルコール等の発生により乳化液の乳化状態が破壊されてしまう。従って該プレ乳化液と(F)フェニル基含有加水分解性シランまたは(F)フェニル基含有加水分解性シランと併用できる加水分解性シランとの混合物の混合方法は緩やかな撹拌とすることが必要であり、具体的には(F)フェニル基含有加水分解性シランまたは(F)フェニル基含有加水分解性シランと併用できる加水分解性シランとの混合物は、平均粒径で10μm以上の乳化状態に留めるべきで、好ましくは(F)フェニル基含有加水分解性シランまたは(F)フェニル基含有加水分解性シランと併用できる加水分解性シランとの混合物が混合液中で目視可能な平均粒径100μm以上の乳化状態に留めるべきである。
【0095】
本発明において具体的な混合方法としては、例えばスタティックミキサーN10シリーズ、N16シリーズ、N60シリーズ(製品名、ノリタケ(株)製)、その他Y字間の出口末端へ金属網、ラシヒリングあるいは沸石等を充填する方法が挙げられる。インラインミキサーとしては125L、275L(製品名、Silverson Machines,Inc.製)、T.K.パイプラインホモミキサー(製品名、特殊機化工業(株)製)、T.K.ホモミックラインミキサー(製品名、特殊機化工業(株)製)等の撹拌機を利用する場合は、撹拌回転数をできるだけ抑えて使用することも可能である。混合時の温度としては60℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。前記条件を満たさない場合には、ラジカル重合性単量体乳化液の酸性あるいは塩基性によって多くの加水分解性シランが加水分解を起こし、プレ乳化液を破壊し、プレ乳化液は単量体層部と水層部とに分離を生じてしまう。その結果、重合中の反応系では多くの凝集物を発生してしまう。
【0096】
本発明のエマルジョンは、乳化重合、すなわちラジカル重合性単量体のラジカル重合による乳化重合と、加水分解性シランの加水分解・縮合反応による乳化重合を同時に水性媒体中で行うことにより得られる。ここにいう水性媒体としては、主に水が用いられるが、炭素数1〜3の低級アルコールまたはアセトンなどの水に可溶な溶媒を水に 添加したものも含む。この際添加する水以外の溶媒の量はエマルジョン中に20%以下であることが好ましい。
【0097】
(F)フェニル基含有加水分解性シランの存在下、(E)エチレン性不飽和単量体を乳化重合するには、乳化重合中の乳化重合系の水素イオン濃度(pH)は、pH4.0以下で実施することが好ましく、さらにpH1.5以上3.5以下が好ましい。上限以下で乳化重合を実施することにより、加水分解性シランの縮合反応が促進し、乳化重合後は縮合反応が進まないため、製品としての貯蔵安定性が良くなる。
【0098】
乳化重合においては、ラジカル重合触媒として、熱または還元性物質などによってラジカル分解してエチレン性不飽和単量体の付加重合を起こさせることができ、水溶性または油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などを有利に使用することができる。
その例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など挙げることができるが、加水分解性シランの加水分解反応および縮合反応を促進させるための触媒としても効果のある過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムを用いることが好ましい。ラジカル重合触媒の量としては、(E)エチレン性不飽和単量体の質量に対して通常0.05質量%〜1質量%を用いることができる。
【0099】
通常、重合反応は常圧下、65〜90℃の重合温度で行うことが好ましいが、モノマーの重合温度における蒸気圧などの特性に合わせ、高圧下でも実施することができる。重合時間としては、導入時間と、導入後の熟成(cooking)時間がある。導入時間は、各種原料を反応系へ同時に導入する場合は通常数分であり、各種原料を反応系へ逐次導入する場合は重合による発熱が除熱可能な範囲で反応系へ逐次導入するため、最終的に得られるエマルジョン中の重合体濃度によっても異なるが、通常10分以上である。導入後の熟成時間としては、少なくとも10分以上であることが好ましい。この重合時間以下では、各原料がそのまま残留したり、加水分解性シランが縮合せずに加水分解物のまま残留してしまう恐れがある。
【0100】
なお、重合速度の促進、および70℃以下での低温での重合が望まれるときには、例えば重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリットなどの還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。さらに、分子量を調整するために、ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤を任意に添加することも可能である。
なお、加水分解性シランを用いた乳化重合において、乳化重合終了後、成膜時の硬化触媒として、例えばジブチルすずジラウレート、ジオクチルすずジラウレート、ジブチルすずジアセテート、オクチル酸すず、ラウリン酸すず、オクチル酸鉄、オクチル酸鉛、テトラブチルチタネートなどの有機酸の金属塩、n−ヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどのアミン化合物を、本発明の高耐久性エマルジョンへ添加することができる。なおこれらの硬化用触媒が水溶性でない場合には、その使用に際して、界面活性剤と水を用いてエマルジョン化しておくことが望ましい。
【0101】
本発明に係わるエマルジョンは、分散質の平均粒子径として、10〜1000nmであることが好ましい。
本発明に係わるエマルジョンの各々の不揮発分としては、20〜70%であることが好ましく、30〜65%であることがさらに好ましい。
本発明の上塗り用組成物、または下塗り用組成物は、エマルジョンの長期の分散安定性を保つため、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジメチルアミノエタノールなどのアミン類を用いてpH5〜10の範囲に調整することが好ましい。
【0102】
その他、本発明の水性汚染防止被覆組成物には、通常水系塗料に添加配合される成分、例えば、増粘剤、成膜助剤、可塑剤、凍結防止剤、消泡剤、染料、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を任意に配合することができる。
増粘剤として具体的には、(部分鹸化)ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の高分子分散安定剤等、その他ポリエーテル系、ポリカルボン酸系増粘剤等が挙げられる。
【0103】
成膜助剤として具体的には、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ブタンジオールイソブチレート、グルタル酸ジイソプロピル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、等が挙げられる。これら成膜助剤は、単独または併用など任意に配合することができる。
【0104】
可塑剤として具体的には、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等が挙げられる。
凍結防止剤として具体的には、プロピレングリコール、エチレングルコール等が挙げられる。
紫外線吸収剤にはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系があり、非反応型ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアリルオキシベンゾフェノンなどがある。
【0105】
ラジカル重合性ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤として具体的には、2−ヒドロキシ−4−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−ジエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−トリエトキシ)ベンゾフェノンなどがある。
【0106】
非反応型ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として具体的には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール)、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN1130)、イソオクチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN384)、2−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN571)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN900)などがある。
【0107】
ラジカル重合性ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として具体的には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、製品名:RUVA−93)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチル−3−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリリルオキシプロピル−3−tert−ブチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロピル−3−〔3’−(2’’−ベンゾトリアゾリル)−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチル〕フェニルプロピオネート(日本チバガイギー(株)製、製品名:CGL−104)などがある。
【0108】
非反応型トリアジン系紫外線吸収剤として具体的には、TINUVIN400(製品名、日本チバガイギー(株)製)などがある。
非反応型光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤の中で塩基性の低いものが好ましく、具体的には塩基定数(pKb)が8以上のものが好ましい。
具体的には、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−セバケートの混合物(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN292)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、TINUVIN123(製品名、日本チバガイギー(株)製)などがある。
【0109】
ラジカル重合性ヒンダードアミン系光安定剤として具体的には、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−シアノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートなどがある。
【0110】
本発明において、紫外線吸収剤および/または光安定剤は、(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体を製造する乳化重合時に存在させることにより(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体に導入する方法、紫外線吸収剤および/または光安定剤を成膜助剤などと混合して(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体に添加することにより導入する方法、紫外線吸収剤および/または光安定剤を成膜助剤と混合し、界面活性剤、水を加え乳化させた後、(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体に添加することにより導入する方法が挙げられる。また、紫外線吸収剤と光安定剤を併用すると、相乗効果により卓越した耐久性を示す。
【0111】
本発明の好ましい1つの態様は、(E)エチレン性不飽和単量体が同じか異なった(E)および(E)よりなり、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤および/または(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤が、互いに同じか異なった界面活性剤(C)および/または(D)、(C)および/または(D)よりなり、上記乳化重合をステップ(1)、ステップ(2)の順で行い、ステップ(1)においては(E)エチレン性不飽和単量体を、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤および/または(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤乳化剤の存在下、水性媒体中において乳化重合に付すことにより、ステップ(1)エマルジョンを得、ステップ(2)においては、(E)エチレン性不飽和単量体を、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤および/または(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤乳化剤を、必要に応じて水性媒体と共に、ステップ(1)エマルジョンに添加することによって、乳化重合を行い、(F)フェニル基含有加水分解性シランを使用しシリコーン変性することによって、(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体を得る。得られた(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体に(B)コロイド状無機粒子、必要に応じて(C)スルフォコハク酸系界面活性剤、(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤を配合することにより水性汚染防止被覆組成物が提供される。
【0112】
また、本発明の好ましいもう1つの態様は、(E)エチレン性不飽和単量体が同じか異なった(E)、(E)および(E)よりなり、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤および/または(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤が、互いに同じか異なった界面活性剤(C)および/または(D)、(C)および/または(D)(C)および/または(D)よりなり、上記乳化重合をステップ(1)、ステップ(2)、ステップ(3)の順で行い、ステップ(1)においては(E)エチレン性不飽和単量体を、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤および/または(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤乳化剤の存在下、水性媒体中において乳化重合し、(F)フェニル基含有加水分解性シランを使用しシリコーン変性することにより、ステップ(1)エマルジョンを得、ステップ(2)においては、(E)エチレン性不飽和単量体を、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤および/または(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤乳化剤を、必要に応じて水性媒体と共に、ステップ(1)エマルジョンに添加することによって、乳化重合を行いステップ(2)エマルジョンを得、ステップ(3)においては、(E)エチレン性不飽和単量体を、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤および/または(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤乳化剤を、必要に応じて水性媒体と共に、ステップ(2)エマルジョンに添加することによって、乳化重合を行い、(F)フェニル基含有加水分解性シランを使用しシリコーン変性することによって、(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体を得る。得られた(A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体に(B)コロイド状無機粒子、必要に応じて(C)スルフォコハク酸系界面活性剤、(D)アルキレンオキサイド基を含む界面活性剤を配合することにより水性汚染防止被覆組成物が提供される。
【0113】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明する。なお、実施例および比較例中の部および%は、それぞれ質量部および質量%を示す。また、得られた水性汚染防止被覆組成物の物性試験については、該水性汚染防止被覆組成物を用いて下記に示す配合組成で塗料を調整し、以下に示す試験方法に従って試験を実施した。
Figure 2004149668
上記、配合物を卓上サンドミルにて20分分散させ、顔料ディスパージョンを得た。
Figure 2004149668
【0114】
<試験方法>
・水性分散体等の固形分
水性分散体等固形分測定対象物を105℃にて3時間乾燥させた後の乾燥質量である。
・水性分散体等の固形分率の測定
予め質量の分かっているアルミ皿に、約1gの水性分散体等固形分率測定対象物を正確に秤量し、恒温乾燥機で105℃にて3時間乾燥した後、シリカゲルを入れたデシケーター中で、30分放冷後に精秤する。当該物質の乾燥後質量を乾燥前質量で割ったものを固形分率とした。
・塗膜の水接触角
上記クリアー塗料配合物をガラス板上に、乾燥膜厚100g/mとなるようにワイヤーコーターで塗布し、室温にて4週間乾燥させて試験体を得た。試験体の水接触角を、協和界面科学(株)製CA−X150型接触角測定器にて測定した。
【0115】
・雨染み汚染性
図1に示したアルマイト板上に、各実施例、比較例の配合物を塗料としたものを、乾燥膜厚100g/m となるようにワイヤーコーターで塗布し、室温にて4週間乾燥させて試験体を得た。この試験体を屋外にて地面に塗膜面が垂直に、かつ北方向になるように固定し、曝露開始後3カ月後について雨染み汚染を目視判定した。判定基準は以下の通り。
◎;雨筋が全く見られない。
〇;全体の汚れてはいるが、雨筋が見られない。
△;全体の汚れ、やや雨筋が見られる。
×;雨筋が著しく見られる。
【0116】
[水性分散体の製造例1]
撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温度計を取り付けた反応容器を用意し、2つ滴下槽はY字管〔Y字管の出口には100メッシュの金網を詰め2つ滴下槽の液が混じり合うところまで、モレキュラシーブス3A(製品名:和光純薬(株)製)〕を充填し、ラジカル重合性単量体を含むプレ乳化液と加水分解性シランとの緩やかな混合ができるように調整した。〕を介して反応系へ流入できるように組み立てた。反応容器に水296部、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ラテムルS−180A(有効分:約50%)、花王(株)製)4部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分後に、メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸シクロヘキシル50部、アクリル酸ブチル15部、メタクリル酸10部、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ペレックスOT−P(有効分:約70%)、花王(株)製)を3部、アルキレンオキサイド基を含むアニオン性界面活性剤(製品名:アデカリアソープSR−1025A(有効分:約25%)、旭電化工業(株)製)を4部、アルキレンオキサイド基を含むノニオン性界面活性剤(製品名:エマルゲン120、花王(株)製)の20%水溶液5部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、水44部からなる乳化混合液を滴下槽より40分かけて流入させる。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0117】
次に、メタクリル酸メチル109部、メタクリル酸シクロヘキシル160部、アクリル酸ブチル123部、メタクリル酸8部、ペレックスOT−Pを11部、アデカリアソープSR−1025Aを16部、エマルゲン120の20%水溶液20部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液60部、水177部からなる乳化混合液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1部、メチルトリメトキシシラン20部、ジフェニルジメトキシシラン20部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して160分かけて流入させる。シリコーン変性反応中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして120分保つ。
【0118】
室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところpH2.0であった。25%アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して0.06%とわずかであった。得られたアクリル系エマルジョンの固形分率は44.7%、粒子径98nmで単一分布であった。
【0119】
[水性分散体の製造例2]
撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温度計を取り付けた反応容器を用意し、2つ滴下槽はY字管〔Y字管の出口には100メッシュの金網を詰め2つ滴下槽の液が混じり合うところまで、モレキュラシーブス3A(製品名:和光純薬(株)製)〕を充填し、ラジカル重合性単量体を含むプレ乳化液と加水分解性シランとの緩やかな混合ができるように調整した。〕を介して反応系へ流入できるように組み立てた。反応容器に水296部、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ラテムルS−180A(有効分:約50%)、花王(株)製)4部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分後に、メタクリル酸メチル32部、メタクリル酸シクロヘキシル60部、メタクリル酸ブチル30部、アクリル酸ブチル74部、メタクリル酸4部、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ラテムルS−180A(有効分:約50%)、花王(株)製)8部、アルキレンオキサイド基を含むアニオン性界面活性剤(製品名:アクアロンアKH−1025(有効分:約25%)、第一工業製薬(株)製)を8部、アルキレンオキサイド基を含むノニオン性界面活性剤(製品名:エマルゲン120、花王(株)製)の20%水溶液10部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液30部、水86部からなる乳化混合液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5部、フェニルトリメトキシシラン10部、ジフェニルジメトキシシラン10部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して80分かけて流入させる。シリコーン変性反応中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0120】
次に、メタクリル酸メチル16部、メタクリル酸シクロヘキシル50部、メタクリル酸ブチル15部、アクリル酸ブチル9部、メタクリル酸10部、ラテムルS−180Aを4部、アクアロンアKH−1025を4部、エマルゲン120の20%水溶液を5部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、水43部からなる乳化混合液を滴下槽より40分かけて流入させる。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0121】
次に、メタクリル酸メチル42部、メタクリル酸シクロヘキシル100部、メタクリル酸ブチル30部、アクリル酸ブチル24部、メタクリル酸4部、ラテムルS−180Aを8部、アクアロンアKH−1025を8部、エマルゲン120の20%水溶液を10部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液30部、水86部からなる乳化混合液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5部、フェニルトリメトキシシラン10部、ジフェニルジメトキシシラン10部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して80分かけて流入させる。シリコーン変性反応中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして120分保つ。
【0122】
室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところpH2.0であった。25%アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して0.05%とわずかであった。得られたアクリル系エマルジョンの固形分率は45.2%、粒子径98nmで単一分布であった。
【0123】
[水性分散体の製造例3]
撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温度計を取り付けた反応容器を用意し、2つ滴下槽はY字管〔Y字管の出口には100メッシュの金網を詰め2つ滴下槽の液が混じり合うところまで、モレキュラシーブス3A(製品名:和光純薬(株)製)〕を充填し、ラジカル重合性単量体を含むプレ乳化液と加水分解性シランとの緩やかな混合ができるように調整した。〕を介して反応系へ流入できるように組み立てた。反応容器に水296部、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ラテムルS−180A(有効分:約50%)、花王(株)製)4部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分後に、メタクリル酸メチル32部、メタクリル酸シクロヘキシル60部、メタクリル酸ブチル30部、アクリル酸ブチル74部、メタクリル酸4部、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ラテムルS−180A(有効分:約50%)、花王(株)製)8部、アルキレンオキサイド基を含むアニオン性界面活性剤(製品名:アクアロンアKH−1025(有効分:約25%)、第一工業製薬(株)製)を8部、アルキレンオキサイド基を含むノニオン性界面活性剤(製品名:エマルゲン120、花王(株)製)の20%水溶液10部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液30部、水86部からなる乳化混合液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5部、メチルトリメトキシシラン5部、フェニルトリメトキシシラン5部、ジフェニルジメトキシシラン10部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して80分かけて流入させる。シリコーン変性反応中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0124】
次に、メタクリル酸メチル16部、メタクリル酸シクロヘキシル50部、メタクリル酸ブチル15部、アクリル酸ブチル9部、メタクリル酸10部、ラテムルS−180Aを4部、アクアロンアKH−1025を4部、エマルゲン120の20%水溶液を5部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、水43部からなる乳化混合液を滴下槽より40分かけて流入させる。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0125】
次に、メタクリル酸メチル42部、メタクリル酸シクロヘキシル100部、メタクリル酸ブチル30部、アクリル酸ブチル24部、メタクリル酸4部、ラテムルS−180Aを8部、アクアロンアKH−1025を8部、エマルゲン120の20%水溶液を10部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液30部、水86部からなる乳化混合液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5部、メチルトリメトキシシラン5部、フェニルトリメトキシシラン5部、ジフェニルジメトキシシラン10部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して80分かけて流入させる。シリコーン変性反応中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして120分保つ。
【0126】
室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところpH2.0であった。25%アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して0.05%とわずかであった。得られたアクリル系エマルジョンの固形分率は45.3%、粒子径100nmで単一分布であった。
【0127】
[水性分散体の製造例4]
撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温度計を取り付けた反応容器を用意し、2つ滴下槽はY字管〔Y字管の出口には100メッシュの金網を詰め2つ滴下槽の液が混じり合うところまで、モレキュラシーブス3A(製品名:和光純薬(株)製)〕を充填し、ラジカル重合性単量体を含むプレ乳化液と加水分解性シランとの緩やかな混合ができるように調整した。〕を介して反応系へ流入できるように組み立てた。反応容器に水296部、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ラテムルS−180A(有効分:約50%)、花王(株)製)4部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分後に、メタクリル酸メチル32部、メタクリル酸シクロヘキシル60部、メタクリル酸ブチル30部、アクリル酸ブチル74部、メタクリル酸4部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(製品名:TINUVIN384、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製)1部、ヒンダードアミン系光安定剤(製品名:TINUVIN123、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)1部の混合物とスルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:エアロゾルOT−75(有効分:約75%)、三井サイテック(株)製)を5.5部、アルキレンオキサイド基を含むアニオン性界面活性剤(製品名:ラテムルPD−104(有効分:約20%)、花王(株)製)を10部、アルキレンオキサイド基を含むノニオン性界面活性剤(製品名:エマルゲン120、花王(株)製)の20%水溶液を10部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液30部、水86.5部からなる乳化混合液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5部、メチルトリメトキシシラン10部、ジフェニルジメトキシラン10部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して80分かけて流入させる。シリコーン変性反応中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0128】
次に、メタクリル酸メチル16部、メタクリル酸シクロヘキシル50部、メタクリル酸ブチル15部、アクリル酸ブチル9部、メタクリル酸10部、TINUVIN384を0.5部、TINUVIN123を0.5部の混合液とエアロゾルOT−75を3部、ラテムルPD−104を5部、エマルゲン120の20%水溶液を5部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、水43部からなる乳化混合液を滴下槽より40分かけて流入させる。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0129】
次に、メタクリル酸メチル42部、メタクリル酸シクロヘキシル100部、メタクリル酸ブチル30部、アクリル酸ブチル24部、メタクリル酸4部、TINUVIN384を1部、TINUVIN123を1部の混合物とエアロゾルOT−75を5.5部、ラテムルPD−104を10部、エマルゲン120の20%水溶液を10部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液30部、水86.5部からなる乳化混合液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5部、メチルトリメトキシシラン10部、ジフェニルジメトキシラン10部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して80分かけて流入させる。シリコーン変性反応中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして120分保つ。
【0130】
室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところpH2.0であった。25%アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して0.05%とわずかであった。得られたアクリル系エマルジョンの固形分率は45.4%、粒子径99nmで単一分布であった。
【0131】
[水性分散体の製造例5]
撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温度計を取り付けた反応容器を用意し、2つ滴下槽はY字管〔Y字管の出口には100メッシュの金網を詰め2つ滴下槽の液が混じり合うところまで、モレキュラシーブス3A(製品名:和光純薬(株)製)〕を充填し、ラジカル重合性単量体を含むプレ乳化液と加水分解性シランとの緩やかな混合ができるように調整した。〕を介して反応系へ流入できるように組み立てた。反応容器に水296部、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ラテムルS−180A(有効分:約50%)、花王(株)製)4部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分後に、メタクリル酸メチル35部、メタクリル酸シクロヘキシル60部、アクリル酸ブチル101部、メタクリル酸4部、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ペレックスOT−P(有効分:約70%)、花王(株)製)を6部、アルキレンオキサイド基を含むアニオン性界面活性剤(製品名:アクアロンアKH−1025(有効分:約25%)、第一工業製薬(株)製)を16部、アルキレンオキサイド基を含むノニオン性界面活性剤(製品名:エマルゲン120、花王(株)製)の20%水溶液を10部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液30部、水82部からなる乳化混合液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5部、メチルトリメトキシシラン45部、ジフェニルジメトキシシラン15部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して80分かけて流入させる。シリコーン変性反応中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0132】
次に、メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸シクロヘキシル50部、アクリル酸ブチル15部、メタクリル酸10部、ペレックスOT−Pを3部、アクアロンKH−1025を8部、エマルゲン120の20%水溶液を5部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、水41部からなる乳化混合液を滴下槽より40分かけて流入させる。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0133】
次に、メタクリル酸メチル49部、メタクリル酸シクロヘキシル100部、アクリル酸ブチル47部、メタクリル酸4部、ペレックスOT−Pを6部、アクアロンKH−1025を16部、エマルゲン120の20%水溶液を10部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液30部、水82部からなる乳化混合液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5部、メチルトリメトキシシラン45部、ジフェニルジメトキシシラン15部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して80分かけて流入させる。シリコーン変性反応中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして120分保つ。
【0134】
室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところpH2.0であった。25%アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して0.12%とわずかであった。得られたアクリル系エマルジョンの固形分率は45.5%、粒子径102nmで単一分布であった。
【0135】
[水性分散体の製造例6]
撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温度計を取り付けた反応容器を用意し、2つ滴下槽はY字管〔Y字管の出口には100メッシュの金網を詰め2つ滴下槽の液が混じり合うところまで、モレキュラシーブス3A(製品名:和光純薬(株)製)〕を充填し、ラジカル重合性単量体を含むプレ乳化液と加水分解性シランとの緩やかな混合ができるように調整した。〕を介して反応系へ流入できるように組み立てた。反応容器に水296部、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ラテムルS−180A(有効分:約50%)、花王(株)製)4部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分後に、メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸シクロヘキシル50部、アクリル酸ブチル15部、メタクリル酸10部、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ペレックスOT−P(有効分:約70%)、花王(株)製)を3部、アルキレンオキサイド基を含むアニオン性界面活性剤(製品名:アデカリアソープSR−1025A(有効分:約25%)、旭電化工業(株)製)を4部、アルキレンオキサイド基を含むノニオン性界面活性剤(製品名:エマルゲン120、花王(株)製)の20%水溶液5部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、水44部からなる乳化混合液を滴下槽より40分かけて流入させる。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0136】
次に、メタクリル酸メチル109部、メタクリル酸シクロヘキシル160部、アクリル酸ブチル123部、メタクリル酸8部、ペレックスOT−Pを11部、アデカリアソープSR−1025Aを16部、エマルゲン120の20%水溶液20部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液60部、水177部からなる乳化混合液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1部、メチルトリメトキシシラン20部、ジメチルジメトキシシラン20部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して160分かけて流入させる。シリコーン変性反応中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして120分保つ。
【0137】
室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところpH2.0であった。25%アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して0.06%とわずかであった。得られたアクリル系エマルジョンの固形分率は44.5%、粒子径96nmで単一分布であった。
【0138】
[実施例1]
水性分散体の製造例1により得られた水性分散体について、前記した各試験を行い、結果を表1に示した。
【0139】
[実施例2]
水性分散体の製造例1により得られた水性分散体223.7部に、コロイダルシリカ(製品名:アデライトAT−30A、旭電化工業(株)製)33.3部の順に均一に混合して、固形分率42.8%の水性汚染防止被覆組成物を得た。この水性汚染防止被覆組成物について前記した、各試験を行い、結果を表1に示した。
【0140】
[実施例3]
水性分散体の製造例1により得られた水性分散体223.7部に、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ラテムルS−180A(有効分:約50%)、花王(株)製)2部、コロイダルシリカ(製品名:アデライトAT−30A、旭電化工業(株)製)33.3部の順に均一に混合して、固形分率43.0%の水性汚染防止被覆組成物を得た。この水性汚染防止被覆組成物について前記した各試験を行い、結果を表1に示した。
【0141】
[実施例4]
水性分散体の製造例2により得られた水性分散体221.2部に、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ペレックスOT−P(有効分:約70%)、花王(株)製)3部、コロイダルシリカ(製品名:スノーテックス−30、日産化学工業(株)製)33.3部の順に均一に混合して、固形分率43.5%の水性汚染防止被覆組成物を得た。この水性汚染防止被覆組成物について前記した各試験を行い、結果を表1に示した。
【0142】
[実施例5]
水性分散体の製造例3により得られた水性分散体220.8部に、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:ペレックスOT−P(有効分:約70%)、花王(株)製)を3部、コロイダルシリカ(製品名:スノーテックス−30、日産化学工業(株)製)33.3部の順に均一に混合して、固形分率43.6%の水性汚染防止被覆組成物を得た。この水性汚染防止被覆組成物について前記した各試験を行い、結果を表1に示した。
【0143】
[実施例6]
水性分散体の製造例4により得られた水性分散体220.3部に、コロイダルシリカ(製品名:アデライトAT−30A、旭電化工業(株)製)33.3部の順に均一に混合して、固形分率43.4%の水性汚染防止被覆組成物を得た。この水性汚染防止被覆組成物について前記した各試験を行い、結果を表1に示した。
【0144】
[実施例7]
水性分散体の製造例4により得られた水性分散体について、前記した各試験を行い、結果を表1に示した。
【0145】
[実施例8]
水性分散体の製造例5により得られた水性分散体219.8部にコロイダルシリカ(製品名:アデライトAT−30A、旭電化工業(株)製)33.3部の順に均一に混合して、固形分率43.5%の水性汚染防止被覆組成物を得た。この水性汚染防止被覆組成物について前記した各試験を行い、結果を表1に示した。
【0146】
[比較例1]
水性分散体の製造例6により得られた水性分散体について前記した各試験を行い、結果を表1に示した。
【0147】
[比較例2]
水性分散体の製造例6により得られた水性分散体224.7部に、コロイダルシリカ(製品名:スノーテックス−30、日産化学工業(株)製)33.3部の順に均一に混合して、固形分率42.6%の水性汚染防止被覆組成物を得た。この水性汚染防止被覆組成物について前記した各試験を行い、結果を表1に示した。
【0148】
【表1】
Figure 2004149668
【0149】
【発明の効果】
本発明の水性汚染防止被覆組成物は、水系塗料に利用され、該組成物からなる塗膜が屋外に曝露されたとき雨筋状汚染を低減でき、とくに塗膜形成直後からの汚れが防止でき、および雨筋状汚染の低減化を長期にわたり維持することができる。またその塗液の貯蔵安定性は良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例で用いた屋外曝露板の形状の概略図である。

Claims (7)

  1. (A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体を含有し、成膜した塗膜の水接触角が75°以下であることを特徴とする水性汚染防止被覆組成物。
  2. (A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体が(C)スルフォコハク酸系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1記載の水性汚染防止被覆組成物。
  3. (A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体が、(B)コロイド状無機粒子を含むことを特徴とする請求項1または2記載の水性汚染防止被覆組成物。
  4. (A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体が(D)アルキレンオキサイド基を有する界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水性汚染防止被覆組成物。
  5. (A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体が、アクリル系エマルジョンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水性汚染防止被覆組成物。
  6. (A)フェニル基を含むシリコーン構造を有する水性分散体が(F)フェニル基含有加水分解性シランの存在下、(E)エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られるアクリル系エマルジョンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水性汚染防止被覆組成物。
  7. (B)コロイド状無機粒子がコロイダルシリカであることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の水性汚染防止被覆組成物。
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