JP2020180194A - 重合体粒子及びその塗膜 - Google Patents

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三冬 丹羽
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Abstract

【課題】分散安定性に優れ、かつ塗膜にしたときに高い透明性を有する重合体粒子を提供する。【解決手段】上記課題を解決するための本発明は、(A)アミド基を含有する重合性モノマーと(B)ポリアルキレンオキシド基を有する親水性化合物とを重合させてなる重合体粒子であって、前記(A)成分の質量比率が重合体粒子の全固形分質量に対して1.0%〜40.0%であり、かつ前記重合体粒子の粒子径分布(=体積平均粒子径MV/数平均粒子径MN)が1.0〜1.8である、重合体粒子である。該重合体粒子は、前記(A)および(B)と、さらに(C)加水分解性珪素化合物又は/及び珪素酸化物とを重合させてなるものであってよい。【選択図】なし

Description

本発明は、重合体粒子とその塗膜に関する。
ガラス板の代替として軽量化や成形性の観点から樹脂成形体が広く用いられている。樹脂成形体は、自動車部品、家電部品、ハウジング、容器、フィルム、シート等の広い分野で使用されている。特に透明プラスチックは、各種窓、光学用レンズ、ミラー、眼鏡、ゴーグル、遮音壁、信号機灯のレンズ、前照灯レンズ、カーブミラー、風防、銘板等に使用されている。しかし、プラスチック等の樹脂基材は、外気との温湿度差により、基材の一方の面が露点温度以下になった場合や、急激な温湿度変化が生じた場合に基材表面が結露し、表面に微細な水滴が付着し透過光を散乱することがある。そのような場合、樹脂成形体は、透明性が損なわれ、いわゆる曇りが発生する。
この曇りを防ぐ方法として下記のような提案がなされてきた。
(1)基材表面に吸水性化合物の塗膜を作製する方法。
(2)基材表面に界面活性剤等の親水化合物の塗膜を作製することで基材表面を親水性にする方法。
具体的には、(1)の方法として、特許文献1では、硬化エポキシド樹脂、あるいはウレタン樹脂からなる吸水性の架橋樹脂層を有し、前記吸水層が金属酸化物微粒子を含有する防曇性物品等が提案されている。また、特許文献2では、硬化エポキシ樹脂とポリオキシエチレンアルキルエーテル系の界面活性剤を含有する吸水層を具備した防曇性物品が提案されている。
しかしながら、これらの方法においては、一定のレベルまでは防曇性を維持できるが、吸水能以上の水分が該物品に凝集、付着すると曇りが生じる。そのため、高い防曇持続性を発現させるためには膜厚を厚くする必要があるといった不都合があった。
(2)の方法として、特許文献3、特許文献4では、ナノ粒子を用いた方法が開示されている。塗膜表面がコロイダルシリカであることを特徴とする親水性、防汚性塗膜が開示されている。具体的には、特許文献3では、コロイダルシリカとノニオン系界面活性剤とを含有する防汚塗膜が開示されている。特許文献4では重合体粒子とコロイダルシリカとを含有する防汚塗膜が開示されている。
しかしながら、これらの文献の塗膜は、いずれもコロイダルシリカが塗膜最表面に偏在していることを特徴としている。そのため、初期の親水性、防曇性には優れるものの、高温多湿環境下などの過酷な環境下においては塗膜表面への異物の吸着等により、防曇性の低下が起こりうる。
さらに特許文献5では、金属酸化物と親水性化合物を含み、金属酸化物表面が親水性化合物によって被覆されていることを特徴とする防曇塗膜が開示されている。この文献には、金属酸化物表面が親水性化合物によって被覆されることにより、防曇塗膜の防曇性、防曇持続性が改善されることが記載されている。この文献の防曇塗膜によれば、高い防曇性を得ようとすれば金属酸化物に対する親水性化合物の量を十分大きくする必要がある。他方で、金属酸化物の被覆に供されない余剰の親水性化合物が存在することにより、高温多湿環境下などの過酷な環境下に晒された場合に、親水性化合物の塗膜表面での溶出及び更には塗膜全体からの溶出による白化(水滴痕の発生)などの外観不良が起こりうるというジレンマがある。
加えて、ナノ粒子を用いる塗料の場合、長期の塗料安定性を確保するために多量の分散剤を含有させる必要がある(たとえば特許文献6参照)。分散剤が少ない場合、分散安定性の低下のため、粒子の凝集が起こり、結果として塗膜の透明性が低下する。一方で、分散剤が多い場合は前述の塗膜全体からの溶出による水滴痕の発生による外観不良の原因となる。
国際公開第2012/161330 国際公開第2015/008672 特許第4812902号 国際公開第2010/104146号 国際公開第2017/159564号 特許第4273942号
本発明は、従来技術にない新規な重合体粒子とその塗膜を提供することを課題とする。
また、上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明は、好ましくは分散安定性に優れ、かつ塗膜にしたときに高い透明性を有することを課題とする。
上記課題を解決するための本発明の諸態様は、以下のとおりである。
[1].
(A)アミド基を含有する重合性モノマーと(B)ポリアルキレンオキシド基を有する親水性化合物とを重合させてなる重合体粒子であって、
前記(A)成分の質量比率が重合体粒子の全固形分質量に対して1.0%〜40.0%であり、かつ前記重合体粒子の粒子径分布(=体積平均粒子径MV/数平均粒子径MN)が1.0〜1.8である、重合体粒子。
[2].
該重合体粒子が、前記(A)および(B)と、さらに(C)加水分解性珪素化合物又は/及び珪素酸化物とを重合させてなることを特徴とする、上記[1]項に記載の重合体粒子。
[3].
数平均粒子径が5〜200nmである、上記[1]又は[2]項に記載の重合体粒子。
[4].
コアシェル構造を有する、上記[1]〜[3]項のいずれか1項に記載の重合体粒子。
[5].
前記(A)成分が、2級アミド基、3級アミド基あるいはその両方を有する重合性モノマーを含む、上記[1]〜[4]項のいずれか1項に記載の重合体粒子。
[6].
前記(B)成分が多分岐型構造を有するポリアルキレンオキシド基を有する親水性化合物であることを特徴とする、上記[1]〜[5]項のいずれか1項に記載の重合体粒子。
[7].
水中で重合することを特徴とする、上記[1]〜[6]項のいずれか1項に記載の重合体粒子の製造方法。
[8].
上記[1]〜[6]項のいずれか1項に記載の重合体粒子を含む塗料から形成された塗膜が上層に配置され、樹脂基材及び/またはガラス基材が下層に配置された塗膜積層体。
[9].
前記塗膜が防曇塗膜として使用される、上記[8]項に記載の塗膜積層体。
本発明によれば、従来技術にない新規な重合体粒子とその塗膜が提供される。
また、本発明の好ましい態様によれば、分散安定性に優れ、かつ塗膜にしたときに高い透明性を有する塗膜を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<重合体粒子>
重合体粒子は、(A)アミド基を含有する重合性モノマーと(B)ポリアルキレンオキシド基を有する親水性化合物とを含む原料(重合原液)を重合させてなる重合体粒子であって、重合に用いられる前記(A)成分の質量比率が重合体粒子の全固形分重量に対して1.0%〜40.0%であり、かつ前記重合体粒子の粒子径分布(=体積平均粒子径MV/数平均粒子径MN)が1.0〜1.8であることを特徴とする。
<(A)アミド基を含有する重合性モノマー>
(A)成分として挙げられるアミド基含有モノマーの具体例としては、特に限定されないが、例えばN−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドを例示することができる。
より具体的には、特に限定されないが、例えばN−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
前記(A)成分としては、(B)成分との水素結合性をより向上させる観点から、2級アミド基、3級アミド基あるいはその両方を有するビニル単量体であることが好ましい。特に水素結合力の観点から3級アミド基を有するビニル単量体が好ましい。
重合に用いられる前記(A)成分(固形分)の質量比率は、(B)成分との相互作用性と粒子として分散安定性、塗膜にしたときの防曇性の観点から、重合体粒子の全固形分質量に対して1.0%〜40.0%であることが好ましい。この比率は、より好ましくは1.0%〜25.0%であり、さらに好ましくは1.0%〜15.0%である。なお、本明細書において、各成分の質量比率は、後述する実施例の方法に従って(すなわち、重合体粒子の全固形分質量に対する比率として)測定される。
<(B)ポリアルキレンオキシド基を有する親水性化合物>
(B)成分として用いられる親水性化合物は、特に限定されないが、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンオキシプロピレンオキシエチレントリブロックコポリマー、ポリオキシプロピレンオキシエチレンオキシプロピレントリブロックコポリマー、脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタン等のアルキレングリコール部位含有ポリマー群、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体などが挙げられる。
(B)成分はさらに(A)成分と重合性を有する部位を官能基として含んでいてもよい。具体例としては、特に限定されないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体のような各種のポリエーテル鎖を側鎖に有するビニルエーテル類、アリルエーテル類又は(メタ)アクリル酸エステル類のビニル単量体類が挙げられる。エーテル基含有ビニル単量体は市販品を用いることもできる。例えばブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PME−100、PME−200、PME−400、AE−350(以上、日本油脂社製、商品名)、MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RA−1120、RA−2614、RMA−564、RMA−568、RMA−1114、MPG130−MA(以上、日本乳化剤社製、商品名)等が挙げられる。
上記親水性化合物(B)として、分子内にアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含むポリアルキレンオキシドが挙げられる。
このような分子内にアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含むポリアルキレンオキシドとして、例えば、(i)分子内に水酸基を1つ有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、分子内に水酸基を2つ有するポリオキシアルキレングリコール、分子内に水酸基を3つ有する脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタン、グリセロールエトキシレート、トリメチルプロパンエトキシレート、分子内に水酸基を4つ有する4分岐型ポリアルキレングリコール、分子内に水酸基を8つ有する8分岐型ポリアルキレングリコール等と、(ii)水酸基と反応しうる官能基を有するシランカップリング剤との反応物を挙げることができる。これらを一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
水酸基と反応しうる官能基を有するシランカップリング剤としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられる。この中でも反応性の点から、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤が好ましい。上記の分子内に水酸基を1つ有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル等とイソシアネート系シランカップリング剤の反応は、任意に触媒を添加しても良い。
触媒としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジメチルスズジネオデカノエート、ビス(2−エチルヘキサン酸)スズ等のスズ系化合物;2−エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等の亜鉛化合物;2−エチルヘキサン酸チタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトナート)等のチタン化合物;2−エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン酸コバルト等のコバルト化合物;2−エチルヘキサン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等のビスマス化合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、2−エチルヘキサン酸ジルコニル、ナフテン酸ジルコニル等のジルコニウム化合物;アミン化合物が挙げられる。
これらの親水性化合物(B)の中でも、分子内の複数箇所に分岐した多分岐構造を有するポリアルキレンオキシド鎖を有し、ポリアルキレンオキシド鎖の末端に一級脂肪族水酸基、並びにアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含む、ポリアルキレンオキシドが分散安定性、耐溶出性の観点から好ましい。このような親水性化合物(B)は、例えば、(i)分子内に水酸基を2つ以上、より好ましくは3つ以上有するポリアルキレンオキシドと、(ii)水酸基と反応しうる官能基を有するシランカップリング剤との反応により合成できる。上記親水性化合物(B)の水酸基に対するシランカップリング剤の導入率はNMR等で測定できる。この導入率の下限値は、重合体粒子を含んでなる塗膜の水滴痕抑制効果の観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上である。またこの導入率の上限値は、塗膜の基材に対する密着性の観点から、好ましくは100%以下、より好ましくは95%以下、さらに好ましくは90%以下である。
親水性化合物(B)の分子量は、耐湿性の観点から好ましくは400以上、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは1400以上、さらにより好ましくは2000以上である。
なお、本明細書における分子量は、GPCによって測定されるポリスチレン換算で示される重量(質量)基準の平均分子量である(JIS K7252−1に準拠)。
また、重合に用いられる(B)成分(固形分)の質量比率は、粒子の分散安定性と塗膜にした時の防曇性の観点から、重合体粒子の全固形分質量に対して1〜80%であることが好ましい。この比率は、より好ましくは5〜70%であり、さらに好ましくは10〜60%である。
<(C)加水分解性珪素化合物又は/及び珪素酸化物>
加水分解性珪素化合物又は/及び珪素酸化物(C)は、重合体粒子を含む塗料から塗膜を形成したときに、耐候性や塗膜の柔軟性や強度が一層向上する観点から、重合体粒子に含まれることが好ましい。加水分解性珪素化合物又は/及び珪素酸化物として、特に限定されないが、例えば下記式(I)で表される化合物やその縮合生成物、シランカップリング剤等が挙げられる。
SiW (I)
ここで、式中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。
シランカップリング剤とは、ビニル重合性基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、イソシアネート基等の有機物と反応性を有する官能基が分子内に存在するシラン誘導体を意味する。
式(I)で表される化合物としては、特に限定されないが、例えば、具体的にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン類;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類等が使用可能である。また、これらは、単独で使用されてもよいし、2種以上を混合して使用されてもよい。
また(C)成分としては、フェニル基を有する珪素アルコキシド(例えばフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、及びジフェニルジメトキシシラン等)を含んでもよい。フェニル基を有する珪素アルコキシドを用いた場合、水及び乳化剤の存在下における重合安定性が良好となり、好適である。
さらに(C)成分は、チオール基を有するシランカップリング剤や、ビニル重合性基を有する加水分解性珪素化合物と組み合わせて用いてもよい。これらを用いた場合、得られる塗膜の長期防汚染性が良好となり好適である。
チオール基を有するシランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が使用可能である。
また、(C)成分としては、特に限定されないが、例えば、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、及び2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル等のビニル重合性基を有するシランカップリング剤等が使用可能である。
なお、重合に用いられる(C)成分(固形分)の質量比率は、粒子の分散安定性と塗膜の強度、耐候性の観点から、重合体粒子の全固形分質量に対して1〜90%であることが好ましい。この比率は、より好ましくは5〜80%であり、さらに好ましくは10〜70%である。
<(D)重合体粒子に含んでもよいその他の化合物>
本発明の重合体粒子は、(D)成分として、(A)、(B)、(C)成分以外の化合物を任意に含んで重合した重合体粒子であってもよい。
例えば、本発明の重合体粒子は、(A)、(B)、(C)成分以外の重合性モノマーを任意に含んで重合した重合体粒子であってもよい。
(D)成分としての重合性モノマーは、特に限定されないが、(A)成分と重合可能な重合性モノマーが好ましい。具体例としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのような各種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル若しくは4−ヒドロキシブチルビニルエーテルのような各種の水酸基含有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテルのような各種の水酸基含有アリルエーテル類;ポリエチレングリコールに代表される種々のポリエーテルポリオールと、(メタ)アクリル酸に代表される種々の不飽和カルボン酸とから得られるポリオキシアルキレングリコールのモノエステル類;上述の各種の水酸基含有単量体類とε−カプロラクトンに代表される種々のラクトン類との付加物;グリシジル(メタ)アクリレートに代表される種々のエポキシ基含有不飽和単量体と酢酸に代表される種々の酸類との付加物;(メタ)アクリル酸に代表される種々の不飽和カルボン酸類と種々のモノエポキシ化合物(「カーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名)に代表されるα−オレフィンのエポキサイドを除く)との付加物等が挙げられる。
(D)成分として、カルボキシル基含有ビニル単量体またはそのエステル等が挙げられる。その具体例としては、特に限定されないが、例えば(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸若しくはフマル酸のような各種の不飽和カルボン酸類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルのような不飽和カルボン酸類と飽和1価アルコール類とのエステル類;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−ブチルのような不飽和ジカルボン酸類と飽和1価アルコール類とのモノエステル類(ハーフエステル類);アジピン酸モノビニル若しくはコハク酸モノビニルのような各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸若しくは無水トリメリット酸のような各種の飽和ポリカルボン酸の無水物類と上述の各種の水酸基含有ビニル系単量体類との付加反応生成物;上述の各種のカルボキシル基含有単量体類とラクトン類とを付加反応して得られる単量体類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのような加水分解性珪素化合物等が挙げられる。
(D)成分として、アミノ基含有ビニル単量体が挙げられる。その具体例としては、特に限定されないが、例えば2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート若しくはN−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルモルホリンのような各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルキノリンのような各種の3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体類;N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(4−ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリルアミド若しくはN−[2−(メタ)アクリルアミド]エチルモルホリンのような各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド類;N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピルクロトン酸アミド若しくはN−(4−ジメチルアミノ)ブチルクロトン酸アミドのような各種の3級アミノ基含有クロトン酸アミド類;2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、3−ジメチルアミノプロピルビニルエーテル若しくは4−ジメチルアミノブチルビニルエーテルのような各種の3級アミノ基含有ビニルエーテル類等が挙げられる。
また、(D)成分として、乳化剤を含んでもよい。乳化剤としては、特に限定されず、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸などの酸性乳化剤;酸性乳化剤のアルカリ金属塩(Li、Na、K塩など)、酸性乳化剤のアンモニウム塩、脂肪酸石鹸などのアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレートなどの四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などのカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルなどのノニオン型界面活性剤や、ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤などが挙げられる。
前記ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エレミノールJS−2(商品名、三洋化成株式会社製)、ラテムルS−120、S−180A又はS−180(商品名、花王株式会社製)、アクアロンHS−10、KH−1025、RN−10、RN−20、RN−30、RN−50(商品名、第一工業製薬株式会社製)、アデカリアソープSE−1025、SR−1025、NE−20、NE−30、NE−40(商品名、株式会社ADEKA製)、p−スチレンスルホン酸のアンモニウム塩、p−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、p−スチレンスルホン酸のカリウム塩、2−スルホエチルアクリレートなどのアルキルスルホン酸(メタ)アクリレートやメチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、アリルスルホン酸のアンモニウム塩、アリルスルホン酸のナトリウム塩、アリルスルホン酸のカリウム塩などが挙げられる。
重合体粒子を得るための重合は、重合触媒の存在下で実施するのが好ましい。重合触媒としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、フッ酸等のハロゲン化水素類、酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸等のカルボン酸類、硫酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤類、酸性又は弱酸性の無機塩、フタル酸、リン酸、及び硝酸のような酸性化合物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びγ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのような塩基性化合物類;ジブチル錫オクチレート、及びジブチル錫ジラウレートのような錫化合物等が使用可能である。
中でも、加水分解性珪素化合物(C)を用いる場合の重合触媒としては、乳化剤としても作用する酸性乳化剤類、特に炭素数が5〜30のアルキルベンゼンスルホン酸(ドデシルベンゼンスルホン酸等)が好ましい。
また、重合触媒としては、熱又は還元性物質などによってラジカル分解してビニル単量体の付加重合を起こさせるラジカル重合触媒が好適である。ラジカル重合触媒として、水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が好ましく使用される。より具体的には、特に限定されないが、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリド、及び2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が使用可能である。
重合原液における重合触媒の使用量は、全ビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部である。なお、重合速度の促進、及び70℃以下等の低温での重合が望まれる場合は、例えば重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、及びロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。
重合体粒子を得る方法として、乳化剤がミセルを形成するのに十分な量の水の存在下に各成分を重合する、いわゆる乳化重合が適している。乳化重合の方法としては、例えば(A)成分及び(B)成分及び(C)成分及び(D)成分をそのまま、又は乳化した状態で、一括若しくは分割して、又は連続的に反応容器中に滴下し、重合触媒の存在下、好ましくは大気圧から必要により10MPaまでの圧力下で、約30〜150℃の反応温度で重合させる方法等が挙げられる。ただし、必要に応じて、これ以上の圧力で、又はこれ以下の温度条件で重合してもよい。
重合体粒子を得るための原料の配合について、重合安定性の観点から、得られた重合体粒子の質量に対する重合体粒子の全固形分質量(乾燥質量)の比率が0.1%〜70%、好ましくは1〜55質量%の範囲になるように各成分を配合するのが好ましい。全固形分質量(乾燥質量)は、重合体粒子を100℃に加温したオーブンに2時間入れて乾燥させることによって得られる乾燥質量として定義される。また、得られた重合体粒子の質量に対する重合体粒子の全固形分質量(乾燥質量)の比率(質量%)は、下記式(II)に基づいて求めることができる。
重合体粒子中の全固形分質量の比率(質量%)=乾燥質量/重合体粒子の質量×100・・・(II)
更に、乳化重合を行なう際には、粒子径を適度に成長又は制御する観点から、シード重合法を用いることが好ましい。シード重合法とは、予め水相中にエマルジョン粒子(シード粒子)を存在させて重合させる方法である。シード重合法を行なう際の重合系中のpHは、好ましくは1.0〜10.0であり、より好ましくは1.0〜6.0である。重合中のpHは、例えば、燐酸二ナトリウムやボラックス、又は、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等のpH緩衝剤を用いて調節することが可能である。
<粒子径分布、体積平均粒子径(MV)、数平均粒子径(MN)>
重合体粒子の体積平均粒子径(MV、1次粒子と2次粒子との混合物であってもよいし、1次粒子、2次粒子何れかのみであってもよい)は、好ましくは1nm〜400nmであり、より好ましくは1nm〜100nmであり、更に好ましくは3nm〜80nmであり、特に好ましくは4nm〜80nmであり、更により好ましくは4nm〜60nmである。ここでの特定範囲の体積平均粒子径(MV)は、形成された塗膜中でも通常維持される。重合体粒子の体積平均粒子径(MV)は、得られる塗膜の光学特性等に寄与し得る。特に、体積平均粒子径(MV)を100nm以下とすることにより、得られる塗膜の透明性を大きく向上させ得る。なお、明細書における体積平均粒子径(MV)とは、後述する方法に準じて測定された値である。
また、粒子径分布を示す指標である、数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比率(体積平均粒子径MV/数平均粒子径MN)が、1.0〜1.8となる重合体粒子を製造することが望まれる。たとえば、上記比率は、1.0〜1.6以下であることが好ましく、1.0〜1.5以下であることがより好ましく、1.0以上1.45以下であることがさらに好ましく、1.0以上1.25以下であることがさらにより好ましく、1.0以上1.2以下であることがより一層好ましい。
本明細書において、重合体粒子の体積平均粒子径MVおよび数平均粒子径MNは、試料中の固形分含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定することができる。
<コアシェル構造>
一実施形態において、重合体粒子は、得られる塗膜の基材密着性を向上させる観点から、コア層と、当該コア層を被覆する1層又は2層以上のシェル層とを備えたコアシェル構造を有することが好ましい。当該コアシェル構造を形成する方法としては、乳化重合を多段で行う、多段乳化重合が有用である。重合体粒子において、アミド基を含有する重合性モノマー(A)と親水性化合物(B)との相互作用の観点から、(A)成分に由来する部分は重合体粒子中のシェル層に含まれることが好ましい。コアシェル構造は、例えば透過型電子顕微鏡等による形態観察や粘弾性測定による解析等により観察することができる。
一実施形態において、塗膜に含まれる重合体粒子の数平均粒子径は、例えば10nm〜800nmであることが好ましい。数平均粒子径が10nm〜800nmの重合体粒子を用いることにより、得られる塗膜の耐候性、防汚染性が良好となる。また、得られる塗膜の光学特性、ハードコート性の観点から、(B)成分の数平均粒子径は、好ましくは20nm〜250nmであり、より好ましくは5nm〜200nmである。(B)成分の数平均粒子径の測定法については、上記の重合体粒子の数平均粒子径の測定法と同じものが採用され得る。
<塗料>
一実施形態において、重合体粒子に加えて、その用途及び使用方法に応じて、通常塗料や成型用樹脂に添加配合される添加剤成分といった任意の成分を含んだ塗料から塗膜を形成してよい。
添加剤成分としては、特に限定されないが、例えば界面活性剤、光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等をそれぞれの目的に応じて選択したり、組み合わせたりして、配合することができる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えばアルキルベンゼンスルホン酸、脂肪酸ナトリウム、アルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルリン酸塩のようなアニオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、塩化アルキルピリジニウム、塩化ベンザルコニウムのようなカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルポリグルコキシド、アルキルモノグリセリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのようなノニオン性界面活性剤、ラウリルジアルキルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジアルキルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジアルキルスルホプロピルベタイン、ヘキサデシルアミノメチルジアルキルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジアルキルスルホプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニン、ラウリルジメチルアミンN−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシドのような両性イオン性界面活性剤などが挙げられる。これらを親水性化合物と併用することによって、得られる塗膜の親水性、防曇性、耐水性がより向上する。これらの界面活性剤は、これらの中でも、特に炭素数が10以上の長鎖アルキル基を有する界面活性剤、及び/又はフッ素原子を分子内に有する界面活性剤を用いた場合、塗膜内から水への溶出が抑制される傾向にあることから、耐水性の観点でより好ましい。
架橋反応触媒及び/又は硬化触媒としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート等のジアルキルスズジカルボキシレートや、ジブチルスズオキサイド等のスズオキサイド化合物、2−エチルヘキサン酸スズ、2−エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩等の金属カルボン酸塩、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’−エンドエチレンピペラジン、及びN,N’−ジメチルピペラジンのような3級アミン類等が挙げられる。
光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤が好ましく用いられる。中でも、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性光安定剤が好ましい。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば有機系紫外線吸収剤を挙げることができる。このような有機系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えばベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中でも、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性紫外線吸収剤を用いることが好ましい。また、紫外線吸収能の高いベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
光安定剤は、有機系紫外線吸収剤と併用することが好ましい。両者を併用することは、得られる塗膜の耐候性向上に寄与し得る。
これらの有機系紫外線吸収剤や光安定剤等の各種添加剤成分は、重合体粒子と単に配合することも可能であるし、重合体粒子を重合する際に共存させることも可能である。
一実施形態において、上述の塗料から形成される塗膜は、樹脂基材及び/又はガラス基材等の基材と積層体を形成する。このような積層体(典型的には、塗膜を上層、樹脂基材及び/又はガラス基材を下層に有する)は、塗膜積層体と称される。
<基材>
基材は、重合体粒子を含んでなる塗膜により特に優れた防曇性、防曇持続性を付与される対象として位置付けられる。種々の材料を基材として採用することができる。
一実施形態においては、基材は、樹脂製であることが好ましい。上記樹脂製の基材(樹脂基材)としては、特に限定されないが、例えば、合成樹脂や天然樹脂等の有機基材を挙げることができる。
上記合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等)とを使用することができる。より詳細には、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン−アクリル樹脂等を挙げることができる。しかしながら、上記に限定されるものではない。
また、上記天然樹脂としては、特に限定されないが、例えば、セルロース系樹脂、天然ゴム等のイソプレン系樹脂、カゼイン等のタンパク質系樹脂等を挙げることができる。
一実施形態において、樹脂基材の表面は、コロナ放電処理やフレーム処理、プラズマ処理等の表面処理がされていてよいが、これらの表面処理は必須ではない。
使用される基材の種類、厚みや、表面処理により形成される膜の厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。
基材として樹脂基材及び/又はガラス基材を用いる場合のその厚みは、例えば0.1mm〜100mmであってよい。
<塗膜の製造>
一実施形態において、塗膜は、上述した塗料を基材上に塗工し、乾燥して形成される。
塗料の粘度としては、好ましくは20℃において0.1〜100000mPa・sであり、好ましくは1〜10000mPa・sである。
塗工方法としては、特に限定されないが、例えばバーコート法、スプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、及びフレキソ印刷法等が使用可能である。
塗膜は、例えば、塗料を基材上で乾燥した後、所望により、好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは40℃〜250℃で熱処理や紫外線照射等を行って形成してもよい。
上記重合体粒子を含んでなる塗膜は、防曇性に優れることから、防曇塗膜として使用されることが好ましい。
塗膜の厚みは、好ましくは0.05〜100μmであり、より好ましくは0.1〜10μmである。透明性の面から、塗膜は100μm以下であることが好ましく、耐候性及び防曇性等の機能を発現するためには、0.05μm以上であることが好ましい。
一実施形態において、塗膜は必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
各種物性は、下記の方法で評価した。
<体積平均粒子径MV、数平均粒子径MN、粒子径分布>
試料中の固形分含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(マイクロトラック・ベル株式会社製マイクロトラックUPA−9230)を用いて体積平均粒子径MV、数平均粒子径MNを測定した。
また、上述の数値から、数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比率(体積平均粒子径MV/数平均粒子径MN)である粒子径分布を算出した。
<膜厚>
反射分光膜厚計(大塚電子製、商品名「FE−3000」)を用いて得られた塗膜の膜厚を測定した。無作為に選択した3点の測定値の平均を算出し、膜厚とした。
<重合体粒子中の各成分の質量比率>
重合体粒子を得るための原料である(A)成分や(B)成分といった各成分(固形分)の質量比率を、得られた重合体粒子における全固形分質量(乾燥質量)に対する割合の形で算出した。
特に、加水分解性珪素化合物については、加水分解縮合物としての質量比率(固形分換算)として算出した。
<粒子安定性(分散安定性)>
得られた重合体粒子を25℃、一週間の条件下で保存した後、目視で沈殿物が見られないものは「○」(良好)、沈殿が見られたものを「×」(不良)とした。
<塗膜の透明性>
塗膜の透明性はヘイズ測定により判断した。塗膜のヘイズは日本電色工業株式会社製濁度計(品番:NDH5000SP)を用いて、JIS K7136に規定される方法により測定し、ヘイズが1.2より小さいものは「○」(良好)、1.2以上のものは「×」(不良)とした。基材としてポリカーボネート樹脂(PC)およびガラスをそれぞれ用いて測定した。
<防曇性試験>
80℃に保った温水浴の水面から5cmの高さのところに、得られた塗膜の試験片を塗膜面が下になるように設置し、温水浴からの蒸気を塗膜に連続照射し、照射から30秒後の曇りの有無を目視によって下記のように評価した。なお、評価が△以上であれば実用上問題なく、○であればより好ましい。
○(良好):全く曇らない。
△(中程度):蒸気照射直後にわずかに曇る。
×(不良):曇る。
<製造例1>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器で、イオン交換水1800g、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液45g、トリメトキシシラン105g、フェニルトリメトキシシラン23g、テトラエトキシシラン27gを用いて、70℃の環境下で一般的な乳化重合の方法で重合を行った。重合後、温度を80℃とした後、更に2%過硫酸アンモニウム水溶液43g、アクリル酸ブチル11g、N,N−ジエチルアクリルアミド12g、アクリル酸1g、3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン1gを加えて、一般的な乳化重合の方法で重合を行い、100メッシュの金網で濾過し、ナノ粒子(H−1)の水分散体を得た。得られたナノ粒子(H−1)の固形分は5.1%であった。また体積平均粒子径MVは39nmであった。
<製造例2>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器で、イオン交換水1500g、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液45g、トリメトキシシラン105g、フェニルトリメトキシシラン23g、テトラエトキシシラン27gを用いて、70℃の環境下で一般的な乳化重合の方法で重合を行った。重合後、温度を80℃とした後、更に2%過硫酸アンモニウム水溶液43g、アクリル酸ブチル5.5g、ジエチルアクリルアミド11.5g、アクリル酸1g、フェニルトリメトキシシラン2.7g、テトラエトキシシラン16.7g、3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン0.5gを加えて、一般的な乳化重合の方法で重合を行い、100メッシュの金網で濾過し、ナノ粒子(H−2)の水分散体を得た。得られたナノ粒子(H−2)の固形分は5.9%であった。また体積平均粒子径MVは50nmであった。
<製造例3>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器で、イオン交換水1000g、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液30g、トリメトキシシラン17g、フェニルトリメトキシシラン4g、テトラエトキシシラン4gを用いて、70℃の環境下で一般的な乳化重合の方法で重合を行った。重合後、温度を80℃とした後、更にイオン交換水692g、2%過硫酸アンモニウム水溶液100g、アクリル酸ブチル44g、ジエチルアクリルアミド48g、アクリル酸4g、3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン4.0gを加えて、一般的な乳化重合の方法で重合を行い、100メッシュの金網で濾過し、ナノ粒子(H−3)の水分散体を得た。得られたナノ粒子(H−3)の固形分は6.0%であった。体積平均粒子径MVは54nmであった。
<製造例4>
還流冷却器、滴下槽、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を有する反応器に、グリセロールエトキシレート(Aldrich製、固形分100質量%)100g、KBE−9007(信越化学工業(株)製)40.5gを投入し、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。その後窒素ガスを吹き込みながら反応容器中の温度が80℃の状態で約6時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、親水性化合物(B−1)を得た。水酸基に対するシランカップリング剤の導入率は68%であった。また、親水性化合物(B−1)の分子量は1500g/molであった。ここでの分子量は、GPCによって測定されるポリスチレン換算で示される重量(質量)基準の平均分子量である(JIS K7252−1に準拠)。
<製造例5>
還流冷却器、滴下槽、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を有する反応器に、トリメチロールプロパンエトキシレート(Aldrich製、固形分100質量%)100g、KBE−9007(信越化学工業(株)製)40.5gを投入し、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。その後窒素ガスを吹き込みながら反応容器中の温度が80℃の状態で約6時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、親水性化合物(B−2)を得た。水酸基に対するシランカップリング剤の導入率は67%であった。また、親水性化合物(B−2)の分子量は1500g/molであった。ここでの分子量の定義は製造例4で上述したものと同じである。
<製造例6>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器で、イオン交換水1800g、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液45g、トリメトキシシラン105g、フェニルトリメトキシシラン23g、テトラエトキシシラン27gを用いて、70℃の環境下で一般的な乳化重合の方法で重合を行い、100メッシュの金網で濾過し、ナノ粒子(H−4)の水分散体を得た。得られたナノ粒子(H−4)の固形分は3.9%であった。
<製造例7>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器で、イオン交換水500g、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液15g、トリメトキシシラン8.4g、フェニルトリメトキシシラン1.8g、テトラエトキシシラン2.2gを用いて、70℃の環境下で一般的な乳化重合の方法で重合を行った。重合後、温度を80℃とした後、更にイオン交換水692g、2%過硫酸アンモニウム水溶液100g、アクリル酸ブチル44g、ジエチルアクリルアミド70g、アクリル酸4g、3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン4gを加えて、一般的な乳化重合の方法で重合を行い、100メッシュの金網で濾過し、ナノ粒子(H−5)の水分散体を得た。得られたナノ粒子(H−5)の固形分は9.0%であった。
<実施例1>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器で、製造例1で合成したナノ粒子(H−1)と製造例4で合成した親水性化合物(B−1)を表1にある質量部比率で混合し、80℃で5時間攪拌することにより重合体粒子を得た。その後室温に冷却し、イオン交換水で固形分3%に調整した。得られた重合体粒子の体積平均粒子径MVと数平均粒子径MNを測定することにより、粒子径分布を算出したところ、1.15であった。また上述の塗料を縦60mm×横60mm×厚さ2mmのポリカーボネート板(タキロン社製)と縦60mm×横60mm×厚さ2mmの白板ガラス上に、膜厚が0.5μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、120℃10分間乾燥することにより塗膜を得た。表1に記載したとおり、得られた重合体粒子の粒子安定性、ならびに得られた塗膜の透明性および防曇性はいずれも良好であった。
<実施例2〜8、比較例1〜2>
実施例2〜8、比較例1〜2において、表1に示すとおり、原料の種類や配合量(質量部)を変えること以外は、実施例1に準じた方法で重合体粒子および塗膜を製造し、評価を行った。評価結果を表1に示した。
実施例2〜8のすべてにおいて、得られた重合体粒子の粒子安定性、ならびに得られた塗膜の透明性および防曇性はいずれも良好であった。
一方、比較例1〜2においては、得られた重合体粒子の粒子安定性、および得られた塗膜の透明性はいずれも不良であった。
なお、比較例1、2については、塗膜の透明性が低かったため、防曇性評価は実施していない。
本発明の重合体粒子は、分散安定性に優れる。また本発明の重合体粒子を利用した塗膜は高い透明性と防曇性を有する。
したがって、本発明の重合体粒子を含む塗料から形成された塗膜は、高い防曇性が必要とされる防曇塗膜として、特に好適に使用できる。さらに、例えば自動車のヘッドランプ等の車両灯具などの自動車外装部品用の塗膜として、高温環境下での防曇耐久性が求められる用途のために用いることができる。また、本発明の重合体粒子を含む塗料から形成された塗膜は、各種機器の内部部品や高所に設置される部品のように曇り除去のために容易に取り出すことができないような部品にも用いることができる。
本発明の重合体粒子を含む塗料から形成された塗膜について上述した特徴及び利点の全ては、これらの防曇塗膜、自動車外装部品用塗膜、内部部品用塗膜についても適用される。

Claims (9)

  1. (A)アミド基を含有する重合性モノマーと(B)ポリアルキレンオキシド基を有する親水性化合物とを重合させてなる重合体粒子であって、
    重合に用いられる前記(A)成分の質量比率が重合体粒子の全固形分質量に対して1.0%〜40.0%であり、かつ前記重合体粒子の粒子径分布(=体積平均粒子径MV/数平均粒子径MN)が1.0〜1.8である、重合体粒子。
  2. 該重合体粒子が、前記(A)および(B)と、さらに(C)加水分解性珪素化合物又は/及び珪素酸化物とを重合させてなることを特徴とする、請求項1に記載の重合体粒子。
  3. 数平均粒子径が5〜200nmである、請求項1又は2に記載の重合体粒子。
  4. コアシェル構造を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体粒子。
  5. 前記(A)成分が、2級アミド基、3級アミド基あるいはその両方を有する重合性モノマーを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体粒子。
  6. 前記(B)成分が多分岐型構造を有するポリアルキレンオキシド基を有する親水性化合物であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体粒子。
  7. 水中で重合することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合体粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合体粒子を含む塗料から形成された塗膜が上層に配置され、樹脂基材及び/またはガラス基材が下層に配置された塗膜積層体。
  9. 前記塗膜が防曇塗膜として使用される、請求項8に記載の塗膜積層体。


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