JP2020180194A - 重合体粒子及びその塗膜 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)基材表面に吸水性化合物の塗膜を作製する方法。
(2)基材表面に界面活性剤等の親水化合物の塗膜を作製することで基材表面を親水性にする方法。
しかしながら、これらの方法においては、一定のレベルまでは防曇性を維持できるが、吸水能以上の水分が該物品に凝集、付着すると曇りが生じる。そのため、高い防曇持続性を発現させるためには膜厚を厚くする必要があるといった不都合があった。
しかしながら、これらの文献の塗膜は、いずれもコロイダルシリカが塗膜最表面に偏在していることを特徴としている。そのため、初期の親水性、防曇性には優れるものの、高温多湿環境下などの過酷な環境下においては塗膜表面への異物の吸着等により、防曇性の低下が起こりうる。
また、上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明は、好ましくは分散安定性に優れ、かつ塗膜にしたときに高い透明性を有することを課題とする。
[1].
(A)アミド基を含有する重合性モノマーと(B)ポリアルキレンオキシド基を有する親水性化合物とを重合させてなる重合体粒子であって、
前記(A)成分の質量比率が重合体粒子の全固形分質量に対して1.0%〜40.0%であり、かつ前記重合体粒子の粒子径分布(=体積平均粒子径MV/数平均粒子径MN)が1.0〜1.8である、重合体粒子。
[2].
該重合体粒子が、前記(A)および(B)と、さらに(C)加水分解性珪素化合物又は/及び珪素酸化物とを重合させてなることを特徴とする、上記[1]項に記載の重合体粒子。
[3].
数平均粒子径が5〜200nmである、上記[1]又は[2]項に記載の重合体粒子。
[4].
コアシェル構造を有する、上記[1]〜[3]項のいずれか1項に記載の重合体粒子。
[5].
前記(A)成分が、2級アミド基、3級アミド基あるいはその両方を有する重合性モノマーを含む、上記[1]〜[4]項のいずれか1項に記載の重合体粒子。
[6].
前記(B)成分が多分岐型構造を有するポリアルキレンオキシド基を有する親水性化合物であることを特徴とする、上記[1]〜[5]項のいずれか1項に記載の重合体粒子。
[7].
水中で重合することを特徴とする、上記[1]〜[6]項のいずれか1項に記載の重合体粒子の製造方法。
[8].
上記[1]〜[6]項のいずれか1項に記載の重合体粒子を含む塗料から形成された塗膜が上層に配置され、樹脂基材及び/またはガラス基材が下層に配置された塗膜積層体。
[9].
前記塗膜が防曇塗膜として使用される、上記[8]項に記載の塗膜積層体。
また、本発明の好ましい態様によれば、分散安定性に優れ、かつ塗膜にしたときに高い透明性を有する塗膜を提供することができる。
なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
重合体粒子は、(A)アミド基を含有する重合性モノマーと(B)ポリアルキレンオキシド基を有する親水性化合物とを含む原料(重合原液)を重合させてなる重合体粒子であって、重合に用いられる前記(A)成分の質量比率が重合体粒子の全固形分重量に対して1.0%〜40.0%であり、かつ前記重合体粒子の粒子径分布(=体積平均粒子径MV/数平均粒子径MN)が1.0〜1.8であることを特徴とする。
(A)成分として挙げられるアミド基含有モノマーの具体例としては、特に限定されないが、例えばN−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドを例示することができる。
より具体的には、特に限定されないが、例えばN−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
(B)成分として用いられる親水性化合物は、特に限定されないが、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンオキシプロピレンオキシエチレントリブロックコポリマー、ポリオキシプロピレンオキシエチレンオキシプロピレントリブロックコポリマー、脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタン等のアルキレングリコール部位含有ポリマー群、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体などが挙げられる。
このような分子内にアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含むポリアルキレンオキシドとして、例えば、(i)分子内に水酸基を1つ有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、分子内に水酸基を2つ有するポリオキシアルキレングリコール、分子内に水酸基を3つ有する脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタン、グリセロールエトキシレート、トリメチルプロパンエトキシレート、分子内に水酸基を4つ有する4分岐型ポリアルキレングリコール、分子内に水酸基を8つ有する8分岐型ポリアルキレングリコール等と、(ii)水酸基と反応しうる官能基を有するシランカップリング剤との反応物を挙げることができる。これらを一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
なお、本明細書における分子量は、GPCによって測定されるポリスチレン換算で示される重量(質量)基準の平均分子量である(JIS K7252−1に準拠)。
また、重合に用いられる(B)成分(固形分)の質量比率は、粒子の分散安定性と塗膜にした時の防曇性の観点から、重合体粒子の全固形分質量に対して1〜80%であることが好ましい。この比率は、より好ましくは5〜70%であり、さらに好ましくは10〜60%である。
加水分解性珪素化合物又は/及び珪素酸化物(C)は、重合体粒子を含む塗料から塗膜を形成したときに、耐候性や塗膜の柔軟性や強度が一層向上する観点から、重合体粒子に含まれることが好ましい。加水分解性珪素化合物又は/及び珪素酸化物として、特に限定されないが、例えば下記式(I)で表される化合物やその縮合生成物、シランカップリング剤等が挙げられる。
SiWxRy (I)
ここで、式中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。
チオール基を有するシランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が使用可能である。
なお、重合に用いられる(C)成分(固形分)の質量比率は、粒子の分散安定性と塗膜の強度、耐候性の観点から、重合体粒子の全固形分質量に対して1〜90%であることが好ましい。この比率は、より好ましくは5〜80%であり、さらに好ましくは10〜70%である。
本発明の重合体粒子は、(D)成分として、(A)、(B)、(C)成分以外の化合物を任意に含んで重合した重合体粒子であってもよい。
例えば、本発明の重合体粒子は、(A)、(B)、(C)成分以外の重合性モノマーを任意に含んで重合した重合体粒子であってもよい。
中でも、加水分解性珪素化合物(C)を用いる場合の重合触媒としては、乳化剤としても作用する酸性乳化剤類、特に炭素数が5〜30のアルキルベンゼンスルホン酸(ドデシルベンゼンスルホン酸等)が好ましい。
重合体粒子中の全固形分質量の比率(質量%)=乾燥質量/重合体粒子の質量×100・・・(II)
重合体粒子の体積平均粒子径(MV、1次粒子と2次粒子との混合物であってもよいし、1次粒子、2次粒子何れかのみであってもよい)は、好ましくは1nm〜400nmであり、より好ましくは1nm〜100nmであり、更に好ましくは3nm〜80nmであり、特に好ましくは4nm〜80nmであり、更により好ましくは4nm〜60nmである。ここでの特定範囲の体積平均粒子径(MV)は、形成された塗膜中でも通常維持される。重合体粒子の体積平均粒子径(MV)は、得られる塗膜の光学特性等に寄与し得る。特に、体積平均粒子径(MV)を100nm以下とすることにより、得られる塗膜の透明性を大きく向上させ得る。なお、明細書における体積平均粒子径(MV)とは、後述する方法に準じて測定された値である。
本明細書において、重合体粒子の体積平均粒子径MVおよび数平均粒子径MNは、試料中の固形分含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定することができる。
一実施形態において、重合体粒子は、得られる塗膜の基材密着性を向上させる観点から、コア層と、当該コア層を被覆する1層又は2層以上のシェル層とを備えたコアシェル構造を有することが好ましい。当該コアシェル構造を形成する方法としては、乳化重合を多段で行う、多段乳化重合が有用である。重合体粒子において、アミド基を含有する重合性モノマー(A)と親水性化合物(B)との相互作用の観点から、(A)成分に由来する部分は重合体粒子中のシェル層に含まれることが好ましい。コアシェル構造は、例えば透過型電子顕微鏡等による形態観察や粘弾性測定による解析等により観察することができる。
一実施形態において、重合体粒子に加えて、その用途及び使用方法に応じて、通常塗料や成型用樹脂に添加配合される添加剤成分といった任意の成分を含んだ塗料から塗膜を形成してよい。
添加剤成分としては、特に限定されないが、例えば界面活性剤、光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等をそれぞれの目的に応じて選択したり、組み合わせたりして、配合することができる。
<基材>
基材は、重合体粒子を含んでなる塗膜により特に優れた防曇性、防曇持続性を付与される対象として位置付けられる。種々の材料を基材として採用することができる。
一実施形態においては、基材は、樹脂製であることが好ましい。上記樹脂製の基材(樹脂基材)としては、特に限定されないが、例えば、合成樹脂や天然樹脂等の有機基材を挙げることができる。
一実施形態において、樹脂基材の表面は、コロナ放電処理やフレーム処理、プラズマ処理等の表面処理がされていてよいが、これらの表面処理は必須ではない。
使用される基材の種類、厚みや、表面処理により形成される膜の厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。
基材として樹脂基材及び/又はガラス基材を用いる場合のその厚みは、例えば0.1mm〜100mmであってよい。
一実施形態において、塗膜は、上述した塗料を基材上に塗工し、乾燥して形成される。
塗料の粘度としては、好ましくは20℃において0.1〜100000mPa・sであり、好ましくは1〜10000mPa・sである。
塗工方法としては、特に限定されないが、例えばバーコート法、スプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、及びフレキソ印刷法等が使用可能である。
塗膜は、例えば、塗料を基材上で乾燥した後、所望により、好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは40℃〜250℃で熱処理や紫外線照射等を行って形成してもよい。
上記重合体粒子を含んでなる塗膜は、防曇性に優れることから、防曇塗膜として使用されることが好ましい。
塗膜の厚みは、好ましくは0.05〜100μmであり、より好ましくは0.1〜10μmである。透明性の面から、塗膜は100μm以下であることが好ましく、耐候性及び防曇性等の機能を発現するためには、0.05μm以上であることが好ましい。
一実施形態において、塗膜は必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
<体積平均粒子径MV、数平均粒子径MN、粒子径分布>
試料中の固形分含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(マイクロトラック・ベル株式会社製マイクロトラックUPA−9230)を用いて体積平均粒子径MV、数平均粒子径MNを測定した。
また、上述の数値から、数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比率(体積平均粒子径MV/数平均粒子径MN)である粒子径分布を算出した。
反射分光膜厚計(大塚電子製、商品名「FE−3000」)を用いて得られた塗膜の膜厚を測定した。無作為に選択した3点の測定値の平均を算出し、膜厚とした。
重合体粒子を得るための原料である(A)成分や(B)成分といった各成分(固形分)の質量比率を、得られた重合体粒子における全固形分質量(乾燥質量)に対する割合の形で算出した。
特に、加水分解性珪素化合物については、加水分解縮合物としての質量比率(固形分換算)として算出した。
得られた重合体粒子を25℃、一週間の条件下で保存した後、目視で沈殿物が見られないものは「○」(良好)、沈殿が見られたものを「×」(不良)とした。
塗膜の透明性はヘイズ測定により判断した。塗膜のヘイズは日本電色工業株式会社製濁度計(品番:NDH5000SP)を用いて、JIS K7136に規定される方法により測定し、ヘイズが1.2より小さいものは「○」(良好)、1.2以上のものは「×」(不良)とした。基材としてポリカーボネート樹脂(PC)およびガラスをそれぞれ用いて測定した。
80℃に保った温水浴の水面から5cmの高さのところに、得られた塗膜の試験片を塗膜面が下になるように設置し、温水浴からの蒸気を塗膜に連続照射し、照射から30秒後の曇りの有無を目視によって下記のように評価した。なお、評価が△以上であれば実用上問題なく、○であればより好ましい。
○(良好):全く曇らない。
△(中程度):蒸気照射直後にわずかに曇る。
×(不良):曇る。
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器で、イオン交換水1800g、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液45g、トリメトキシシラン105g、フェニルトリメトキシシラン23g、テトラエトキシシラン27gを用いて、70℃の環境下で一般的な乳化重合の方法で重合を行った。重合後、温度を80℃とした後、更に2%過硫酸アンモニウム水溶液43g、アクリル酸ブチル11g、N,N−ジエチルアクリルアミド12g、アクリル酸1g、3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン1gを加えて、一般的な乳化重合の方法で重合を行い、100メッシュの金網で濾過し、ナノ粒子(H−1)の水分散体を得た。得られたナノ粒子(H−1)の固形分は5.1%であった。また体積平均粒子径MVは39nmであった。
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器で、イオン交換水1500g、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液45g、トリメトキシシラン105g、フェニルトリメトキシシラン23g、テトラエトキシシラン27gを用いて、70℃の環境下で一般的な乳化重合の方法で重合を行った。重合後、温度を80℃とした後、更に2%過硫酸アンモニウム水溶液43g、アクリル酸ブチル5.5g、ジエチルアクリルアミド11.5g、アクリル酸1g、フェニルトリメトキシシラン2.7g、テトラエトキシシラン16.7g、3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン0.5gを加えて、一般的な乳化重合の方法で重合を行い、100メッシュの金網で濾過し、ナノ粒子(H−2)の水分散体を得た。得られたナノ粒子(H−2)の固形分は5.9%であった。また体積平均粒子径MVは50nmであった。
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器で、イオン交換水1000g、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液30g、トリメトキシシラン17g、フェニルトリメトキシシラン4g、テトラエトキシシラン4gを用いて、70℃の環境下で一般的な乳化重合の方法で重合を行った。重合後、温度を80℃とした後、更にイオン交換水692g、2%過硫酸アンモニウム水溶液100g、アクリル酸ブチル44g、ジエチルアクリルアミド48g、アクリル酸4g、3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン4.0gを加えて、一般的な乳化重合の方法で重合を行い、100メッシュの金網で濾過し、ナノ粒子(H−3)の水分散体を得た。得られたナノ粒子(H−3)の固形分は6.0%であった。体積平均粒子径MVは54nmであった。
還流冷却器、滴下槽、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を有する反応器に、グリセロールエトキシレート(Aldrich製、固形分100質量%)100g、KBE−9007(信越化学工業(株)製)40.5gを投入し、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。その後窒素ガスを吹き込みながら反応容器中の温度が80℃の状態で約6時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、親水性化合物(B−1)を得た。水酸基に対するシランカップリング剤の導入率は68%であった。また、親水性化合物(B−1)の分子量は1500g/molであった。ここでの分子量は、GPCによって測定されるポリスチレン換算で示される重量(質量)基準の平均分子量である(JIS K7252−1に準拠)。
還流冷却器、滴下槽、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を有する反応器に、トリメチロールプロパンエトキシレート(Aldrich製、固形分100質量%)100g、KBE−9007(信越化学工業(株)製)40.5gを投入し、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。その後窒素ガスを吹き込みながら反応容器中の温度が80℃の状態で約6時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、親水性化合物(B−2)を得た。水酸基に対するシランカップリング剤の導入率は67%であった。また、親水性化合物(B−2)の分子量は1500g/molであった。ここでの分子量の定義は製造例4で上述したものと同じである。
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器で、イオン交換水1800g、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液45g、トリメトキシシラン105g、フェニルトリメトキシシラン23g、テトラエトキシシラン27gを用いて、70℃の環境下で一般的な乳化重合の方法で重合を行い、100メッシュの金網で濾過し、ナノ粒子(H−4)の水分散体を得た。得られたナノ粒子(H−4)の固形分は3.9%であった。
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器で、イオン交換水500g、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液15g、トリメトキシシラン8.4g、フェニルトリメトキシシラン1.8g、テトラエトキシシラン2.2gを用いて、70℃の環境下で一般的な乳化重合の方法で重合を行った。重合後、温度を80℃とした後、更にイオン交換水692g、2%過硫酸アンモニウム水溶液100g、アクリル酸ブチル44g、ジエチルアクリルアミド70g、アクリル酸4g、3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン4gを加えて、一般的な乳化重合の方法で重合を行い、100メッシュの金網で濾過し、ナノ粒子(H−5)の水分散体を得た。得られたナノ粒子(H−5)の固形分は9.0%であった。
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器で、製造例1で合成したナノ粒子(H−1)と製造例4で合成した親水性化合物(B−1)を表1にある質量部比率で混合し、80℃で5時間攪拌することにより重合体粒子を得た。その後室温に冷却し、イオン交換水で固形分3%に調整した。得られた重合体粒子の体積平均粒子径MVと数平均粒子径MNを測定することにより、粒子径分布を算出したところ、1.15であった。また上述の塗料を縦60mm×横60mm×厚さ2mmのポリカーボネート板(タキロン社製)と縦60mm×横60mm×厚さ2mmの白板ガラス上に、膜厚が0.5μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、120℃10分間乾燥することにより塗膜を得た。表1に記載したとおり、得られた重合体粒子の粒子安定性、ならびに得られた塗膜の透明性および防曇性はいずれも良好であった。
実施例2〜8、比較例1〜2において、表1に示すとおり、原料の種類や配合量(質量部)を変えること以外は、実施例1に準じた方法で重合体粒子および塗膜を製造し、評価を行った。評価結果を表1に示した。
実施例2〜8のすべてにおいて、得られた重合体粒子の粒子安定性、ならびに得られた塗膜の透明性および防曇性はいずれも良好であった。
一方、比較例1〜2においては、得られた重合体粒子の粒子安定性、および得られた塗膜の透明性はいずれも不良であった。
なお、比較例1、2については、塗膜の透明性が低かったため、防曇性評価は実施していない。
したがって、本発明の重合体粒子を含む塗料から形成された塗膜は、高い防曇性が必要とされる防曇塗膜として、特に好適に使用できる。さらに、例えば自動車のヘッドランプ等の車両灯具などの自動車外装部品用の塗膜として、高温環境下での防曇耐久性が求められる用途のために用いることができる。また、本発明の重合体粒子を含む塗料から形成された塗膜は、各種機器の内部部品や高所に設置される部品のように曇り除去のために容易に取り出すことができないような部品にも用いることができる。
本発明の重合体粒子を含む塗料から形成された塗膜について上述した特徴及び利点の全ては、これらの防曇塗膜、自動車外装部品用塗膜、内部部品用塗膜についても適用される。
Claims (9)
- (A)アミド基を含有する重合性モノマーと(B)ポリアルキレンオキシド基を有する親水性化合物とを重合させてなる重合体粒子であって、
重合に用いられる前記(A)成分の質量比率が重合体粒子の全固形分質量に対して1.0%〜40.0%であり、かつ前記重合体粒子の粒子径分布(=体積平均粒子径MV/数平均粒子径MN)が1.0〜1.8である、重合体粒子。 - 該重合体粒子が、前記(A)および(B)と、さらに(C)加水分解性珪素化合物又は/及び珪素酸化物とを重合させてなることを特徴とする、請求項1に記載の重合体粒子。
- 数平均粒子径が5〜200nmである、請求項1又は2に記載の重合体粒子。
- コアシェル構造を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体粒子。
- 前記(A)成分が、2級アミド基、3級アミド基あるいはその両方を有する重合性モノマーを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体粒子。
- 前記(B)成分が多分岐型構造を有するポリアルキレンオキシド基を有する親水性化合物であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体粒子。
- 水中で重合することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合体粒子の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合体粒子を含む塗料から形成された塗膜が上層に配置され、樹脂基材及び/またはガラス基材が下層に配置された塗膜積層体。
- 前記塗膜が防曇塗膜として使用される、請求項8に記載の塗膜積層体。
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JP2004149668A (ja) * | 2002-10-30 | 2004-05-27 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 水性汚染防止被覆組成物 |
JP2010005613A (ja) * | 2008-05-26 | 2010-01-14 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 複合体、機能性構造体及びコーティング剤 |
JP2011105885A (ja) * | 2009-11-19 | 2011-06-02 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 水系有機無機複合組成物及び有機無機複合体 |
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