JP7026446B2 - 防曇塗膜およびコーティング組成物 - Google Patents
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この曇りを防ぐ方法として下記のような提案がなされてきた。
(1)基材表面に吸水性化合物の塗膜を作製する方法。
(2)基材表面に界面活性剤等の親水化合物の塗膜を作製することで基材表面を親水性にする方法。
しかしながら、これらの方法においては、一定のレベルまでは防曇性を維持できるが、吸水能以上の水分が該物品に凝集、付着すると曇りが生じる。そのため、高い防曇持続性を発現させるためには膜厚を厚くする必要があるといった不都合があった。
さらに、コロイダルシリカを多く含む塗膜の場合、樹脂基材と塗膜との熱膨張係数の差が大きい。そのため、塗膜の膜厚が1μmを超える場合、成膜後にクラックなどの外観不良が生じるといった不都合があった。
すなわち、本発明の諸態様は、以下のとおりである。
〔1〕
金属酸化物(A)と親水性化合物(B)とを含み、表面のXPSによる元素分析においてC1sスペクトルと金属酸化物由来の金属(M)スペクトルから得られるC元素と金属元素との元素濃度比(C1s/M)が10以上である塗膜。
〔2〕
水接触角の値が40°以上、水接触角変化度の値が1以上3以下である、上記〔1〕項に記載の塗膜。
〔3〕
表面のXPSによる元素分析において炭素-酸素結合及び/又は炭素-窒素結合に由来するC1sスペクトルから得られるC元素の相対元素濃度が5atomic%以上である、上記〔1〕又は〔2〕項に記載の塗膜。
〔4〕
上記金属酸化物(A)が、コロイダルシリカである、上記〔1〕~〔3〕項のいずれか一項に記載の塗膜。
〔5〕
上記親水性化合物(B)が、非共有結合及び/又は共有結合を介して上記金属酸化物表面に結合していることを特徴とする、上記〔1〕~〔4〕項のいずれか一項に記載の塗膜。
〔6〕
イソシアネート系化合物(C)をさらに含むことを特徴とする、上記〔1〕~〔5〕項のいずれか一項に記載の塗膜。
〔7〕
重合体粒子(D)をさらに含む、上記〔1〕~〔6〕項のいずれか一項に記載の塗膜。
〔8〕
金属酸化物(A)、親水性化合物(B)、並びに、任意選択で、イソシアネート化合物(C)及び/又は重合体粒子(D)及び/又は水を含有し、上記〔1〕~〔7〕項のいずれか1項に記載の塗膜を製造するためのコーティング組成物。
一実施形態に係るコーティング組成物は、(A)成分:金属酸化物と、(B)成分:親水性化合物とを含む。
(A)成分に用いられる金属酸化物としては、(B)成分との相互作用の観点から、例えば、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉛、酸化鉄、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、及び酸化セリウム等が使用可能である。なかでも、相互作用の強さの観点から、表面水酸基の多い二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化アンチモン、及びそれらの複合酸化物等が好ましい。なお、(A)成分として、上述した金属酸化物の2種以上を併用してもよい。
なお、これらのコロイダルシリカは、一種又は二種類以上組み合わせて使用されてもよい。また、少量成分として、アルミナ、及びアルミン酸ナトリウム等を含んでいてもよい。さらに、コロイダルシリカは、安定剤として無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニアなど)や有機塩基(テトラメチルアンモニウムなど)等を含んでいてもよい。
(B)成分は、(A)成分の分散性向上、及び/又は、非共有結合及び/又は共有結合を介した(A)成分表面への固定化による防曇持続性・耐湿性の向上、ならびに、塗膜の成膜性向上等の目的のために、コーティング組成物に含有される。
ノニオン系化合物の例としては、親水性部位として水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基などを有する化合物などが挙げられる。
アニオン系化合物の例としては、カルボン酸部位、スルホン酸部位、リン酸部位、ボロン酸部位を有する化合物などが挙げられる。
両性イオン系化合物の例としては、カルボン酸部位、スルホン酸部位、リン酸部位、ボロン酸などのアニオン性部位と、四級アンモニウム部位、イミダゾリウム部位、ピリジニウム部位、スルホニウム部位、ホスホニウム部位などのカチオン性部位を同一分子内に有する化合物などが挙げられる。
この中でも、親水性化合物(B)は、分子内に少なくとも1つの水酸基を有する親水性化合物が好ましい。分子内に2つ以上の水酸基を有する親水性化合物がより好ましい。
金属酸化物(A)との相互作用部位を有する親水性化合物を用いることにより、金属酸化物(A)(例えばコロイダルシリカ)表面へ非共有結合及び/又は共有結合を介して固定化され、高温多湿環境下や水中に晒された場合の防曇持続性が向上する。
また、分子内にイソシアネート基と反応し得る官能基を1つまたは2つ以上、好ましくは2つ以上有する親水性化合物を用いることにより、当該親水性化合物が塗膜中に固定化され、水との接触による溶出を防止することができる。
具体的には、上記相互作用部位であると共にイソシアネート基と反応し得る官能基を分子内に2つ以上有する親水性化合物(B)の例として、特に限定されないが、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンオキシプロピレンオキシエチレントリブロックコポリマー、ポリオキシプロピレンオキシエチレンオキシプロピレントリブロックコポリマー等のアルキレングリコール部位含有ポリマー群 、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体などが挙げられる。これらを一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でもポリオキシエチレンオキシプロピレンオキシエチレントリブロックコポリマーを含有すると、コロイダルシリカ表面への固定化、防曇持続性向上、及び成膜性の観点から好ましい。
一方、本発明の塗膜は、表面のXPSによる元素分析においてC1sスペクトルと金属酸化物由来の金属(M)スペクトルとから得られるC元素と金属元素との元素濃度比(C1s/M)が10以上である。C1s/Mが10以上であることにより、塗膜表面の金属酸化物の露出度がより小さくなり、高温多湿環境下に晒された場合に異物による汚染が抑制され、防曇性が所望のレベルに維持される。さらにC1s/Mが10以上であると樹脂基材と塗膜との熱膨張係数差が小さくなるために1μm以上の膜厚であってもクラック等の外観不良を生じることなく成膜可能になる。
さらに、表面のXPSによる元素分析において炭素-酸素結合及び/又は炭素-窒素結合に由来するC1sスペクトルから得られるC元素の相対元素濃度が5atomic%以上であることで塗膜の防曇性、親水性が一層向上する。
一方、C1s/Mの上限は、限定されるものではないが、典型的には50以下程度である。すなわち、非限定的な典型例として、C1s/Mは、10以上50以下、10超50以下、10.5以上50以下、11以上50以下であってよい。
使用機器としては、例えば、アルバックファイ株式会社製のVerasa probe IIを用い、励起源としてmonoAlK・(15kV×3.3mA)を用いることができる。測定試料の塗膜の表面に1mm×2mmのマスクを被せて測定範囲とする。
光電子取出し角は45°で行い、取込領域はSurvey scanが0~1,100 eV、Narrow scanがC1s、N1s、Si2p、O1sの領域を行う。また、Pass EnergyはSurvey scanが117.5 eV、Narrow scanが46.95eVで行う。
C原子を含有する成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば先述した親水性化合物あるいはその他の金属酸化物との相互作用部位を有する有機成分などが挙げられる。その他の金属酸化物との相互作用を有する有機成分の例としては、有機珪素化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物などの有機金属酸化物などが挙げられる。これらの中でも親水性化合物であることが好ましい。金属酸化物の表面積に対して上記成分の含有量を一定の範囲にすることによって、C1s/Mを制御することができる。
C1sピークとしては、例えば283~285eV付近に観測されるハイドロカーボンに帰属されるピーク、285~287eV付近に観測されるエーテル結合に帰属されるピーク、288eV付近に観測されるアミド結合に帰属されるピーク、288~290eV付近に観測されるウレタン結合に帰属されるピークなどが挙げられる。
炭素-酸素結合及び/又は炭素-窒素結合に由来するC1sスペクトルから得られるC元素の相対元素濃度の範囲を5atomic%以上に制御するための方法としては、上記親水性化合物に含まれる炭素-酸素結合及び/又は炭素-窒素結合の量によって達成することができる。
なお、(B)親水性化合物の平均粒径(DB)は(B)親水性化合物の分子量、密度から算出できる。被覆率(P)が300%以上であることにより、塗膜と樹脂基材との熱膨張係数差が小さくなり膜厚が1μmを超える場合であってもクラックなどの外観不良を生じることなく成膜できる。さらに被覆率(P)が300%以上であることにより、塗膜表面の金属酸化物の露出量がより小さくなり、高温多湿環境下に晒された場合でも防曇性が維持される。
ここで、(A)に対する(B)の重量比(WB)は、(A)および(B)の粒子径に依存する。(A)の粒子径が1~400nmであるとき、被覆率が300%以上となるためには、0.04<WBであり、被覆率が400%以上となるためには、0.05<WBである。
コーティング組成物のpHは8未満であることが好ましく、7未満であることがより好ましい。コーティング組成物のpHが8未満であることによって金属酸化物と親水性化合物との相互作用が強固になる。そのようなコーティング組成物から得られる塗膜は外観、耐湿性が良好である。
コーティング組成物を作製する際は、親水性化合物と金属酸化物とを予め混合し、その後水で希釈することで所望の濃度に調製することが好ましい。親水性化合物と金属酸化物とを予め混合することによって金属酸化物表面に親水性化合物が強固に結合し、そのようなコーティング組成物から得られる塗膜は外観、耐湿性が良好である。
なお、このコーティング組成物の水の含有率は、組成物の総量を基準にして、通常85質量%以下である。また水の含有率の下限は、特に限定されないが、通常50質量%以上である。
本発明に係る塗膜を形成するためのコーティング組成物は、(A)成分及び(B)成分に加えて、(C)成分としてイソシアネート系化合物を含んでよい。コーティング組成物及びこれから形成される本発明の塗膜は、更に(C)成分としてイソシアネート系化合物を含有することが、基材との密着性向上、耐擦過性向上の観点から好ましい。
該イソシアネ-ト系化合物(C)としては、例えば1,4-テトラメチレンジイソシアネート、エチル(2,6-ジイソシアナート)ヘキサノエート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネ-ト;1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアナート-4-イソシアナートメチルオクタン、2-イソシアナートエチル(2,6-ジイソシアナート)ヘキサノエートなどの脂肪族トリイソシアネート;1,3-または1,4-ビス(イソシアナートメチルシクロヘキサン)、1,3-または1,4-ジイソシアナートシクロヘキサン、3,5,5-トリメチル(3-イソシアナートメチル)シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、2,5-または2,6-ジイソシアナートメチルノルボルナンなどの脂環族ジイソシアネ-ト;2,5-または2,6-ジイソシアナートメチル-2-イソシネートプロピルノルボルナンなどの脂環族トリイソシアネート;m-キシリレンジイソシアネート、α,α,α’α’-テトラメチル-m-キシリレンジイソシアネートなどのアラルキレンジイソシアネート;m-またはp-フェニレンジイソシアネート、トリレン-2,4-または2,6-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、ジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナート-3,3’-ジメチルジフェニル、3-メチル-ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルエーテル-4,4’-ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)チオホスフェートなどの芳香族トリイソシアネート、さらには上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化二量化して得られるウレトジオン構造を有するジイソシアネートあるいはポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化三量化して得られるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを水と反応させることにより得られるビュレット構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを二酸化炭素と反応せしめて得られるオキサダイアジントリオン構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを、ポリヒドロキシ化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリアミン化合物の如き活性水素を含有する化合物と反応させて得られるポリイソシアネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上混合して使用できる。イソシアネート化合物は、イソシアネート基をブロック化剤と反応させたブロックポリイソシアネートであってもよい。上記ブロック化剤としては、オキシム、ピラゾール、カプロラクタム、活性メチレン、アルコール、フェノール、フェノール誘導体等が挙げられる。
これら一般式R1O-(R2O)n-H(ここでR1は炭素数1から30のアルキル基または芳香環を2つ以上含有する基、R2は炭素数1~5のアルキレン基を表す。nは2~250の整数である)で示されるものとしては、好ましくは分子量が100~10000より好ましくは300~5000の範囲を有するものが好適に使用できる。
親水性基及び水酸基を有するビニル系重合体の具体例としては、例えばアクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合体、ポリオレフィン系重合体等が挙げられる。これらの中でも、形成される塗膜の耐候性の観点からアクリル系重合体が好ましい。
親水性基及び水酸基を有するビニル系重合体として好適なアクリル系重合体を得るための重合方法は、特に限定されるものではないが、例えば、懸濁重合、乳化重合又は溶液重合が挙げられる。好ましくは親水性基を有するエチレン性不飽和単量体(i)および水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(ii)を溶液重合することによって得られるアクリル系重合体であり、必要に応じてこれらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体(iii)を使用することもできる。
ングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類の他、(メタ)アクリルアミド系単量体、アニオン型ビニル単量体等が挙げられる。また、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類のように、親水性基と水酸基を分子内に併せ持つエチレン性不飽和単量体を使用することも出来る。これらは1種又は2種以上混合して使用しても良い。
また、これらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体(iii)としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル類、カルボニル基含有ビニル単量体、オレフィン類、ジエン類、ハロオレフィン類、ビニルエーテル類、アリルエステル類等が挙げられる。これらは1種又は2種以上混合して使用しても良い。
親水性基及び水酸基を含有するビニル系重合体は、好ましくは重量平均分子量(ポリスチレン換算GPC法)2000~100000、より好ましくは3000~50000の範囲を有するものが好適に使用できる。
本発明に係る塗膜を形成するためのコーティング組成物は、(A)成分及び(B)成分に加え、(D)成分として重合体粒子を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加え、(D)成分として重合体粒子を含んでよい。 コーティング組成物(及びこれから形成される本発明の塗膜)は、更に(D)成分として重合体粒子を含有することが好ましい。一実施形態において、(D)成分は、(d1)成分:加水分解性珪素化合物と、(d2)成分:水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、及びエーテル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するビニル単量体と、(d3)成分:乳化剤と、(d4)成分:水とを含む重合原液を重合して得られる重合体粒子である。
SiWxRy (4)
(式(4)において、Wは炭素数1~20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1~20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1~20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基、アミド基から選ばれた少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数が1~30個のアルキル基、炭素数5~20のシクロアルキル基、及び、置換されていないか又は炭素数1~20のアルキル基若しくは炭素数1~20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6~20のアリール基から選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。)
環状シロキサンオリゴマーとして、下記式(5)で表される化合物が使用可能である。
(R’2SiO)m (5)
(式(5)において、R’は、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数が1~30個のアルキル基、炭素数5~20のシクロアルキル基、及び、置換されていないか又は炭素数1~20のアルキル基若しくは炭素数1~20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6~20のアリール基から選ばれる少なくとも1種を表す。mは整数であり、2≦m≦20である。)
本発明に係る塗膜を形成するためのコーティング組成物は、(A)成分及び(B)成分に加え、(E)成分として加水分解性珪素化合物を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加え、(E)成分として加水分解性珪素化合物を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分に加え、(E)成分として加水分解性珪素化合物を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分に加え、(E)成分として加水分解性珪素化合物を含んでよい。
一実施形態において、コーティング組成物(及びこれから形成される塗膜)は、(E)成分:下記式(6)、下記式(7)、又は下記式(8)で表される加水分解性珪素化合物をさらに含んでいてもよい。この場合、コーティング組成物における(A)成分と(D)成分との質量比は、例えばA/D=50/100~1000/100であり、(A)成分と(E)成分との質量比は、例えばE/A=5/100~90/100である。以下、下記式(6)で表される加水分解性珪素含有化合物を(e1)成分とし、下記式(7)で表される加水分解性珪素含有化合物を(e2)成分とする。
R1 nSiX4-n (6)
(式(6)において、R1は水素又は炭素数1~10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を表す。またこれらの置換基上にさらにハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基等の官能基を有していてもよい。Xは加水分解基を表し、nは0~3の整数である。加水分解基とは加水分解により水酸基が生じる基であればよく、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、フェノキシ基、オキシム基等が挙げられる。)
X3Si-R2 n-SiX3 (7)
(式(7)において、Xは加水分解基を表し、R2は炭素数1~6のアルキレン基又はフェニレン基を表す。また、nは0又は1である。)
R3-(O-Si(OR3)2)n-OR3 (8)
(式(8)において、R3は、炭素数1~6のアルキル基を表す。nは、2~8の整数である。)
本発明に係る塗膜を形成するためのコーティング組成物は、(A)成分及び(B)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((C)、(D)または(E)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((D)または(E)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((C)または(E)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(E)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((C)または(D)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((E)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((D)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(D)成分及び(E)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((C)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分に加え、以下に例示されるような任意成分を含んでよい。
一実施形態において、塗膜を得るためのコーティング組成物には、その用途及び使用方法などに応じて、通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される添加剤成分、例えば、界面活性剤、光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等を、それぞれの目的に応じて選択したり、組み合わせたりして配合することができる。
これらの任意成分は、特に限定されないが、通常、(A)成分及び(B)成分ならびに任意選択の(C)成分及び/又は(D)成分及び/又は(E)成分に対して、10質量部以下、5質量部以下、または3質量部以下の配合量で用いることができる。
基材は、コーティング層により特に優れた防曇性、防曇持続性を付与される対象として位置付けられる。種々の材料を基材として採用することができる。なお、一実施形態においては、基材は、樹脂製であることが好ましい。上記樹脂製の基材としては、特に限定されないが、例えば、合成樹脂や天然樹脂等の有機基材を挙げることができる。
上記合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等)を使用することができる。より詳細には、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン-アクリル樹脂等を挙げることができる。しかしながら、上記に限定されるものではない。
また、上記天然樹脂としては、特に限定されないが、例えば、セルロース系樹脂、天然ゴム等のイソプレン系樹脂、カゼイン等のタンパク質系樹脂等を挙げることができる。
一実施形態において、樹脂板の表面は、コロナ放電処理やフレーム処理、プラズマ処理等の表面処理がされてあっても構わないが、これらの表面処理は必須ではない。
使用される基材の種類、厚みや、表面処理により形成される膜の厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。
典型的な一実施態様において、本発明に係る塗膜を形成するためのコーティング組成物は、(A)成分と(B)成分を予め混合後、水と混合する工程、および40℃未満で10分以上撹拌する工程を含む方法によって製造することができる。一般に水を含むコーティング組成物を製造する際は、コーティング組成物中に含まれる各成分をそれぞれ水で希釈後に混合する方法、水の中に各成分を混合する方法、および予め各成分を混合後、水で希釈する方法などが挙げられる。本発明においては(A)成分と(B)成分を予め混合することが好ましい。予め混合することによって(A)成分と(B)成分が強固に相互作用を形成し得る。そのようにして作成したコーティング組成物から得られる塗膜は耐水性が優れるため好ましい。さらに40℃未満で10分以上撹拌することにより、(A)成分と(B)成分が均一に分散したコーティング組成物を形成し得る。25℃以下で混合し1時間以上混合することにより、(A)成分と(B)成分とが安定な分散体を形成し、シリカ表面の被覆率が上昇し成膜性が向上するためより好ましい。そのようにして作成したコーティング組成物から得られる塗膜は、透明性が高く外観が優れるため好ましい。
一実施形態に係る塗膜は、例えば、水等の溶媒等に分散させたコーティング組成物(「水分散体」と略記することがある)を基材上に塗工し、乾燥して形成されうる。水分散体の粘度としては、好ましくは20℃において0.1~100000mPa・sであり、好ましくは1~10000mPa・sである(振動式粘度計により測定)。塗工方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、及びフレキソ印刷法等が使用可能である。なお、基材と塗膜との複合体は、例えば、塗膜を基材上で乾燥した後、所望により好ましくは20℃~500℃、より好ましくは40℃~250℃での熱処理や紫外線照射等を行って形成してもよい。
一実施形態において、コーティング組成物を基材上に塗工後、第一乾燥過程として50℃以上120℃以下の温度で10分乃至15分熱処理を行い、さらに第二乾燥過程として70℃以上120℃以下の温度で10分乃至30分熱処理を行うことが、基材との密着性、外観、耐擦過性の観点で好ましい。この第一乾燥過程における熱処理の温度は、塗膜外観の観点からは50℃以上80℃以下がより好ましい。第二乾燥過程における熱処理の温度は、生産性、適用可能な基材種の観点からは100℃以下が好ましく、80℃以下がさらに好ましい。
このように形成された塗膜の表面についての望ましいXPS元素分析による特性は、(B)成分に関連して上述したとおりである。
また、本発明の塗膜は、1μmを超える膜厚であっても成膜性が良好であり、防曇性に優れ、高温多湿下などに晒された場合においても防曇性を持続可能な防曇塗膜を提供することができる。好ましい一実施形態において、本発明の塗膜は、3μmを超える膜厚であっても成膜性が良好であり、防曇性に優れ、高温多湿下などに晒された場合においても防曇性を持続可能な防曇塗膜を提供することができる。さらに好ましい一実施形態において、本発明の塗膜は、4μmを超える膜厚であっても成膜性が良好であり、防曇性に優れ、高温多湿下などに晒された場合においても防曇性を持続可能な防曇塗膜を提供することができる。
なお、各種物性は下記の方法で評価した。
<数平均粒子径>
試料中の固形分含有量が1~20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日本国日機装製マイクロトラックUPA-9230)を用いて測定した。
塗膜に脱イオン水の水滴を乗せ、23℃で一定時間放置した後、接触角測定装置(日本国協和界面科学製 CA-X150型接触角計)を用いて下記に従い水接触角、および水接触角変化度を測定した。
・水接触角(°):塗膜に脱イオン水の水滴を乗せ、0.1秒経過後の水接触角
・飽和水接触角(°):塗膜に脱イオン水の水滴を乗せ、5秒経過後の水接触角
・水接触角変化度:水接触角(°)/飽和水接触角(°)
得られた塗膜の外観を、以下のように目視で評価した。
◎:クラック、ひび割れが一切なく透明である。
○:クラック、ひび割れがないが一部白濁している。
×:クラック、ひび割れがある。
得られた塗膜について、JIS-K5600-5-6に準拠した方法で1mm角100マスの碁盤目試験で下記のように評価した。
○:剥離がない。
△:剥離が50%未満である。
×:剥離が50%以上である。
80℃に保った温水浴の水面から5cmの高さのところに、得られた塗膜の試験片を塗膜面が下になるように設置し、温水浴からの蒸気を塗膜に連続照射し、照射から30秒後の曇りの有無を目視によって下記のように評価した。なお、評価が△以上であれば実用上問題なく、○であればより好ましい。
○:全く曇らない。
△:曇りはないが水膜が不均一であり視認性が劣る。
×:曇る。
塗膜表面をキムワイプで一往復擦った際の塗膜の状態をデジタル顕微鏡にて観察し、下記のように評価した。
○:傷、剥離がともにない。
△:剥離はないが傷が有る。
×:塗膜ごと剥離する。
塗膜表面の相対元素濃度をXPS(アルバックファイ Verasa probeII)により測定した。励起源はmono.AlK・(15kV×0.3mA)、分析サイズ約200mmφ、光電子取出角45°として実施した。
取り込み領域は
Survey scan: 0~1,100 eV
Narrow scan: C1s、O1s、Si2p、N1sとし、
Pass Energyは、
Survey scan: 188eV
Narrow scan: 47eV
として測定し、C1sスペクトルと金属酸化物(シリカ)由来の金属(M)スペクトルとから得られるC元素と金属元素の元素濃度比(C1s/M)および炭素-酸素結合、炭素-窒素結合由来のC元素の相対元素濃度(atomic%)を求めた。
C1sのピーク分離では各成分の半値幅が同じとなるようにした。
作製した塗膜を85℃85%RHの環境下に24時間曝露後、23℃50%RHの環境下に一時間静置させた。得られた塗膜に関し塗膜外観、密着性、水接触角、防曇性を評価した。
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、ドデシルベンゼンスルホン酸4gを投入した後、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、ジメチルジメトキシシラン185g、フェニルトリメトキシシラン117gの混合液を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下し、その後、反応容器中の温度が80℃の状態で約1時間撹拌を続行した。次にアクリル酸ブチル86g、フェニルトリメトキシシラン133g、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3gの混合液とN,N-ジエチルアクリルアミド137g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR-1025」、旭電化(株)製、固形分25%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、イオン交換水1900gの混合液を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに反応容器中の温度が80℃の状態で約2時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、イオン交換水で固形分を10.0質量%に調整し、数平均粒子径85nmの重合体粒子(D)水分散体を得た。
金属酸化物(A)として数平均粒子径4nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックス-OXS」、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)40.0gに、親水性化合物(B)として、あらかじめ50℃に加熱したポリオキシエチレン-オキシプロピレン-オキシエチレントリブロックコポリマー(商品名「P123」、Sigma-Aldrich Japan製、固形分100質量%、密度1.1g/cm3、平均粒径2.1nm)40gをゆっくり混合後、混合液の温度が25℃になるよう水冷しながら1時間攪拌した。その後蒸留水213gを混合後、25℃でさらに1時間攪拌し、固形分15%のコーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物を縦60mm×横60mm×厚さ2mmのポリカーボネート板(タキロン社製)にバーコーター#65によりコーティングし、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、80℃で30分間乾燥することにより、試験板を得た。得られた塗膜の膜厚は5μmであった。塗膜外観は良好(クラック無し、透明)であった。また、水接触角は、45°、水接触角変化度は1.6であった。表面のXPSによる元素分析においてC1sスペクトルとシリカ由来のSiスペクトルから得られるC元素とSi元素との元素濃度比(C1s/Si)は11、炭素-酸素結合、炭素-窒素結合に由来するC1sスペクトルから得られるC元素の相対元素濃度は43atomic%であった。得られた試験片を温度85℃、85%RHの環境試験器に24時間入れ、次いで温度23℃、50%RHの環境下に1時間静置させた後、塗膜外観、密着性、水接触角、防曇性の評価を行った結果、塗膜外観は良好で水接触角(親水性の指標の一つ)、防曇性も維持されており、耐湿性は概して良好であった。コーティング組成物の各成分の配合量(質量部)を表1に示す。初期特性を含めた各評価結果を表2に示す。
参考例2、実施例3、参考例4及び比較例1~4にて、表1及び表3に示すとおり、成分の種類や配合量(質量部)を変えること以外は参考例1に準じた方法でコーティング組成物を製造し、塗膜試験片を作製して塗膜性能の評価を行った。初期特性を含めた塗膜性能の評価結果を表2及び表4に示す。
金属酸化物(A)として数平均粒子径4nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックス-OXS」、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)40.0g、親水性化合物(B)として、ポリオキシエチレン-オキシプロピレン-オキシエチレントリブロックコポリマー(商品名「P123」、Sigma-Aldrich Japan製、固形分100質量%、密度1.1g/cm3、平均粒径2.1nm)40.0gを混合後50℃で1時間撹拌した。その後蒸留水17.3gを混合後、50℃で10分攪拌した。撹拌後のコーティング組成物は著しく増粘しており成膜不可であった。比較例5のコーティング組成物(塗膜の原料)の各成分の配合量(質量部)を表3に示す。
金属酸化物(A)として数平均粒子径4nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックス-OXS」、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)40.0g、親水性化合物(B)として、ポリオキシエチレン-オキシプロピレン-オキシエチレントリブロックコポリマー(商品名「P123」、Sigma-Aldrich Japan製、固形分100質量%、密度1.1g/cm3、平均粒径2.1nm)40.0gを混合後25℃で1時間撹拌した。その後蒸留水356.0gを混合後、25℃で1時間攪拌した。撹拌後のコーティング組成物(蒸留水濃度98%;固形分濃度2%)は成膜性が低く基材上に成膜不可であった。比較例6のコーティング組成物(塗膜の原料)の各成分の配合量(質量部)を表3に示した。
1)STOXS:日産化学工業(株)製、スノーテックス-OXS、固形分10質量%、酸性タイプ、数平均粒子径4nm
2)STO:日産化学工業(株)製、スノーテックス-O、固形分20質量%、酸性タイプ、数平均粒子径15nm
3)P123:Sigma-Aldrich Japan製、固形分100質量%
4)ポリイソシアネートA:旭化成(株)製、WT30-100、固形分100質量%
5)L44:(株)ADEKA製、プルロニックL-44、固形分100質量%
6)PEG4000:東京化成工業(株)製、ポリエチレングリコール4,000、固形分100質量%
表2及び表4から明らかなように、本発明の塗膜である参考例2、実施例3、参考例4は、塗膜外観、防曇性、耐湿性の全てにおいて優れた塗膜性能を有していた。特に、硬化剤(C)を配合した実施例3においては耐擦過性、耐湿試験後の塗膜の基材に対する密着性が更に改善された。重合体粒子(D)を配合した参考例4においては、耐湿試験後の塗膜の基材に対する密着性が更に改善された。一方、比較例1のコロイダルシリカのみからなるコーティング組成物を使用した場合、基材へのぬれ性、成膜性に乏しく塗膜が得られなかった。比較例2、比較例3のようにコロイダルシリカに対する親水性化合物の量が十分でない場合、成膜性が低く1μmを超える膜厚ではクラックが生じ外観が不良であった。比較例4のPEG4000を親水性化合物として用いて作製した塗膜は、コロイダルシリカと親水性化合物との相互作用が弱くコロイダルシリカ表面に親水性化合物が固定化されないため、成膜性が低く外観、耐湿性ともに非常に悪かった。比較例5のように組成物を50℃で混合、撹拌した場合、組成物の著しい増粘、凝集が生じ成膜不可であった。比較例6のように組成物中の固形分濃度が2質量%の場合、基材への濡れ性が悪く成膜不可であった。
Claims (7)
- 金属酸化物(A)と親水性化合物(B)とを含み、表面のXPSによる元素分析においてC1sスペクトルと金属酸化物由来の金属(M)スペクトルとから得られるC元素と金属元素との元素濃度比(C1s/M)が10以上であり、水接触角の値が40°以上であり、イソシアネート系化合物(C)をさらに含むことを特徴とする塗膜。
- 水接触角変化度の値が1以上3以下である、請求項1に記載の塗膜。
- 表面のXPSによる元素分析において炭素-酸素結合及び/又は炭素-窒素結合に由来するC1sスペクトルから得られるC元素の相対元素濃度が5atomic%以上である請求項1又は2に記載の塗膜。
- 上記金属酸化物(A)が、コロイダルシリカである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の塗膜。
- 上記親水性化合物(B)が、非共有結合及び/又は共有結合を介して上記金属酸化物表面に結合していることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塗膜。
- 重合体粒子(D)をさらに含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の塗膜。
- 金属酸化物(A)、親水性化合物(B)、イソシアネート化合物(C)並びに、任意選択で、重合体粒子(D)及び/又は水を含有し、請求項1~6のいずれか一項に記載の塗膜を製造するためのコーティング組成物。
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