JP2009007513A - コーティング組成物 - Google Patents

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Yasushi Iki
康司 壹岐
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Asahi Kasei Chemicals Corp
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Abstract

【課題】耐候性と耐汚染性とをバランスよく備えたポリシロキサン含有水性アクリレート重合体エマルジョンとコロイド状無機粒子からなるコーティング組成物を提供すること。
【解決手段】以下の成分(A)〜(C)を含有するコーティング組成物であって、(A)成分の加水分解縮合と(B)成分の乳化重合とを水性媒体中で同時に行うことにより得られるコーティング組成物。
(A)特定の有機シラン化合物の加水分解縮合物 100質量部
(B)特定のエチレン性不飽和単量体を乳化重合した乳化重合体
20〜5000質量部
(C)コロイド状無機粒子 樹脂固形分100質量部に対し0.1〜95質量部
【選択図】なし

Description

本発明はコーティング組成物に関する。
乳化重合により得られる水性エマルジョンは、常温あるいは加熱下で乾燥形成した皮膜が比較的良好な耐久性を示すことから、水性塗料用の樹脂として多く用いられている。
しかし、屋外で長期間曝露された場合には、その皮膜はほこり、煤煙、砂などの付着により汚染され、さらに耐候性すなわち光、熱、雨などにより艶の低下、変色、膨れ、ヒビわれなど変質の問題がある。そのため塗料が塗装された直後の美しい外観は、経時的な汚染により非常に汚れた皮膜となってしまう。また雨や結露によって白化あるいは脆弱化など、耐水性の低下により塗装直後の美観を維持できないという欠点も有しており、都心部においては大気中の有機微粒子が雨筋状に付着し、美観を損ねることが指摘されていた。
このような事情のもと、特許文献1には、ポリシロキサンを複合化したエマルジョンが開示されている。また、特許文献2〜4には、ポリシロキサンを複合化したエマルジョンにおいて、ポリシロキサンとして特定の有機シラン化合物から得られるものを用いることが開示されている。更に、特許文献5には、表面をノニオン系界面活性剤やビニルポリマーで被覆したコロイダルシリカとエマルジョンをブレンドした組成物が開示されている。
特許3108152号公報 特許3159234号公報 特開2000−319579号公報 特開2004−149668号公報 特開2001−335721号公報
しかしながら、特許文献1〜5に開示された塗装皮膜のいずれも、耐候性と耐汚染性とをバランスよく両立する観点から、なお改良の余地を有するものであった。
本発明は、耐候性と耐汚染性とをバランスよく備えた高耐候低汚染性のコーティング組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定の配合組成を有するポリシロキサン含有高分子エマルジョンと、コロイド状無機粒子とを組み合わせて用いることにより、耐候性と耐汚染性とをバランスよく備えた高耐候低汚染性のコーティング組成物を実現し得ることを見出した。
コロイド状無機粒子は一般に親水性が高く、そのようなコロイド状無機粒子を配合した場合には組成物の親水性が向上する。ここで、親水性の向上した組成物を屋外用塗料といった表面コーティング材として用いる場合には、耐汚染性の向上と耐候性の低下とが同時に引き起こされる。即ち、親水性が向上することにより雨水などの水滴が塗装皮膜表面に低い接触角で接触し、かかる水滴が汚れを押し流すことでクリーニング性が発揮され、耐汚染性の向上が期待される。一方、親水性が向上することにより塗装皮膜内部に水分が浸入し、塗装皮膜成分の加水分解等、劣化が生じる傾向(耐候性が低下する傾向)を生じることとなる。
しかしながら、このようなコロイド状無機粒子を特定の配合組成を有するポリシロキサン含有高分子エマルジョンと組み合わせて用いた場合には、意外なことに、耐候性の低下
を抑制しつつ耐汚染性を向上させ得る、つまり、耐候性と耐汚染性とをバランスよく備えた高耐候低汚染性コーティング組成物を実現し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の高耐候低汚染性コーティング組成物を提供する。
(1)以下の成分(A)〜(C)を含有するコーティング組成物であって、(A)成分の加水分解縮合と(B)成分の乳化重合とを水性媒体中で同時に行うことにより得られるコーティング組成物。
(A)有機シラン化合物(a1)〜(a3)を含む組成物の加水分解縮合物 100質量部
(a1)フェニル基又はシクロアルキル基を含有する下記式(1)で表される有機シラン化合物
式(1):
Figure 2009007513

(Rはフェニル基またはシクロヘキシル基、Rは水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、R はそれぞれ、独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基であり、n=1〜3、m=0〜1、ただしn+m≦3)
(a2)下記式(2)で表される有機シラン化合物
式(2):
CH−Si−(R (2)
(Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基)、
(a3)環状有機シラン化合物又は下記式(3)で表される有機シラン化合物
式(3):
(CH −Si−(R (3)
(Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基)
ただし、(A)有機シラン化合物成分における各成分の配合比(モル比)は、
(a1):(a2):(a3)=1〜100:10〜300:1〜100
(a1)/{(a1)+(a2)+(a3)}=0.01〜0.90
(B)エチレン性不飽和単量体(b1)〜(b3)を乳化重合した乳化重合体
20〜5000質量部
(b1)不飽和カルボン酸エステルの1種又は2種以上
(b2)不飽和カルボン酸の1種又は2種以上
(b3)上記以外のエチレン性不飽和単量体の1種又は2種以上
ただし、(B)エチレン性不飽和単量体成分における各成分の配合割合は、
(b1):(b2):(b3)= 80〜98:1〜20:0〜10
(b1)/{(b1)+(b2)+(b3)}=80〜98質量%
(b2)/{(b1)+(b2)+(b3)}=1〜20質量%
(C)コロイド状無機粒子
(A)と(B)の樹脂固形分100質量部に対し、0.1〜95質量部
(2)前記(b1)不飽和カルボン酸エステルが(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルを含む上記(1)に記載のコーティング組成物。
(3)前記(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルが前記(b1)不飽和カルボン
酸エステル成分及び(b2)不飽和カルボン酸成分の総量に占める割合が5〜80質量%である上記(2)に記載のコーティング組成物。
(4)前記乳化重合の(D)乳化剤として、スルホン酸基又はスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体の少なくともいずれか1種を使用する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のコーティング組成物。
(5)前記(D)乳化剤を、前記エチレン性不飽和単量体(b1)〜(b3)の合計量に対して0.05〜10質量%使用する上記(4)に記載のコーティング組成物。
(6)前記加水分解縮合と前記乳化重合とをpH4.0以下で実施する上記(1)〜(5)のいずれかに記載のコーティング組成物。
(7)前記(C)コロイド状無機粒子として、コロイダルシリカを使用する上記(1)〜(6)のいずれかに記載のコーティング組成物。
(8)前記加水分解縮合と前記乳化重合とを多段階で行う上記(1)〜(7)のいずれかに記載のコーティング組成物。
(9)(E)親水性付与剤としてポリオキシアルキレン共重合体をさらに添加する上記(1)〜(8)のいずれかに記載のコーティング組成物。
(10)前記ポリオキシアルキレン共重合体を前記(A)と前記(B)の樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜5質量部用いる上記(9)に記載の高耐候低汚染性コーティング組成物。
(11)(E)親水性付与剤成分であるポリオキシアルキレン共重合体が、ポリエーテル変性シリコーンである上記(9)又は(10)に記載の高耐候低汚染性コーティング組成物。
本発明のコーティング組成物によれば、耐候性と耐汚染性とをバランスよく備えたコーティング組成物が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。
(A)加水分解縮合物
本実施の形態においては、高耐候性能及び高耐久性能を付与するために特定の有機シラン化合物の加水分解縮合物であるポリシロキサンの使用が必須である。
その特定の有機シラン化合物は、
(a1)
下記式(1):
Figure 2009007513

(Rはフェニル基またはシクロヘキシル基、Rは水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、R はそれぞれ、独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基であり、n=1〜3、m=0〜1、ただしn+m≦3)で表される構造を有する有機シラン化合物(1)からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。
有機シラン化合物(a1)の好ましい具体例としては、例えば、フェニルトリメトシキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエ
トキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトシキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシランなどがあり、またこれらの二種以上を含んでいてもよい。
また有機シラン化合物は、上記式(1)の有機シラン化合物(a1)以外に、
(a2)
下記式(2):
CH−Si−(R (2)
(Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基)で表される有機シラン化合物(a2)からなる群より選ばれる少なくとも一種が、ポリシロキサンの架橋密度を付与するために用いられる。有機シラン化合物(a2)の好ましい具体例としては、例えば、メチルトリメトシキシシラン、メチルトリエトキシシランなどがあり、またこれらの二種以上を含んでいてもよい。
また有機シラン化合物は、上記式(1)の有機シラン化合物(a1)及び上記式(2)の(a2)と併せて
(a3)
環状有機シラン化合物及び/又は下記式(3):
(CH −Si−(R (3)
(Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基)で表される有機シラン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種が用いられる。これは、環状シラン及び/又は上記式(3)の有機シラン化合物を用いることにより、ポリシロキサンの架橋密度を低くし、ポリシロキサン構造が複雑になるのを防ぐことができ、これによって、高耐久性エマルジョンから提供される塗膜に可撓性を付与することができるためである。
上記式(3)の有機シラン化合物の好ましい具体例としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
また環状シランとしては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンなども用いることができ、これらの二種以上を含んでいてもよい。
有機シラン化合物は、上記した有機シラン化合物(a1)、上記有機シラン化合物(a2)及び上記有機シラン化合物(a3)の化合物に加え、(a4)不飽和基含有有機シラン化合物を含んでもよい。
この(a4)成分の好ましい具体例としては、例えば、ビニルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなども用いることができ、これらの二種以上を含んでいてもよい。
さらに、(a1)〜(a4)以外のイソブチルトリメトキシシラン等の有機シラン化合物も必要に応じて使用することができる。
ここで有機シラン化合物(a1)、有機シラン化合物(a2)及び有機シラン化合物(a3)の各成分の配合比(モル比)は、
(a1):(a2):(a3)= 1〜100:10〜300:1〜100
(a1)/{(a1)+(a2)+(a3)}=0.01〜0.90
が好ましい。さらに好ましくは、
(a1):(a2):(a3)=20〜100:100〜250:1〜100
(a1)/{(a1)+(a2)+(a3)}=0.05〜0.8の配合比である。
有機シラン化合物(a1)を上記下限値以上とすることにより、不飽和カルボン酸エステルからなる成分との相溶性を確保し、優れた耐候性能を発揮する。一方、上限値以下であれば、フェニル基又はシクロアルキル基による立体障害の影響を受けにくくなり、ポリシロキサンポリマーの分子量低下を防ぎ、耐候性能を確保することができる。
有機シラン化合物(a2)を上記下限値以上とすることにより、ポリシロキサンの結合数が増加し、耐候性の向上をもたらす。一方、上限値以下であれば、適度な塗膜伸度有し、クラックの発生も抑制できる。
また有機シラン化合物(a3)を上記下限値以上とすることにより、ポリシロキサンの可とう性を向上させ、クラック発生を抑制し得る。一方、上限値以下であれば、水接触角を維持し、低汚染機能を発揮できる。
本実施の形態においては、有機シラン化合物(a1)〜(a3)の加水分解縮合物を用いることによって、高耐久性エマルジョンより得られるフィルムの屋外などの長期曝露における光沢保持性を改善し、高度な耐候性を示すフィルムを得ることができる。上記した有機シラン化合物の加水分解縮合物の存在は、29SiNMR(29Si核磁気共鳴スペクトル)またはHNMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)によって知ることができる。例えば、有機シラン化合物(a2)の縮合物は、29SiNMRのケミカルシフトが−40〜−80PPMにピークを示すことで同定することができる。また、環状シランあるいは式(3)の有機シラン化合物の縮合物は29SiNMRのケミカルシフトが−16〜−26PPMにピークを示すことで同定することができる。
(B)乳化重合体
本実施の形態における(B)乳化重合体を形成する単量体成分としては、
(b1)(メタ)アクリル酸エステル(本実施の形態において、アクリル酸およびメタアクリル酸を合わせて(メタ)アクリル酸と標記する)に代表される不飽和カルボン酸エステル単量体を含む必要がある。不飽和カルボン酸エステルの具体例としては、例えば、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートなどがある。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルなどが挙げられる。
(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコールなどが挙げられる。
(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコールなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、例えば、(メタ)
アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
又、(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコールなどが挙げられる。
また、上記以外の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体は、(B)乳化重合体を形成する単量体成分の総量に対して好ましくは80〜98質量%、より好ましくは90質量%〜98質量%用いることが好ましい。
本実施の形態においては、(B)エチレン性不飽和単量体の(b1)不飽和カルボン酸エステルとしてシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート系単量体を含むことが、特に耐久性に優れるため好ましい。シクロアルキル基の水素原子の一部が炭素数1〜6のアルキル基、水酸基又はエポキシ基に置換されていても良い。
(B)エチレン性不飽和単量体全体の5質量%以上、より好ましくは5質量%以上99質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上80質量%以下が、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート系単量体、或いはそれらの混合物であることが好ましい。
シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート系単量体、或いはそれらの混合物は、(B)エチレン性不飽和単量体全体の5質量%以上あれば耐久性に優れ、80質量%以下であれば成膜性にも優れる。
シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート系単量体としては、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、炭素数5〜12のシクロアルキル基のエステルが好ましく、該シクロアルキルエステルは、シクロアルキル基の水素原子の一部が炭素数1〜6のアルキル基、水酸基又はエポキシ基に置換されていても良い。シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート系単量体の例として下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009007513
(式中、R は水素原子またはメチル基であり、Rはシクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロドデシル基であり、これらシクロアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基またはエポキシ基を置換基として有してもよい。)
その具体例としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3シクロヘキセンオキサイドなどを挙げることができる。
本実施の形態における(B)乳化重合体を形成する単量体成分としては、上記(b1)不飽和カルボン酸エステル単量体以外に、それらと共重合可能な(b2)不飽和カルボン酸単量体から選ばれる少なくとも1種のコモノマーが使用できる。
(b2)不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそのモノエステル、フマル酸およびそのモノエステル、並びにマレイン酸およびそのモノエステル等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を含むことが特に好ましい。これら(b2)不飽和カルボン酸単量体は、有機シラン化合物の加水分解反応および縮合反応を促進させる触媒としても作用するからである。
(b3)上記以外のエチレン性不飽和単量体
本実施の形態における(b3)上記以外のエチレン性不飽和単量体には、例えば、アクリルアミド単量体、メタクリルアミド単量体、ビニル単量体から選ばれる(b1)不飽和カルボン酸エステル単量体及び(b2)不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な少なくとも1種のコモノマーが挙げられる。
アクリルアミド単量体またはメタクリルアミド単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどがあり、ビニル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビニルピロリドン、メチルビニルケトンなどがあり、 又、シアン化ビニル単量体の例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
さらに、ビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル、ブタジエン、エチレンなども挙げられる。
ここで不飽和カルボン酸エステル(b1)、不飽和カルボン酸(b2)及び他のエチレン性不飽和単量体(b3)の各成分の配合比(モル比)は、
(b1):(b2):(b3)= 80〜98:1〜20:0〜10
(b1)/{(b1)+(b2)+(b3)}=80〜98質量%
(b2)/{(b1)+(b2)+(b3)}=1〜20質量%
が好ましい。さらに好ましくは、
(b1):(b2):(b3)= 90〜98:1〜10:0〜5
(b1)/{(b1)+(b2)+(b3)}=90〜98質量%
(b2)/{(b1)+(b2)+(b3)}=1〜10質量%である。
不飽和カルボン酸エステル(b1)を上記下限値以上とすることは、ポリマー分子量を増加させ、引張り性能等の塗膜性能を発揮させる観点から好適である、上記上限値以下とすることは、不飽和カルボン酸(b2)及び他のエチレン性不飽和単量体(b3)の効果を十分に発揮させる観点から好適である。
不飽和カルボン酸単量体(b2)を上記下限値以上とすることは、ラテックス粒子の電気二重層による粒子の安定性を維持し、耐水性能等を向上させる観点から好適である。上記上限値以下とすることは、ラテックス粒子の水和層を必要以上に肥大化させず、ラテックス粘度を抑制し、作業性を維持する観点から好適である。
また、他のエチレン性不飽和単量体(b3)は、重合安定性及び艶等の機能を付与する際に適宜使用し、重合安定性のためにはアクリルアミド単量体の使用が好ましい。上記上限値以下とすることは、塗膜の耐水性能を向上させる観点から好適である。
(C)コロイド状無機粒子
本実施の形態において用いる(C)コロイド状無機粒子は、コロイダルシリカが入手が
容易で、安価であり好ましい。コロイダルシリカは、ゾル−ゲル法で調製して使用することもでき、市販品を利用することもできる。
コロイド状シリカをゾル−ゲル法で調製する場合には、Werner Stober et al;J.Colloid and Interface Sci., 26, 62−69 (1968)、Rickey D.Badley et al;Lang muir 6, 792−801 (1990)、色材協会誌,61 [9] 488−493 (1988) などを参照できる。
コロイダルシリカは、二酸化ケイ素を基本単位とするシリカの水または水溶性溶媒の分散体であり、その平均粒子径は好ましくは5〜120nm、より好ましくは10〜80nmである。
粒子径が5nm以上では塗液の貯蔵安定性が良く、120nm以下では耐水白化性が良い。上記範囲の粒子径のコロイダルシリカは、水性分散液の状態で、酸性、塩基性のいずれであっても用いることができ、混合するシリコーン含有高分子エマルジョンの安定領域に応じて、適宜選択することができる。
水を分散媒体とする酸性のコロイダルシリカとしては、例えば市販品として日産化学工業(株)製スノーテックス(商標)−O、スノーテックス−OL、旭電化工業(株)製アデライト(商標)AT−20Q、クラリアントジャパン(株)製クレボゾール(商標)20H12、クレボゾール30CAL25などが利用できる。
塩基性のコロイダルシリカとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アミンの添加で安定化したシリカがあり、例えば日産化学工業(株)製スノーテックス−20、スノーテックス−30、スノーテックス−C、スノーテックス−C30、スノーテックス−CM40、スノーテックス−N、スノーテックス−N30、スノーテックス−K、スノーテックス−XL、スノーテックス−YL、スノーテックス−ZL、スノーテックスPS−M、スノーテックスPS−Lなど、旭電化工業(株)製アデライトAT−20、アデライトAT−30、アデライトAT−20N、アデライトAT−30N、アデライトAT−20A、アデライトAT−30A、アデライトAT−40、アデライトAT−50など、クラリアントジャパン(株)製クレボゾール30R9、クレボゾール30R50、クレボゾール50R50など、デュポン社製ルドックス(商標)HS−40、ルドックスHS−30、ルドックスLS、ルドックスSM−30などを挙げることができる。
また、水溶性溶剤を分散媒体とするコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製MA−ST−M(粒子径が20〜25nmのメタノール分散タイプ)、IPA−ST(粒子径が10〜15nmのイソプロピルアルコール分散タイプ)、EG−ST(粒子径が10〜15nmのエチレングリコール分散タイプ)、EG−ST−ZL(粒子径が70〜100nmのエチレングリコール分散タイプ)、NPC−ST(粒子径が10〜15nmのエチレングリコールモノプロピルエーテール分散タイプ)などを挙げることができる。
また、これらコロイダルシリカは一種または二種類以上組み合わせてもよい。少量成分として、アルミナ、アルミン酸ナトリウムなどを含んでいてもよい。また、コロイダルシリカは、安定剤として無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニアなど)や有機塩基(テトラメチルアンモニウムなど)を含んでいてもよい。
また、(C)コロイド状無機粒子としては、シリカ以外のコロイド状粒子を与える無機化合物を使用してもよく、当該無機化合物の具体例としては、TiO、TiO、SrTiO、FeTiO、WO、SnO、Bi、In、ZnO、Fe、RuO、CdO、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO、MoS、LaRhO、GaN、CdP、ZnS、ZnSe、ZnTe、Nb、ZrO
、InP、GaAsP、InGaAlP、AlGaAs、PbS、InAs、PbSe、InSbなどの光触媒能を有する半導体の他、Al、AlGa、As、Al(OH)、Sb、Si、Sn−In、Sb−In、MgF、CeF、CeO、3Al・2SiO、BeO、SiC、AlN、Fe、Co、Co−FeO、CrO、FeN、BaTiO、BaO−Al−SiO、Baフェライト、SmCO、YCO、CeCOPrCO、SmCO17、NdFe14B、Al、α−Si、SiN、CoO、Sb−SnO、Sb、MnO、MnB、Co、CoB、LiTaO、MgO、MgAl、BeAl、ZrSiO、ZnSb、PbTe、GeSi、FeSi、CrSi、CoSi、MnSi1.73、MgSi、β−B、BaC、BP、BaC、BP、TiB、ZrB、HfB、RuSi、TiO(ルチル型)、TiO、PbTiO、AlTiO、ZnSiO、ZrSiO、2MgO−Al−5SiO、Nb、LiO−Al−4SiO、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフェライト、Liフェライト、Srフェライトなど挙げられる。これらコロイド状無機粒子は単独または2種以上を混合して使用することができる。
有機ポリマーで被覆されたコロイド状無機粒子としては、特に限定されるものではないが、例えばエチレン性不飽和単量体、ラジカル重合性二重結合を有する加水分解性シランを、コロイダルシリカを乳化重合する方法により得られる粒子(例えば、特開昭59−71316号公報に開示)、エチレン性不飽和単量体、陰イオン性重合性単量体をコロイダルシリカの存在下乳化重合する方法により得られる粒子(例えば、特開昭59−217702号公報に開示)、無機粒子に水溶性高分子化合物を吸着させついでラジカル重合性モノマーの重合物で被覆する方法より得られる粒子(例えば、特開昭60−58237号公報に開示)、エチレン性不飽和単量体、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体をコロイダルシリカの存在下乳化重合する方法より得られる粒子(例えば、特開平6−199917号公報で開示)、コア/シェル構造を有し、コア中に有機高分子と有機高分子と共有結合していないシリカおよび/またはコロイダルシリカを配し、シェル中に有機高分子を配し、コア有機高分子/シェル有機高分子間に三次元架橋網目構造および/またはIPN構造を形成せしめることにより、コア中のシリカおよび/またはコロイダルシリカを共有結合によることなく物理化学的に粒子内に保持した粒子(例えば、特開平8−290912号公報に開示)、コロイダルシリカ、活性剤および水の存在下、エチレン性不飽和化合物を乳化重合する方法より得られる粒子(例えば、特開平11−1893号公報に開示)、カチオン性残基を介して、コロイド状シリカ粒子表面にビニル重合体が結合した粒子(例えば、特開平11−209622号公報に開示さ)、直接またはノニオン界面活性剤を介して無機または有機粒子表面にビニル重合体が結合した粒子(例えば、特開2000−290464号公報に開示)、無機または有機粒子表面にノニオン界面活性剤が集合または凝集して沈着しているコロイド状微粒子(例えば、特開2001−335721号公報に開示)などであることが好ましい。
本実施の形態において、(C)コロイド状無機粒子は、(A)と(B)の樹脂固形分(ポリシロキサン含有高分子エマルジョンの樹脂固形分)100質量部に対し、好ましくは0.1〜95質量部用いられ、より好ましくは0.1〜50質量部、さらに好ましくは0.5〜20質量部用いる。
(D)乳化剤
本実施の形態において、乳化重合に際しては、(D)乳化剤を使用することが好ましい。このような(D)乳化剤としては、スルホン酸基又はスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体のうち、少なくともいずれか一を含むことが、高度な耐水性を達成するために好ましい。ここにいうスルホン酸基又はスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、ラジカル重合性の二重
結合を有し、かつフリーのスルホン酸基、又はそのアンモニウム塩かアルカリ金属塩である基(アンモニウムスルホネート基、又はアルカリ金属スルホネート基)を有する化合物であることが好ましい。
たとえば、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素2〜4のポリアルキルエーテル基、炭素数6または10のアリール基およびコハク酸基からなる群より選ばれる置換基を 有する化合物であるか、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基に結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物が好ましい。
本実施の形態におけるスルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基により一部が置換されたコハク酸化合物の具体例として、アリルスルホコハク酸塩、たとえば、下記式(5)、(6)、(7)、(8)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009007513
Figure 2009007513
Figure 2009007513
Figure 2009007513
(式中、Rは水素またはメチル基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜19のアラルキル基等の炭化水素基、又はその一部が水酸基、カルボン酸基等で置換されたもの、もしくはポリオキシエチレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素が2〜4)、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)等のアルキレンオキサイド 化合物を含む有機基であり、Aは炭素数2〜4個のアルキレン基または一部が置換されたアルキレン基であり、 nは0〜200の整数であり、Mはアンモニウム、ナトリウムまたはカリウムである。)
上記式(5)及び(6)を含むものとして、例えば、エレミノールJS−2、JS−5(製品名、三洋化成(株)製)があり、上記式(7)及び(8)を含むものとして、例えば、ラテムルS−120、S−180A、S−180(製品名、花王(株)製)がある。
また、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物の例として、下記式(9)〜(11)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009007513
(式中、R は炭素数6〜18のアルキル 基、アルケニル基またはアラルキル基であり、Rは炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基、Rは水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜200の整数、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムもしくはアルカノールアミン残基である。)
Figure 2009007513
(式中、Rは水素またはメチル基、Rは炭素数8〜24のアルキル基またはアルキルフェニル基、アシル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは0〜50の整数、mは0〜20の整数、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムもしくはアルカノールアミン残基である。)
Figure 2009007513
(式中、Rは炭素数8〜30のアルキル基、Rは水素またはメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、もしくは置換アルキレン基、nは0または、1〜200の整数であり、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムもしくはアルカノールアミン残基である。)
上記式(9)で表されるアルキルフェノールエーテル系化合物として、例えばアクアロンHS−10(製品名、 第一工業製薬(株)製)等があり、上記式(10)で表される化合物として、例えばアデカリアソープSE−1025A、SR−10N、SR−20N(製品名、旭電化工業(株)製)、上記式(11)で表される化合物として、例えばアクアロンKH−10,KH−05がある。
その他、スルホネート基により一部が置換されたアリール基を有する化合物の具体例として、p−スチレンスルホン酸アンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられる。
スルホネート基により一部が置換されたアルキル基を有する化合物の具体例として、メチルプロパンスルホン酸アクリルアミドのアンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩、アクリル酸スルホアルキルエステルのアンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩、メタアクリル酸スルホアルキルエステルのアンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられる。
また上記以外のスルホネート基を有する化合物の具体例として、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物が挙げられる。
硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体とは、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつ硫酸エステル基又はそのアンモニウム塩かアルカリ金属塩である基を有する化合物をいう。これらのうち、硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基および炭素数6または10のアリール基からなる群より選ばれる基を有する化合物が好ましい。
硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリ ウム塩又はカリウム塩により一部が置換された、炭素数2〜4のアルキルエーテル基または炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物の例としては、例えば上記式(9)と(10)で表される、スルホネート基により一部が置換されたアルキルエーテル基を有する化合物がある。
これらの(D)乳化剤として用いられるエチレン性不飽和単量体は、エマルジョン中に、エマルジョン粒子にラジカル重合した共重合物として存在するか、未反応物としてエマ
ルジョン粒子へ吸着、あるいは エマルジョン水相中に存在するか、または、水溶性単量体との共重合物あるいは乳化剤として用いられるエチレン性不飽和単量体どうしの共重合物としてエマルジョン粒子へ吸着、あるいはエマルジョン水相中に存在している。とくにエマルジョン粒子にラジカル重合した共重合物の状態で存在する比率を高めることによって、エマルジョンより得られるフィルムの耐水性を高度なものとすることができる。
乳化剤として用いられるエチレン性不飽和単量体は、エマルジョンより得られるフィルムの熱分解ガスクロマトグラム質量分析(Py−GC−MS)により、各物質を同定することができる。他の方法として、エマルジョンの水相成分を分離した後、高速原子衝撃質量分析(FABマススペクトル)によって同定することも可能である。
本実施の形態において、(D)乳化剤は、前記エチレン性不飽和単量体(b1)〜(b3)の合計質量に対して0.05質量%〜10質量%用いられ、好ましくは0.1質量%〜5質量%用いる。
本実施の形態では、スルホン酸基またはスルホネート基、あるいは硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体を含む(D)乳化剤以外に、通常の界面活性剤を併用することもできる。
例えば、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩などのアニオン型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどの非反応性ノニオン型界面活性剤、アデカリアソープNE−20、NE−30、NE− 40(製品名、旭電化工業(株)製)などのα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン、またはアクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50(製品名、第一工業製薬(株)製)などのポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルなどの反応性ノニオン型界面活性剤といわれる、エチレン性不飽和単量体と共重合可能なノニオン型界面活性剤 などを併用することができる。
上記の界面活性剤の使用量は、前記エチレン性不飽和単量体(b1)〜(b3)の合計の質量に対して、アニオン型界面活性剤については好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.25質量%以下であり、非反応性ノニオン型界面活性剤および 反応性ノニオン型界面活性剤については、2.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下である。この範囲で使用すると、耐水性良好なフィルムが形成される。
(E)親水性付与剤:ポリオキシアルキレン共重合体
本実施の形態において、(E)成分としてポリオキシアルキレン共重合体をポリシロキサン含有高分子エマルジョンに配合することで、コーティングされた塗膜の水接触角を低下させることが可能となり、より優れた低汚染機能を付与することができる。
このようなポリオキシアルキレン共重合体は、市販のものを用いることができる。
市販の(E)ポリオキシアルキレン共重合体としては、(D)乳化剤で記述した界面活性剤を用いることも可能であるが、塗膜の水接触角をより低下することのできるポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
市販のポリエーテル変性シリコーンとしては、東レダウコーニング(株)製のFZ2222、FZ2233、FZ2231、FZ2250、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、SH3749、信越化学(株)製のKF640、KF642、KF643等がある。
本実施の形態において、ポリオキシアルキレン共重合体は、ポリシロキサン含有高分子エマルジョンの樹脂固形分100質量部に対し、好ましくは0.1〜5質量部用い、さらに好ましくは0.1〜2質量部用いる。0.1質量部未満では、水接触角の低減効果を発現できず、耐汚染性能が向上せず、5質量部以上では、耐水性能の低下に伴って耐候性能が劣る結果となる。
本実施の形態のエマルジョンは、エチレン性不飽和単量体(b1)〜(b3)及び(D)乳化剤からなるプレ乳化液と、有機シラン化合物(a1)〜(a3)を含む組成物とを混合した後、水性媒体中において重合することにより得ることができる。
重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、ミニエマルション重合が挙げられるが、平均粒子径が10nm〜1μm程度の分散安定性の良好なエマルジョンを安定的に製造する方法としては、乳化重合が好ましい。
本実施の形態のエマルジョンは、例えば、乳化重合、すなわちラジカル重合性単量体のラジカル重合による乳化重合と、有機シラン化合物の加水分解・縮合反応による乳化重合を同時に水性媒体中で行うことにより得られる。
ここにいう水性媒体としては、反応系へ導入されるものであって、主に水が用いられるが、炭素数1〜3の低級アルコールまたはアセトンなどの水に可溶な溶媒を水に添加したものも含む。この際添加する水以外の溶媒の量はエマルジョン中に20質量%以下であることが好ましい。
ここで乳化液へ使用する水性媒体は、水に可溶な溶媒量は好ましくは水性媒体の5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、さらに好ましくは水だけである。この量を超えると、プレ乳化液の乳化状態が破壊され、重合安定が不良となってしまう。
本実施の形態において、エチレン性不飽和単量体(b1)〜(b3)及び(D)乳化剤からなるプレ乳化液のpHは限定されるものでないがpH4.0以下で重合を実施することにより、(A)有機シラン化合物の縮合反応が速やかに起こり、乳化重合後に縮合反応が進むことを抑制できるため、製品としての貯蔵安定性が良く、反応系のpHが4.0以下であることが好ましく、より好ましくはpH1.5以上3.0以下で実施される。
本実施の形態において、エチレン性不飽和単量体(b1)〜(b3)及び(D)乳化剤とからなるプレ乳化液は、酸触媒、不飽和カルボン酸単量体、ラジカル開始剤用の過硫酸塩等の酸性成分を含まずに中性付近の乳化液とし、酸触媒、不飽和カルボン酸単量体、ラジカル開始剤用の過硫酸塩等の酸性成分はあらかじめ反応系へ導入しておくか、乳化液導入系とは別の位置から反応系へ逐次導入することも可能である。
本実施の形態において、紫外線吸収剤および/または光安定剤をエマルジョン中に含有させることは、高耐候性を付与する上で好ましい。エマルジョンに含有させる方法としては、紫外線吸収剤及び/または光安定剤を乳化重合時に存在させることが好ましい。紫外線吸収剤および/または光安定剤を成膜助剤などと混合して後添加する場合に比べ、分散性が良好となり、得られた塗膜の粒子界面に集中して存在することなく、降雨などにより溶出しにくく、長期の耐久性の向上を図ることができて好ましい。
紫外線吸収剤および/または光安定剤は、エチレン性不飽和単量体(b1)〜(b3)の合計質量に対して0.1質量%〜5質量%用いることが好ましい。
又、紫外線吸収剤として、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性のもの、光安定剤として、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性のものを用いることもできる。
また、紫外線吸収剤と光安定剤を併用すると、その高耐久性エマルジョンを用いて皮膜
を形成した際に、皮膜が特に耐候性に優れるため好ましい。
本実施の形態における紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系から選ばれる少なくとも1種、光安定剤として、ヒンダードアミン系から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
耐久性の優れたポリシロキサン含有高耐久性エマルジョンと紫外線吸収能が高い、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤と組み合わせることで、相乗効果により卓越した耐久性を示す。
ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベン ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン、2,2’, 4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアリルオキシベンゾフェノンなどがある。
ラジカル重合性ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤として具体的には、例えば、2−ヒドロキシ−4−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−アクリロ キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4 −(メタクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−ジエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−ト リエトキシ)ベンゾフェノンなどがある。
本実施の形態において使用できるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として具体的には、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール)、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN1130)、イソオクチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリ アゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN384)、2−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN571)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’− テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4 −(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(日本チ
バガイギー(株)製、製品名:TINUVIN 900)などがある。
ラジカル重合性ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として具体的には、例えば、2−(2’−ヒドロキシ −5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、製品名:RUVA−93)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロ キシエチル−3−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリリルオキシプロピル−3−tert−ブチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロピル−3−〔3’−(2’’−ベンゾトリアゾリル)−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチル〕フェニルプロピオネート(日本チバガイギー(株)製、製品名:CGL−104)などがある。
本実施の形態において使用できるトリアジン系紫外線吸収剤として具体的には、TINUVIN400(製品名、日本チバガイギー(株)製)などがある。
本実施の形態において使用できるヒンダードアミン系光安定剤としては、塩基性が低いものが好ましく、具体的には塩基定数(pKb)が8以上のものが好ましい。
具体的には、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ −tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−セバケートの混合物(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN292)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、TINUVIN123(製品名、日本チバガイギー(株)製)などがある。
ラジカル重合性ヒンダードアミン系光安定剤として具体的には、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−シアノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートなどがある。
本実施の形態における乳化重合は、ラジカル重合触媒として、熱または還元性物質などによってラジカル分解してエチレン性不飽和単量体の付加重合を起こさせることができ、水溶性または油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などを有利に使用することができる。
その例としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2 −アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などを挙げることができるが、有機シラン化合物の加水分解反応および縮合反応を促進させるための触媒としても効果のある過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモ ニウムを用いることが好ましい。
ラジカル重合触媒の量としては、エチレン性不飽和単量体(b1)〜(b3)の合計質量に対して通常0.05質量%〜1質量%を用いることができる。
通常、重合反応は常圧下、65〜90℃の重合温度で行うことが好ましいが、モノマーの重合温度における蒸気圧などの特性に合わせ、高圧下でも実施することができる。
重合時間としては、導入時間と、導入後の熟成(cooking)時間がある。導入時間は、各種原料を反応系へ同時に導入する場合は通常数分であり、各種原料を反応系へ逐次導入する場合は重合による発熱が除熱可能な範囲で反応系へ逐次導入するため、最終的に得られるエマルジョン中の重合体濃度によっても異なるが、通常10分以上である。
導入後の熟成(cooking)時間としては、少なくとも10分以上であることが好ましい。この重合時間以下では、各原料がそのまま残留したり、有機シラン化合物が縮合せずに加水分解物のまま残留してしまう恐れがある。
なお、重合速度の促進、および70℃以下での低温での重合が望まれるときには、例えば重亜硫酸 ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリットなどの還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。
さらに、分子量を調整するために、ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤を任意に添加することも可能である。
本実施の形態におけるシリコーン変性では、乳化重合終了後、成膜時の硬化触媒として、例えばジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、ラウリン酸錫、オクチル酸鉄、オクチル酸鉛、テトラブチルチタネートなどの有機酸の金属塩、n−ヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどのアミン化合物を、本発明の高耐久性エマルジョンへ添加することができる。
なおこれらの硬化用触媒が水溶性でない場合には、その使用に際して、界面活性剤と水を用いてエマルジョン化しておくことが好ましい。本発明の高耐久性エマルジョンは、エマルジョンの長期の分散安定性を保つため、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジメチルアミノエタノールなどのアミン類を用いてpH5〜10の範囲に調整することが好ましい。
本実施の形態によって製造される高耐久性エマルジョンは、乳化重合終了後、未反応単量体の揮発性物質、水、アルコール等を蒸発除去するためにpH9〜12であり、濃縮工程終了後にpHが7以上である濃縮行程を行うことが好ましい。
本実施の形態によって製造される高耐久性エマルジョンは、分散質の平均粒子径として、10〜1000nmであることが好ましい。得られたエマルジョン中の分散質(固形分)と分散媒としての水性媒体との質量比は70/30以下、好ましくは30/70以上65/35以下である。
本実施の形態の高耐久性エマルジョンには、通常水系塗料などに添加配合される成分、例えば成膜助剤、増粘剤、消泡剤、顔料、分散剤、染料、防腐剤などを任意に配合することができる。
本実施の形態の高耐久性エマルジョンとコロイド状無機粒子からなる高耐候低汚染コーティング組成物は、塗料、建材の仕上げ材、または織布、不織布の仕上げ材として有用であり、とくに塗料用、建材の仕上げ材として具体的には、コンクリート、セメントモルタル、スレート板、ケイカル板、石膏ボード、押し出し成形板、発砲性コンクリートなどの
無機建材、織布あるいは不織布を基材とした建材、金属建材などの各種下地に対する塗料または建築仕上げ材として、複層仕上げ塗材用の主材およびトップコート、薄付け仕上塗材、厚付け仕上塗材、石材調仕上げ材、グロスペイントなどの合成樹脂エマルジョンペイント、金属用塗料、木部塗料、瓦用塗料として有用である。
本実施の形態の高耐久性エマルジョンを提供するための好ましい1つの態様は、有機シラン化合物の組成が互いに同じか異なった2種の組成よりなりエチレン性不飽和単量体が(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含みかつ互いに同じか異なった2種の組成よりなり、(D)乳化剤が、スルホン酸基またはスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体およびそれらの混合物よりなる群から選ばれかつ互いに同じか異なった乳化剤よりなるものである。また、上記乳化重合を ステップ〔1〕、ステップ〔2〕の順で行い、ステップ〔1〕においては前記のエチレン性不飽和単量体と、前記の乳化剤と、必要に応じて水性媒体とからなる乳化液と、前記の有機シラン化合物とを混合しながら、水性媒体中において乳化重合に付すことにより、ステップ〔1〕エマルジョンを得る。次に、ステップ〔2〕においては、他のエチレン性不飽和単量体と、他の乳化剤と、必要に応じて水性媒体とからなる乳化液と、他の有機シラン化合物とを混合しながら、ステップ〔1〕エマルジョンに添加することによって、乳化重合を行い最終的な所望エマルジョンを得、また紫外線吸収剤および/または光安定剤を乳化重合中に存在させることも可能である。
上記ステップ〔1〕において、前記のエチレン性不飽和単量体は、不飽和カルボン酸単量体を2.5質量%以上〜20質量%以下含み、上記ステップ〔2〕において、他のエチレン性不飽和単量体は、不飽和カルボン酸単量体を含まないか又は含んでも2.5質量%未満であることが好ましい。
また、本実施の形態の高耐久性エマルジョンを提供するための好ましいもう1つの態様によれば、エチレン性不飽和単量体が(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含みかつ互いに同じか異なった3種の組成よりなり、(D)乳化剤が、スルホン酸基またはスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体およびそれらの混合物よりなる群から選ばれかつ互いに同じか異なった3種の乳化剤よりなるものである。上記乳化重合をステップ〔1〕、ステップ〔2〕、ステップ〔3〕の順で行い、ステップ〔1〕においては前記のエチレン性不飽和単量体組成と前記の乳化剤と、必要に応じて水性媒体とからなるプレ乳化液を、水性媒体中において乳化重合に付すことにより、ステップ〔1〕エマルジョンを得る。次に、ステップ〔2〕においては、他のエチレン性不飽和単量体組成及び他の乳化剤と、必要に応じて水性媒体とからなるプレ乳化液を水性媒体中においてステップ〔1〕エマルジョンに添加することによって、乳化重合を行いステップ〔2〕エマルジョンを得る。ステップ〔3〕においては、別のエチレン性不飽和単量体及び別の乳化剤と、必要に応じて水性媒体とからなる乳化液を、ステップ〔2〕エマルジョンに添加することによって、乳化重合を行い最終的な所望エマルジョンを得、および必要に応じて乳化液と、有機シラン化合物とを混合しながら乳化重合中に有機シラン化合物を加水分解縮合させ、また紫外線吸収剤および/または光安定剤を乳化重合中に存在させてなる高耐久性エマルジョンが提供される。
上記ステップ〔1〕、ステップ〔2〕および/またはステップ〔3〕における乳化液と有機シラン化合物とを混合しながら、乳化重合中に有機シラン化合物を加水分解縮合させることができる。
また、上記ステップ〔1〕において、前記のエチレン性不飽和単量体は、不飽和カルボン酸単量体を含まないか又は含んでも2.5質量%未満であり、上記ステップ〔2〕において、他のエチレン性不飽和単量体は、不飽和カルボン酸単量体を2.5質量%以上〜2
0質量%以下含み、上記ステップ〔3〕において、別のエチレン性不飽和単量体は、不飽和カルボン酸単量体を含まないか又は含んでも2.5 質量%未満であることが好ましい。
本実施の形態における高耐久性エマルジョンを提供するための好ましい態様は、有機シラン化合物成分とエチレン性不飽和単量体成分とからなる原料を混合させ反応の場に供給することにより、縮合及び重合を同時に進行させることにあり、得られるエマルジョンが有機シラン化合物成分の加水分解縮合物とエチレン性不飽和単量体成分の重合体とが均一状態にあり、組成の偏在の無い状態を形成することが肝要である。
本実施の形態では、有機シラン化合物成分として、式(1)のRがフェニル基又はシクロヘキシル基からなる有機シラン化合物(1)を用いることにより、有機シラン化合物成分とエチレン性不飽和単量体成分の相溶化が進行し、より均一化されたポリマーからなるエマルジョン粒子を得ることが可能となり、さらに均一化されたエマルジョン粒子から形成される塗膜組成も均一化される結果、強靭な塗膜を形成することができる。
本実施の形態の高耐久性エマルジョンとコロイド状無機粒子からなる高耐候低汚染コーティング組成物の好ましい1つの態様は、エチレン性不飽和単量体成分の合計質量に対して、(b1)不飽和カルボン酸エステル、(b2)不飽和カルボン酸及び(b3)他のエチレン性不飽和単量体を、
(b1):(b2):(b3)= 80〜98:1〜20:0〜10
(b1)/{(b1)+(b2)+(b3)}=80〜98質量%
(b2)/{(b1)+(b2)+(b3)}=1〜20質量%
用い、
又、上記有機シラン化合物成分を下記の式
1/5≦{(エチレン性不飽和単量体成分}/有機シラン化合物成分≦50/1
で表される配合比を満足する量を用いることを特徴とするポリシロキサン含有高分子エマルジョンとコロイド状無機粒子を混合することによって得られる。
有機シラン化合物成分量を上記下限値以上とすることは、コロイド状無機粒子による耐水性能低下に伴う耐候性の劣化を抑制し、高耐久機能を発現する観点から好適である。また上記上限値以下とすることは、シリコーン含有高分子エマルジョンの製造の際に、重合安定性を確保し、乳化剤等の使用量を抑制し得る結果、耐水性の良好なバインダーとなり高耐久機能を良好に発現し得る。
本実施の形態におけるポリシロキサン含有高分子エマルジョンの有機シラン化合物成分のより好ましい配合量は、下記の式
1/1≦{エチレン性不飽和単量体成分}/有機シラン化合物成分≦20/3
で表される関係を満足する量である。
上記式におけるシリコーン変性量では、長期間の耐候性機能を付与することが可能となる。またシリコーン変性量を実用性能範囲内に設定することにより、副生アルコールの処理及び原料費のコスト上昇を抑制でき、汎用的な製品を提供可能となる。
実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものでない。尚、実施例及び比較例中の部及び%はそれぞれ質量部、及び質量%を表す。
[実施例1]
撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、水320部、エチ
レン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩(製品名:ラテムルS−180A、花王(株)製)の20%水溶液10部を入れ、温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分後に、ステップ(1)として、メタクリル酸メチル87部、メタクリル酸シクロヘキシル50部及びアクリル酸ブチル110部、メタクリル酸3部とスルホコハク酸系非反応型界面活性剤(製品名:エアロゾルOT−75(有効分:約75%)、三井サイテック(株)製)7部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液15部、水290部の混合液を作製し、該混合液をホモミキサーにより乳化し、プレ乳化液を得た。
得られたプレ乳化液を表1に記載の(a1)〜(a4)有機シラン化合物成分の混合液とY字管〔Y字管の出口には100メッシュの金網を詰め2つ滴下槽の液が混じり合うところまで、モレキュラシーブス3A(製品名:和光純薬(株)製)を充填し、プレ乳化液と有機シラン化合物成分との緩やかな混合ができるように調整した。〕を介して反応容器中へ滴下槽より1時間かけて流入させた。流入中は反応容器中の温度を80℃に保った。流入が終了してから反応容器中の温度を80℃にして30分保った。
次にステップ(2)として、水80部、メタクリル酸メチル65部、メタクリル酸シクロヘキシル20部及びアクリル酸ブチル15部、メタクリル酸5部、エアロゾルOT−75(有効分:約75%)3部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液5部の混合液をホモミキサーにより乳化し、得られたプレ乳化液を反応容器中へ滴下槽より1時間かけて流入させた。流入中は反応容器中の温度を80℃に保った。流入が終了してから反応容器中の温度を80℃にして30分保った。
次にステップ(3)として、メタクリル酸メチル63部、メタクリル酸シクロヘキシル30部及びアクリル酸ブチル50部、メタクリル酸2部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(製品名TINUVIN384、日本チバガイギー(株)製)5部、ヒンダードアミン系光安定剤(製品名TINUVIN123、日本チバガイギー(株)製)2.5部を溶解させ、次にエアロゾルOT−75(有効分:約75%)4部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液8部、水230部の混合液を作製し、該混合液をホモミキサーにより乳化し、得られたプレ乳化液を表1に記載の有機シラン化合物成分の混合液とY字管内の金属メッシュで混合しながら反応容器中へ滴下槽より1時間かけて流入させた。
流入中は反応容器中の温度を80℃に保った。流入が終了してから反応容器中の温度を80℃にして120分保った。
室温まで冷却した後、水素イオン濃度を測定したところpH2.7であった。上記の混合液に25%アンモニア水溶液を添加してpH10に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は得られた固形分質量に対して20ppm以下と非常にわずかで、また反応容器内壁及び攪拌羽根への付着物もわずかであった。得られたエマルジョンの固形分、平均粒子径は表2に記載した。
続いて、内容量2リットルのSUS製セパラブルフラスコに、上述の乳化重合で得られたポリシロキサン含有アクリル系エマルジョン1kgをこのフラスコに仕込んだ。フラスコをウォーターバスに浸してラテックスを80℃まで加熱した。適量の消泡剤を添加した後、フラスコ内を40kPaまで減圧にして、固形分が45質量%に上がるまで濃縮を行った。
室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところpH7.2であった。
その後、25質量%アンモニア水溶液を添加してpHを8.5に調整してから100メッシュの金網で濾過した。濾過された凝集物の乾燥質量は、全単量体に対して60ppmと非常にわずかであった。
[実施例2]
ステップ(1)及びステップ(3)に使用する有機シラン化合物成分の混合液を表1に記載の種類及び質量部とした以外は、実施例1と同一の処理を行った。得られたエマルジョンの固形分、平均粒子径は表2に記載した。その後、実施例1と同一の濃縮処理を行った。
[実施例3]
ステップ(1)及びステップ(3)に使用する有機シラン化合物成分を表1に記載の種類及び質量部とした以外は、実施例2と同一の処理を行った。得られたエマルジョンの固形分、平均粒子径は表2に記載した。その後、実施例1と同一の濃縮処理を行った。
[実施例4]
撹拌機、還流冷却器、滴下槽 および温度計を取りつけた反応容器に、水320部、エチレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩(製品名:ラムテルS−180A、花王(株)製)の20%水溶液10部を入れ、温度を50℃に上げた。ステップ(1)として、メタクリル酸メチル34部、メタクリル酸シクロヘキシル30部及びアクリル酸ブチル83部、メタクリル酸3部とラテムルS?180Aの20%水溶液30部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液15部、水320部の混合液を作製し、該混合液をホモミキサーにより乳化し、プレ乳化液を得た。得られたプレ乳化液反応容器に入れ、温度を60℃に上げた。次に有機シラン化合物成分の混合液を表1に記載の種類及び質量部とし反応容器中へ滴下槽より約1分かけて流入させた。流入が終了してから反応容器中の温度を80℃にして、過硫酸アンモニウムの2%水溶液10部を添加し、60分保った。
次にステップ(2)として、メタクリル酸メチル181部、メタクリル酸シクロヘキシル70部及びアクリル酸ブチル92部、メタクリル酸7部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(製品名TINUVIN384、日本チバガイギー(株)製)5部、ヒンダードアミン系光安定剤(製品名TINUVIN123、日本チバガイギー(株)製)2.5部を溶解させ、次にラテムルS?180Aの20%水溶液10部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液8部、水350部の混合液混合液を作製し、該混合液をホモミキサーにより乳化し、得られたプレ乳化液と、有機シラン化合物成分の混合液を表1に記載の種類及び質量部として、Y字管内の金属メッシュで混合しながら反応容器中へ滴下槽より90分かけて流入させた。流入中は反応容器中の温度を80℃に保った。流入が終了してから反応容器中の温度を80℃にして90分保った。
室温まで冷却した後、水素イオン濃度を測定したところpH2.6であった。
上記の混合液に25%アンモニア水溶液を 添加してpH8に調整してから100メッシュの金網で ろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は得られた固形分質量に対して20ppm以下と非常にわずかで、また反応容器内壁及び攪拌羽根への付着物もわずかであった。得られたエマルジョンの固形分、平均粒子径は表2に記載した。その後、実施例1と同一の濃縮処理を行った。
[実施例5]
ステップ(1)及びステップ(2)に使用する有機シラン化合物成分の混合液を表1に記載の種類及び質量部とし、スルホコハク酸系非反応型界面活性剤(製品名:エアロゾルOT−75(有効分:約75%)、三井サイテック(株)製)をステップ(1)及びステップ(2)で15部及び6部とした以外は、実施例4と同一の処理を行った。得られたエマルジョンの固形分、平均粒子径は表2に記載した。その後、実施例1と同一の濃縮処理を行った。
[比較例1〜2]
ステップ(1)及びステップ(3)に使用する有機シラン化合物成分の混合液を表1の種類及び質量部とした以外は、実施例1と同一の処理を行った。得られたエマルジョンの固形分、平均粒子径は表2に記載した。その後、実施例1と同一の濃縮処理を行った。
[比較例3]
ステップ(1)及びステップ(3)において有機シラン化合物成分を使用せずに、実施例1と同一の処理を行った。得られたエマルジョンは濃縮処理を行い、固形分40.2%に調整した。平均粒子径は表2に示した。
Figure 2009007513
Figure 2009007513
重合安定性の評価及び得られたポリシロキサン含有水性アクリレート重合体エマルジョンの物性試験については、該エマルジョンを用いて下記に示す評価及び試験方法に従って実施した。
<重合安定性の評価>
乳化重合後に得られたポリシロキサン含有水性アクリレート重合体エマルジョンを100メッシュの濾布で凝固物を濾過し、その残渣質量をポリシロキサン含有水性アクリレート重合体エマルジョンの固形分質量で割り、残渣率とした。
(判断基準) ○ :残渣率が100ppm未満
△ :残渣率が100ppm以上
× :多量の凝集物が発生
<ろ過性の評価>
乳化重合後に得られたポリシロキサン含有水性アクリレート重合体エマルジョンを100メッシュの濾布で凝固物を濾過し、終了するまでに要する時間で評価した。
(判断基準) ○ :濾過時間が30秒未満
△ :濾過時間が30秒以上60秒未満
× :濾過時間が60秒以上
<粒子径の測定>
得られたポリシロキサン含有水性アクリレート重合体エマルジョンの平均粒子径を、リーズ&ノースラップ社製のマイクロトラック粒度分布計にて測定した。
<耐汚染性の評価>
コロイド状無機粒子を組み合わせた高耐候低汚染コーティング組成物の物性試験については、下記に示す評価に従って実施した。
ポリシロキサン含有水性アクリレート重合体エマルジョン(商品名:ポリデュレックスG633、旭化成ケミカルズ製)に対して下記に示す配合組成でエナメル塗料を調整した。
エナメル塗料配合物の調整
ポリシロキサン含有水性アクリレート重合体エマルジョン(固形分40%換算)
250部
エチレングリコールモノブチルエーテル 20部
エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル 40部
酸化チタン(タイペークCR97) 130部
増粘剤 0.1部
次いで、アルミ板上にエナメル塗料配合物をNo.50のバーコーターにて塗工し、23℃にて1日養生した後、50℃にて3日養生し、膜厚約30μmの白エナメル塗膜を作製した。
次に各実施例及び比較例で得たエマルジョンを用い、表3に示す配合組成でクリヤ塗料を調整した。
Figure 2009007513
白エナメル塗膜上に、No.50のバーコーターで塗工後、50℃、7日間養生して膜厚10〜50μmのクリア塗膜を作製した。得られたクリア塗膜の水接触角を協和界面科学(株)製CA−X150型接触角測定器にて測定した。各クリア塗膜が塗工されたアルミ板を川崎市所在の屋外曝露試験装置(北面)に1ヶ月間取り付け、塗膜の外観(雨筋の有無、クラックの有無、はがれなど)を目視にて観察した。
(判断基準) ◎ :外観に変化無し
○ :雨筋若干あり
△ :雨筋が目立ち、微細なクラックあり
× :クラック、はがれあり
<耐候性の評価>
耐汚染性の評価と同一配合及び方法にて塗膜を作製し、下記に示した条件アイスーパーUVテスター(岩崎電気(株)製)により下記に示す試験条件にて1000時間照射試験を実施し、塗膜の外観(クラック、はがれなど)を目視にて観察した。また同時に光沢保持率の評価も行った。
(判断基準) ○ :外観に変化無し
△ :つや引けあり
× :クラック、はがれあり
アイスーパーUVテスター試験条件
照度:1000W/m
照射:63℃、50%RH、8時間
暗黒・湿潤:30℃、96%RH以上、4時間
各実施例及び比較例のクリヤ塗膜の水接触角、屋外実曝露試験結果及びアイスーパーUVテスターによる耐候性促進試験結果を表4に示す。
Figure 2009007513
屋外実曝露試験の結果では、コロイダルシリカを含む本願発明実施例の耐汚染度合いは向上しており、特にポリエーテル変性シリコーンを含む本願発明実施例の効果は顕著である。この理由は、コロイダルシリカ及びポリエーテル変性シリコーンの親水化機能による汚染物質のクリーニングによるものと考えられる。
アイスーパーUVテスターによる耐候性促進試験においても、比較例1、2及び3では光沢値の低下が大きいのに対し、実施例1〜5では、光沢値の低下が少なくなっている。この結果は、シリコーン変性量の増加に伴い塗膜の劣化は緩やかとなり、コロイダルシリカによる低汚染機能も長期間発現が可能となることを示している。
ポリシロキサンを含む比較例1,2に比べ、本願発明の実施例の光沢値の低下が少ない理由は、有機シラン化合物として(a1)フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランを用いたことにより、シリコーン成分がエチレン性不飽和単量体からなるポリマー中に均質に分散されたためと考えられる。

Claims (11)

  1. 以下の成分(A)〜(C)を含有するコーティング組成物であって、(A)成分の加水分解縮合と(B)成分の乳化重合とを水性媒体中で同時に行うことにより得られるコーティング組成物。
    (A)有機シラン化合物(a1)〜(a3)を含む組成物の加水分解縮合物 100質量部
    (a1)フェニル基又はシクロアルキル基を含有する下記式(1)で表される有機シラン化合物
    式(1):
    Figure 2009007513

    (Rはフェニル基またはシクロヘキシル基、Rは水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、R はそれぞれ、独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基であり、n=1〜3、m=0〜1、ただしn+m≦3)
    (a2)下記式(2)で表される有機シラン化合物
    式(2):
    CH−Si−(R (2)
    (Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基)、
    (a3)環状有機シラン化合物又は下記式(3)で表される有機シラン化合物
    式(3):
    (CH −Si−(R (3)
    (Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基)
    ただし、(A)有機シラン化合物成分における各成分の配合比(モル比)は、
    (a1):(a2):(a3)=1〜100:10〜300:1〜100
    (a1)/{(a1)+(a2)+(a3)}=0.01〜0.90
    (B)エチレン性不飽和単量体(b1)〜(b3)を乳化重合した乳化重合体
    20〜5000質量部
    (b1)不飽和カルボン酸エステルの1種又は2種以上
    (b2)不飽和カルボン酸の1種又は2種以上
    (b3)上記以外のエチレン性不飽和単量体の1種又は2種以上
    ただし、(B)エチレン性不飽和単量体成分における各成分の配合割合は、
    (b1):(b2):(b3)= 80〜98:1〜20:0〜10
    (b1)/{(b1)+(b2)+(b3)}=80〜98質量%
    (b2)/{(b1)+(b2)+(b3)}=1〜20質量%
    (C)コロイド状無機粒子
    (A)と(B)の樹脂固形分100質量部に対し、0.1〜95質量部
  2. 前記(b1)不飽和カルボン酸エステルが(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルを含む請求項1に記載のコーティング組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルが前記(b1)不飽和カルボン酸エステル成分及び(b2)不飽和カルボン酸成分の総量に占める割合が5〜80質量%である請求項2に記載のコーティング組成物。
  4. 前記乳化重合の(D)乳化剤として、スルホン酸基又はスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体の少なくともいずれか1種を使用する請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング組成物。
  5. 前記(D)乳化剤を、前記エチレン性不飽和単量体(b1)〜(b3)の合計量に対して0.05〜10質量%使用する請求項4に記載のコーティング組成物。
  6. 前記加水分解縮合と前記乳化重合とをpH4.0以下で実施する請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング組成物。
  7. 前記(C)コロイド状無機粒子として、コロイダルシリカを使用する請求項1〜6のいずれかに記載のコーティング組成物。
  8. 前記加水分解縮合と前記乳化重合とを多段階で行う請求項1〜7のいずれかに記載のコーティング組成物。
  9. (E)親水性付与剤としてポリオキシアルキレン共重合体をさらに添加する請求項1〜8のいずれかに記載のコーティング組成物。
  10. 前記ポリオキシアルキレン共重合体を(A)と(B)の樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜5質量部用いる請求項9に記載の高耐候低汚染性コーティング組成物。
  11. (E)親水性付与剤成分であるポリオキシアルキレン共重合体が、ポリエーテル変性シリコーンである請求項9又は10に記載の高耐候低汚染性コーティング組成物。
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