JP4067336B2 - 高耐久性エマルジョンおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐汚染性、柔軟性、耐水性、耐候性、耐久性、顔料分散性、光沢保持性、密着性、防錆性、耐透水性に優れた塗膜を形成し得る高耐久性アクリル系エマルジョンに関する。具体的には、塗料、建材の下地処理材または仕上げ材、接着剤、紙加工剤、または織布、不織布の仕上げ材として有用であり、特に、コンクリート、セメントモルタル、スレー ト板、ケイカル板、石膏ボード、押し出し成形板、発泡性コンクリートなどの無機建材、織布あるいは不織布を基材とした建材、金属建材などの各種下地に対する塗料または建築仕上げ材として、複層仕上げ塗材用の主材およびトップコート、薄付け仕上塗材、厚付け仕上塗材、石材調仕上げ材、グロスペイントなどの合成樹脂エマルジョンペイントとして、金属用塗料、木部塗料、瓦用塗料として有用な高耐久性エマルジョンに関する。
【0002】
【従来の技術】
乳化重合により得られる水性エマルジョンは、常温あるいは加熱下で乾燥形成した被膜が比較的良好な耐久性を示すことから、水性塗料用の樹脂として多く用いられているが、屋外や紫外線に長期間曝露された場合には、艶の低下、変色、膨れなど変質の問題がある。そのため長期の耐久性が必要とされる場合には、溶剤系アクリルシリコーン樹脂などの溶剤系塗料が使用されてきた(たとえば、特開平7−26155号公報)。しかし最近の環境衛生性、作業安全性や低臭気などの重視から、これら溶剤系塗料に代わり得る高耐久性の水系塗料の出現が切望されるようになった。
【0003】
本願発明者らは、先に、特開平6−81855公報、特開平8−3409公報及びWO95−29196公報、特開平10−120724号公報に開示されたごとく、乳化剤にスルホン酸基、スルホネート基または硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体を用いて改良された耐水性を付与し、特定のシリコーン構造を有する変性剤を用いてシリコーン変性した高耐久性のアクリル系エマルジョンを提案した。またこの新規なエマルジョンは、従来のアクリル系エマルジョンに比べて大幅に耐久性が改善されたものである。
【0004】
しかしこれらの製造方法において、ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプレ乳化液と、加水分解性シラン〔C〕とを、水性媒体中へ導入し乳化重合することにより高耐久性エマルジョンを製造する方法では、エマルジョン中に多くの凝集物を多く発生してしまうという問題があった。
特開平5−140255号公報ではオルガノシランの縮合物の一つであるラジカル重合性基を有するシリコーン系マクロモノマーを、該マクロモノマーと共重合性の他のラジカル重合性単量体に溶解し、得られる単量体混合物をアニオン性乳化剤の存在下で水性媒体中にホモジナイザー等により、プレ乳化液の粒径を2μm程度にまで微細化、乳化分散させ、水溶性ラジカル重合開始剤により水媒体中で共重合させる水性エマルジョンの製造方法が開示されているが、プレ乳化液の粒径を1μm程度にまで微細化するという煩雑な操作は必要としないと開示されているものの、2μm程度にまで乳化分散を充分に行わないとエマルジョン中に多くの凝集物を発生してしまうという問題があった。
【0005】
特開平9−12906号公報ではラジカル重合性基を含むアニオン性乳化剤およびpH緩衝剤の存在下に、加水分解性シランとラジカル重合性体と共重合可能なビニル単量体および油溶性ラジカル重合開始剤を水性媒体中に乳化分散させ、水媒体中で共重合させる水性エマルジョンの製造方法が開示されている。とくに、加水分解性シランとラジカル重合性体の乳化分散における分散粒子の粒径は、小さいほど好ましく、具体的には平均粒径で1μm以下さらには0.5μm以下であることが好ましい。分散粒子の粒径が1μmを越えると、得られる水性エマルジョン中に多くの凝集物を発生してしまうことが開示されている。
【0006】
特開2001−302920号公報には、上記の2つの公報を組み合わせた方法として、加水分解性シラン、オルガノシランの縮合物、ラジカル重合性単量体、および乳化剤をホモジナイザーなどの大きなせん断力のかかる機器にてプレ乳化液とした後、水溶性ラジカル重合開始剤により水媒体中で共重合させる水性エマルジョンの製造方法が開示されているが、乳化分散を充分に行わないとエマルジョン中に多くの凝集物を発生してしまうという問題があった。乳化分散を充分させるため多量の乳化剤を必要とし塗膜の耐水性をも著しく低下させてしまう。さらにラジカル重合性単量体と、乳化剤と、加水分解性シランとの混合物をホモジナイザーなどの大きなせん断力のかかる機器によってプレ乳化液とした場合、とくに混合液中に酸性(例えばラジカル重合性カルボン酸単量体を含む場合等であり、pH5以下)あるいは塩基性(例えばアミノ基を持つラジカル重合性単量体を含む場合等であり、pH8以上)が強い場合、加水分解性シランはそのほとんどが加水分解することによって、アルコールなどの親水性物質を発生するため、乳化液が破壊されるあるいは破壊されやすい状態となる。このような状態の混合液を、水性媒体中へ導入し乳化重合する方法では、エマルジョン中に多くの凝集物を発生しまうという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐汚染性、柔軟性、耐水性、耐候性、耐久性、顔料分散性、光沢保持性、密着性、防錆性、耐透水性に優れた塗膜を形成し得る高耐久性エマルジョンの製造において、凝集物の発生を抑制できる製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記のような 問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1は、ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプレ乳化液と、加水分解性シラン〔C〕とを、加水分解性シラン〔C〕とプレ乳化液中のモノマーとを加水分解性シラン〔C〕の平均粒径が10μm以上の乳化状態を維持するようにして、加水分解性シラン〔C〕とプレ乳化液中のモノマーとが同一液滴粒子化しない不均質な組成を維持させながら混合した後、水性媒体中においてpH4.0以下で重合することにより得られる高耐久性エマルジョンの製造方法である。
発明の第2は、ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプレ乳化液を、該プレ乳化液と加水分解性シラン〔C〕とを連続的または間欠的に混合しながら、水性媒体中において乳化重合することにより得られる発明の第1の高耐久性エマルジョンの製造方法。
【0009】
発明の第3は、ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプレ乳化液のpHが4.0以下である発明の第1または発明の第2のいずれかの高耐久性エマルジョンの製造方法。
発明の第4は、乳化剤〔B〕が、スルホン酸基又はスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体、およびそれらの混合物のいずれかから選ばれたものである発明の第1〜3のいずれかの高耐久性エマルジョンの製造方法。
【0010】
発明の第5は、加水分解性シラン〔C〕が、下記式(a)で表される、シリコーン構造を有するシランの少なくとも1種を含む発明の第1〜4のいずれかの高耐久性エマルジョンの製造方法。
(R1)n −Si−(R2)4-n (a)
(式中nは0〜3の整数であり、R1は水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基、または炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基から選ばれる。n個のR1は同一であっても、異なっても良い。R2は炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基または水酸基から選ばれる。4−n個のR2は同一であっても、異なっても良い。)
【0011】
発明の第6は、ラジカル重合性単量体〔A〕の5質量%以上が、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート系単量体からなる群から選ばれる1種または2種以上の単量体からなる発明の第1〜5のいずれかの高耐久性エマルジョンの製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるラジカル重合性単量体〔A〕には、(メタ)アクリル酸エステル(本願において、アクリル酸およびメタアクリル酸を合わせて(メタ)アクリル酸と標記する)に代表される(メタ)アクリレート単量体を含む必要がある。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートなどがある。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルなどが挙げられる。(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコールなどが挙げられる。(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコー ル、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコールなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。又、(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体例としては、ジ(メタ)アクリル酸エ チレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコールなどが挙げられる。また、上記以外の具体例としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(メタ)アクリレート単量体は、ラジカル重合性単量体〔A〕の質量に対して好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90質量%〜100質量%用いることが望ましい。
【0013】
さらに本発明において、ラジカル重合性単量体〔A〕として(メタ)アクリレート単量体と混合して使用できる単量体には、ラジカル重合性カルボン酸単量体、アクリルアミド単量体、メタクリルアミド単量体、ビニル単量体から選ばれる、(メタ)アクリレート単量体と共重合可能な少なくとも1種のコモノマーが挙げられる。好ましくは、ラジカル重合性カルボン酸単量体であり、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそのモノエステル、フマル酸およびそのモノエステル、並びにマレイン酸およびそのモノエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。これらラジカル重合性カルボン酸単量体は、加水分解性シランの加水分解反応および縮合反応を促進させる触媒としても作用するからである。アクリルアミド単量体またはメタクリルアミド単量体としては、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどがあり、ビニル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビニルピロリドン、メチルビニルケトンなどがあり、 又、シアン化ビニル単量体の例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
さらに(メタ)アクリレート単量体と混合して使用可能なラジカル重合性単量体〔A〕としては、ビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル、ブタジエン、エチレンなども挙げられる。
【0014】
本発明においては、ラジカル重合性単量体〔A〕としてシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート系単量体を含むことが、特に耐久性に優れるため好ましい。ラジカル重合性単量体〔A〕の5質量%以上、より好ましくは5質量%以上99質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上80質量%以下が、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート系単量体、或いはそれらの混合物であることが、好ましい。アクリル酸またはメタクリル酸の炭素数5〜12のシクロアルキルエステル、或いはそれらの混合物がラジカル重合性単量体〔A〕の5質量%以上で耐久性に優れ、80質量%以下で、成膜性が良い。シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート系単量体としては、(メタ)アクリル酸のシクロアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸のシクロアルキルエステルとしては、炭素数5〜12のシクロアルキル基のエステルが好ましく、該シクロアルキルエステルは、シクロアルキルの水素原子の一部が炭素数1〜6のアルキル基、水酸基又はエポキシ基に置換されていても良い。シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート系単量体の例として下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、R1 は水素原子またはメチル基であり、R2はシクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロドデシル基であり、これらシクロアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基またはエポキシ基を置換基として有してもよい。)その具体例としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3シクロヘキセンオキサイドなどを挙げることができる。
【0017】
本発明の製造方法において、ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤 〔B〕とからなるプレ乳化液と、加水分解性シラン〔C〕とを混合した後、水性媒体中において重合することにより高耐久性エマルジョンを得る。
重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、ミニエマルション重合が挙げられるが、平均粒子径が10nm〜1μm程度分散安定性の良好なエマルジョンを安定的に製造する方法としては、乳化重合が好ましい。
【0018】
本発明において、乳化重合によるエマルジョン製造中の凝集物発生を少なく抑えるには、2つの方法を挙げることができるが、ただしこれらに限定されるものではない。
第1の方法として、ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなる混合液がホモジナイザー等の高せん断力のかかる撹拌機によりプレ乳化液(a)とするのが好ましい。また任意にさらに水、重合開始剤を加えてプレ乳化液(a)とすることができる。加水分解性シラン〔C〕はラジカル重合性単量体〔A〕とは別に、加水分解性シラン〔C〕、水および乳化剤〔B〕の一部とを使用し、ホモジナイザー等の高せん断力のかかる撹拌機によりプレ乳化液(b)とすることも可能であるが、加水分解を起こしやすいため1時間程度この乳化液状態を保つのが難しい。従ってプレ乳化液(b)は逐次乳化しながら、反応系へ導入する方法が挙げられる。これらの反応系への添加方法は特に限定されないが、プレ乳化液(a)とプレ乳化液(b)とを混合しながら、水性媒体中において重合されている反応系へ添加することが好ましく、プレ乳化液(a)とプレ乳化液(b)とを混合しながら、水性媒体中において重合されている反応系へ連続的または間欠的に、逐次添加することがさらに好ましい。
【0019】
第2の方法として、乳化重合をラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とをプレ乳化液(a)とし、該プレ乳化液(a)と加水分解性シラン〔C〕とを混合した後の添加方法は特に限定されないが、水性媒体中において、重合されている反応系へ連続的または間欠的に逐次添加することが好ましい。
【0020】
第1方法および第2の方法における添加方法として、別々の位置から反応系へ添加すると、プレ乳化液(a)と加水分解性シラン〔C〕とを別々に水性媒体中で重合されている反応系へ導入された場合、加水分解性シラン〔C〕は重合中の高分子化されたエマルジョンへ直接作用し、エマルジョンの一部を凝集させてしまい、多量の凝集物を発生させてしまう。プレ乳化液(a)と加水分解性シラン〔C〕とを反応系へ導入する前に混合した後、水性媒体中で重合されている反応系へ導入すると、加水分解性シラン〔C〕がプレ乳化液(a)とともに反応系へ拡散するため、エマルジョン中に凝集物を発生させないと考えられる。
【0021】
第1方法および第2の方法におけるプレ乳化液(a)と、プレ乳化液(b)または加水分解性シラン〔C〕とを混合する方法としては、加水分解性シラン〔C〕とプレ乳化液(a)中のモノマーとが同一液滴粒子化し、さらに均質組成の液滴粒子化することで、加水分解性シラン〔C〕が急激に加水分解し、アルコール等の発生により乳化液の乳化状態が破壊されてしまう。とくにプレ乳化液(a)がpH4以下であった場合には、乳化液の乳化状態の破壊が著しく、乳化重合による製造中の凝集物発生量を多いものとしてしまう。従って混合時、加水分解性シラン〔C〕とプレ乳化液(a)中のモノマーとをできるだけ同一液滴粒子化しない不均質な組成を維持させることが好ましい。この混合方法としては緩やかな撹拌とすることが好ましく、具体的には加水分解性シラン〔C〕は、平均粒径で10μm以上の乳化状態が好ましく、さらに好ましくは加水分解性シラン〔C〕の平均粒径100μm以上の乳化状態に留めることがさらに好ましい。
【0022】
本発明において具体的な混合方法としては、スタティックミキサー、連続密閉式分散・乳化機等が挙げられる。例えばスタティックミキサーとしては、スタティックミキサーN10シリーズ、N16シリーズ、N60シリーズ(製品名、ノリタケ(株)製)等が挙げられ、連続密閉式分散・乳化機としては、125L、275L(製品名、Silverson Machines,Inc.製)、T.K.パイプラインホモミキサー(製品名、特殊機化工業(株)製)、T.K.ホモミックラインミキサー(製品名、特殊機化工業(株)製)等が挙げられ、これらを利用する場合は、撹拌回転数をできるだけ抑えて使用することも可能である。またその他混合方法としては、他Y字管の出口末端へ金属網、ラシヒリングあるいは沸石等を充填する方法が挙げられる。混合方法としては連続密閉式分散・乳化機、Y字管の出口末端へ金属網、ラシヒリングあるいは沸石等を充填する方法が好ましい。混合時の温度としては60℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。前記条件を満たさない場合には、ラジカル重合性単量体乳化液の酸性あるいは塩基性によって多くの加水分解性シランが加水分解を起こし、プレ乳化液を破壊し、プレ乳化液は単量体層部と水層部とに分離を生じてしまう。その結果、重合中の反応系では多くの凝集物を発生してしまう。
【0023】
本発明のエマルジョンは、例えば、乳化重合、すなわちラジカル重合性単量体のラジカル重合による乳化重合と、加水分解性シランの加水分解・縮合反応による乳化重合を同時に水性媒体中で行うことにより得られる。ここにいう水性媒体としては、反応系へ導入されるものであって、主に水が用いられるが、炭素数1〜3の低級アルコールまたはアセトンなどの水に可溶な溶媒を水に 添加したものも含む。この際添加する水以外の溶媒の量はエマルジョン中に20質量%以下であることが好ましい。ここではプレ乳化液へ使用する水性媒体は、水に可溶な溶媒類は5%以下であり、好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは水だけである。この量を超えると、プレ乳化液の乳化状態が破壊され、重合安定が不良となってしまう。
【0024】
本発明において、ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプレ乳化液のpHは限定されるものでないが、pH4.0以下で重合を実施することにより、加水分解性シランの縮合反応が速やかに起こり、乳化重合後に縮合反応が進むことを抑制できるため、製品としての貯蔵安定性が良く、反応系のpHが4.0以下であることが好ましく、より好ましくはpH1.5以上3.0以下で実施される。
【0025】
本発明において、ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプレ乳化液が、酸触媒、ラジカル重合性カルボン酸単量体、ラジカル開始剤用の過硫酸塩等の酸性成分を含まずに中性付近のプレ乳化液とし、酸触媒、ラジカル重合性カルボン酸単量体、ラジカル開始剤用の過硫酸塩等の酸性成分はあらかじめ反応系へ導入しておくか、プレ乳化液導入系とは別の位置から反応系へ逐次導入することも可能である。
【0026】
本発明において重合を安定に進めるためには、該酸性成分プレ乳化液へ均質に混合されていることが肝要であり、ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤 〔B〕とからなるプレ乳化液が、酸触媒、ラジカル重合性カルボン酸単量体、ラジカル開始剤用の過硫酸塩等を含むことによりプレ乳化液をpH4.0以下とすることが好ましい。
【0027】
本発明において、乳化重合に用いる乳化剤〔B〕には、スルホン酸基又はスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体のうち、少なくともいずれか一を含むことが、高度な耐水性を達成するために望ましい。ここにいうスルホン酸基又はスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体とは、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつフリーのスルホン酸基、又はそのアンモニウム塩かアルカリ金属塩である基(アンモニウムスルホネート基、又はアルカリ金属スルホネート基)を有する化合物をいう。たとえば、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素2〜4のポリアルキルエーテル基、炭素数6または10のアリー ル基およびコハク酸基からなる群より選ばれる置換基を 有する化合物であるか、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基に結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物が好ましい。
【0028】
本発明スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基により一部が置換されたコハク酸化合物の具体例として、アリルスルホコハク酸塩、たとえば、下記式(2)、(3)、(4)、(5)で表される化合物が挙げられる。
【0029】
【化2】
【0030】
【化3】
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】
(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜19のアラルキル基等の炭化水素基、又はその一部 が水酸基、カルボン酸基等で置換されたもの、もしくはポリオキシエチレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素が2〜4)、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)等のアルキレンオキサイド 化合物を含む有機基であり、Aは炭素数2〜4個のアル キレン基または一部が置換されたアルキレン基であり、 nは0〜200の整数であり、Mはアンモニウム、ナト リウムまたはカリウムである。)
【0034】
上記式(2)及び(3)を含むものとして、例えば、エレミノールJS−2、JS−5(製品名、三洋化成(株)製)があり、上記式(4)及び(5)を含むものとして、例えば、ラテムルS−120、S−180A、S−180(製品名、花王(株)製)がある。
また、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物の例として、下記式(6)〜(8)で表される化合物が挙げられる。
【0035】
【化6】
【0036】
(式中、R1 は炭素数6〜18のアルキル 基、アルケニル基またはアラルキル基であり、R2は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基、R3は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜200の整数、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムもしくはアルカノールアミン残基である。)
【0037】
【化7】
【0038】
(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数8〜24のアルキル基またはアシル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは0〜50の整数、mは0〜20の整数、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムもしくはアルカノールアミン残基である。)
【0039】
【化8】
【0040】
(式中、R1は炭素数8〜30のアルキル基、R2は水素またはメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、もしくは置換アルキレン基、nは0または、1〜200の整数であり、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムもしくはアルカノールアミン残基である。)
【0041】
上記式(6)で表されるアルキルフェノールエーテル系化合物として、例えばアクアロンHS−10(製品名、 第一工業製薬(株)製)等があり、上記式(7)で表される化合物として、例えばアデカリアソープSE−1025A、SR−10N、SR−20N(製品名、旭電化工業(株)製)、上記式(8)で表される化合物として、例えばアクアロンKH−10,KH−05がある。
【0042】
その他、スルホネート基により一部が置換 されたアリール基を有する化合物の具体例として、p− スチレンスルホン酸アンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられる。スルホネート基により一部 が置換されたアルキル基を有する化合物の具体例として、メチルプロパンスルホン酸アクリルアミドのアンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩、アクリル酸 スルホアルキルエステルのアンモニウム塩、ナトリウム 塩およびカリウム塩、メタアクリル酸スルホアルキルエステルのアンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられる。また上記以外のスルホネート基を有する化合物の具体例として、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物が挙げられる。硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体とは、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつ硫酸エステル基又はそのアンモニウム塩かアルカリ金属塩である基を有する化合物をいう。これらのうち、硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基および炭素数6または10のアリール基からなる群より選ばれる基を有する化合物が好ましい。硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリ ウム塩又はカリウム塩により一部が置換された、炭素数2〜4のアルキルエーテル基または炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物の例としては、例えば上記式(6)と(7)で表される、スルホネート基により一部が置換されたアルキルエーテル基を有する化合物がある。
【0043】
これらの乳化剤〔B〕として用いられるエチレン性不飽和単量体は、エマルジョン中に、エマルジョン粒子にラジカル重合した共重合物として存在するか、未反応物としてエマルジョン粒子へ吸着、あるいは エマルジョン水相中に存在するか、または、水溶性単量体との共重合物あるいは乳化剤として用いられるエチレン性不飽和単量体どうしの共重合物としてエマルジョン粒子へ吸着、あるいはエマルジョン水相中に存在している。とくにエマルジョン粒子にラジカル重合した共重合物の状態で存在する比率を高めることによって、エマルジョンより得られるフィルムの耐水性を高度なものとすることができる。
【0044】
乳化剤として用いられるエチレン性不飽和単量体は、エマルジョンより得られるフィルムの熱分解ガスクロマトグラム質量分析(Py−GC−MS)により、各物質を同定することができる。他の方法として、エマルジョンの水相成分を分離した後、高速原子衝撃質量分析(FABマススペクトル)によって同定することも可能である。
本発明において、乳化剤〔B〕は、ラジカル重合性単量体〔A〕の質量に対して0.05質量%〜10質量%用いられ、好ましくは0.1質量%〜5質量%用いる。
【0045】
本発明では、スルホン酸基またはスルホネート基、あるいは硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体を含む乳化剤〔B〕以外に、通常の界面活性剤を併用することもできる。例えば、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸 塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩などのアニオン型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどの非反応性ノニオン型界面活性剤、アデカリアソープNE−20、NE−30、NE− 40(製品名、旭電化工業(株)製)などのα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン、またはアクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50(製品名、第一工業製薬(株)製)などのポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルなどの反応性ノニオン型界面活性剤といわれる、エチレン性不飽和単量体と共重合可能なノニオン型界面活性剤 などを併用することができる。
【0046】
上記の界面活性剤の使用量は、ラジカル重合性単量体〔A〕の質量に対して、アニオン型界面活性剤については0.5質量%以下、好ましくは0.25質量%以下であり、非反応性ノニオン型界面活性剤および 反応性ノニオン型界面活性剤については、2.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下である。この範囲で使用すると、耐水性良好なフィルムが形成される。
本発明において、紫外線吸収剤および/または光安定剤を高耐久性エマルジョンに含有させる方法としては、特開平3−37288号公報または特開平4−298573号公報に記載の水性エマルジョンに紫外線吸収剤および/または光安定剤を後添加する方法、特開昭64−20201号公報、特開平7−292009号公報に記載の紫外線吸収剤を水性エマルジョンの重合中に添加する方法、特開平3−128978号公報に記載のラジカル重合性の二重結合を有する光安定剤を水性エマルジョンの重合中に用いる方法、特開平5−39327号公報に記載のラジカル重合性の二重結合を有する紫外線吸収剤を水性エマルジョンの重合中に用いる方法等が挙げられる。
【0047】
本発明においては、紫外線吸収剤及び/または光安定剤を乳化重合時に存在させることが好ましい。紫外線吸収剤および/または光安定剤を成膜助剤などと混合して後添加した場合、分散性に劣り、得られた塗膜の粒子界面に集中して存在するため、降雨などにより溶出し、長期の耐久性の向上が認められない。紫外線吸収剤および/または光安定剤は、ラジカル重合性単量体〔A〕の質量に対して0.1質量%〜5質量%用いることが好ましい。又、紫外線吸収剤として、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性のもの、光安定剤として、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性のものを用いることもできる。また、紫外線吸収剤と光安定剤を併用すると、その高耐久性エマルジョンを用いて皮膜を形成した際に、皮膜が特に耐候性に優れるため好ましい。
【0048】
本発明における紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系から選ばれる少なくとも1種、光安定剤として、ヒンダードアミン系から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。耐久性の優れたシリコーン変性アクリル系エマルジョンと紫外線吸収能が高い、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤と組み合わせることで、相乗効果により卓越した耐久性を示す。ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤としては、具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベン ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン、2,2’, 4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアリルオキシベンゾフェノンなどがある。ラジカル重合性ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤として具体的には、2−ヒドロキシ−4−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−アクリロ キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−ジエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−ト リエトキシ)ベンゾフェノンなどがある。本発明において使用できるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として具体的には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキ シ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール)、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN1130)、イソオクチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリ アゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN384)、2−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベ ンゾトリアゾール(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN571)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’− テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4 −(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN 900)などがある。ラジカル重合性ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として具体的には、2−(2’−ヒドロキシ −5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、製品名:RUVA−93)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロ キシエチル−3−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリリルオキシプロピル−3−tert−ブチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロピル−3−〔3’−(2’’−ベンゾトリアゾリル)−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチル〕フェニルプロピオネート(日本チバガイギー(株)製、製品名:CGL−104)などがある。
【0049】
本発明において使用できるトリアジン系紫外線吸収剤として具体的には、TINUVIN400(製品名、日本チバガイギー(株)製)などがある。本発明において使用できるヒンダードアミン系光安定剤としては、塩基性が低いものが好ましく、具体的には塩基定数(pKb)が8以上のものが好ましい。具体的には、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ −tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−セバケートの混合物(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN292)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、TINUVIN123(製品名、日本チバガイギー(株)製)などがある。ラジカル重合性ヒンダードアミン系光安定剤として具体的には、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−シアノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートなどがある。
【0050】
本発明においては、エマルジョンの耐候性向上のために、加水分解性シラン〔C〕を用いて該エマルジョンのシリコーン変性を行うことが必要である。シリコーン変性は、乳化重合中に行なわれる。加水分解性シラン〔C〕は、下記式(a)で表される、シリコーン構造を有するシラン(I)の少なくとも1種を含んでいることが必要である。
(R1)n −Si−(R2)4-n (a)
(式中nは0〜3の整数であり、R1は水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、 炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基、または炭素数 1〜10のメタクリル酸アルキル基から選ばれる。n個のR1は同一であっても、異なっても良い。R2は炭素 数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基または水酸基から選ばれる。4−n個のR2は同一であっても、異なっても良い。)
【0051】
特に、加水分解性シラン〔C〕には、式 (a)においてn=1とおいたシラン(II)の少なくとも1種を含んでいることが好ましい。シラン(II)のR1としてはメチル基、 フェニル基、ビニル基、γ−(メタ)アクリロキシプロ ピル基が好ましく、R2はそれぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が好ましい。シラン(II)の好ましい具体例としては、メチルトリメトシキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどがあり、またこれらの二種以上を含んでいてもよい。
【0052】
また、本発明において、加水分解性シラン〔C〕は、環状シラン及び式(a)においてn=2とおいて得られるシラン(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これは、上記シラン(III)及び/又は環状シランを用いることにより、該シラン〔C〕が形成するシリコーン重合体の架橋密度を低くし、重合体の構造が複雑になるのを防ぐことができ、これによって、高耐久性エマルジョンから提供される塗膜に柔軟性を付与することができるためである。シラン(III)の具体例として、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。また環状シランとしては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンなども用いることができる。
【0053】
加水分解性シラン〔C〕において、シラン(II)単独では、塗膜柔軟性に問題があるときは、上記の環状シラン類及びシラン(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種を併用することが好ましい。その量は、シラン(II)の上記の環状シラン類及びシラン(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種に対するモル比が100/1〜10/100であることが好ましく、100/1〜35/100であることがより好ましい。シラン(II)が10/100以上でシランの重合性に問題が無く、シランの低分子量物が残留が実質的に問題ない。
【0054】
さらに、加水分解性シラン〔C〕には、加水分解基を有する線状シロキサン、及び式(a)においてn=0または3とおいて得られるシラン(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでも良い。加水分解性シラン〔C〕において、シラン(II)単独では、塗膜柔軟性に問題があるときは、上記の加水分解基を有するシロキサン類及びシラン(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種を併用することが好ましい。その量は、シラン(II)の上記の加水分解基を有するシロキサン類及びシラン(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種に対するモル比が100/1〜10/100であることが好ましく、100/1〜35/100であることがより好ましい。シラン(II)が10/100以上でシランの重合性に問題が無く、シランの低分子量物が残留が実質的に問題ない。
【0055】
シラン(IV)の具体例として、フェニルトリエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。シラン(III)またはシラン(IV)において、R1としてはメチル基、フェニル基が特に好ましく、R2としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が特に好ましい。分子中に加水分解基を有する線上シロキサンの例としては、下記の一般式(9)、(10)、(11)で表される化合物が挙げられる。
【0056】
【化9】
【0057】
【化10】
【0058】
【化11】
【0059】
(式中R1は水素、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基又は炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基から選ばれ、各R2はそれぞれ、独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、水酸基、エポキシ基又はエチレンオキサイド基から選ばれ、mは1〜999の正の整数を表す。)
【0060】
加水分解製シラン〔C〕は、上記したシラン(III)又はシラン(IV)、環状シランおよび線上シロキサンから選ばれる少なくとも1種の化合物に加え、クロロシラン、例え ばメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチ ルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、ビニルク ロルシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリク ロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジクロロメチルシランを含むことができる。
【0061】
本発明は、加水分解性シラン〔C〕を用いることによって、高耐久性エマルジョンより得られるフィルムの屋外などに長期曝露における光沢保持性を改善し、始めて高度な耐候性を示すフィルムを得ることができる。上記したシラン縮合物の存在は、29SiNMR(29Si核磁気共鳴スペクトル)または1HNMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)によって知ることができる。例えば、シラン(II)の縮合物は、29SiNMRのケミカルシフトが−40〜−80PPMにピークを示すことで同定することができる。また、シラン(IV)あるいは環状 シランの縮合物は29SiNMRのケミカルシフトが−16〜−26PPMにピークを示すことで同定することができる。
本発明において、シリコーン構造を有する加水分解性シラン〔C〕は、ラジカル重合性単量体〔A〕の質量に対して0.3質量%〜200質量%用いることができる。
【0062】
本発明における乳化重合は、ラジカル重合触媒として、熱または還元性物質などによってラジカル分解してエチレン性不飽和単量体の付加重合を起こさせることができ、水溶性または油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などを有利に使用することができる。その例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2 −アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など挙げることができるが、加水分解性シランの加水分解反応および縮合反応を促進させるための触媒としても効果のある過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモ ニウムを用いることが好ましい。ラジカル重合触媒の量としては、ラジカル重合性単量体〔A〕の質量に対して通常0.05質量%〜1質量%を用いることができる。
【0063】
通常、重合反応は常圧下、65〜90℃の重合温度で行うことが好ましいが、モノマーの重合温度における蒸気圧などの特性に合わせ、高圧下でも実施することができる。重合時間としては、導入時間と、導入後の熟成(cooking)時間がある。導入時間は、各種原料を反応系へ同時に導入する場合は通常数分であり、各種原料を反応系へ逐次導入する場合は重合による発熱が除熱可能な範囲で反応系へ逐次導入するため、最終的に得られるエマルジョン中の重合体濃度によっても異なるが、通常10分以上である。導入後の熟成(cooking)時間としては、少なくとも10分以上であることが好ましい。この重合時間以下では、各原料がそのまま残留したり、加水分解性シランが縮合せずに加水分解物のまま残留してしまう恐れがある。なお、重合速度の促進、および70℃以下での低温での重合が望まれるときには、例えば重亜硫酸 ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリットなどの還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。さらに、分子量を調整するために、ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤を任意に添加することも可能である。
【0064】
本発明におけるシリコーン変性では、乳化重合終了後、成膜時の硬化触媒として、例えばジブチルすずジラウレート、ジオクチルすずジラウレート、ジブチルすずジアセテート、オクチル酸すず、ラウリン酸すず、オクチル酸鉄、オクチル酸鉛、テトラブチルチタネートなどの有機酸の金属塩、n−ヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどのアミン化合物を、本発明の高耐久性エマルジョンへ添加することができる。
【0065】
なおこれらの硬化用触媒が水溶性でない場合には、その使用に際して、界面活性剤と水を用いてエマルジョン化しておくことが好ましい。本発明の高耐久性エマルジョンは、エマルジョンの長期の分散安定性を保つため、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジメチルアミノエタノールなどのアミン類を用いてpH5〜10の範囲に調整することが好ましい。
【0066】
本発明によって製造されるアクリル系エマルジョンは、分散質の平均粒子径として、10〜1000nmであることが好ましい。得られたエマルジョン中の分散質(固形分)と分散媒としての水性媒体との質量比は70/30以下、好ましくは30/70以上65/35以下である。
【0067】
本発明の高耐久性エマルジョンは、塗料、建材の下地処理材または仕上げ材、接着剤、紙加工剤、または織布、不織布の仕上げ材として有用であり、 とくに塗料用、建材の仕上げ材として具体的には、コンクリート、セメントモルタル、スレート板、ケイカル板、石膏ボード、押し出し成形板、発砲性コンクリートなどの無機建材、織布あるいは不織布を基材とした建材、金属建材などの各種下地に対する塗料または建築仕上げ材として、複層仕上げ塗材用の主材およびトップコート、薄付け仕上塗材、厚付け仕上塗材、石材調仕上げ材、グロスペイントなどの合成樹脂エマルジョンペイント、金属用塗料、木部塗料、瓦用塗料として有用である。
本発明の高耐久性エマルジョンには、通常水系塗料などに添加配合される成分、例えば成膜助剤、 増粘剤、消泡剤、顔料、分散剤、染料、防腐剤などを任意に配合することができる。
【0068】
本発明の好ましい1つの態様は、ラジカル重合性単量体〔A〕がアクリル酸エステル系単量体を含みかつ互いに同じか異なった〔A1〕および〔A2〕よりなり、乳化剤〔B〕が、スルホン酸基またはスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体およびそれらの混合物よりなる群から選ばれかつ互いに同じか異なった乳化剤〔B1〕および〔B2〕よりなり、上記乳化重合を ステップ〔1〕、ステップ〔2〕の順で行い、ステップ〔1〕においてはラジカル重合性単量体〔A1〕と乳化剤〔B1〕と、必要に応じて水性媒体とからなるプレ乳化液を、水性媒体中において乳化重合に付すことにより、ステップ〔1〕エマルジョンを得、ステップ〔2〕においては、水性媒体中、ラジカル重合性単量体〔A2〕および乳化剤〔B2〕と、および必要に応じて水性媒体とからなるプレ乳化液と、加水分解性シラン〔C〕とを混合しながら、ステップ〔1〕エマルジョンに添加することによって、乳化重合を行い最終的な所望エマルジョンを得、また紫外線吸収剤および/または光安定剤を乳化重合中に存在させることも可能である。上記ステップ〔1〕において、ラジカル重合性単量体〔A1〕は、ラジカル重合性カルボン酸単量体を2.5質量%以上〜20質量%以下含み、上記ステップ〔2〕において、ラジカル重合性単量体〔A2〕は、ラジカル重合性カルボン酸単量体を含まないか又は含んでも2.5質量%未満であることが好ましい。
【0069】
また、本発明の好ましいもう1つの態様によれば、ラジカル重合性単量体〔A〕がアクリル酸エステル系単量体を含みかつ互いに同じか異なった〔A1〕、〔A2〕および〔A3〕よりなり、乳化剤〔B〕が、スルホン酸基またはスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体およびそれらの混合物よりなる群から選ばれかつ互いに同じか異なった乳化剤〔B1〕、〔B2〕および〔B3〕よりなり、上記乳化重合をステップ〔1〕、ステップ〔2〕、ステップ〔3〕の順で行い、ステップ〔1〕においてはラジカル重合性単量体〔A1〕と乳化剤〔B1〕と、必要に応じて水性媒体とからなるプレ乳化液を、水性媒体中において乳化重合に付すことにより、ステップ〔1〕エマルジョンを得、ステップ〔2〕においては、ラジカル重合性単量体〔A2〕と、乳化剤〔B2〕とおよび必要に応じて水性媒体とからなるプレ乳化液を水性媒体中においてステップ〔1〕エマルジョンに添加することによって、乳化重合を行いステップ〔2〕エマルジョンを得、ステップ〔3〕においては、ラジカル重合性単量体〔A3〕および乳化剤〔B3〕を、必要に応じて水性媒体とからなるプレ乳化液を、ステップ〔2〕エマルジョンに添加することによって、乳化重合を行い最終的な所望エマルジョンを得、および必要に応じてプレ乳化液と加水分解性シラン〔C〕とを混合しながら乳化重合中にシリコーン変性し、また紫外線吸収剤および/または光安定剤を乳化重合中に存在させてなる高耐久性エマルジョンが提供される。上記ステップ〔1〕、ステップ〔2〕および/またはステップ〔3〕における乳化液と加水分解性シラン〔C〕とを混合しながら、乳化重合中にシリコーン変性を行うことができる。また、上記ステップ〔1〕において、ラジカル重合性単量体〔A1〕は、ラジカル重合性カルボン酸単量体を含まないか又は含んでも2.5質量%未満であり、上記ステップ〔2〕において、ラジカル重合性単量体〔A2〕は、ラジカル重合性カルボン酸単量体を2.5質量%以上〜2 0質量%以下含み、上記ステップ〔3〕において、ラジカル重合性単量体〔A3〕は、ラジカル重合性カルボン酸単量体を含まないか又は含んでも2.5 質量%未満であることが好ましい。
【0070】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明する。なお、実施例および比較例中の部および%は、それぞれ質量部および質量%を示す。
【0071】
【実施例1】
撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温度計を取り付けた反応容器を用意し、2つ滴下槽はY字管〔Y字管の出口には100メッシュの金網を詰め2つ滴下槽の液が混じり合うところまで、モレキュラシーブス3A(製品名:和光純薬(株)製))を充填し、ラジカル重合性単量体を含むプレ乳化液と加水分解性シランとの緩やかな混合ができるように調整した。〕を介して反応系へ流入できるように組み立てた。反応容器に水290部、エチレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩(製品名:ラテムルS−180A、花王(株)製)の20%水溶液10部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分後に、メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸シクロヘキシル50部、アクリル酸ブチル15部、メタクリル酸10部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(製品名:TINUVIN384、日本チバガイギー(株)製)1部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液5部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、水48部からなるプレ乳化液を滴下槽より40分かけて流入させる。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0072】
次に、メタクリル酸メチル109部、メタクリル酸シクロヘキシル160部、アクリル酸ブチル1 23部、メタクリル酸8部、TINUVIN384を4部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液20部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液60部、水192部からなるプレ乳化液(この2段目のプレ乳化液の粒子径を測定してところ平均粒子径は4.5μmであった)、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1部、ジメチルジメトキシシラン20部、メチルトリメトキシシラン20部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して反応系へ160分かけて流入させる。重合中のpHは4以下に維持した。 流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして120分保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところpH2.0であった。25%アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体 に対して0.06%とわずかであり、撹拌翼への付着もわずかであった。得られた高耐久性エマルジョンの固形分は44.7%、粒子径98nmで単一分布であった。
【0073】
【比較例1】
撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温度計を取り付けた反応容器に水290部、エチレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩(製品名:ラテムルS −180A、花王(株)製)の20%水溶液10部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分後に、メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸シクロヘキシル50部、アクリル酸ブチル15部、メタクリル酸10部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(製品名:TINUVIN384、日本チバガイギー(株)製)1部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液5部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、水48部からなるプレ乳化液を滴下槽より40分かけて流入させる。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0074】
次に、メタクリル酸メチル109部、メタクリル酸シクロヘキシル160部、アクリル酸ブチル1 23部、メタクリル酸8部、TINUVIN384を4部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液20部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液60部、水192部からなるプレ乳化液(この2段目のプレ乳化液の粒子径を測定してところ平均粒子径は3.5μmであった)、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1部、ジメチルジメトキシシラン20部、メチルトリメトキシシラン20部からなる混合液とを別々の滴下槽より反応系へ異なった位置へ添加するようにし、160分かけて流入させる。重合中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして120分保つ。
【0075】
室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところpH2.0であった。25%アンモニア水溶液 を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して2.5%と非常に多く、撹拌翼への付着も多く見られた。得られた高耐久性エマルジョンの固形分は45.7%、粒子径108nmで単一分布であった。
【0076】
【比較例2】
撹拌機、還流冷却器、1つ滴下槽および温度計を取り付けた反応容器に水290部、エチレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩(製品名:ラテムルS −180A、花王(株)製)の20%水溶液10部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分後に、メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸シクロヘキシル50部、アクリル酸ブチル15部、メタクリル酸10部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(製品名:TINUVIN384、日本チバガイギー(株)製)1部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液5部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、水48部からなるプレ乳化液を滴下槽より40分かけて流入させる。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0077】
次に、メタクリル酸メチル109部、メタクリル酸シクロヘキシル160部、アクリル酸ブチル1 23部、メタクリル酸8部、TINUVIN384を4部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液20部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液60部、水192部からなる混合液へ、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1部、ジメチルジメトキシシラン20部、メチルトリメトキシシラン20部からなる混合液を加え、氷冷下でホモジナイザーにて乳化する。プレ乳化液の粒子径を測定してところ平均粒子径は1.9μmであった。このプレ乳化液を滴下槽より、160分かけて流入させる。プレ乳化液は流入10分後に層分離をし始めたが、そのまま流入を継続した。重合中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして120分保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところpH2.0であった。25%アンモニア水溶液 を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して4.2%と非常に多く、撹拌翼への付着も多く見られた。得られた高耐久性エマルジョンの固形分は46.2%、粒子径125nmで単一分布であった。
【0078】
【実施例2】
TINUVIN384をヒンダードアミン系光安定剤〔製品名:TINUVIN123、日本チバ ガイギー(株)製〕に変更した以外は、実施例1と同様に重合を行った。2段目のプレ乳化液の粒子径を測定してところ平均粒子径は4.8μmであった。重合反応終了後、室温まで冷却し、 水素イオン濃度を測定したところpH2.0であった。 25%アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整して から100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して0.08%とわずかであり、撹拌翼への付着もわずかであった。得られた高耐久性エマルジョンの固形分は44.6%、粒子径100nmで単一分布であった。
【0079】
【実施例3】
重合一段目におけるTINUVIN384の1部に、TINUVIN123を0.5部加え、重合二段目におけるTINUVIN384の4部に、TINUVIN123を2部を加えた以外は、実施例1と同様に重合を行った。2段目のプレ乳化液の粒子径を測定してところ平均粒子径は3.9μmであった。重合終了後、室温まで冷却し、水素イオン濃度を測定したところpH2.1であった。25% アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して0.05%とわずかであり、撹拌翼への付着もわずかであった。得られた高耐久性エマルジョンの固形分は44. 8%、粒子径102nmで単一分布であった。
【0080】
【実施例4】
重合一段目におけるTINUVIN384の1部に、TINUVIN123を1部加え、メタクリ ル酸メチルを75部、メタクリル酸シクロヘキシルを0 部とし、かつ、重合二段目におけるTINUVIN38 4の4部に、TINUVIN123を4部加え、メタクリル酸メチルを269部、メタクリル酸シクロヘキシルを0部とした以外は、実施例1と同様に重合を行った。2段目のプレ乳化液の粒子径を測定してところ平均粒子径は1.8μmであった。重合終了後、室温まで冷却し、水素イオン 濃度を測定したところpH2.1であった。25%アン モニア水溶液を添加してpHを8に調整してから100 メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して0.07%とわずかであり、撹拌翼への付着もわずかであった。得られたアクリル系エマルジョンの固形分は44.7%、粒子径98nmで単一分布であった。
【0081】
【実施例5】
撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温度計を取り付けた反応容器を用意し、2つ滴下槽はY字管〔Y字管の出口側には2つ滴下槽の液が混じり合うところまで100メッシュの金網を詰め、ラジカル重合性単量体を含むプレ乳化液と加水分解性シランとの緩やかな混合ができるように調整した。〕を介して反応系へ流入できるように組み立てた。この反応容器に水290部、ラテムルS−180Aの20%水溶液10部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモニウムの2%水溶 液を10部添加した5分後に、メタクリル酸メチル50 部、メタクリル酸シクロヘキシル60部、アクリル酸ブ チル86部、メタクリル酸4部、TINUVIN384 を1部、TINUVIN123を1部の混合液とラテム ルS−180Aの20%の水溶液10部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液30部、水96部からなるプレ乳化液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5部、ジメチルジメトキシシラン10部、メチルトリメトキシシラン10部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して反応系へ80分かけて流入させる。重合中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0082】
次に、メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸シクロヘキシル50部、アクリル酸ブチル15 部、メタクリル酸10部、TINUVIN384を0.5部、TINUVIN123を0.5部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液5部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、水48部からなるプレ乳化液(この2段目のプレ乳化液の粒子径を測定してところ平均粒子径は3.5μmであった。)を滴下槽より40分かけて流入させる。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応 容器の温度を80℃にして30分保つ。次に、メタクリル酸メチル59部、メタクリル酸シクロヘキシル100部、アクリル酸ブチル37 部、メタクリル酸4部、TINUVIN384を1部、 TINUVIN123を1部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液10部、過硫酸アンモニウムの 2%の水溶液30部、水96部からなるプレ乳化液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.5部、ジメチルジメトキシシラン10部、メチルトリメトキシシラン10部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して反応系へ80分かけて流入させる。重合中 のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして120分保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところpH2.1であった。25%アンモニア水溶液 を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して0.05%とわずかであり、撹拌翼への付着もわずかであった。得られた高耐久性エマルジョンの固形分は44.8%、粒子径101nmで単一分布であった。
【0083】
【実施例6】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を用いなかった以外は実施例5と同様にして重合反応を行った。2段目のプレ乳化液の粒子径を測定してところ平均粒子径は2.5μmであった。重合終了後、室温まで冷却し、水素イオン濃度を測定したところpH2.1 であった。25%アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して0.05% とわずかであり、撹拌翼への付着もわずかであった。得られた高耐久性エマルジョンの固形分は44.7%、粒子径100nmで単一分布であった。
【0084】
【実施例7】
撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温度計を取り付けた反応容器を用意し、2つ滴下槽はY字管〔Y字管の出口には100メッシュの金網を詰め2つ滴下槽の液が混じり合うところまで、モレキュラシーブス3A(製品名:和光純薬(株)製)を充填し、ラジカル重合性単量体を含むプレ乳化液と加水分解性シランとの緩やかな混合ができるように調整した。〕を介して反応系へ流入できるように組み立てた。反応器に水609部、エチレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩[ラテムルS−180A、花王(株)製]の25%水溶液10部、メタクリル酸シクロヘキシル26部、メタクリル酸n−ブチル8部、メタクリル酸メチル14部、アクリル酸ブチル2.5部、メタクリル酸0.8部、アクリル酸0.8部、アクリルアミド0.4部からなるプレ乳化液を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1部、メチルトリメトキシシラン68部、ジメチルジメトキシシラン27部を反応容器中へ投入する。重合開始による発熱がみられてから反応容器中の温度を85℃にして30分間保つ。
【0085】
次に、反応容器中の温度を80℃に保ったまま、水45部、ラテムルS−180Aの25%水溶液10部、メタクリル酸シクロヘキシル26部、メタクリル酸n−ブチル8部、メタクリル酸メチル14部、アクリル酸ブチル2.5部、メタクリル酸0.8部、アクリル酸0.8部、アクリルアミド0.4部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液5部のプレ乳化液(この2段目のプレ乳化液の粒子径を測定してところ平均粒子径は4.2μmであった。)と、メチルトリメトキシシラン46部、ジメチルジメトキシシラン18部からなるを混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して反応系へ30分かけて流入させる。さらに2時間80℃に保持する。次に、反応容器中の温度を80℃に保ったまま、水130部、ラテムルS−180Aの25%水溶液50部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[エマルゲン130K、花王(株)製]の20%水溶液7部、メタクリル酸シクロヘキシル123部、メタクリル酸n−ブチル37部、メタクリル酸メチル4部、アクリル酸ブチル79部、メタクリル酸4部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液12部のプレ乳化液と、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2部、メチルトリメトキシシラン170部、ジメチルジメトキシシラン68部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して反応系へ2時間かけて流入し、さらに1時間30分80℃に保持した後、室温まで冷却後25%アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網で濾過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して0.10%とわずかであり、撹拌翼への付着もわずかであった。得られた高耐久性エマルジョンの固形分は35.1%、粒子径135nmで単一分布であった。
【0086】
【発明の効果】
本発明の高耐久性エマルジョンの製造方法は、製造時にエマルジョン中に多くの凝集物を多く発生してしまうという問題があった。本発明は、従来達成できなかった凝集物、撹拌翼への付着の少ない高耐久性エマルジョンを安定に製造することを可能とするものである。
Claims (6)
- ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプレ乳化液と、加水分解性シラン〔C〕とを、加水分解性シラン〔C〕の平均粒径が10μm以上の乳化状態を維持するようにして、加水分解性シラン〔C〕とプレ乳化液中のモノマーとが同一液滴粒子化しない不均質な組成を維持させながら混合した後、水性媒体中においてpH4.0以下で重合することにより得られる高耐久性エマルジョンの製造方法。
- ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプレ乳化液を、該プレ乳化液と加水分解性シラン〔C〕とを連続的または間欠的に混合しながら、水性媒体中において乳化重合することにより得られる請求項1に記載の高耐久性エマルジョンの製造方法。
- ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプレ乳化液のpHが4.0以下である請求項1または請求項2のいずれかに記載の高耐久性エマルジョンの製造方法。
- 乳化剤〔B〕が、スルホン酸基又はスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体、およびそれらの混合物のいずれかから選ばれたものである請求項1〜3のいずれかに記載の高耐久性エマルジョンの製造方法。
- 加水分解性シラン〔C〕が、下記式(a)で表される、シリコーン構造を有するシランの少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれかに記載の高耐久性エマルジョンの製造方法。
(R1)n −Si−(R2)4-n (a)
(式中nは0〜3の整数であり、R1は水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基、または炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基から選ばれる。n個のR1は同一であっても、異なっても良い。R2は炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基または水酸基から選ばれる。4−n個のR2は同一であっても、異なっても良い。) - ラジカル重合性単量体〔A〕の5質量%以上が、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート系単量体からなる群から選ばれる1種または2種以上の単量体からなる請求項1〜5のいずれかに記載の高耐久性エマルジョンの製造方法。
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