JP2003335806A - 高耐久性エマルジョンおよびその製造方法 - Google Patents

高耐久性エマルジョンおよびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の高耐久性エマルジョンの製造におい
て、製造時凝集物の発生が多かった。凝集物の発生を抑
制できる製造方法を提供することを目的とするものであ
る。 【解決手段】 高耐久性エマルジョンの製造方法につい
て、ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤 〔B〕
とからなるプレ乳化液と、加水分解性シラン〔C〕とを
混合した後、水性媒体中において重合することにより、
上記課題の解決を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐汚染性、柔軟
性、耐水性、耐候性、耐久性、顔料分散性、光沢保持
性、密着性、防錆性、耐透水性に優れた塗膜を形成し得
る高耐久性アクリル系エマルジョンに関する。具体的に
は、塗料、建材の下地処理材または仕上げ材、接着剤、
紙加工剤、または織布、不織布の仕上げ材として有用で
あり、特に、コンクリート、セメントモルタル、スレー
ト板、ケイカル板、石膏ボード、押し出し成形板、発
泡性コンクリートなどの無機建材、織布あるいは不織布
を基材とした建材、金属建材などの各種下地に対する塗
料または建築仕上げ材として、複層仕上げ塗材用の主材
およびトップコート、薄付け仕上塗材、厚付け仕上塗
材、石材調仕上げ材、グロスペイントなどの合成樹脂エ
マルジョンペイントとして、金属用塗料、木部塗料、瓦
用塗料として有用な高耐久性エマルジョンに関する。
【0002】
【従来の技術】乳化重合により得られる水性エマルジョ
ンは、常温あるいは加熱下で乾燥形成した被膜が比較的
良好な耐久性を示すことから、水性塗料用の樹脂として
多く用いられているが、屋外や紫外線に長期間曝露され
た場合には、艶の低下、変色、膨れなど変質の問題があ
る。そのため長期の耐久性が必要とされる場合には、溶
剤系アクリルシリコーン樹脂などの溶剤系塗料が使用さ
れてきた(たとえば、特開平7−26155号公報)。
しかし最近の環境衛生性、作業安全性や低臭気などの重
視から、これら溶剤系塗料に代わり得る高耐久性の水系
塗料の出現が切望されるようになった。
【0003】本願発明者らは、先に、特開平6−818
55公報、特開平8−3409公報及びWO95−29
196公報、特開平10−120724号公報に開示さ
れたごとく、乳化剤にスルホン酸基、スルホネート基ま
たは硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体を
用いて改良された耐水性を付与し、特定のシリコーン構
造を有する変性剤を用いてシリコーン変性した高耐久性
のアクリル系エマルジョンを提案した。またこの新規な
エマルジョンは、従来のアクリル系エマルジョンに比べ
て大幅に耐久性が改善されたものである。
【0004】しかしこれらの製造方法において、ラジカ
ル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプ
レ乳化液と、加水分解性シラン〔C〕とを、水性媒体中
へ導入し乳化重合することにより高耐久性エマルジョン
を製造する方法では、エマルジョン中に多くの凝集物を
多く発生してしまうという問題があった。特開平5−1
40255号公報ではオルガノシランの縮合物の一つで
あるラジカル重合性基を有するシリコーン系マクロモノ
マーを、該マクロモノマーと共重合性の他のラジカル重
合性単量体に溶解し、得られる単量体混合物をアニオン
性乳化剤の存在下で水性媒体中にホモジナイザー等によ
り、プレ乳化液の粒径を2μm程度にまで微細化、乳化
分散させ、水溶性ラジカル重合開始剤により水媒体中で
共重合させる水性エマルジョンの製造方法が開示されて
いるが、プレ乳化液の粒径を1μm程度にまで微細化す
るという煩雑な操作は必要としないと開示されているも
のの、2μm程度にまで乳化分散を充分に行わないとエ
マルジョン中に多くの凝集物を発生してしまうという問
題があった。
【0005】特開平9−12906号公報ではラジカル
重合性基を含むアニオン性乳化剤およびpH緩衝剤の存
在下に、加水分解性シランとラジカル重合性体と共重合
可能なビニル単量体および油溶性ラジカル重合開始剤を
水性媒体中に乳化分散させ、水媒体中で共重合させる水
性エマルジョンの製造方法が開示されている。とくに、
加水分解性シランとラジカル重合性体の乳化分散におけ
る分散粒子の粒径は、小さいほど好ましく、具体的には
平均粒径で1μm以下さらには0.5μm以下であるこ
とが好ましい。分散粒子の粒径が1μmを越えると、得
られる水性エマルジョン中に多くの凝集物を発生してし
まうことが開示されている。
【0006】特開2001−302920号公報には、
上記の2つの公報を組み合わせた方法として、加水分解
性シラン、オルガノシランの縮合物、ラジカル重合性単
量体、および乳化剤をホモジナイザーなどの大きなせん
断力のかかる機器にてプレ乳化液とした後、水溶性ラジ
カル重合開始剤により水媒体中で共重合させる水性エマ
ルジョンの製造方法が開示されているが、乳化分散を充
分に行わないとエマルジョン中に多くの凝集物を発生し
てしまうという問題があった。乳化分散を充分させるた
め多量の乳化剤を必要とし塗膜の耐水性をも著しく低下
させてしまう。さらにラジカル重合性単量体と、乳化剤
と、加水分解性シランとの混合物をホモジナイザーなど
の大きなせん断力のかかる機器によってプレ乳化液とし
た場合、とくに混合液中に酸性(例えばラジカル重合性
カルボン酸単量体を含む場合等であり、pH5以下)あ
るいは塩基性(例えばアミノ基を持つラジカル重合性単
量体を含む場合等であり、pH8以上)が強い場合、加
水分解性シランはそのほとんどが加水分解することによ
って、アルコールなどの親水性物質を発生するため、乳
化液が破壊されるあるいは破壊されやすい状態となる。
このような状態の混合液を、水性媒体中へ導入し乳化重
合する方法では、エマルジョン中に多くの凝集物を発生
しまうという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐汚染性、
柔軟性、耐水性、耐候性、耐久性、顔料分散性、光沢保
持性、密着性、防錆性、耐透水性に優れた塗膜を形成し
得る高耐久性エマルジョンの製造において、凝集物の発
生を抑制できる製造方法を提供することを目的とするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記のような
問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発
明を完成するに至った。即ち、本発明の第1は、ラジカ
ル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプ
レ乳化液と、加水分解性シラン〔C〕とを混合した後、
水性媒体中において重合することにより得られる高耐久
性エマルジョンの製造方法である。発明の第2は、ラジ
カル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなる
プレ乳化液を、該プレ乳化液と加水分解性シラン〔C〕
とを連続的または間欠的に混合しながら、水性媒体中に
おいて乳化重合することにより得られる発明の第1の高
耐久性エマルジョンの製造方法。
【0009】発明の第3は、ラジカル重合性単量体
〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプレ乳化液のpH
が4.0以下である発明の第1または発明の第2のいず
れかの高耐久性エマルジョンの製造方法。発明の第4
は、水性媒体中において重合時のpHが4.0以下であ
る発明の第1〜3のいずれかの高耐久性エマルジョンの
製造方法。発明の第5は、乳化剤〔B〕が、スルホン酸
基又はスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量
体、硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体、
およびそれらの混合物のいずれかから選ばれたものであ
る発明の第1〜4のいずれかの高耐久性エマルジョンの
製造方法。
【0010】発明の第6は、加水分解性シラン〔C〕
が、下記式(a)で表される、シリコーン構造を有する
シランの少なくとも1種を含む発明の第1〜5のいずれ
かの高耐久性エマルジョンの製造方法。 (R1n −Si−(R24-n (a) (式中nは0〜3の整数であり、R1は水素原子、炭素
数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリ
ール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、
炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基、または炭素数
1〜10のメタクリル酸アルキル基から選ばれる。n個
のR1は同一であっても、異なっても良い。R2は炭素数
1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基または水酸基から
選ばれる。4−n個のR2は同一であっても、異なって
も良い。)
【0011】発明の第7は、ラジカル重合性単量体
〔A〕の5質量%以上が、シクロアルキル基を有する
(メタ)アクリレート系単量体からなる群から選ばれる
1種または2種以上の単量体からなる発明の第1〜6の
いずれかの高耐久性エマルジョンの製造方法。発明の第
8は、ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕
とからなるプレ乳化液と、加水分解性シラン〔C〕とを
混合した後、水性媒体中において重合することにより得
られる高耐久性エマルジョンである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明におけるラジカル重合性単量体〔A〕に
は、(メタ)アクリル酸エステル(本願において、アク
リル酸およびメタアクリル酸を合わせて(メタ)アクリ
ル酸と標記する)に代表される(メタ)アクリレート単
量体を含む必要がある。(メタ)アクリル酸エステルの
具体例としては、アルキル部の炭素数が1〜18の(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル、エチレンオキサイド
基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンモノ
(メタ)アクリレート、(ポリ)オキシプロピレンモノ
(メタ)アクリレート、アルキル部の炭素数が1〜18
の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エ
チレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキ
シエチレンジ(メタ)アクリレートなどがある。(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル
酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステ
ルなどが挙げられる。(ポリ)オキシエチレンモノ(メ
タ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル
酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エ
チレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリ
コール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコ
ール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、
メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール
などが挙げられる。(ポリ)オキシプロピレンモノ(メ
タ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル
酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸
プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレ
ングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレ
ングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレング
リコー ル、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピ
レングリコールなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸
ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリ
ル酸2−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。又、
(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体
例としては、ジ(メタ)アクリル酸エ チレングリコー
ル、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ
(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メ
タ)アクリル酸テトラエチレングリコールなどが挙げら
れる。また、上記以外の具体例としては、(メタ)アク
リル酸グリシジル、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレートなどが挙げられる。(メタ)アクリレ
ート単量体は、ラジカル重合性単量体〔A〕の質量に対
して好ましくは80〜100質量%、より好ましくは9
0質量%〜100質量%用いることが望ましい。
【0013】さらに本発明において、ラジカル重合性単
量体〔A〕として(メタ)アクリレート単量体と混合し
て使用できる単量体には、ラジカル重合性カルボン酸単
量体、アクリルアミド単量体、メタクリルアミド単量
体、ビニル単量体から選ばれる、(メタ)アクリレート
単量体と共重合可能な少なくとも1種のコモノマーが挙
げられる。好ましくは、ラジカル重合性カルボン酸単量
体であり、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およ
びそのモノエステル、フマル酸およびそのモノエステ
ル、並びにマレイン酸およびそのモノエステルからなる
群から選ばれる少なくとも1種であることが特に好まし
い。これらラジカル重合性カルボン酸単量体は、加水分
解性シランの加水分解反応および縮合反応を促進させる
触媒としても作用するからである。アクリルアミド単量
体またはメタクリルアミド単量体としては、(メタ)ア
クリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ
メチル(メタ)アクリルアミドなどがあり、ビニル系単
量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バー
サチック酸ビニル、ビニルピロリドン、メチルビニルケ
トンなどがあり、 又、シアン化ビニル単量体の例とし
ては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙
げられる。さらに(メタ)アクリレート単量体と混合し
て使用可能なラジカル重合性単量体〔A〕としては、ビ
ニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳
香族単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲ
ン化ビニル、ブタジエン、エチレンなども挙げられる。
【0014】本発明においては、ラジカル重合性単量体
〔A〕としてシクロアルキル基を有する(メタ)アクリ
レート系単量体を含むことが、特に耐久性に優れるため
好ましい。ラジカル重合性単量体〔A〕の5質量%以
上、より好ましくは5質量%以上99質量%以下、さら
に好ましくは5質量%以上80質量%以下が、シクロア
ルキル基を有する(メタ)アクリレート系単量体、或い
はそれらの混合物であることが、好ましい。アクリル酸
またはメタクリル酸の炭素数5〜12のシクロアルキル
エステル、或いはそれらの混合物がラジカル重合性単量
体〔A〕の5質量%以上で耐久性に優れ、80質量%以
下で、成膜性が良い。シクロアルキル基を有する(メ
タ)アクリレート系単量体としては、(メタ)アクリル
酸のシクロアルキルエステルが挙げられる。(メタ)ア
クリル酸のシクロアルキルエステルとしては、炭素数5
〜12のシクロアルキル基のエステルが好ましく、該シ
クロアルキルエステルは、シクロアルキルの水素原子の
一部が炭素数1〜6のアルキル基、水酸基又はエポキシ
基に置換されていても良い。シクロアルキル基を有する
(メタ)アクリレート系単量体の例として下記式(1)
で表される化合物が挙げられる。
【0015】
【化1】
【0016】(式中、R1 は水素原子またはメチル基で
あり、R2はシクロペンチル基、シクロヘキシル基又は
シクロドデシル基であり、これらシクロアルキル基は、
炭素数1〜6のアルキル基、水酸基またはエポキシ基を
置換基として有してもよい。)その具体例としては、
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル
酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸
メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3シク
ロヘキセンオキサイドなどを挙げることができる。
【0017】本発明の製造方法において、ラジカル重合
性単量体〔A〕および乳化剤 〔B〕とからなるプレ乳
化液と、加水分解性シラン〔C〕とを混合した後、水性
媒体中において重合することにより高耐久性エマルジョ
ンを得る。重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、塊
状重合、ミニエマルション重合が挙げられるが、平均粒
子径が10nm〜1μm程度分散安定性の良好なエマル
ジョンを安定的に製造する方法としては、乳化重合が好
ましい。
【0018】本発明において、乳化重合によるエマルジ
ョン製造中の凝集物発生を少なく抑えるには、2つの方
法を挙げることができるが、ただしこれらに限定される
ものではない。第1の方法として、ラジカル重合性単量
体〔A〕および乳化剤〔B〕とからなる混合液がホモジ
ナイザー等の高せん断力のかかる撹拌機によりプレ乳化
液(a)とするのが好ましい。また任意にさらに水、重
合開始剤を加えてプレ乳化液(a)とすることができ
る。加水分解性シラン〔C〕はラジカル重合性単量体
〔A〕とは別に、加水分解性シラン〔C〕、水および乳
化剤〔B〕の一部とを使用し、ホモジナイザー等の高せ
ん断力のかかる撹拌機によりプレ乳化液(b)とするこ
とも可能であるが、加水分解を起こしやすいため1時間
程度この乳化液状態を保つのが難しい。従ってプレ乳化
液(b)は逐次乳化しながら、反応系へ導入する方法が
挙げられる。これらの反応系への添加方法は特に限定さ
れないが、プレ乳化液(a)とプレ乳化液(b)とを混
合しながら、水性媒体中において重合されている反応系
へ添加することが好ましく、プレ乳化液(a)とプレ乳
化液(b)とを混合しながら、水性媒体中において重合
されている反応系へ連続的または間欠的に、逐次添加す
ることがさらに好ましい。
【0019】第2の方法として、乳化重合をラジカル重
合性単量体〔A〕および乳化剤〔B〕とをプレ乳化液
(a)とし、該プレ乳化液(a)と加水分解性シラン
〔C〕とを混合した後の添加方法は特に限定されない
が、水性媒体中において、重合されている反応系へ連続
的または間欠的に逐次添加することが好ましい。
【0020】第1方法および第2の方法における添加方
法として、別々の位置から反応系へ添加すると、プレ乳
化液(a)と加水分解性シラン〔C〕とを別々に水性媒
体中で重合されている反応系へ導入された場合、加水分
解性シラン〔C〕は重合中の高分子化されたエマルジョ
ンへ直接作用し、エマルジョンの一部を凝集させてしま
い、多量の凝集物を発生させてしまう。プレ乳化液
(a)と加水分解性シラン〔C〕とを反応系へ導入する
前に混合した後、水性媒体中で重合されている反応系へ
導入すると、加水分解性シラン〔C〕がプレ乳化液
(a)とともに反応系へ拡散するため、エマルジョン中
に凝集物を発生させないと考えられる。
【0021】第1方法および第2の方法におけるプレ乳
化液(a)と、プレ乳化液(b)または加水分解性シラ
ン〔C〕とを混合する方法としては、加水分解性シラン
〔C〕とプレ乳化液(a)中のモノマーとが同一液滴粒
子化し、さらに均質組成の液滴粒子化することで、加水
分解性シラン〔C〕が急激に加水分解し、アルコール等
の発生により乳化液の乳化状態が破壊されてしまう。と
くにプレ乳化液(a)がpH4以下であった場合には、
乳化液の乳化状態の破壊が著しく、乳化重合による製造
中の凝集物発生量を多いものとしてしまう。従って混合
時、加水分解性シラン〔C〕とプレ乳化液(a)中のモ
ノマーとをできるだけ同一液滴粒子化しない不均質な組
成を維持させることが好ましい。この混合方法としては
緩やかな撹拌とすることが好ましく、具体的には加水分
解性シラン〔C〕は、平均粒径で10μm以上の乳化状
態が好ましく、さらに好ましくは加水分解性シラン
〔C〕の平均粒径100μm以上の乳化状態に留めるこ
とがさらに好ましい。
【0022】本発明において具体的な混合方法として
は、スタティックミキサー、連続密閉式分散・乳化機等
が挙げられる。例えばスタティックミキサーとしては、
スタティックミキサーN10シリーズ、N16シリー
ズ、N60シリーズ(製品名、ノリタケ(株)製)等が
挙げられ、連続密閉式分散・乳化機としては、125
L、275L(製品名、Silverson Machines,Inc.
製)、T.K.パイプラインホモミキサー(製品名、特
殊機化工業(株)製)、T.K.ホモミックラインミキ
サー(製品名、特殊機化工業(株)製)等が挙げられ、
これらを利用する場合は、撹拌回転数をできるだけ抑え
て使用することも可能である。またその他混合方法とし
ては、他Y字管の出口末端へ金属網、ラシヒリングある
いは沸石等を充填する方法が挙げられる。混合方法とし
ては連続密閉式分散・乳化機、Y字管の出口末端へ金属
網、ラシヒリングあるいは沸石等を充填する方法が好ま
しい。混合時の温度としては60℃以下、好ましくは5
0℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。前記条
件を満たさない場合には、ラジカル重合性単量体乳化液
の酸性あるいは塩基性によって多くの加水分解性シラン
が加水分解を起こし、プレ乳化液を破壊し、プレ乳化液
は単量体層部と水層部とに分離を生じてしまう。その結
果、重合中の反応系では多くの凝集物を発生してしま
う。
【0023】本発明のエマルジョンは、例えば、乳化重
合、すなわちラジカル重合性単量体のラジカル重合によ
る乳化重合と、加水分解性シランの加水分解・縮合反応
による乳化重合を同時に水性媒体中で行うことにより得
られる。ここにいう水性媒体としては、反応系へ導入さ
れるものであって、主に水が用いられるが、炭素数1〜
3の低級アルコールまたはアセトンなどの水に可溶な溶
媒を水に 添加したものも含む。この際添加する水以外
の溶媒の量はエマルジョン中に20質量%以下であるこ
とが好ましい。ここではプレ乳化液へ使用する水性媒体
は、水に可溶な溶媒類は5%以下であり、好ましくは2
%以下であり、さらに好ましくは水だけである。この量
を超えると、プレ乳化液の乳化状態が破壊され、重合安
定が不良となってしまう。
【0024】本発明において、ラジカル重合性単量体
〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプレ乳化液のpH
は限定されるものでないが、pH4.0以下で重合を実
施することにより、加水分解性シランの縮合反応が速や
かに起こり、乳化重合後に縮合反応が進むことを抑制で
きるため、製品としての貯蔵安定性が良く、反応系のp
Hが4.0以下であることが好ましく、より好ましくは
pH1.5以上3.0以下で実施される。
【0025】本発明において、ラジカル重合性単量体
〔A〕および乳化剤〔B〕とからなるプレ乳化液が、酸
触媒、ラジカル重合性カルボン酸単量体、ラジカル開始
剤用の過硫酸塩等の酸性成分を含まずに中性付近のプレ
乳化液とし、酸触媒、ラジカル重合性カルボン酸単量
体、ラジカル開始剤用の過硫酸塩等の酸性成分はあらか
じめ反応系へ導入しておくか、プレ乳化液導入系とは別
の位置から反応系へ逐次導入することも可能である。
【0026】本発明において重合を安定に進めるために
は、該酸性成分プレ乳化液へ均質に混合されていること
が肝要であり、ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化
剤〔B〕とからなるプレ乳化液が、酸触媒、ラジカル重
合性カルボン酸単量体、ラジカル開始剤用の過硫酸塩等
を含むことによりプレ乳化液をpH4.0以下とするこ
とが好ましい。
【0027】本発明において、乳化重合に用いる乳化剤
〔B〕には、スルホン酸基又はスルホネート基を有する
エチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチ
レン性不飽和単量体のうち、少なくともいずれか一を含
むことが、高度な耐水性を達成するために望ましい。こ
こにいうスルホン酸基又はスルホネート基を有するエチ
レン性不飽和単量体とは、ラジカル重合性の二重結合を
有し、かつフリーのスルホン酸基、又はそのアンモニウ
ム塩かアルカリ金属塩である基(アンモニウムスルホネ
ート基、又はアルカリ金属スルホネート基)を有する化
合物をいう。たとえば、スルホン酸基のアンモニウム
塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基により一部
が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2
〜4のアルキルエーテル基、炭素2〜4のポリアルキル
エーテル基、炭素数6または10のアリー ル基および
コハク酸基からなる群より選ばれる置換基を 有する化
合物であるか、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリ
ウム塩またはカリウム塩である基に結合しているビニル
基を有するビニルスルホネート化合物が好ましい。
【0028】本発明スルホン酸基のアンモニウム塩、ナ
トリウム塩またはカリウム塩である基により一部が置換
されたコハク酸化合物の具体例として、アリルスルホコ
ハク酸塩、たとえば、下記式(2)、(3)、(4)、
(5)で表される化合物が挙げられる。
【0029】
【化2】
【0030】
【化3】
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】(式中、R1は水素またはメチル基、R2
炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケ
ニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数6
〜19のアラルキル基等の炭化水素基、又はその一部
が水酸基、カルボン酸基等で置換されたもの、もしくは
ポリオキシエチレンアルキルエーテル基(アルキル部分
の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素が2
〜4)、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテ
ル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキ
レン部分の炭素数が2〜4)等のアルキレンオキサイド
化合物を含む有機基であり、Aは炭素数2〜4個のア
ル キレン基または一部が置換されたアルキレン基であ
り、 nは0〜200の整数であり、Mはアンモニウ
ム、ナト リウムまたはカリウムである。)
【0034】上記式(2)及び(3)を含むものとし
て、例えば、エレミノールJS−2、JS−5(製品
名、三洋化成(株)製)があり、上記式(4)及び
(5)を含むものとして、例えば、ラテムルS−12
0、S−180A、S−180(製品名、花王(株)
製)がある。また、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナ
トリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換さ
れた炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜
4のポリアルキルエーテル基を有する化合物の例とし
て、下記式(6)〜(8)で表される化合物が挙げられ
る。
【0035】
【化6】
【0036】(式中、R1 は炭素数6〜18のアルキル
基、アルケニル基またはアラルキル基であり、R2は炭
素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラル
キル基、R3は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2
〜4のアルキレン基、nは1〜200の整数、Mはアン
モニウム、ナトリウム、カリウムもしくはアルカノール
アミン残基である。)
【0037】
【化7】
【0038】(式中、R1は水素またはメチル基、R2
炭素数8〜24のアルキル基またはアシル基、Aは炭素
数2〜4のアルキレン基、nは0〜50の整数、mは0
〜20の整数、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウ
ムもしくはアルカノールアミン残基である。)
【0039】
【化8】
【0040】(式中、R1は炭素数8〜30のアルキル
基、R2は水素またはメチル基、Aは炭素数2〜4のア
ルキレン基、もしくは置換アルキレン基、nは0また
は、1〜200の整数であり、Mはアンモニウム、ナト
リウム、カリウムもしくはアルカノールアミン残基であ
る。)
【0041】上記式(6)で表されるアルキルフェノー
ルエーテル系化合物として、例えばアクアロンHS−1
0(製品名、 第一工業製薬(株)製)等があり、上記
式(7)で表される化合物として、例えばアデカリアソ
ープSE−1025A、SR−10N、SR−20N
(製品名、旭電化工業(株)製)、上記式(8)で表さ
れる化合物として、例えばアクアロンKH−10,KH
−05がある。
【0042】その他、スルホネート基により一部が置換
されたアリール基を有する化合物の具体例として、p
− スチレンスルホン酸アンモニウム塩、ナトリウム塩
およびカリウム塩が挙げられる。スルホネート基により
一部 が置換されたアルキル基を有する化合物の具体例
として、メチルプロパンスルホン酸アクリルアミドのア
ンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩、アクリ
ル酸 スルホアルキルエステルのアンモニウム塩、ナト
リウム 塩およびカリウム塩、メタアクリル酸スルホア
ルキルエステルのアンモニウム塩、ナトリウム塩および
カリウム塩が挙げられる。また上記以外のスルホネート
基を有する化合物の具体例として、スルホン酸基のアン
モニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基が
結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合
物が挙げられる。硫酸エステル基を有するエチレン性不
飽和単量体とは、ラジカル重合性の二重結合を有し、か
つ硫酸エステル基又はそのアンモニウム塩かアルカリ金
属塩である基を有する化合物をいう。これらのうち、硫
酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカ
リウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜
20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル
基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基および炭素
数6または10のアリール基からなる群より選ばれる基
を有する化合物が好ましい。硫酸エステル基のアンモニ
ウム塩、ナトリ ウム塩又はカリウム塩により一部が置
換された、炭素数2〜4のアルキルエーテル基または炭
素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物の
例としては、例えば上記式(6)と(7)で表される、
スルホネート基により一部が置換されたアルキルエーテ
ル基を有する化合物がある。
【0043】これらの乳化剤〔B〕として用いられるエ
チレン性不飽和単量体は、エマルジョン中に、エマルジ
ョン粒子にラジカル重合した共重合物として存在する
か、未反応物としてエマルジョン粒子へ吸着、あるいは
エマルジョン水相中に存在するか、または、水溶性単
量体との共重合物あるいは乳化剤として用いられるエチ
レン性不飽和単量体どうしの共重合物としてエマルジョ
ン粒子へ吸着、あるいはエマルジョン水相中に存在して
いる。とくにエマルジョン粒子にラジカル重合した共重
合物の状態で存在する比率を高めることによって、エマ
ルジョンより得られるフィルムの耐水性を高度なものと
することができる。
【0044】乳化剤として用いられるエチレン性不飽和
単量体は、エマルジョンより得られるフィルムの熱分解
ガスクロマトグラム質量分析(Py−GC−MS)によ
り、各物質を同定することができる。他の方法として、
エマルジョンの水相成分を分離した後、高速原子衝撃質
量分析(FABマススペクトル)によって同定すること
も可能である。本発明において、乳化剤〔B〕は、ラジ
カル重合性単量体〔A〕の質量に対して0.05質量%
〜10質量%用いられ、好ましくは0.1質量%〜5質
量%用いる。
【0045】本発明では、スルホン酸基またはスルホネ
ート基、あるいは硫酸エステル基を有するエチレン性不
飽和単量体を含む乳化剤〔B〕以外に、通常の界面活性
剤を併用することもできる。例えば、脂肪酸石鹸、アル
キルスルホン酸 塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリ
オキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルアリール硫酸塩などのアニオン型界面活性剤、ポ
リオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレン
オキシプロピレンブロックコポリマーなどの非反応性ノ
ニオン型界面活性剤、アデカリアソープNE−20、N
E−30、NE− 40(製品名、旭電化工業(株)
製)などのα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2
−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリ
オキシエチレン、またはアクアロンRN−10、RN−
20、RN−30、RN−50(製品名、第一工業製薬
(株)製)などのポリオキシエチレンアルキルプロペニ
ルフェニルエーテルなどの反応性ノニオン型界面活性剤
といわれる、エチレン性不飽和単量体と共重合可能なノ
ニオン型界面活性剤 などを併用することができる。
【0046】上記の界面活性剤の使用量は、ラジカル重
合性単量体〔A〕の質量に対して、アニオン型界面活性
剤については0.5質量%以下、好ましくは0.25質
量%以下であり、非反応性ノニオン型界面活性剤および
反応性ノニオン型界面活性剤については、2.0質量
%以下、好ましくは1.0質量%以下である。この範囲
で使用すると、耐水性良好なフィルムが形成される。本
発明において、紫外線吸収剤および/または光安定剤を
高耐久性エマルジョンに含有させる方法としては、特開
平3−37288号公報または特開平4−298573
号公報に記載の水性エマルジョンに紫外線吸収剤および
/または光安定剤を後添加する方法、特開昭64−20
201号公報、特開平7−292009号公報に記載の
紫外線吸収剤を水性エマルジョンの重合中に添加する方
法、特開平3−128978号公報に記載のラジカル重
合性の二重結合を有する光安定剤を水性エマルジョンの
重合中に用いる方法、特開平5−39327号公報に記
載のラジカル重合性の二重結合を有する紫外線吸収剤を
水性エマルジョンの重合中に用いる方法等が挙げられ
る。
【0047】本発明においては、紫外線吸収剤及び/ま
たは光安定剤を乳化重合時に存在させることが好まし
い。紫外線吸収剤および/または光安定剤を成膜助剤な
どと混合して後添加した場合、分散性に劣り、得られた
塗膜の粒子界面に集中して存在するため、降雨などによ
り溶出し、長期の耐久性の向上が認められない。紫外線
吸収剤および/または光安定剤は、ラジカル重合性単量
体〔A〕の質量に対して0.1質量%〜5質量%用いる
ことが好ましい。又、紫外線吸収剤として、分子内にラ
ジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性のも
の、光安定剤として、分子内にラジカル重合性の二重結
合を有するラジカル重合性のものを用いることもでき
る。また、紫外線吸収剤と光安定剤を併用すると、その
高耐久性エマルジョンを用いて皮膜を形成した際に、皮
膜が特に耐候性に優れるため好ましい。
【0048】本発明における紫外線吸収剤は、ベンゾフ
ェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系から選
ばれる少なくとも1種、光安定剤として、ヒンダードア
ミン系から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ま
しい。耐久性の優れたシリコーン変性アクリル系エマル
ジョンと紫外線吸収能が高い、ベンゾフェノン系、ベン
ゾトリアゾール系、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒンダ
ードアミン系光安定剤と組み合わせることで、相乗効果
により卓越した耐久性を示す。ベンゾフェノン系の紫外
線吸収剤としては、具体的には、2,4−ジヒドロキシ
ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシ
ルオキシベン ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベン
ジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4
−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,
2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフ
ェノン、2,2’, 4,4’−テトラヒドロキシベン
ゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カ
ルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステア
リルオキシベンゾフェノンなどがある。ラジカル重合性
ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤として具体的には、2
−ヒドロキシ−4−アクリロキシベンゾフェノン、2−
ヒドロキシ−4−メタクリロキシベンゾフェノン、2−
ヒドロキシ−5−アクリロ キシベンゾフェノン、2−
ヒドロキシ−5−メタクリロキシベンゾフェノン、2−
ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−エトキシ)ベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−エト
キシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタク
リロキシ−ジエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−(アクリロキシ−ト リエトキシ)ベンゾフェ
ノンなどがある。本発明において使用できるベンゾトリ
アゾール系の紫外線吸収剤として具体的には、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert
−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−
tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−オクチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキ
シ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)
フェニル〕ベンゾトリアゾール)、メチル−3−〔3−
tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−
2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート
とポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物
(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN
1130)、イソオクチル−3−〔3−(2H−ベンゾ
トリ アゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート(日本チバガ
イギー(株)製、製品名:TINUVIN384)、2
−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベ ンゾトリアゾール(日本チバガイギー(株)
製、製品名:TINUVIN571)、2−(2’−ヒ
ドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェ
ニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,
5’’,6’’− テトラヒドロフタルイミドメチル)
−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2
−メチレンビス〔4 −(1,1,3,3−テトラメチ
ルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)フェノール〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−
2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニル
エチル)フェノール(日本チバガイギー(株)製、製品
名:TINUVIN 900)などがある。ラジカル重
合性ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として具体的
には、2−(2’−ヒドロキシ −5’−メタクリロキ
シエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(大塚
化学(株)製、製品名:RUVA−93)、2−(2’
−ヒドロキシ−5’−メタクリロ キシエチル−3−t
ert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリリルオキ
シプロピル−3−tert−ブチルフェニル)−5−ク
ロロ−2H−ベンゾトリアゾール、3−メタクリロイル
−2−ヒドロキシプロピル−3−〔3’−(2’’−ベ
ンゾトリアゾリル)−4−ヒドロキシ−5−tert−
ブチル〕フェニルプロピオネート(日本チバガイギー
(株)製、製品名:CGL−104)などがある。
【0049】本発明において使用できるトリアジン系紫
外線吸収剤として具体的には、TINUVIN400
(製品名、日本チバガイギー(株)製)などがある。本
発明において使用できるヒンダードアミン系光安定剤と
しては、塩基性が低いものが好ましく、具体的には塩基
定数(pKb)が8以上のものが好ましい。具体的に
は、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,
6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2
−ブチルマロネート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニ
ルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキ
シ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタ
メチル−4−ピペリジル−セバケートの混合物(日本チ
バガイギー(株)製、製品名:TINUVIN29
2)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジル)セバケート、TINUVIN
123(製品名、日本チバガイギー(株)製)などがあ
る。ラジカル重合性ヒンダードアミン系光安定剤として
具体的には、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−
ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペン
タメチル−4−ピペリジルアクリレート、2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリ
レート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イミ
ノピペリジルメタクリレート、2,2,6,6,−テト
ラメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、4−
シアノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ルメタクリレート、4−シアノ−1,2,2,6,6−
ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートなどがあ
る。
【0050】本発明においては、エマルジョンの耐候性
向上のために、加水分解性シラン〔C〕を用いて該エマ
ルジョンのシリコーン変性を行うことが必要である。シ
リコーン変性は、乳化重合中に行なわれる。加水分解性
シラン〔C〕は、下記式(a)で表される、シリコーン
構造を有するシラン(I)の少なくとも1種を含んでい
ることが必要である。(R1n −Si−(R2
4-n (a)(式中nは0〜3の整数であり、R1
は水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素
数5〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキ
ル基、ビニル基、 炭素数1〜10のアクリル酸アルキ
ル基、または炭素数 1〜10のメタクリル酸アルキル
基から選ばれる。n個のR1は同一であっても、異なっ
ても良い。R2は炭素 数1〜8のアルコキシ基、アセト
キシ基または水酸基から選ばれる。4−n個のR2は同
一であっても、異なっても良い。)
【0051】特に、加水分解性シラン〔C〕には、式
(a)においてn=1とおいたシラン(II)の少なく
とも1種を含んでいることが好ましい。シラン(II)
のR 1としてはメチル基、 フェニル基、ビニル基、γ−
(メタ)アクリロキシプロピル基が好ましく、R2はそ
れぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が好まし
い。シラン(II)の好ましい具体例としては、メチル
トリメトシキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシ
ラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリエトキシシランなどがあり、また
これらの二種以上を含んでいてもよい。
【0052】また、本発明において、加水分解性シラン
〔C〕は、環状シラン及び式(a)においてn=2とお
いて得られるシラン(III)からなる群より選ばれる
少なくとも1種を含むことが好ましい。これは、上記シ
ラン(III)及び/又は環状シランを用いることによ
り、該シラン〔C〕が形成するシリコーン重合体の架橋
密度を低くし、重合体の構造が複雑になるのを防ぐこと
ができ、これによって、高耐久性エマルジョンから提供
される塗膜に柔軟性を付与することができるためであ
る。シラン(III)の具体例として、ジメチルジメト
キシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジ
エトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチル
フェニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジ
メトキシシランが挙げられる。また環状シランとして
は、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタフェ
ニルシクロシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキ
サン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチ
ルテトラビニルシクロテトラシロキサンなども用いるこ
とができる。
【0053】加水分解性シラン〔C〕において、シラン
(II)単独では、塗膜柔軟性に問題があるときは、上
記の環状シラン類及びシラン(III)からなる群より
選ばれる少なくとも1種を併用することが好ましい。そ
の量は、シラン(II)の上記の環状シラン類及びシラ
ン(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種に
対するモル比が100/1〜10/100であることが
好ましく、100/1〜35/100であることがより
好ましい。シラン(II)が10/100以上でシラン
の重合性に問題が無く、シランの低分子量物が残留が実
質的に問題ない。
【0054】さらに、加水分解性シラン〔C〕には、加
水分解基を有する線状シロキサン、及び式(a)におい
てn=0または3とおいて得られるシラン(IV)から
なる群より選ばれる少なくとも1種を含んでも良い。加
水分解性シラン〔C〕において、シラン(II)単独で
は、塗膜柔軟性に問題があるときは、上記の加水分解基
を有するシロキサン類及びシラン(IV)からなる群よ
り選ばれる少なくとも1種を併用することが好ましい。
その量は、シラン(II)の上記の加水分解基を有する
シロキサン類及びシラン(IV)からなる群より選ばれ
る少なくとも1種に対するモル比が100/1〜10/
100であることが好ましく、100/1〜35/10
0であることがより好ましい。シラン(II)が10/
100以上でシランの重合性に問題が無く、シランの低
分子量物が残留が実質的に問題ない。
【0055】シラン(IV)の具体例として、フェニル
トリエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、テト
ラエトキシシランなどが挙げられる。シラン(III)
またはシラン(IV)において、R1としてはメチル
基、フェニル基が特に好ましく、R2としてはメトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシ
エトキシ基、水酸基が特に好ましい。分子中に加水分解
基を有する線上シロキサンの例としては、下記の一般式
(9)、(10)、(11)で表される化合物が挙げら
れる。
【0056】
【化9】
【0057】
【化10】
【0058】
【化11】
【0059】(式中R1は水素、炭素数1〜16の脂肪
族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数5
〜6のシクロアルキル基、ビニル基、炭素数1〜10の
アクリル酸アルキル基又は炭素数1〜10のメタクリル
酸アルキル基から選ばれ、各R 2はそれぞれ、独立して
炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、水酸基、
エポキシ基又はエチレンオキサイド基から選ばれ、mは
1〜999の正の整数を表す。)
【0060】加水分解製シラン〔C〕は、上記したシラ
ン(III)又はシラン(IV)、環状シランおよび線
上シロキサンから選ばれる少なくとも1種の化合物に加
え、クロロシラン、例え ばメチルクロロシラン、メチ
ルジクロロシラン、ジメチ ルジクロロシラン、トリメ
チルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェ
ニルクロロシラン、ビニルク ロルシラン、γ−(メ
タ)アクリロキシプロピルトリク ロロシラン、γ−
(メタ)アクリロキシプロピルジクロロメチルシランを
含むことができる。
【0061】本発明は、加水分解性シラン〔C〕を用い
ることによって、高耐久性エマルジョンより得られるフ
ィルムの屋外などに長期曝露における光沢保持性を改善
し、始めて高度な耐候性を示すフィルムを得ることがで
きる。上記したシラン縮合物の存在は、29SiNMR(
29Si核磁気共鳴スペクトル)または1HNMR(プロ
トン核磁気共鳴スペクトル)によって知ることができ
る。例えば、シラン(II)の縮合物は、29SiNMR
のケミカルシフトが−40〜−80PPMにピークを示
すことで同定することができる。また、シラン(IV)
あるいは環状 シランの縮合物は29SiNMRのケミカ
ルシフトが−16〜−26PPMにピークを示すことで
同定することができる。本発明において、シリコーン構
造を有する加水分解性シラン〔C〕は、ラジカル重合性
単量体〔A〕の質量に対して0.3質量%〜200質量
%用いることができる。
【0062】本発明における乳化重合は、ラジカル重合
触媒として、熱または還元性物質などによってラジカル
分解してエチレン性不飽和単量体の付加重合を起こさせ
ることができ、水溶性または油溶性の過硫酸塩、過酸化
物、アゾビス化合物などを有利に使用することができ
る。その例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイ
ドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−ア
ゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、
2,2 −アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)など挙げることができるが、加水分解性シランの加
水分解反応および縮合反応を促進させるための触媒とし
ても効果のある過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過
硫酸アンモ ニウムを用いることが好ましい。ラジカル
重合触媒の量としては、ラジカル重合性単量体〔A〕の
質量に対して通常0.05質量%〜1質量%を用いるこ
とができる。
【0063】通常、重合反応は常圧下、65〜90℃の
重合温度で行うことが好ましいが、モノマーの重合温度
における蒸気圧などの特性に合わせ、高圧下でも実施す
ることができる。重合時間としては、導入時間と、導入
後の熟成(cooking)時間がある。導入時間は、
各種原料を反応系へ同時に導入する場合は通常数分であ
り、各種原料を反応系へ逐次導入する場合は重合による
発熱が除熱可能な範囲で反応系へ逐次導入するため、最
終的に得られるエマルジョン中の重合体濃度によっても
異なるが、通常10分以上である。導入後の熟成(co
oking)時間としては、少なくとも10分以上であ
ることが好ましい。この重合時間以下では、各原料がそ
のまま残留したり、加水分解性シランが縮合せずに加水
分解物のまま残留してしまう恐れがある。なお、重合速
度の促進、および70℃以下での低温での重合が望まれ
るときには、例えば重亜硫酸 ナトリウム、塩化第一
鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリットなどの還元剤をラ
ジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。さ
らに、分子量を調整するために、ドデシルメルカプタン
などの連鎖移動剤を任意に添加することも可能である。
【0064】本発明におけるシリコーン変性では、乳化
重合終了後、成膜時の硬化触媒として、例えばジブチル
すずジラウレート、ジオクチルすずジラウレート、ジブ
チルすずジアセテート、オクチル酸すず、ラウリン酸す
ず、オクチル酸鉄、オクチル酸鉛、テトラブチルチタネ
ートなどの有機酸の金属塩、n−ヘキシルアミン、1,
8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンな
どのアミン化合物を、本発明の高耐久性エマルジョンへ
添加することができる。
【0065】なおこれらの硬化用触媒が水溶性でない場
合には、その使用に際して、界面活性剤と水を用いてエ
マルジョン化しておくことが好ましい。本発明の高耐久
性エマルジョンは、エマルジョンの長期の分散安定性を
保つため、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、ジメチルアミノエタノールなどのアミン類を用い
てpH5〜10の範囲に調整することが好ましい。
【0066】本発明によって製造されるアクリル系エマ
ルジョンは、分散質の平均粒子径として、10〜100
0nmであることが好ましい。得られたエマルジョン中
の分散質(固形分)と分散媒としての水性媒体との質量
比は70/30以下、好ましくは30/70以上65/
35以下である。
【0067】本発明の高耐久性エマルジョンは、塗料、
建材の下地処理材または仕上げ材、接着剤、紙加工剤、
または織布、不織布の仕上げ材として有用であり、 と
くに塗料用、建材の仕上げ材として具体的には、コンク
リート、セメントモルタル、スレート板、ケイカル板、
石膏ボード、押し出し成形板、発砲性コンクリートなど
の無機建材、織布あるいは不織布を基材とした建材、金
属建材などの各種下地に対する塗料または建築仕上げ材
として、複層仕上げ塗材用の主材およびトップコート、
薄付け仕上塗材、厚付け仕上塗材、石材調仕上げ材、グ
ロスペイントなどの合成樹脂エマルジョンペイント、金
属用塗料、木部塗料、瓦用塗料として有用である。本発
明の高耐久性エマルジョンには、通常水系塗料などに添
加配合される成分、例えば成膜助剤、 増粘剤、消泡
剤、顔料、分散剤、染料、防腐剤などを任意に配合する
ことができる。
【0068】本発明の好ましい1つの態様は、ラジカル
重合性単量体〔A〕がアクリル酸エステル系単量体を含
みかつ互いに同じか異なった〔A1〕および〔A2〕よ
りなり、乳化剤〔B〕が、スルホン酸基またはスルホネ
ート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル
基を有するエチレン性不飽和単量体およびそれらの混合
物よりなる群から選ばれかつ互いに同じか異なった乳化
剤〔B1〕および〔B2〕よりなり、上記乳化重合を
ステップ〔1〕、ステップ〔2〕の順で行い、ステップ
〔1〕においてはラジカル重合性単量体〔A1〕と乳化
剤〔B1〕と、必要に応じて水性媒体とからなるプレ乳
化液を、水性媒体中において乳化重合に付すことによ
り、ステップ〔1〕エマルジョンを得、ステップ〔2〕
においては、水性媒体中、ラジカル重合性単量体〔A
2〕および乳化剤〔B2〕と、および必要に応じて水性
媒体とからなるプレ乳化液と、加水分解性シラン〔C〕
とを混合しながら、ステップ〔1〕エマルジョンに添加
することによって、乳化重合を行い最終的な所望エマル
ジョンを得、また紫外線吸収剤および/または光安定剤
を乳化重合中に存在させることも可能である。上記ステ
ップ〔1〕において、ラジカル重合性単量体〔A1〕
は、ラジカル重合性カルボン酸単量体を2.5質量%以
上〜20質量%以下含み、上記ステップ〔2〕におい
て、ラジカル重合性単量体〔A2〕は、ラジカル重合性
カルボン酸単量体を含まないか又は含んでも2.5質量
%未満であることが好ましい。
【0069】また、本発明の好ましいもう1つの態様に
よれば、ラジカル重合性単量体〔A〕がアクリル酸エス
テル系単量体を含みかつ互いに同じか異なった〔A
1〕、〔A2〕および〔A3〕よりなり、乳化剤〔B〕
が、スルホン酸基またはスルホネート基を有するエチレ
ン性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチレン性
不飽和単量体およびそれらの混合物よりなる群から選ば
れかつ互いに同じか異なった乳化剤〔B1〕、〔B2〕
および〔B3〕よりなり、上記乳化重合をステップ
〔1〕、ステップ〔2〕、ステップ〔3〕の順で行い、
ステップ〔1〕においてはラジカル重合性単量体〔A
1〕と乳化剤〔B1〕と、必要に応じて水性媒体とから
なるプレ乳化液を、水性媒体中において乳化重合に付す
ことにより、ステップ〔1〕エマルジョンを得、ステッ
プ〔2〕においては、ラジカル重合性単量体〔A2〕
と、乳化剤〔B2〕とおよび必要に応じて水性媒体とか
らなるプレ乳化液を水性媒体中においてステップ〔1〕
エマルジョンに添加することによって、乳化重合を行い
ステップ〔2〕エマルジョンを得、ステップ〔3〕にお
いては、ラジカル重合性単量体〔A3〕および乳化剤
〔B3〕を、必要に応じて水性媒体とからなるプレ乳化
液を、ステップ〔2〕エマルジョンに添加することによ
って、乳化重合を行い最終的な所望エマルジョンを得、
および必要に応じてプレ乳化液と加水分解性シラン
〔C〕とを混合しながら乳化重合中にシリコーン変性
し、また紫外線吸収剤および/または光安定剤を乳化重
合中に存在させてなる高耐久性エマルジョンが提供され
る。上記ステップ〔1〕、ステップ〔2〕および/また
はステップ〔3〕における乳化液と加水分解性シラン
〔C〕とを混合しながら、乳化重合中にシリコーン変性
を行うことができる。また、上記ステップ〔1〕におい
て、ラジカル重合性単量体〔A1〕は、ラジカル重合性
カルボン酸単量体を含まないか又は含んでも2.5質量
%未満であり、上記ステップ〔2〕において、ラジカル
重合性単量体〔A2〕は、ラジカル重合性カルボン酸単
量体を2.5質量%以上〜2 0質量%以下含み、上記
ステップ〔3〕において、ラジカル重合性単量体〔A
3〕は、ラジカル重合性カルボン酸単量体を含まないか
又は含んでも2.5 質量%未満であることが好まし
い。
【0070】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を詳
細に説明する。なお、実施例および比較例中の部および
%は、それぞれ質量部および質量%を示す。
【0071】
【実施例1】撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温
度計を取り付けた反応容器を用意し、2つ滴下槽はY字
管〔Y字管の出口には100メッシュの金網を詰め2つ
滴下槽の液が混じり合うところまで、モレキュラシーブ
ス3A(製品名:和光純薬(株)製))を充填し、ラジ
カル重合性単量体を含むプレ乳化液と加水分解性シラン
との緩やかな混合ができるように調整した。〕を介して
反応系へ流入できるように組み立てた。反応容器に水2
90部、エチレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結
合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウ
ム塩(製品名:ラテムルS−180A、花王(株)製)
の20%水溶液10部を投入し、反応容器中の温度を8
0℃に上げてから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を
10部添加した5分後に、メタクリル酸メチル25部、
メタクリル酸シクロヘキシル50部、アクリル酸ブチル
15部、メタクリル酸10部、ベンゾトリアゾール系紫
外線吸収剤(製品名:TINUVIN384、日本チバ
ガイギー(株)製)1部の混合液とラテムルS−180
Aの20%の水溶液5部、過硫酸アンモニウムの2%の
水溶液15部、水48部からなるプレ乳化液を滴下槽よ
り40分かけて流入させる。流入中は反応容器の温度を
80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を8
0℃にして30分保つ。
【0072】次に、メタクリル酸メチル109部、メタ
クリル酸シクロヘキシル160部、アクリル酸ブチル1
23部、メタクリル酸8部、TINUVIN384を
4部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液
20部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液60部、水
192部からなるプレ乳化液(この2段目のプレ乳化液
の粒子径を測定してところ平均粒子径は4.5μmであ
った)、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン1部、ジメチルジメトキシシラン20部、メチ
ルトリメトキシシラン20部からなる混合液とを別々の
滴下槽より上記のY字管を介して反応系へ160分かけ
て流入させる。重合中のpHは4以下に維持した。 流
入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了して
から反応容器の温度を80℃にして120分保つ。室温
まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところpH2.
0であった。25%アンモニア水溶液を添加してpHを
8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ
過された凝集物の乾燥質量は全単量体 に対して0.0
6%とわずかであり、撹拌翼への付着もわずかであっ
た。得られた高耐久性エマルジョンの固形分は44.7
%、粒子径98nmで単一分布であった。
【0073】
【比較例1】撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温
度計を取り付けた反応容器に水290部、エチレン性不
飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスル
ホコハク酸ジエステルアンモニウム塩(製品名:ラテム
ルS −180A、花王(株)製)の20%水溶液10
部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、
過硫酸アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分
後に、メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸シクロ
ヘキシル50部、アクリル酸ブチル15部、メタクリル
酸10部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(製品
名:TINUVIN384、日本チバガイギー(株)
製)1部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水
溶液5部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、
水48部からなるプレ乳化液を滴下槽より40分かけて
流入させる。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。
流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30
分保つ。
【0074】次に、メタクリル酸メチル109部、メタ
クリル酸シクロヘキシル160部、アクリル酸ブチル1
23部、メタクリル酸8部、TINUVIN384を
4部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液
20部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液60部、水
192部からなるプレ乳化液(この2段目のプレ乳化液
の粒子径を測定してところ平均粒子径は3.5μmであ
った)、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン1部、ジメチルジメトキシシラン20部、メチ
ルトリメトキシシラン20部からなる混合液とを別々の
滴下槽より反応系へ異なった位置へ添加するようにし、
160分かけて流入させる。重合中のpHは4以下に維
持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入
が終了してから反応容器の温度を80℃にして120分
保つ。
【0075】室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定し
たところpH2.0であった。25%アンモニア水溶液
を添加してpHを8に調整してから100メッシュの
金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量
体に対して2.5%と非常に多く、撹拌翼への付着も多
く見られた。得られた高耐久性エマルジョンの固形分は
45.7%、粒子径108nmで単一分布であった。
【0076】
【比較例2】撹拌機、還流冷却器、1つ滴下槽および温
度計を取り付けた反応容器に水290部、エチレン性不
飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスル
ホコハク酸ジエステルアンモニウム塩(製品名:ラテム
ルS −180A、花王(株)製)の20%水溶液10
部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、
過硫酸アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分
後に、メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸シクロ
ヘキシル50部、アクリル酸ブチル15部、メタクリル
酸10部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(製品
名:TINUVIN384、日本チバガイギー(株)
製)1部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水
溶液5部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、
水48部からなるプレ乳化液を滴下槽より40分かけて
流入させる。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。
流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして30
分保つ。
【0077】次に、メタクリル酸メチル109部、メタ
クリル酸シクロヘキシル160部、アクリル酸ブチル1
23部、メタクリル酸8部、TINUVIN384を
4部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液
20部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液60部、水
192部からなる混合液へ、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン1部、ジメチルジメトキシシラン
20部、メチルトリメトキシシラン20部からなる混合
液を加え、氷冷下でホモジナイザーにて乳化する。プレ
乳化液の粒子径を測定してところ平均粒子径は1.9μ
mであった。このプレ乳化液を滴下槽より、160分か
けて流入させる。プレ乳化液は流入10分後に層分離を
し始めたが、そのまま流入を継続した。重合中のpHは
4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に
保つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にし
て120分保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測
定したところpH2.0であった。25%アンモニア水
溶液 を添加してpHを8に調整してから100メッシ
ュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全
単量体に対して4.2%と非常に多く、撹拌翼への付着
も多く見られた。得られた高耐久性エマルジョンの固形
分は46.2%、粒子径125nmで単一分布であっ
た。
【0078】
【実施例2】TINUVIN384をヒンダードアミン
系光安定剤〔製品名:TINUVIN123、日本チバ
ガイギー(株)製〕に変更した以外は、実施例1と同
様に重合を行った。2段目のプレ乳化液の粒子径を測定
してところ平均粒子径は4.8μmであった。重合反応
終了後、室温まで冷却し、 水素イオン濃度を測定した
ところpH2.0であった。 25%アンモニア水溶液
を添加してpHを8に調整して から100メッシュの
金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量
体に対して0.08%とわずかであり、撹拌翼への付着
もわずかであった。得られた高耐久性エマルジョンの固
形分は44.6%、粒子径100nmで単一分布であっ
た。
【0079】
【実施例3】重合一段目におけるTINUVIN384
の1部に、TINUVIN123を0.5部加え、重合
二段目におけるTINUVIN384の4部に、TIN
UVIN123を2部を加えた以外は、実施例1と同様
に重合を行った。2段目のプレ乳化液の粒子径を測定し
てところ平均粒子径は3.9μmであった。重合終了
後、室温まで冷却し、水素イオン濃度を測定したところ
pH2.1であった。25% アンモニア水溶液を添加
してpHを8に調整してから100メッシュの金網でろ
過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対し
て0.05%とわずかであり、撹拌翼への付着もわずか
であった。得られた高耐久性エマルジョンの固形分は4
4. 8%、粒子径102nmで単一分布であった。
【0080】
【実施例4】重合一段目におけるTINUVIN384
の1部に、TINUVIN123を1部加え、メタクリ
ル酸メチルを75部、メタクリル酸シクロヘキシルを
0 部とし、かつ、重合二段目におけるTINUVIN
38 4の4部に、TINUVIN123を4部加え、
メタクリル酸メチルを269部、メタクリル酸シクロヘ
キシルを0部とした以外は、実施例1と同様に重合を行
った。2段目のプレ乳化液の粒子径を測定してところ平
均粒子径は1.8μmであった。重合終了後、室温まで
冷却し、水素イオン 濃度を測定したところpH2.1
であった。25%アン モニア水溶液を添加してpHを
8に調整してから100 メッシュの金網でろ過した。
ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対して0.0
7%とわずかであり、撹拌翼への付着もわずかであっ
た。得られたアクリル系エマルジョンの固形分は44.
7%、粒子径98nmで単一分布であった。
【0081】
【実施例5】撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温
度計を取り付けた反応容器を用意し、2つ滴下槽はY字
管〔Y字管の出口側には2つ滴下槽の液が混じり合うと
ころまで100メッシュの金網を詰め、ラジカル重合性
単量体を含むプレ乳化液と加水分解性シランとの緩やか
な混合ができるように調整した。〕を介して反応系へ流
入できるように組み立てた。この反応容器に水290
部、ラテムルS−180Aの20%水溶液10部を投入
し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸ア
ンモニウムの2%水溶 液を10部添加した5分後に、
メタクリル酸メチル50 部、メタクリル酸シクロヘキ
シル60部、アクリル酸ブ チル86部、メタクリル酸
4部、TINUVIN384 を1部、TINUVIN
123を1部の混合液とラテム ルS−180Aの20
%の水溶液10部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液
30部、水96部からなるプレ乳化液、およびγ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5部、ジメ
チルジメトキシシラン10部、メチルトリメトキシシラ
ン10部からなる混合液とを別々の滴下槽より上記のY
字管を介して反応系へ80分かけて流入させる。重合中
のpHは4以下に維持した。流入中は反応容器の温度を
80℃に保つ。流入が終了してから反応容器の温度を8
0℃にして30分保つ。
【0082】次に、メタクリル酸メチル25部、メタク
リル酸シクロヘキシル50部、アクリル酸ブチル15
部、メタクリル酸10部、TINUVIN384を0.
5部、TINUVIN123を0.5部の混合液とラテ
ムルS−180Aの20%の水溶液5部、過硫酸アンモ
ニウムの2%の水溶液15部、水48部からなるプレ乳
化液(この2段目のプレ乳化液の粒子径を測定してとこ
ろ平均粒子径は3.5μmであった。)を滴下槽より4
0分かけて流入させる。流入中は反応容器の温度を80
℃に保つ。流入が終了してから反応 容器の温度を80
℃にして30分保つ。次に、メタクリル酸メチル59
部、メタクリル酸シクロヘキシル100部、アクリル酸
ブチル37 部、メタクリル酸4部、TINUVIN3
84を1部、 TINUVIN123を1部の混合液と
ラテムルS−180Aの20%の水溶液10部、過硫酸
アンモニウムの 2%の水溶液30部、水96部からな
るプレ乳化液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン 0.5部、ジメチルジメトキシシラン
10部、メチルトリメトキシシラン10部からなる混合
液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して反応系へ
80分かけて流入させる。重合中 のpHは4以下に維
持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入
が終了してから反応容器の温度を80℃にして120分
保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したとこ
ろpH2.1であった。25%アンモニア水溶液 を添
加してpHを8に調整してから100メッシュの金網で
ろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に対
して0.05%とわずかであり、撹拌翼への付着もわず
かであった。得られた高耐久性エマルジョンの固形分は
44.8%、粒子径101nmで単一分布であった。
【0083】
【実施例6】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒ
ンダードアミン系光安定剤を用いなかった以外は実施例
5と同様にして重合反応を行った。2段目のプレ乳化液
の粒子径を測定してところ平均粒子径は2.5μmであ
った。重合終了後、室温まで冷却し、水素イオン濃度を
測定したところpH2.1 であった。25%アンモニ
ア水溶液を添加してpHを8に調整してから100メッ
シュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は
全単量体に対して0.05% とわずかであり、撹拌翼
への付着もわずかであった。得られた高耐久性エマルジ
ョンの固形分は44.7%、粒子径100nmで単一分
布であった。
【0084】
【実施例7】撹拌機、還流冷却器、2つ滴下槽および温
度計を取り付けた反応容器を用意し、2つ滴下槽はY字
管〔Y字管の出口には100メッシュの金網を詰め2つ
滴下槽の液が混じり合うところまで、モレキュラシーブ
ス3A(製品名:和光純薬(株)製)を充填し、ラジカ
ル重合性単量体を含むプレ乳化液と加水分解性シランと
の緩やかな混合ができるように調整した。〕を介して反
応系へ流入できるように組み立てた。反応器に水609
部、エチレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を
分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩
[ラテムルS−180A、花王(株)製]の25%水溶
液10部、メタクリル酸シクロヘキシル26部、メタク
リル酸n−ブチル8部、メタクリル酸メチル14部、ア
クリル酸ブチル2.5部、メタクリル酸0.8部、アク
リル酸0.8部、アクリルアミド0.4部からなるプレ
乳化液を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてか
ら、過硫酸アンモニウムの2%水溶液5部、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン1部、メチルトリ
メトキシシラン68部、ジメチルジメトキシシラン27
部を反応容器中へ投入する。重合開始による発熱がみら
れてから反応容器中の温度を85℃にして30分間保
つ。
【0085】次に、反応容器中の温度を80℃に保った
まま、水45部、ラテムルS−180Aの25%水溶液
10部、メタクリル酸シクロヘキシル26部、メタクリ
ル酸n−ブチル8部、メタクリル酸メチル14部、アク
リル酸ブチル2.5部、メタクリル酸0.8部、アクリ
ル酸0.8部、アクリルアミド0.4部、過硫酸アンモ
ニウムの2%水溶液5部のプレ乳化液(この2段目のプ
レ乳化液の粒子径を測定してところ平均粒子径は4.2
μmであった。)と、メチルトリメトキシシラン46
部、ジメチルジメトキシシラン18部からなるを混合液
とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して反応系へ3
0分かけて流入させる。さらに2時間80℃に保持す
る。次に、反応容器中の温度を80℃に保ったまま、水
130部、ラテムルS−180Aの25%水溶液50
部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[エマルゲン
130K、花王(株)製]の20%水溶液7部、メタク
リル酸シクロヘキシル123部、メタクリル酸n−ブチ
ル37部、メタクリル酸メチル4部、アクリル酸ブチル
79部、メタクリル酸4部、過硫酸アンモニウムの2%
水溶液12部のプレ乳化液と、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン2部、メチルトリメトキシシラ
ン170部、ジメチルジメトキシシラン68部からなる
混合液とを別々の滴下槽より上記のY字管を介して反応
系へ2時間かけて流入し、さらに1時間30分80℃に
保持した後、室温まで冷却後25%アンモニア水溶液を
添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網
で濾過した。ろ過された凝集物の乾燥質量は全単量体に
対して0.10%とわずかであり、撹拌翼への付着もわ
ずかであった。得られた高耐久性エマルジョンの固形分
は35.1%、粒子径135nmで単一分布であった。
【0086】
【発明の効果】本発明の高耐久性エマルジョンの製造方
法は、製造時にエマルジョン中に多くの凝集物を多く発
生してしまうという問題があった。本発明は、従来達成
できなかった凝集物、撹拌翼への付着の少ない高耐久性
エマルジョンを安定に製造することを可能とするもので
ある。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 AA05 BB01 KA04 KA06 KA09 KA10 KA14 KA29 KB02 KB05 KB08 KB14 KB29 4J100 AB02R AB03R AB04R AC03R AC04R AG02R AG04R AL03P AL04P AL05P AL08P AL09P AL66P AM02R AM15R AM21R AP16Q AP17Q AQ08R BA03P BA03R BA04P BA04R BA08P BA14R BA77Q BC02P BC03P BC04P BC54P CA04 CA05 CA27 EA09 FA02 FA03 FA20 FA41 JA01 JA03 JA11 JA13

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化
    剤〔B〕とからなるプレ乳化液と、加水分解性シラン
    〔C〕とを混合した後、水性媒体中において重合するこ
    とにより得られる高耐久性エマルジョンの製造方法。
  2. 【請求項2】 ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化
    剤〔B〕とからなるプレ乳化液を、該プレ乳化液と加水
    分解性シラン〔C〕とを連続的または間欠的に混合しな
    がら、水性媒体中において乳化重合することにより得ら
    れる請求項1に記載の高耐久性エマルジョンの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化
    剤〔B〕とからなるプレ乳化液のpHが4.0以下であ
    る請求項1または請求項2のいずれかに記載の高耐久性
    エマルジョンの製造方法。
  4. 【請求項4】 水性媒体中において重合時のpHが4.
    0以下である請求項1〜3のいずれかに記載の高耐久性
    エマルジョンの製造方法。
  5. 【請求項5】 乳化剤〔B〕が、スルホン酸基又はスル
    ホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エス
    テル基を有するエチレン性不飽和単量体、およびそれら
    の混合物のいずれかから選ばれたものである請求項1〜
    4のいずれかに記載の高耐久性エマルジョンの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 加水分解性シラン〔C〕が、下記式
    (a)で表される、シリコーン構造を有するシランの少
    なくとも1種を含む請求項1〜5のいずれかに記載の高
    耐久性エマルジョンの製造方法。 (R1n −Si−(R24-n (a) (式中nは0〜3の整数であり、R1は水素原子、炭素
    数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリ
    ール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、
    炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基、または炭素数
    1〜10のメタクリル酸アルキル基から選ばれる。n個
    のR1は同一であっても、異なっても良い。R2は炭素数
    1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基または水酸基から
    選ばれる。4−n個のR2は同一であっても、異なって
    も良い。)
  7. 【請求項7】 ラジカル重合性単量体〔A〕の5質量%
    以上が、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレー
    ト系単量体からなる群から選ばれる1種または2種以上
    の単量体からなる請求項1〜6のいずれかに記載の高耐
    久性エマルジョンの製造方法。
  8. 【請求項8】 ラジカル重合性単量体〔A〕および乳化
    剤〔B〕とからなるプレ乳化液と、加水分解性シラン
    〔C〕とを混合した後、水性媒体中において重合するこ
    とにより得られる高耐久性エマルジョン。
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