JP2004149412A - 7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物の製造法 - Google Patents
7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物の製造法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物(I)またはその塩の新規工業的製造法を提供する。
【解決手段】式:
【化1】
(式中、R1は有機基、R2はカルボキシ基または保護されたカルボキシ基を意味する)
で示される7−アミノ−3−セフェム化合物またはアミノ基におけるその反応性誘導体またはその塩を、式:
【化2】
(式中、R3は低級アルキル基、Xはハロゲンを意味する)で示される化合物またはその塩と反応させることを特徴とする式:
【化3】
(式中、R1、R2およびR3は前と同じ意味)
で示される7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物またはその塩の製造法。
【選択図】 なし
【解決手段】式:
【化1】
(式中、R1は有機基、R2はカルボキシ基または保護されたカルボキシ基を意味する)
で示される7−アミノ−3−セフェム化合物またはアミノ基におけるその反応性誘導体またはその塩を、式:
【化2】
(式中、R3は低級アルキル基、Xはハロゲンを意味する)で示される化合物またはその塩と反応させることを特徴とする式:
【化3】
(式中、R1、R2およびR3は前と同じ意味)
で示される7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物またはその塩の製造法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
この発明は、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物またはその塩の製造法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、この発明は、下記一般式で示される7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物またはその塩の、対応する7−アミノ−3−セフェム化合物またはその塩および2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセチルハロゲン化物又はその塩からの高収率での新規製造法に関する。
【0003】
【化5】
【0004】
(式中、R1は有機基、R2はカルボキシ基または保護されたカルボキシ基、R3は低級アルキル機を意味する)。
【0005】
すなわちこの発明の目的は7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物(I)またはその塩の新規工業的製造法を提供することである。
【0006】
従来、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物(I)は、例えば下記の方法により製造されていた。
【0007】
方法1:
【化6】
【0008】
方法2:
【化7】
【0009】
しかしながら、方法1に関しては、二つの余分な工程、すなわち、アミノ保護基の導入およびアミノ保護基の脱離が必要であり、従って目的セフェム化合物の総収率がそれ程高くない。
【0010】
方法2に関しては、高価なセフェム化合物を初期に使用しなければならず、従って最終化合物を得るのに非常にコスト高となり、さらにこの方法ではオキシム部分におけるアンチ異性体も生成するので、さらに追加してアンチ異性体の分離工程も必要となる。
【0011】
この発明の発明者等は、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物の工業的製造のため種々の方法を鋭意研究し、その結果として2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−アルコキシカルボニルメトキシイミノアセチルハロゲン化物またはその酸付加塩を安定的な形で分離して、この発明の新規製造法を完成することに成功した。
【0012】
この発明の製造法は、式:
【化8】
(式中、R1およびR2はそれぞれ前と同じ意味)で示される7−アミノ−3−セフェム化合物またはアミノ基におけるその反応性誘導体またはその塩を、式:
【0013】
【化9】
【0014】
(式中、R3およびXは前と同じ意味)で示される2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセチルハロゲン化物またはその塩と反応させて、式:
【0015】
【化10】
【0016】
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ前と同じ意味)で示される7−[2−(2−アミノチアゾールー4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド)−3−セフェム化合物を得ることを特徴とする。
【0017】
原料化合物(II)および目的化合物(I)の好適な塩としてはセファロスポリンおよびペニシリン分野で使用される常用の塩が挙げられ、無機塩基との塩、その例として、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩;有機塩基との塩、その例として、例えばトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩等;例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸付加塩;例えばギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機カルボン酸付加塩または有機スルホン酸付加塩等のような塩基との塩または酸付加塩が挙げられ、原料化合物(III)の好適な塩としては上記で例示したような酸付加塩が挙げられる。
【0018】
この発明の製造法は下記反応式によって示される。
【化11】
【0019】
【化12】
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ前と同じ意味)。
【0020】
原料化合物2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセチルハロゲン化物(III)には新規化合物が含まれており、これらは下記反応式で示す方法によって製造することができる。
【0021】
【化13】
(式中、R3およびXはそれぞれ前と同じ意味)。
【0022】
この発明の製造法によって得られる目的化合物(I)のR3を脱離することによって得られる7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−カルボキシメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物は強い抗菌作用を発揮して、グラム陽性菌およびグラム陰性菌を含む広汎な病原菌の生育を阻止し、抗菌薬として有用である。
【0023】
この明細書の上記記載におけるR1、R2およびR3の定義の好適な例および説明を以下詳細に述べる。
この明細書で使用する「低級」とは、特に指示がなければ、炭素原子1個ないし6個、好ましくは1個ないし4個を有する基を意味するものとする。
【0024】
好適な「低級アルキル基」としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、ネオペンチル、第三級ペンチル、ヘキシル等の低級アルキル基が挙げられる。
【0025】
好適な「保護されたカルボキシ基」としては、ペニシリンまたはセファロスポリン化合物においてそれらの3位または4位に常用されるエステル化されたカルボキシ基が挙げられる。
【0026】
「エステル化されたカルボキシ基」の好適な「エステル部分」としては、例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、第三級ブチルエステル、ペンチルエステル、第三級ペンチルエステル、ヘキシルエステル等の低級アルキルエステル、例えばビニルエステル、アリルエステル等の低級アルケニルエステル、例えばエチニルエステル、プロピニルエステル等の低級アルキニルエステル、例えばメトキシメチルエステル、エトキシメチルエステル、イソプロポキシメチルエステル、1−メトキシエチルエステル、1−エトキシエチルエステル等の低級アルコキシ(低級)アルキルエステル、例えばメチルチオメチルエステル、エチルチオメチルエステル、エチルチオエチルエステル、イソプロピルチオメチルエステル等の低級アルキルチオ(低級)アルキルエステル、例えば2−ヨウドエチルエステル、2,2,2−トリクロロエチルエステル等のモノ(またはジまたはトリ)ハロ(低級)アルキルエステル、例えばアセトキシメチルエステル、プロピオニルオキシメチルエステル、ブチリルオキシメチルエステル、イソブチリルオキシメチルエステル、バレリルオキシメチルエステル、ピバロイルオキシメチルエステル、ヘキサノイルオキシメチルエステル、2−アセトキシエチルエステル、2−プロピオニルオキシエチルエステル、1−アセトキシプロピルエステル等の低級アルカノイルオキシ(低級)アルキルエステル、例えばメチルメシルエステル、2−メシルエチルエステル等の低級アルカンスルホニル(低級)アルキルエステル、例えばベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、フェネチルエステル、ベンズヒドリルエステル、トリチルエステル、ビス(メトキシフェニル)メチルエステル、3,4−ジメトキシベンジルエステル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ第三級ブチルベンジルエステル等の適当な置換基1個以上を有していてもよいモノ(またはジまたはトリ)フェニル(低級)アルキルエステルのような置換基1個以上を有していてもよいアル(低級)アルキルエステル、例えばフェニルエステル、トリルエステル、第三級ブチルフェニルエステル、キシリルエステル、メシチルエステル、クメニルエステル、サリチルエステル等の適当な置換基1個以上を有していてもよいアリールエステル、例えばフタリジルエステル等の複素環エステル、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、第三級ブチルジメチルシリル、ジイソプロピルメチルシリル等のトリ(低級)アルキルシリルのようなトリ置換シリル、例えばトリフェニル等のトリアリールシリル、例えばトリベンジルシリル等のトリアル(低級)アルキルシリル等が挙げられる。
【0027】
好適な「有機基」としてはセファロスポリン化合物の三位に常用される基が挙げられ、脂肪族基、芳香族基および複素環基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、ネオペンチル、第三級ペンチル、ヘキシル等の低級アルキル基;
例えばビニル、1−プロペニル、アリル、1−メチルアリル、1または2または3−ブテニル、1または2または3または4−ペンテニル、1または2または3または4または5−ヘキセニル等の低級アルケニル基;
例えばフェニル、トリル、キシリル、クメニル、ナフチル等のアリール基;
例えばフリルチオメチル、チアゾリルチオメチル、チアジアゾリルチオメチル、テトラゾリルチオメチル等の複素環チオメチル基;
例えば1−メチルピロリジニオメチル、1−エチルピロリジニオメチル、1−メチル−2−ヒドロキシメチルピロリジニオメチル、1−メチル−2−カルバモイルオキシメチルピロリジニオメチル等のような1−低級アルキルピロリジニオメチル等の第四級窒素原子を有する複素環メチル基がその例として挙げられる。
【0028】
好適な「ハロゲン」としては塩素、臭素、沃素等が挙げられる。
【0029】
R1、R2、およびR3の好ましい実施態様は下記のとおりである。
R1は例えばビニル等の低級アルケニル基;または複素環チオメチル基、好ましくは例えば1,2,4−チアジアゾリル等のイオウ原子1個および窒素原子1個ないし2個を含む5員芳香族複素環基;
R2はカルボキシ基またはエステル化されたカルボキシ基、好ましくはトリ(低級)アルキルシリルオキシカルボニル基、好ましくは例えばトリメチルシリルオキシカルボニル等のトリ(C1−C4)アルキルシリルオキシカルボニル基;
R3は低級アルキル基、好ましくはメチル等のC1−C4アルキル基である。
【0030】
この発明の目的化合物(I)の製造法を以下詳細に説明する。
製造法1
化合物(I)またはその塩は、化合物(II)またはアミノ基におけるその反応性誘導体またはその塩を、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−アルコキシカルボニルメトキシイミノアセチルハロゲン化物(III)またはその塩と反応させることにより製造することができる。
化合物(II)のアミノ基における好適な反応性誘導体としては、化合物(II)とビス(トリメチルシリル)アセトアミド、モノ(トリメチルシリル)アセトアミド等のようなシリル化合物との反応によって生成するシリル誘導体が挙げられる。
【0031】
化合物(I)の好適な塩としては、化合物(I)について例示したような塩が挙げられる。
反応は通常、水、アセトン、ジオキサン、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジンのような常用の溶媒中で行われるが、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればその他のいかなる有機溶媒中でも反応を行うことができる。これらの常用の溶媒は水との混合物として使用してもよい。
【0032】
反応はアルカリ金属炭酸水素塩、トリ(低級)アルキルアミン、ピリジン、N−(低級)アルキルモルホリン、N,N−ジ(低級)アルキルベンジルアミン等のような無機塩基または有機塩基を存在させて行ってもよいし、存在させずに行ってもよい。
反応温度は特に限定されないが、通常は冷却下または常温で反応が行われる。
この反応において、R2のカルボキシ保護基が反応中またはこの製造法の後処理中に脱離される場合も、その範囲内に包含される。
この反応に使用される化合物(III)またはその塩はこの発明の発明者等によって初めて安定な形で単離され、それによって反応は高収率で進行し、副生成物の回収工程が不必要となるので非常に便利になり、反応物の量を最良の条件で容易に管理することができる。
【0033】
出発物質の2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセチルハロゲン化物(III)またはその塩の製造法を以下に説明する。
出発化合物(III)またはその塩は化合物(IIIa)をハロゲン化剤と反応させて製造することができる。
化合物(III)の好適な塩は塩基との塩であり、化合物(IIIa)の好適な塩は化合物(I)について例示したような塩基との塩または酸付加塩が挙げられる。
化合物(IIIa)は後述の製造法で記された方法または常用の方法によって製造することができる。
【0034】
この反応で使用される好適なハロゲン化剤は五塩化燐、オキシ塩化燐、塩化チオニル、ホスゲン等のカルボン酸を酸ハロゲン化物に変換できる常用のものが挙げられる。
反応は通常、塩化メチレン、クロロホルム等のような常用の溶媒中で行われるが、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればその他のいかなる溶媒中でも反応を行うことができる。
反応温度は特に限定されないが、通常は冷却下または常温で反応が行われる。
化合物(III)の塩酸塩のような酸付加塩は安定な結晶形で単離されることができ、特に本発明の反応には好ましい。
【0035】
以下この発明を実施例に従って説明する。
実施例1
7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリル塩酸塩(4g)のジクロロメタン溶液(20ml)に蟻酸(1.2ml)とメタンスルホン酸(1.34g)を加え、30分間反応する。冷水(40ml)を加え、0〜5℃で攪拌し、安水を用いてpH8.5に調整した後静置する。分液しジクロロメタンを除き水層を希塩酸でpH4.5に調整し、次いで五酸化二燐存在下、真空乾燥して、7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)(2.05g)(収率97%)を得る。
IR(ヌジョール):2620, 2050, 1810, 1790, 1640, 1610 cm−1
NMR(DMSO−d6,δ):3.51, 3.82(2H,ABq,J=18Hz),4.77(1H,d,J=5Hz),5.01(1H,d,J=5Hz),5.26(1H,d,J=11Hz),5.54(1H,d,J=18Hz),6.88(1H,dd,J=18Hz,11Hz)
【0036】
実施例2
2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノ酢酸(シン異性体)(68.8g)のジクロロメタン(350ml)溶液に五塩化燐(58.0g)を加え−25〜−30℃で60分間攪拌を続ける。反応液にジイソプロピルエーテル(1240ml)を60分かけて加える。生成する沈殿を濾過してジイソプロピルエーテルで洗浄し、次いで五酸化二燐存在下真空乾燥して2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセチルクロリド・塩酸塩(シン異性体)(83.4g)を得る。
IR(ヌジョール):3375, 3200, 1780, 1750, 1650, 1630, 1600, 1580 cm−1mp:91℃
【0037】
実施例3
7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(30.0g)とN,N−ビストリメチルシリル尿素(54.2g)をジクロロメタン(450ml)に懸濁し、90分間還流しシリル化して溶解する。反応液を−20℃に冷却し、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセチルクロリド塩酸塩(シン異性体)を加え、30分間反応する。反応液に冷水(450ml)を加え、10%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、pH6〜7になるまで滴下し析出した結晶を溶解する。ジクロロメタン層を分液して取り除き、水層を希塩酸でpH3.0に調整し、次いで0〜5℃で30分間攪拌する。沈殿を濾取して冷水で洗浄し、次いで五酸化二燐存在下真空乾燥して7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(55.55g)を得る(収率89.6%)。
IR(ヌジョール):3575, 3250, 1760, 1730, 1660, 1550 cm−1
NMR(DMSO−d6,δ):3.57,3.85 (2H,ABq,J=18Hz), 3.68 (3H,s), 4.69 (2H,s), 5.20 (1H,d,J=5Hz), 5.32 (1H,d,J=11Hz), 5.60 (1H,d,J=18Hz), 5.79 (1H,dd,J=5,8Hz), 6.80 (1H,s), 6.92 (1H,dd,J=11,18Hz), 7.27 (2H,s), 9.63 (1H,d,J=8Hz)
【0038】
実施例4
7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(35.4g)を水(400ml)に懸濁し0〜5℃で攪拌する。10%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、pH7とし、結晶を溶解する。メタノール(150ml)を加え、−12℃まで冷却する。24%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH14として5分間攪拌する。反応終了後、濃塩酸を用いてpHを5にする。水(450ml)を加え、20℃で攪拌下、希塩酸を用いてpHを2.2とする。0〜5℃で攪拌後、沈殿物を濾過し、水洗し、次いで五酸化二燐存在下真空乾燥して、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−カルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)(32.9g)(収率95.9%)で得る。
IR(ヌジョール):3450, 3275, 3180, 1780, 1660, 1620, 1540 cm−1
NMR(DMSO−d6,δ):3.57, 3.85 (2H,dd,J=18Hz), 4.59 (2H,s), 5.21 (1H,d,J=5Hz), 5.32 (1H,d,J=11Hz), 5.60 (1H,d,J=17Hz), 5.81 (1H,dd,J=5,8Hz), 6.81 ((1H,s), 6.92 (1H,dd,J=11,17Hz) 7.27 (2H,s), 9.56 (1H,d,8Hz))
【0039】
実施例5
7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリル塩酸塩(50.0g)をアセトン(750ml)に懸濁し、0〜5℃で攪拌する。2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセチルクロリド−塩酸塩(シン異性体)(73.24g)を加え、20%炭酸ソーダ水溶液を用いてpH6〜7に保持する。反応終了後、冷水(200ml)を添加し、反応液中のアセトンを減圧下、留去する。留去液に水(300ml)を加え、0〜5℃で1時間攪拌する。沈殿物を慮取して冷水で洗浄し、次いで五酸化二燐で真空乾燥して、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリル(70.0g)(94.7%)を得る。
IR(ヌジョール):1780, 1750, 1730, 1710, 1670, 1620, 1530 cm−1
NMR(DMSO−d6,δ):3.62, 3.91 (2H,ABq,J=18Hz), 3.68 (3H,s), 4.69 (2H,s), 5.28 (1H,d,J=5Hz), 5.32 (1H,d,J=11Hz), 5.66 (1H,d,J=18Hz), 5.90 (1H,dd,J=5,8Hz), 6.75 (1H,dd,J=11,18Hz), 6.81 (1H,s), 6.95 (1H,s), 7.27−7.50 (12H,m), 9.67 (1H,d,J=8Hz)
【0040】
実験例6
7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリル(48.0g)をアニソール(150ml)に懸濁し、−20℃で攪拌する。三弗化ホウ素エーテル錯塩(37.6g)を加え反応する。反応終了液を水(450ml)に注ぎ入れ、24%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pH7とする。反応液を分液し、水層を希塩酸でpH3とし、0〜5℃で1時間攪拌する。沈殿物を濾取し、水洗後、次いで五酸化二燐存在下真空乾燥して、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(33.6g)(収率95%)を得る。
IR(ヌジョール):3575, 3250, 1760, 1730, 1660, 1550 cm−1
NMR(DMSO−d6,δ):3.57, 3.85 (2H,dd,J=18Hz), 3.68 (3H,s), 4.69 (2H,s), 5.20 (1H,d,J=5Hz), 5.32 (1H,d,J=11Hz), 5.60(1H,d,J=18Hz), 5.79(1H,dd,J=5,8Hz), 6.80(1H,s), 6.92 (1H,dd,J=11,18Hz), 7.27 (2H,s), 9.63 (1H,d,J=8Hz)
この発明は、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物またはその塩の製造法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、この発明は、下記一般式で示される7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物またはその塩の、対応する7−アミノ−3−セフェム化合物またはその塩および2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセチルハロゲン化物又はその塩からの高収率での新規製造法に関する。
【0003】
【化5】
【0004】
(式中、R1は有機基、R2はカルボキシ基または保護されたカルボキシ基、R3は低級アルキル機を意味する)。
【0005】
すなわちこの発明の目的は7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物(I)またはその塩の新規工業的製造法を提供することである。
【0006】
従来、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物(I)は、例えば下記の方法により製造されていた。
【0007】
方法1:
【化6】
【0008】
方法2:
【化7】
【0009】
しかしながら、方法1に関しては、二つの余分な工程、すなわち、アミノ保護基の導入およびアミノ保護基の脱離が必要であり、従って目的セフェム化合物の総収率がそれ程高くない。
【0010】
方法2に関しては、高価なセフェム化合物を初期に使用しなければならず、従って最終化合物を得るのに非常にコスト高となり、さらにこの方法ではオキシム部分におけるアンチ異性体も生成するので、さらに追加してアンチ異性体の分離工程も必要となる。
【0011】
この発明の発明者等は、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物の工業的製造のため種々の方法を鋭意研究し、その結果として2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−アルコキシカルボニルメトキシイミノアセチルハロゲン化物またはその酸付加塩を安定的な形で分離して、この発明の新規製造法を完成することに成功した。
【0012】
この発明の製造法は、式:
【化8】
(式中、R1およびR2はそれぞれ前と同じ意味)で示される7−アミノ−3−セフェム化合物またはアミノ基におけるその反応性誘導体またはその塩を、式:
【0013】
【化9】
【0014】
(式中、R3およびXは前と同じ意味)で示される2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセチルハロゲン化物またはその塩と反応させて、式:
【0015】
【化10】
【0016】
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ前と同じ意味)で示される7−[2−(2−アミノチアゾールー4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド)−3−セフェム化合物を得ることを特徴とする。
【0017】
原料化合物(II)および目的化合物(I)の好適な塩としてはセファロスポリンおよびペニシリン分野で使用される常用の塩が挙げられ、無機塩基との塩、その例として、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩;有機塩基との塩、その例として、例えばトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩等;例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸付加塩;例えばギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機カルボン酸付加塩または有機スルホン酸付加塩等のような塩基との塩または酸付加塩が挙げられ、原料化合物(III)の好適な塩としては上記で例示したような酸付加塩が挙げられる。
【0018】
この発明の製造法は下記反応式によって示される。
【化11】
【0019】
【化12】
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ前と同じ意味)。
【0020】
原料化合物2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセチルハロゲン化物(III)には新規化合物が含まれており、これらは下記反応式で示す方法によって製造することができる。
【0021】
【化13】
(式中、R3およびXはそれぞれ前と同じ意味)。
【0022】
この発明の製造法によって得られる目的化合物(I)のR3を脱離することによって得られる7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−カルボキシメトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム化合物は強い抗菌作用を発揮して、グラム陽性菌およびグラム陰性菌を含む広汎な病原菌の生育を阻止し、抗菌薬として有用である。
【0023】
この明細書の上記記載におけるR1、R2およびR3の定義の好適な例および説明を以下詳細に述べる。
この明細書で使用する「低級」とは、特に指示がなければ、炭素原子1個ないし6個、好ましくは1個ないし4個を有する基を意味するものとする。
【0024】
好適な「低級アルキル基」としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、ネオペンチル、第三級ペンチル、ヘキシル等の低級アルキル基が挙げられる。
【0025】
好適な「保護されたカルボキシ基」としては、ペニシリンまたはセファロスポリン化合物においてそれらの3位または4位に常用されるエステル化されたカルボキシ基が挙げられる。
【0026】
「エステル化されたカルボキシ基」の好適な「エステル部分」としては、例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、第三級ブチルエステル、ペンチルエステル、第三級ペンチルエステル、ヘキシルエステル等の低級アルキルエステル、例えばビニルエステル、アリルエステル等の低級アルケニルエステル、例えばエチニルエステル、プロピニルエステル等の低級アルキニルエステル、例えばメトキシメチルエステル、エトキシメチルエステル、イソプロポキシメチルエステル、1−メトキシエチルエステル、1−エトキシエチルエステル等の低級アルコキシ(低級)アルキルエステル、例えばメチルチオメチルエステル、エチルチオメチルエステル、エチルチオエチルエステル、イソプロピルチオメチルエステル等の低級アルキルチオ(低級)アルキルエステル、例えば2−ヨウドエチルエステル、2,2,2−トリクロロエチルエステル等のモノ(またはジまたはトリ)ハロ(低級)アルキルエステル、例えばアセトキシメチルエステル、プロピオニルオキシメチルエステル、ブチリルオキシメチルエステル、イソブチリルオキシメチルエステル、バレリルオキシメチルエステル、ピバロイルオキシメチルエステル、ヘキサノイルオキシメチルエステル、2−アセトキシエチルエステル、2−プロピオニルオキシエチルエステル、1−アセトキシプロピルエステル等の低級アルカノイルオキシ(低級)アルキルエステル、例えばメチルメシルエステル、2−メシルエチルエステル等の低級アルカンスルホニル(低級)アルキルエステル、例えばベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、フェネチルエステル、ベンズヒドリルエステル、トリチルエステル、ビス(メトキシフェニル)メチルエステル、3,4−ジメトキシベンジルエステル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ第三級ブチルベンジルエステル等の適当な置換基1個以上を有していてもよいモノ(またはジまたはトリ)フェニル(低級)アルキルエステルのような置換基1個以上を有していてもよいアル(低級)アルキルエステル、例えばフェニルエステル、トリルエステル、第三級ブチルフェニルエステル、キシリルエステル、メシチルエステル、クメニルエステル、サリチルエステル等の適当な置換基1個以上を有していてもよいアリールエステル、例えばフタリジルエステル等の複素環エステル、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、第三級ブチルジメチルシリル、ジイソプロピルメチルシリル等のトリ(低級)アルキルシリルのようなトリ置換シリル、例えばトリフェニル等のトリアリールシリル、例えばトリベンジルシリル等のトリアル(低級)アルキルシリル等が挙げられる。
【0027】
好適な「有機基」としてはセファロスポリン化合物の三位に常用される基が挙げられ、脂肪族基、芳香族基および複素環基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、ネオペンチル、第三級ペンチル、ヘキシル等の低級アルキル基;
例えばビニル、1−プロペニル、アリル、1−メチルアリル、1または2または3−ブテニル、1または2または3または4−ペンテニル、1または2または3または4または5−ヘキセニル等の低級アルケニル基;
例えばフェニル、トリル、キシリル、クメニル、ナフチル等のアリール基;
例えばフリルチオメチル、チアゾリルチオメチル、チアジアゾリルチオメチル、テトラゾリルチオメチル等の複素環チオメチル基;
例えば1−メチルピロリジニオメチル、1−エチルピロリジニオメチル、1−メチル−2−ヒドロキシメチルピロリジニオメチル、1−メチル−2−カルバモイルオキシメチルピロリジニオメチル等のような1−低級アルキルピロリジニオメチル等の第四級窒素原子を有する複素環メチル基がその例として挙げられる。
【0028】
好適な「ハロゲン」としては塩素、臭素、沃素等が挙げられる。
【0029】
R1、R2、およびR3の好ましい実施態様は下記のとおりである。
R1は例えばビニル等の低級アルケニル基;または複素環チオメチル基、好ましくは例えば1,2,4−チアジアゾリル等のイオウ原子1個および窒素原子1個ないし2個を含む5員芳香族複素環基;
R2はカルボキシ基またはエステル化されたカルボキシ基、好ましくはトリ(低級)アルキルシリルオキシカルボニル基、好ましくは例えばトリメチルシリルオキシカルボニル等のトリ(C1−C4)アルキルシリルオキシカルボニル基;
R3は低級アルキル基、好ましくはメチル等のC1−C4アルキル基である。
【0030】
この発明の目的化合物(I)の製造法を以下詳細に説明する。
製造法1
化合物(I)またはその塩は、化合物(II)またはアミノ基におけるその反応性誘導体またはその塩を、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−アルコキシカルボニルメトキシイミノアセチルハロゲン化物(III)またはその塩と反応させることにより製造することができる。
化合物(II)のアミノ基における好適な反応性誘導体としては、化合物(II)とビス(トリメチルシリル)アセトアミド、モノ(トリメチルシリル)アセトアミド等のようなシリル化合物との反応によって生成するシリル誘導体が挙げられる。
【0031】
化合物(I)の好適な塩としては、化合物(I)について例示したような塩が挙げられる。
反応は通常、水、アセトン、ジオキサン、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジンのような常用の溶媒中で行われるが、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればその他のいかなる有機溶媒中でも反応を行うことができる。これらの常用の溶媒は水との混合物として使用してもよい。
【0032】
反応はアルカリ金属炭酸水素塩、トリ(低級)アルキルアミン、ピリジン、N−(低級)アルキルモルホリン、N,N−ジ(低級)アルキルベンジルアミン等のような無機塩基または有機塩基を存在させて行ってもよいし、存在させずに行ってもよい。
反応温度は特に限定されないが、通常は冷却下または常温で反応が行われる。
この反応において、R2のカルボキシ保護基が反応中またはこの製造法の後処理中に脱離される場合も、その範囲内に包含される。
この反応に使用される化合物(III)またはその塩はこの発明の発明者等によって初めて安定な形で単離され、それによって反応は高収率で進行し、副生成物の回収工程が不必要となるので非常に便利になり、反応物の量を最良の条件で容易に管理することができる。
【0033】
出発物質の2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−低級アルコキシカルボニルメトキシイミノアセチルハロゲン化物(III)またはその塩の製造法を以下に説明する。
出発化合物(III)またはその塩は化合物(IIIa)をハロゲン化剤と反応させて製造することができる。
化合物(III)の好適な塩は塩基との塩であり、化合物(IIIa)の好適な塩は化合物(I)について例示したような塩基との塩または酸付加塩が挙げられる。
化合物(IIIa)は後述の製造法で記された方法または常用の方法によって製造することができる。
【0034】
この反応で使用される好適なハロゲン化剤は五塩化燐、オキシ塩化燐、塩化チオニル、ホスゲン等のカルボン酸を酸ハロゲン化物に変換できる常用のものが挙げられる。
反応は通常、塩化メチレン、クロロホルム等のような常用の溶媒中で行われるが、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればその他のいかなる溶媒中でも反応を行うことができる。
反応温度は特に限定されないが、通常は冷却下または常温で反応が行われる。
化合物(III)の塩酸塩のような酸付加塩は安定な結晶形で単離されることができ、特に本発明の反応には好ましい。
【0035】
以下この発明を実施例に従って説明する。
実施例1
7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリル塩酸塩(4g)のジクロロメタン溶液(20ml)に蟻酸(1.2ml)とメタンスルホン酸(1.34g)を加え、30分間反応する。冷水(40ml)を加え、0〜5℃で攪拌し、安水を用いてpH8.5に調整した後静置する。分液しジクロロメタンを除き水層を希塩酸でpH4.5に調整し、次いで五酸化二燐存在下、真空乾燥して、7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)(2.05g)(収率97%)を得る。
IR(ヌジョール):2620, 2050, 1810, 1790, 1640, 1610 cm−1
NMR(DMSO−d6,δ):3.51, 3.82(2H,ABq,J=18Hz),4.77(1H,d,J=5Hz),5.01(1H,d,J=5Hz),5.26(1H,d,J=11Hz),5.54(1H,d,J=18Hz),6.88(1H,dd,J=18Hz,11Hz)
【0036】
実施例2
2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノ酢酸(シン異性体)(68.8g)のジクロロメタン(350ml)溶液に五塩化燐(58.0g)を加え−25〜−30℃で60分間攪拌を続ける。反応液にジイソプロピルエーテル(1240ml)を60分かけて加える。生成する沈殿を濾過してジイソプロピルエーテルで洗浄し、次いで五酸化二燐存在下真空乾燥して2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセチルクロリド・塩酸塩(シン異性体)(83.4g)を得る。
IR(ヌジョール):3375, 3200, 1780, 1750, 1650, 1630, 1600, 1580 cm−1mp:91℃
【0037】
実施例3
7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(30.0g)とN,N−ビストリメチルシリル尿素(54.2g)をジクロロメタン(450ml)に懸濁し、90分間還流しシリル化して溶解する。反応液を−20℃に冷却し、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセチルクロリド塩酸塩(シン異性体)を加え、30分間反応する。反応液に冷水(450ml)を加え、10%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、pH6〜7になるまで滴下し析出した結晶を溶解する。ジクロロメタン層を分液して取り除き、水層を希塩酸でpH3.0に調整し、次いで0〜5℃で30分間攪拌する。沈殿を濾取して冷水で洗浄し、次いで五酸化二燐存在下真空乾燥して7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(55.55g)を得る(収率89.6%)。
IR(ヌジョール):3575, 3250, 1760, 1730, 1660, 1550 cm−1
NMR(DMSO−d6,δ):3.57,3.85 (2H,ABq,J=18Hz), 3.68 (3H,s), 4.69 (2H,s), 5.20 (1H,d,J=5Hz), 5.32 (1H,d,J=11Hz), 5.60 (1H,d,J=18Hz), 5.79 (1H,dd,J=5,8Hz), 6.80 (1H,s), 6.92 (1H,dd,J=11,18Hz), 7.27 (2H,s), 9.63 (1H,d,J=8Hz)
【0038】
実施例4
7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(35.4g)を水(400ml)に懸濁し0〜5℃で攪拌する。10%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、pH7とし、結晶を溶解する。メタノール(150ml)を加え、−12℃まで冷却する。24%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH14として5分間攪拌する。反応終了後、濃塩酸を用いてpHを5にする。水(450ml)を加え、20℃で攪拌下、希塩酸を用いてpHを2.2とする。0〜5℃で攪拌後、沈殿物を濾過し、水洗し、次いで五酸化二燐存在下真空乾燥して、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−カルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)(32.9g)(収率95.9%)で得る。
IR(ヌジョール):3450, 3275, 3180, 1780, 1660, 1620, 1540 cm−1
NMR(DMSO−d6,δ):3.57, 3.85 (2H,dd,J=18Hz), 4.59 (2H,s), 5.21 (1H,d,J=5Hz), 5.32 (1H,d,J=11Hz), 5.60 (1H,d,J=17Hz), 5.81 (1H,dd,J=5,8Hz), 6.81 ((1H,s), 6.92 (1H,dd,J=11,17Hz) 7.27 (2H,s), 9.56 (1H,d,8Hz))
【0039】
実施例5
7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリル塩酸塩(50.0g)をアセトン(750ml)に懸濁し、0〜5℃で攪拌する。2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセチルクロリド−塩酸塩(シン異性体)(73.24g)を加え、20%炭酸ソーダ水溶液を用いてpH6〜7に保持する。反応終了後、冷水(200ml)を添加し、反応液中のアセトンを減圧下、留去する。留去液に水(300ml)を加え、0〜5℃で1時間攪拌する。沈殿物を慮取して冷水で洗浄し、次いで五酸化二燐で真空乾燥して、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリル(70.0g)(94.7%)を得る。
IR(ヌジョール):1780, 1750, 1730, 1710, 1670, 1620, 1530 cm−1
NMR(DMSO−d6,δ):3.62, 3.91 (2H,ABq,J=18Hz), 3.68 (3H,s), 4.69 (2H,s), 5.28 (1H,d,J=5Hz), 5.32 (1H,d,J=11Hz), 5.66 (1H,d,J=18Hz), 5.90 (1H,dd,J=5,8Hz), 6.75 (1H,dd,J=11,18Hz), 6.81 (1H,s), 6.95 (1H,s), 7.27−7.50 (12H,m), 9.67 (1H,d,J=8Hz)
【0040】
実験例6
7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリル(48.0g)をアニソール(150ml)に懸濁し、−20℃で攪拌する。三弗化ホウ素エーテル錯塩(37.6g)を加え反応する。反応終了液を水(450ml)に注ぎ入れ、24%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pH7とする。反応液を分液し、水層を希塩酸でpH3とし、0〜5℃で1時間攪拌する。沈殿物を濾取し、水洗後、次いで五酸化二燐存在下真空乾燥して、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシカルボニルメトキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(33.6g)(収率95%)を得る。
IR(ヌジョール):3575, 3250, 1760, 1730, 1660, 1550 cm−1
NMR(DMSO−d6,δ):3.57, 3.85 (2H,dd,J=18Hz), 3.68 (3H,s), 4.69 (2H,s), 5.20 (1H,d,J=5Hz), 5.32 (1H,d,J=11Hz), 5.60(1H,d,J=18Hz), 5.79(1H,dd,J=5,8Hz), 6.80(1H,s), 6.92 (1H,dd,J=11,18Hz), 7.27 (2H,s), 9.63 (1H,d,J=8Hz)
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