JP2004143864A - 車両ドアラッチ装置のアンチパニック機構 - Google Patents

車両ドアラッチ装置のアンチパニック機構 Download PDF

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Abstract

【目的】合理的な車両ドアラッチ装置のアンチパニック機構
【構成】オープンレバー27が開扉作動位置に変位した状態でロックレバー30をロック位置Lからアンロック位置Uに変位させると、アンチパニックバネ36が弾力的に拡幅することで作動片35が動かないままロックレバー30がアンロック位置Uに切り替るものにおいて、前記作動片35は前記ロックレバー30を軸止するロック軸31に軸止させた車両ドアラッチ装置のアンチパニック機構。
【選択図】  図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車両ドアラッチ装置のアンチパニック機構に関するものである。
【0002】
【従来技術】
【特許文献1】実開昭58−101949号公報
【特許文献2】特開平11−324451号公報
従来の一般的な車両ドアラッチ装置では、内側ロックボタン等によるアンロック操作は、ドアの外側開扉ハンドルが開扉操作された状態において、正常に完了しない。このような状態を業界ではパニック状態と称していて、パニック状態になったときは、外側開扉ハンドルを非操作状態に戻してから、再度内側ロックボタン等でアンロック操作をやり直す必要がある。
特許文献1及び特許文献2には、前記パニック状態を防止するアンチパニック機構を備えたドアラッチ装置が開示されている。公知のアンチパニック機構は、外側開扉ハンドルの開扉操作によりアンロック操作が正常に完了しなくても、外側開扉ハンドルが非操作状態に戻されると、これに追従するようにアンロック状態への切替を完了させることで、再度のアンロック操作を不要にしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記公知機構は、アンチパニック機構を達成するためにバネで付勢された作動片を備えているところ、作動片は作動片専用の軸止ピンでドアラッチ装置の既存部品に軸止されるから、部品が多くなっていた。
【0004】
【課題を解決する手段】
よって、本発明は、ドアの外側開扉ハンドル28の開扉操作で待機位置から開扉作動位置に向けて変位するオープンレバー27と、前記ドアの内側ロックボタン32に連結されアンロック位置Uとロック位置Lとに切り替るロックレバー30と、前記ロックレバー30が前記アンロック位置Uにあると前記オープンレバー27の変位をラチェット13のラチェットピン24に伝達できる係合位置に前記ロック位置Lにあると前記アウターオープンレバー28の変位をラチェット13のラチェットピン24に伝達しない非係合位置に切り替るオープンリンク40と、前記ロックレバー30に対してアンチパニックバネ36の弾力により連動するように連結されて前記ロックレバー30の前記ロック位置Lと前記アンロック位置Uとの変位を前記オープンリンク40に伝達する作動片35とを有し、前記オープンレバー27が前記開扉作動位置に変位した状態で前記ロックレバー30を前記ロック位置Lから前記アンロック位置Uに変位させると、前記アンチパニックバネ36が弾力的に拡幅することで前記作動片35が動かないまま前記ロックレバー30が前記アンロック位置Uに切り替るものにおいて、前記作動片35は前記ロックレバー30を軸止するロック軸31に軸止させた車両ドアラッチ装置のアンチパニック機構としたものである。
【0005】
【実施例】
図1は本発明によるドアラッチ装置の正面を示し、ドアラッチ装置は、ドア(図示なし)に取付られるラッチアッシー10と、車体(図示なし)に固定されるストライカ11とから構成される。ラッチアッシー10は、ドアが閉じられるとストライカ11と係合するラッチ12と、ラッチ12とストライカ11との係合を保持するラチェット13とを有する。ラッチ12は、ラッチボディ14の表面に形成された凹部15内に前後方向のラッチ軸16により回転自在に収納され、前記ラチェット13は凹部15内に前後方向のラチェット軸17により回転自在に収納される。
【0006】
前記ラッチ12はラッチバネ18の弾力により図1において時計回転方向に付勢され、前記ラチェット13は、ラチェットバネ19の弾力により反時計回転方向に付勢される。図1のラッチ12はラッチバネ18の弾力によりアンラッチ位置(開扉位置)にあり、ドアを閉扉位置に向けて移動させると、前記ストライカ11はラッチ12のU型溝20に当接し、これによりラッチ12は反時計回転し、ラッチ12がハーフラッチ位置まで回転すると、前記ラチェット13はラッチ12の第1ステップ21に係合してドアはハーフ閉扉位置となり、また、ラッチ12がフルラッチ位置に至ると、ラチェット13はラッチ12の第2ステップ22に係合して、ドアはフル閉扉位置に保持される。
【0007】
前記ラチェット13は、前記ラッチボディ14の開口23を介してラッチボディ14の裏面側に突出するラチェットピン24を有する。ラッチボディ14の表面には、前記凹部15に被せられる金属カバープレート25が固定される。カバープレート25は、図1において部分的に示されている。
【0008】
前記ラッチボディ14の裏面には、図2に示した金属バックプレート26が固定される。バックプレート26は、カバープレート25と略平行の平行プレート26Aを備え、ラッチボディ14は前後は、カバープレート25と平行プレート26Aとで挟まれる。平行プレート26Aの室内側側部には、ラッチボディ14から離れるように後方に伸びる屈曲プレート26Bが設けられる。
【0009】
27はオープンレバーであり、前記ラッチ軸16若しくは別の軸で平行プレート26A(ラッチボディ14)に軸止される。オープンレバー27はドアの外側開扉ハンドル28及び内側開扉ハンドル29に関連的に連結され、これらの開扉操作により図2において反時計回転する。
【0010】
30はロックレバーであり、ロック軸31により平行プレート26A(ラッチボディ14)に軸止される。ロック軸31をラチェット軸17で兼用することも可能である。ロックレバー30は、平行プレート26Aとラッチボディ14との間に配置される。ロックレバー30は、内側ロックボタン32(及び場合によってドアキーシリンダー33)に関連的に連結され、これらの操作により、オーバーセンターバネ34の死点を境にロック位置L又はアンロック位置Uに変位し保持される。
【0011】
前記ロック軸31には、アンチパニック用の作動片35が軸止される。作動片35の主体部は平行プレート26Aの裏側に配置され、作動片35とロックレバー30との間にはアンチパニックバネ36が設けられる。バネ36のコイル部36Aはロック軸31に巻回させ、一方の脚部36Bは平行プレート26Aを越えて後方に突出させたロックレバー30の凸部37に当接させ、他方の脚部36Cは作動片35の凸部38に当接させる。バネ36により、作動片35はアンロック方向に付勢されロックレバー30に当接した状態に弾力的に保持される。
【0012】
前記作動片35には、前側に突出させたピン部39を一体的に形成し、ピン部39はオープンリンク40の裏側ガイドスロット41にスライド自在に係合させる。オープンリンク40の上部は前記オープンレバー27に軸止させる。作動片35がバネ36の弾力でロックレバー30と共にロック位置(図4、5)又はアンロック位置(図2、3)に変位すると、オープンリンク40もロック位置又はアンロック位置に変位する。
【0013】
前記オープンリンク40の正面側には当接面42が設けられる。当接面42は、オープンリンク40がアンロック位置(図2、3)にあると前記ラチェットピン24と上下方向において係合可能に対峙して、オープンレバー27の回転によりオープンリンク40が下動すると、当接面42はラチェットピン24を押し下げてラチェット13をラッチ12から解放させ、これによりドアが開扉される。オープンリンク40がロック位置(図4、5)に変位すると、当接面42はラチェットピン24の側方に移動し、従って、オープンリンク40を下動させても開扉は行えない。
【0014】
前記オープンリンク40の正面側には、ラチェットピン24の通路43が形成され、オープンリンク40がロック位置にある時にオープンリンク40が下動すると、ラチェットピン24は通路43内を相対的に上動する。通路43のロック位置側の側面には閉塞壁44が形成され、ラチェットピン24が通路43内を相対的に上動した状態において、オープンリンク40がアンロック位置に戻されることを規制させる。
【0015】
【作用】
図2のアンロック状態において、内側ロックボタン32等をロック操作すると、ロックレバー30は時計回転してオーバーセンターバネ34の死点を越えてロック位置Lに移動し、これにより作動片35もロック位置に移動し、更に、オープンリンク40も右方に変位してロック位置に移動し、図4のロック状態となる。
【0016】
ロック状態において、外側開扉ハンドル28又は内側開扉ハンドル29を開扉操作すると、オープンレバー27が図5のように反時計回転して、オープンリンク40は下動する。しかし、ロック状態では、オープンリンク40の当接面42はラチェットピン24とは非対峙状態になっているため、ラチェットピン24は下動せず、従って、開扉はされない。
【0017】
しかして、ロック状態において、外側開扉ハンドル28又は内側開扉ハンドル29を開扉操作して図5の状態になったときに、内側ロックボタン32等をアンロック操作すると、従来では、パニック状態になって、ロックレバーのアンロック位置への変位は完了しない。これに対して、本発明では、図5の状態において、内側ロックボタン32等がアンロック操作されると、ロックレバー30は作動片35をロック位置に置いたまま、図6のように単独でアンロック位置Uに変位する。
【0018】
即ち、図5のように、オープンリンク40がロック状態において下動すると、ラチェットピン24がオープンリンク40の通路43内に進入し、これにより、オープンリンク40のアンロック位置への切替が規制された状態となり、また、オープンリンク40のガイドスロット41にピン部39が係合している作動片35もアンロック位置への切替が規制された状態となる。このため、ロックレバー30は、アンチパニックバネ36を弾力的に拡幅させながら内側ロックボタン32等がアンロック操作により単独で図6のようにアンロック位置に変位し、オーバーセンターバネ34の弾力でアンロック位置Uに保持される。
【0019】
しかして、図6の状態において、外側開扉ハンドル28又は内側開扉ハンドル29が開扉操作位置から戻されると、オープンレバー27は時計回転して、オープンリンク40は上動する。これにより、オープンリンク40の通路43内に進入したラチェットピン24は通路43(閉塞壁44)から離脱する。すると、オープンリンク40及び作動片35のアンロック位置への規制が解除されるから、アンチパニックバネ36の弾力によりオープンリンク40及び作動片35は共にアンロック位置に復帰する。従って、内側ロックボタン32等を再度アンロック操作することなくラッチ装置をアンロック状態に切り替えることが出来る。
【0020】
以上において、本発明では、アンチパニックバネ36で付勢した作動片35はロックレバー30と共通のロック軸31で軸止させる。これにより、作動片35を軸止する専用部材が不要となる。また、ロックレバー30はロック軸31を中心に回転することでロック位置とアンロック位置とに切り替るものであるから、ロックレバー30と重合する場所は、回転部材の設置に適した場所となり、従って、作動片35をロック軸31に軸止させて作動片とロックレバー30とを重合配置させることは至極合理的となる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、アンチパニックバネ36で付勢した作動片35はロックレバー30と共通のロック軸31で軸止させる。これにより、作動片35を軸止する専用部材が不要となる。また、ロックレバー30はロック軸31を中心に回転することでロック位置とアンロック位置とに切り替るものであるから、ロックレバー30と重合する場所は、回転部材の設置に適した場所となり、従って、作動片35をロック軸31に軸止させて作動片とロックレバー30とを十号は位置させることは至極合理的となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のドアラッチアッシーの正面図。
【図2】前記ドアラッチアッシーの背面側に設けられる部材を示した背面図。
【図3】前記ラッチアッシーのオープンリンクの当接面と通路を示す断面図。
【図4】ロック状態における各部材の配置図。
【図5】ロック状態においてオープンレバーを開扉回転させた状態を示す配置図。
【図6】図5の状態でロックレバーをアンロック位置に切り替えた状態を示す配置図。
【符号の説明】
10…ラッチアッシー、11…ストライカ、12…ラッチ、13…ラチェット、14…ラッチボディ、15…凹部、16…ラッチ軸、17…ラチェット軸、18…ラッチバネ、19…ラチェットバネ、20…U型溝、21…第1ステップ、22…第2ステップ、23…開口、24…ラチェットピン、25…カバープレート、26…バックプレート、26A…平行プレート、26B…屈曲プレート、27…オープンレバー、28…外側開扉ハンドル、29…内側開扉ハンドル、30…ロックレバー、31…ロック軸、32…内側ロックボタン、33…ドアキーシリンダ、34…オーバーセンターバネ、35…作動片、36…アンチパニックバネ、37…凸部、38…凸部、39…ピン部、40…オープンリンク、41…ガイドスロット、42…当接面、43…通路、44…閉塞壁。

Claims (1)

  1. ドアの外側開扉ハンドル28の開扉操作で待機位置から開扉作動位置に向けて変位するオープンレバー27と、前記ドアの内側ロックボタン32に連結されアンロック位置Uとロック位置Lとに切り替るロックレバー30と、前記ロックレバー30が前記アンロック位置Uにあると前記オープンレバー27の変位をラチェット13のラチェットピン24に伝達できる係合位置に前記ロック位置Lにあると前記アウターオープンレバー28の変位をラチェット13のラチェットピン24に伝達しない非係合位置に切り替るオープンリンク40と、前記ロックレバー30に対してアンチパニックバネ36の弾力により連動するように連結されて前記ロックレバー30の前記ロック位置Lと前記アンロック位置Uとの変位を前記オープンリンク40に伝達する作動片35とを有し、前記オープンレバー27が前記開扉作動位置に変位した状態で前記ロックレバー30を前記ロック位置Lから前記アンロック位置Uに変位させると、前記アンチパニックバネ36が弾力的に拡幅することで前記作動片35が動かないまま前記ロックレバー30が前記アンロック位置Uに切り替るものにおいて、前記作動片35は前記ロックレバー30を軸止するロック軸31に軸止させた車両ドアラッチ装置のアンチパニック機構。
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