JP2004138583A - 細胞機能測定用マイクロチップ - Google Patents
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Abstract
【課題】細胞内の蛋白の発現をみるに当たり、ウェスタンブロットのように時間を要することなく、より簡便に、さらに正確に蛋白の同定を行なえるマイクロチップを提供すること。
【解決手段】細胞機能を細胞内の蛋白により測定するマイクロチップであって、細胞培養部、細胞破砕部、細胞残渣除去部、蛋白可溶化部、蛋白精製部、蛋白分離部、及び蛋白同定部を有し、チップ上の溝、コネクタ、及び/またはチューブを用いて各部が連続し、細胞培養から検出目的の蛋白をする同定するまでの作業を連続して実施する細胞機能測定用マイクロチップ。
【選択図】 図1
【解決手段】細胞機能を細胞内の蛋白により測定するマイクロチップであって、細胞培養部、細胞破砕部、細胞残渣除去部、蛋白可溶化部、蛋白精製部、蛋白分離部、及び蛋白同定部を有し、チップ上の溝、コネクタ、及び/またはチューブを用いて各部が連続し、細胞培養から検出目的の蛋白をする同定するまでの作業を連続して実施する細胞機能測定用マイクロチップ。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
細胞の機能やストレス応答に関する蛋白の細胞内での発現量を同定する細胞機能測定用マイクロチップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
細胞の機能の発現は、細胞内の蛋白によりなされており、細胞の種々のストレスに対する応答性などのメカニズムを解明するにあたり、蛋白の発現状況を把握する必要がある。
近年遺伝子の解読が進み遺伝子の発現レベルをみることによって、目的とする蛋白の発現量に置き換えて確認するという手法もあるが、細胞機能を実際に担っているのは蛋白であり、より実際の細胞機能の発現や細胞のストレスに対する応答性をみるには、各々の機能を担う蛋白の細胞内の発現量をみる必要がある。そして、細胞内での蛋白の発現量をみる方法としては、ウェスタンブロットが最も広く用いられている。(例えば、非特許文献1)
ウェスタンブロットは誰でも実施できる簡便な方法とは言われるが、ウェスタンブロットを行なうにあたり、つぎのような問題点がある。
まず、細胞培養を始めてから実際のウェスタンブロットによる結果を入手するまでにかなりの工程とそれに伴う時間を有することである。
一般に目的とする蛋白を得るため、細胞の培養を開始して、細胞機能の発現や細胞にストレスを加えられるまでに数日間の培養期間が必要であり、細胞を回収する段階までには数日〜一週間以上を要する。さらに細胞の可溶化からウェスタンブロットのでの結果を得るまでに2日がかりの仕事となる。
細胞培養を行なう期間には、細胞播種後から細胞が安定状態に達するまで、あるいは細胞機能の応答する時間が必要であり、培養細胞に支配されるため、数日〜一週間以上に及ぶ期間の短縮は困難である。
また、細胞の可溶化から蛋白調製液を採取するまでの工程をみても、細胞の可溶化、その後の遠心による細胞残渣の除去等、この工程だけでも数時間を要する。
その後、電気泳動により蛋白を分離、ゲルからのメンブレンへの転写、その後の抗原抗体反応による蛋白量の確認等で多大な工数を必要とする。その後も、電気泳動だけでも1時間から数時間を要し、メンブレンへの転写も1時間程度、メンブレンへの転写後の抗原抗体反応から結果をみるまでに4〜5時間程度の時間を要する。
さらに、このように時間をかけてウェスタンブロットを実施したにもかかわらず、明確な結果を得るのは難しい。極微量の蛋白は蛋白抽出、精製の操作中に分解や吸着で失われやすく検出が困難であり、洗浄液など様々な条件により結果が異なる場合もある。
またさらに、熟練も必要であり、同じ操作を行なっているにもかかわらず常に安定した結果を得るのは難しく、同じ結果を得られるようになるには熟練が必要である。
【0003】
このように、培養細胞からウェスタンブロットで細胞内蛋白の発現量の同定を行なう場合、多大な時間を要することと、結果の正確さについて不安が残るという不具合があった。
最近はマイクロリアクターやマイクロアナリシスシステムと呼ばれる微細加工技術を利用した化学反応や分離システムの微小化の研究が盛んになっており、マイクロチャンネルを持つマイクロチップ上で行なう核酸、タンパク質などの分析や合成、微量化学物質の迅速分析、医薬品・薬物のハイスループットスクリーニングへの応用が期待されている。このようなシステムのマイクロ化の利点としては、サンプルや試薬の使用量あるいは廃液の排出量が軽減され、省スペースで持ち運び可能な安価なシステムの実現が考えられている。また体積に対する表面積の比率が向上することにより、熱移動・物質移動の高速化が実現でき、その結果、反応や分離の精密な制御、高速・高効率化、副反応の抑制が期待される。
上記の目的でマイクロチップに組み込まれるシステムの一つとして蛋白質などの生化学的活性物質を検出も含まれており、マイクロチップ上で分析を行なう具体的な目的としては、マイクロチップ上で化学物質のスクリーニングや分析を短時間で高精度に行なうことである。(例えば、特許文献1参照)
しかし、これらのマイクロチップを用いる前には、以前からの分析方法と同様に、細胞培養を行なう期間、試料を調製する手間が必要である。
【0004】
【非特許文献1】
奥村宣明著「蛋白質実験ノート(下)」羊土社、1996年10月15日、p14−32
【特許文献1】
特開2001−4628号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、チップ上で培養した細胞を凍結保存し、さらに蛋白の抽出、分離、同定の各工程を全てチップ内で行なうことで、細胞内の蛋白の発現をみるに当たりウェスタンブロットのように時間を要することなく、より簡便に、さらに正確に蛋白の同定を行なえるマイクロチップを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1)細胞機能を細胞内の蛋白により測定するマイクロチップであって、細胞培養部、細胞破砕部、細胞残渣除去部、蛋白可溶化部、蛋白精製部、蛋白分離部、及び蛋白同定部からなる群の少なくとも一つをチップ上に有する細胞機能測定用マイクロチップ、
(2)細胞培養部、細胞破砕部、細胞残渣除去部、蛋白可溶化部、蛋白精製部、蛋白分離部、及び蛋白同定部を有し、チップ上の溝を用いて各部が形成され、少なくとも溝を介して繋がっている(1)の細胞機能測定用マイクロチップ、
(3)複数のチップから構成され、各チップ上の溝をコネクタ及び/またはチューブによって接続されている(1)または(2)の細胞機能測定用マイクロチップ、
(4)細胞培養部には細胞が培養されており、かつ凍結保存することが可能である(1)〜(3)いずれかの細胞機能測定用マイクロチップ、
(5)細胞破砕部が細胞培養部に含まれて構成される(1)〜(4)いずれかの細胞機能測定用マイクロチップ、
(6)蛋白分離部には、蛋白の分子量、等電点、親水性、または分子サイズによって、蛋白を分離するための機能が付与されている(1)〜(5)いずれかの細胞機能測定用マイクロチップ、
(7)蛋白同定部に検出目的の蛋白を補足する抗体を固定した(1)〜(6)いずれかの細胞機能測定用マイクロチップ、
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の細胞内蛋白の同定方法について図1の細胞内蛋白量同定方法の模式図に従って詳細に説明する。
本発明の細胞内蛋白の定量方法は、従来行なわれてきた細胞培養とウェスタンブロットの実験操作をチップ上で行なおうとするものである。チップ上に微細な溝を形成し、細胞培養部(1)、細胞破砕部(2)、蛋白可溶化部(3)、細胞残渣除去部(4)、蛋白精製部(5)、蛋白分離部(6)、蛋白同定部(7)より形成される。
溝の表面状態、幅、形状はその部位の働きに応じて異なる。
また、チップは一枚で全ての部位を形成しても、二枚以上に各部位で分けて形成してもどちらでも良く、例えば、細胞培養部のみを別のチップに形成したり、図1のように三枚のマイクロチップ(101、102、103)に分割して形成したりして、溝末端の溶液導入口と排出口をコネクタ(11a、11b)及び/またはチューブ(12)を用い接続しても良い。
【0008】
使用するチップの材質については、耐水性があり微細な溝の加工が可能であればとくに限定されるものではない。一般的にはガラスが用いられるが、細胞を扱う場合ウィルス等の感染を考慮に入れ、ディスポ的に使用できかつ割れる可能性が少ないプラスチックを使用するのが好ましい。
さらに蛋白量の同定において蛍光強度をみる場合は蛍光の発しない材質が好ましく、そのようなプラスチック材料としてフッ素樹脂やノルボルネン樹脂が挙げられる。
微細な溝の加工としては、レーザーによる加工や、フォトリソグラフなどを利用することができる。
【0009】
細胞培養部(1)には、短期間に細胞機能の発現や細胞にストレスを加えることを開始可能なように、予め細胞を培養した後に、細胞が生きている状態で長期間保存できることが重要である。
まず細胞を培養するためには、細胞の雑菌による汚染防止と、細胞が接着しやすくなるように培養面の親水化処理が必要である。雑菌による汚染の防ぐには、チップの表面性状を変化させる処理を行なう前に、ポリスチレン等の樹脂成形品であればエチレンオキサイドガス滅菌や放射線滅菌を、ガラス製のチップであればオートクレーブを行なうことで滅菌処理を行い、以後クリーンベンチ等の雑菌がいない環境下でチップを扱えば良い。また、培養面の親水化処理を行なうには、ポリスチレン等の樹脂成形品であればコロナ放電処理やプラズマ処理によって、ガラス製のチップであれば硫酸などの強酸で処理する方法を用いることが可能である。
【0010】
次に必要時まで細胞を保存する方法は、細胞の場合、凍結保存しか方法がない。細胞の凍結保存には、凍結前にジメチルスルホキシド等の水の結晶化防止剤を含む培養液で培地交換を行った後、液体窒素中(−197℃)で半永久的に保存可能であり、解凍後の細胞は凍結前の細胞機能を100%維持している。そして使用時には細胞をすばやく解凍し培地交換を行ない、培養を再開することで、翌日より、細胞機能の発現や細胞にストレスを加えることが可能である。
細胞培養部の形状については、一般的なシャーレのように円形でもよいが、これに限定されるものでなく、チップを有効に使用するために多角形であっても良い。
培養を終了した後、細胞はトリプシン等の細胞剥離溶液によって培養面より剥離され、細胞破砕部(2)に送出される。
【0011】
細胞破砕部(2)では、細胞を効率良く破砕することが必要である。そのためには一般に行われている細胞破砕方法を小型化しチップ上で行なえば良い。例えば、超音波を細胞破砕部に加え、超音波の強力なエネルギーで細胞を破砕したり、溝を塞ぐような回転板を具備し、臼のように細胞を磨り潰したりすることで細胞を破砕し、細胞内より蛋白を溶液中に放出することが可能である。さらに超音波による細胞の破砕では、細胞培養部に直接超音波を外部より加えることも可能であり、この場合には細胞培養部に細胞破砕部が含まれて形成されることになる。
また細胞が含まれる溶液に細胞可溶化液を加えて、細胞を破砕する方法も考えられる。この場合は細胞破砕部の溝の幅を可変させたり、ジグザグ状にすることにより攪拌機能をもたせたりすることにより可溶化効率を向上させ、溝中を細胞と細胞可溶化液を流通させるだけで、放置時間なしで細胞を可溶化し、細胞内より蛋白を溶液中に放出することが可能である。さらに細胞破砕部の開始の部分は溝の幅を広くし、下流にいくに従い溝の幅を狭くする工夫を施すことにより、より効率の良い細胞の可溶化が可能となる。この細胞破砕部の溝の幅は、開始部分は対象となる細胞の大きさにもよるが、100〜200μm程度が好適である。
【0012】
蛋白可溶化部(3)では、生体膜に含まれている蛋白質の遊離や、不溶性蛋白質の可溶化を行なう。細胞中の蛋白質は細胞質に浮遊するもの以外に、生体膜などに含まれているものが豊富に含まれており、細胞内の蛋白質を分析する上でこれらの蛋白質の回収が重要である。これらの蛋白質を水溶液中に分散する方法に特に制限は無いが、本発明では、界面活性剤を用いて、これにより生体膜の脂質層を破壊したり、前述の蛋白の疎水部を界面活性剤のミセルに溶かしたりする方法が好ましい。
また、蛋白が可溶化された後は細胞内に含まれていたプロテアーゼにより分解が進み、検出されるまでに失われてしまう。細胞を破砕したり、蛋白の可溶化を行ったりした後はプロテアーゼインヒビターを加えて、蛋白質の分解を抑制することが好ましい。本発明では細胞破砕から蛋白可溶化の処理工程間で例えばトリプシンインヒビターを加えることで、蛋白質検出を行なうまでの分解抑制が効果的に行われる。
【0013】
次に、細胞残渣除去部(4)について記載する。細胞破砕部により、細胞を破砕した溶液には不溶の細胞膜の残渣や脂質、核酸の分画が、目的とする蛋白溶液以外に混在している。従来の方法では遠心機で遠心をかけ細胞残渣を沈殿し、上澄みを採取することにより、細胞残渣を除去している。この細胞残渣除去部は、上記遠心での分離操作をチップ中の溝中で行なおうとするものであり、溝に細胞残渣の除去機能を付与する必要がある。
細胞残渣除去機能付与の方法のとしては、溝中にフィルターを充填する方法がある、フィルターによりまず大きめの細胞残渣を除去する。続いてよりきめの細かいフィルターにより細胞膜の残渣をほぼ除去することが可能である。また、溝の形状を微細なジグザグ状にすることにより、細胞残渣の除去をより効率的に行なうことが可能である。
この細胞残渣除去部のフィルターの孔径は、残渣除去開始部分で0.45〜1μmが好適である。
このようにして、細胞残渣除去部(4)を蛋白可溶化部(3)から引き続いて流通させることにより、細胞残渣が取り除かれた溶液を得ることができる。
【0014】
細胞残渣を取り除いた溶液は蛋白精製部(5)により脂質、核酸と蛋白質の分離精製が行われる。従来の方法では細胞残渣の除去と同じく、遠心機で核酸、蛋白、脂質の分離を行なえる。細胞残渣はフィルターで除去可能であるが、チップ上では脂質、核酸と蛋白質の分離を各成分の物理的、あるいは化学的性質で分離する機能を付与する必要がある。
脂質、核酸と蛋白質の分離を行なう方法の一つとして、不要成分を溝の面に吸着させる方法が考えられる。例えばフッ素系樹脂の塗布などにより、表面が疎水状態である溝に溶液を流通させることで、脂質部分が優先的に溝表面へ吸着することによって、脂質の除去を行なうことが可能である。同様に表面が、例えばアミノ基の導入などにより、正電荷が豊富な状態である溝に溶液を流通させることで、負電荷が大きい核酸が優先的に吸着することによって、核酸の除去を行なうことが可能である。
また抽出溶媒を用いて脂質、核酸と蛋白質の分離を行なう方法も考えられる。特開2000−298079号公報などに記載されているように、溝の断面サイズが幅500μm以下、深さ300μm以下であれば、溝内部で異なる溶媒は合流した後も混合せず層流が維持され、界面が形成されることを利用し、迅速な溶媒抽出が行なうことが可能である。これの応用として、有機溶媒を用いて脂質の抽出除去を行ったり、アルコール溶媒によって核酸の抽出除去を行ったりすることが可能である。
以上の方法により、脂質や核酸が取り除かれた蛋白溶液を得ることができる。
【0015】
続いて、蛋白分離部(6)に蛋白溶液を流通させ、電気泳動のように蛋白を分子量に応じて分画していく。従来からキャピラリー電気泳動が、微量な蛋白の分離分画に用いられているが、キャピラリー電気泳動用の微小流路をチップ上に設けその中に蛋白液を流すことにより、蛋白の分子量に応じて蛋白を分離することが可能である。
また、この蛋白分画部の溝には、親水性基や、正電荷や負電荷を付与することにより、これらの親水性の度合いや電荷の状態を制御し、この溝の中に蛋白溶液を流通させることで、同定を目的とする蛋白を分画し濃縮することが可能となる。
あるいは、溝内部にゲル粒子を充填し、この溝の中に蛋白溶液を流通させることで、分子サイズの違いで蛋白が分離することが可能である。
この蛋白分画部の溝の幅は、10〜50μmが好適である。
【0016】
最後に蛋白同定部(7)について、図2の蛋白同定部の模式図に従って記載する。最終段階では、蛋白同定部の一部分に同定目的となる蛋白に対する抗体を抗体固定部(8、破線領域内の溝部)に固定化しておく。予め目的とする蛋白に対する抗体を一次抗体注入口(21)より投入して固定しておくことにより、抗体により蛋白が捕捉される
蛋白を分離したあと抗体と反応させるため、抗体と蛋白との反応効率が高く正確な蛋白量の捕捉が可能となる。抗体に反応しない蛋白質は溶液と共に排出口(22)より排出される。
このように抗体に捕捉された蛋白は、蛍光に標識された同じ蛋白に対する抗体を含む溶液を標識抗体注入口(23)より蛋白同定部(7、破線領域内の溝部)に流すことにより、固定化されていた抗原により捕捉されていた蛋白に蛍光物質が標識された抗体が結合し、捕捉されていた蛋白量に応じて発する蛍光量が変化する。この蛍光量を蛍光顕微鏡などにより測定すれば蛋白量を知ることが可能である。
【0017】
【発明の効果】
本発明によって、マイクロチップ上で培養した細胞を凍結保存し、さらに蛋白の抽出、分離、同定の各工程を全てマイクロチップ内で行なうことで、細胞内の蛋白の発現をみるに当たりウェスタンブロットのように時間を要することなく、より簡便に、さらに正確に蛋白の同定を行なえるマイクロチップを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の細胞機能測定用マイクロチップの一例である。
【図2】本発明の蛋白同定部の一例である。
【符号の説明】
1 細胞培養部
2 細胞破砕部
3 蛋白可溶化部
4 細胞残渣除去部
5 蛋白精製部
6 蛋白分離部
7 蛋白同定部
8 抗体固定部
11a、11b コネクタ
12 チューブ
21 一次抗体注入口
22 排出口
23 標識抗体注入口
101 細胞培養部、細胞破砕部、細胞残渣除去部を具備したマイクロチップ
102 蛋白精製部を具備したマイクロチップ
103 蛋白分離部、蛋白同定部を具備したマイクロチップ
【発明の属する技術分野】
細胞の機能やストレス応答に関する蛋白の細胞内での発現量を同定する細胞機能測定用マイクロチップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
細胞の機能の発現は、細胞内の蛋白によりなされており、細胞の種々のストレスに対する応答性などのメカニズムを解明するにあたり、蛋白の発現状況を把握する必要がある。
近年遺伝子の解読が進み遺伝子の発現レベルをみることによって、目的とする蛋白の発現量に置き換えて確認するという手法もあるが、細胞機能を実際に担っているのは蛋白であり、より実際の細胞機能の発現や細胞のストレスに対する応答性をみるには、各々の機能を担う蛋白の細胞内の発現量をみる必要がある。そして、細胞内での蛋白の発現量をみる方法としては、ウェスタンブロットが最も広く用いられている。(例えば、非特許文献1)
ウェスタンブロットは誰でも実施できる簡便な方法とは言われるが、ウェスタンブロットを行なうにあたり、つぎのような問題点がある。
まず、細胞培養を始めてから実際のウェスタンブロットによる結果を入手するまでにかなりの工程とそれに伴う時間を有することである。
一般に目的とする蛋白を得るため、細胞の培養を開始して、細胞機能の発現や細胞にストレスを加えられるまでに数日間の培養期間が必要であり、細胞を回収する段階までには数日〜一週間以上を要する。さらに細胞の可溶化からウェスタンブロットのでの結果を得るまでに2日がかりの仕事となる。
細胞培養を行なう期間には、細胞播種後から細胞が安定状態に達するまで、あるいは細胞機能の応答する時間が必要であり、培養細胞に支配されるため、数日〜一週間以上に及ぶ期間の短縮は困難である。
また、細胞の可溶化から蛋白調製液を採取するまでの工程をみても、細胞の可溶化、その後の遠心による細胞残渣の除去等、この工程だけでも数時間を要する。
その後、電気泳動により蛋白を分離、ゲルからのメンブレンへの転写、その後の抗原抗体反応による蛋白量の確認等で多大な工数を必要とする。その後も、電気泳動だけでも1時間から数時間を要し、メンブレンへの転写も1時間程度、メンブレンへの転写後の抗原抗体反応から結果をみるまでに4〜5時間程度の時間を要する。
さらに、このように時間をかけてウェスタンブロットを実施したにもかかわらず、明確な結果を得るのは難しい。極微量の蛋白は蛋白抽出、精製の操作中に分解や吸着で失われやすく検出が困難であり、洗浄液など様々な条件により結果が異なる場合もある。
またさらに、熟練も必要であり、同じ操作を行なっているにもかかわらず常に安定した結果を得るのは難しく、同じ結果を得られるようになるには熟練が必要である。
【0003】
このように、培養細胞からウェスタンブロットで細胞内蛋白の発現量の同定を行なう場合、多大な時間を要することと、結果の正確さについて不安が残るという不具合があった。
最近はマイクロリアクターやマイクロアナリシスシステムと呼ばれる微細加工技術を利用した化学反応や分離システムの微小化の研究が盛んになっており、マイクロチャンネルを持つマイクロチップ上で行なう核酸、タンパク質などの分析や合成、微量化学物質の迅速分析、医薬品・薬物のハイスループットスクリーニングへの応用が期待されている。このようなシステムのマイクロ化の利点としては、サンプルや試薬の使用量あるいは廃液の排出量が軽減され、省スペースで持ち運び可能な安価なシステムの実現が考えられている。また体積に対する表面積の比率が向上することにより、熱移動・物質移動の高速化が実現でき、その結果、反応や分離の精密な制御、高速・高効率化、副反応の抑制が期待される。
上記の目的でマイクロチップに組み込まれるシステムの一つとして蛋白質などの生化学的活性物質を検出も含まれており、マイクロチップ上で分析を行なう具体的な目的としては、マイクロチップ上で化学物質のスクリーニングや分析を短時間で高精度に行なうことである。(例えば、特許文献1参照)
しかし、これらのマイクロチップを用いる前には、以前からの分析方法と同様に、細胞培養を行なう期間、試料を調製する手間が必要である。
【0004】
【非特許文献1】
奥村宣明著「蛋白質実験ノート(下)」羊土社、1996年10月15日、p14−32
【特許文献1】
特開2001−4628号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、チップ上で培養した細胞を凍結保存し、さらに蛋白の抽出、分離、同定の各工程を全てチップ内で行なうことで、細胞内の蛋白の発現をみるに当たりウェスタンブロットのように時間を要することなく、より簡便に、さらに正確に蛋白の同定を行なえるマイクロチップを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1)細胞機能を細胞内の蛋白により測定するマイクロチップであって、細胞培養部、細胞破砕部、細胞残渣除去部、蛋白可溶化部、蛋白精製部、蛋白分離部、及び蛋白同定部からなる群の少なくとも一つをチップ上に有する細胞機能測定用マイクロチップ、
(2)細胞培養部、細胞破砕部、細胞残渣除去部、蛋白可溶化部、蛋白精製部、蛋白分離部、及び蛋白同定部を有し、チップ上の溝を用いて各部が形成され、少なくとも溝を介して繋がっている(1)の細胞機能測定用マイクロチップ、
(3)複数のチップから構成され、各チップ上の溝をコネクタ及び/またはチューブによって接続されている(1)または(2)の細胞機能測定用マイクロチップ、
(4)細胞培養部には細胞が培養されており、かつ凍結保存することが可能である(1)〜(3)いずれかの細胞機能測定用マイクロチップ、
(5)細胞破砕部が細胞培養部に含まれて構成される(1)〜(4)いずれかの細胞機能測定用マイクロチップ、
(6)蛋白分離部には、蛋白の分子量、等電点、親水性、または分子サイズによって、蛋白を分離するための機能が付与されている(1)〜(5)いずれかの細胞機能測定用マイクロチップ、
(7)蛋白同定部に検出目的の蛋白を補足する抗体を固定した(1)〜(6)いずれかの細胞機能測定用マイクロチップ、
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の細胞内蛋白の同定方法について図1の細胞内蛋白量同定方法の模式図に従って詳細に説明する。
本発明の細胞内蛋白の定量方法は、従来行なわれてきた細胞培養とウェスタンブロットの実験操作をチップ上で行なおうとするものである。チップ上に微細な溝を形成し、細胞培養部(1)、細胞破砕部(2)、蛋白可溶化部(3)、細胞残渣除去部(4)、蛋白精製部(5)、蛋白分離部(6)、蛋白同定部(7)より形成される。
溝の表面状態、幅、形状はその部位の働きに応じて異なる。
また、チップは一枚で全ての部位を形成しても、二枚以上に各部位で分けて形成してもどちらでも良く、例えば、細胞培養部のみを別のチップに形成したり、図1のように三枚のマイクロチップ(101、102、103)に分割して形成したりして、溝末端の溶液導入口と排出口をコネクタ(11a、11b)及び/またはチューブ(12)を用い接続しても良い。
【0008】
使用するチップの材質については、耐水性があり微細な溝の加工が可能であればとくに限定されるものではない。一般的にはガラスが用いられるが、細胞を扱う場合ウィルス等の感染を考慮に入れ、ディスポ的に使用できかつ割れる可能性が少ないプラスチックを使用するのが好ましい。
さらに蛋白量の同定において蛍光強度をみる場合は蛍光の発しない材質が好ましく、そのようなプラスチック材料としてフッ素樹脂やノルボルネン樹脂が挙げられる。
微細な溝の加工としては、レーザーによる加工や、フォトリソグラフなどを利用することができる。
【0009】
細胞培養部(1)には、短期間に細胞機能の発現や細胞にストレスを加えることを開始可能なように、予め細胞を培養した後に、細胞が生きている状態で長期間保存できることが重要である。
まず細胞を培養するためには、細胞の雑菌による汚染防止と、細胞が接着しやすくなるように培養面の親水化処理が必要である。雑菌による汚染の防ぐには、チップの表面性状を変化させる処理を行なう前に、ポリスチレン等の樹脂成形品であればエチレンオキサイドガス滅菌や放射線滅菌を、ガラス製のチップであればオートクレーブを行なうことで滅菌処理を行い、以後クリーンベンチ等の雑菌がいない環境下でチップを扱えば良い。また、培養面の親水化処理を行なうには、ポリスチレン等の樹脂成形品であればコロナ放電処理やプラズマ処理によって、ガラス製のチップであれば硫酸などの強酸で処理する方法を用いることが可能である。
【0010】
次に必要時まで細胞を保存する方法は、細胞の場合、凍結保存しか方法がない。細胞の凍結保存には、凍結前にジメチルスルホキシド等の水の結晶化防止剤を含む培養液で培地交換を行った後、液体窒素中(−197℃)で半永久的に保存可能であり、解凍後の細胞は凍結前の細胞機能を100%維持している。そして使用時には細胞をすばやく解凍し培地交換を行ない、培養を再開することで、翌日より、細胞機能の発現や細胞にストレスを加えることが可能である。
細胞培養部の形状については、一般的なシャーレのように円形でもよいが、これに限定されるものでなく、チップを有効に使用するために多角形であっても良い。
培養を終了した後、細胞はトリプシン等の細胞剥離溶液によって培養面より剥離され、細胞破砕部(2)に送出される。
【0011】
細胞破砕部(2)では、細胞を効率良く破砕することが必要である。そのためには一般に行われている細胞破砕方法を小型化しチップ上で行なえば良い。例えば、超音波を細胞破砕部に加え、超音波の強力なエネルギーで細胞を破砕したり、溝を塞ぐような回転板を具備し、臼のように細胞を磨り潰したりすることで細胞を破砕し、細胞内より蛋白を溶液中に放出することが可能である。さらに超音波による細胞の破砕では、細胞培養部に直接超音波を外部より加えることも可能であり、この場合には細胞培養部に細胞破砕部が含まれて形成されることになる。
また細胞が含まれる溶液に細胞可溶化液を加えて、細胞を破砕する方法も考えられる。この場合は細胞破砕部の溝の幅を可変させたり、ジグザグ状にすることにより攪拌機能をもたせたりすることにより可溶化効率を向上させ、溝中を細胞と細胞可溶化液を流通させるだけで、放置時間なしで細胞を可溶化し、細胞内より蛋白を溶液中に放出することが可能である。さらに細胞破砕部の開始の部分は溝の幅を広くし、下流にいくに従い溝の幅を狭くする工夫を施すことにより、より効率の良い細胞の可溶化が可能となる。この細胞破砕部の溝の幅は、開始部分は対象となる細胞の大きさにもよるが、100〜200μm程度が好適である。
【0012】
蛋白可溶化部(3)では、生体膜に含まれている蛋白質の遊離や、不溶性蛋白質の可溶化を行なう。細胞中の蛋白質は細胞質に浮遊するもの以外に、生体膜などに含まれているものが豊富に含まれており、細胞内の蛋白質を分析する上でこれらの蛋白質の回収が重要である。これらの蛋白質を水溶液中に分散する方法に特に制限は無いが、本発明では、界面活性剤を用いて、これにより生体膜の脂質層を破壊したり、前述の蛋白の疎水部を界面活性剤のミセルに溶かしたりする方法が好ましい。
また、蛋白が可溶化された後は細胞内に含まれていたプロテアーゼにより分解が進み、検出されるまでに失われてしまう。細胞を破砕したり、蛋白の可溶化を行ったりした後はプロテアーゼインヒビターを加えて、蛋白質の分解を抑制することが好ましい。本発明では細胞破砕から蛋白可溶化の処理工程間で例えばトリプシンインヒビターを加えることで、蛋白質検出を行なうまでの分解抑制が効果的に行われる。
【0013】
次に、細胞残渣除去部(4)について記載する。細胞破砕部により、細胞を破砕した溶液には不溶の細胞膜の残渣や脂質、核酸の分画が、目的とする蛋白溶液以外に混在している。従来の方法では遠心機で遠心をかけ細胞残渣を沈殿し、上澄みを採取することにより、細胞残渣を除去している。この細胞残渣除去部は、上記遠心での分離操作をチップ中の溝中で行なおうとするものであり、溝に細胞残渣の除去機能を付与する必要がある。
細胞残渣除去機能付与の方法のとしては、溝中にフィルターを充填する方法がある、フィルターによりまず大きめの細胞残渣を除去する。続いてよりきめの細かいフィルターにより細胞膜の残渣をほぼ除去することが可能である。また、溝の形状を微細なジグザグ状にすることにより、細胞残渣の除去をより効率的に行なうことが可能である。
この細胞残渣除去部のフィルターの孔径は、残渣除去開始部分で0.45〜1μmが好適である。
このようにして、細胞残渣除去部(4)を蛋白可溶化部(3)から引き続いて流通させることにより、細胞残渣が取り除かれた溶液を得ることができる。
【0014】
細胞残渣を取り除いた溶液は蛋白精製部(5)により脂質、核酸と蛋白質の分離精製が行われる。従来の方法では細胞残渣の除去と同じく、遠心機で核酸、蛋白、脂質の分離を行なえる。細胞残渣はフィルターで除去可能であるが、チップ上では脂質、核酸と蛋白質の分離を各成分の物理的、あるいは化学的性質で分離する機能を付与する必要がある。
脂質、核酸と蛋白質の分離を行なう方法の一つとして、不要成分を溝の面に吸着させる方法が考えられる。例えばフッ素系樹脂の塗布などにより、表面が疎水状態である溝に溶液を流通させることで、脂質部分が優先的に溝表面へ吸着することによって、脂質の除去を行なうことが可能である。同様に表面が、例えばアミノ基の導入などにより、正電荷が豊富な状態である溝に溶液を流通させることで、負電荷が大きい核酸が優先的に吸着することによって、核酸の除去を行なうことが可能である。
また抽出溶媒を用いて脂質、核酸と蛋白質の分離を行なう方法も考えられる。特開2000−298079号公報などに記載されているように、溝の断面サイズが幅500μm以下、深さ300μm以下であれば、溝内部で異なる溶媒は合流した後も混合せず層流が維持され、界面が形成されることを利用し、迅速な溶媒抽出が行なうことが可能である。これの応用として、有機溶媒を用いて脂質の抽出除去を行ったり、アルコール溶媒によって核酸の抽出除去を行ったりすることが可能である。
以上の方法により、脂質や核酸が取り除かれた蛋白溶液を得ることができる。
【0015】
続いて、蛋白分離部(6)に蛋白溶液を流通させ、電気泳動のように蛋白を分子量に応じて分画していく。従来からキャピラリー電気泳動が、微量な蛋白の分離分画に用いられているが、キャピラリー電気泳動用の微小流路をチップ上に設けその中に蛋白液を流すことにより、蛋白の分子量に応じて蛋白を分離することが可能である。
また、この蛋白分画部の溝には、親水性基や、正電荷や負電荷を付与することにより、これらの親水性の度合いや電荷の状態を制御し、この溝の中に蛋白溶液を流通させることで、同定を目的とする蛋白を分画し濃縮することが可能となる。
あるいは、溝内部にゲル粒子を充填し、この溝の中に蛋白溶液を流通させることで、分子サイズの違いで蛋白が分離することが可能である。
この蛋白分画部の溝の幅は、10〜50μmが好適である。
【0016】
最後に蛋白同定部(7)について、図2の蛋白同定部の模式図に従って記載する。最終段階では、蛋白同定部の一部分に同定目的となる蛋白に対する抗体を抗体固定部(8、破線領域内の溝部)に固定化しておく。予め目的とする蛋白に対する抗体を一次抗体注入口(21)より投入して固定しておくことにより、抗体により蛋白が捕捉される
蛋白を分離したあと抗体と反応させるため、抗体と蛋白との反応効率が高く正確な蛋白量の捕捉が可能となる。抗体に反応しない蛋白質は溶液と共に排出口(22)より排出される。
このように抗体に捕捉された蛋白は、蛍光に標識された同じ蛋白に対する抗体を含む溶液を標識抗体注入口(23)より蛋白同定部(7、破線領域内の溝部)に流すことにより、固定化されていた抗原により捕捉されていた蛋白に蛍光物質が標識された抗体が結合し、捕捉されていた蛋白量に応じて発する蛍光量が変化する。この蛍光量を蛍光顕微鏡などにより測定すれば蛋白量を知ることが可能である。
【0017】
【発明の効果】
本発明によって、マイクロチップ上で培養した細胞を凍結保存し、さらに蛋白の抽出、分離、同定の各工程を全てマイクロチップ内で行なうことで、細胞内の蛋白の発現をみるに当たりウェスタンブロットのように時間を要することなく、より簡便に、さらに正確に蛋白の同定を行なえるマイクロチップを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の細胞機能測定用マイクロチップの一例である。
【図2】本発明の蛋白同定部の一例である。
【符号の説明】
1 細胞培養部
2 細胞破砕部
3 蛋白可溶化部
4 細胞残渣除去部
5 蛋白精製部
6 蛋白分離部
7 蛋白同定部
8 抗体固定部
11a、11b コネクタ
12 チューブ
21 一次抗体注入口
22 排出口
23 標識抗体注入口
101 細胞培養部、細胞破砕部、細胞残渣除去部を具備したマイクロチップ
102 蛋白精製部を具備したマイクロチップ
103 蛋白分離部、蛋白同定部を具備したマイクロチップ
Claims (7)
- 細胞機能を細胞内の蛋白により測定するマイクロチップであって、細胞培養部、細胞破砕部、細胞残渣除去部、蛋白可溶化部、蛋白精製部、蛋白分離部、及び蛋白同定部からなる群の少なくとも一つをチップ上に有する細胞機能測定用マイクロチップ。
- 細胞培養部、細胞破砕部、細胞残渣除去部、蛋白可溶化部、蛋白精製部、蛋白分離部、及び蛋白同定部を有し、チップ上の溝を用いて各部が形成され、少なくとも溝を介して繋がっている、請求項1記載の細胞機能測定用マイクロチップ。
- 複数のチップから構成され、各チップ上の溝をコネクタ及び/またはチューブによって接続されている請求項1または2記載の細胞機能測定用マイクロチップ。
- 細胞培養部には細胞が培養されており、かつ凍結保存することが可能である請求項1〜3いずれか記載の細胞機能測定用マイクロチップ。
- 細胞破砕部が細胞培養部に含まれて構成される請求項1〜4いずれか記載の細胞機能測定用マイクロチップ。
- 蛋白分離部には、蛋白の分子量、等電点、親水性、または分子サイズによって、蛋白を分離するための機能が付与されている請求項1〜5いずれか記載の細胞機能測定用マイクロチップ。
- 蛋白同定部に検出目的の蛋白を補足する抗体を固定した請求項1〜6いずれか記載の細胞機能測定用マイクロチップ。
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