JP2004137654A - 人工毛髪用絹繊維及び人工毛髪の製造方法 - Google Patents

人工毛髪用絹繊維及び人工毛髪の製造方法 Download PDF

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松下 浩子
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Abstract

【目的】所望のカール及びクリンプを容易に発現させることのできる人工毛髪用絹繊維、及びその絹繊維を用いた人工毛髪の製造方法を提供する。
【構成】生糸と練糸、繊度が相違する第1の生糸と第2の生糸、所定の繊度を有する第1の蚕繭単糸を複数本膠着されて成る生糸と前記蚕繭単糸よりも繊度の大きい第2の蚕繭単糸を複数本膠着されて成る生糸、精練割合が相違する第1の練糸と第2の練糸、単位長さ当たりの撚数が相違する第1の絹撚糸と第2の絹撚糸、又は絹撚糸と非加撚絹糸を用い、これを撚り合わせて人工毛髪用絹繊維とする。そして、その絹繊維を中性塩溶液と接触させることによりカール及びクリンプを発現させ、その後これに染色を施す。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絹の塩縮性を利用して所望のカール及びクリンプを容易に発現することのできる人工毛髪用絹繊維と、これを用いた人工毛髪の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鬘や人形の毛髪材として人毛が広く利用されてきたが、近年では長く良質な人毛の確保が困難な状況にあり、人毛を使用した製品の高級化が顕著になっている。そこで、人毛の代替として、特許第3134421号公報、特許第3259740号公報、特開平7−133586号公報、特開平9−67725号公報、特開平9−302513号公報、特開平11−217714号公報、特開2001−64817号公報、特開平8−296112号公報、特開平8−296115号公報、特開平8−302519号公報、特開平9−132813号公報、又は特開平11−302913号公報などに記載されるように、アクリルやポリエステルなどの合成繊維が多用されている。然し、合成繊維から造られる人工毛髪も着用時の蒸れ、重量感、不自然な光沢などの点で多くの難題を抱えている。
【0003】
一方、羊毛や獣毛などは、人毛に類似したケラチンタンパクから構成されるものの、その繊維長が短いことから人工の頭髪材として加工することは極めて困難である。これに対し、同じタンパク繊維の絹は繊維長が大きく、しかも膠質のセリシンで二本のフィブロインが包まれた構造であるから複数本の単糸を膠着させて繊度調整を容易に行えるという利点がある。
【0004】
このため、人形や鬘の毛髪材として絹を用いるという提案が古くから行われている。その一例として、蚕糸中のフィブロイン繊維をセリシンや他の動物性タンパク質で多層状に被覆したかつら用人造人毛が知られている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特公昭45−20028号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、特許文献1などのように絹を素材とする人造人毛は、合成繊維に比べると繊維自体の構造や性質が人毛のそれに近似するが、手触りなどの点で解決すべき課題も多い。特に、人毛は個体差はあれど完全な直線形でなく、ややカール及びクリンプが掛かった状態であることが一般的であるのに対し、従来の絹を用いた人工毛は直毛状態であり、これに自然なカール及びクリンプを発現させることは至極困難であった。
【0007】
このため、近年において人工毛髪の素材としては捲縮処理やつや消し処理など加工性に優れる合成繊維が多用され、絹製のものは一部が人形の毛髪材として使用されているに過ぎず、鬘や付け毛といった頭飾品の毛髪材としては殆ど利用されていない。
【0008】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その主たる目的は人毛に酷似した絹製の人工毛髪を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、性状が異なる少なくとも二種類の絹糸を撚り合わせて構成される人工毛髪用絹繊維を提供する。
【0010】
又、上記の人工毛髪用絹繊維において、性状が異なる絹糸に生糸と練糸、繊度が相違する第1の生糸と第2の生糸、所定の繊度を有する第1の蚕繭単糸を複数本膠着されて成る生糸と前記蚕繭単糸よりも繊度の大きい第2の蚕繭単糸を複数本膠着されて成る生糸、精練割合が相違する第1の練糸と第2の練糸、単位長さ当たりの撚数が相違する第1の絹撚糸と第2の絹撚糸、又は絹撚糸と非加撚絹糸を用いたことを特徴とする。
【0011】
更に、本発明は以上のような人工毛髪用絹繊維を中性塩溶液と接触させ、好ましくは中性塩溶液と接触させた後に染色を施すことを特徴とする人工毛髪の製造方法を提供する。
【0012】
尚、一般に「生糸」とは複数の蚕繭から取り出した糸を撚りも加えず精練もしないで引き揃えたものを言うが、本願では蚕繭から取り出される一本の糸(蚕繭単糸)を含む。又、絹及び絹糸は生糸や練糸(精練生糸)などを総称する場合と、生糸を精練して撚糸にしたもの指す場合とがあるが、本願において絹及び絹糸は生糸や練糸を総称した広義の意である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について説明すると、係る人工毛髪用絹繊維は性状が異なる少なくとも二種類の絹糸を撚り合わせて構成されるものであり、これは絹糸同士の撚りによって繊維表面に規則的な凹凸が形成されるために光の乱反射で自然な光沢が発現され、しかもその撚目が人毛にみられるキューティクルのような作用をするために人毛と同等の触感が得られる。特に、係る絹繊維によれば、塩縮加工を施すことによって所望のカール及びクリンプを容易に発現させることができる。
【0014】
塩縮加工とは、絹が中性塩溶液による処理で収縮するという特性を利用したもので、古くは絹織物にクレープ状の外観、風合いを与える技術として知られている。尚、絹糸が中性塩類による処理で収縮する原因は必ずしも明確ではないが、一般には中性塩類が絹糸に含まれるチロシン1分子に対して2分子まで選択的に吸着し、チロシンが隣接するフィブロイン分子鎖の官能基との水素結合を切断するためであると言われている。又、絹の塩縮性として、細い糸と太い糸、セリシンの少ない糸と多い糸、撚数が少ない糸と多い糸ではそれぞれ相対的に収縮率が異なることが知られている。
【0015】
よって、本発明は性状が異なる絹糸として、生糸と練糸、繊度が相違する第1の生糸と第2の生糸、所定の繊度を有する第1の蚕繭単糸を複数本膠着されて成る生糸と前記蚕繭単糸よりも繊度の大きい第2の蚕繭単糸を複数本膠着されて成る生糸、精練割合が相違する第1の練糸と第2の練糸、単位長さ当たりの撚数が相違する第1の絹撚糸と第2の絹撚糸、又は絹撚糸と非加撚絹糸を用い、これを撚り合わせて人工毛髪用絹繊維とした後、その絹繊維を中性塩溶液と接触させるのであり、これによれば絹繊維が収縮率の大きい絹糸側に曲がって全体にカール及びクリンプが発現される。例えば、生糸と練糸を撚り合わせたものでは、セリシンを除去した練糸よりも多量のセリシンが残存する生糸を大きく収縮させて全体にカール及びクリンプを発現させることができる。又、係る絹繊維の繊度は絹糸の使用本数や撚数により容易に調整することができる。
【0016】
尚、撚り合わせる絹糸は二種類に限らず、繊度が相違する二種類の生糸と練糸のように三種、又はそれ以上でもよいが、それらの撚数は50〜2500回/mとすることが好ましい。又、中性塩としては、硝酸カルシウムCa(NO、硝酸マグネシウムMg(NO、硝酸銅Cu(NO、塩化カルシウムCaCl、又は塩化亜鉛ZnClなどを用いるが、その溶液(水溶液)は比重1.1〜1.7、温度60〜90℃に調整し、これに上記の絹繊維を15〜600秒浸漬することが好ましく、処理条件が上記の設定値より小さいと絹繊維が好適に収縮せず、上記の設定値を越えると塩縮加工糸が脆くなる。但し、絹繊維を中性塩溶液に浸漬せず、これに中性塩溶液を吹き付けるなどしても良い。
【0017】
このように、係る人工毛髪用絹繊維は中性塩溶液との接触によってカール及びクリンプを容易に発現させ得るが、その絹繊維には塩縮加工のみならず人工毛髪として黒色染料などによる染色を施す。ここに、絹糸の収縮が上記のごとくチロシンに対する中性塩の吸着に起因するところ、塩縮加工前に染色を施すとチロシンに対する中性塩の吸着が阻害され、染料の種類によってはこれが防縮剤として機能し、塩縮が発生し難くなる。
【0018】
このため、絹繊維を中性塩溶液と接触させて塩縮加工糸とした後、その塩縮加工糸に染色を施すことが好ましい。特に、絹繊維を塩縮加工糸としたものでは酸性染料(80〜98℃/15〜30分)や反応染料(60〜80℃/30〜60分)などによって種々の色に染色することができ、しかもハイドロサルファイトのような還元剤や次亜塩素酸ナトリウムのような酸化剤で脱色して再染色することができる。但し、絹繊維に塩縮加工や染色を施すことによって得られる人工毛髪は、糸の解れや色落ちを防止するために合成樹脂などによる皮膜を形成することが望ましい(塩縮加工時や染色加工時において性状の異なる絹糸同士がセリシンの作用で膠着するのでタンパク質分解酵素を含まない洗剤や水での洗浄は可能)。
【0019】
又、染料が防縮性を有しないものである場合には、これに塩化第一錫、ホルマリン、グルタルアルデヒド、又はタンニンといった防縮剤を加えて塩縮加工糸を所定のカール状態で固定化することもできるが、塩縮加工糸に染色を施さず、これを白髪材としてそのまま利用することもできる。
【0020】
(実施例1)
約4.5デニールの蚕繭単糸A1(品種名蚕太)を複数本繰糸膠着して約31デニールの生糸B1とし、その生糸B1を6本片撚り(150回/m)して絹糸S1とした。一方、約3デニールの蚕繭単糸A2(品種名ぐんま200)を複数本繰糸膠着して約31デニールの生糸B2とし、その生糸B2を6本片撚り(150回/m)した後精練して絹糸S2とした。その後、その絹糸S1,S2(生糸と練糸)を撚り合わせ(400回/m)、これに加熱蒸気を吹き付けて撚り止めを行うことにより二相構造(バイラテラル構造)をした人工毛髪用絹繊維Faを得た。
そして、その絹繊維Faを60℃の硝酸カルシウム水溶液(比重1.48)に2分間浸漬した後、これを常温で15分間流水洗浄したものを風乾し、これにより得られた塩縮加工糸(試料1)について、機械的性質(破断強度など)、形態(カールの有無)、手触り感などを調べた。その結果を表1に示す。尚、機械的性質については(株)オリエンテック製引張試験機STA−1150、形態観察用としては(株)オリンパス製光学顕微鏡BX−51/実体顕微鏡SZ−VIAを用いた。
【0021】
【表1】
Figure 2004137654
【0022】
表1から明らかなように、試料1は人毛に比べて相当太いものの、破断強度や破断伸度は人毛と同等である。又、試料1には人毛のパーマネントのようなカール及びクリンプが発現され、その手触り感はコシが強く人毛(剛毛)に近いものであった。尚、図1は(株)日立製作所製走査型電子顕微鏡を用いて撮影した試料1の部分拡大図(50倍)、図2は同断面図(200倍)であるが、試料1には微小なクリンプ(縮れ)が認められた(図1参照)。又、図2のように試料1は羊毛のようなバイラテラル構造をしていることが確認できる。
【0023】
(実施例2)
実施例1の生糸B1と、同生糸B1を7分練りした練糸C1(生糸と練糸)を用い、生糸B1(6本の束)と練糸C1(15本の束)を撚り合わせ(400回/m)、これに加熱蒸気を吹き付けて撚り止めを行うことにより図3のようなバイラテラル構造をした人工毛髪用絹繊維Fbを得た。
そして、その絹繊維Fbを60℃の硝酸カルシウム水溶液(比重1.48)に2分間浸漬した後、これを常温で15分間流水洗浄したものを風乾し、得られた塩縮加工糸(試料2)について、実施例1と同様に機械的性質(破断強度など)、形態(カールの有無)、手触り感などを調べた。その結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
Figure 2004137654
【0025】
表2から明らかなように、試料2は人毛に比べて相当太いものの、破断強度は人毛と同等であり、破断伸度は大きく、ヤング率は人毛の1/3であった。又、試料2にも人毛のパーマネントのようなカール及びクリンプが発現され、その手触り感はコシが強く人毛(剛毛)に近いものであった。
【0026】
(実施例3−1)
約3デニールの抗菌性を有する蚕繭単糸A3(品種名青白)を複数本繰糸膠着して約27デニールの生糸B3とし、その生糸B3と実施例1の生糸B1(第1の蚕繭単糸から成る生糸と、第1の蚕繭単糸よりも繊度の大きい第2の蚕繭単糸から成る生糸)を用い、夫れ夫れ6本の束を撚り合わせ(400、800回/m)、これに加熱蒸気を吹き付けて撚り止めを行うことによりバイラテラル構造をした2つ人工毛髪用絹繊維Fc(撚数400回/m)、Fd(撚数800回/m)を得た。
そして、その絹繊維Fc,Fdを70℃の硝酸カルシウム水溶液(比重1.48)に2分間浸漬した後、これを常温で15分間流水洗浄したものを風乾し、得られた塩縮加工糸(試料3、4)について実施例1と同様に機械的性質(破断強度など)、形態(カールの有無)、手触り感などを調べた。その結果を表3に示す。
【0027】
(実施例3−2)
実施例1の生糸B1と実施例3−1の生糸B3(第1の蚕繭単糸から成る生糸と、第1の蚕繭単糸よりも繊度の大きい第2の蚕繭単糸から成る生糸)を用い、夫れ夫れ12本の束を撚り合わせ(400、800回/m)、これに加熱蒸気を吹き付けて撚り止めを行うことによりバイラテラル構造をした2つ人工毛髪用絹繊維Fe(撚数400回/m),Ff(撚数800回/m)を得た。
そして、その絹繊維Fe,Ffを70℃の硝酸カルシウム水溶液(比重1.48)に2分間浸漬した後、これを常温で15分間流水洗浄したものを風乾し、得られた塩縮加工糸(試料5、6)について実施例1と同様に機械的性質(破断強度など)、形態(カールの有無)、手触り感などを調べた。その結果を表3に示す。
【0028】
【表3】
Figure 2004137654
【0029】
表3から明らかなように、試料3〜6は人毛に比べて相当太いものの、破断強度が人毛に比べ遥かに高いものであった。又、試料3〜6においても人毛のパーマネントのようなカール及びクリンプが発現され、その手触り感は人毛(剛毛)に近いものであった。
【0030】
(実施例4)
約2.5デニールの蚕繭単糸A4(品種名世紀二×一)を複数本繰糸膠着して約27デニールの生糸B4とし、その生糸B4と実施例1の生糸B1(第1の蚕繭単糸から成る生糸と、第1の蚕繭単糸よりも繊度の大きい第2の蚕繭単糸から成る生糸であって、両生糸自体の繊度も相違するもの)を用い、その生糸B1(1本)と生糸B4(2本)を撚り合わせ(500、1200、1500、1800回/m)、これに加熱蒸気を吹き付けて撚り止めを行うことにより、4つの人工毛髪用絹繊維Fg(撚数500回/m)、Fh(撚数1200回/m)、Fi(撚数1500回/m)、Fj(撚数1800回/m)を得た。
そして、その絹繊維Fg〜Fjを70℃の硝酸カルシウム水溶液(比重1.46)に2分間浸漬した後、これを常温で15分間流水洗浄したものを風乾し、得られた塩縮加工糸(試料7〜10)について実施例1と同様に機械的性質(破断強度など)、形態(カールの有無)、手触り感などを調べた。その結果を表4に示す。
【0031】
【表4】
Figure 2004137654
【0032】
表4から明らかなように、試料7〜10は太さが人毛と同等で、破断強度は人毛に比べ遥かに高いものであった。又、試料7〜10においても人毛のパーマネントのようなカール及びクリンプが発現され、その手触り感は試料7においてハリが強く、試料8〜10ではコシのあるものであった。
【0033】
(実施例5)
実施例1の生糸B1と実施例4の生糸B4(第1の蚕繭単糸から成る生糸と、第1の蚕繭単糸よりも繊度の大きい第2の蚕繭単糸から成る生糸であって、両生糸自体の繊度も相違するもの)を用い、その生糸B1(1本)と生糸B4(2本)に一本ずつ同方向(左方向)の撚り(2300回/m)を加えた後、その3本の撚糸をその撚り方向と逆方向(右方向)に撚り合わせ(諸撚数1200、1500、1800、2000回/m)、これに加熱蒸気を吹き付けて撚り止めを行うことにより4つの人工毛髪用絹繊維Fk(1200回/m)、Fl(1500回/m)、Fm(1800回/m)、Fn(2000回/m)を得た。
そして、その絹繊維Fk〜Fnを70℃の硝酸カルシウム水溶液(比重1.46)に2分間浸漬した後、これを常温で15分間流水洗浄したものを風乾し、得られた塩縮加工糸(試料11〜14)について実施例1と同様に機械的性質(破断強度など)、形態(カールの有無)、手触り感などを調べた。その結果を表5に示す。
【0034】
【表5】
Figure 2004137654
【0035】
表5から明らかなように、試料11〜14は人毛に比べて稍太いものの、破断強度は人毛に比べ遥かに高いものであった。又、試料11〜14では全体に小さいカール及びクリンプが発現され、その手触り感はコシが強く柔軟で、人毛に匹敵するものであった。
【0036】
(実施例6)
実施例1の蚕繭単糸A2を複数本繰糸膠着して約21デニールの生糸B5とし、この生糸B5と実施例1の生糸B2(繊度が相違する第1の生糸と第2の生糸)を用い、その生糸B2,B5を一本ずつ撚り合わせ(撚数2000回/m)、これに加熱蒸気を吹き付けて撚り止めを行うことにより、バイラテラル構造をした人工毛髪用絹繊維Foを得た。
そして、その絹繊維Foを70℃の硝酸カルシウム水溶液(比重1.46)に2分間浸漬した後、これを常温で15分間流水洗浄したものを風乾して、塩縮加工糸(試料15)とした。この試料15においては太さが人毛と同等で全体に僅かなカール及びクリンプの発現が認められ、その手触り感は人毛のそれと差異が認められない程であった。
【0037】
(実施例7)
実施例1の生糸B1を5分練りしたものと同生糸B1を8分練りしたもの(精練割合が相違する第1の練糸と第2の練糸)を用い、これを一本ずつ撚り合わせ(撚数2000回/m)、これに加熱蒸気を吹き付けて撚り止めを行うことにより、バイラテラル構造をした人工毛髪用絹繊維Fpを得た。
そして、その絹繊維Fpを70℃の硝酸カルシウム水溶液(比重1.46)に2分間浸漬した後、これを常温で15分間流水洗浄したものを風乾して、塩縮加工糸(試料16)とした。この試料16も太さが人毛と同等で全体に僅かなカール及びクリンプの発現が認められ、その手触り感は人毛のそれと差異が認められない程であった。
【0038】
(実施例8)
実施例1の生糸B1を2本片撚り(500回/m)したものと、同生糸B1を2本片撚り(1000回/m)したもの(撚数が相違する第1の絹撚糸と第2の絹撚糸)を用い、これを一本ずつ撚り合わせ(撚数1200回/m)、これに加熱蒸気を吹き付けて撚り止めを行うことにより、バイラテラル構造をした人工毛髪用絹繊維Fqを得た。
そして、その絹繊維Fqを70℃の硝酸カルシウム水溶液(比重1.46)に2分間浸漬した後、これを常温で15分間流水洗浄したものを風乾して、塩縮加工糸(試料17)とした。この試料17は太さが人毛に比べて稍太いものの僅かなカール及びクリンプの発現が認められ、その手触り感は人毛のそれと差異が認められない程であった。
【0039】
(実施例9)
実施例1の生糸B1と、これに500回/mの撚りを加えたもの(絹撚糸と非加撚絹糸)を用い、これを一本ずつ撚り合わせ(撚数1500回/m)、これに加熱蒸気を吹き付けて撚り止めを行うことにより、バイラテラル構造をした人工毛髪用絹繊維Frを得た。
そして、その絹繊維Frを70℃の硝酸カルシウム水溶液(比重1.46)に2分間浸漬した後、これを常温で15分間流水洗浄したものを風乾して、塩縮加工糸(試料18)とした。この試料18は太さが人毛と同等で全体に僅かなカール及びクリンプの発現が認められ、その手触り感は人毛のそれと差異が認められない程であった。
【0040】
以上のように、本発明に係る人工毛髪用絹繊維は繊度調整が容易で、中性塩溶液により所望のカール及びクリンプを容易に発現させることができ、しかもカール及びクリンプの状態も絹糸の組み合わせなどで容易に調整できるほか、人毛と同程度の太さにしたものでは手触りも人毛のそれと酷似した。
【0041】
又、実施例1〜9の塩縮加工糸(試料1〜18)を60℃の黒色の反応染料水溶液中に30分(そのほか85℃の黒色の酸性染料水溶液中に15分)浸すことにより、良好に染色することができた。特に、塩縮加工しない絹糸に比べて濃色に染色できることも判明した。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば絹糸の撚り合わせにより繊維表面に規則的な凹凸が形成されるために光の乱反射で自然な光沢が発現され、しかもその撚目が人毛にみられるキューティクルのような作用をするために人毛と同等の触感が得られる。
【0043】
特に、性状の異なる絹糸を撚り合わせることから、塩縮加工を施すことによって所望のカール及びクリンプを容易に発現させることができ、しかも塩縮加工時に撚り合わせた絹糸同士を膠着せしめて解れを防止することができる。
【0044】
又、塩縮加工後に染色を施すようにしていることから、カール及びクリンプの発現を阻害せずして良好に染色でき、しかも得られる人工毛髪は絹製であるから吸湿性、柔軟性に優れ、軽量でもあるので鬘の毛髪材として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る人工毛髪の部分拡大図(実施例1の塩縮加工糸の顕微鏡写真)
【図2】本発明に係る人工毛髪の拡大断面図(実施例1の塩縮加工糸の顕微鏡写真)
【図3】本発明の実施例2に係る人工毛髪(絹繊維)の模式図
【符号の説明】
B1 生糸
C1 練糸
Fb  人工毛髪用絹繊維(B1+C1)

Claims (9)

  1. 性状が異なる少なくとも二種類の絹糸を撚り合わせて構成される人工毛髪用絹繊維。
  2. 性状が異なる絹糸として、生糸と練糸を用いたことを特徴とする請求項1記載の人工毛髪用絹繊維。
  3. 性状が異なる絹糸として、繊度が相違する第1の生糸と第2の生糸を用いたことを特徴とする請求項1記載の人工毛髪用絹繊維。
  4. 性状が異なる絹糸として、所定の繊度を有する第1の蚕繭単糸を複数本膠着されて成る生糸と前記蚕繭単糸よりも繊度の大きい第2の蚕繭単糸を複数本膠着されて成る生糸を用いたことを特徴とする請求項1記載の人工毛髪用絹繊維。
  5. 性状が異なる絹糸として、精練割合が相違する第1の練糸と第2の練糸を用いたことを特徴とする請求項1記載の人工毛髪用絹繊維。
  6. 性状が異なる絹糸として、単位長さ当たりの撚数が相違する第1の絹撚糸と第2の絹撚糸を用いたことを特徴とする請求項1記載の人工毛髪用絹繊維。
  7. 性状が異なる絹糸として、絹撚糸と非加撚絹糸を用いたことを特徴とする請求項1記載の人工毛髪用絹繊維。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の人工毛髪用絹繊維を中性塩溶液と接触させることを特徴とする人工毛髪の製造方法。
  9. 請求項1〜7の何れか一項に記載の人工毛髪用絹繊維を中性塩溶液と接触させて塩縮加工糸とした後、その塩縮加工糸に染色を施すことを特徴とする人工毛髪の製造方法。
JP2003205249A 2002-08-21 2003-08-01 人工毛髪用絹繊維及び人工毛髪の製造方法 Expired - Fee Related JP3809430B2 (ja)

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