JP2004137575A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高結晶水・低脈石で微粉を多く含有する多孔質のマラマンバ鉱石を焼結原料として使用しても、生産性や製品歩留を悪化させることがない焼結鉱の製造方法を提供する。
【解決手段】結晶水を3.0質量%以上、SiO2を4.0質量%以下、0.25mm以下の微粉を20質量%以上含有するマラマンバ鉱石に、結晶水を5.0質量%以上、SiO2を4.8質量%以上、0.25mm以下の微粉を20質量%未満含有するピソライト鉱石を添加して、SiO2が3.0〜5.0質量%、0.5mm以下の微粉が30質量%未満となる配合物とし、これに水分を5〜10質量%、特に好ましくは7.5〜9.5質量%添加して高速攪拌混合機で混合造粒した後、さらに、固体燃料およびその他の鉱石を添加し、再度、混合造粒した後に焼結する。
【選択図】 なし
【解決手段】結晶水を3.0質量%以上、SiO2を4.0質量%以下、0.25mm以下の微粉を20質量%以上含有するマラマンバ鉱石に、結晶水を5.0質量%以上、SiO2を4.8質量%以上、0.25mm以下の微粉を20質量%未満含有するピソライト鉱石を添加して、SiO2が3.0〜5.0質量%、0.5mm以下の微粉が30質量%未満となる配合物とし、これに水分を5〜10質量%、特に好ましくは7.5〜9.5質量%添加して高速攪拌混合機で混合造粒した後、さらに、固体燃料およびその他の鉱石を添加し、再度、混合造粒した後に焼結する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶水の含有率が高くかつ微粉の多い多孔質の劣質鉱石であるマラマンバ鉱石を使用する焼結鉱の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
焼結鉱は、その塩基度(CaO/SiO2)、SiO2含有量が目標値となるように鉄鉱石に石灰石、珪石、蛇紋岩等の副原料が配合され、さらに固体燃料を加えた配合原料がドラムミキサーやディスクペレタイザーで混合造粒された後、焼結機で焼成されて得られる。
【0003】
従来から結晶水を高濃度に含有する鉄鉱石を多量に配合して焼結すると、生産性や成品歩留等が悪化することが知られている。また、微粉の多い鉄鉱石を多量に配合した場合にも、生産性や成品歩留等を悪化させることもよく知られている。しかし、原料事情により今後さらに鉄鉱石原料は劣質化する傾向にあり、結晶水含有量は高いが微粉は比較的少ないピソライト鉱石に加え、結晶水含有率が高くかつ微粉の多いマラマンバ鉱石の配合比率を増加させた焼結鉱の製造技術の開発が喫緊の課題となっている。
【0004】
配合原料中の結晶水含有量が増加すると、その結晶水を分解し蒸発させるための熱量が余分に必要となり、固体燃料の添加量を増加させる必要がある。もし固体燃料の添加量を増加させないと、焼結ベッドが熱不足状態になり、成品焼結鉱の品質が低下したり、返鉱が増加して成品歩留が低下する。一方、逆に固体燃料の添加量が過多になると、焼結ベッドの赤熱帯が大幅に拡がり、さらには融液が過剰に生成して、焼結ベッドの通気抵抗が増えて生産性が低下したり、成品歩留が低下するなどの悪影響が見られる。
【0005】
また、微粉の含有量が高い原料を多く使用すると、配合原料の造粒性が悪くなり焼結ベッドの通気性が悪化して生産性が低下する。また、通気性悪化部位ならびにその下部の焼成が不十分となるために成品歩留も悪化する。
【0006】
さらに、マラマンバ鉱石は他の原料鉱石に比してSiO2含有量が少ないため、マラマンバ鉱石を使用すると、焼結鉱の塩基度(CaO/SiO2)一定の場合は焼結鉱中のSiO2低下に伴いCaO量も低下するので、焼結鉱形成に必要な造滓量が不足して、焼結鉱の成品歩留や強度が悪化することは良く知られている。
【0007】
またマラマンバ鉱石は、ピソライト鉱石と同様に気孔率の高い多孔質鉱石であるため、マラマンバ鉱石を使用する場合、造粒時に添加する水分の一部がその気孔中に侵入し、微粉鉱石を粗粒鉱石に付着させる水分が不足するため、配合原料の造粒性が悪化し、生産性や成品歩留、冷間強度が低下することになる。
【0008】
すなわち、粒径が0.25mm以下の微粉が多い多孔質な細粒原料であるマラマンバ鉱石を粗粒原料と高水分で造粒しても、粗粒原料への付着力が弱いために配合原料の擬似粒子強度が劣るので、焼結機への輸送中に粉化したり、焼結ベッド内での乾燥時に崩壊して焼結ベッドの通気性を悪化させ、生産性や成品歩留を低下させる問題があった。
【0009】
ここに、微粉を多く含有する鉄鉱石を使用する焼結鉱製造方法としては特許文献1〜5に、結晶水含有率が高くかつ微粉の多いマラマンバ鉱石の使用方法としては特許文献6に記載されている。
【0010】
特許文献1には「粒径が0.5mm以下の部分が30wt%以上の焼結原料を造粒するに際して、予め該原料を(例えば高速攪拌羽根を備えた混合機で)実質的に破砕することなく剪弾力を与えながら混合し、この混合の際に焼結原料の含水率を6.5〜10.0%とすることを特徴とする焼結原料の事前処理方法」が記載されている。
【0011】
特許文献2には「粒径0.5mm以下の粒子を30重量%以上含み、かつ焼結鉱のSiO2濃度が3.0〜4.7重量%となるように配合した焼結原料を一括して高速攪拌羽根を内蔵した混合機で混合した後に焼結することを特徴とする焼結鉱の製造方法」が記載されている。
【0012】
特許文献3には、「Al2O3を2wt%以上含有し、かつ、粒径が1mm以下の粒子を80wt%以上含有する焼結原料を処理する方法において、前記焼結原料の一部に、集塵機で捕集される乾ダストや湿ダストのうち1種又は2種以上と、水及びスラリー状のダストを添加し、目標水分となるように高速攪拌ミキサーで調湿、混合、造粒した後、これを前記焼結原料の残りと混合若しくは混合造粒することを特徴とする焼結原料の処理方法」が記載されている。
【0013】
特許文献4には、「原料槽から切り出される焼結原料の一部に微粉鉱石及びダストのうち1種又は2種以上を添加して(好ましくは高速攪拌ミキサーで)事前造粒した後、この事前造粒物を前記原料槽から切り出される残りの焼結原料と混合もしくは混合造粒する焼結原料の処理方法であって、事前造粒工程に供される核原料が下記条件を満たすものであることを特徴とする焼結原料処理方法。Al2O3含有量≦2wt%、粒径1mm以下のものの含有量≦50wt%、鉱石中の結晶水含有量≧5wt%」が記載されている。
【0014】
特許文献5には、「粒径0.5mm以下の粒子を30重量%以上含み、かつ焼結鉱のSiO2濃度が2.8〜4.7重量%となるように配合した焼結原料を高速攪拌混合機で混合造粒し、さらに、燃料成分を添加し、再度、造粒した後に焼結することを特徴とする焼結鉱の製造方法」が記載されている。
【0015】
特許文献6には、「結晶水を3.0質量%以上、SiO2を4.0質量%以下、0.25mm以下の微粉を25質量%以上含有する高結晶水・低脈石の鉄鉱石(例えばマラマンバ鉱石)を5質量%以上50質量%以下含む新原料に、返鉱、固体燃料を配合し、混合、造粒した配合原料を焼結機に装入、焼成して焼結鉱を製造する方法において、前記高結晶水・低脈石の鉄鉱石と多孔質ピソライト鉱石との混合物または混合・造粒物をその他の配合原料と混合、造粒して焼結することを特徴とする焼結鉱の製造方法」が記載されている。
【0016】
【特許文献1】
特許第2790008号公報
【特許文献2】
特許第2953308号公報
【特許文献3】
特開平10−280058号公報
【特許文献4】
特開平10−317069号公報
【特許文献5】
特開平11−61282号公報
【特許文献6】
特開2002−235121号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
マラマンバ鉱石はピソライト鉱石と同様に多孔質であり、造粒時に添加する水分の一部がその気孔中に侵入し、微粉鉱石を粗粒鉱石の表面に付着させる水分が不足するため、造粒性がその他の一般鉄鉱石より劣る。そのため、特許文献1、2、3または5記載の方法を用いて、微粉の多いマラマンバ鉱石を含む焼結原料の全体または一部を高速攪拌ミキサーを用いて混合造粒しても、微粉鉱石を粗粒鉱石の表面に十分付着することができず造粒物の強度を大幅に向上できない欠点がある。
【0018】
また、特許文献4記載の方法は、事前に核粒子となる粗粒の多い高結晶水鉱石(例えばピソライト鉱石)と微粉鉱石とを高速攪拌ミキサーで混合造粒することにより、造粒性が改善されるとするものである。しかし、微粉鉱石として吸水性の高い多孔質のマラマンバ鉱石を用いた場合には、単にこの方法の条件を適用するだけでは十分に高い造粒物の強度が得られない問題がある。また、マラマンバ鉱石は低脈石(特にSiO2含有量が低い)であるため、単にこの方法の条件を適用するだけでは焼結鉱の造滓量が減少するため製品歩留が維持できない問題がある。
【0019】
また、特許文献5記載の方法では、事前に核粒子となる粗粒の多いピソライト鉱石とマラマンバ鉱石とを混合造粒することにより、造粒性が改善されることが期待される。しかし、その混合造粒手段については具体的に言及されておらず、通常のドラムミキサーなどを用いては十分に高い造粒物強度が得られない問題がある。
【0020】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、高結晶水・低脈石で微粉を多く含有する多孔質のマラマンバ鉱石を焼結原料として使用しても、生産性や製品歩留を悪化させることがない焼結鉱の製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
その要旨は、結晶水を3.0質量%以上、SiO2を4.0質量%以下、0.25mm以下の微粉を20質量%以上含有するマラマンバ鉱石に、結晶水を5.0質量%以上、SiO2を4.8質量%以上、0.25mm以下の微粉を20質量%未満含有するピソライト鉱石を添加して、SiO2が3.0〜5.0質量%、0.5mm以下の微粉が30質量%未満となる配合物とし、この配合物を高速攪拌混合機で混合造粒した後、さらに、固体燃料およびその他の鉱石を添加し、再度、混合造粒した後に焼結することを特徴とする焼結鉱の製造方法である。
【0022】
さらに、前記配合物の含水率を5〜10質量%とすることを特徴とする焼結鉱の製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
結晶水を3.0質量%以上、SiO2を4.0質量%以下、0.25mm以下の微粉を20質量%以上含有するマラマンバ鉱石を焼結原料として使用すると造粒性が悪くなる。そこで、造粒性が悪いマラマンバ鉱石に、予め、結晶水を5.0質量%以上、SiO2を4.8質量%以上、0.25mm以下の微粉を20質量%未満含有するピソライト鉱石を添加して、SiO2が3.0〜5.0質量%、0.5mm以下の微粉が30質量%未満となる配合物とし、この配合物に適量の水分を加えて高速攪拌混合機で混合造粒する。これにより、多孔質なピソライト鉱石の開気孔内にマラマンバ鉱石の微粉の一部が付着し、フリーな微粉量が減少し微粉の少ない混合造粒物となる。この混合造粒物に固体燃料およびその他の鉱石を添加し、再度、混合造粒して配合原料とする。その結果、配合原料の擬似粒子平均径および擬似粒子強度が増加する。この配合原料を焼結することにより、焼結ベッドすなわち焼結過程の通気性が改善されて焼成が大幅に改善し、生産率や成品歩留が向上する。
【0024】
ここで、マラマンバ鉱石に事前に添加する対象物としてピソライト鉱石を選択したのは、その表面には開気孔が多いため微粉が付着し、または閉じ込められやすいからである。また、ピソライト鉱石の結晶水含有量を5.0質量%以上としたのは、その表面に十分な開気孔を有するものが好ましいからである。また、ピソライト鉱石のSiO2含有量を4.8質量%以上としたのは、マラマンバ鉱石のSiO2含有量が他の原料鉱石に比して低いため、焼結鉱の造滓量を確保する目的からである。さらに、ピソライト鉱石の0.25mm以下の微粉量を20質量%未満としたのは、粒径の大きい核粒子の割合を確保しつつピソライト鉱石の開気孔に付着し切らないフリーな微粉量を過剰にしないためである。
【0025】
また、マラマンバ鉱石にピソライト鉱石を添加した配合物のSiO2含有量を3.0〜5.0質量%としたのは、3.0質量%未満では焼結鉱の造滓量が不足して強度が低下するためであり、5.0質量%を超えると焼結鉱を高炉に使用した際に高炉内でのスラグ発生量が過剰となるためである。また、配合物の0.5mm以下の微粉量を30質量%未満としたのは、30質量%以上になるとフリーな微粉量が増加して擬似粒子化が阻害され、焼結過程の通気性が低下し始め、生産率や成品歩留に悪影響を及ぼすためである。
【0026】
配合物に水分を加えた後の混合造粒に高速攪拌混合機を用いるのは以下の理由による。高速攪拌混合機に備えられた高速攪拌羽根の強力な混合力により、添加水分が配合物全体に浸透し、微粉の粒子表面にも水膜が形成される。このため、微粉粒子の可塑性が向上し、ピソライト鉱石の開気孔に付着しやすくなり、フリーな微粉が確実に減少する。その結果、擬似粒子平均径および擬似粒子強度が増加し、焼結ベッドすなわち焼結過程の通気性が改善されて焼成が大幅に改善し、生産率や成品歩留が向上する。これに対し、高速攪拌混合機でなく通常のドラムミキサーやディスクペレタイザーを用いた場合には、混合力が弱いため、微粉粒子の表面に水分が行き渡らず可塑性が不足し、ピソライト鉱石の開気孔に十分付着せず、フリーな微粉が多量に残留してしまう。
【0027】
配合物の含水率は5〜10質量%となるように水分添加量を調整することが好ましい。5質量%未満では水分量が不足するため、上記微粉粒子の可塑性が十分に得られず造粒性が低下するからであり、10質量%を超えると水分が過剰となるため却って焼結過程における通気性が低下するからである。配合物の含水率の推奨範囲は、後述の実施例2で示すように、7.5〜9.5質量%である。なお、従来の焼結原料の含水率は通常7質量%程度であり、ドラムミキサーやディスクペレタイザーで混合造粒が可能であった。しかし、含水率が8質量%以上になるとドラムミキサーやディスクペレタイザーでは造粒が困難になることが知られている。これに対し、高速攪拌混合機では少なくとも含水率10質量%までは問題なく造粒ができる。
【0028】
以上のように、マラマンバ鉱石とピソライト鉱石を事前に混合造粒した混合造粒物をその他の配合原料と混合、造粒して、焼結機のサージホッパーに装入し、ドラムフィーダー等を介してパレットに充填装入した後、点火炉で焼結ベッド表面に点火し、吸引ブロアーで焼結ベッド下方に吸引しながら焼結するという通常の焼結操業を行うだけで、マラマンバ鉱石の多量配合が可能になる。
【0029】
【実施例】
〔実施例1〕
マラマンバ鉱石として豪州産のウェストアンジェラス鉱(WAと略称)、ピソライト鉱石として同じく豪州産のローブリバー鉱とヤンディ鉱とを質量比で1:3の割合で混合したもの(POと略称)を用い、WA+POで新原料中40質量%(一定)を占める配合とした。新原料中のWAおよびPO以外の原料は、ハマスレー鉱:15.8質量%、カラジャス鉱:21.7質量%、リオドセ鉱:6.0質量%、珪石:0.9質量%、石灰石:12.9質量%、生石灰:2.0質量%、蛇紋岩:0.7質量%で、それぞれ一定の配合率とした。そして、新原料に対する外割合として、返鉱:20質量%、粉コークス:5.5質量%を配合した。
【0030】
WAとPOの結晶水含有量、SiO2含有量、および粒度分布を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表2に、比較例と発明例のWAおよびPOの配合割合と、WA+POの混合造粒前の−0.5mmの微粉の割合を示す。
【0033】
【表2】
【0034】
WAとPOとを表2の配合割合で配合し、WA+POの合計量に対して外割合で9質量%の水分を添加し、高速攪拌混合機で混合造粒を行った。ここに、高速攪拌混合機としては、高速攪拌羽根(アジテータ)を内蔵したアイリッヒミキサー(処理量:3〜5L/バッチ、パン回転数:47rpm、アジテータ回転数:891rpm、滞留時間:45s)を用いた。
WA+POに水分を添加したものをアイリッヒミキサーで混合造粒した後に、残りの配合原料(その他の新原料、返鉱、粉コークス)を添加し、配合原料全体に対する外割合で7.0質量%の含水率となるように水分を追加し、ドラムミキサー(処理量:5〜7kg/バッチ、ドラム回転数:37rpm、滞留時間:8min)で混合造粒し焼結原料とした。
【0035】
この焼結原料を焼結鍋試験装置(大気吸引、吸引圧:3.23kPa)に充填し、着火直後の冷間通気性指数JPUを測定した。測定結果を図1に示す。図1に示すように、配合物(WA+PO)中の−0.5mmの微粉の割合が30質量%以上になるとJPUが低下する傾向が認められるが、30質量%未満では、JPUはほぼ一定の高い値に保たれ、通気性が維持されることが分かった。
【0036】
〔実施例2〕
次に、上記実施例1で用いた発明例2の配合で、高速攪拌の際の添加水分量のみを7から10質量%まで順次変更して、上記実施例1と同様の手順で焼結原料を製作し、上記焼結鍋試験装置により焼結鉱の製造実験を行った。図2に、この実験結果から得られた、高速攪拌の際の添加水分量と焼結鉱の生産率との関係を●印で示す(本発明例)。高速攪拌の際の添加水分量が、従来の焼結原料で通常用いられる7質量%から8質量%に増加することにより、生産率が大幅に上昇する。しかし、さらに添加水分量が増加しても生産率が頭打ちになり、9質量%を超えると生産率が減少し始める傾向が見られる。
【0037】
なお、図中◆印は、マラマンバ鉱石を用いていない(WA:PO=0:40、他の配合原料は実施例1と同じ)従来の配合原料を含水率7質量%で一括してドラムミキサーで混合造粒したものを焼結した際の生産率である(従来例)。また、図中▲印は、配合原料全体で上記発明例2と同一の配合のものを含水率7質量%で一括してドラムミキサーだけで混合造粒したものを焼結した際の生産率である(比較例)。したがって、従来の造粒方法を用いた場合には、マラマンバ鉱石(WA)を新原料に対し20質量%用いることにより、図中の破線で示す従来の生産率のレベルから一点鎖線で示す生産率のレベルまで約12%低下することが予測される。
【0038】
これに対し、本発明を適用することにより、マラマンバ鉱石(WA)を新原料に対し20質量%用いても図中の実線で示すように、破線で示す従来の生産率レベルにまで生産率が回復し、特に高速攪拌の際の含水率を7.5〜9.5質量%とすることにより、従来の生産率レベルを超える高い生産率が達成できることがわかった。
【0039】
また、上記焼結鍋試験装置により製造されたシンターケーキの落下強度を測定したところ、本発明を適用したものは、従来のマラマンバ鉱石を用いていない配合原料をドラムミキサーだけで一括造粒したものとほぼ同等の落下強度が得られ、従来とほぼ同等の成品歩留のレベルを維持できることがわかった。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたところから明らかなように、本発明によれば、高結晶水・低脈石で微粉を多く含有する多孔質のマラマンバ鉱石を焼結原料として使用しても、生産性や製品歩留を悪化させることがない焼結鉱の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マラマンバ鉱石とピソライト鉱石とからなる配合物中の−0.5mmの微粉の割合と冷間通気性指数JPUとの関係を示すグラフ図である。
【図2】高速攪拌の際の添加水分量と焼結鉱の生産率との関係を示すグラフ図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶水の含有率が高くかつ微粉の多い多孔質の劣質鉱石であるマラマンバ鉱石を使用する焼結鉱の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
焼結鉱は、その塩基度(CaO/SiO2)、SiO2含有量が目標値となるように鉄鉱石に石灰石、珪石、蛇紋岩等の副原料が配合され、さらに固体燃料を加えた配合原料がドラムミキサーやディスクペレタイザーで混合造粒された後、焼結機で焼成されて得られる。
【0003】
従来から結晶水を高濃度に含有する鉄鉱石を多量に配合して焼結すると、生産性や成品歩留等が悪化することが知られている。また、微粉の多い鉄鉱石を多量に配合した場合にも、生産性や成品歩留等を悪化させることもよく知られている。しかし、原料事情により今後さらに鉄鉱石原料は劣質化する傾向にあり、結晶水含有量は高いが微粉は比較的少ないピソライト鉱石に加え、結晶水含有率が高くかつ微粉の多いマラマンバ鉱石の配合比率を増加させた焼結鉱の製造技術の開発が喫緊の課題となっている。
【0004】
配合原料中の結晶水含有量が増加すると、その結晶水を分解し蒸発させるための熱量が余分に必要となり、固体燃料の添加量を増加させる必要がある。もし固体燃料の添加量を増加させないと、焼結ベッドが熱不足状態になり、成品焼結鉱の品質が低下したり、返鉱が増加して成品歩留が低下する。一方、逆に固体燃料の添加量が過多になると、焼結ベッドの赤熱帯が大幅に拡がり、さらには融液が過剰に生成して、焼結ベッドの通気抵抗が増えて生産性が低下したり、成品歩留が低下するなどの悪影響が見られる。
【0005】
また、微粉の含有量が高い原料を多く使用すると、配合原料の造粒性が悪くなり焼結ベッドの通気性が悪化して生産性が低下する。また、通気性悪化部位ならびにその下部の焼成が不十分となるために成品歩留も悪化する。
【0006】
さらに、マラマンバ鉱石は他の原料鉱石に比してSiO2含有量が少ないため、マラマンバ鉱石を使用すると、焼結鉱の塩基度(CaO/SiO2)一定の場合は焼結鉱中のSiO2低下に伴いCaO量も低下するので、焼結鉱形成に必要な造滓量が不足して、焼結鉱の成品歩留や強度が悪化することは良く知られている。
【0007】
またマラマンバ鉱石は、ピソライト鉱石と同様に気孔率の高い多孔質鉱石であるため、マラマンバ鉱石を使用する場合、造粒時に添加する水分の一部がその気孔中に侵入し、微粉鉱石を粗粒鉱石に付着させる水分が不足するため、配合原料の造粒性が悪化し、生産性や成品歩留、冷間強度が低下することになる。
【0008】
すなわち、粒径が0.25mm以下の微粉が多い多孔質な細粒原料であるマラマンバ鉱石を粗粒原料と高水分で造粒しても、粗粒原料への付着力が弱いために配合原料の擬似粒子強度が劣るので、焼結機への輸送中に粉化したり、焼結ベッド内での乾燥時に崩壊して焼結ベッドの通気性を悪化させ、生産性や成品歩留を低下させる問題があった。
【0009】
ここに、微粉を多く含有する鉄鉱石を使用する焼結鉱製造方法としては特許文献1〜5に、結晶水含有率が高くかつ微粉の多いマラマンバ鉱石の使用方法としては特許文献6に記載されている。
【0010】
特許文献1には「粒径が0.5mm以下の部分が30wt%以上の焼結原料を造粒するに際して、予め該原料を(例えば高速攪拌羽根を備えた混合機で)実質的に破砕することなく剪弾力を与えながら混合し、この混合の際に焼結原料の含水率を6.5〜10.0%とすることを特徴とする焼結原料の事前処理方法」が記載されている。
【0011】
特許文献2には「粒径0.5mm以下の粒子を30重量%以上含み、かつ焼結鉱のSiO2濃度が3.0〜4.7重量%となるように配合した焼結原料を一括して高速攪拌羽根を内蔵した混合機で混合した後に焼結することを特徴とする焼結鉱の製造方法」が記載されている。
【0012】
特許文献3には、「Al2O3を2wt%以上含有し、かつ、粒径が1mm以下の粒子を80wt%以上含有する焼結原料を処理する方法において、前記焼結原料の一部に、集塵機で捕集される乾ダストや湿ダストのうち1種又は2種以上と、水及びスラリー状のダストを添加し、目標水分となるように高速攪拌ミキサーで調湿、混合、造粒した後、これを前記焼結原料の残りと混合若しくは混合造粒することを特徴とする焼結原料の処理方法」が記載されている。
【0013】
特許文献4には、「原料槽から切り出される焼結原料の一部に微粉鉱石及びダストのうち1種又は2種以上を添加して(好ましくは高速攪拌ミキサーで)事前造粒した後、この事前造粒物を前記原料槽から切り出される残りの焼結原料と混合もしくは混合造粒する焼結原料の処理方法であって、事前造粒工程に供される核原料が下記条件を満たすものであることを特徴とする焼結原料処理方法。Al2O3含有量≦2wt%、粒径1mm以下のものの含有量≦50wt%、鉱石中の結晶水含有量≧5wt%」が記載されている。
【0014】
特許文献5には、「粒径0.5mm以下の粒子を30重量%以上含み、かつ焼結鉱のSiO2濃度が2.8〜4.7重量%となるように配合した焼結原料を高速攪拌混合機で混合造粒し、さらに、燃料成分を添加し、再度、造粒した後に焼結することを特徴とする焼結鉱の製造方法」が記載されている。
【0015】
特許文献6には、「結晶水を3.0質量%以上、SiO2を4.0質量%以下、0.25mm以下の微粉を25質量%以上含有する高結晶水・低脈石の鉄鉱石(例えばマラマンバ鉱石)を5質量%以上50質量%以下含む新原料に、返鉱、固体燃料を配合し、混合、造粒した配合原料を焼結機に装入、焼成して焼結鉱を製造する方法において、前記高結晶水・低脈石の鉄鉱石と多孔質ピソライト鉱石との混合物または混合・造粒物をその他の配合原料と混合、造粒して焼結することを特徴とする焼結鉱の製造方法」が記載されている。
【0016】
【特許文献1】
特許第2790008号公報
【特許文献2】
特許第2953308号公報
【特許文献3】
特開平10−280058号公報
【特許文献4】
特開平10−317069号公報
【特許文献5】
特開平11−61282号公報
【特許文献6】
特開2002−235121号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
マラマンバ鉱石はピソライト鉱石と同様に多孔質であり、造粒時に添加する水分の一部がその気孔中に侵入し、微粉鉱石を粗粒鉱石の表面に付着させる水分が不足するため、造粒性がその他の一般鉄鉱石より劣る。そのため、特許文献1、2、3または5記載の方法を用いて、微粉の多いマラマンバ鉱石を含む焼結原料の全体または一部を高速攪拌ミキサーを用いて混合造粒しても、微粉鉱石を粗粒鉱石の表面に十分付着することができず造粒物の強度を大幅に向上できない欠点がある。
【0018】
また、特許文献4記載の方法は、事前に核粒子となる粗粒の多い高結晶水鉱石(例えばピソライト鉱石)と微粉鉱石とを高速攪拌ミキサーで混合造粒することにより、造粒性が改善されるとするものである。しかし、微粉鉱石として吸水性の高い多孔質のマラマンバ鉱石を用いた場合には、単にこの方法の条件を適用するだけでは十分に高い造粒物の強度が得られない問題がある。また、マラマンバ鉱石は低脈石(特にSiO2含有量が低い)であるため、単にこの方法の条件を適用するだけでは焼結鉱の造滓量が減少するため製品歩留が維持できない問題がある。
【0019】
また、特許文献5記載の方法では、事前に核粒子となる粗粒の多いピソライト鉱石とマラマンバ鉱石とを混合造粒することにより、造粒性が改善されることが期待される。しかし、その混合造粒手段については具体的に言及されておらず、通常のドラムミキサーなどを用いては十分に高い造粒物強度が得られない問題がある。
【0020】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、高結晶水・低脈石で微粉を多く含有する多孔質のマラマンバ鉱石を焼結原料として使用しても、生産性や製品歩留を悪化させることがない焼結鉱の製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
その要旨は、結晶水を3.0質量%以上、SiO2を4.0質量%以下、0.25mm以下の微粉を20質量%以上含有するマラマンバ鉱石に、結晶水を5.0質量%以上、SiO2を4.8質量%以上、0.25mm以下の微粉を20質量%未満含有するピソライト鉱石を添加して、SiO2が3.0〜5.0質量%、0.5mm以下の微粉が30質量%未満となる配合物とし、この配合物を高速攪拌混合機で混合造粒した後、さらに、固体燃料およびその他の鉱石を添加し、再度、混合造粒した後に焼結することを特徴とする焼結鉱の製造方法である。
【0022】
さらに、前記配合物の含水率を5〜10質量%とすることを特徴とする焼結鉱の製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
結晶水を3.0質量%以上、SiO2を4.0質量%以下、0.25mm以下の微粉を20質量%以上含有するマラマンバ鉱石を焼結原料として使用すると造粒性が悪くなる。そこで、造粒性が悪いマラマンバ鉱石に、予め、結晶水を5.0質量%以上、SiO2を4.8質量%以上、0.25mm以下の微粉を20質量%未満含有するピソライト鉱石を添加して、SiO2が3.0〜5.0質量%、0.5mm以下の微粉が30質量%未満となる配合物とし、この配合物に適量の水分を加えて高速攪拌混合機で混合造粒する。これにより、多孔質なピソライト鉱石の開気孔内にマラマンバ鉱石の微粉の一部が付着し、フリーな微粉量が減少し微粉の少ない混合造粒物となる。この混合造粒物に固体燃料およびその他の鉱石を添加し、再度、混合造粒して配合原料とする。その結果、配合原料の擬似粒子平均径および擬似粒子強度が増加する。この配合原料を焼結することにより、焼結ベッドすなわち焼結過程の通気性が改善されて焼成が大幅に改善し、生産率や成品歩留が向上する。
【0024】
ここで、マラマンバ鉱石に事前に添加する対象物としてピソライト鉱石を選択したのは、その表面には開気孔が多いため微粉が付着し、または閉じ込められやすいからである。また、ピソライト鉱石の結晶水含有量を5.0質量%以上としたのは、その表面に十分な開気孔を有するものが好ましいからである。また、ピソライト鉱石のSiO2含有量を4.8質量%以上としたのは、マラマンバ鉱石のSiO2含有量が他の原料鉱石に比して低いため、焼結鉱の造滓量を確保する目的からである。さらに、ピソライト鉱石の0.25mm以下の微粉量を20質量%未満としたのは、粒径の大きい核粒子の割合を確保しつつピソライト鉱石の開気孔に付着し切らないフリーな微粉量を過剰にしないためである。
【0025】
また、マラマンバ鉱石にピソライト鉱石を添加した配合物のSiO2含有量を3.0〜5.0質量%としたのは、3.0質量%未満では焼結鉱の造滓量が不足して強度が低下するためであり、5.0質量%を超えると焼結鉱を高炉に使用した際に高炉内でのスラグ発生量が過剰となるためである。また、配合物の0.5mm以下の微粉量を30質量%未満としたのは、30質量%以上になるとフリーな微粉量が増加して擬似粒子化が阻害され、焼結過程の通気性が低下し始め、生産率や成品歩留に悪影響を及ぼすためである。
【0026】
配合物に水分を加えた後の混合造粒に高速攪拌混合機を用いるのは以下の理由による。高速攪拌混合機に備えられた高速攪拌羽根の強力な混合力により、添加水分が配合物全体に浸透し、微粉の粒子表面にも水膜が形成される。このため、微粉粒子の可塑性が向上し、ピソライト鉱石の開気孔に付着しやすくなり、フリーな微粉が確実に減少する。その結果、擬似粒子平均径および擬似粒子強度が増加し、焼結ベッドすなわち焼結過程の通気性が改善されて焼成が大幅に改善し、生産率や成品歩留が向上する。これに対し、高速攪拌混合機でなく通常のドラムミキサーやディスクペレタイザーを用いた場合には、混合力が弱いため、微粉粒子の表面に水分が行き渡らず可塑性が不足し、ピソライト鉱石の開気孔に十分付着せず、フリーな微粉が多量に残留してしまう。
【0027】
配合物の含水率は5〜10質量%となるように水分添加量を調整することが好ましい。5質量%未満では水分量が不足するため、上記微粉粒子の可塑性が十分に得られず造粒性が低下するからであり、10質量%を超えると水分が過剰となるため却って焼結過程における通気性が低下するからである。配合物の含水率の推奨範囲は、後述の実施例2で示すように、7.5〜9.5質量%である。なお、従来の焼結原料の含水率は通常7質量%程度であり、ドラムミキサーやディスクペレタイザーで混合造粒が可能であった。しかし、含水率が8質量%以上になるとドラムミキサーやディスクペレタイザーでは造粒が困難になることが知られている。これに対し、高速攪拌混合機では少なくとも含水率10質量%までは問題なく造粒ができる。
【0028】
以上のように、マラマンバ鉱石とピソライト鉱石を事前に混合造粒した混合造粒物をその他の配合原料と混合、造粒して、焼結機のサージホッパーに装入し、ドラムフィーダー等を介してパレットに充填装入した後、点火炉で焼結ベッド表面に点火し、吸引ブロアーで焼結ベッド下方に吸引しながら焼結するという通常の焼結操業を行うだけで、マラマンバ鉱石の多量配合が可能になる。
【0029】
【実施例】
〔実施例1〕
マラマンバ鉱石として豪州産のウェストアンジェラス鉱(WAと略称)、ピソライト鉱石として同じく豪州産のローブリバー鉱とヤンディ鉱とを質量比で1:3の割合で混合したもの(POと略称)を用い、WA+POで新原料中40質量%(一定)を占める配合とした。新原料中のWAおよびPO以外の原料は、ハマスレー鉱:15.8質量%、カラジャス鉱:21.7質量%、リオドセ鉱:6.0質量%、珪石:0.9質量%、石灰石:12.9質量%、生石灰:2.0質量%、蛇紋岩:0.7質量%で、それぞれ一定の配合率とした。そして、新原料に対する外割合として、返鉱:20質量%、粉コークス:5.5質量%を配合した。
【0030】
WAとPOの結晶水含有量、SiO2含有量、および粒度分布を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表2に、比較例と発明例のWAおよびPOの配合割合と、WA+POの混合造粒前の−0.5mmの微粉の割合を示す。
【0033】
【表2】
【0034】
WAとPOとを表2の配合割合で配合し、WA+POの合計量に対して外割合で9質量%の水分を添加し、高速攪拌混合機で混合造粒を行った。ここに、高速攪拌混合機としては、高速攪拌羽根(アジテータ)を内蔵したアイリッヒミキサー(処理量:3〜5L/バッチ、パン回転数:47rpm、アジテータ回転数:891rpm、滞留時間:45s)を用いた。
WA+POに水分を添加したものをアイリッヒミキサーで混合造粒した後に、残りの配合原料(その他の新原料、返鉱、粉コークス)を添加し、配合原料全体に対する外割合で7.0質量%の含水率となるように水分を追加し、ドラムミキサー(処理量:5〜7kg/バッチ、ドラム回転数:37rpm、滞留時間:8min)で混合造粒し焼結原料とした。
【0035】
この焼結原料を焼結鍋試験装置(大気吸引、吸引圧:3.23kPa)に充填し、着火直後の冷間通気性指数JPUを測定した。測定結果を図1に示す。図1に示すように、配合物(WA+PO)中の−0.5mmの微粉の割合が30質量%以上になるとJPUが低下する傾向が認められるが、30質量%未満では、JPUはほぼ一定の高い値に保たれ、通気性が維持されることが分かった。
【0036】
〔実施例2〕
次に、上記実施例1で用いた発明例2の配合で、高速攪拌の際の添加水分量のみを7から10質量%まで順次変更して、上記実施例1と同様の手順で焼結原料を製作し、上記焼結鍋試験装置により焼結鉱の製造実験を行った。図2に、この実験結果から得られた、高速攪拌の際の添加水分量と焼結鉱の生産率との関係を●印で示す(本発明例)。高速攪拌の際の添加水分量が、従来の焼結原料で通常用いられる7質量%から8質量%に増加することにより、生産率が大幅に上昇する。しかし、さらに添加水分量が増加しても生産率が頭打ちになり、9質量%を超えると生産率が減少し始める傾向が見られる。
【0037】
なお、図中◆印は、マラマンバ鉱石を用いていない(WA:PO=0:40、他の配合原料は実施例1と同じ)従来の配合原料を含水率7質量%で一括してドラムミキサーで混合造粒したものを焼結した際の生産率である(従来例)。また、図中▲印は、配合原料全体で上記発明例2と同一の配合のものを含水率7質量%で一括してドラムミキサーだけで混合造粒したものを焼結した際の生産率である(比較例)。したがって、従来の造粒方法を用いた場合には、マラマンバ鉱石(WA)を新原料に対し20質量%用いることにより、図中の破線で示す従来の生産率のレベルから一点鎖線で示す生産率のレベルまで約12%低下することが予測される。
【0038】
これに対し、本発明を適用することにより、マラマンバ鉱石(WA)を新原料に対し20質量%用いても図中の実線で示すように、破線で示す従来の生産率レベルにまで生産率が回復し、特に高速攪拌の際の含水率を7.5〜9.5質量%とすることにより、従来の生産率レベルを超える高い生産率が達成できることがわかった。
【0039】
また、上記焼結鍋試験装置により製造されたシンターケーキの落下強度を測定したところ、本発明を適用したものは、従来のマラマンバ鉱石を用いていない配合原料をドラムミキサーだけで一括造粒したものとほぼ同等の落下強度が得られ、従来とほぼ同等の成品歩留のレベルを維持できることがわかった。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたところから明らかなように、本発明によれば、高結晶水・低脈石で微粉を多く含有する多孔質のマラマンバ鉱石を焼結原料として使用しても、生産性や製品歩留を悪化させることがない焼結鉱の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マラマンバ鉱石とピソライト鉱石とからなる配合物中の−0.5mmの微粉の割合と冷間通気性指数JPUとの関係を示すグラフ図である。
【図2】高速攪拌の際の添加水分量と焼結鉱の生産率との関係を示すグラフ図である。
Claims (2)
- 結晶水を3.0質量%以上、SiO2を4.0質量%以下、0.25mm以下の微粉を20質量%以上含有するマラマンバ鉱石に、結晶水を5.0質量%以上、SiO2を4.8質量%以上、0.25mm以下の微粉を20質量%未満含有するピソライト鉱石を添加して、SiO2が3.0〜5.0質量%、0.5mm以下の微粉が30質量%未満となる配合物とし、この配合物を高速攪拌混合機で混合造粒した後、さらに、固体燃料およびその他の鉱石を添加し、再度、混合造粒した後に焼結することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
- 前記配合物の含水率を5〜10質量%とすることを特徴とする請求項1記載の焼結鉱の製造方法。
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