JP3675105B2 - 焼結原料処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼結原料の焼結時における原料の擬似粒子化を促進し、通気性の向上による生産性の改善が図れる焼結原料処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉装入物中、焼結鉱は最も多く、その生産量及び品質は高炉操業に多大な影響を与える。ここでドワイトロイド式焼結機(以下、「DL式焼結機」という)においては、給鉱部からパレット上に400〜600mm程度の層厚で供給された焼結原料層に表面側から点火した後、焼結原料層の上部から下部に向かって空気を吸引し、原料中に混合してあるコークスを順次燃焼させ、ここで発生した熱によって原料鉱石粒子相互の焼結反応及び溶融反応を促進して焼成し、これを冷却する事によって気孔率の高い塊状の焼結鉱を得ている。
【0003】
このDL式焼結機を用いた焼結鉱の製造においては、焼結は焼結原料と粉コークスを混合したものをパレット上に装入し、焼成するものであるから、焼成過程での原料帯及び焼成帯における通気性を改善することが生産性及び品質の向上につながる。
【0004】
そこで、DL式焼結機上での通気性改善策として、例えば特開昭60−248827号では、0.125mm以下の粒子を70wt%以上含有する微粉鉱石と、平均粒度が1.50mm以下の石灰石粉、生石灰、又は消石灰のうち1種又は2種以上とを用い、完成焼結原料の重量を基準にして、1.0wt%以上の微粉鉱石と、石灰石粉、生石灰又は消石灰のうちの1種類又は2種類以上を0.5wt%以上と、粗粒鉱石の粗粒鉱石重量/(微粉鉱石+石灰石粉+生石灰+消石灰)重量=20/80〜60/40の範囲の量とを事前造粒し、これを焼結主原料と混合又は混合造粒する方法が提案されている。
【0005】
また、高結晶水鉱石配合時の歩留改善策としては、例えば特開平3−47927号では、結合水/T.Fe≦0.03の高ゲーサイト鉱石を焼結原料の一部として使用し、高ゲーサイト鉱石の全量あるいは一部と含MgO-SiO2副原料粉および固体炭素粉とを−1mm部混合条件が下記▲1▼▲2▼式を満たすように配合し、調湿、造粒した後、他の原料に配合する方法が提案されている。
1%+{(−1mm部結合水%−8%)/15}≦Cwt%≦3%+{(−1mm部結合水%−8%)/15} …▲1▼
0.12≦{含MgO-SiO2副原料wt%(除結合水)}/高ゲーサイト鉱石wt%(除結合水)≦0.5 …▲2▼
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、焼結原料の微粉化やダスト類を増配する傾向にあり、従って造粒性の低下を抑制するために焼結原料を分割して事前造粒する。しかし、この事前造粒によって微粉焼結原料の擬似造粒化が促進されるものの、十分に事前造粒の効果を引き出すには至っていない。こうした傾向にあって、事前造粒における造粒物は、核原料となる銘柄の粘着性による擬似粒化度とその成分による焼成時の融液の流動性によって造粒性が左右される。
【0007】
また、上記特開昭60−248827号では事前造粒し、生石灰などを配合することで造粒性を向上させる旨が記載されているが、この方法ではある程度の擬似粒化は可能となるが、造粒物の核となる原料が少ないために、十分に事前造粒の効果を得ることができないといった不具合があった。
【0008】
また、上記した特開平3−47927号では、焼結原料として有効に利用することが困難であったゲーサイト鉱石を利用して、耐還元粉化性のよい焼結鉱を歩留、生産性よく製造する旨が記載されているものの、基本的に焼結原料としては不向きであったゲーサイトを多配して得る焼結鉱は、その際に結合水を除去するための脱水工程を加える必要が生じるばかりか、固体炭素粉を焼結原料に含有させる必要が生じる。
【0009】
さらに、高炉操業上、成分的にもAl2O3 の含有量が多く、粒度が細かい砂鉄でも焼結では利用せざるを得ない状況となっている。そのような状況において、Al2O3 を焼結原料として制限なく配合すると、造粒物の還元粉化性に悪影響を及ぼし、かつ高炉スラグ粘性増しに伴う炉況悪化も引き起こすといった問題がある。
【0010】
本発明は、以上の諸事情を鑑みてなされたものであり、事前造粒系処理における核原料の化学成分及び粒度を規定することにより生産性及び品質の改善を図ることができる焼結原料処理方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の焼結原料処理方法は、高速攪拌ミキサーを含む2機のミキサーで行う事前造粒時に供される核原料について、Al2O3 含有量≦2wt%、粒径1mm以下のものの含有量≦50wt%、鉱石中の結晶水含有量≧5wt%と規定したのである。これにより、焼成前のトータルとしての造粒物の品質の向上が図れる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の焼結原料処理方法は、原料槽から切り出される焼結原料の一部に微粉鉱石及びダストのうち1種又は2種以上を添加して事前造粒した後、この事前造粒物を前記原料槽から切り出される残りの焼結原料(一次ドラムミキサーで混合造粒する前の焼結原料を除く)と混合造粒する焼結原料の処理方法であって、事前造粒工程は、高速攪拌ミキサーを含む2機のミキサーから構成され、事前造粒工程に供される核原料が下記条件を満たすものである。
Al2O3 含有量≦2wt%
粒径1mm以下のものの含有量≦50wt%
鉱石中の結晶水含有量≧5wt%
【0013】
上記方法において、核原料についての各限定理由は以下のとおりである。
1)Al2O3 含有量≦2wt%とした理由
Al2O3 が核となって擬似粒子が形成されると、この擬似粒子は後の焼結原料層の下層部に偏析される。擬似粒子は下層部で融着帯の到達までは通気性を保つが融着帯に到達すると粘性がより上昇し、通気性の低下を招く。そこで、本発明ではAl2O3 含有量を2wt%以下とした。
【0014】
2)粒径1mm以下のものの含有量≦50wt%とした理由
近年、ダストなどの微粉原料を採用する傾向にあるが、粒径が1mm以下のものの含有量が50wt%より多い場合は、造粒物の核の働きをする原料が少ないために造粒率が低下してしまう。そこで、本発明では、粒径1mm以下のものの含有量を50wt%以下とした。
【0015】
3)鉱石中の結晶水含有量≧5wt%とした理由
結晶水の含まれた鉱石が核となって擬似粒子が形成されるが、この擬似粒子が焼結原料層の下層部に偏析されると、下層部で肥大化する融着帯を結晶水で抑えることになる。そして、結晶水がガス化した後の焼結鉱は多孔質となり、被還元化が得られる。しかし、結晶水の含有量が5wt%より少ない場合には、上記作用を奏することができない。そこで、本発明では、鉱石中の結晶水含有量を5wt%以上とした。
【0016】
なお、必ずしも必要ではないが、焼結原料層の下層部において、融着帯での粘性が低く、該融着帯での通気性を確保するために、Al2O3 と逆の性質を有するSiO2の含有量が3wt%以上という条件を加えれば一層好適な造粒物を得ることができる。
【0017】
また、本発明の焼結原料処理方法における事前造粒工程は、高速攪拌ミキサーを含む2機のミキサーから構成するものである。このように、高速攪拌ミキサーを用いることにより、焼結原料がより一層攪拌されて混合ムラがなくなり、さらに次のミキサーにて混合されることにより、造粒性が向上する。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の焼結原料処理方法の実施例を図1〜図3を参照して説明する。図1は、本発明の焼結原料処理方法を実施する焼結鉱製造ラインを示す。図2は、核原料銘柄を変更したときの粒径2mm以下の造粒率を示す。図3は、各核銘柄を採用した場合における造粒物の特性を示す。
【0019】
図1において、1は焼結原料の原料槽であり、これらの原料槽1より切り出された焼結原料は、通常は1次ドラムミキサー2で水分や生石灰が配合されて混合、調湿、造粒され、2次ドラムミキサー3で水分を微調整されて造粒を強化され、所定の物理性状を有する配合原料となされる。そして、配合原料槽4を介して焼結機5のパレット5a上に装入し、点火炉6で表面側から着火し、以後、主排風機7による吸引により、パレット5aの移動に伴って順次下部に向かって焼成される。なお、8は、集塵機である。
【0020】
しかしながら、上記のような焼結原料処理方法によれば、焼結原料の細粒化が進んだり、環境上の観点から集塵ダスト等の焼結再利用が増加すると通気性が悪化し、焼成速度が遅くなり、冷却速度も低下することにより生産性及び品質が悪化する。
【0021】
そこで、本発明の原料処理方法では、原料槽1から切り出される焼結原料の全てを従来系処理の1次ドラムミキサー2、及び2次ドラムミキサー3にて処理するのではなく、その一部、例えば焼結原料の20wt%を事前造粒系処理として高速攪拌ミキサー9、3次ドラムミキサー10に導入して処理する。
【0022】
その際、微粉原料及びダストのみではある程度の擬似粒子化は可能であるが、その強度及び擬似粒化度の向上には造粒物の核となる原料が不可欠である。しかし、核原料としては粗粒であればよいというものではなく、その付着性による造粒率の改善及び造粒後の偏析による熱間通気性の観点から生産性及び品質をトータルして評価する必要がある。
【0023】
そこで、本発明は、事前造粒系に供される焼結原料として、Al2O3 含有量≦2wt%、粒径1mm以下のものの含有量≦50wt%、鉱石中の結晶水含有量≧5wt%の条件を満たすものを核原料として供することとしたのである。
【0024】
以下に、本発明の効果を確認するために行った実験結果について説明する。
まず、実験に供した焼結原料とその配合割合についてを表1に、また、その原料の物理、化学性状を表2に各々示す。さらに、事前造粒系に供される原料のうち、核銘柄を変更したときの粒径2mm以下の造粒率を図2に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0003675105
【0026】
【表2】
Figure 0003675105
【0027】
図2に示すように、造粒率のみから判断すれば、核原料とする銘柄は、ローブ、ハマスレー、ヤンディ、ニューマン、カラジャスの順となるが、これは、核原料自身の粒度と核原料の表面状態を示す給水性指向及び付着性指向に起因するものと考えられる。従って、冷間通気のみを考慮すれば、図3に示すように、ローブが最大通気であり、カラジャスが最小通気のため、生産性及び品質もその順になるはずである。
【0028】
しかし、実際には、図3の結果に示すように、核原料としてヤンディを核銘柄に用いた場合が、被還元性RI(%)が最適であった。なお、このときの焼結条件は、層厚が490mm、パレット幅が3.7m、焼結スピードが3.2m/min である。
【0029】
図3の結果は、生産性及び品質に多大な影響を及ぼす熱間通気によるものである。この結果を考察すると、造粒物のみで考えると上記したようにローブ、ニューマンなどが良好な銘柄と考えられるが、図1に示すように従来系と事前造粒系とが合流した後、造粒物は焼結原料層の下層部に偏析される。そして、このとき、造粒物の核原料中においてAl2O3 含有量が高いと、焼結鉱の反応に寄与するスラグ中のAl2O3 濃度が増加する。このAl2O3 濃度が高くなると、スラグの流動性が低下するため熱間通気が悪化する。従って、Al2O3 含有量を2wt%以下とすることにより、粒度を適度に有するので付着性が向上し、結果として、生産性及び品質の向上化を図ることができた。
【0030】
また、ヤンディは、高結晶水鉱石であるので、気孔率が上昇し、RIが向上するが、そのような作用を得るためには5wt%以上の結晶水が含有されている必要があることを確認した。
【0031】
そして、その粒径は、造粒物の核となり、かつ上記条件を満たす程度の粗粒であればよく、従って粒径が1mm以下である核原料の含有量が50wt%以下のときに最適な造粒物を得ることができた。
【0032】
従って、本発明条件を満たす核銘柄としてはヤンディが相当するが、当然にこの条件を満たす他の焼結原料を用いても上記図3のヤンディの場合と同様に良好な結果を得ることができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の焼結原料処理方法によれば、事前造粒時に供される核原料を、Al2O3 含有量≦2wt%、粒径1mm以下のものの含有量≦50wt%、鉱石中の結晶水含有量≧5wt%と規定したとしたので、微粉鉱石やダストなどの造粒性の低い焼結原料を分割して事前造粒する際においても、最適な造粒物を得ることができ、通気性を向上させ、生産性及び品質を改善することができ、また、より一層造粒性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焼結原料処理方法を実施する焼結鉱製造ラインの概略説明図である。
【図2】事前造粒系に供される原料のうち、核銘柄を変更したときの粒径2mm以下の造粒率を示す図である。
【図3】各種銘柄を核原料として用いた際の焼結時の特性を示す図である。
【符号の説明】
1 原料槽
2 1次ドラムミキサー
3 2次ドラムミキサー
9 高速攪拌ミキサー
10 3次ドラムミキサー

Claims (1)

  1. 原料槽から切り出される焼結原料の一部に微粉鉱石及びダストのうち1種又は2種以上を添加して事前造粒した後、この事前造粒物を前記原料槽から切り出される残りの焼結原料(一次ドラムミキサーで混合造粒する前の焼結原料を除く)と混合造粒する焼結原料の処理方法であって、事前造粒工程は、高速攪拌ミキサーを含む2機のミキサーから構成され、事前造粒工程に供される核原料が下記条件を満たすものであることを特徴とする焼結原料処理方法。
    Al2O3 含有量≦2wt%,
    粒径1mm以下のものの含有量≦50wt%,
    鉱石中の結晶水含有量≧5wt%
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