JP7303442B2 - 焼結原料の事前処理方法 - Google Patents
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Description
NOxは大気汚染物質であることから、大気へのNOxの排出についてその濃度及び量に規制が設けられており、操業条件の調整などの制約が発生する。NOxを除去する排ガス処理装置の設置なども行われているが、多大な設備投資が必要となる。
また、特許文献2では、事前に炭材を篩で粗粒と細粒に分け、細粒炭材と細粒石灰源で構成される、強度の低いP型の炭材造粒物を装入シュートに直接投入して、他の造粒物との接触機会を減らすことにより炭材造粒物の崩壊を防止してNOx発生を抑制する技術が開示されている。
また、特許文献2記載の方法は、強度の低いP型の炭材造粒物のみ装入シュートに直接投入し、粗粒炭材と細粒石灰源で構成される、比較的強度の高いC型の炭材造粒物はサージホッパに装入するが、サージホッパ内でC型の炭材造粒物が崩壊し、NOx低減効果が低下するという課題がある。
上記原因について種々検討した結果、焼結機に搬送される配合原料がサージホッパ内で積層することにより、上部からの荷重によって凝結材造粒物が潰れて凝結材造粒物を覆う被覆層が剥離崩壊し、生石灰等によるNOx低減効果が減殺されるという結論に到達した。
また、被覆層が石灰石の場合、製鋼ダストが凝結材の周囲に十分に付着せず、骨材効果が発揮されないため、生石灰等と同様の効果を得ることができない。
なお、凝結材に対して生石灰等を30質量%超添加した場合、被覆層が厚くなりすぎてしまい、燃焼性悪化による焼結生産性の低下を引き起こす。
一方、粒径1.0mm超の粒子が多く、30μm以上1000μm以下の粒子が70質量%未満の製鋼ダストの場合、粒度が大きすぎるため凝結材の周囲に付着しない製鋼ダストが増加する。その結果、当該ダストに付着する生石灰等が増加して、凝結材の被覆層を形成する生石灰等が減少し、NOx低減効果が低下する。
また、上記粒度の製鋼ダストにはM-Fe(金属鉄)が多く濃化しており、焼結時に発生するNOxを還元する効果もあると推察される。
(1)試験条件
凝結材である粉コークスに、粉コークスに対して2~35質量%の生石灰(0.5mmアンダーの微粉を30質量%以上含むもの)と、添加する生石灰に対して2~300質量%の製鋼ダストとを添加し、最終水分が全量に対して15質量%となるように水添加量を調整した後、振動造粒装置で造粒した。
粒径分布割合(質量%)=(ふるい下の質量)/(ふるい上の質量+ふるい下の質量)×100
製鋼ダストの粒度調整は、粗粒ダストと細粒ダストの混合及び粗粒ダストの機械ふるい分けにより行ったが、最終的な粒度の確認は、JIS Z8825に記載のレーザ回折・散乱装置にて行った。
なお、高炉炉頂ダストは、焼結機で発生するダストや粉鉱石に比べて破面が少なく最も角張りが少ない形状であるが、製鋼ダストのような球形状にはなっていない。
また、NOx低減効果の評価は、製鋼ダストを添加せず生石灰のみを添加した比較例で最もNOx低減効果が大きかった11%を基準とし、11%以下を不合格(×)、12%以上を合格(○)とした。
粉コークスに対する生石灰割合の上下限について検証した試験結果を表1に示す。
同表より以下のことがわかる。
・製鋼ダストを添加しない場合、生石灰5質量%まではNOx低減効果が増大するものの、生石灰をそれ以上添加してもNOx低減効果は頭打ちとなった(比較例1~4参照)。これは、生石灰が5質量%以上になると、生石灰からなる被覆層がサージホッパ内で剥離崩壊し、被覆厚みを増大させる効果が得られなくなるためである。
・比較例2に対して、本発明に規定する割合の製鋼ダストを添加した比較例5では、NOx低減効果が改善しなかった。これは、生石灰添加量が粉コークスに対して5質量%未満なので、生石灰からなる被覆層の剥離崩壊という課題が発生せず、製鋼ダストの骨材効果(被覆層の剥離抑制)が得られなかったためである。
・比較例3に対して、本発明に規定する割合の製鋼ダストを添加した比較例6も、NOx低減効果が改善しなかった。これは、石灰石ではバインダー効果が働かず、製鋼ダストを粉コークスの周囲に付着させることができなかったためである。
・バインダーとして生石灰を消石灰に変更する試験も行ったが、生石灰と同様の傾向が認められた。
・粉コークスに対する生石灰の割合を35質量%とした試験も行ったが、NOxは低減するものの、粉コークスの燃焼性が極めて悪化し、焼けムラを生じた。
生石灰に対する製鋼ダスト割合の上下限について検証した試験結果を表2に示す。
同表より以下のことがわかる。
・比較例3に対して、本発明に規定する粒度の製鋼ダストを添加した比較例7では、NOx低減効果が改善しなかった。これは、生石灰に対する製鋼ダスト量が少なく、骨材効果が十分発揮されなかったためである。
・比較例3に対して、本発明に規定する粒度の製鋼ダストを添加した比較例8では、NOx低減効果が改善しなかった。これは、生石灰に対して製鋼ダスト量が多すぎたため、粉コークス周囲に製鋼ダストが付着しきれず、さらに粉コークス周囲に付着しなかった製鋼ダストに生石灰が付着することで、粉コークス周囲に付着する生石灰量が減少したためである。
・比較例11、比較例12は、それぞれ実施例4の条件において使用するダスト種を高炉炉頂ダスト、粉鉱石に代えた例であり、NOx低減効果が低かった。高炉炉頂ダスト及び粉鉱石は、ダスト粒子の形状が角張り形状を呈しており、被覆層の剥離崩壊に影響する程度の応力集中が存在したためと推察される。
製鋼ダスト粒度の上下限について検証した試験結果を表3に示す。
同表より以下のことがわかる。
・比較例3に対して、本発明に規定する割合の製鋼ダストを添加した比較例9では、NOx低減効果が悪化した。これは、30μm未満の粒径の製鋼ダストが骨材効果を発揮しないだけでなく、被覆層崩壊の起点となったと推測される。
・比較例3に対して、本発明に規定する割合の製鋼ダストを添加した比較例10では、NOx低減効果が改善しなかった。これは、1.0mm超の粒径の大きな製鋼ダストが粉コークス周囲に付着できず、さらに粉コークス周囲に付着しなかった製鋼ダストに生石灰が付着することで、粉コークス周囲に付着する生石灰量が減少したためである。
Claims (1)
- 凝結材と、前記凝結材に対して5質量%以上30質量%以下の生石灰及び/又は消石灰と、30μm以上1.0mm以下の粒子を70質量%以上含み、前記生石灰及び/又は消石灰に対して5質量%以上200質量%以下の製鋼ダストとを水分の存在下で造粒した凝結材造粒物を、鉄鉱石を含む焼結原料を造粒する造粒機に装入、もしくは前記造粒機から排出された造粒物に添加することを特徴とする焼結原料の事前処理方法。
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