JP2003277839A - 溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製造方法 - Google Patents

溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製造方法

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JP2003277839A
JP2003277839A JP2002080884A JP2002080884A JP2003277839A JP 2003277839 A JP2003277839 A JP 2003277839A JP 2002080884 A JP2002080884 A JP 2002080884A JP 2002080884 A JP2002080884 A JP 2002080884A JP 2003277839 A JP2003277839 A JP 2003277839A
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calcium ferrite
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Hidetoshi Noda
英俊 野田
Koichi Ichikawa
孝一 市川
Satoshi Machida
智 町田
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Original Assignee
JFE Steel Corp
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶鉄精錬用カルシウムフェライトを下方吸引
式無端移動グレート式焼結機で高生産性及び高歩留で工
業生産する。 【解決手段】 2mm以下が80%以上の微粉石灰石1
a、平均1.5mm以下の微粉鉄鉱石1c等を用い、デ
ィスクペレタイザー3で生ペレット8を造粒し、固体燃
料4を外装する。焼結ベッド12の層厚の概ね上部側3
分の1に固体燃料(例えば粉コークス)を集中的に偏在
させる。 A=(1.05〜1.50)×B A、B:
上側1/3以下、下側2/3以上の固体燃料%。原料配
合を、モル比nCa/nFe=0.3〜1.5、CaO%/
Fe23%>0.2、且つカルシウムフェライト成品中
のCaO=25〜50%に調整する。更に原料配合を、
バインダー由来のΣCaO%/石灰石由来のCaO%>
0.23に調整し、バインダー粒度を1mm以下。外装
固体燃料4を5%以上にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶鉄精錬用カルシ
ウムフェライトを高生産性及び高歩留で工業生産する技
術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、転炉における鋼の精錬過程におい
ては、炉内の溶銑に酸素ガスを吹き付けて、溶銑中のC
及びSiを酸素と反応させ、それぞれをCO及びSiO
2とする。また、同時に生石灰(CaO)を炉内に添加
して、溶銑中のS及びPと結合させることにより脱S及
び脱Pを行なう。こうして、溶銑中C、Si、S及びP
の濃度を所定値まで低下させる。
【0003】ところが、上記CaOの脱P及び脱S作用
は、転炉内に添加されたCaOが、炉内の溶銑と接触し
て反応することにより行なわれる。そこで、このCaO
の上記接触・反応寄与率を向上させるために、当該Ca
Oの粒径を10〜30mm程度に調整して添加する。そ
して、この脱P及び脱S反応を効率よく行なわせるため
には、更に、このCaOと、当該炉内溶銑の酸素吹錬で
生成したFeOとを融体化させた溶融スラグにすること
が必要である。この溶融スラグは、既に生成していたS
iO2と反応して、CaO−SiO2−FeO系の融体と
なる。そして、通常、このCaO−SiO2−FeO系
スラグ中のCaOとSiO2との重量%の比、CaO
(mass%)/SiO2(mass%)が、3.0以
上となるように、CaOの添加量を調整する。
【0004】しかしながら、上記CaO−SiO2−F
eO系スラグの融体化過程においては、転炉へのCaO
添加時に既に生成していたSiO2や、その後に生成し
たSiO2がCaOと反応して、2CaO・SiO2や3
CaO・SiO2が生成し、これらが当該CaOの粒子
表面を覆い、取り囲む形態となる。ところが、上記2C
aO・SiO2及び3CaO・SiO2の融点は、それぞ
れ2130℃及び2070℃と高温である。このため、
通常の転炉操業の温度では、この2CaO・SiO2
び3CaO・SiO2は固体状態であり、CaOの融体
化を著しく阻害化する。こうして、溶銑の脱P及び脱S
作用の効率化に重要な、CaO(mass%)/SiO
2(mass%)≧3.0を満たすCaO−SiO2−F
eO系スラグの生成が遅れる。そこで、従来、転炉スラ
グには蛍石(CaF2)を適宜添加して、融体化を促進
する方法が採られてきた。
【0005】この結果、精錬に用いられた転炉スラグに
は、若干のCaF2が含まれている。ところが、最近、
転炉スラグからのフッ素(F)イオンの浸出が環境上望
ましくないとの理由で、転炉スラグ中のCaF2の存在
が、転炉スラグの用途制限の一因となっている。
【0006】上記状況下において、蛍石を用いずに、転
炉において溶銑を脱P及び脱Sするための精錬材であっ
て、極めて効果的なものとして、カルシウムフェライト
系の精錬材が注目され、多数の製造方法が開示されてい
る。ここで、カルシウムフェライトとは2CaO・Fe
23、CaO・Fe23及びCaO・2Fe23の総称
である。例えば、特開昭51−133200号公報に
は、石灰石等の酸化カルシウム粉中で、転炉灰や鉄鉱石
粉等の酸化第二鉄からなる粒状原料を、回転炉内で12
00〜1250℃で転動させながら焼成し、製造する方
法が開示されている(以下、「従来の技術1」とい
う)。
【0007】しかしながら先行技術1の方法により、カ
ルシウムフェライトを工業的規模で製造する場合、回転
炉内の温度管理が難しく、均質な成品は得られにくい。
更に、カルシウムフェライト系精錬材は融点が低いの
で、回転炉内壁に多量の融着物層が生成し、このために
度々操業を中断し、これを除去しなけらばならず、操業
上大きな問題となる。
【0008】特開昭61−177314号公報には、カ
ルシウムフェライトの焼結機として、無端移動グレート
式焼結機(ドワイトロイド式焼結機)を用いる方法が開
示されている(以下、「従来の技術2」という)が、焼
結原料の融剤中に蛍石を添加する方法であるために、焼
成過程で低融点のカルシウムフェライトが大量に発生す
るため、焼結ベッドの通気性が大幅に悪化し、生産率が
著しく低下すると考えられる。また、排ガス中のフッ素
やフッ化水素の排出や設備の腐食等も問題となる。
【0009】上述したように、カルシウムフェライトを
工業的に、しかも安価に製造する技術は未だ確立してい
ない。
【0010】そこで、本発明者等は特開2000−25
6731号公報で、CaO含有物質として粒径2mm以
下のものが80mass%以上を占める石灰石と、酸化
鉄含有物質として微粉鉄鉱石、ダスト、ミルスケール、
および砂鉄のうちの1種以上からなりその平均粒径が
1.5mm以下である酸化鉄原料を用い、上記石灰石と
この酸化鉄原料との混合原料中のCaとFeとのモル比
が0.3〜1.5の範囲内となるように配合し、こうし
て得られた配合原料をミキサーで調湿し混合し、得られ
た混合原料をディスクペレタイザーで調湿し造粒して生
ペレットを調製し、調製された生ペレットの表面を粉コ
ークスで被覆し、こうして粉コークスが外装された生ペ
レットを無端移動グレート式焼結機に装入して焼成し、
こうして得られた焼成成品中のCaO含有率が、25〜
50mass%の範囲内になるように調製することによ
り、焼結ベッドの通気性を確保して安定してカルシウム
フェライトを製造する技術(以下、「先行技術1」とい
う)を開発した。その結果、それ以前の技術より生産率
が大幅に向上して、溶鉄精錬用カルシウムフェライトの
工業生産が可能となった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来、転炉その他の精
錬炉において、溶銑や溶鉄中の不純物の内、PやSを当
該溶湯から除去するための、脱P及び脱Sを主目的とし
た効果的な精錬材として、特に、低温度で行なう精錬に
より反応が促進される脱P反応、例えば1250〜14
00℃程度の低温においても優れた脱P作用を発揮する
精錬材として、カルシウムフェライトが知られている。
【0012】そこで、本発明者等は、従来の技術1にお
ける問題点である、回転炉内の温度管理の困難性、成品
の不均質性、及び回転炉内壁への融着物層の多量付着問
題、並びに、従来の技術2における問題点である、焼結
ベッドの通気性不充分による低生産性、及び焼結反応時
の融剤としての蛍石添加による操業時排ガス中のフッ素
やフッ化水素の排出問題や転炉等精錬炉からの排出スラ
グ利用上の問題点を、上述した先行技術1により解決す
ると共に、CaO粒子の内部全域にわたりカルシウムフ
ェライトが生成して、成品品質及びその化学成分組成が
安定し、そして、溶鉄の精錬材としてのカルシウムフェ
ライトの製造歩留及び生産性を低下させることのない工
業生産技術を開発した。
【0013】しかしながら、本発明者はこの先行技術を
用いた場合よりも更に、カルシウムフェライトの成品歩
留を向上させると共に、その生産性の向上を図ることが
できる技術開発をすることにした。かかる技術開発をす
るに当たり、下記課題を解決すべきであることに着眼し
た。
【0014】カルシウムフェライトの成品歩留の向上を
図り、従ってまた、その生産性の向上を図ろうとした場
合に、先行技術1では十分ではないという問題が発生し
た。その原因を究明するための試験・調査並びに検討を
行った。
【0015】[1] 先行技術の方法でカルシウムフェ
ライトを製造した場合には、焼成後の焼結ベッド上部側
の歩留が低いことがわかり、その結果、生産率を更に向
上させることができないことが判明した。
【0016】このように、焼結ベッド上部側のカルシウ
ムフェライト製造の生産率向上が阻害される要因は、焼
結ベッドの焼成時にコークス燃焼の発熱により原料が高
温に保持される時間が、焼結ベッド上方から吸引される
雰囲気空気によって急速に冷却されるため、1000℃
以上に保持されている時間が下部に比べて短くなってい
るからであり、そのために、900℃程度で起こる石灰
石の分解反応から、これに続くCaO等と酸化鉄原料と
の反応に至るカルシウムフェライトの焼成反応が不十分
になり、焼成工程後の焼結ベッドに形成される焼成品の
鉱物組成が安定せず、カルシウムフェライト成分として
の歩留が低下する。
【0017】更に焼成品の組織が脆弱で、容易に微細な
粉状に解体して飛散することとなり、焼成品の冷却工程
や回収、運搬過程での取り扱いが困難となるため、成品
としての歩留が一層低下する。
【0018】そこで、本発明者は、焼結ベッド上部側の
温度が1000℃以上に保持されている時間を、下部側
と同様に長くして、焼結ベッド上部側での成品歩留を改
善することに着眼した。
【0019】上記、焼結ベッド上部側の温度が1000
℃以上に保持されている時間を十分に確保することは、
カルシウムフェライトの製造装置として、生ペレットを
無端移動グレート式焼結機を用い、下方吸引方式でこれ
を運転する際に特に重要な解決すべき課題である。
【0020】[2] 次に、カルシウムフェライトの製
造原料として、CaO成分含有物質として、資源的に豊
富で安価な石灰石を主体に使用することが望ましい。と
ころが、石灰石はカルシウムフェライトの焼成工程にお
いて、酸化鉄含有物質と反応する前に分解して、900
℃程度において多量の炭酸ガスを放出する。この石灰石
の分解反応は大きな吸熱反応であり、多量の熱を必要と
する。しかも、石灰石と酸化鉄含有物質との反応は、吸
熱反応により融液を発生させる反応であるため、この反
応も亦上記同様に多量の熱を必要とする。
【0021】しかしながら、燃料投入量を、単に増やす
だけでは、製造コストがかさむので避けるべきであるこ
とは当然として、熱量が不足する領域への燃料投入量を
増やす場合には、焼結ベッド内での局部的過溶融による
融液の局部的大量発生による当該焼結ベッド内の通気性
悪化とマクロ的な通気性不均一化を防止しなければなら
ない。
【0022】また、カルシウムフェライトの焼成反応に
は上述したように多量の熱量を必要とするので、原料中
のFe23成分含有率に対するCaO成分含有率の比率
が低下するにつれて、コークスの燃焼性を阻害すると同
時に、焼結ベッド内に均一な焼成温度を保持することが
できなくなり、円滑なカルシウムフェライトの生成がで
きなくなる。更に、原料中のFeO成分がある値以上に
増加すると、低融点のカルシオウスタイトが生成を開始
し、これにより焼結層内の融液生成反応が不均一となり
生産性や歩留が低下する。
【0023】更に、焼成されたカルシウムフェライト成
品に対しては、前述したように、これをハンドリングす
る過程で崩壊しないように、十分な強度が付与されてい
ることが要請される。
【0024】そこで、本発明者は、焼結ベッド内の燃料
含有率を適正量の範囲内に制限して、無駄にならないよ
うにすることを前提とし、上述した石灰石使用により
熱量を多量に必要とすることへの対策、焼結ベッド内
の局部的過溶融による通気性悪化及び不均一化防止対
策、コークスの燃焼性阻害の防止対策及びカルシオウ
スタイトの生成防止対策等、種々の問題を解消するため
には、下記1〜3項の事項が重要であることに着眼し、
これらの事項が達成されるのに必要な条件を見出すこと
を課題とした。
【0025】1.適切な焼成反応により良質なカルシウ
ムフェライト成品が得られるように、焼結ベッドを構成
する生ペレット粒子が、これを構成する原料粒子(Ca
O含有物質粒子及び酸化鉄含有物質粒子)及び燃料粒子
(例えば粉コークス粒子)がそれぞれ適切な粒度を有
し、且つこれらが相互に適切な混合状態と分布状態に調
節された生ペレット粒子に調製されていること、 2.焼結ベッド内の通気性が適正に保持され得るよう
に、当該生ペレットの粒度が調節されていること、及
び、 3.所定の温度範囲内においてカルシウムフェライトの
適切な鉱物組織が均一に形成され、また成品強度が確保
されるように、原料配合及び燃料添加量が調節されてお
り、そして、溶鉄精錬剤特に脱P、脱S剤としての機能
が発揮され得るような成品の成分組成となるように、原
料配合が調節されていること。なお、その際、石灰石の
分解反応で生成した多量のCO2ガスは、焼結ベッド上
方から吸引された空気中酸素濃度を希釈して、焼結ベッ
ドに含有された粉コークスの燃焼性を阻害することを考
慮すること。
【0026】[3] このように、原料のCaO含有物
質の経済性を生かして石灰石を用いた低製造コストの達
成と、成品の歩留及び生産性の向上との両立を図りつ
つ、カルシウムフェライトを製造する技術を開発するた
めに、焼結ベッド内部の原料及び燃料に対して付与すべ
き状態、並びに焼結ベッドを構成する生ペレットの性状
に対する、上述した各種の適正条件を見出すことにし
た。
【0027】こうして、この発明の目的は、溶鉄の精錬
材としてのカルシウムフェライトの製造において、成品
品質及びその化学成分組成が安定すると共に、歩留及び
生産性が向上し得る、溶鉄の精錬材としてのカルシウム
フェライトを安価に製造する方法を提供することにあ
る。
【0028】
【課題を解決するための手段】上述した観点から、本発
明者は鋭意研究を重ね、いくつかの新知見を得ることに
よりこの発明をした。
【0029】[1] 焼結ベッドの焼成時にコークス燃
焼の発熱により高温に保たれる時間について、焼結ベッ
ド上部側のある領域と下部側の残部領域とを比較する
と、焼結ベッド下部側は、先に昇温されたベッド上部側
が吸引空気により冷却される際に放出する熱を当該上部
側から順次供給される。従って、焼結ベッド下部側は、
上部側のように急冷されることがなく、1000℃以上
に保持される時間が上部側より延長されるので、歩留は
相対的に下部側の方が上部側より向上する。
【0030】そこで、焼結ベッド下部側への燃料投入量
を減らし、その分だけ上部側への燃料投入量を増やすこ
とにより、上部側における熱不足の解消を図って温度を
上昇させることができ、且つ、焼結ベッド上方からの吸
引空気量が一定の場合を考えると、同体積の空気中に含
まれる酸素量により、より多量のコークスを燃焼させる
ことになるので、燃焼に要する時間がより長くなり、従
来よりも高温状態に保持できる時間が延長される。この
現象は、焼結ベッド内の燃料含有率を上部側と下部側と
に適切に配分することにより可能となり、その結果、焼
結ベッド上部側におけるカルシウムフェライトの焼成反
応を促進させ、この領域の歩留と生産性を改善すること
が可能であることがわかった。
【0031】そして、検討を重ねた結果、上方から焼結
ベッド内への吸引空気による冷却が強く作用する領域
は、焼結ベッドの層厚にもよるが、概ね上部側3分の1
の領域であることが判明したので、この領域に燃料(例
えば粉コークス)を集中的に偏在させるのが効果的であ
ることを着想した。こうすることにより、カルシウムフ
ェライトの歩留及び生産性が向上することがわかった本
発明者は、更に、焼結ベッド層厚の上部側3分の1の領
域の粉コークス含有率を、下部側残部領域での粉コーク
ス含有率の5〜50%増しに偏在させることが、カルシ
ウムフェライトの生産性向上及び歩留向上に極めて効果
的であることを見出した。上部側3分の1の領域におけ
る粉コークス含有率の偏在程度が、上記5%増しよりも
小さいと、この上部側に粉コークスを偏在させても効果
が現れず、一方、それが50%増しよりも多いと、焼結
ベッド内での局所的な過度の温度上昇により融液が大量
に発生して、焼結ベッド内の通気性を阻害するようにな
り、カルシウムフェライトの生産性向上の改善効果が発
揮されないことがわかった。なお、上記においては、最
も少ないコークス添加量(投入量)で目的の生産率向上
を達成できるために、焼結ベッド層厚の上部側3分の1
の領域に粉コークスを集中的に偏在させるべきであると
したが、この層厚の最適割合は、ベッド層厚が厚くなる
につれて相対的に小さくすべきであることもわかった。
【0032】上記新知見から得られた請求項1記載の発
明に係る溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製造方法
は、原料としてCaO含有物質と酸化鉄含有物質とを使
用し、燃料として固体燃料を使用する方法であって、そ
の詳細が下記特徴を有するものである。
【0033】即ち、CaO含有物質として、粒径2mm
以下のものが80mass%以上を占める微粉石灰石を
用い、酸化鉄含有物質として、微粉鉄鉱石、ダスト、ミ
ルスケール、砂鉄及びその他の酸化第二鉄含有物質から
なる群から選ばれた1種以上からなりその平均粒径が
1.5mm以下である微粉酸化鉄含有物質を用い、そし
て、固体燃料として粒状固体燃料を用いる。
【0034】上記原料及び燃料からなる配合原燃料をミ
キサーで調湿し混合し、得られた混合原燃料をディスク
ペレタイザーで生ペレットに造粒し、次いでその生ペレ
ットを粒状固体燃料で被覆し、こうして得られた粒状固
体燃料が外装された生ペレットを無端移動グレート式焼
結機へ装入してその生ペレットからなる焼結ベッドを形
成し、これを連続的に焼成してカルシウムフェライトを
製造する。その際に、上記配合原燃料の調製を、その配
合原燃料中のCa元素とFe元素とのモル比n Ca/nFe
が0.3〜1.5の範囲内になり、且つ、得られる焼成
カルシウムフェライト成品中のCaO成分の含有率が2
5〜50mass%の範囲内になるように調節し、そし
て、上記焼結ベッド内における粒状固体燃料の含有率分
布を、焼結ベッドの上部側における方がその下部側にお
けるよりも高くなるように調節するというものである。
【0035】また、請求項1記載の発明における一層望
ましい溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製造方法であ
る請求項2記載の発明は、下記特徴を有するものであ
る。即ち、請求項1記載の発明において、焼結ベッド内
における粒状固体燃料の含有率分布を、その焼結ベッド
の上表面から焼結ベッド厚の1/3以下の所定位置まで
の領域における粒状固体燃料の含有率Aと、その焼結ベ
ッド全厚から上記1/3以下の所定位置までの厚さを除
いた残部厚領域における粒状固体燃料の含有率Bとの間
に、下記関係式: A=(1.05〜1.50)×B が満たされるように調節するものである。但し、A、B
はいずれも、CaO含有物質と酸化鉄含有物質とからな
る上記それぞれの領域におけるCaO含有物質と酸化鉄
含有物質とからなる原料に対する外数の含有率(mas
s%)である。
【0036】[2] 焼結ベッドの焼成時に、石灰石の
熱分解反応により多量のCO2ガスが発生すると共に大
きな吸熱現象を伴っても、粉コークスの燃焼性を低下さ
せずにそれを維持するためには、生ペレットのCaO成
分とFe23成分との含有率の比率(CaOmass%
/Fe23mass%)が、0.2を超えるように原料
配合を調節することが効果的であることがわかった。そ
して、更に、その生ペレットに添加する粒状固体燃料の
分布状態について、適切な割合の量をその表面に被覆す
る(外装する)ことが効果的であることを確認した。
【0037】上記新知見から得られた請求項3記載の発
明に係る溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製造方法
は、原料としてCaO含有物質と酸化鉄含有物質とを使
用し、燃料として固体燃料を使用する方法であって、下
記特徴を有するものである。
【0038】即ち、CaO含有物質として、粒径2mm
以下のものが80mass%以上を占める微粉石灰石を
用い、酸化鉄含有物質として、微粉鉄鉱石、ダスト、ミ
ルスケール、砂鉄及びその他の酸化第二鉄含有物質から
なる群から選ばれた1種以上からなりその平均粒径が
1.5mm以下である微粉酸化鉄含有物質を用い、そし
て、固体燃料として粒状固体燃料を用いる。
【0039】そして、上記原料及び燃料からなる配合原
燃料をミキサーで調湿し混合し、得られた混合原燃料を
ディスクペレタイザーで生ペレットに造粒し、次いでそ
の生ペレットを粒状固体燃料で被覆し、こうして得られ
た粒状固体燃料が外装された生ペレットを無端移動グレ
ート式焼結機へ装入してその生ペレットからなる焼結ベ
ッドを形成し、これを連続的に焼成してカルシウムフェ
ライトを製造する。その際に、上記配合原燃料の調製
を、その配合原燃料中のCa元素とFe元素とのモル比
Ca/nFeが0.3〜1.5の範囲内になり、且つその
配合原燃料中のCaO成分とFe23成分との含有率比
(CaOmass%)/(Fe23mass%)が、
0.2を超えるように、しかも、得られる焼成カルシウ
ムフェライト成品中のCaO成分の含有率が25〜50
mass%の範囲内になるように調節するというもので
ある。
【0040】更に、上記、粉コークスの燃焼性を低下さ
せずにそれを維持するための知見より得られた、請求項
4記載の発明に係る溶鉄精錬用カルシウムフェライトの
製造方法は、請求項1又は2記載の発明に、更に、上記
配合原燃料の調製を、その配合原燃料中のCaO成分と
Fe23成分との含有率比(CaOmass%)/(F
23mass%)が、0.2を超えるように調節する
ことを付加することに特徴を有するものである。
【0041】上記[1]及び[2]で述べた請求項1〜
4記載の全ての発明に対して、生ペレットに内・外装さ
れる粒状固体燃料の粒度、その含有率水準及びその内・
外装分配比が適正化された請求項5記載の発明に係る溶
鉄精錬用カルシウムフェライトの製造方法は、下記特徴
を有するものである。即ち、請求項1〜4記載のいずれ
かにおいて、粒状固体燃料が外装された生ペレット全体
に含まれる粒状固体燃料の平均含有率が、CaO含有物
質と酸化鉄含有物質とからなる原料に対する外数の含有
率表示で、上記生ペレットの乾燥重量に対して5mas
s%以上となり、しかも、外装された粒状固体燃料の重
量が全粒状固体燃料の重量の50%以上となるように、
焼結機に装入される上記生ペレットを調製するものであ
る。
【0042】[3] 次に、焼成されるカルシウムフェ
ライト成品の一層の強度向上を図り、また均一な鉱物組
織の成品を得るためには、生ペレットの原料粒子の分散
性を向上させると共に、生ペレットを強固な造粒物に調
製することが重要である。これを達成するためには、配
合原料にバインダーとして生石灰及び消石灰の少なくと
も1種を適正量添加すること、またその粒度を小さく調
節したものを添加することが望ましいことを知見した。
こうすることにより、カルシウムフェライトの歩留及び
生産性が向上する。
【0043】なお、添加された上記生石灰及び消石灰は
いずれも、原料中のCaO成分としても機能する。ここ
で、本明細書において用いる配合関係用語の用法は、下
記の通りとする。 (1)「配合原料」は、M1+M2、M1+M2+Q、
及び、M1+M2+Q+Rのいずれの場合をも含む配合
物を指すときに用いる。 但し、M1:CaO含有物質 M2:酸化鉄含有物質 Q :バインダー R :固体燃料 を表わし、例えば、M1+M2は、M1とM2との配合
物を表わし、M1+M2+Q、及び、M1+M2+Q+
Rもこれに準じる。 (2)「配合原燃料」は、固体燃料が配合された、(C
aO含有物質+酸化鉄含有物質)及び(CaO含有物質
+酸化鉄含有物質+バインダー)のいずれの場合をも含
んだ配合物を指すときに用いる。 (3)「含バインダー配合原料」は、バインダーが配合
された、(CaO含有物質+酸化鉄含有物質)及び(C
aO含有物質+酸化鉄含有物質+固体燃料)のいずれの
場合をも含んだ配合物を限定して指すときに用いる。 (4)「含バインダー配合原燃料」は、バインダーが配
合された(CaO含有物質+酸化鉄含有物質+固体燃
料)を限定して指すときに用いる。
【0044】上記、生ペレットの原料粒子の分散性向上
と生ペレットの強固な造粒物形成についての知見から得
られた、請求項6記載の発明に係る溶鉄精錬用カルシウ
ムフェライトの製造方法は、下記特徴を有するものであ
る。即ち、請求項1〜5記載の発明のいずれかに、更
に、バインダーとして上記配合原燃料に、生石灰及び消
石灰の内少なくとも1種を添加することを付加するとい
うものである。
【0045】更に、生ペレットの原料粒子の分散性向上
と生ペレットの強固な造粒物形成に関連して、上記石灰
石及び/又は消石灰の添加量を適正化して得られた、請
求項7記載の発明に係る溶鉄精錬用カルシウムフェライ
トの製造方法は、下記特徴を有するものである。即ち、
請求項6記載の発明において、上記配合原燃料にバイン
ダーとして生石灰及び消石灰の内少なくとも1種が添加
されて得られた含バインダー配合原燃料中の、生石灰に
由来するCaO成分の重量と消石灰に由来するCaO成
分の重量との合計重量と、石灰石中のCaO成分の重量
との比が、0.23以上になるように調節するものであ
る。
【0046】一方、上記、生ペレットの原料粒子の分散
性向上と生ペレットの強固な造粒物形成についての知見
から得られた、他の発明である請求項8記載の発明に係
る溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製造方法は、原料
としてCaO含有物質と酸化鉄含有物質とを使用し、燃
料として固体燃料を使用し、更にバインダーとして生石
灰及び消石灰の内少なくとも1種を添加する方法であっ
て、下記特徴を有するものである。
【0047】即ち、CaO含有物質として、粒径2mm
以下のものが80mass%以上を占める微粉石灰石を
用い、酸化鉄含有物質として、微粉鉄鉱石、ダスト、ミ
ルスケール、砂鉄及びその他の酸化第二鉄含有物質から
なる群から選ばれた1種以上からなりその平均粒径が
1.5mm以下である微粉酸化鉄含有物質を用い、そし
て、固体燃料として粒状固体燃料を用いる。
【0048】そして、上記原料、燃料及びバインダーか
らなる含バインダー配合原燃料をミキサーで調湿し混合
し、得られた含バインダー混合原燃料をディスクペレタ
イザーで生ペレットに造粒し、次いでその生ペレットを
粒状固体燃料で被覆し、こうして得られた粒状固体燃料
が外装された生ペレットを無端移動グレート式焼結機へ
装入してその生ペレットからなる焼結ベッドを形成し、
これを連続的に焼成してカルシウムフェライトを製造す
る。その際に、上記含バインダー配合原燃料の調製を、
その含バインダー配合原燃料中のCa元素とFe元素と
のモル比nCa/nFeが0.3〜1.5の範囲内であって
且つ上記生石灰及び消石灰の内少なくとも1種に由来す
る上記含バインダー配合原燃料中の生石灰に由来するC
aO成分の重量と消石灰に由来するCaO成分の重量と
の合計重量と、石灰石中のCaO成分の重量との比が、
0.23以上になるように調節し、しかも、得られる焼
成カルシウムフェライト成品中のCaO成分の含有率が
25〜50mass%の範囲内になるように調節すると
いうものである。
【0049】更に、請求項9記載の発明に係る溶鉄精錬
用カルシウムフェライトの製造方法は、請求項8記載の
発明において、上記粒状固体燃料が外装された生ペレッ
ト全体に含まれる粒状固体燃料の平均含有率が、上記C
aO含有物質と酸化鉄含有物質とが含まれる原料に対す
る外数の含有率表示で、上記生ペレットの乾燥重量に対
して5mass%以上となり、しかも、外装された粒状
固体燃料の重量が全粒状固体燃料の重量の50%以上と
なるように、焼結機に装入される上記生ペレットを調製
するものである。
【0050】そして更に、上記バインダーとして添加さ
れる生石灰及び/又は消石灰の粒度を適正化して得られ
た、請求項10記載の発明に係る溶鉄精錬用カルシウム
フェライトの製造方法は、請求項7〜9のいずれかに記
載の発明において、そのバインダーとして添加される生
石灰及び/又は消石灰は、その粒度が1mm以下のもの
を用いることに特徴を有するものである。
【0051】[4] なお、この発明においては、原料
中の石灰石は、粒径2mm以下のものを使用するので、
ハンドリング中にこの中の微粉状石灰石による発塵が著
しい。これを防止するためには、当該石灰石は、スラリ
ーで扱うのが効果的である。かかる観点から得られた、
請求項11記載の発明に係る溶鉄精錬用カルシウムフェ
ライトの製造方法は、請求項1〜10のいずれかに記載
の発明において、原料中のCaO含有物質として使用す
る石灰石として、スラリー状石灰石を使用することに特
徴を有するものである。
【0052】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を、図面を
参照しながら説明する。
【0053】図1に、この発明の実施に適した製造工程
例の概略フロー図を示す。同図において、1は原・燃料
ホッパー、2はミキサー、3はディスクペレタイザー、
4は粉コークス、5はコーティングミキサー、そして6
は無端移動グレート式焼結機である。無端移動グレート
式焼結機6は、原料装入装置10を装備しており、サー
ジホッパー10a、ロールフィーダー10b及び偏析装
入ワイヤー10cからなる。焼結機6の無限軌道部11
には、原料装入用のパレット11aが設けられ、その内
部に無限軌道のグレート11bが設けられている。
【0054】同図に示す製造フローに従って、原料1a
〜1gを適切な割合で配合し、水分7を添加して調湿
し、ミキサー2で原料を均一に混合する。次いで、調湿
・混合された粉状体原料をディスクペレタイザー3に装
入する。なお、ディスクペレタイザー3においても、適
宜水分7’を添加して調湿する。調湿・混合された原料
を造粒して生ペレット8にする。次いで、生ペレット8
に粉コークス4を添加し、コーティングミキサー5に装
入し、生ペレット8の表面を適正量の粉コークス4で被
覆する。こうして粉コークスが表面に外装された生ペレ
ット9を調製する。以上の通り調製された粉コークスが
外装された生ペレット9を、無端移動グレート式焼結機
6に装入し、これに点火し、下方吸引にて焼成を行い、
カルシウムフェライトを製造する。
【0055】上記製造フローにおいて、原・燃料ホッパ
ー1からは、CaO含有物質としての石灰石1a、
酸化鉄含有物質としての微粉鉄鉱石1c、ダスト1d及
びミルスケール1e、生ペレット9の焼成用燃料とし
て、内装用粉コークス1g、焼成後の分級工程等で発
生するカルシウムフェライトのリターン品である返鉱1
f、並びに、造粒用バインダーとしての生石灰1b
を、所定の配合割合で切り出す。
【0056】生ペレット焼成用燃料は、これに内装され
る粉コークス1gと上述した外装される粉コークス4と
からなる。また、粉コークスの他にコークス製造工場等
におけるプロセス集塵等で回収される粉塵等も、粉コー
クスの一部代替として用いてもよく、粒状の固体燃料を
用いることができる。
【0057】造粒用バインダーとしての生石灰1bは、
CaO含有物質としても機能する。バインダーとして
は、その他に消石灰を使用してもよい。なお、生石灰は
吸湿性が強いので、生石灰のハンドリング工程で一部消
石灰が生成する。
【0058】ダスト1dとは、製鉄所の製錬炉等で発生
する集塵ダストであって、三酸化二鉄(Fe23)を主
成分として含むものを指す。ダストは安価であり、しか
もカルシウムフェライトの主要構成成分であるFe23
を多量に含有しているから、好都合である。酸化鉄含有
物質としては、ダスト、ミルスケールの他、例えば、砂
鉄、ペレットフィード等、安価で、三酸化二鉄(Fe2
3)を主成分として含むものであればよい。
【0059】CaO含有物質として使用する石灰石1
a、および酸化鉄源として使用する微粉鉄鉱石1c等
は、粗粒過ぎると混合・造粒工程で分散が不均一とな
り、カルシウムフェライトの生成反応が円滑に行なわれ
ない。その結果、塊成化が不十分となり、生産率、歩留
が低下する。
【0060】ディスクペレタイザー3による造粒性を良
好に確保するために、CaO含有物質の粒度は概ね2m
m以下とすべきであり、粒径2mm以下のものが80%
以上であることが望ましく、また、同様の理由により微
粉鉄鉱石、ミルスケール及びダスト等の酸化鉄含有物質
は、その平均粒径が1.5mm以下の微粉原料とすべき
である。上記原料の粒径が粗すぎると、混合、造粒工程
でその分散が不均一となり、その結果、均質混合粉体原
料及び均質な生ペレットが得られない。
【0061】また、生ペレット9は、粉コークス1g及
び4の燃焼により乾燥され、石灰石は脱炭酸されてCa
O粒子となると共に、酸化鉄と反応してカルシウムフェ
ライトを生成する。このとき、石灰石の粒径が2mm以
下のものが80%よりも少ないと、CaO粒子の内部ま
でカルシウムフェライトにならず、その中心部にCaO
が未反応のまま残るものが発生する。
【0062】石灰石1aと各種酸化鉄原料1c、1dの
粒径が上記条件の通り微粉体が主体の場合には、調湿・
混合に際しては、アイリッヒ、レディゲタイプの所謂強
撹拌混合(ねっか処理)を行なうことができるミキサー
を使用すると、その混合が均質化される。この場合であ
っても、均質混合のためには、石灰石1aはその粒径が
2mm以下のものが80mass%以上を占め、且つ、
上記各種酸化鉄1c〜1d原料はその平均粒径が1.5
mm以下の細粒粉であることが望ましい。そして、原料
ミキサーとして通常のドラムミキサーを使用する場合に
は、原料粒径は均質混合のために、上記条件を満たすこ
とが必要である。
【0063】一方、造粒を強化するために添加するバイ
ンダーとしての生石灰1bあるいは消石灰の粒度は、凡
そ5mm以下であればよい。これも粗粒過ぎると原料粒
子との混合が不均一になるので、石灰石及び生石灰中と
微粉炭酸化鉄含有物質との反応によるカルシウムフェラ
イトの生成反応を均一に促進し難くなるので避けなけれ
ばならない。バインダーとして添加された生石灰1bあ
るいは消石灰は原料に組み込まれてCaO源にもなるこ
と、並びに、上記反応の均一化の促進を考慮して、生石
灰1bあるいは消石灰の粒度も、石灰石1aと同様、凡
そ2mm以下とするのが一層望ましい。
【0064】生石灰は、石灰石を仮焼して製造する。生
石灰は、配合原料の調湿・混合過程において、水分と反
応して水酸化カルシウムを生成する。このときの水酸化
カルシウムの粒径は数十μm以下の微粒子になるので、
造粒過程において付着粒子となって粒子表面を被覆し、
造粒の促進と共に生ペレットの粒子強度を向上させる効
果を有する。生石灰のかかる作用によってもカルシウム
フェライトの歩留向上及び生産性向上に対して効果的で
ある。
【0065】バインダーとしての生石灰1bあるいは消
石灰は、その一部又は全量を消石灰で代替してもよい。
消石灰の主成分は水酸化カルシウムであるから、造粒過
程で生石灰に類似した作用をするのは当然であり、更
に、生ペレットの焼成過程においても、生石灰に類似し
た作用をする。従って、この発明において、原料配合時
におけるCaO成分の起源別比率の望ましい条件におい
て、([CaOfrom生石灰]mass%+[CaOfrom
消石灰]mass%)/([CaOfrom石灰石]mas
s%)>0.23のように、[CaOfrom生石灰]と
[CaOfrom消石灰]とを当量として扱うのはそのため
である。そして、生ペレットを構成する原料粒子の分散
性を向上させて造粒性を高め、しかも焼結成反応の均一
化を促進するためには、([CaOfrom生石灰]mas
s%+[CaOfrom消石灰]mass%)/([CaO
from石灰石]mass%)の値を、0.23を超えるよ
うに調節することが望ましい。この条件により、カルシ
ウムフェライトの歩留及び生産性を一層向上させること
ができる。
【0066】この発明において、生ペレット8の表面を
粉コークスで外装被覆するのは、次の焼成工程でその期
間中コークスの燃焼性を適正に維持するためである。そ
して、粉コークス添加量については主として石灰石の配
合量に依存するが、少な過ぎると石灰石の分解反応及び
カルシウムフェライトの生成反応が十分に行なわれず、
大幅な歩留悪化を招くので、これを防止するために生ペ
レット乾燥重量当たり、CaO含有物質と酸化鉄含有物
質とからなる原料に対する外数で、5mass%以上と
すべきである。粉コークスの添加量が少なすぎると、生
ペレット中の石灰石の分解・脱炭酸が進まず、また、カ
ルシウムフェライトの生成反応も不十分となり、その結
果、成品歩留の悪化を招くからである。その際コークス
の燃焼性を維持するためには、焼成用生ペレット9に添
加する全粉コークス重量の50mass%以上を外装被
覆するのが望ましく、更に、生ペレットへの付着性を向
上させるために、粉コークスの粒子は細粒である方が望
ましく、凡そ3mm以下にするのが望ましい。
【0067】粉コークスの外装被覆方法は、上記生ペレ
ット8に粉コークス4を添加し、コーティングミキサー
5でその生ペレット8の表面を粉コークスで被覆する。
ここで、コーティングミキサーのタイプは、ドラム型、
あるいはディスク型のいずれでもよい。
【0068】粉コークス4の代替として、他の粒状固体
燃料を使用してもよい。なお、粉コークス1gの代替燃
料についても同様である。
【0069】この発明においては、造粒機としてディス
クペレタイザー3を使用する理由は次の通りである。
【0070】生ペレット8の粒径は、焼結ベッド内通気
性を良好に維持して、安定した操業を行なうために、ほ
ぼ5〜10mmの範囲内にあることが望ましい。一方、
生ペレット8の粒子強度を高め、且つ造粒機の経済的な
運転条件で粒径;5mm以上のものが主体となるような
粒径分布のペレットに成長させるためには、造粒機とし
てディスクペレタイザー3を使用する必要がある。回転
ドラム型ペレタイザーでは、生ペレットの強度は小さ
く、また、平均粒径は通常5mm程度が上限であり、か
つ、粒径を均一化するのが困難であるから、この発明で
は採用することはできない。なお、粒径が5〜10mm
程度の生ペレットに造粒するのに適した、混合粉体原料
中の水分は、約10〜12mass%である。
【0071】この発明において、粉コークスが外装され
た生ペレット9の焼成装置として、グレート式焼結機を
使用する理由は次の通りである。
【0072】この発明の方法により製造される精錬材の
カルシウムフェライトは、融点が低いので、焼成装置の
内壁に融着物が付着し易い。これを防止し、安定した実
操業を行なうためには、グレート式焼結機を使用すべき
である。これによれば、カルシウムフェライトの融液が
生成しても、生ペレット表面の外装粉コークスの燃焼、
及びグレートを通しての下方吸引により、焼結ベッド上
の原料充填層の通気性を操業停止すべき事態の発生を解
消することができ、無端移動グレート式焼結機によれば
連続操業が可能となる。しかも、成品品質の安定化とそ
の品質水準を良好に維持することが可能となるからであ
る。
【0073】但し、グレート式焼結機を使用しても、焼
結ベッド充填層の厚さには上限を設定した方が望まし
い。焼結機6のグレート11b上に装入された生ペレッ
ト9で形成される装入層、即ち、焼結ベッド12の高さ
(厚さ)については、これが高い(厚い)方が歩留向上
の観点から望ましい。すなわち、ベッド最上層の一定厚
みの部分は吸引空気による冷却が速く、高温保持には不
利なため歩留が低下しやすい。焼結ベッドが厚いほど、
最上部の一定厚み部分のベッド全体に占める割合は相対
的に低下するため、ベッド全体としての歩留を向上させ
やすいためである。しかしながら、焼結ベッド層が厚い
ほど層内通気性は悪化するので、生産性について不利と
なるが、一方、焼結ベッド層が厚いほどベッド中層部以
下では高温状態で相対的に長時間保持される部分が増大
することから、焼成過程における溶融反応が促進され
て、反応が終了しないまま、言い換えればカルシウムフ
ェライトを生成しないままで排出されてしまう部分が低
減することとなる。即ち、焼成過程での焼結ベッド12
層内通気性と溶融反応性とのバランスから、400mm
以下で生産率及び歩留向上が顕著となった。
【0074】さて、請求項1等に記載の発明の重要な構
成要件である、焼結ベッド内における粉コークスの含有
率分布を、上部側における方が下部側におけるよりも高
くなるように調節することを実現することは、粉コーク
スが外装された生ペレット9の装入に際して、図1に示
すように、偏析装入ワイヤー10cを用いて相対的に粒
径の小さな生ペレットや微粉コークスを選択的に、焼結
ベッドの上部に落下させる方法により行なうことがで
き、これが望ましい方法である。
【0075】この方法によれば、本発明における造粒方
法で調製される生ペレットの粒度分布の内、細粒部分が
焼結ベッドの上部側に、粗粒部分が下部側に分布するこ
とになる。従って、比表面積が相対的に大きな細粒部分
の生ペレット分布領域である焼結ベッドの下部側におい
て、焼結ベッド中粉コークス含有率が相対的に高くな
り、容易に上記目標が達成される。生ペレットをグレー
トに装入する方法としては、焼結ベッド上部側に粉コー
クスを正偏析させ得る方法であれば、その装入方法を限
定するものではない。しかしながら、例えば、鉄鋼業等
の焼結機で使われている、スローピングシュートでは、
焼結ベッド内の粒度偏析度が周期的に脈動する等の現象
があり、本発明の内、請求項1等の焼結ベッド上部側で
の粉コークス正偏析を必須とする発明の実施形態におい
ては、目標とするコークス偏在を安定的に達成するのが
困難であるから適用しにくい。
【0076】但し、図2に示すように、粉コークスの添
加量が多量と少量の2種の生ペレットを造粒するライン
を設け、焼結機装入部でその2種の生ぺレットを2層に
分け、即ち、上部側に粉コークス添加量の多い生ペレッ
トを、下部側に粉コークス添加量の少ない生ペレットを
装入するという製造工程をとってもよい。このような場
合には、同図中に示す原料装入装置13のようにスロー
ピングシュート13cを用いた方がよい。
【0077】また、請求項3や8記載の発明等のよう
に、焼結ベッド内における粉コークスの含有率分布につ
いて、特別の条件が付されていない発明の実施形態にお
いては、原料装入装置10が、偏析装入ワイヤー10c
のような粒度偏析装入機能を備えた設備(図1参照)で
はなく、図3に示す原料装入装置13のように、サージ
ホッパー13a、ロールフィーダー13b及びスローピ
ングシュート13cからなるもので何ら差し支えない。
【0078】この発明において、配合原燃料の調製を、
この配合原燃料中のCa元素とFe元素とのモル比;n
Ca/nFeが0.3〜1.5の範囲内になるように調節す
べき理由は下記の通りである。
【0079】本発明の方法により製造しようとするカル
シウムフェライトの化学成分は、2CaO・Fe23
CaO・Fe23及びCaO・2Fe23のいずれか一
種以上からなるものである。従って、このカルシウムフ
ェライトの成分組成の内、2CaO・Fe23が100
%を占める場合に、当該カルシウムフェライト中のCa
とFeの両者のモル比;nCa/nFeは最大値をとり、そ
の値は1:1、即ち1.0である。これに対して、Ca
O・2Fe23がその100%を占める場合に、そのカ
ルシウムフェライト中のCaとFeの両者のモル比;n
Ca/nFeは最小値をとり、その値は1:4、即ち0.2
5である。
【0080】上記反応の化学当量論から、nCa/n
Feは、0.25〜1.0の範囲内であることが必要であ
る。この検討結果に加えて、更に、酸化鉄含有物質とし
て使用する原料の微粉鉄鉱石、ダスト、ミルスケール及
び砂鉄は、Fe23、Fe34及びFeOの構成比率及
び各種脈石含有割合がそれぞれ異なるにもかかわらず、
これら酸化鉄含有物質の配合割合に特別の制限を付けず
に使用し得ることを考慮した。即ち、本発明の方法によ
るカルシウムフェライトを製造するためには、上記酸化
鉄含有物質の構成比率及び各種脈石含有割合に加えて、
現実操業における原料需給の変動を吸収し得るように設
定すべきであることを考慮して、上記必要条件である
0.25≦nCa/nFe≦1.0における上限値;1.0
を1.5程度まで増加させることが必要である。以上に
より、配合原料中のCaとFeとのモル比;nCa/nFe
は、0.3≦nCa/nFe≦1.5の範囲内になるように
原料配合を調整すべきである。
【0081】この発明において得られる焼成カルシウム
フェライト成品中のCaO成分の含有率が、25〜50
mass%の範囲内になるように、配合原燃料の調製を
調節する理由は下記の通りである。
【0082】焼成品中のCaO含有率が25mass%
よりも低いと、脱P材としての効果が低減する。従っ
て、多量に添加しなければならなくなり、コストも高く
なる。一方、石灰石と酸化鉄原料との混合原料中のCa
とFeとのモル比が1.5前後の場合には、生成カルシ
ウムフェライトの結晶形態は主として2CaO・Fe2
3となり、このときの焼成品中のCaO含有量はほぼ
50mass%であった。ところが、カルシウムフェラ
イト焼成品中のCaO含有量が50mass%よりも高
くなると、当該焼成品の融点が急激に高くなり、溶鉄の
精錬材として使用したときに、速やかにその効果を発揮
しなくなる。更に、未反応の石灰石の割合が増加し、歩
留が低下する。従って、カルシウムフェライトの生産率
を向上させ、且つ溶鉄の精錬材として十分にその効果を
発揮させるためには、成品中のCaO含有量が25〜5
0mass%の範囲内に入るように制約する必要があ
る。
【0083】この発明において使用する微粉石灰石の粒
度は、2mm以下のものが80mass%以上を占める
ものを使用するので、ハンドリング中に発生する粉塵対
策として、その備粉石灰石をスラリーで扱うのが効果的
である。その場合、溶剤としては取り扱いが簡単で安価
な水を用いるのが望ましい。
【0084】
【実施例】次に、この発明を実施例により更に詳細に説
明する。下記の通り、試験1〜試験3の3シリーズの試
験操業により、カルシウムフェライトを製造した。この
発明においては、カルシウムフェライトの製造設備、並
びにその製造原料の配合及び粒度等が特に重要である。
これらの内、原料配合は、溶鉄精錬用カルシウムフェラ
イトの品質決定上、重要である。
【0085】ここでは、カルシウムフェライト焼成成品
の目標成分組成を、モノカルシウムフェライト(CaO
・Fe23)とした場合と、ダイカルシウムフェライト
(2CaO・Fe23)とした場合との二通りの配合を
した。CaO・Fe23の生成を目標とした場合(原料
の配合タイプ「A」)には、原料中のCa/Feのモル
比を、1/2=0.5となるように配合し、2CaO・
Fe23の生成を目標とした場合(原料の配合タイプ
「B」)には、原料中のCa/Feのモル比を、1/1
=1となるように配合して試験した。
【0086】製造されたカルシウムフェライト成品の歩
留及び生産率を調査すると共に、成品の強度試験を行な
った。強度試験方法は、鉄鉱石焼結鉱の強度試験方法;
JIS M8711 に準じて行ない、所定のシャッタ
ー試験後に残留する5mm以上のものの割合を測定し
た。更に、実施例で得られた成品の一部について、成品
生成化合物についてのX線回折による同定試験、及び成
分組成分析を行なった。
【0087】[試験1]試験1では、焼結ベッドの上部
側における粉コークス含有率が、下部側における粉コー
クス含有率よりも高くすることを必須の要件とする発明
の実施例について説明する。
【0088】図1に示したカルシウムフェライトの製造
工程フローにしたがい、本発明の範囲内の条件で行なっ
たカルシウムフェライトの製造試験(実施例1〜4)、
及びその比較として、図1において原料装入装置10の
偏析装入機構を用いず、グレート内に単純に原料の生ペ
レット9を装入した、本発明の範囲外の条件で行なった
カルシウムフェライトの製造試験(比較例1及び2)を
行なった。
【0089】表1に、実施例1〜4並びに比較例1及び
2の試験条件を示し、表2に、各試験で使用した原料及
びバインダーとしての生石灰の化学成分を、そして表3
に、原料及び上記生石灰の粒度分布を示す。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
【表3】
【0093】なお、表2に示した化学成分組成は、JI
S M8205で規定された蛍光X線分析に基づく結果
であり、本出願における化学成分組成の分析方法は、以
後全てこの方法による。
【0094】各試験における原料配合は、配合原料のカ
ルシウムフェライト焼成反応開始前の加熱過程までに配
合原料中に存在する全CaO成分の含有率と、当該配合
原料中のFe23成分の含有率との比率が、CaO・F
23化合物の組成比に相当する、表4に示す原料配合
タイプA(実施例1、2、比較例1)と、2CaO・F
23化合物の組成比に相当する、表4に示す原料配合
タイプB(実施例3、4、比較例2)とに分けられる。
【0095】
【表4】
【0096】上記試験操業における操業結果及び成品強
度試験結果を、図4に示す。更に、実施例の一部成品に
ついて化学成分分析を行なった。その結果を表5に示
す。
【0097】
【表5】
【0098】比較例1及び2は、焼結ベッド層厚方向の
コークス含有率を一定としたものである。いずれの比較
例においても焼結ベッド上部の高温保持時間が短く焼成
が不十分なため、生成物の鉱物組成が安定せず、且つ、
強度試験において5mm以上の粒として留まるだけの強
度を有する部分が少なくなり、焼結ベッド上部の歩留が
低く、生産率は期待値まで向上していない。
【0099】これに対して、実施例1、2、3及び4は
偏析装入ワイヤを調節して、焼結ベッド上部と下部とで
の粉コークス偏在度合いを変化させ、その上部側の粉コ
ークス含有率を相対的に高く分布させたものである。こ
れら実施例においては、焼結ベッド上部の焼成が促進さ
れるので、実施例1、2は比較例1と比べて、また実施
例3、4は比較例2と比べて、生産率が大幅に向上して
おり、また歩留及び強度についても向上している。これ
らいずれの実施例においても、酸化鉄含有物質の原料と
して微粉鉄鉱石の他にミルスケールやダストを用いて、
高い歩留及び生産率でのカルシウムフェライト製造が達
成された。
【0100】なお、X線回折により実施例で得られた成
品生成化合物について同定試験を行なったところ、Ca
O・Fe23、2CaO・Fe23及びCaO・FeO
・Fe23が検出された。また、成品中のCaO含有量
は、25〜50mass%の範囲内に入っていることが
わかる(表5参照)。こうして、実施例においてはほぼ
所定の均一なカルシウムフェライトが得られていること
が確認された。
【0101】次に、上述したように、実施例における操
業成績の水準は、原料配合タイプがAである実施例1、
2(試験1−1)の方が、原料配合タイプがBである実
施例3、4(試験2−2)よりも優れている。従って、
原料配合はタイプAで操業するよりもタイプBで操業す
る方が望ましい。しかしながら、現実の操業において
は、原料需給や生産工程上、CaO含有物質の内、特に
石灰石の供給量が多く、且つ酸化鉄含有物質系の微粉鉄
鉱石、ダスト、ミルスケール、砂鉄及びその他の酸化第
二鉄含有物質の供給量が少ないというタイミングの場合
もあり、このような場合には、原料配合タイプBによ
り、配合原料中CaO成分とFe23成分との比率が、
2CaO・Fe23化合物の組成比に相当するような、
Fe23成分に比べてCaO成分の比率を高くするよう
な操業を行なっても、操業成績の改善に効果が発揮され
る。
【0102】なお、上記原料配合タイプA、Bの選択と
その効果の発揮との関係については、以下に述べる試験
2及び3においても、試験1に準じて適用されるもので
ある。
【0103】[試験2]試験2では、配合原料の調製
を、その配合原料中のCaO成分の含有率とFe 23
分の含有率との比;(CaOmass%)/(Fe23
mass%)が、0.2を超えるように調節することを
必須の要件とする発明の実施例について説明する。
【0104】[試験2−1]図3に示したカルシウムフ
ェライトの製造工程フローにしたがい、本発明の範囲内
の操業試験(実施例5〜9)、及びその比較として本発
明の範囲外の操業試験(比較例3、4)を行なった。粉
コークス添加量は、配合原料の外数で5mass%と
し、全量を生ペレットへの外装被覆とし、図3中に示し
た原・燃料ホッパー1からの粉コークス1gは添加しな
かった。生ペレット8の粒径は5〜10mmである。そ
して、焼結ベッドの高さ(厚さ)は400mmとした。
【0105】表6に、各試験の条件を示す。全ての試験
において、表2に示した化学成分を有し、表3に示した
粒度分布を有する原料を使用した。
【0106】
【表6】
【0107】各試験における原料配合は、配合原料のカ
ルシウムフェライト焼成反応開始前の加熱過程までに配
合原料中に存在する全CaO成分の含有率と、当該配合
原料中のFe23成分の含有率との比率が、CaO・F
23化合物の組成比に相当する、表7に示す原料配合
タイプAで行ない、従って、配合原料中のCa/Feの
モル比;nCa/nFe≒0.5のほぼ一定で行なった。
【0108】
【表7】
【0109】実施例5〜9においては、(CaOmas
s%)/(Fe23mass%)=0.20〜0.50
の間の5水準で行ない、これに対して、比較例3、4で
は、(CaOmass%)/(Fe23mass%)=
0.10、0.15の2水準で行なった。
【0110】上記試験操業における操業結果及び成品強
度試験結果を、図5に示す。更に、実施例の一部成品に
ついて化学成分分析を行なった。その結果を表8に示
す。
【0111】
【表8】
【0112】図5より、CaO/Fe23が0.2を超
える実施例において、歩留、生産率及び強度の全てにお
いて改善が見られる。なお、CaO含有物質として使用
する生石灰は石灰石に比較しコスト的に高価なので、改
善効果がほぼ安定してくるCaO/Fe23が0.3〜
0.4程度とすれば十分である。
【0113】[試験2−2]図3に示したカルシウムフ
ェライトの製造工程フローにしたがい、本発明の範囲内
の操業試験(実施例10〜15)、及びその比較として
本発明の範囲外の操業試験(比較例5、6)を行なっ
た。粉コークス添加量は、配合原料の外数で5mass
%とし、全量を生ペレットへの外装被覆とした。生ペレ
ット8の粒径は5〜10mmである。そして、焼結ベッ
ドの高さ(厚さ)は全て400mmとした。
【0114】表9に、各試験の条件を示す。全ての試験
において、表2に示した化学成分を有し、表3に示した
粒度分布を有する原料を使用した。
【0115】
【表9】
【0116】各試験における原料配合は、配合原料のカ
ルシウムフェライト焼成反応開始前の加熱過程までに配
合原料中に存在する全CaO成分の含有率と、当該配合
原料中のFe23成分の含有率との比率が、2CaO・
Fe23化合物の組成比に相当する、表7に示した原料
配合タイプBで行ない、従って、配合原料中のCa/F
eのモル比;nCa/nFe≒1.0でほぼ一定で行なっ
た。
【0117】実施例10〜15においては、配合原料中
の(CaOmass%)/(Fe23mass%)=
0.20〜1.00の間の6水準で行なった。これに対
して、比較例5、6では、(CaOmass%)/(F
23mass%)=0.10、0.15の2水準で行
なった。
【0118】上記試験操業における操業結果及び成品強
度試験結果を、図6に示す。更に、実施例の一部成品に
ついて化学成分分析を行なった。その結果を表10に示
す。
【0119】
【表10】
【0120】図6より、CaO/Fe23が0.2を超
える実施例において、歩留、生産率及び強度の全てにお
いて改善が見られる。
【0121】このように、原料の配合タイプが、原料中
CaO成分とFe23成分との比率が、Bタイプの場合
でも、CaO/Fe23が0.2を超えると、タイプA
の場合と同様、歩留、生産率及び強度の全てにわたり改
善される。
【0122】なお、試験2−1及び試験2−2における
実施例5〜15で得られた成品生成化合物について、X
線回折による同定試験を行なったところ、CaO・Fe
23、2CaO・Fe23及びCaO・FeO・Fe2
3が検出された。また、成品中のCaO含有量は、2
5〜50mass%の範囲内に入っていることがわかる
(表8及び表10参照)。こうして、実施例においては
ほぼ所定の均一なカルシウムフェライトが得られている
ことが確認された。
【0123】[試験3]試験3は試験3−1〜3−3か
らなり、ここでは、配合原料の調製を下記の通り調節す
ることを必須の要件とする発明の実施例について説明す
る。即ち、配合原料にバインダーとして生石灰及び消石
灰の内少なくとも1種を添加し、かかるバインダーが含
まれた配合原料について、生石灰に由来するCaO成分
の重量と消石灰に由来するCa(OH)2成分の重量と
の合計重量と、石灰石中のCaCO3成分の重量との
比;([CaOfrom生石灰]+[CaOfrom消石灰])
/([CaOfrom石灰石])(この明細書において、
「CaO類成分の由来比」といい、R(CaO類成分)
で表わす)が、0.23以上となるように調節すること
を必須の要件とする発明の実施例について説明する。
【0124】[試験3−1]図3に示したカルシウムフ
ェライトの製造工程フローにしたがい、本発明の範囲内
の操業試験(実施例16〜23)、及びその比較として
本発明の範囲外の操業試験(比較例7)を行なった。
【0125】各試験の共通条件:原料配合は、配合原
料のカルシウムフェライト焼成反応開始前の加熱過程ま
でに配合原料中に存在する全CaO成分の含有率と、当
該配合原料中のFe23成分の含有率との比率が、Ca
O・Fe23化合物の組成比に相当する、表7に示した
原料配合タイプAで行ない、従って、配合原料中のCa
/Feのモル比;nCa/nFe≒0.5のほぼ一定で行な
った。 バインダーとして生石灰及び消石灰を用い、それらの
粒度を−2mm(2mm以下)とした。 粉コークス添加量を配合原料の外数で5mass%と
し、全量を生ペレットへの外装被覆とし、図3中に示し
た原・燃料ホッパー1からの粉コークス1gは添加しな
かった。生ペレット8の粒径は5〜10mmである。 焼結ベッドの高さ(厚さ)は400mmとした。
【0126】表11及び表12に、各試験の条件を示
す。全ての試験において、配合用原料として表2に示し
た化学成分を有するものを用い、一部の実施例試験で
は、それに加えて表13に示す化学成分を有する消石灰
も用いた。これら配合用原料の粒度分布を、表14に示
す。生石灰及び消石灰の配合割合は、表11及び表12
中に示した通りである。
【0127】
【表11】
【0128】
【表12】
【0129】
【表13】
【0130】
【表14】
【0131】実施例16〜23においては、CaO類成
分の由来比;R(CaO類成分)=0.23〜0.59
の間で行なった。これに対して、比較例7では、CaO
類成分の由来比;R(CaO類成分)=0.17なる本
発明範囲外の低値で行なった。
【0132】上記試験操業における操業結果を、図7に
示し、更に、実施例の一部成品について化学成分分析を
行なった。その結果を表15に示す。
【0133】
【表15】
【0134】図7は、CaO類成分の由来比;R(Ca
O類成分)を横軸とした焼成試験の操業結果である。C
aO類成分の由来比;R(CaO類成分)≡([CaO
from生石灰]mass%+[CaOfrom消石灰]mas
s%)/([CaOfrom石灰石]mass%)≧0.2
3において性状、生産性共に良好なカルシウムフェライ
ト成品が得られた。またR(CaO類成分)>0.5で
は歩留、生産率、SI強度のいずれも飽和状態(頭打
ち)となり、これ以上バインダーを添加しても、それら
の改善は望めない。通常、生石灰及び消石灰は石灰石を
焼成して製造するので、R(CaO類成分)を不必要に
増大させることは、コスト的に望ましくない。
【0135】なお、X線回折により、実施例における成
品生成化合物の同定試験を行ったところ、CaO・Fe
23、2CaO・Fe23及びCaO・FeO・Fe2
3が検出された。また、成品中のCaO含有量は、2
5〜50mass%の範囲内に入っていることがわかる
(表15参照)。こうして、実施例においてはほぼ所定
の均一なカルシウムフェライトが得られていることが確
認された。
【0136】以上より、焼結鉱品質、生産性および経済
性の見地から、0.23≦R(CaO類成分)≦0.5
とするのが望ましい。
【0137】[試験3−2]図3に示したカルシウムフ
ェライトの製造工程フローにしたがい、本発明の範囲内
の操業試験(実施例25〜32)、及びその比較として
本発明の範囲外の操業試験(比較例8)を行なった。
【0138】各試験の共通条件: 各試験における原
料配合は、配合原料のカルシウムフェライト焼成反応開
始前の加熱過程までに配合原料中に存在する全CaO成
分の含有率と、当該配合原料中のFe23成分の含有率
との比率が、2CaO・Fe 23化合物の組成比に相当
する、表7に示した原料配合タイプBで行ない、従っ
て、配合原料中のCa/Feのモル比;nCa/nFe
1.0でほぼ一定で行なった。 バインダーとして生石灰及び消石灰を用い、それらの
粒度を−2mmとした。 粉コークス添加量を配合原料の外数で5mass%と
し、全量を生ペレットへの外装被覆とし、図3中に示し
た原・燃料ホッパー1からの粉コークス1gは添加しな
かった。生ペレット8の粒径は5〜10mmである。 焼結ベッドの高さ(厚さ)は400mmとした。
【0139】表16及び表17に、各試験の条件を示
す。全ての試験において、配合用原料として表2に示し
た化学成分を有するものを用い、一部の実施例試験で
は、それに加えて表13に示す化学成分を有する消石灰
も用いた。これら配合用原料の粒度分布は、表14に示
した通りである。生石灰及び消石灰の配合割合は、表1
6及び表17中に示した通りである
【0140】
【表16】
【0141】
【表17】
【0142】これら配合用原料の粒度分布は、表14に
示した通りである。この内、生石灰及び消石灰につい
て、実施例25〜32及び比較例8の試験共にその粒度
分布が−2mmのバインダーを、表16及び表17中に
示した割合で配合した。
【0143】実施例25〜32においては、CaO類成
分の由来比;R(CaO類成分)=0.23〜0.63
の間で行なった。これに対して、比較例8では、CaO
類成分の由来比;R(CaO類成分)=0.19なる本
発明の範囲外の低値で行なった。
【0144】上記試験操業における操業結果を、図8に
示す。更に、実施例の一部成品について化学成分分析を
行なった。その結果を、表18に示す。
【0145】
【表18】
【0146】図8も、図7と同様、CaO類成分の由来
比;R(CaO類成分)を横軸とした焼成試験の操業結
果である。CaO類成分の由来比;R(CaO類成分)
≡([CaOfrom生石灰]mass%+[CaOfrom
石灰]mass%)/([CaOfrom石灰石]mass
%)≧0.23において性状、生産性共に良好なカルシ
ウムフェライト成品が得られた。しかしながら、R(C
aO類成分)>0.5では歩留、生産率、SI強度のい
ずれも飽和状態(頭打ち)となり、これ以上バインダー
を添加しても、それらの改善は望めない。通常、生石灰
及び消石灰は石灰石を焼成して製造するので、R(Ca
O類成分)を不必要に増大させることは、コスト的に望
ましくない。
【0147】なお、X線回折により、実施例における成
品生成化合物の同定試験を行ったところ、2CaO・F
23、CaO・Fe23及びCaO・FeO・Fe2
3が検出された。また、成品中のCaO含有量は、2
5〜50mass%の範囲内に入っていることがわかる
(表18参照)。こうして、実施例においてはほぼ所定
の均一なカルシウムフェライトが得られていることが確
認された。
【0148】以上より、0.23≦R(CaO類成分)
≦0.5とするのが、焼結鉱の品質及び生産性共に良好
であり、且つ、コスト面及びCaO資源の効率的利用か
らも望ましい。
【0149】[試験3−3]図3に示したカルシウムフ
ェライトの製造工程フローにしたがい、本発明の範囲内
の操業試験(実施例24、33)を行なった。
【0150】各試験の共通条件:バインダーとして生
石灰及び消石灰を用いた。 粉コークス添加量を配合原料の外数で5mass%と
し、全量を生ペレットへの外装被覆とし、図3中に示し
た原・燃料ホッパー1からの粉コークス1gは添加しな
かった。生ペレット8の粒径は5〜10mmである。 焼結ベッドの高さ(厚さ)は400mmとした。
【0151】実施例24の試験条件は、表12中に示し
た通りであり、そして、実施例33及び比較例8の試験
条件は、表17中に示した通りである。全ての試験にお
いて、配合用原料の化学成分組成は、表2及び表13に
示した化学成分を有するものを用いた。また、これら配
合用原料の粒度分布は、表14に示した通りである。
【0152】試験3−3においては、表7に示した原料
配合タイプA及びBのそれぞれの場合について、バイン
ダーとしての生石灰及び消石灰の粒度が、カルシウムフ
ェライト焼成成品の品質や生産性、あるいは強度に及ぼ
す影響を試験することを主目的とした。即ち、(1)原
料配合タイプAのとき:実施例24で粒度分布が−1m
mのバインダーを、表12中に示した割合で配合し、前
記実施例19(表11参照)と比較し、(2)原料配合
タイプBのとき:実施例33で粒度分布が−1mmのバ
インダーを、表17中に示した割合で配合し、前記実施
例28(表16参照)と比較した。なお、R(CaO類
成分)については、(1)では0.42で一定、(2)
では0.40で一定とした。
【0153】上記試験操業における操業結果を、図9
(a)及び(b)に示す。更に、実施例の一部成品につ
いて化学成分分析を行なった。その結果を、表19に示
す。
【0154】
【表19】
【0155】図9は、バインダーとしての生石灰及び消
石灰の粒度に対する焼成試験の操業結果である。同図よ
り明らかなように、バインダーの粒度が小さい方が良質
なカルシウムフェライトとなる。即ち、バインダーの粒
度を1mm以下とすることにより、それが焼結ベッド内
で均一に分散することにより、性状、生産性共に良好な
カルシウムフェライトが得られた。
【0156】なお、X線回折により、実施例における成
品生成化合物の同定試験を行ったところ、CaO・Fe
23、2CaO・Fe23 及びCaO・FeO・Fe2
3が検出された。また、成品中のCaO含有量は、2
5〜50mass%の範囲内に入っていることがわかる
(表19参照)。こうして、実施例においてはほぼ所定
の均一なカルシウムフェライトが得られていることが確
認された。
【0157】以上より、焼結鉱品質及び生産性向上の見
地から、バインダーの粒度は1mm以下にすることが望
ましい。
【0158】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
溶鉄の精錬材、特に脱りんに対して効果的なカルシウム
フェライトを主成分とする精錬材を、下記条件下で製造
することができる。 1.無端移動グレート式焼結機を使用するので、カルシ
ウムフェライトの生成反応が安定して行なわれ、高生産
率、且つ高歩留の工業的量産が可能である。 2.原・燃料として、微粉石灰石、微粉鉄鉱石、ミルス
ケール、ダスト及び砂鉄、並びに、粉コークスのよう
な、安価な原料、並びに、製鉄所等での発生品あるいは
処理対象物質等を活用することができ、また、そのため
に原材料コストが安価である。 3.生産設備として、既設の設備を活用することができ
るので、設備コストが安価であり、省スペースにもな
る。
【0159】そして、こうして製造されるカルシウムフ
ェライトは、CaO粒子の内部全域にわたりカルシウム
フェライトが生成して、化学成分組成が安定し、均質な
成品が得られ、強度が確保された品質良好な成品とな
る。
【0160】このような溶鉄精錬用カルシウムフェライ
トの製造方法を提供することができ、工業上有益な効果
がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏析装入ワイヤによる装入方法を用いた、この
発明の実施に適した溶鉄精錬用のカルシウムフェライト
を製造する概略フロー図である。
【図2】粉コークスの添加量が多量と少量の2種の生ペ
レットを造粒するラインを設けた2層装入方式による、
この発明の実施に適した溶鉄精錬用のカルシウムフェラ
イトを製造する概略フロー図である。
【図3】スローピングシュートによる装入方法を用い
た、この発明の実施に適した溶鉄精錬用のカルシウムフ
ェライトを製造する概略フロー図である。
【図4】試験1における操業成績及び品質水準を示すグ
ラフである。
【図5】試験2−1における操業成績及び品質水準を示
すグラフである。
【図6】試験2−2における操業成績及び品質水準を示
すグラフである。
【図7】試験3−1における操業成績及び品質水準を示
すグラフである。
【図8】試験3−2における操業成績及び品質水準を示
すグラフである。
【図9】試験3−3における操業成績及び品質水準を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 原・燃料ホッパー 1a 石灰石 1b 生石灰 1c 微粉鉄鉱石 1d ダスト 1e ミルスケール 1f 返鉱 1g 粉コークス 2 ミキサー 3 ディスクペレタイザー 4 粉コークス 5 コーティングミキサー 6 無端移動グレート式焼結機(焼結機) 7、7’ 水分 8 生ペレット 9 コークス外装生ペレット 10 原料装入装置 10a サージホッパー 10b ロールフィーダー 10c 偏析装入ワイヤー 11 無限軌道部 11a パレット 11b グレート 12 焼結ベッド 13 原料装入装置 13a サージホッパー 13b ロールフィーダー 13c スローピングシュート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 町田 智 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K001 AA10 DA01 GA10 4K014 AA02 AA03 AB00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料としてCaO含有物質と酸化鉄含有
    物質とを使用し、燃料として固体燃料を使用する溶鉄精
    錬用のカルシウムフェライトを製造する方法において、 前記CaO含有物質として、粒径2mm以下のものが8
    0mass%以上を占める微粉石灰石を用い、前記酸化
    鉄含有物質として、微粉鉄鉱石、ダスト、ミルスケー
    ル、砂鉄及びその他の酸化第二鉄含有物質からなる群か
    ら選ばれた1種以上からなり、その平均粒径が1.5m
    m以下である微粉酸化鉄含有物質を用い、そして、固体
    燃料として粒状固体燃料を用い、 前記原料及び燃料からなる配合原燃料をミキサーで調湿
    し混合し、得られた混合原燃料をディスクペレタイザー
    で生ペレットに造粒し、次いで当該生ペレットを前記粒
    状固体燃料で被覆し、こうして得られた粒状固体燃料が
    外装された生ペレットを無端移動グレート式焼結機へ装
    入して当該生ペレットからなる焼結ベッドを形成し、こ
    れを連続的に焼成してカルシウムフェライトを製造する
    に際して、 前記配合原燃料の調製を、当該配合原燃料中のCa元素
    とFe元素とのモル比nCa/nFeが0.3〜1.5の範
    囲内になり、且つ、得られる焼成カルシウムフェライト
    成品中のCaO成分の含有率が25〜50mass%の
    範囲内になるように調節し、そして、 前記焼結ベッド内における粒状固体燃料の含有率分布
    を、当該焼結ベッドの上部側における方がその下部側に
    おけるよりも高くなるように調節することを特徴とす
    る、溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記焼結ベッド内における粒状固体燃料
    の含有率分布を、当該焼結ベッドの上表面から焼結ベッ
    ド厚の1/3以下の所定位置までの領域の含有率Aと、
    当該焼結ベッド全厚から当該1/3以下の所定位置まで
    の厚さを除いた残部厚領域の前記粒状固体燃料の含有率
    Bとの間に、下記関係式: A=(1.05〜1.50)×B 但し、A、B:CaO含有物質と酸化鉄含有物質とから
    なる原料に対する外数の含有率、mass%、 が満たされるように調節することを特徴とする、請求項
    1記載の溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製造方法。
  3. 【請求項3】 原料としてCaO含有物質と酸化鉄含有
    物質とを使用し、燃料として固体燃料を使用する溶鉄精
    錬用のカルシウムフェライトを製造する方法において、 前記CaO含有物質として、粒径2mm以下のものが8
    0mass%以上を占める微粉石灰石を用い、前記酸化
    鉄含有物質として、微粉鉄鉱石、ダスト、ミルスケー
    ル、砂鉄及びその他の酸化第二鉄含有物質からなる群か
    ら選ばれた1種以上からなりその平均粒径が1.5mm
    以下である微粉酸化鉄含有物質を用い、そして、固体燃
    料として粒状固体燃料を用い、 前記原料及び燃料からなる配合原燃料をミキサーで調湿
    し混合し、得られた混合原燃料をディスクペレタイザー
    で生ペレットに造粒し、次いで当該生ペレットを前記粒
    状固体燃料で被覆し、こうして得られた粒状固体燃料が
    外装された生ペレットを無端移動グレート式焼結機へ装
    入して当該生ペレットからなる焼結ベッドを形成し、こ
    れを連続的に焼成してカルシウムフェライトを製造する
    に際して、 前記配合原燃料の調製を、当該配合原燃料中のCa元素
    とFe元素とのモル比nCa/nFeが0.3〜1.5の範
    囲内になり、当該配合原燃料中のCaO成分とFe23
    成分との含有率比(CaOmass%)/(Fe23
    ass%)が、0.2を超えるように、且つ、得られる
    焼成カルシウムフェライト成品中のCaO成分の含有率
    が25〜50mass%の範囲内になるように調節する
    ことを特徴とする、溶鉄精錬用カルシウムフェライトの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製造
    方法は、請求項1又は2記載の発明に、更に、前記配合
    原燃料の調製を、その配合原燃料中のCaO成分とFe
    23成分との含有率比(CaOmass%)/(Fe2
    3mass%)が、0.2を超えるように調節するこ
    とを付加することを特徴とする、溶鉄精錬用カルシウム
    フェライトの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記粒状固体燃料が外装された生ペレッ
    トに含まれる粒状固体燃料の平均含有率は、前記CaO
    含有物質と前記酸化鉄含有物質とからなる原料に対する
    外数の含有率表示で、前記生ペレットの乾燥重量に対し
    て5mass%以上となり、しかも前記外装された粒状
    固体燃料の重量が全粒状固体燃料の重量の50%以上と
    なるように、前記生ペレットを調製することを特徴とす
    る、請求項1〜4のいずれかに記載の溶鉄精錬用カルシ
    ウムフェライトの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載の発明のいずれかに、
    更に、バインダーとして前記配合原燃料に、生石灰及び
    消石灰の内少なくとも1種を添加することを付加するこ
    とを特徴とする、溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記配合原燃料にバインダーとして前記
    生石灰及び消石灰の内少なくとも1種が添加されて得ら
    れた含バインダー配合原燃料中の生石灰に由来するCa
    O成分の重量と消石灰に由来するCaO成分の重量との
    合計重量と、石灰石中のCaO成分の重量との比が、
    0.23以上になるように調節することを特徴とする、
    請求項6記載の溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 原料としてCaO含有物質と酸化鉄含有
    物質とを使用し、燃料として固体燃料を使用し、更にバ
    インダーとして生石灰及び消石灰の内少なくとも1種を
    添加する溶鉄精錬用のカルシウムフェライトを製造する
    方法において、 前記CaO含有物質として、粒径2mm以下のものが8
    0mass%以上を占める微粉石灰石を用い、前記酸化
    鉄含有物質として、微粉鉄鉱石、ダスト、ミルスケー
    ル、砂鉄及びその他の酸化第二鉄含有物質からなる群か
    ら選ばれた1種以上からなりその平均粒径が1.5mm
    以下である微粉酸化鉄含有物質を用い、固体燃料として
    粒状固体燃料を用い、 前記原料、燃料及びバインダーからなる含バインダー配
    合原燃料をミキサーで調湿し混合し、得られた含バイン
    ダー混合原燃料をディスクペレタイザーで生ペレットに
    造粒し、次いで当該生ペレットを前記粒状固体燃料で被
    覆し、こうして得られた粒状固体燃料が外装された生ペ
    レットを無端移動グレート式焼結機へ装入して当該生ペ
    レットからなる焼結ベッドを形成し、これを連続的に焼
    成してカルシウムフェライトを製造するに際して、 前記含バインダー配合原燃料の調製を、当該含バインダ
    ー配合原燃料中のCa元素とFe元素とのモル比nCa
    Feが0.3〜1.5の範囲内であって且つ前記生石灰
    及び消石灰の内少なくとも1種に由来する前記含バイン
    ダー配合原燃料中の生石灰に由来するCaO成分の重量
    と消石灰に由来するCaO成分の重量との合計重量と、
    石灰石中のCaO成分の重量との比が、0.23以上に
    なるように調節し、且つ、得られる焼成カルシウムフェ
    ライト成品中のCaO成分の含有率が25〜50mas
    s%の範囲内になるように調節することを特徴とする、
    溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記粒状固体燃料が外装された生ペレッ
    トに含まれる粒状固体燃料の平均含有率は、前記CaO
    含有物質と前記酸化鉄含有物質とが含まれる原料に対す
    る外数の含有率表示で、前記生ペレットの乾燥重量に対
    して5mass%以上となり、しかも、前記外装された
    粒状固体燃料の重量が全粒状固体燃料の重量の50%以
    上となるように、前記生ペレットを調製することを特徴
    とする、請求項8記載の溶鉄精錬用カルシウムフェライ
    トの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記バインダーとして添加される生石
    灰及び/又は消石灰は、その粒度が1mm以下のものを
    用いることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記
    載の溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記原料中の石灰石は、スラリー状の
    ものを用いることを特徴とする、請求項1〜10のいず
    れかに記載の溶鉄精錬用カルシウムフェライトの製造方
    法。
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