JP2004183031A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】造粒性の劣る鉄系原料の造粒性を改善し、焼結鉱の生産性および品質を改善する焼結鉱の製造方法の提供。
【解決手段】(1)造粒性の劣る鉄系原料に界面活性剤を含む水分を添加し、さらに前記造粒性の劣る鉄系原料を含まない原料と混合し、水分を添加して造粒操作を行う焼結鉱の製造方法。前記(1)の焼結鉱の製造方法において、造粒性の劣る原料は集塵ダスト、砂鉄、ペレットフィードおよびマラマンバ鉱石のうちの少なくとも1種であることが好ましい。造粒性の劣る原料は、粒子径が1mm以下の割合が50質量%以上の粒度分布であることが好ましい。焼結原料中に造粒性の劣る原料を30質量%以上配合することが好ましい。添加水分中の界面活性剤の含有率は、0.05質量%以上であることが好ましい。
【選択図】 図3
【解決手段】(1)造粒性の劣る鉄系原料に界面活性剤を含む水分を添加し、さらに前記造粒性の劣る鉄系原料を含まない原料と混合し、水分を添加して造粒操作を行う焼結鉱の製造方法。前記(1)の焼結鉱の製造方法において、造粒性の劣る原料は集塵ダスト、砂鉄、ペレットフィードおよびマラマンバ鉱石のうちの少なくとも1種であることが好ましい。造粒性の劣る原料は、粒子径が1mm以下の割合が50質量%以上の粒度分布であることが好ましい。焼結原料中に造粒性の劣る原料を30質量%以上配合することが好ましい。添加水分中の界面活性剤の含有率は、0.05質量%以上であることが好ましい。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼結鉱の製造に供せられる焼結原料の造粒性を改善することにより焼結鉱の生産性および品質を改善する方法に関し、さらに詳しくは、造粒性の劣る焼結原料に界面活性剤を含む水分を添加して、他の焼結原料と混合して造粒する焼結鉱の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、焼結鉱を製造するに当たっては、鉄鉱石、燃料、および副原料に水分を添加し、ミキサー等で転動し、混合および造粒して原料粒子の擬似粒子を作ることによって焼結機上の原料層の通気性を改善してきた。しかしながら、鉄鉱石原料の粒度や粒子形状の差異に起因して、他の鉱石と同一水分、および同一造粒条件では造粒が充分に進行しない鉄系原料が存在すると、焼結原料層内における擬似粒子径が細粒化し、これが通気性を悪化させたり、また通気性のばらつきを増大させたりして、焼結鉱の生産性や品質の悪化を惹起していた。
【0003】
焼結鉱を製造するための焼結原料の造粒に際しては、水分が添加される。ところが、オフラインにおいて充分に時間をかけ、また、擬似粒子化するための適正な水分量を与えて転動および造粒させるのに比べて、実操業においては、原料中の水分量が低く、適正水分量の範囲に達していないことが多いのが実態であった。この理由は、造粒時間を充分に確保するには大幅な設備改造が必要であること、および水分を上昇させると加湿された原料の粘着性が高くなり、原料搬送設備における各シュートやベルトコンベアなどに原料が付着しやすくなり、これが成長して設備上のトラブルおよび操業の不安定化を引き起こすため、原料水分量を上昇させることが難しかったためである。
【0004】
適正水分量の範囲は、配合原料によって変動するものの、一般に、7.3〜7.5%程度とされている。
造粒性の良好な鉄系原料を他の鉄系原料と区別し、さらに造粒性を促進させるために水分量を増加させる方法が開示されている。
【0005】
特許文献1には、吸水性の高い銘柄の粉鉱石に対して、保水量を飽和させるのに必要な水分量を添加し、更に、造粒の際にミキサーにおいて造粒に必要な水分を添加して原料水分を調整する焼結鉱の製造法が開示されている。しかし、ここで開示された方法においては、吸水性の低い原料に対する改善を行っていないことから、焼結原料全体の造粒性を改善することは困難である。
【0006】
特許文献2には、造粒性の良好な粉鉱石、造粒性の悪い粉鉱石を均鉱ヤードに積み付ける際に、造粒性の良好な粉鉱石を主体に事前に水分を添加することにより、全部の鉱石の水分量を一律に上昇させる際に造粒性の悪い鉱石が合体してできる自己凝集型擬似粒子の生成を防止し、強度の高い擬似粒子の生成を促進して、雑熱源の擬似粒子内埋没による熱効率の低下を防ぐ方法が開示されている。しかし、この方法では、造粒性の悪い原料に対する造粒性改善の対策が施されていないため、原料全体の造粒性改善は困難である。
【0007】
一方、特許文献3には、自溶性焼結鉱の媒溶剤として生石灰を利用し、この混合原料の添加水分中に、界面活性剤を混入したものを焼結装置に装入し、焼結する方法が開示されている。ここで開示された方法は、生石灰を使用した焼結鉱原料の造粒に供する水分を低減させるために、界面活性剤を添加水に加えるものである。生石灰を使用することを前提とした改善方法であり、生石灰の粘着効果を得るために、必要な水分量を低減する目的で界面活性剤を添加する方法である。したがって、この方法では、生石灰の有無に拘わらずに造粒性を改善するには至らなかった。
【0008】
また、特許文献4には、焼結原料を擬似粒化するに当たり、分散剤および/または界面活性剤を含有する水を用いる原料の前処理方法が開示されている。この方法は、焼結原料の擬似粒化を容易に、確実に、しかも生石灰などのバインダーを少量用いるのみで実施でき、各造粒粒子自体の構造の安定性に優れ、生産性および歩留りなどを向上できるとされている。
【0009】
特許文献5には、天然高分子を変性させて親水基および疎水基を有する半合成高分子とした造粒用添加剤を用いて造粒用水分の表面張力および粘性を調整する方法が開示されている。特許文献4および5で開示された方法では、界面活性剤は造粒用水分全体に添加されるため、原料の造粒性の良否にかかわらず全ての原料に対する添加水の表面張力および粘性が低下し、原料全体の造粒性を向上させようとすると必要以上に過剰な水分が必要となって燃料原単位や品質が悪化しがちである。
【0010】
さらに、特許文献6には、バインダーとして生石灰を用いる焼結原料の造粒方法であって、親水基あるいは親水基と疎水基を有する高分子である造粒添加剤を用いる方法が開示されている。この方法によれば、バインダーを添加して安定的かつ均一に理想的な擬似粒子に造粒できるとされている。しかし、この方法もまた、前記の特許文献4および5の場合と同様に、原料全体の造粒性を向上させようとすると、必要以上に過剰な水分が必要となって生産性や品質が悪化する傾向がある。
【特許文献1】
特開平5―39530号公報(特許請求の範囲、段落[0011])
【特許文献2】
特開平11−269561号公報(特許請求の範囲、段落[0005]〜[0006])
【特許文献3】
特公昭51−2401号公報(特許請求の範囲、第2欄5〜21行)
【特許文献4】
特開昭59−50129号公報(特許請求の範囲、1頁右欄16行〜2頁左上欄11行)
【特許文献5】
特開平11―181531号公報(特許請求の範囲、段落[0009]〜[0014])
【特許文献6】
特開2000―239751号公報(特許請求の範囲、段落[0011])
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上述の問題に鑑み、造粒性の劣る鉄系原料と他の鉄系原料とが存在する場合に、原料造粒用水分量の適正化を図り、造粒性の劣る鉄系原料の造粒性を改善して、焼結鉱の生産性および品質を改善する焼結鉱の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を達成するために、前記した従来の問題点について検討を加え、下記の(a)〜(e)の知見を得た。
【0013】
(a)造粒性の劣る鉄系原料には、疎水性原料と、高吸水性原料があり、疎水性原料は原料粒子が造粒用水分に濡れないことから、造粒操作後も未造粒のままとなり、一方、高吸水性原料は造粒用水分が原料粒子内部に浸透し、粒子表面に残らないため、造粒性が低下する。
【0014】
(b)前記(a)の問題を解消するために、造粒性の劣る鉄系原料を含む焼結原料に対して添加する造粒用水分量を一律に増加すると、造粒性の劣る鉄系原料を確実に造粒させるための造粒所要時間の増大、造粒性の良好な鉄系原料による肥大擬似粒子の形成、または、造粒機への原料付着などの問題が発生する。
【0015】
(c)前記(a)の造粒性の劣る鉄系原料の造粒性を改善するためには、鉄系原料に、親油性(疎水性)および親水性の両性質を有する界面活性剤を添加し、原料粒子表面には親油基(疎水基)が付きやすい性質を利用して、その外周を親水基により被覆する形態とすることが有効である。
(d)前記(c)の形態とすることにより、疎水性原料粒子の濡れ性を向上させ、しかも、高吸水性原料粒子の表面に親油基による膜を形成し、水分を粒子内部に浸透させずに適度な濡れ性を確保することができる。
(e)造粒性の劣る鉄系原料に選択的に界面活性剤を含む水分を添加することにより、必要以上に過剰な水分を添加することなく、また、界面活性剤の使用量を最小限度に抑えて、適正な造粒を行うことが可能となり、焼結鉱製造ための燃料原単位の低減、および品質の向上を達成することができる。
【0016】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(5)に示す焼結鉱の製造方法にある。
【0017】
(1)造粒性の劣る鉄系原料に界面活性剤を含む水分を添加し、さらに前記造粒性の劣る鉄系原料を含まない原料と混合し、水分を添加して造粒操作を行う焼結鉱の製造法。
【0018】
(2)前記(1)の焼結鉱の製造方法において、造粒性の劣る鉄系原料は集塵ダスト、砂鉄、ペレットフィードおよびマラマンバ鉱石のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0019】
(3)前記(1)または(2)の焼結鉱の製造方法において、造粒性の劣る鉄系原料の粒度分布は、粒子径が1mm以下の割合が50質量%以上であることが好ましい。
【0020】
(4)前記(1)〜(3)の焼結鉱の製造方法において、焼結原料中に前記の造粒性の劣る鉄系原料を30質量%以上配合することが好ましい。
【0021】
(5)前記(1)〜(4)の焼結鉱の製造方法において、添加水分中の界面活性剤の含有率は、0.05質量%以上であることが好ましい。
【0022】
本発明において、「造粒性の劣る鉄系原料」とは、疎水性の鉄系原料、および高吸水性の鉄系原料をいう。ここで、疎水性の鉄系原料には、集塵ダスト、砂鉄、ペレットフィードなどが該当し、高吸水性の鉄系原料には、マラマンバ鉱石などが該当する。
【0023】
「焼結原料」とは、前記の鉄系原料、燃料コークスなどの炭材ならびに石灰石などの副原料(造滓剤)の混合物をいう。
【0024】
「界面活性剤の含有率」とは、添加水分中の界面活性剤の有効成分の質量を、水と界面活性剤の合計質量で除して百分率(質量%)にて表示した値である。
【0025】
なお、以下の説明において、「原料の水分量」とは、原料自身の保有する付着水分量に添加水分量を加え、これを原料に付着水分および添加水分を加えた全質量で除して、百分率(質量%)にて表示した値をいう。
【0026】
「擬似粒子」とは、原料粒子同士が造粒機内での転動などにより相互に付着して形成される、原料の真粒子よりも大きな粒子をいう。
【0027】
また、原料の粒度分布を表示するに当たっての原料の分布割合、原料配合率、原料の水分量、および水分中の界面活性剤の含有率は、特に断らない限り、質量%にて表示する。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記のとおり、造粒性の劣る鉄系原料に界面活性剤を含有する水分を添加することにより、その造粒性を改善し、焼結鉱の生産性および品質を改善する焼結鉱の製造方法である。すなわち、造粒性の劣る鉄系原料に、界面活性剤を含有する水分を選択的に添加し、他の鉄系原料と混合して造粒することにより、添加水分の不必要な増加を防止して、焼結鉱の生産性および品質の改善を実現するものである。
【0029】
造粒性の劣る鉄系原料は、下記の2種類の原料に大別できる。すなわち、集塵機ダストや砂鉄のように疎水性の原料と、マラマンバ鉱石のように高吸水性の原料である。ここで、両鉄系原料は、粒子径が1mm以下の割合が50質量%以上となる粒度分布を有することが多い。
【0030】
疎水性原料では、例えば、集塵機ダストに造粒用の水分を添加しても、水が原料にはじかれて原料粒子表面ないしは原料粒子層の上で凝集し、水滴になったりする。つまり、原料は造粒用水分に濡れないままになる。このような状態で造粒操作を行った場合には、水分は濡れ性の良い原料には付着するものの、濡れ性の悪い前記の疎水性原料には付着しにくいため、疎水性原料は未造粒のまま、造粒操作を終わってしまう。
【0031】
この対策として、原料の水分量を上昇させて造粒を強化しようとすると、疎水性原料を確実に造粒するための造粒時間が必要以上に長くなる。一方、添加した多量の水分が濡れ性の良い原料に偏在すると、大きな擬似粒子が形成されたり、造粒機への原料の付着が発生したりして、トラブルの原因となる。
【0032】
また、前記の高吸水性原料の場合には、造粒過程で水分を添加しても、原料粒子の内部に浸透し、粒子表面に造粒用水分として残らず、造粒性が悪くなる。さらに、一旦造粒を終えても、ボンドである水分が徐々に原料粒子内部に浸透するため、原料粒子同士の付着強度が低下して擬似粒子の崩壊現象がおこる。
【0033】
そこで、前述の2種類の性質の異なる原料に対して、それらの造粒性を改善するためには、親油性(疎水性)および親水性の両性質を有する界面活性剤の添加が有効と考えた。
【0034】
図1は、界面活性剤の構造を模式的に表す図である。
【0035】
界面活性剤は、その分子内に親水性の部分と親油性(疎水性)の部分とを併せ持ち、親水と親油とのバランスによって原料と水の2相界面に強く吸着されて原料の濡れ性を向上させる。
【0036】
図2は、造粒性の劣る原料の濡れ性を界面活性剤の添加により改善する原理を模式的に示す図である。
【0037】
鉄系原料粒子の表面には、界面活性剤の親油基(疎水基)が付き易く、その周りを親水基が被覆する形態になることを利用して、疎水性原料粒子の濡れ性を改善することができる。また、高吸水性原料粒子の表面には、親油基により膜を形成し、水分を粒子内部に浸透させずに、濡れ性を改善することが可能となる。
【0038】
(A)濡れ性改善効果の確認試験
各種の界面活性剤の水溶液を使用し、鉄系原料の濡れ性改善の効果を確認するための試験を行った。
【0039】
表1に、試験に供した各種界面活性剤を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示される表面活性剤を0.2%含有する水溶液を500cm3作成してビーカーに入れ、その水溶液に造粒性の劣る典型的な原料の1つである集塵機ダストの1gを浮かべ、前記ダストの全量が深さ100mmのビーカーの底まで沈降するのに要する時間を計測し、比較した。
表2に、水および各種界面活性剤の水溶液別に、ダストの沈降時間を示した。
【0042】
【表2】
【0043】
同表の結果から、水の場合に比較して、界面活性剤の添加により、集塵機ダストの沈降所要時間が短縮されることが明らかである。すなわち、原料への添加水分中に界面活性剤を含有させることにより、濡れ性の悪い鉄系原料の濡れ性をも改善できることが確認できた。
【0044】
一方、造粒性の良好な原料にまで界面活性剤を含有する水を添加すると、界面活性剤の使用量が増加して、焼結鉱製造コストのいたずらな増大を招き、不経済である。そこで、造粒性の劣る鉄系原料に界面活性剤を含有させた造粒用の水を添加することとした。
【0045】
(B)造粒性改善効果の確認試験
界面活性剤を含有する水溶液の添加が焼結原料の造粒性におよぼす影響についての試験を行った。
【0046】
表3に、各種界面活性剤を含有する水を添加した際の鉄系原料の造粒性を試験するための原料配合を示した。
【0047】
【表3】
【0048】
上記の焼結原料には、造粒性の劣る原料である砂鉄、ペレットフィード、集塵機ダスト、およびマラマンバ鉱石を合計で40%と多量に配合した。界面活性剤を含有する水分を添加した試験では、焼結原料全体で造粒する前に、これらの原料に界面活性剤の含有率が0.1%の水溶液を原料の水分量が6%となるように事前添加した。
【0049】
造粒試験は、各種配合原料の75kgを、ドラムミキサー(直径:900mm、長さ:900mm)に装入し、水を添加して、回転数30rpmにて5分間回転させた後、擬似粒化の状況を調査した。
【0050】
図3は、焼結原料の造粒性におよぼす界面活性剤種類の影響を示す図である。
【0051】
同図において、造粒率GI−2は、造粒後の擬似粒化により原料中の2mm以下の粒径を有する粒子が減少した割合と定義し、下記の(1)式により求めた。
【0052】
GI−2(%)={(G0−G1)/G0}×100 ・・・・(1)
ここで、
G0:造粒前における2mm以下の真粒度を有する原料の割合(%)、
G1:造粒後における2mm以下の擬似粒度を有する原料の割合(%)。
【0053】
GI−2 の数値は、高いほど擬似粒化が進み、造粒が進行していることを意味する。
【0054】
図3に示される結果から、界面活性剤を含有しない水を添加した場合は、水分量が7.25%以上では、造粒試験時に原料がミキサー内壁に付着し、擬似粒子の粒度分布の測定ができなかった。これに対して、界面活性剤を含有させた水溶液を添加した場合は、水分量は7.3%以上まで上昇させることができ、一般の適正水分範囲に入っている。
【0055】
これは、界面活性剤を含有した水溶液の添加により、造粒性の劣る原料も濡れ性が向上して均一な濡れが達成され、造粒が進行したためである。
【0056】
また、界面活性剤を含有しない水を添加した場合における造粒率の向上は、15%程度に止まったのに対して、最も造粒率の高かった界面活性剤1を含有する水溶液を添加した場合には、水分量を上昇させるとともに水添加の場合の最高値よりもさらに25%程度の改善が認められた。
(C)焼成試験
次に、焼結原料に、前記B)の試験において最も大きな効果の認められた界面活性剤1を0.1%含有する水溶液を添加して造粒し、その原料を用いて鍋焼成試験を実施した。
【0057】
鍋焼成試験は、下記の表4に示される配合原料の70kgを、焼成鍋(内径300mm、原料層高600mm)に装入し、排風ブロアにて鍋底から負圧11.8kPaの条件にて空気を吸引して焼成を行った。なお、燃焼前線の降下速度を測定するため、鍋下温度計による温度の経時変化を測定した。
【0058】
【表4】
【0059】
試験は、造粒性の劣る鉄系原料である集塵機ダスト、砂鉄、およびマラマンバ鉱石にのみ、界面活性剤を添加した水溶液を目標水分量となるように添加(以下「選択的添加」ともいう)して軽く混合した後、他の原料と全体の原料が目標水分となるように水を加えて混合および造粒した後、焼成を実施した場合と、界面活性剤を含有しない水のみを目標水分量となるように添加して混合および造粒した後、焼成を実施した場合とについて実施し、両者を比較した。
【0060】
図4は、焼結原料の造粒性におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
同図の結果から、原料に水のみを添加して造粒した場合に比べて、界面活性剤を含有する水溶液を造粒性の劣る鉄系原料に添加した場合の造粒率が高く、界面活性剤の添加による造粒効果の改善が認められる。
【0061】
図5は、燃焼前線降下速度におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【0062】
同図の結果から、原料に水のみを添加して造粒した場合に比べて、界面活性剤を含有する水溶液を造粒性の劣る鉄系原料に添加した場合の方が燃焼前線降下速度(FFS)が速いことが明らかである。
【0063】
したがって、図4および図5の結果は、界面活性剤の選択的添加により、原料の造粒性が改善され、その結果、原料層内の通気性が向上して燃焼前線降下速度が速くなったことを示している。
【0064】
図6は、焼結鉱の生産率におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図であり、図7は、焼結鉱の生産率と強度との積におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【0065】
ここで、図6および図7における焼結鉱の生産率とは、前記図5の結果に基づいて、焼結機パレット単位面積当たり、かつ、1日当たりの生産量に換算したものであり、慣用的に用いられている指標(t/d/m2)である。また、強度とは、JIS M8712に規定された冷間における焼結鉱の回転強度TI(+5mm%)を意味する。
同図の結果から、界面活性剤の選択的添加により、焼結鉱の生産率、および(生産率×強度)は大幅に向上しており、水分増加により最終的に到達しうる生産率、および(生産率×強度)の値はともに高いレベルが得られた。これは、前記の図5の結果に見られるとおり、界面活性剤の選択的添加により、焼結過程における燃焼前線降下速度が増加し、焼結鉱の生産速度が増加することによるものである。
【0066】
図8は、焼結鉱の被還元性におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図であり、図9は、焼結鉱の還元粉化指数におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
ここで、被還元性は、JIS M8713に規定された還元率RI(%)を意味する。還元粉化指数は、製銑部会法として規定された還元後の粉化率を示す指数RDI(−3mm%)を表し、数値が小さいほど良好であることを意味する。
【0067】
界面活性剤の選択的添加により、焼結鉱の被還元性および耐還元粉化性は、ともに大幅に改善されている。被還元性の改善は、焼成速度の増加により高温における保持時間が短縮され、焼結鉱中の微細気孔の統合による気孔の粗大化が抑制されたため、比表面積が増大し、ガス還元性が改善されたことによる。また、耐還元粉化性の向上は、焼成速度の上昇により冷却速度が上昇し、焼結鉱中のマグネタイト(FeO)の再酸化による2次ヘマタイトへの移行が抑制されたこよによる。
【0068】
図10は、焼結鉱の回転強度におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【0069】
ここで、回転強度TI(+5mm)は、前記の冷間強度測定方法による測定値を表す。
【0070】
通常、水分量を増加させて生産性を改善させる場合には、焼成速度が向上するため、焼結鉱の冷間強度は低下傾向を示すが、本試験のように、界面活性剤を含有する水溶液を造粒性の劣る鉄系原料に選択的に添加した場合は、冷間強度TIは、低下しない。その理由は、鉄系原料中への添加水分の分散性が改善され、擬似粒子化が促進して、原料の焼成が均一化された結果、冷間強度が上昇したためである。
(D)好ましい態様および範囲
1)造粒性の劣る鉄系原料
本発明法を適用すれば、その効果が特に大きい、造粒性の劣る鉄系原料は、疎水性の著しい鉄系原料、および吸水性の高い鉄系原料であり、前記のとおり、疎水性の鉄系原料としては、集塵ダスト、砂鉄、ペレットフィードなどが該当し、高吸水性の鉄系原料には、マラマンバ鉱石などが該当する。
【0071】
2)造粒性の劣る鉄系原料の粒度分布
粒子径が1mm以下の割合が50%未満の場合には、界面活性剤を含有する水溶液を造粒性の劣る原料に添加することによる造粒性改善代が小さく、したがって改善効果が小さいことから、前記の割合は50%以上が好ましい。
【0072】
3)造粒性の劣る鉄系原料の配合割合
造粒性の劣る鉄系原料の配合割合が30%未満では、界面活性剤を含有する水溶液を造粒性の劣る原料に添加することによる造粒性改善代が小さく、したがって改善効果が小さいことから、配合割合は30%以上が好ましい。
【0073】
4)水分中の界面活性剤の含有率
図11は、焼結機の集塵機ダストの沈降時間と水分中の界面活性剤の含有率との関係を示す図である。この試験においては、界面活性剤1を使用した。
【0074】
同図の結果から、界面活性剤の含有率が0.05%以上において沈降時間が短縮されており、造粒性の劣る原料に対する造粒性改善効果が発揮されることがわかる。したがって、界面活性剤の含有率は0.05%以上とすることが好ましい。界面活性剤の含有率を0.1%以上とすれば、さらに好ましい。
【0075】
5)界面活性剤の種類
図3の試験結果では、界面活性剤1であるアルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウムを添加した場合が最も効果が大きく、次いで、界面活性剤3であるステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどを用いても同様の効果が得られる。
【0076】
上述のとおり、界面活性剤を含有する水溶液を造粒性の劣る鉄系原料に選択的に添加し造粒することにより、原料の造粒性が向上するとともに、造粒用の添加水分を最適値まで高めることができることで、造粒性の改善が可能となった。その結果、焼結鉱の焼成時における原料層の通気性が改善され、焼結鉱の生産性が向上するとともに、焼結鉱の強度、被還元性および耐還元粉化性などの品質の改善が達成される。
(E)実焼結機への適用
図12は、本発明法による焼結鉱の製造工程の例を示す流れ図である。
【0077】
造粒性の劣る鉄系原料1には、界面活性剤を含有する水溶液2が所定量添加され、さらに、造粒性の劣る鉄系原料を含まない他の原料3と混合されて配合原料を形成する。なお、水溶液2を添加する場所は、原料ヤード、原料ホッパーなどのいずれの場所であってもよく、また、複数の場所で添加してもよい。原料1が他の原料3と混合される以前であれば、特に制限されない。
【0078】
原料3と混合された配合原料は、例えば回転ドラム型の1次ミキサー4内で、造粒用添加水5を添加され、攪拌・混合されて擬似粒子を形成し、造粒される。このようにして造粒された配合原料は、さらに2次ミキサー6において、造粒用添加水7を添加され、造粒を強化される。
【0079】
造粒率を高められた配合原料は、焼結機8の給鉱部に移送され、給鉱部から、所定速度で移動する図示しない焼結機パレット上に目標の層高となるように供給され、着火バーナーにより点火され、パレット下部から所定の負圧で吸引されて焼結される。
【0080】
なお、本発明法を実機焼結機による焼結プロセスに適用するに当たり、原料の水分量とは、原料自身の保有する付着水分量に、1次ミキサーおよび2次ミキサーにおいて添加される水分量を加え、これを原料に付着水分および添加水分を加えた全質量で除して百分率にて表示した値を意味する。
【0081】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、疎水性原料や、高吸水性原料などの造粒性に劣る鉄系原料に、選択的に界面活性剤を含む水分を添加することにより、その造粒性を改善して、焼結鉱の生産性を向上させ、しかも、焼結鉱の強度、還元性および耐還元粉化性といった品質を改善することが可能となる。本発明は、低コストで上記の効果を奏するので、経済性の面も併せ、産業の発展に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】界面活性剤の構造を模式的に表す図である。
【図2】造粒性の劣る原料の濡れ性を界面活性剤の添加により改善する原理を模式的に表す図である。
【図3】焼結原料の造粒性におよぼす界面活性剤種類の影響を示す図である。
【図4】焼結原料の造粒性におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図5】燃焼前線降下速度におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図6】焼結鉱の生産率におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図7】焼結鉱の生産率と強度との積におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図8】焼結鉱の被還元性におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図9】焼結鉱の還元粉化指数におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図10】焼結鉱の回転強度におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図11】焼結機の集塵機ダストの沈降時間と界面活性剤濃度との関係を示す図である。
【図12】本発明法による焼結鉱の製造工程の例を示す流れ図である。
【符号の説明】
1:造粒性の劣る鉄系原料、
2:界面活性剤を含有する水溶液、
3:造粒性の劣る鉄系原料を含まない他の原料、
4:1次ミキサー、
5:造粒用添加水、
6:2次ミキサー、
7:造粒用添加水、
8:焼結機
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼結鉱の製造に供せられる焼結原料の造粒性を改善することにより焼結鉱の生産性および品質を改善する方法に関し、さらに詳しくは、造粒性の劣る焼結原料に界面活性剤を含む水分を添加して、他の焼結原料と混合して造粒する焼結鉱の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、焼結鉱を製造するに当たっては、鉄鉱石、燃料、および副原料に水分を添加し、ミキサー等で転動し、混合および造粒して原料粒子の擬似粒子を作ることによって焼結機上の原料層の通気性を改善してきた。しかしながら、鉄鉱石原料の粒度や粒子形状の差異に起因して、他の鉱石と同一水分、および同一造粒条件では造粒が充分に進行しない鉄系原料が存在すると、焼結原料層内における擬似粒子径が細粒化し、これが通気性を悪化させたり、また通気性のばらつきを増大させたりして、焼結鉱の生産性や品質の悪化を惹起していた。
【0003】
焼結鉱を製造するための焼結原料の造粒に際しては、水分が添加される。ところが、オフラインにおいて充分に時間をかけ、また、擬似粒子化するための適正な水分量を与えて転動および造粒させるのに比べて、実操業においては、原料中の水分量が低く、適正水分量の範囲に達していないことが多いのが実態であった。この理由は、造粒時間を充分に確保するには大幅な設備改造が必要であること、および水分を上昇させると加湿された原料の粘着性が高くなり、原料搬送設備における各シュートやベルトコンベアなどに原料が付着しやすくなり、これが成長して設備上のトラブルおよび操業の不安定化を引き起こすため、原料水分量を上昇させることが難しかったためである。
【0004】
適正水分量の範囲は、配合原料によって変動するものの、一般に、7.3〜7.5%程度とされている。
造粒性の良好な鉄系原料を他の鉄系原料と区別し、さらに造粒性を促進させるために水分量を増加させる方法が開示されている。
【0005】
特許文献1には、吸水性の高い銘柄の粉鉱石に対して、保水量を飽和させるのに必要な水分量を添加し、更に、造粒の際にミキサーにおいて造粒に必要な水分を添加して原料水分を調整する焼結鉱の製造法が開示されている。しかし、ここで開示された方法においては、吸水性の低い原料に対する改善を行っていないことから、焼結原料全体の造粒性を改善することは困難である。
【0006】
特許文献2には、造粒性の良好な粉鉱石、造粒性の悪い粉鉱石を均鉱ヤードに積み付ける際に、造粒性の良好な粉鉱石を主体に事前に水分を添加することにより、全部の鉱石の水分量を一律に上昇させる際に造粒性の悪い鉱石が合体してできる自己凝集型擬似粒子の生成を防止し、強度の高い擬似粒子の生成を促進して、雑熱源の擬似粒子内埋没による熱効率の低下を防ぐ方法が開示されている。しかし、この方法では、造粒性の悪い原料に対する造粒性改善の対策が施されていないため、原料全体の造粒性改善は困難である。
【0007】
一方、特許文献3には、自溶性焼結鉱の媒溶剤として生石灰を利用し、この混合原料の添加水分中に、界面活性剤を混入したものを焼結装置に装入し、焼結する方法が開示されている。ここで開示された方法は、生石灰を使用した焼結鉱原料の造粒に供する水分を低減させるために、界面活性剤を添加水に加えるものである。生石灰を使用することを前提とした改善方法であり、生石灰の粘着効果を得るために、必要な水分量を低減する目的で界面活性剤を添加する方法である。したがって、この方法では、生石灰の有無に拘わらずに造粒性を改善するには至らなかった。
【0008】
また、特許文献4には、焼結原料を擬似粒化するに当たり、分散剤および/または界面活性剤を含有する水を用いる原料の前処理方法が開示されている。この方法は、焼結原料の擬似粒化を容易に、確実に、しかも生石灰などのバインダーを少量用いるのみで実施でき、各造粒粒子自体の構造の安定性に優れ、生産性および歩留りなどを向上できるとされている。
【0009】
特許文献5には、天然高分子を変性させて親水基および疎水基を有する半合成高分子とした造粒用添加剤を用いて造粒用水分の表面張力および粘性を調整する方法が開示されている。特許文献4および5で開示された方法では、界面活性剤は造粒用水分全体に添加されるため、原料の造粒性の良否にかかわらず全ての原料に対する添加水の表面張力および粘性が低下し、原料全体の造粒性を向上させようとすると必要以上に過剰な水分が必要となって燃料原単位や品質が悪化しがちである。
【0010】
さらに、特許文献6には、バインダーとして生石灰を用いる焼結原料の造粒方法であって、親水基あるいは親水基と疎水基を有する高分子である造粒添加剤を用いる方法が開示されている。この方法によれば、バインダーを添加して安定的かつ均一に理想的な擬似粒子に造粒できるとされている。しかし、この方法もまた、前記の特許文献4および5の場合と同様に、原料全体の造粒性を向上させようとすると、必要以上に過剰な水分が必要となって生産性や品質が悪化する傾向がある。
【特許文献1】
特開平5―39530号公報(特許請求の範囲、段落[0011])
【特許文献2】
特開平11−269561号公報(特許請求の範囲、段落[0005]〜[0006])
【特許文献3】
特公昭51−2401号公報(特許請求の範囲、第2欄5〜21行)
【特許文献4】
特開昭59−50129号公報(特許請求の範囲、1頁右欄16行〜2頁左上欄11行)
【特許文献5】
特開平11―181531号公報(特許請求の範囲、段落[0009]〜[0014])
【特許文献6】
特開2000―239751号公報(特許請求の範囲、段落[0011])
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上述の問題に鑑み、造粒性の劣る鉄系原料と他の鉄系原料とが存在する場合に、原料造粒用水分量の適正化を図り、造粒性の劣る鉄系原料の造粒性を改善して、焼結鉱の生産性および品質を改善する焼結鉱の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を達成するために、前記した従来の問題点について検討を加え、下記の(a)〜(e)の知見を得た。
【0013】
(a)造粒性の劣る鉄系原料には、疎水性原料と、高吸水性原料があり、疎水性原料は原料粒子が造粒用水分に濡れないことから、造粒操作後も未造粒のままとなり、一方、高吸水性原料は造粒用水分が原料粒子内部に浸透し、粒子表面に残らないため、造粒性が低下する。
【0014】
(b)前記(a)の問題を解消するために、造粒性の劣る鉄系原料を含む焼結原料に対して添加する造粒用水分量を一律に増加すると、造粒性の劣る鉄系原料を確実に造粒させるための造粒所要時間の増大、造粒性の良好な鉄系原料による肥大擬似粒子の形成、または、造粒機への原料付着などの問題が発生する。
【0015】
(c)前記(a)の造粒性の劣る鉄系原料の造粒性を改善するためには、鉄系原料に、親油性(疎水性)および親水性の両性質を有する界面活性剤を添加し、原料粒子表面には親油基(疎水基)が付きやすい性質を利用して、その外周を親水基により被覆する形態とすることが有効である。
(d)前記(c)の形態とすることにより、疎水性原料粒子の濡れ性を向上させ、しかも、高吸水性原料粒子の表面に親油基による膜を形成し、水分を粒子内部に浸透させずに適度な濡れ性を確保することができる。
(e)造粒性の劣る鉄系原料に選択的に界面活性剤を含む水分を添加することにより、必要以上に過剰な水分を添加することなく、また、界面活性剤の使用量を最小限度に抑えて、適正な造粒を行うことが可能となり、焼結鉱製造ための燃料原単位の低減、および品質の向上を達成することができる。
【0016】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(5)に示す焼結鉱の製造方法にある。
【0017】
(1)造粒性の劣る鉄系原料に界面活性剤を含む水分を添加し、さらに前記造粒性の劣る鉄系原料を含まない原料と混合し、水分を添加して造粒操作を行う焼結鉱の製造法。
【0018】
(2)前記(1)の焼結鉱の製造方法において、造粒性の劣る鉄系原料は集塵ダスト、砂鉄、ペレットフィードおよびマラマンバ鉱石のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0019】
(3)前記(1)または(2)の焼結鉱の製造方法において、造粒性の劣る鉄系原料の粒度分布は、粒子径が1mm以下の割合が50質量%以上であることが好ましい。
【0020】
(4)前記(1)〜(3)の焼結鉱の製造方法において、焼結原料中に前記の造粒性の劣る鉄系原料を30質量%以上配合することが好ましい。
【0021】
(5)前記(1)〜(4)の焼結鉱の製造方法において、添加水分中の界面活性剤の含有率は、0.05質量%以上であることが好ましい。
【0022】
本発明において、「造粒性の劣る鉄系原料」とは、疎水性の鉄系原料、および高吸水性の鉄系原料をいう。ここで、疎水性の鉄系原料には、集塵ダスト、砂鉄、ペレットフィードなどが該当し、高吸水性の鉄系原料には、マラマンバ鉱石などが該当する。
【0023】
「焼結原料」とは、前記の鉄系原料、燃料コークスなどの炭材ならびに石灰石などの副原料(造滓剤)の混合物をいう。
【0024】
「界面活性剤の含有率」とは、添加水分中の界面活性剤の有効成分の質量を、水と界面活性剤の合計質量で除して百分率(質量%)にて表示した値である。
【0025】
なお、以下の説明において、「原料の水分量」とは、原料自身の保有する付着水分量に添加水分量を加え、これを原料に付着水分および添加水分を加えた全質量で除して、百分率(質量%)にて表示した値をいう。
【0026】
「擬似粒子」とは、原料粒子同士が造粒機内での転動などにより相互に付着して形成される、原料の真粒子よりも大きな粒子をいう。
【0027】
また、原料の粒度分布を表示するに当たっての原料の分布割合、原料配合率、原料の水分量、および水分中の界面活性剤の含有率は、特に断らない限り、質量%にて表示する。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記のとおり、造粒性の劣る鉄系原料に界面活性剤を含有する水分を添加することにより、その造粒性を改善し、焼結鉱の生産性および品質を改善する焼結鉱の製造方法である。すなわち、造粒性の劣る鉄系原料に、界面活性剤を含有する水分を選択的に添加し、他の鉄系原料と混合して造粒することにより、添加水分の不必要な増加を防止して、焼結鉱の生産性および品質の改善を実現するものである。
【0029】
造粒性の劣る鉄系原料は、下記の2種類の原料に大別できる。すなわち、集塵機ダストや砂鉄のように疎水性の原料と、マラマンバ鉱石のように高吸水性の原料である。ここで、両鉄系原料は、粒子径が1mm以下の割合が50質量%以上となる粒度分布を有することが多い。
【0030】
疎水性原料では、例えば、集塵機ダストに造粒用の水分を添加しても、水が原料にはじかれて原料粒子表面ないしは原料粒子層の上で凝集し、水滴になったりする。つまり、原料は造粒用水分に濡れないままになる。このような状態で造粒操作を行った場合には、水分は濡れ性の良い原料には付着するものの、濡れ性の悪い前記の疎水性原料には付着しにくいため、疎水性原料は未造粒のまま、造粒操作を終わってしまう。
【0031】
この対策として、原料の水分量を上昇させて造粒を強化しようとすると、疎水性原料を確実に造粒するための造粒時間が必要以上に長くなる。一方、添加した多量の水分が濡れ性の良い原料に偏在すると、大きな擬似粒子が形成されたり、造粒機への原料の付着が発生したりして、トラブルの原因となる。
【0032】
また、前記の高吸水性原料の場合には、造粒過程で水分を添加しても、原料粒子の内部に浸透し、粒子表面に造粒用水分として残らず、造粒性が悪くなる。さらに、一旦造粒を終えても、ボンドである水分が徐々に原料粒子内部に浸透するため、原料粒子同士の付着強度が低下して擬似粒子の崩壊現象がおこる。
【0033】
そこで、前述の2種類の性質の異なる原料に対して、それらの造粒性を改善するためには、親油性(疎水性)および親水性の両性質を有する界面活性剤の添加が有効と考えた。
【0034】
図1は、界面活性剤の構造を模式的に表す図である。
【0035】
界面活性剤は、その分子内に親水性の部分と親油性(疎水性)の部分とを併せ持ち、親水と親油とのバランスによって原料と水の2相界面に強く吸着されて原料の濡れ性を向上させる。
【0036】
図2は、造粒性の劣る原料の濡れ性を界面活性剤の添加により改善する原理を模式的に示す図である。
【0037】
鉄系原料粒子の表面には、界面活性剤の親油基(疎水基)が付き易く、その周りを親水基が被覆する形態になることを利用して、疎水性原料粒子の濡れ性を改善することができる。また、高吸水性原料粒子の表面には、親油基により膜を形成し、水分を粒子内部に浸透させずに、濡れ性を改善することが可能となる。
【0038】
(A)濡れ性改善効果の確認試験
各種の界面活性剤の水溶液を使用し、鉄系原料の濡れ性改善の効果を確認するための試験を行った。
【0039】
表1に、試験に供した各種界面活性剤を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示される表面活性剤を0.2%含有する水溶液を500cm3作成してビーカーに入れ、その水溶液に造粒性の劣る典型的な原料の1つである集塵機ダストの1gを浮かべ、前記ダストの全量が深さ100mmのビーカーの底まで沈降するのに要する時間を計測し、比較した。
表2に、水および各種界面活性剤の水溶液別に、ダストの沈降時間を示した。
【0042】
【表2】
【0043】
同表の結果から、水の場合に比較して、界面活性剤の添加により、集塵機ダストの沈降所要時間が短縮されることが明らかである。すなわち、原料への添加水分中に界面活性剤を含有させることにより、濡れ性の悪い鉄系原料の濡れ性をも改善できることが確認できた。
【0044】
一方、造粒性の良好な原料にまで界面活性剤を含有する水を添加すると、界面活性剤の使用量が増加して、焼結鉱製造コストのいたずらな増大を招き、不経済である。そこで、造粒性の劣る鉄系原料に界面活性剤を含有させた造粒用の水を添加することとした。
【0045】
(B)造粒性改善効果の確認試験
界面活性剤を含有する水溶液の添加が焼結原料の造粒性におよぼす影響についての試験を行った。
【0046】
表3に、各種界面活性剤を含有する水を添加した際の鉄系原料の造粒性を試験するための原料配合を示した。
【0047】
【表3】
【0048】
上記の焼結原料には、造粒性の劣る原料である砂鉄、ペレットフィード、集塵機ダスト、およびマラマンバ鉱石を合計で40%と多量に配合した。界面活性剤を含有する水分を添加した試験では、焼結原料全体で造粒する前に、これらの原料に界面活性剤の含有率が0.1%の水溶液を原料の水分量が6%となるように事前添加した。
【0049】
造粒試験は、各種配合原料の75kgを、ドラムミキサー(直径:900mm、長さ:900mm)に装入し、水を添加して、回転数30rpmにて5分間回転させた後、擬似粒化の状況を調査した。
【0050】
図3は、焼結原料の造粒性におよぼす界面活性剤種類の影響を示す図である。
【0051】
同図において、造粒率GI−2は、造粒後の擬似粒化により原料中の2mm以下の粒径を有する粒子が減少した割合と定義し、下記の(1)式により求めた。
【0052】
GI−2(%)={(G0−G1)/G0}×100 ・・・・(1)
ここで、
G0:造粒前における2mm以下の真粒度を有する原料の割合(%)、
G1:造粒後における2mm以下の擬似粒度を有する原料の割合(%)。
【0053】
GI−2 の数値は、高いほど擬似粒化が進み、造粒が進行していることを意味する。
【0054】
図3に示される結果から、界面活性剤を含有しない水を添加した場合は、水分量が7.25%以上では、造粒試験時に原料がミキサー内壁に付着し、擬似粒子の粒度分布の測定ができなかった。これに対して、界面活性剤を含有させた水溶液を添加した場合は、水分量は7.3%以上まで上昇させることができ、一般の適正水分範囲に入っている。
【0055】
これは、界面活性剤を含有した水溶液の添加により、造粒性の劣る原料も濡れ性が向上して均一な濡れが達成され、造粒が進行したためである。
【0056】
また、界面活性剤を含有しない水を添加した場合における造粒率の向上は、15%程度に止まったのに対して、最も造粒率の高かった界面活性剤1を含有する水溶液を添加した場合には、水分量を上昇させるとともに水添加の場合の最高値よりもさらに25%程度の改善が認められた。
(C)焼成試験
次に、焼結原料に、前記B)の試験において最も大きな効果の認められた界面活性剤1を0.1%含有する水溶液を添加して造粒し、その原料を用いて鍋焼成試験を実施した。
【0057】
鍋焼成試験は、下記の表4に示される配合原料の70kgを、焼成鍋(内径300mm、原料層高600mm)に装入し、排風ブロアにて鍋底から負圧11.8kPaの条件にて空気を吸引して焼成を行った。なお、燃焼前線の降下速度を測定するため、鍋下温度計による温度の経時変化を測定した。
【0058】
【表4】
【0059】
試験は、造粒性の劣る鉄系原料である集塵機ダスト、砂鉄、およびマラマンバ鉱石にのみ、界面活性剤を添加した水溶液を目標水分量となるように添加(以下「選択的添加」ともいう)して軽く混合した後、他の原料と全体の原料が目標水分となるように水を加えて混合および造粒した後、焼成を実施した場合と、界面活性剤を含有しない水のみを目標水分量となるように添加して混合および造粒した後、焼成を実施した場合とについて実施し、両者を比較した。
【0060】
図4は、焼結原料の造粒性におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
同図の結果から、原料に水のみを添加して造粒した場合に比べて、界面活性剤を含有する水溶液を造粒性の劣る鉄系原料に添加した場合の造粒率が高く、界面活性剤の添加による造粒効果の改善が認められる。
【0061】
図5は、燃焼前線降下速度におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【0062】
同図の結果から、原料に水のみを添加して造粒した場合に比べて、界面活性剤を含有する水溶液を造粒性の劣る鉄系原料に添加した場合の方が燃焼前線降下速度(FFS)が速いことが明らかである。
【0063】
したがって、図4および図5の結果は、界面活性剤の選択的添加により、原料の造粒性が改善され、その結果、原料層内の通気性が向上して燃焼前線降下速度が速くなったことを示している。
【0064】
図6は、焼結鉱の生産率におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図であり、図7は、焼結鉱の生産率と強度との積におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【0065】
ここで、図6および図7における焼結鉱の生産率とは、前記図5の結果に基づいて、焼結機パレット単位面積当たり、かつ、1日当たりの生産量に換算したものであり、慣用的に用いられている指標(t/d/m2)である。また、強度とは、JIS M8712に規定された冷間における焼結鉱の回転強度TI(+5mm%)を意味する。
同図の結果から、界面活性剤の選択的添加により、焼結鉱の生産率、および(生産率×強度)は大幅に向上しており、水分増加により最終的に到達しうる生産率、および(生産率×強度)の値はともに高いレベルが得られた。これは、前記の図5の結果に見られるとおり、界面活性剤の選択的添加により、焼結過程における燃焼前線降下速度が増加し、焼結鉱の生産速度が増加することによるものである。
【0066】
図8は、焼結鉱の被還元性におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図であり、図9は、焼結鉱の還元粉化指数におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
ここで、被還元性は、JIS M8713に規定された還元率RI(%)を意味する。還元粉化指数は、製銑部会法として規定された還元後の粉化率を示す指数RDI(−3mm%)を表し、数値が小さいほど良好であることを意味する。
【0067】
界面活性剤の選択的添加により、焼結鉱の被還元性および耐還元粉化性は、ともに大幅に改善されている。被還元性の改善は、焼成速度の増加により高温における保持時間が短縮され、焼結鉱中の微細気孔の統合による気孔の粗大化が抑制されたため、比表面積が増大し、ガス還元性が改善されたことによる。また、耐還元粉化性の向上は、焼成速度の上昇により冷却速度が上昇し、焼結鉱中のマグネタイト(FeO)の再酸化による2次ヘマタイトへの移行が抑制されたこよによる。
【0068】
図10は、焼結鉱の回転強度におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【0069】
ここで、回転強度TI(+5mm)は、前記の冷間強度測定方法による測定値を表す。
【0070】
通常、水分量を増加させて生産性を改善させる場合には、焼成速度が向上するため、焼結鉱の冷間強度は低下傾向を示すが、本試験のように、界面活性剤を含有する水溶液を造粒性の劣る鉄系原料に選択的に添加した場合は、冷間強度TIは、低下しない。その理由は、鉄系原料中への添加水分の分散性が改善され、擬似粒子化が促進して、原料の焼成が均一化された結果、冷間強度が上昇したためである。
(D)好ましい態様および範囲
1)造粒性の劣る鉄系原料
本発明法を適用すれば、その効果が特に大きい、造粒性の劣る鉄系原料は、疎水性の著しい鉄系原料、および吸水性の高い鉄系原料であり、前記のとおり、疎水性の鉄系原料としては、集塵ダスト、砂鉄、ペレットフィードなどが該当し、高吸水性の鉄系原料には、マラマンバ鉱石などが該当する。
【0071】
2)造粒性の劣る鉄系原料の粒度分布
粒子径が1mm以下の割合が50%未満の場合には、界面活性剤を含有する水溶液を造粒性の劣る原料に添加することによる造粒性改善代が小さく、したがって改善効果が小さいことから、前記の割合は50%以上が好ましい。
【0072】
3)造粒性の劣る鉄系原料の配合割合
造粒性の劣る鉄系原料の配合割合が30%未満では、界面活性剤を含有する水溶液を造粒性の劣る原料に添加することによる造粒性改善代が小さく、したがって改善効果が小さいことから、配合割合は30%以上が好ましい。
【0073】
4)水分中の界面活性剤の含有率
図11は、焼結機の集塵機ダストの沈降時間と水分中の界面活性剤の含有率との関係を示す図である。この試験においては、界面活性剤1を使用した。
【0074】
同図の結果から、界面活性剤の含有率が0.05%以上において沈降時間が短縮されており、造粒性の劣る原料に対する造粒性改善効果が発揮されることがわかる。したがって、界面活性剤の含有率は0.05%以上とすることが好ましい。界面活性剤の含有率を0.1%以上とすれば、さらに好ましい。
【0075】
5)界面活性剤の種類
図3の試験結果では、界面活性剤1であるアルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウムを添加した場合が最も効果が大きく、次いで、界面活性剤3であるステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどを用いても同様の効果が得られる。
【0076】
上述のとおり、界面活性剤を含有する水溶液を造粒性の劣る鉄系原料に選択的に添加し造粒することにより、原料の造粒性が向上するとともに、造粒用の添加水分を最適値まで高めることができることで、造粒性の改善が可能となった。その結果、焼結鉱の焼成時における原料層の通気性が改善され、焼結鉱の生産性が向上するとともに、焼結鉱の強度、被還元性および耐還元粉化性などの品質の改善が達成される。
(E)実焼結機への適用
図12は、本発明法による焼結鉱の製造工程の例を示す流れ図である。
【0077】
造粒性の劣る鉄系原料1には、界面活性剤を含有する水溶液2が所定量添加され、さらに、造粒性の劣る鉄系原料を含まない他の原料3と混合されて配合原料を形成する。なお、水溶液2を添加する場所は、原料ヤード、原料ホッパーなどのいずれの場所であってもよく、また、複数の場所で添加してもよい。原料1が他の原料3と混合される以前であれば、特に制限されない。
【0078】
原料3と混合された配合原料は、例えば回転ドラム型の1次ミキサー4内で、造粒用添加水5を添加され、攪拌・混合されて擬似粒子を形成し、造粒される。このようにして造粒された配合原料は、さらに2次ミキサー6において、造粒用添加水7を添加され、造粒を強化される。
【0079】
造粒率を高められた配合原料は、焼結機8の給鉱部に移送され、給鉱部から、所定速度で移動する図示しない焼結機パレット上に目標の層高となるように供給され、着火バーナーにより点火され、パレット下部から所定の負圧で吸引されて焼結される。
【0080】
なお、本発明法を実機焼結機による焼結プロセスに適用するに当たり、原料の水分量とは、原料自身の保有する付着水分量に、1次ミキサーおよび2次ミキサーにおいて添加される水分量を加え、これを原料に付着水分および添加水分を加えた全質量で除して百分率にて表示した値を意味する。
【0081】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、疎水性原料や、高吸水性原料などの造粒性に劣る鉄系原料に、選択的に界面活性剤を含む水分を添加することにより、その造粒性を改善して、焼結鉱の生産性を向上させ、しかも、焼結鉱の強度、還元性および耐還元粉化性といった品質を改善することが可能となる。本発明は、低コストで上記の効果を奏するので、経済性の面も併せ、産業の発展に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】界面活性剤の構造を模式的に表す図である。
【図2】造粒性の劣る原料の濡れ性を界面活性剤の添加により改善する原理を模式的に表す図である。
【図3】焼結原料の造粒性におよぼす界面活性剤種類の影響を示す図である。
【図4】焼結原料の造粒性におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図5】燃焼前線降下速度におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図6】焼結鉱の生産率におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図7】焼結鉱の生産率と強度との積におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図8】焼結鉱の被還元性におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図9】焼結鉱の還元粉化指数におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図10】焼結鉱の回転強度におよぼす水分含有量および界面活性剤の選択的添加の影響を示す図である。
【図11】焼結機の集塵機ダストの沈降時間と界面活性剤濃度との関係を示す図である。
【図12】本発明法による焼結鉱の製造工程の例を示す流れ図である。
【符号の説明】
1:造粒性の劣る鉄系原料、
2:界面活性剤を含有する水溶液、
3:造粒性の劣る鉄系原料を含まない他の原料、
4:1次ミキサー、
5:造粒用添加水、
6:2次ミキサー、
7:造粒用添加水、
8:焼結機
Claims (5)
- 造粒性の劣る鉄系原料に界面活性剤を含む水分を添加し、さらに前記造粒性の劣る鉄系原料を含まない原料と混合し、水分を添加して造粒操作を行うことを特徴とする焼結鉱の製造法。
- 前記の造粒性の劣る鉄系原料が集塵ダスト、砂鉄、ペレットフィードおよびマラマンバ鉱石のうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
- 前記の造粒性の劣る鉄系原料の粒度分布は、粒子径が1mm以下の割合が50質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
- 焼結原料中に前記の造粒性の劣る鉄系原料を30質量%以上配合することを特徴とする請求項1〜3に記載の焼結鉱の製造方法。
- 前記の添加水分中の界面活性剤の含有率が0.05質量%以上であることを特徴とする請求項1〜4に記載の焼結鉱の製造方法。
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