JP2016060937A - 焼結用凝結材の事前処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】焼結工程で使用する焼結用凝結材を生石灰で造粒する焼結用凝結材の事前処理方法において、焼結用凝結材中の粒径2mm以上の粒子を10質量%以下とし、生石灰中の粒径1mm以下の粒子を80質量%以上とし、焼結用凝結材に対する生石灰の配合量を外掛けで10質量%以上27質量%以下とする。
【選択図】図4
Description
NOxは大気汚染物質であることから、大気へのNOxの排出についてその濃度及び量に規制が設けられており、操業条件の調整などの制約が発生する。また、NOxを除去する排ガス処理装置の設置なども行われているが、多大な設備投資が必要となる。
なお、凝結材は、主として炭素を含むもので、NOx源になるものを含み、酸化によって発熱する材料である。例えば、石炭やコークス等を指す。
例えば、特許文献1には、カルシウムフェライトを含有する微粉末触媒と凝結材(燃料コークス)を並存させ、生成したNOxを還元して抑制する技術が開示されている。
例えば、特許文献2記載の発明は、生石灰を用いた技術であり、これにより、NOx転換率を20%台まで低減できることが示されている。
また、特許文献3記載の発明は、焼結鉱製造用の凝結材(炭材)を分級し、1mm以下の凝結材に石灰源を混合し造粒して製造した造粒物と、焼結工程で使用する他の原料との接触を抑制することで、高い生産性とNOx低減効果を発現させる技術である。
特許文献2の段落[0005]には、微粉の凝結材が低温で酸化し、NOxを発生し易いことが記載されている。このため、特許文献2では、凝結材の粒度に応じてCaの付着量を制御することを記載し(例えば、請求項1)、0.25mm以上の凝結材を主として用い、NOx生成を抑制することを記載している(例えば、段落[0023])。
更に、凝結材の微粉量を17質量%以下と記載(例えば、段落[0023])しているが、粉砕して製造する凝結材は一般に、微粉の量がこの量よりも多くなり、NOxの低減効果は限定的となる。
本願発明者らの知見では、例えば、石灰源の配合量が多過ぎると、水和した石灰源が凝集し、この凝集した石灰源の周囲に凝結材が付着するという、NOxの低減に不適切な造粒物が発生する場合があり、NOxの低減効果は限定的なものとなる。
前記焼結用凝結材中の粒径2mm以上の粒子を10質量%以下とし、前記生石灰中の粒径1mm以下の粒子を80質量%以上とし、前記焼結用凝結材に対する前記生石灰の配合量を外掛けで10質量%以上27質量%以下とする。
なお、上記した粒径の数値は、篩い目の大きさであり、この篩い目を備えた篩いを用いて篩い分け(篩選別)を行った際の篩い上を「以上」と記載し、篩い下を「以下」と記載している(以下、同様)。
これにより、造粒物の搬送に際し、微粉の発生を抑制しながら、その形状を維持した状態で焼結機へ装入できるので、微粉の焼結用凝結材の利用も図れ、従来に比べてNOxの発生を抑制できる。
まず、本発明の焼結用凝結材の事前処理方法に想到した経緯について説明する。
粒径2mm以上の粗粒の凝結材を核とした造粒物(以下、C型造粒物ともいう)は、その表層部に存在する微粉の凝結材が剥離するため、NOxの低減効果が限定的になる。一方、粒径2mm以下の凝結材で構成される造粒物(以下、P型造粒物ともいう)は、焼結機に装入されるまで、その状態が保持される。
これは、上記した粗粒の凝結材は、その表層部が複雑な形状となって、多数の凹凸が存在するため、粗粒と、その表面に付着した微粉との間に空孔が生じ、この空孔が起点となって、粗粒表面から微粉が剥離すると考えられることによる。
即ち、本発明の一実施の形態に係る焼結用凝結材の事前処理方法は、焼結工程で使用する凝結材を生石灰で造粒するに際し、凝結材中の粒径2mm以上(篩い目2mmの篩いの篩い上、以下同様)の粒子を10質量%以下とし、生石灰中の粒径1mm以下(篩い目1mmの篩いの篩い下、以下同様)の粒子を80質量%以上とし、凝結材に対する生石灰の配合量を外掛けで10質量%以上27質量%以下としている。
粗粒を含む凝結材を造粒する場合、粗粒の凝結材を核としてその周りに生石灰と微粉の凝結材の混合物が付着した形態の造粒物(即ち、C型造粒物)となる。しかし、このような造粒物は、前記したように、粗粒コークス表面が複雑形状(凹凸)であることに起因して、内部に空孔が生じ易いため、この空孔が起点となって、粗粒表面の微粉が剥離し、低温燃焼によってNOx発生量が増加すると考えられる。
一方、粗粒を含まない又はその比率が低い凝結材の造粒物(即ち、P型造粒物)は、上記した空孔が生じにくく、造粒物の剥離を抑制しながら焼結機へ装入できるため、NOx発生量を効率的に低減でき、前記した特許文献2に記載のように、微粉の凝結材が余剰になることもない。
なお、凝結材の粒径調整は、凝結材(例えば、粉炭や粉コークス)を粉砕することで、粒径2mm以上の粗粒量を調整できるが、これに限定されるものではなく、例えば、分級等により、粗粒を除いて調整することもできる。この除去した粗粒は、更に粉砕することで使用できる。
凝結材と生石灰を造粒し、生石灰で凝結材を被覆することにより、焼結機パレット内で1000〜1200℃程度までは凝結材の酸化が進行しにくくなる。一方、1000〜1200℃を超えると、造粒物表面の生石灰と造粒物周囲の鉄鉱石が低融点化合物を形成し、造粒物表面から生石灰が溶融して順次流出する。これを受けて、凝結材が高温雰囲気に露出し、凝結材の酸化が顕著に進行する。なお、生石灰の融点は2000℃を超えており、造粒物周囲の鉄鉱石との反応で生成する低融点化合物(生石灰と鉄鉱石の複合酸化物)として、生石灰が消費され流出するまでは、凝結材の被覆効果が有効であるため、高温になって初めて凝結材の酸化が進行する。このため、生石灰による凝結材の被覆は、生石灰と酸化鉄の複合酸化物(組成にもよるが、融点は800〜1000℃)による凝結材の被覆よりも、好適な効果を奏する。
このように、例えば1000〜1200℃を超える高温雰囲気において、凝結材の酸化を進行させることが可能となるため、凝結材と生石灰を造粒するのがよい。
加えて、生石灰はその一部が消化して微細な水酸化カルシウム微粒子(生石灰粒子よりも粒径が大幅に減少し、主として粒径が1μm以下)となって分散が促進され、また、消石灰も一部溶解して水酸化カルシウム微粒子として凝結材粒子間に再析出するため分散が良好となる。また、消化時に発熱し、水分の蒸発を促す。その結果、凝結材粒子、生石灰粒子、及び、これらを結び付ける水酸化カルシウム微粒子の存在で、主として生石灰粒子による凝結材被覆効果を活かしながら、強固で緻密な造粒物となることから、生石灰を造粒時のバインダーとして用いることが好ましい。
以上のことから、凝結材と造粒する原料を生石灰とした。
被造粒対象である凝結材の表面は疎水性であるため、水との親和性が悪い。一方、生石灰を添加した凝結材の造粒は、バインダーである生石灰が、水と親和した状態で凝結材の周囲に配列され、凝結材の粒子同士を結びつける。
そのため、凝結材は、水溶性バインダーを用いた造粒には適さず、凝結材の造粒機能を高めるには、凝集材の周囲に配列する生石灰の濃度を高める必要がある。
生石灰はその一部が消化して水酸化カルシウムとなり、当該水酸化カルシウムの微粒子(主として粒径が1μm以下)が緻密な造粒物の生成に寄与するが、水酸化カルシウムの生成促進の観点でも、1mm以下の生石灰を多く用いることが好ましい。この作用は生石灰特有のものであり、石灰石や、生石灰と酸化鉄の複合酸化物には、上記した作用は期待できない。
一方、粒径1mm超の生石灰は、造粒時の水との反応性が低く、造粒中に一部がバインダーとして使用されず、微粉の凝結材が未反応の生石灰表面に配列することで、NOx低減効果を発揮しない場合がある。
そのため、使用する生石灰は、微粉量の高いものを使用する必要がある。
なお、生石灰量換算で同量の石灰石を用いた場合、800℃超で分解して生成する生石灰によって凝結材の被覆効果は得られるが、石灰石は消化せず、凝結材の粒子同士を結び付ける効果が低いため、NOx低減効果が劣る。また、生石灰量換算で同量の複合酸化物(生石灰と酸化鉄の複合酸化物)を用いた場合、複合酸化物は800℃程度で溶融を開始するため、凝結材の被覆効果が得られず、また、消化の効果(水酸化カルシウム微粒子を活用した緻密な造粒物)も期待できないため、NOx低減効果が大きく劣る。
一方、生石灰の配合量が過剰である場合、水和した生石灰が凝集してダマとなることで、上記のような微粉の凝結材が生石灰の凝集体周囲に配列するため、NOxの低減効果を発揮しない。
そのため、凝結材に対する生石灰の配合量を、適切に設定する必要がある。
また、凝結材に対する生石灰の配合量を、凝結材の量を100質量%として外掛けで10質量%以上27質量%以下としたが、上記した理由から、生石灰の添加効果をより顕著に得るには、下限を12質量%、更には15質量%とすることが好ましく、上限を26質量%、更には25質量%とすることが好ましい。
本発明者等は、前記した特許文献2に記載されている微粉の凝結材を含む造粒物とNOx発生の関係について調べた。
具体的には、凝結材の造粒方法、特に造粒物に作用させる加速度及び加圧力(圧密度)の影響を調べるため、比較的加速度及び/又は加圧力の小さな造粒装置であるドラムミキサー及びパンペレタイザーに対し、加圧力の大きな造粒装置である振動造粒機及びブリケット製造機、また、加速度の大きな造粒装置であるマルメライザーを比較検討した。
上記した凝結材を含む造粒物を、鉄鉱石を含む焼結原料を造粒するドラムミキサーに添加して擬似粒子を製造し、鍋試験にて焼結鉱を焼成し、焼成時のNOxを調査した。
ドラムミキサーやパンペレタイザーで造粒した造粒物は、造粒時の造粒物にかかる加速度が実質的に1G程度(Gは重力加速度、以下同様)であるのに対し、マルメライザーでは20Gに達するが、NOx低減効果が同等に低位であることから、必ずしも加速度を大きくすることではNOxを十分に低減できないことが判明した。
その結果、ドラムミキサー、パンペレタイザー、マルメライザーで造粒した造粒物に比べて、振動造粒機やブリケット製造機を用いて製造した造粒物を使用した焼成では、NOx転換率が20%台に低下し、NOx発生量を極めて低減できることを発見した。
更に、焼結機内で温度が1000℃以上となった段階で、造粒物を構成する生石灰や消石灰が溶融流出し、露出した微粉凝結材が1000℃以上の高温で酸化することで、NOx発生が抑制されたと考えられる。
また、振動造粒機は、凝結材と生石灰を混練する機能もあるため、好ましい。
更に、振動造粒機は、複数の圧密媒体が収納された水平円筒容器を用いたものであることが好ましい。これは、振動造粒機が、凝結材と生石灰の混練機能に優れ、凝結材と生石灰をより均一に分散させた造粒物を製造することが可能となり、NOx低減効果の向上が望めることによる。
なお、振動造粒機は、圧密媒体に、造粒物以上の密度のものを用いることが好ましい。
振動造粒機10は、水平円筒容器11と、水平円筒容器11に収納された複数の圧密媒体12と、水平円筒容器11の両側部に配置された一対の重錘回転式振動モータ13とから概略構成されている。
圧密媒体12には円柱状の鋼製ロッド(鋼球でもよい)が使用され、一対の重錘回転式振動モータ13は同方向に同期回転する。
振動に伴って、圧密媒体12と圧密媒体12の間、圧密媒体12と水平円筒容器11との間に、凝結材、生石灰、及び水分が侵入し、衝撃、剪断、混合、混練され、フレーク状の造粒物が形成される。
そして、上記した造粒物を、他の焼結原料(例えば、鉄鉱石や無煙炭)と共に、ドラムミキサーで造粒処理することで、擬似粒子を製造できる。
このドラムミキサーで製造した擬似粒子を、焼結機に装入して焼成することで、焼結鉱となる。なお、焼結時に発生する排ガスは、ブロワにより焼結機から吸引され、電気集塵機により粉塵等が除去された後、煙突から大気中に排出される。
ここでは、凝結材として使用するコークスの粒度、生石灰の粒度、生石灰の配合量(濃度)を種々変化させて製造した造粒物を用い、鍋試験によりNOx低減効果を確認した。
使用したコークスの粒度、生石灰の粒度、及び、焼結原料の配合条件をそれぞれ、表1〜3に示す。なお、表3に記載の配合条件は、コークスと生石灰の造粒物と他の焼結原料とを、ドラムミキサーで処理した後の擬似粒子の配合条件である。
使用したドラムミキサーは直径1mの試験機である。使用にあっては、回転数20rpmで5分間造粒処理を行った。
また、振動造粒機は、直径300mmの水平円筒容器に50φの鋼製ロッド(圧密媒体)が6本収納されたものである。使用にあっては、6Gの振動加速度で5分間造粒処理を行った。
試験条件と試験結果を、表4に示す。
また、表4に記載のNOxの濃度は、鍋試験で得られたNOxの濃度であり、本実施例では、150ppm以下を、NOx低減効果が現れたとした。
そして、表4に記載のNOxの低減率は、表4に記載のベース条件のNOx濃度(180ppm)に対する低減の割合を示している。ここで、ベースとは、生石灰が添加されていない未造粒の凝結材を使用したものである。
以下に、NOxの低減率の計算式を示す。
{(ベース条件のNOx濃度)−(各条件のNOx濃度)}/(ベースのNOx濃度)×100(%)
また、実施例5〜8は、コークスの粒度、生石灰の粒度、及び生石灰の配合量を、それぞれ適正範囲とし、特に、生石灰の配合量を、適正範囲の下限と上限に調整した結果である。この条件でも、高いNOx低減効果が得られた。
更に、実施例9は、コークスの粒度、生石灰の粒度、及び生石灰の配合量を、それぞれ適正範囲とし、更に、振動造粒機を使用した結果である。この条件では、最も高いNOx低減効果が得られた(NOx濃度:132ppm)。
また、比較例3、4は、生石灰の粒度を適正範囲外(1mm以下を80質量%未満)とし、生石灰中の微粉を少なくした結果である。この条件では、生石灰が反応性に乏しいことから、NOx低減効果が限定的であった。
そして、比較例5は、生石灰の配合量を適正範囲の下限値未満(10質量%未満)とし、生石灰の配合量を少なくした結果であるが、この条件では、微粒のコークスを造粒できないため、NOx低減効果が限定的であった。一方、比較例6は、生石灰の配合量を適正範囲の上限値超(27質量%超)とし、生石灰の配合量を多くした結果であるが、生石灰が凝集し、その周囲へ微粒コークスが配列するため、NOx低減効果が限定的であった。
まず、コークスの粒度がNOxの低減率に及ぼす影響について、図2を参照しながら説明する。
図2は、生石灰の種類をa(粒径1mm以下を100質量%)にし、生石灰の配合量を20質量%にして、コークスの粒径2mm以上を5〜30質量%(A〜D)の範囲で変化させた場合のグラフである。即ち、図2の横軸のA〜Dはそれぞれ、表4中の実施例1、実施例2、比較例1、比較例2に対応する。なお、造粒機には、ドラムミキサーを使用した。
図2に示すように、コークスの種類をBからCへ変更することで、粒径2mm以上の粗粒が10質量%超となるため、NOx低減率が大きく低下した。
従って、粒径2mm以上の粗粒が10質量%以下のコークスを使用することが好ましいと考えられる。
図3は、コークスの種類をA(粒径2mm以上を5質量%)にし、生石灰の配合量を20質量%にして、生石灰の粒度1mm以下を100〜55.6質量%(a〜c)の範囲で変化させた場合のグラフである。即ち、図3の横軸のa〜cはそれぞれ、表4中の実施例1、実施例3、比較例4に対応する。なお、造粒機には、ドラムミキサーを使用した。
図3に示すように、生石灰の粒度をbからcへ変更することで、粒径1mm以下の微粉が80質量%未満となるため、NOx低減率が大きく低下した。
従って、粒径1mm以下の微粉が80質量%以上の生石灰を使用することが好ましいと考えられる。
図4は、コークスの種類をA(粒径2mm以上を5質量%)にし、生石灰の種類をa(粒径1mm以下を100質量%)にして、生石灰の配合量を5〜40質量%の範囲で変化させた場合のグラフである。即ち、図4中のプロット点は左からそれぞれ、表4中の比較例5、実施例5、実施例1、実施例6、比較例6に対応する。なお、造粒機には、ドラムミキサーを使用した。
図4に示すように、生石灰の配合量が5質量%と40質量%の場合、10〜27質量%の範囲外となるため、NOx低減率が低かった。
従って、生石灰の配合量は、10質量%以上27質量%以下が適正と考えられる。
図5は、コークスの種類をA(粒径2mm以上を5質量%)にし、生石灰の種類をa(粒径1mm以下を100質量%)にし、生石灰の配合量を20質量%にして、造粒機の種類を変更した場合のグラフである。即ち、図5のドラムミキサーは、表4中の実施例1に対応し、図5の振動造粒機は、表4中の実施例9に対応する。
図5に示すように、振動造粒機では、ドラムミキサーに比べ、NOxを大きく低減できることがわかった。これは、振動造粒機の使用により、微粉を緻密に造粒することで、その後の他の焼結原料との混合による崩壊を抑制できたためと考えられる。
Claims (2)
- 焼結工程で使用する焼結用凝結材を生石灰で造粒する焼結用凝結材の事前処理方法において、
前記焼結用凝結材中の粒径2mm以上の粒子を10質量%以下とし、前記生石灰中の粒径1mm以下の粒子を80質量%以上とし、前記焼結用凝結材に対する前記生石灰の配合量を外掛けで10質量%以上27質量%以下とすることを特徴とする焼結用凝結材の事前処理方法。 - 請求項1記載の焼結用凝結材の事前処理方法において、前記焼結用凝結材と前記生石灰の造粒に、複数の圧密媒体を水平円筒容器に収納した振動造粒機を用いることを特徴とする焼結用凝結材の事前処理方法。
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