JP2013216938A - 微粉造粒炭材を用いた焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】焼結鉱製造用の炭材を分級して、1mm以下の含有量が73.0質量%以上の篩下炭材と、篩上炭材を得る工程と、
前記篩下炭材に1mm以下の含有量が70質量%以上であるCa含有原料を、前記篩下炭材と前記Ca含有原料の合計に対してCaで5質量%以上50%以下配合し、混合・造粒して微粉造粒炭材を製造する工程と、
鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料を混合・造粒する合計の時間に対して、前記混合・造粒を開始してから50%を超える時間が経過した時点で、前記篩上炭材と前記微粉造粒炭材を添加して、前記鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料、前記篩上炭材及び前記造粒炭材を混合・造粒する工程とを実施することを特徴とする微粉造粒炭材を用いた焼結鉱の製造方法。
【選択図】図3
Description
しかし、当該技術に係る排ガス脱硝設備は建設費が高額で、またアンモニアが高価である為に操業費が高くなる。また、窒素の含有量が少ない無煙炭を使用する手段もあるが、窒素の含有量が少ない無煙炭は、資源枯渇により採掘環境が劣化してきており、その使用は制限をうける。
又、微粉コークスと微粉石炭の混合物にセメント等の水硬性結合材バインダーを添加して混合造粒した後、硬化のために養生する方法の発明が開示されている(特許文献2)。
又、焼結用原料をドラムミキサーにより造粒する際に、石灰系粉原料と固体燃料系粉原料を除く焼結用原料を装入し造粒後、下流側に石灰系粉原料と固体燃料系粉原料を添加し焼結用原料の外装部に付着・形成する方法が開示されている(特許文献3)。
又、本出願人は、炭材表面に、石灰系原料由来のCaを36質量%以上含有する被覆物を炭材に対し2質量%超かつ50質量%未満の割合で被覆した表面被覆炭材を、焼結燃料として配合炭中に含める焼結鉱の製造方法を開示している(特許文献4)。
特許文献2に記載の発明は、粉コークスと微粉石炭を造粒するものであり、水硬性結合材バインダーを使用することと、硬化のために養生する必要があり、製造工程が複雑化するという課題がある
特許文献3に記載の発明は、石灰系粉原料と固体燃料系粉原料をドラムミキサーの後段に添加するものであるが、焼結鉱の冷間強度と被還元性の向上を目的とするものであり、NOx抑制についての記述は無い。
本発明は、この新たな知見に基づくものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
前記篩下炭材に1mm以下の含有量が70質量%以上であるCa含有原料を、前記篩下炭材と前記Ca含有原料の合計に対してCaで5質量%以上50%以下配合し、混合・造粒して微粉造粒炭材を製造する工程と、
鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料を混合・造粒する合計の時間に対して、前記混合・造粒を開始してから50%を超える時間が経過した時点で、前記篩上炭材と前記微粉造粒炭材を添加して、前記鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料、前記篩上炭材及び前記造粒炭材を混合・造粒する工程とを実施することを特徴とする微粉造粒炭材を用いた焼結鉱の製造方法。
(2)前記篩上炭材と前記微粉造粒炭材を鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料に添加する時点が、鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料の混合・造粒の合計の時間に対して、前記混合・造粒を開始してから75%を超える時間が経過した時点であることを特徴とする(1)に記載の微粉造粒炭材を用いた焼結鉱の製造方法。
図1にコークス燃焼によるNOx転換率と温度の関係を示す。NOx転換率は、燃焼した燃料中の窒素原子がNOxに転換した割合(モル百分率)である。具体的には、下記の(1)式で算出される。
・・・・・・・・・・(式1)
ただし、ηNO:NOx転換率(%)、NOx:排ガスNOx(ppm)
CO:排ガスCO(%)、CO2:排ガスCO(%)、
NCOKE:コークス中N(mol)、CLPG:点火ガス中C(mol)、
CCOKE:コークス中C(mol)、CLS:石灰石中C(mol)。
また、炭材中の微粉は、低温で燃焼し、NOxを増大させる。炭材粒度とNOx発生量の関係を図2に示す。NOxは、O215%で補正したものである。炭材中の微粉は、燃焼速度が速く、低温で燃焼が完了するため、NOxを増大させると考えられる。粒径が1mm以下の微粉炭材を除去することができれば、NOx発生量を低減できると考えられる。
炭材としては、コークス、無煙炭その他の焼結鉱製造に用いられる燃料があるが、一般的には、製鉄所で発生する粉コークスが焼結鉱製造に用いられる。粉コークスは、石炭の乾留により製造されたものであるため表面の濡れ性が悪く、粉コークスのみでは、造粒が困難である。そこで、無煙炭、微粉炭又は水硬性結合材と混合して造粒する方法があるが(前記特許文献1乃至特許文献3)、本発明は、前記のCa含有原料を結合材として用いることを特徴とする。
Ca含有原料としては、生石灰及び消石灰等がある。従来、Ca含有原料は、高炉のスラグの塩基度を調整し、又、焼結鉱の生産性と品質を向上させるために、鉄鉱石等の焼結原料に混合して焼結鉱が製造されてきた。
Ca含有原料は、粒度が1mm以下で70質量%以上であり、その混合割合は、炭材とCa含有原料の総質量に対してCaで5%〜50%である。
Ca含有原料の粒度が大きく、1mm以下の含有量が70質量%以上を満たさないと、粉コークス造粒の結合材としての効果を発揮しない。又、Ca含有原料の添加割合がCaで5質量%未満では、結合材としての効果を発揮できず、50質量%あれば十分で、これを超えれば、経済的に不利となるからである。
本発明では、篩上炭材及び微粉造粒炭材は、後添加して、混合・造粒する。即ち、鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料の混合・造粒が終了する前に、篩上炭材及び微粉造粒炭材は、混合、造粒中の鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料に添加され、その後、全ての配合原料を混合、造粒する。
本発明者は、実施例に示す焼結実験により、篩上炭材及び前記微粉造粒炭材を後添加する時点の最適点を得た。
図3に、本発明の実験プロセスの一例の説明図を示す。炭材として粉コークス、Ca含有原料として生石灰又は消石灰を用いて焼結鉱の鍋焼成試験を実施した。Ca含有原料は、1mm以下の比率が70質量%の生石灰、1mm以下の比率が37質量%の生石灰又は1mm以下の比率が100質量%の消石灰(以下、総称してCaO源と記す。)を用いた。
鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料に水分7.5質量%を加え、直径1mのドラムミキサーを用いて混合60秒、造粒220秒した時点で、あらかじめ製造した前記微粉造粒コークス及び分級後の篩上コークスをドラムミキサー内に添加した。鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料、微粉造粒コークス及び篩上コークスを更に20秒造粒し、鍋焼成試験用の配合原料を作成した。この例では、微粉造粒コークス及び分級後の篩上コークスを鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料に添加するタイミングは、鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料の混合・造粒を開始してから混合・造粒が終了するまでの時間の合計に対し開始から93%(20/(60+220+20))の時間が経過した時点である。
この焼結鍋試験装置は、点火炉1、焼結鍋2、風箱3、ブロアー4及び分析計5を備える。焼結鍋2の直径は、300mm、層高600mmであり、焼結鍋2に試験体となる配合原料を充填し、点火炉1で点火して加熱する。点火90秒、同時にブロアー4を起動して、吸引負圧12kPa一定の条件で焼成する。焼結鍋2で生じた排気ガスは、風箱3を介して排出され、分析計5によりNOxを分析した。
表3に実施例又は比較例として試験結果を一覧に示す。表4にCaO造粒に用いた篩下粉コークスの粒度分布を示す。
(実施例1〜実施例8)
実施例1は、事前分級で調製した0.25mm以下の篩下コークスに対して、CaO源を66.7質量%(Ca;47.6質量%)添加した後、混合・造粒して微粉造粒コークスを作成した。配合原料の混合・造粒の全時間が93%経過した時点で、篩上コークスと微粉造粒コークスを配合原料に添加し、更に残りの造粒をした。生産率は36.7t/d/m2で良好であり、NOxも150ppmで低かった。
実施例2は、実施例1に対して、配合原料の混合・造粒の全時間が75%経過した時点で、篩上コークスと微粉造粒コークスを添加し、残りの造粒をした。生産率、NOx共に良好であった。
実施例3は、実施例1、実施例2に対して、配合原料の混合・造粒の全時間が55%経過した時点で、篩上コークスと微粉造粒コークスを添加し、残りの造粒をした。生産率、NOx共に良好であった。
実施例4、実施例5、実施例6は、事前分級で調製した1.0mm以下の篩下コークスに対して、CaO源を30.8質量%(Ca;22.0質量%)添加し、混合・造粒して、微粉造粒コークスを作成した。配合原料の混合・造粒の全時間が95%、75%、55%経過した時点で、篩上コークスと造粒コークスを添加し、残りの造粒をした。生産率、NOx共に良好であった。
実施例7、実施例8は事前分級で調製した1.0mm以下の比率が73.5質量%の篩下コークスに対して、CaO源を27.2質量%(Ca;19.4質量%)添加し、混合・造粒して、微粉造粒コークスを作成した。配合原料の混合・造粒の全時間が75%、55%経過した時点で、篩上コークスと造粒コークスを添加し、残りの造粒をした。生産率、NOx共に良好であった。
実施例1〜実施例8の結果より、微粉造粒コークスのCa含有量は、50質量%以下であれば良いことが分かった。
実施例5のCaO源としての生石灰30.8質量%(Ca;22.0質量%)に替えて、実施例9では、1mm以下の比率が100質量%の消石灰40.7質量%(Ca;22.0質量%)を用いた。その結果、生産率、NOx共に良好であった。
このことより、CaO源として生石灰と消石灰の両者が適切であることが分かった。
実施例1〜実施例6に対し、篩上コークスと微粉造粒コークスの添加を配合原料の混合・造粒の全時間が50%経過した時点又は0%経過した時点(混合・造粒開始と同時)で行った。生産率は低く、NOxも高かった。このことより、篩上コークスと微粉造粒コークスの添加は、配合原料の混合・造粒の全時間の50%を超える時点が好ましく、75%以上が特に好ましいことが分かった。
比較例5〜比較例8は、実施例1〜実施例8に対し、粉コークスを篩目3mmの篩いにより分級した。篩下コークスに対して、CaO源を22.2質量%(Ca;15.9質量%)添加し、混合・造粒して、微粉造粒コークスを作成した。比較例5、比較例6は、配合原料の混合・造粒の全時間の93%、75%経過時に篩上コークスと造粒コークスを添加した場合であり、いずれも生産率が低かった。比較例7、比較例8は、配合原料の混合・造粒の全時間の50%、0%経過時に篩上コークスと造粒コークスを添加した場合であり、いずれも生産率は低く、NOxも高かった。
表4に示す篩下コークスの粒度分布において、篩下コークスの1mm以下の割合は実施例7、実施例8では73.5質量%であるのに対し、比較例5、比較例6では72.2質量%である。このことより、篩下コークス中の粒径1mm以下の割合は、73.0質量%以上であることが好ましいことが分かった。
粉コークスを分級することなく表面をCaOで被覆した場合である。比較例9、10は、配合原料の混合・造粒の全時間の93%、75%経過時に被覆コークスを添加した例である。本出願人が、前記特許文献4により提案した発明であり、生産率、NOx共に良好であるが、本願発明と比較すると、生産性がやや劣る。比較例11、比較例12は、被覆コークスの添加を配合原料の混合・造粒の全時間の50%以下とした場合で、いずれも、生産率は低く、NOxも高かった。
粉コークスを分級することなく、又、CaOを粉コークスと混合・造粒することなく、全体の配合原料と混合・造粒した場合である。いずれも、生産率は低く、NOxも高かった。
比較例17は、CaO源の1mm以下の比率を低下させた場合である。実施例4で生石灰の1mm以下の比率70%に替えて、比較例17は37質量%とした。その結果、比較例17では生産率は低く、NOxも高かった。このことより、CaO源の1mm以下の比率は70%以上が望ましいことが分かった。
Claims (2)
- 焼結鉱製造用の炭材を分級して、1mm以下の含有量が73.0質量%以上の篩下炭材と、篩上炭材を得る工程と、
前記篩下炭材に1mm以下の含有量が70質量%以上であるCa含有原料を、前記篩下炭材と前記Ca含有原料の合計に対してCaで5質量%以上50%以下配合し、混合・造粒して微粉造粒炭材を製造する工程と、
鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料を混合・造粒する合計の時間に対して、前記混合・造粒を開始してから50%を超える時間が経過した時点で、前記篩上炭材と前記微粉造粒炭材を添加して、前記鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料、前記篩上炭材及び前記造粒炭材を混合・造粒する工程とを実施することを特徴とする微粉造粒炭材を用いた焼結鉱の製造方法。 - 前記篩上炭材と前記微粉造粒炭材を鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料に添加する時点が、鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料の混合・造粒の合計の時間に対して、前記混合・造粒を開始してから75%を超える時間が経過した時点であることを特徴とする請求項1に記載の微粉造粒炭材を用いた焼結鉱の製造方法。
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