JP5811066B2 - 焼結原料の事前処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、焼結原料を造粒する際の焼結原料の事前処理方法に関する。
焼結原料は鉄鉱石からなる粉鉱石であり、必要に応じて成分調整する副原料や凝結材を配合し、焼成前に、この粉鉱石に水とバインダーを混合し造粒処理することで、焼結機へ装入する微粉量を低減している。この造粒は、焼結生産性の維持改善に重要な操作であり、従来から各種の造粒技術が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、焼結鉱の製造において、二系列の造粒ラインを用い、この両ラインで使用する生石灰の合計量を変えることなく、各造粒ラインで使用する生石灰の配合比を変えることで、焼結原料の造粒性を改善する方法が開示されている。これにより、微粉で高結晶水である焼結性の悪い原料(マラマンバ鉱石)を、焼結原料として使用できるようにしている。
特開平5−9601号公報
しかしながら、近年、劣質な鉄鉱石を粉砕処理し浮遊選鉱処理して得られる難造粒性の粉鉱石(即ち、微粉原料)が増加してきており、この微粉原料を従来の方法で造粒処理しようとすると、高価なバインダーの添加量を大幅に増加させる必要があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、バインダーの使用量増加を抑制し、焼結原料の造粒性を改善して、難造粒性を有する微粉原料の造粒を可能とし、更には、造粒物の崩壊を抑制して、焼結鉱の製造に使用できるようにする焼結原料の事前処理方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る焼結原料の事前処理方法は、鉄鉱石として500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度の粉鉱石である微粉原料を用いる焼結原料A群と、1.0mmアンダーが50質量%以上の粒度を有する生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーXを、撹拌機に装入し、該撹拌機の撹拌羽根の周速を2m/秒以上にして撹拌するラインAと、
鉄鉱石として前記粉鉱石と同一粒度又は異なる粒度の粉鉱石を用いる焼結原料B群と、1.0mmアンダーが50質量%以上の粒度を有する生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーXが供給されるラインBとを有し、
前記ラインAで得られた撹拌物と、前記ラインBの供給物とを合流させた後、更に造粒して造粒物とする焼結原料の事前処理方法であって、
前記焼結原料A群の量αと前記バインダーXの生石灰換算量βとの合計量Tに対する前記生石灰換算量βの割合であるバインダー濃度Cを、前記焼結原料B群の量αと前記バインダーXの生石灰換算量βとの合計量Tに対する前記生石灰換算量βの割合であるバインダー濃度Cで除した値を1超とし、かつ前記バインダー濃度Cを0.2質量%超とする。
本発明に係る焼結原料の事前処理方法において、少なくとも前記ラインBに凝結材が配合されていることが好ましい。
本発明に係る焼結原料の事前処理方法は、鉄鉱石として微粉原料を使用する焼結原料A群と、1.0mmアンダーが50質量%以上の粒度を有する生石灰(バインダーX)を、撹拌機に装入し、その撹拌羽根の周速を2m/秒以上にして撹拌するため、添加した生石灰の消化(消石灰化)が促進され、微粒化し、水と共に微粉原料に均一に混ざり易くなる。ここで、生成した消石灰の一部については、水に溶解することでも、微粉原料に均一に混ざり易くなる。
また、上記した微粉原料に、生石灰の代わりに、又は生石灰と共に、消石灰(バインダーX)を添加する場合も同様であり、一部の消石灰が水に溶解して、微粉原料中に均一に混ざり易くなる。
このラインAの撹拌物(焼結原料A群とバインダーX)を、ラインBの供給物(焼結原料B群と1.0mmアンダーが50質量%以上の粒度を有するバインダーX)と合流させた後に造粒するに際し、ラインAのバインダー濃度CをラインBのバインダー濃度Cで除した値を1超とし、かつバインダー濃度Cを0.2質量%超とするので、バインダー(生石灰や消石灰)の使用量を顕著に増加させることなく、造粒性を改善して、焼結原料A群を造粒でき、更には、造粒物の崩壊を抑制して、焼結鉱を製造できる。
これは、粒度構成が、10μmオーバー500μmアンダー程度に揃った焼結原料A群のみを造粒した際には、造粒物内部に空間が形成されるため、撹拌機の撹拌羽根の周速を上記した周速にし、かつ上記した粒度を有する生石灰や消石灰を用いることで、これらが造粒物内部(撹拌物内部)の空間に充填されることによる。
なお、前記した特許文献1に記載のマラマンバ鉱石は、10μmアンダーの微粒子が多い焼結原料であり、上記した焼結原料A群程度の難造粒性は呈さない。
また、少なくともラインBに凝結材が配合されている場合、焼結現象(酸化発熱現象)を促進することができるため、凝結材の添加量を抑制することが可能となる。また、凝結材の添加量を変えない場合は、焼結鉱の生産性を向上できる。
一般に凝結材は、焼結鉱の強度等を確保する目的で焼結原料に添加するが、凝結材の使用はコストの上昇を招くため、その添加量は必要最小限であることが求められている。一方、凝結材が微粉(粒度構成:10μmオーバー500μmアンダー程度)の付着により造粒物内部に埋没すると、酸化発熱現象に寄与し難くなるため、凝結材の添加量を抑制することが困難となる。
このため、凝結材を微粉の少ないラインBに配合することで、凝結材の埋没を抑制することができる。
添加するバインダーの種類が造粒物の造粒性に及ぼす影響を示すグラフである。 (A)は原料中の500μmアンダーの割合が造粒後の粉率に及ぼす影響を示すグラフ、(B)は原料中の10μmアンダーの割合が造粒後の粉率に及ぼす影響を示すグラフである。 生石灰中の1.0mmアンダーの割合が造粒後の粉率に及ぼす影響を示すグラフである。 ラインA、Bの生石灰濃度C、Cの比が造粒後の粉率に及ぼす影響を示すグラフである。 ラインAの生石灰濃度Cが焼結生産性の改善率に及ぼす影響を示すグラフである。 ラインA、Bの全処理量に対するラインAの処理量が焼結生産性に及ぼす影響を示すグラフである。 ラインBへの凝結材の添加割合が焼結生産性に及ぼす影響を示すグラフである。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
まず、本発明に想到した経緯について説明する。
はじめに、粉鉱石(鉄鉱石)のうち、難造粒性を示す微粉原料の造粒性について説明する。
篩目10μmアンダーの粒子(微粒子)が5質量%以下と極めて少なく、500μmアンダーの粒子が50質量%以上と非常に多い微粉原料(鉄鉱石)が、通常の鉄鉱石と異なる点は、10μmアンダーの微粒子が極めて少ない点であり、例えば、鉄鉱石の粉砕処理と水による比重選鉱処理を繰り返すことで、この特徴が得られることがわかった。なお、500μmアンダーの粒子の質量%の測定に際しては、微粉原料(2kg)を、150℃で1時間乾燥した後、0.5mmの篩目(JIS Z8801−1「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に拠る)で分級し、篩下の質量%を求めた。また、10μmアンダーの微粒子の質量%の測定に際しては、上記乾燥後の微粉原料を対象に、レーザー回折散乱法の測定機器(日機装株式会社製 MICROTRAC(登録商標) MT3300型、測定範囲:0.02〜1400μm)を用いた。
ここで、鉄鉱石として少なくとも1種又は複数種の粉鉱石(微粉原料の場合を含む)を含むものが焼結原料であり、この焼結原料に、副原料(成分調整用原料)や凝結材(例えば、コークス粉や石炭粉等)が含まれるか否かは任意であり、本実施の形態での焼結原料とは、生石灰や消石灰(バインダー)を含まないものをさす。なお、焼結原料に副原料や凝結材が含まれる場合、焼結原料中の副原料と凝結材の合計量が質量比で30質量%以下程度(焼結原料中の鉄鉱石量:例えば、焼結原料の70〜100質量%程度)となるように、鉄鉱石に副原料と凝結材を添加する場合があるが、焼結原料の造粒性や造粒物の強度は、これらの添加量では改善しにくい。
上記した粒度構成、即ち10μmオーバーかつ500μmアンダー程度に概ね揃った微粉原料を造粒すると、隣接する原料粒子の間に空間が形成される。
しかし、上記したように、微粉原料中には、この空間を充填する10μmアンダーの微粒子が極めて少ないため、微粉原料は空間を内包したまま造粒され、造粒物の強度が極めて低くなる。このため、たとえセルロース等の粘着質のバインダーを用いて微粉原料を造粒し、隣接する微粉原料の粒子同士を粘着できたとしても、造粒物内部には空間が残留するため、造粒物の強度を向上しにくい。
更に一般に、粉鉱石は水を用いて造粒するが、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を、微粉原料に30質量%以上60質量%以下含める場合、高結晶水鉱石の気孔に水が吸収され、造粒物強度が経時劣化(低下)する問題もある。
上記状況において、上記した微粉原料の造粒に用いるバインダーには、10μmアンダーの微粒子を供給でき、上記した空間を充填できるものが好ましいことに想到した。
なお、固形バインダーには、ベントナイトや炭酸カルシウム等があるが、通常の撹拌(混練)処理程度では、上記した微粉原料へ固形バインダーを均一分散させるのが難しいことが判明した。
これは、上記したように、微粉原料の粒径が10μmオーバーかつ500μmアンダー程度の大きさに概ね揃っており、一般には広範囲な粒度分布を持つことで撹拌による原料の混合が進むため、粒子が微粒化せず溶解もしないベントナイトや炭酸カルシウム等を添加しても分散が進まないものと考えられ、この観点からも、別の手段で10μmアンダーの微粒子を添加することが好ましいと考えられた。
以上のことから、本発明者らは、鉄鉱石として、500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度である微粉原料を用いた焼結原料A群を造粒するに際し、撹拌や造粒を容易化するバインダーとして、生石灰と消石灰に想到した。なお、焼結パレットに入れる焼結原料は撹拌を行わない場合もある。
次に、生石灰と消石灰による造粒メカニズムについて説明する。
生石灰は、撹拌や造粒中に水と接触することで一部が吸湿し消化(消石灰化)して微粒化し、水と共に微粉原料に均一に混ざり易くなると考えられる。なお、生石灰としては、CaOが例えば84質量%以上のものが多用されている。
ここで、生成した消石灰の一部については、水に溶解することでも、微粉原料に均一に混ざり易くなる。
なお、微粉原料に、生石灰の代わりに、又は生石灰と共に、消石灰を添加する場合も同様であり、一部の消石灰が水に溶解して、微粉原料中に均一に混ざり易くなる。
生石灰の消化で生成する消石灰や、水の蒸発等によって再晶出する消石灰は、粒径が10μmアンダーの微粒子であり、更にはサブミクロンオーダーの微粒子も多く含まれており、固体架橋によって上記微粉原料の造粒性向上や造粒物の強度向上に大きく寄与する。
従って、極力多くの生石灰を消化させることが重要となる。
上記したことから、難造粒性の微粉原料と、その他の原料(例えば、造粒が容易な易造粒性原料)を混合する場合は、難造粒性の微粉原料に対して、粒径を小さくする処理を施した生石灰や消石灰の添加や、その添加量を多くすること等も重要となる。
なお、炭酸カルシウム(分子式:CaCO)は、生石灰と同様にCaOを含み、そのCaO含有率が56質量%程度のものであり、石灰石あるいは単に石灰と称される場合がある。しかし、炭酸カルシウムは、化学的に安定な物質であって、吸湿による消化や水への溶解は起こりにくい。
従って、上記した生石灰に、炭酸カルシウムは含まれない。
ここで、添加するバインダーの種類が造粒物の造粒性に及ぼす影響について、図1を参照しながら説明する。
なお、試験は、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を0又は0を超え10質量%以下配合した500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度である微粉原料(焼結原料A群)に、バインダー(炭酸カルシウム、生石灰、消石灰)を外掛けで2質量%添加し、これを万能ミキサー(自転する撹拌羽根の軸を公転させる竪型ミキサー)で撹拌した後、ドラムミキサーで造粒処理した。ここでは、バインダー添加の評価基準として、バインダーを添加していない難造粒性の微粉原料(原料)のみのものについても、万能ミキサーで撹拌した後、ドラムミキサーで造粒処理した。
詳細条件は、水分:9〜12質量%の範囲で一定、撹拌(混練):周速2.0m/秒、処理時間90秒、造粒:周速1.0m/秒、処理時間60秒、である。なお、周速は、万能ミキサー(撹拌機)とドラムミキサー(造粒機)において、回転するもの(羽根、ドラム等)で、一番速い部分の速度を意味する。
また、評価は、以下の手順で行った。
まず、上記した造粒処理した微粉原料(2kg)を、150℃で1時間乾燥した後、0.5mmの篩目(JIS Z8801−1「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に拠る)で分級し、0.5mmアンダーの割合を粉率と定義した。なお、粉率は、バインダーを添加していない微粉原料のみの粉率を「1.0」として、それぞれ算出した。
図1から、微粉原料に対して炭酸カルシウムを添加した場合、造粒性の改善が小さい(粉率:0.75)のに対し、微粉原料に対して生石灰や消石灰を添加した場合は、造粒性が著しく改善(生石灰:0.45、消石灰:0.48)することを、本発明者らは初めて発見した。
これは、生石灰が水と接触することにより微粒化し、更に生成した消石灰(添加した消石灰)の一部が水に溶解することで、微粉原料に均一に混ざり易くなり、固体架橋によって微粉原料の造粒性向上や造粒物の強度向上に大きく寄与したためと考えられる。
上記粉率は平均値であり、いずれのバインダーを用いた場合も、粉率値は5%程度のばらつきをもった。
一方、上記試験に用いた微粉原料として、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合したものを用いた場合、粉率が全体的に悪化(増加)し、特に、バインダーとして炭酸カルシウムを用いた場合は、概ね2〜3割程度のばらつきを示すのに対し、バインダーとして生石灰や消石灰を用いた場合は、炭酸カルシウムの粉率値のばらつきよりも小さな1割程度であった。これは、造粒時や造粒後に気孔に水が吸収され得る高結晶水鉱石を用いたとしても、バインダーとして炭酸カルシウムを用いると上記した固体架橋が安定せず、一方、生石灰や消石灰を用いると上記した固体架橋が安定するものと推定され、吸湿による消化や水への溶解が起きると、気孔への吸水が起こっても固体架橋が比較的安定しているものと推定された。
以上のことから、本発明者らは、難造粒性を有する微粉原料の造粒性を向上できる焼結原料の事前処理方法に想到した。即ち、鉄鉱石として500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度の粉鉱石である微粉原料を用いる焼結原料A群(難造粒性微粉原料)と、1.0mmアンダーが50質量%以上の粒度を有する生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーXを、撹拌機に装入し、撹拌機の撹拌羽根の周速を2m/秒以上にして撹拌するラインAと、鉄鉱石として前記粉鉱石と同一粒度又は異なる粒度の粉鉱石を用いる焼結原料B群(難造粒性微粉原料又は易造粒性原料)と、1.0mmアンダーが50質量%以上の粒度を有する生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーXが供給されるラインBとを有し、ラインAで得られた撹拌物(焼結原料A群とバインダーX)と、ラインBの供給物(焼結原料B群とバインダーX)とを合流させた後、更に造粒して造粒物とする焼結原料の事前処理方法であり、焼結原料A群の量αとバインダーXの生石灰換算量βとの合計量Tに対する生石灰換算量βの割合であるバインダー濃度Cを、焼結原料B群の量αとバインダーXの生石灰換算量βとの合計量Tに対する生石灰換算量βの割合であるバインダー濃度Cで除した値を1超とし、かつバインダー濃度Cを0.2質量%超とする方法である。
上記した生石灰は、石灰石などの主成分である炭酸カルシウムを1100℃程度に加熱し、二酸化炭素を放出させる熱分解により製造し、その後、破砕による細粒化処理を行って、所定の粒度としている。
しかし、生石灰の粒度を小さくするに際しては、上記したように、細粒化処理を行う必要があり、製造コストの上昇を招くことから、粉率を抑制できる範囲内で、生石灰の粒度を比較的粗粒の状態、例えば、250μmアンダーを0質量%又は0質量%を超え50質量%未満(更には、40質量%以下)とするのがよい。これにより、生石灰の細粒化処理を省略できるため、製造コストの低減が図れて経済的である。
また、上記した生石灰と焼結原料を、撹拌機を用いて撹拌するに際しては、撹拌羽根の周速を2m/秒(更に好ましくは、3m/秒)以上にすることで、水と生石灰との単位時間あたりの接触割合を増加させることができ、生石灰の消石灰化による微粒化促進、及び生成する消石灰を焼結原料全体(マクロ)に分散させ、各焼結原料の粒子表面に極力付着(ミクロに分散)させることができる。また、消石灰と焼結原料を、撹拌機を用いて撹拌するに際しても、撹拌羽根の周速を2m/秒(更に好ましくは、3m/秒)以上にすることで、消石灰を焼結原料全体(マクロ)に分散させ、各焼結原料の粒子表面に極力付着(ミクロに分散)させることができる。
従って、撹拌機は、撹拌羽根の周速を2m/秒以上にできるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、前記した万能ミキサー等を使用できる。なお、撹拌羽根の周速の上限値は、上記した記載から特に限定していないが、世の中で一般的に使用されている撹拌機を考慮すれば、例えば、35m/秒程度である。また、撹拌羽根の直径は、実験室で使用するものも含めて、0.1〜1.5m程度である。なお、撹拌羽根の直径とは、回転時の撹拌羽根の外径を意味し、例えば、回転軸の周囲周方向に複数の羽根が設けられている場合は、回転軸を挟んでその両側に設けられた羽根の先端間の距離を意味する。
ここで、難造粒性微粉原料と易造粒性原料の粒度の関係を、表1に示す。
Figure 0005811066
上記した難造粒性微粉原料、即ち500μmアンダー(−500μm)が50質量%以上かつ10μmアンダー(−10μm)が5質量%以下の粒度を有する原料は、表1中の「A」に該当する。
一方、粉鉱石(鉄鉱石)から、上記した難造粒性微粉原料を除いた焼結原料である易造粒性原料は、表1中の「B1」、「B2」、及び「B3」に該当する。即ち、500μmアンダーが50質量%未満かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度を有する原料は、表1中の「B1」に、500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%超の粒度を有する原料は、表1中の「B2」に、500μmアンダーが50質量%未満かつ10μmアンダーが5質量%超の粒度を有する原料は、表1中の「B3」に、それぞれ該当する。
以上のように、造粒処理する焼結原料は、表1のように分類できる。
なお、上記した「B1」、「B2」、「B3」の分類は、粒度分布を調べた鉄鉱石銘柄で決定でき、これらの配合後でも、粒度分布に基づいて決定できる。更に、篩処理や粉砕処理によっても粒度が調整できるため、上記した「A」、「B1」、「B2」、「B3」の分類に決定できる。この篩処理と粉砕処理のいずれか一方(単独)又は双方の処理方法は、粒度が安定するため、造粒状況が安定して好ましい。
次に、難造粒性微粉原料の粒度構成を、上記した範囲に規定した理由について、図2(A)、(B)を参照しながら説明する。
試験は、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合した原料に生石灰(粒度:1.0mmアンダーが50質量%未満)を、外掛けで2質量%添加し、これを前記した万能ミキサーで撹拌した後、ドラムミキサーで造粒して行った。この原料には、図2(A)の場合、原料中の10μmアンダーの質量割合を5質量%に固定し、500μmアンダーの質量割合を、20質量%、50質量%、75質量%に変更した原料を、図2(B)の場合、原料中の500μmアンダーの質量割合を50質量%に固定し、10μmアンダーの質量割合を、2.5質量%、5質量%、8質量%に変更した原料を、それぞれ使用した。
なお、水分、撹拌、及び造粒の各条件は、前記した詳細条件と同一である。
また、評価についても、前記した0.5mmアンダーの割合を粉率と定義して行った。なお、粉率は、図2(A)の場合、原料中の10μmアンダーの質量割合を5質量%に固定し、500μmアンダーの質量割合を50質量%にした造粒物の粉率を、また図2(B)の場合、原料中の500μmアンダーの質量割合を50質量%に固定し、10μmアンダーの質量割合を5質量%にした造粒物の粉率を、それぞれ「1」として算出した。
図2(A)に示すように、原料中の10μmアンダーの質量割合を5質量%に固定した場合、500μmアンダーの質量割合が50質量%以上になることで、造粒物の粉率が急激に上昇する傾向が得られた。
また、図2(B)に示すように、原料中の500μmアンダーの質量割合を50質量%に固定した場合、10μmアンダーの質量割合が5質量%以下になることで、造粒物の粉率が急激に上昇する傾向が得られた。
以上のことから、本発明は、造粒物の粉率が高くなる難造粒性を示す微粉原料の粒度として、500μmアンダーが50質量%(更には60質量%)以上かつ10μmアンダーが5質量%(更には4質量%)以下を規定した。なお、500μmアンダーの上限値を規定していないのは100質量%でもよく、また10μmアンダーの下限値を規定していないのは0質量%でもよいためである。
以上から、500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度の微粉原料であれば、造粒物の粉率が極めて上昇(悪化)することがわかる。また、これに対し、500μmアンダーが50質量%未満又は10μmアンダーが5質量%超の粒度の粉鉱石であれば、粉率が一定レベル下がる(改善する)ことがわかる。
続いて、微粉原料に添加する生石灰の粒度構成について、図3を参照しながら説明する。
試験は、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合した500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度である難造粒性微粉原料と、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合した500μmアンダーが50質量%未満又は10μmアンダーが5質量%超の粒度である易造粒性原料に、それぞれ1.0mmアンダーの質量割合が異なる生石灰(250μmアンダーは0質量%で一定)を、外掛けで2質量%添加し、これを前記した万能ミキサーで撹拌した後(撹拌速度が1.0m/秒と2.0m/秒)、又は撹拌することなく(撹拌機無)、ドラムミキサーで造粒して行った。なお、水分と造粒の各条件は、前記した詳細条件と同一である。
また、評価についても、前記した0.5mmアンダーの質量割合を粉率と定義して行った。なお、粉率は、易造粒性原料の造粒に際し、粉率の低下が顕著でなくなる場合、即ち撹拌機無しで生石灰中の1.0mmアンダーの質量割合を10質量%にした場合を「1」として算出し、この粉率(図3中の点線)以下を合格とした。
図3に示すように、難造粒性微粉原料の造粒に際しては、撹拌速度を2.0m/秒以上にし、生石灰中の1.0mmアンダーの質量割合を50質量%以上にすることで、造粒物の粉率が急激に低下して、粉率が合格の基準を満たした(図3中の太線)。
また、易造粒性原料を造粒する場合、難造粒性微粉原料と比較して造粒性が良好であるため、生石灰中の1.0mmアンダーの質量割合を10質量%以上にすることで、造粒物の粉率が低下して、粉率が合格の基準を満たした(図3中の細線)。
以上のことから、ラインAで難造粒性微粉原料を撹拌するに際しては、撹拌速度を2.0m/秒以上にし、1.0mmアンダーが50質量%(更には60質量%)以上の粒度を有する生石灰を用いることとした。なお、ここで、1.0mmアンダーの上限値を規定していないのは、100質量%でもよいためである。
上記した結果は、生石灰の代わりに消石灰を使用した場合も、同様の傾向が得られた。
上記したように、ラインAで撹拌処理する焼結原料には、難造粒性微粉原料を用いているが、ラインBへ供給する焼結原料は限定していない。これは、難造粒性微粉原料(表1のA)と易造粒性原料(表1中のB1〜B3)のいずれでもよいためである。
なお、ラインAでは、上記したように、撹拌機の撹拌羽根の周速を2.0m/秒以上とするため、添加した生石灰の消化(消石灰化)が促進され、微粒化し、水と共に微粉原料に均一に混ざり易くなる。ここで、生成した消石灰の一部については、水に溶解することでも、微粉原料に均一に混ざり易くなる。また、微粉原料に、生石灰の代わりに、又は生石灰と共に、消石灰を添加する場合も同様であり、一部の消石灰が水に溶解して、微粉原料中に均一に混ざり易くなる。
このように、微粉原料に均一に混ざり易くなったバインダーXを、微粉原料と共に(撹拌物として)ラインBに供給するため、ラインBでは撹拌機(混練機)を必須にしていない。
上記したラインAで得られた撹拌物(難造粒性微粉原料とバインダーX)と、ラインBの供給物(難造粒性微粉原料又は易造粒性原料とバインダーX)とを合流させた後、更に造粒して造粒物とする。なお、撹拌物と供給物の合流後の造粒処理には、ドラムミキサーや皿型造粒機のような転動型造粒機(造粒機)を用いることができるが、アイリッヒミキサーやレディゲミキサーのような撹拌機(混練機)を用いてもよい。
上記した造粒物の製造にあっては、バインダーの使用量増加を抑制する必要があることから、バインダーの能力をより効果的に発揮させるため、ラインAとラインBで使用する全バインダー量を一定にし、ラインAとラインBで使用するバインダー量を変更する。このため、ラインBで使用するバインダーの粒度構成も、上記したラインAで使用するバインダーの粒度構成と同一とした。なお、ラインA、Bで使用するバインダーは、前記した粒度範囲を満足すれば、同じでもよく、また異なってもよい。
ここで、ラインAの生石灰濃度CをラインBの生石灰濃度Cで除した値、即ち比(C/C)が、造粒後の粉率に及ぼす影響について、図4を参照しながら説明する。
この試験は、ラインAとラインBの処理量を1対1(同量)にし、生石灰濃度をラインA、Bの処理量全体で2質量%(一定)にして生石灰をラインA、Bへ振り分け、ラインA、Bの生石灰濃度を種々変更し、ラインAで撹拌物を製造した後、ラインBで造粒物を製造した。なお、ラインA、Bでそれぞれ使用する焼結原料A群と焼結原料B群には、共に結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合した難造粒性微粉原料(粒度:500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下)を使用し、バインダーには、生石灰(粒度:1.0mmアンダーが50質量%以上)を使用した。このため、ここでは、バインダー濃度C、Cを生石灰濃度C、Cとも記載している。
また、造粒物の製造条件は、水分:9〜12質量%の範囲で一定、ラインAの撹拌:周速2.0m/秒、処理時間90秒、ラインBの造粒:周速1.0m/秒、処理時間60秒、とした。
ここで、ラインAの処理量とは、ラインAで使用した焼結原料A群の量αとバインダーXの生石灰換算量βとの合計量Tを意味する(ラインBの処理量も同様)。
また、ラインAのバインダー濃度Cは、ラインAの処理量に対する生石灰換算量βの割合であり、以下の式で表される(ラインBのバインダー濃度Cも同様)。
(バインダー濃度C
=(バインダーXの生石灰換算量β)/(ラインAの処理量)×100 ・・・(1)
上記した生石灰換算量βについて、バインダーXとして生石灰(CaO)を使用する場合は、CaOの質量が生石灰換算量βとなるが、バインダーXとして消石灰(Ca(OH))を使用する場合は、Ca(OH)中のCaOの質量が生石灰換算量βとなる。なお、バインダーXの質量は、水分が0質量%の状態で測定した質量である(バインダーXも同様)。
ここで、得られた造粒物中のバインダー濃度(造粒物の質量に対するバインダーX、Xの合計質量の割合)は、例えば、0.5〜6質量%、である。
上記したように、ラインA、Bの全処理量での生石灰濃度を2質量%に固定して生石灰をラインA、Bへ振り分けるにあたり、ラインBの生石灰濃度Cを、4.0質量%、3.0質量%、2.0質量%、1.0質量%、0.6質量%、0.4質量%、0.2質量%、0.1質量%、にすると、これに対応して、ラインAの生石灰濃度Cが、0質量%、1.0質量%、2.0質量%、3.0質量%、3.4質量%、3.6質量%、3.8質量%、3.9質量%、となる。
このように、生石灰をラインA、Bへ振り分けることで、ラインA、Bの生石灰濃度C、Cが2.0質量%を超えるのは、ラインA、B全体の生石灰濃度が、以下の式で表されることによる。
(ラインA、B全体のバインダー濃度)
={(バインダーXの生石灰換算量β)+(バインダーXの生石灰換算量β)}
/{(ラインAの処理量)+(ラインBの処理量)}×100 ・・・(2)
上記した試験条件により得られた図4の試験結果について説明する。
図4に示すように、ラインAの生石灰濃度Cを増加させるに従い(C/Cを上昇させるに従い)、粉率が低下した。これは、以下の理由による。
ラインAでは、周速2.0m/秒で撹拌するため、添加した生石灰の消化(消石灰化)が促進され、微粒化し、水と共に微粉原料に均一に混ざり易くなる。ここで、生成した消石灰の一部については、水に溶解することでも、微粉原料に均一に混ざり易くなる。なお、微粉原料に、生石灰の代わりに、又は生石灰と共に、消石灰を添加する場合も同様であり、一部の消石灰が水に溶解して、微粉原料中に均一に混ざり易くなる。
このように、微粉原料に均一に混ざり易くなったものが、ラインBの供給物に供給されるため、ラインBに直接、生石灰や消石灰を添加する場合よりも、造粒性が向上するためと考えられる。
一方、ラインBの生石灰濃度Cが0.2質量%以下(C/Cが3.8/0.2=19.0以上)になると(ラインAの生石灰濃度Cが高くなると)、造粒性が大きく低下し、粉率が増大した(1.0以上)。これは、ラインAで消化し微粒化した生石灰や消石灰は、ラインAの微粉原料との混合物という形で供給されるため、ラインBの微粉原料と均一に混合されるまでに多くの時間を要するためと考えられる。
なお、上記した試験では、ラインBの焼結原料に難造粒性微粉原料を用いたが、易造粒性原料を用いた場合も同様の結果となった。
また、上記した試験では、ラインA、Bの全処理量での生石灰濃度を2質量%に固定した場合について説明したが、前記したように、得られた造粒物中のバインダー濃度を0.5〜6質量%の範囲で変更した場合についても、同様の傾向が得られた。
ここで、本発明の試験結果と、前記した特許文献1(特開平5−9601号公報)の記載内容との相違について、図5を参照しながら、更に詳しく説明する。
なお、図5には、本発明の試験結果を実線で、特許文献1の記載内容を点線で、それぞれ示している。
また、図5の試験条件は図4と同様である。
そして、図5の縦軸は、ラインAの生石灰濃度Cを0質量%とした場合の焼結生産性を「1.0」として、改善率(向上率)で表している。なお、焼結生産性は、焼成速度と歩留の積で表され、焼成速度の単位は(kg/分)、歩留の単位は(質量%)、で表される。
本発明と特許文献1とは、ドラムミキサーで処理する原料の一部を撹拌機で処理する点と、両ラインに生石灰を使用する点が、共通である。
また、特許文献1では、生石灰をトータル2%一定とした状態で、撹拌機を使用するラインAに生石灰を使用しない場合や、全量入れる場合と比較して、撹拌機を使用するラインAと、それ以外のラインBに同量ずつ入れる場合に生産性が改善することを報告している(即ち、図5の点線)。なお、特許文献1には、図4中に両ライン1%と記載してあり、全体で2%ととれる記載になっており、文意は不明瞭ではあるが(前記した式(1)、式(2)参照)、ここでは、明細書中のトータル2%一定という記述から、両ラインに2%配合と推定した。
しかしながら、本発明のように、独特の粒度分布を持つ原料を使用する場合は、生石灰の使用方法として、特許文献1と同様に、生石灰をトータル2%一定とした状態であっても、ラインAとラインBに同量ずつ入れるのではなく、図5に示すように、ラインAに過剰に入れることで(C/C>1)、水に溶けた生石灰や消石灰がラインBの造粒性を向上させることを、発明者らは初めて発見した。なお、造粒性を同等とする場合には、生石灰の使用量を低減することができる。
以上のことから、粉率を低減させ、焼結生産性の改善率を向上させるため、ラインAのバインダー濃度CとラインBのバイダンー濃度Cの比(C/C)を1超とし、かつバインダー濃度Cを0.2質量%超とした。
なお、バインダー濃度C、Cの比(C/C)を、1.1以上、更には1.2以上とすることで、またバインダー濃度Cを0.3質量%以上、更には0.4質量%以上とすることで、更に造粒性を向上させることができるため好ましい。
次に、ラインAとラインBの全処理量(合計量Tと合計量Tの和)に対するラインAの処理量(合計量T)が焼結生産性に及ぼす影響を、図6を参照しながら説明する。
この試験は、ラインAとラインBの処理量を変更したこと、及びラインA、Bの生石灰濃度C、Cの比(C/C)を2種類に固定したこと以外は、図5(図4)と略同様の試験条件で行った。なお、ラインA、Bの生石灰濃度C、Cの比(C/C)は、1(■印)とした場合と、2(◆印)とした場合の2種類について示している。
また、図6の縦軸は、図5に記載した焼結生産性と同様の指標であり、ラインA、Bの生石灰濃度C、Cの比(C/C)を1とした場合を「1.0」として、改善率で表している。
図6から明らかなように、ラインA、Bの生石灰濃度C、Cの比(C/C)を1超(ここでは2)とした場合、全処理量の一部をラインAで処理する(ラインA、Bの全体処理量に対するラインAの処理量を0質量%超とする)ことにより、焼結生産性を改善(焼結生産性:1.000超)できることがわかった(図6中の点線参照)。
特に、ラインA、Bの全体処理量に対するラインAの処理量を、10質量%から50質量%、更に90質量%へ増加するほど、改善率は大きくなる傾向を示した。なお、ラインAの処理量が90質量%を超えると、改善率の上昇傾向は小さくなった。
以上の結果から、ラインA、Bの全体処理量に対するラインAの処理量を、10質量%以上90質量%以下とすることが好ましい。
また、上記したラインAで得られた撹拌物と、ラインBの供給物とを合流させ、更に造粒して造粒物とした後、焼結機に装入するに際しては、凝結材も焼結機に装入している(例えば、焼結機に装入する全焼結原料に対して、外掛けで3〜6質量%程度)。
上記したように、凝結材は、最終的に焼結機に装入されればよいため、ラインA及びラインBのいずれか一方又は双方に添加(配合)できるが、ラインBに添加する方が好ましい。これは、撹拌を必須とするラインAに凝結材を添加した場合、凝結材の周囲に焼結原料が付着して酸化発熱現象を阻害する可能性があるためである。従って、ラインBに凝結材を添加する方が、凝結材の埋没を抑制でき、焼結現象に寄与できることによって、ラインBに添加する凝結材の割合を増やすほど、埋没の抑制効果が得られるためである。
ここで、凝結材を添加した造粒物を作製し、焼結生産性を検討した結果について説明する。
試験は、ラインAで得られた撹拌物(表1に示す難造粒性微粉原料「A」と生石灰を配合して撹拌した撹拌物50質量%)と、ラインBの供給物(表1に示す易造粒性原料「B3」と生石灰を配合した配合物50質量%)とを合流させ、造粒物とした後、吸引圧1000mmAq(9.8kPa)のラボ焼結機(80kg焼成)に装入し焼結させることで行った。なお、凝結材は、難造粒性微粉原料「A」と易造粒性原料「B3」の合計量に、外掛けで4質量%添加することを前提条件にして、ラインAとラインBへの添加量を種々変更した。
上記した試験結果を、図7に示す。
なお、図7の横軸は、ラインBへの凝結材の添加量を示しており、横軸「0質量%」は全て(上記した外掛けの4質量%)の凝結材をラインAに添加して造粒した場合を、また横軸「100質量%」は全ての凝結材をラインBに添加して造粒した場合を、それぞれ示している。また、図7の縦軸は、前記した焼結生産性を示しており、全ての凝結材をラインAに添加して造粒した場合の焼結生産性を「1.00」として、評価している。
図7に示すように、ラインBへの凝結材の添加量が、0質量%から増加すると共に、一定の勾配で焼結生産性は増加し、全体の30質量%を添加すると、焼結生産性は1.03となった。そして、凝結材の添加量が30質量%から更に増加すると共に、勾配は少し緩やかに変化するものの焼結生産性は増加し、60質量%添加すると焼結生産性は1.05となった。凝結材の添加量を60質量%から更に増加すると、焼結生産性への効果は概ね飽和するものの徐々に増加し、100質量%添加すると、焼結生産性は1.06まで上昇した。
これにより、凝結材の使用量削減や焼結鉱品質の向上に寄与できることがわかる。
以上のことから、本発明の焼結原料の事前処理方法を使用することで、バインダーの使用量増加を抑制し、焼結原料の造粒性を改善して、微粉原料の造粒を可能とし、更には、造粒物の崩壊を抑制して、焼結鉱の製造に使用できることを確認できた。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の焼結原料の事前処理方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。

Claims (2)

  1. 鉄鉱石として500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度の粉鉱石である微粉原料を用いる焼結原料A群と、1.0mmアンダーが50質量%以上の粒度を有する生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーXを、撹拌機に装入し、該撹拌機の撹拌羽根の周速を2m/秒以上にして撹拌するラインAと、
    鉄鉱石として前記粉鉱石と同一粒度又は異なる粒度の粉鉱石を用いる焼結原料B群と、1.0mmアンダーが50質量%以上の粒度を有する生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーXが供給されるラインBとを有し、
    前記ラインAで得られた撹拌物と、前記ラインBの供給物とを合流させた後、更に造粒して造粒物とする焼結原料の事前処理方法であって、
    前記焼結原料A群の量αと前記バインダーXの生石灰換算量βとの合計量Tに対する前記生石灰換算量βの割合であるバインダー濃度Cを、前記焼結原料B群の量αと前記バインダーXの生石灰換算量βとの合計量Tに対する前記生石灰換算量βの割合であるバインダー濃度Cで除した値を1超とし、かつ前記バインダー濃度Cを0.2質量%超とすることを特徴とする焼結原料の事前処理方法。
  2. 請求項1記載の焼結原料の事前処理方法において、少なくとも前記ラインBに凝結材が配合されていることを特徴とする焼結原料の事前処理方法。
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