JP6051883B2 - 焼結原料造粒物の乾燥方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、造粒処理した造粒物(ペレット)の乾燥温度を40〜250℃にし、造粒性及び強度を従来よりも向上させる造粒物の製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、ガス温度が150〜400℃となるように流動層を形成して造粒物を乾燥し、造粒物同士の衝突による崩壊を防止する方法が記載されている。
このように、上記した特許文献1、2のいずれも、造粒物の乾燥時の温度を高めることで、造粒物の強度を向上させている。
特許文献1に記載の方法は、造粒物の乾燥温度を40〜250℃としているため、乾燥温度が250℃に近づくに伴って造粒物が高温となり、造粒物表面の急激な乾燥によって造粒物が粉化する。このため、造粒物の強度が向上する一方、粉率が増加するため、焼結機(パレット内)での通気を阻害し、焼結生産性が低下する。
また、特許文献2に記載の方法は、造粒物同士の衝突による崩壊を抑制するために、ガス温度を150〜400℃としているので、造粒物の崩壊は抑制されるものの、上記した特許文献1と同様、造粒物表面の急激な乾燥により、造粒物表面からの粉化を抑制することができない。
なお、今後は、粉鉱石の劣質化に伴って、焼結原料中の微粉量が増加することも予想され、特に、鉄品位を上げる目的で、粉砕処理や選鉱処理された粉鉱石の増加が予想される。この粉鉱石は、他の鉱石と比較して微粉の比率が高い鉱石であり、また、造粒に有効な微粒子の含有率が低い難造粒性の粉鉱石(即ち、微粉原料)であるため、上記した問題が更に顕著になる。
従って、造粒物の強度発現(崩壊防止)と粉化抑制を同時に達成することができる。
まず、本発明に想到した経緯について説明する。
はじめに、生石灰や消石灰による鉄鉱石からなる粉鉱石(以下、焼結原料ともいう)の造粒メカニズムについて説明する。
生石灰は、混練や造粒中に水と接触することで一部が吸湿し消化(消石灰化)して微粒化し、水と共に粉鉱石に均一に混ざり易くなるものであると考えられる。なお、生石灰としては、CaOが例えば84質量%以上のものが多用されている。
ここで、生成した消石灰の一部については、水に溶解することでも、粉鉱石に均一に混ざり易くなる。
なお、粉鉱石に、生石灰の代わりに、又は生石灰と共に、消石灰を添加する場合も同様であり、一部の消石灰が水に溶解して、粉鉱石中に均一に混ざり易くなる。
従って、極力多くの生石灰を消化させること、生成する消石灰の粒径を小さくすること、極力多くの消石灰を造粒水に溶解させること、等で、造粒に寄与する消石灰を多量に生成させて、この生成する消石灰を粉鉱石全体に分散させ(マクロに分散させ)、粉鉱石の粒子表面に極力付着させる(ミクロに分散させる)こと、が重要となる。
上記したことから、粉鉱石のうち、特に難造粒性を有する微粉原料と、その他の原料(例えば、造粒が容易な易造粒性原料)を混合する場合は、難造粒性の微粉原料に対して、粒径を小さくする処理を施した生石灰や消石灰の添加や、その添加量を多くすること等も重要となる。
従って、上記した生石灰や消石灰に、炭酸カルシウムは含まれない。
以上のことから、粉鉱石に対して炭酸カルシウムを添加した場合、造粒性の改善が小さいのに対し、粉鉱石に対して生石灰や消石灰を添加した場合は、造粒性が著しく改善することを、本発明者らは初めて発見した。
これは、生石灰が水と接触することにより微粒化し、更に生成した消石灰(添加した消石灰)の一部が水に溶解することで、粉鉱石に均一に混ざり易くなり、固体架橋によって粉鉱石の造粒性向上や造粒物の強度向上に大きく寄与したためと考えられる。
造粒対象は、粉鉱石であれば特に限定されるものではないが、粉鉱石のうち、500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度である微粉原料であれば、本発明の効果がより顕著になる。
上記した微粉原料は、篩目10μmアンダーの粒子(微粒子)が5質量%以下と極めて少なく、500μmアンダーの粒子が50質量%以上と非常に多い、難造粒性を示す原料である。この微粉原料が通常の鉄鉱石と異なる点は、10μmアンダーの微粒子が極めて少ない点であり、例えば、鉄鉱石の粉砕処理と水による比重選鉱処理を繰り返すことで、この特徴が得られることがわかった。
ここで、鉄鉱石として少なくとも1種又は複数種の粉鉱石(微粉原料の場合を含む)を含むものが焼結原料であり、この焼結原料に、副原料(成分調整用原料)や凝結材(例えば、コークス粉や石炭粉等)が含まれるか否かは任意であり、本実施の形態での焼結原料とは、生石灰と消石灰(バインダー)を含まないものをさす。なお、焼結原料に副原料や凝結材が含まれる場合、焼結原料中の副原料と凝結材の合計量が質量比で30質量%以下程度(焼結原料中の鉄鉱石量:例えば、焼結原料の70〜100質量%程度)となるように、鉄鉱石に副原料と凝結材を添加する場合があるが、焼結原料の造粒性や造粒物の強度は、これらの添加量では改善しにくい。
しかし、上記したように、微粉原料中には、この空間を充填する10μmアンダーの微粒子が極めて少ないため、微粉原料は空間を内包したまま造粒され、造粒物の強度が極めて低くなる。このため、たとえセルロース等の粘着質のバインダーを用いて微粉原料を造粒し、隣接する微粉原料の粒子同士を粘着できたとしても、造粒物内部には空間が残留するため、造粒物の強度を向上しにくい。
上記状況において、粉鉱石、特に難造粒性を示す微粉原料の造粒に用いるバインダーには、10μmアンダーの微粒子を供給でき、上記した空間を充填できるものが好ましいことに想到した。
これは、上記したように、例えば、微粉原料の粒径が10μmオーバーかつ500μmアンダー程度の大きさに概ね揃っており、一般には広範囲な粒度分布を持つことで混練による原料の混合が進むため、粒子が微粒化せず溶解もしないベントナイトや炭酸カルシウム等を添加しても分散が進まないものと考えられ、この観点からも、別の手段で10μmアンダーの微粒子を添加することが好ましいと考えられた。
以上のことから、本発明者らは、粉鉱石、特に500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度である微粉原料を用いる焼結原料を造粒するに際し、混練や造粒を容易化するバインダーとして、生石灰と消石灰に想到した。なお、焼結パレットに入れる焼結原料は混練を行わない場合もある。
しかし、造粒物を流動層式乾燥機で乾燥するに際しては、造粒物の急激な温度上昇が乾燥後の粉率に影響することを、本発明者らは種々の実験により初めて明らかにした。
詳細には、乾燥後の粉化率は、乾燥中(乾燥後)の造粒物の表面水分によって決まる。また、この乾燥中の造粒物の表面水分は、造粒後の造粒物の温度に影響する。
そこで、本発明者らは、造粒物の温度を規定することで、造粒物の強度発現と粉化抑制を両立することに想到した。
以下、詳しく説明する。
試験は、500μmアンダーが50質量%かつ10μmアンダーが5質量%の粒度である微粉原料(難造粒性微粉原料)に、生石灰(バインダー)を外掛けで2質量%添加し、これを万能ミキサー(自転する撹拌羽根の軸を公転させる竪型ミキサー:撹拌機)で撹拌した後、ドラムミキサー(造粒機)で造粒処理して、平均粒径(質量基準のメジアン径)が3〜10mmの造粒物を製造することで行った。そして、この製造した造粒物のうち、粒径が4.75〜6.8mm(篩目4.75mmオーバー、かつ、篩目6.8mmアンダー)の造粒物を選択し、これを以下の試験で使用した。
なお、造粒物の水分量(質量%)は、製造した造粒物(2kg)の水分がなくなる(0質量%となる)まで150℃で乾燥し、蒸発した水分の質量(乾燥前後の造粒物の質量差)を、乾燥後の造粒物の質量で除すこと(乾燥状態の造粒物に対する外掛け)で求めた。
また、周速は、万能ミキサーとドラムミキサーにおいて、回転するもの(羽根、ドラム等)で、一番速い部分の速度を意味する。
そして、水分量を1〜6質量%に調整した篩目4.75mmオーバー(以下、+5mmとも記す)の各造粒物(乾燥時に発生した篩目4.75mmアンダーの分を取り除いた造粒物)を、1.5mの高さ位置からコンクリート製の床に5回落下させ、篩いによって4.75mmオーバー(+5mm)の残存率を求めた。なお、残存率(質量%)は、落下後の4.75mmオーバー(篩上)の造粒物の質量を、落下させた全造粒物の質量で除すことで求めた。つまり、4.75mmオーバーの残存率が高いほど、造粒物が崩壊しにくいことを意味し、造粒物の強度が高いことを示している。
なお、この傾向は、上記した難造粒性微粉原料を除いた焼結原料である易造粒性原料、即ち、500μmアンダーが50質量%未満かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度を有する原料、500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%超の粒度を有する原料、500μmアンダーが50質量%未満かつ10μmアンダーが5質量%超の粒度を有する原料を使用した場合でも、同様であった。また、生石灰の代わりに、又は生石灰と共に、消石灰を添加した場合も同様の傾向であった。
以上のことから、流動層式乾燥機の出側(直後)における造粒物の水分量を、外掛けで4質量%(好ましくは3.7質量%、更に好ましくは3.5質量%)以下とした。
試験は、前記した方法で製造した粒径が4.75〜6.8mmの造粒物を、流動層式乾燥機で乾燥させ、乾燥後の造粒物の温度が40〜100℃となるように、乾燥ガスの温度を調整すると共に、乾燥後の水分量が1質量%となるように、乾燥時間を調整した。
なお、流動層式乾燥機においては、乾燥中の造粒物の温度を、乾燥機の出側の温度で代表させることができるので、乾燥機の出側での造粒物の温度を、乾燥温度の指標として、図2の横軸に用いた。
図2から、乾燥後の造粒物の粉率は、乾燥後の造粒物の温度変化により変動し、造粒物の温度が50℃以上80℃以下の範囲で、低い粉率(9.5質量%以下)を示すことがわかった。
上記した傾向は、前記した易造粒性原料を使用した場合でも、また、生石灰の代わりに、又は生石灰と共に、消石灰を添加した場合でも、同様であった。
以上のことから、流動層式乾燥機の出側(直後)における造粒物の温度を、50℃以上80℃以下(好ましくは、下限を55℃、上限を75℃)とした。
試験は、種々の粒度構成の原料を用い、前記した方法で製造した粒径が4.75〜6.8mmの造粒物を、流動層式乾燥機で乾燥させ、乾燥後の造粒物の温度が70℃又は100℃となるように、乾燥ガスの温度を調整すると共に、乾燥後の水分量が1質量%となるように、乾燥時間を調整した。
ここで、使用した原料の粒度構成を、表1に示す。
上記した傾向は、生石灰の代わりに、又は生石灰と共に、消石灰を添加した場合でも、同様であった。
なお、500μmアンダーの上限値を規定していないのは100質量%でもよく、また10μmアンダーの下限値を規定していないのは0質量%でもよいためである。
試験は、前記した方法で、500μmアンダーが50質量%かつ10μmアンダーが5質量%の粒度である微粉原料を用いて製造した粒径が4.75〜6.8mmの造粒物を、流動層式乾燥機で乾燥させ、乾燥後の造粒物の温度が70℃となるように、乾燥ガスの温度を調整すると共に、乾燥後の水分量が0.5〜4質量%となるように、乾燥時間を調整した。
これは、造粒物の水分量が1質量%の場合、造粒物の表面が乾燥し易いため、造粒物が粉化し易くなることによると考えられる。
上記した傾向は、前記した易造粒性原料を使用した場合でも、また、生石灰の代わりに、又は生石灰と共に、消石灰を添加した場合でも、同様であった。
以上のことから、流動層式乾燥機の出側(直後)における造粒物の水分量を、外掛けで1質量%以上、好ましくは2質量%以上とした。
以上のことから、本発明の焼結原料造粒物の乾燥方法を用いることで、乾燥による造粒物の強度向上効果を維持しつつ、造粒物表面からの粉化を抑制し、乾燥後の粉率を低減できることを確認できた。
Claims (3)
- 鉄鋼製造に用いる焼結原料に、生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーを加えて造粒し、該造粒物を乾燥させた後、焼結パレットに装入して焼結鉱を製造する際に、前記乾燥は流動層式乾燥とし、該流動層式乾燥に使用する流動層式乾燥機の出側における前記造粒物の温度を50℃以上80℃以下にし、かつ前記造粒物の水分量を外掛けで1質量%以上4質量%以下(但し、0.5〜1.0質量%を除く)にすることを特徴とする焼結原料造粒物の乾燥方法。
- 請求項1記載の焼結原料造粒物の乾燥方法において、前記焼結原料に、鉄鉱石として500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度である微粉原料を用いることを特徴とする焼結原料造粒物の乾燥方法。
- 請求項1又は2記載の焼結原料造粒物の乾燥方法において、前記造粒物の水分量の下限を、更に、外掛けで2質量%にすることを特徴とする焼結原料造粒物の乾燥方法。
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