JP5058715B2 - 焼結用原料の事前処理方法 - Google Patents

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本発明は、焼結用原料の事前処理方法に関する。
近年、鉄鉱石の劣質化に伴い、微粉を多く含む鉱石が増加している。代表的な鉱石としては、結晶水を3質量%以上含む褐鉄鉱(高結晶水鉱石ともいう)が挙げられるが、これに限らず、赤鉄鉱でも、微粉を多く含む鉱石として、例えば、ヤンピー鉱石、リオドセ鉱石、及びデンポー鉱石などがある。
微粉を多量に含むこれらの鉱石をそのまま焼結機に装入すると、通気性が悪くなって焼結鉱の生産性を阻害するため、造粒水分量を高めて造粒処理を行うことで、鉱石の造粒性を改善することが指向されている。
具体的な方法として、例えば、図6に示すように、ドラムミキサー90によって原料を転動させ、核となる粒子の周囲に微粉を付着させ、造粒物の微粉の付着厚みを、水添加装置91から添加される水分量によって調整する方法がある。しかし、この造粒物は、ベルトコンベア92で搬送され、供給装置93を介して焼結機94に直送されるため、造粒物を造粒する際の水分値を増加させると、焼結機94に多量の水分が持ち込まれることとなり、焼結機94での焼結鉱の生産性を著しく阻害することとなる。
特に、高結晶水鉱石は、表層部に微細な気孔が多数あいているため、通常の造粒処理で使用する水分量では造粒しづらく、水分量を高めに設定する必要がある。
しかし、過剰な水分を有する造粒物を焼結機へ装入した場合には、焼結過程において造粒物が焼成する前に、造粒物の温度が上昇して水分が蒸発し造粒物が壊れ易く、また造粒物の未焼成部へ移動してくる蒸気が凝縮するため、焼結機内の通気性が阻害される問題がある。更に、凝縮した多量の水分は、焼結過程で発生する例えばSOxガスの吸引ダクトへ流れ込むが、このSOxガスが水分に溶け込み、排ガス処理系の設備腐食などの問題を引き起こす。
そこで、鉱石の造粒強化と水分抑制の両立を図る技術が必要となってきた。
例えば、特許文献1には、一旦造粒した原料を焼結機に装入するまでの間に、ガス乾燥する技術が開示されている。また、特許文献2には、微粉原料を主体とする原料の一部を選別し造粒して乾燥し、他の造粒物と共に焼結機に装入する技術が開示されている。
特開2006−336064号公報 特開2007−77512号公報
しかしながら、前記従来の焼結用原料の事前処理方法には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1に開示された方法は、原料全体を7.5〜9.0質量%の水分で造粒した後、焼結機へ装入するまでの間に乾燥して、水分を0.2〜2質量%減少させる方法である。
しかし、この方法は、水分のみによって核粒子の周囲に微粉を付着させる造粒物(いわゆるS型造粒物)の擬似粒子を対象とし、これを熱風等により直接乾燥する方法であることから、造粒物の崩壊が生じ易く、また乾燥による水分の低減代が0.2〜2質量%に留まるなど、その効果が不十分である。
また、特許文献2に開示された方法は、核粒子に微粉を付着させて造粒物S(即ち、S型造粒物)を製造する第1の造粒装置と、微粉主体の原料を抽出分離し、破砕、混練、造粒、及び乾燥の各種処理を施して、強固な造粒物P(即ち、P型造粒物)とする第2の造粒装置を備え、これら造粒物Sと造粒物Pを合わせて焼結機に装入することで、通気を阻害する微粉量の低減、及びカーボンの酸化発熱性を阻害する付着微粉厚みの低減により生産性向上を図る方法である。
しかし、第1の造粒装置における造粒用水分の適正化、及び乾燥した造粒物を活用した最終の装入原料の水分適正化については記載がなく、更なる生産性向上の余地が残っている。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来よりも多量の微粉を含む鉄鉱石の原料に対応可能で、通気性と酸化発熱性に優れた造粒物を製造し、焼結生産性を向上可能な焼結用原料の事前処理方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る焼結用原料の事前処理方法は、それぞれ粗粒及び微粉を含む2種以上の鉄鉱石を原料とし、核粒子となる粗粒に微粉を付着させて造粒物Sを製造する第1の造粒装置と、微粉のみで又は微粉を主体として水とバインダーの存在下で造粒して造粒物Pを製造する第2の造粒装置を備え、前記造粒物S及び前記造粒物Pを用いる焼結用原料の事前処理方法であって、
前記第1の造粒装置に供給する前記鉄鉱石は、500μmアンダーの微粉の質量割合が5質量%以上40質量%以下であり、
前記造粒物Sを造粒する際の水分値を7質量%以上10質量%以下とした後、該造粒物Sと乾燥処理後の前記造粒物Pを焼結機に供給するに際し、該造粒物Sと該造粒物Pを合わせた造粒物の平均水分値を、前記造粒物Sのみの水分値よりも0を超え3質量%以下低減させる水分値を有する乾燥処理後の前記造粒物Pを用いる。
発明に係る焼結用原料の事前処理方法において、前記第1の造粒装置に供給する予定の前記鉄鉱石から500μmアンダーの微粉を含む鉄鉱石を篩分けで分離し、得られた篩下を前記第2の造粒装置に供給することが好ましい。
本発明に係る焼結用原料の事前処理方法において、前記第2の造粒装置に供給する予定の前記鉄鉱石から500μmオーバーの粗粒を含む鉄鉱石を篩分けで分離し、得られた篩上を前記第1の造粒装置に供給することが好ましい。
本発明に係る焼結用原料の事前処理方法において、乾燥処理後の前記造粒物Pの水分値は、0又は0を超え5質量%以下であることが好ましい。
本発明に係る焼結用原料の事前処理方法において、前記原料の一部又は全部に、結晶水含有率が3質量%以上の高結晶水鉱石を用いることが好ましい。
請求項1〜記載の焼結用原料の事前処理方法は、造粒物Sを造粒する際の水分値を、従来よりも高めの7質量%以上10質量%以下に設定するので、擬似粒子に取り込まれにくい500μmアンダーの粒子(微粉)を、擬似粒子中に極力取り込むことができる。これにより、造粒物Sの焼成時に通気を阻害する微粉が一層低減され、焼結鉱の生産性が向上する。
また、微粉のみ又は微粉を主体とする造粒物Pは、水とバインダーにより強固に造粒されるため、その後の乾燥処理により、水分値を自在に調整することが可能である。これにより、造粒物Sと乾燥処理後の造粒物Pを合わせた際に、その平均水分値を造粒物Sのみの水分値より低減することが可能となり、特に0を超え3質量%以下低減させる水分値を有する乾燥処理後の造粒物Pを用いることで、より一層焼結生産性を改善できる。
このように、造粒物Sの水分値の低減は、造粒物Sの水分を造粒物Pが吸収することにより行われるため、造粒物Sに熱風を直接吹き付ける乾燥方法に比べ、造粒物Sの崩壊を極めて抑制することが可能であり、しかも造粒物Sの水分値の低減を迅速に行え、焼結生産性の向上に効果的である。
更に、造粒物Sに対して造粒物Pを直接接触させ、造粒物Sの水分を造粒物Pに吸収させる本発明は、造粒物Sを高温雰囲気下で熱風を直接吹き付けない乾燥方法と比べても、造粒物Sの水分値を短時間で低減できる。
特に、請求項記載の焼結用原料の事前処理方法は、第1の造粒装置に供給する鉄鉱石の500μmアンダーの微粉の質量割合を5質量%以上40質量%以下にするので、造粒されない微粉量を低減しながら、核粒子表面への微粉の付着厚みが過剰に厚くなることを防止できる。これにより、焼結生産性を更に向上できる。
請求項記載の焼結用原料の事前処理方法は、第1の造粒装置に供給する予定の鉄鉱石から微粉を含む鉄鉱石を篩分けて分離するので、造粒物Sの微粉付着厚さを最適化でき、焼結生産性を向上できる。また、分離された篩下を第2の造粒装置に供給するので、これを造粒物Pを製造するための原料として有効利用できる。
請求項記載の焼結用原料の事前処理方法は、第2の造粒装置に供給する予定の鉄鉱石から粗粒を含む鉄鉱石を篩分けて分離するので、造粒物Pの粒度調整を最適化でき、焼結生産性を向上できる。また、分離された篩上を第1の造粒装置に供給するので、これを造粒物Sを製造するための原料として有効利用できる。
請求項記載の焼結用原料の事前処理方法は、乾燥処理後の造粒物Pの水分値を、0又は0を超え5質量%以下とするので、造粒物Sの水分値を、通常よりも高めに設定した場合でも、過剰となる造粒物Sの水分を造粒物Pが効率よく吸収できる。
請求項記載の焼結用原料の事前処理方法は、原料の一部又は全部に、結晶水含有率が3質量%以上の高結晶水鉱石を用いるので、表層部に微細な気孔があり、通常使用する水分値では造粒しづらく、使用する水分値を高めに設定する必要がある高結晶水鉱石を使用する場合においても、造粒物Sの過剰な水分を造粒物Pが吸収できる。このため、本発明の効果が、より顕著に現れる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る焼結用原料の事前処理方法の説明図、図2は第1の造粒装置で製造した造粒物Sの造粒用水分量と造粒後に残存する500μmアンダーの微粉割合との関係を示すグラフ、図3は同造粒物Sの造粒用水分量と核粒子周囲の微粉付着厚みとの関係を示すグラフ、図4は同造粒物Sの造粒用水分量と生産性指数との関係を示すグラフ、図5は水分値と500μmアンダーの微粉割合との関係を示すグラフである。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る焼結用原料の事前処理方法は、それぞれ粗粒及び微粉を含む2種以上の鉄鉱石を原料とし、核粒子となる粗粒に微粉を付着させて造粒物S(以下、S型造粒物ともいう)を製造するS型ドラムミキサー(第1の造粒装置の一例)10と、微粉のみで又は微粉を主体として水とバインダーの存在下で造粒して造粒物P(以下、P型造粒物ともいう)を製造するP型ドラムミキサー(第2の造粒装置の一例)11を備え、造粒物S及び造粒物Pを用いて焼結する場合の事前処理の方法である。なお、微粉粒子の質量%の測定に際しては、レーザー回折散乱法の測定機器(日機装株式会社製 MICROTRAC FRA型、測定範囲:0.1〜700μm)を用いている。以下、詳しく説明する。
原料に使用する鉄鉱石は、例えば、結晶水を3質量%以上含む褐鉄鉱(Fe・nHO)、及び微粉を多く含む赤鉄鉱(Fe)等がある。なお、鉄鉱石は、その一部に褐鉄鉱を使用するが、全てを褐鉄鉱としてもよい。
ここで、褐鉄鉱としては、例えば、マラマンバ鉱石(産地銘柄:ウエストアンジェラス)、豪州ピソライト鉱石(産地銘柄:ヤンディ、ローブリバー)、及び高燐ブロックマン鉱石等の高結晶水鉱石がある。また、赤鉄鉱としては、例えば、ヤンピー鉱石、リオドセ鉱石、及びデンポー鉱石等がある。
また、鉄鉱石はこれに限定されるものではなく、粗粒と微粉を含む鉄鉱石であれば、他の鉄鉱石として磁鉄鉱(Fe)を使用することも可能である。また、これらの鉄鉱石に、他の鉄源、例えば、製鉄所内で発生する鉄源等を加えることで、原料を構成することも、勿論可能である。
この原料は、例えば、10mm程度の粗粒から250μm以下の微粉までを有している。
まず、上記した原料を、篩選別機12により篩分ける。
この篩分けは、S型ドラムミキサー10に供給する鉄鉱石の500μmアンダーの微粉の質量割合が5質量%以上40質量%以下(好ましくは、30質量%以下)となるように行うことが好ましい。この方法としては、以下に示す方法がある。
(1)S型ドラムミキサー10に供給する予定の鉄鉱石から、500μmアンダーの微粉を含む鉄鉱石を篩分けで分離し、得られた篩下をP型ドラムミキサー11に供給する。このとき、篩分けを実施しないで微粉を含む鉄鉱石を、P型ドラムミキサー11へ供給する原料の一部に使用してもよい。なお、この篩分けは、例えば、0.5mm以上3mm以下の範囲のしきい値で篩分けることが好ましい。
(2)P型ドラムミキサー11に供給する予定の鉄鉱石から、500μmオーバーの粗粒を含む鉄鉱石を篩分けで分離し、得られた篩上をS型ドラムミキサー10に供給する。このとき、篩分けを実施しないで粗粒を含む鉄鉱石を、S型ドラムミキサー10へ供給する原料の一部に使用してもよい。なお、この篩分けは、1mm以上10mm以下の範囲のしきい値で篩分けることが好ましい。
上記した(1)、(2)の方法は、いずれも篩選別機12を使用しているが、篩選別機12を使用することなく、鉄鉱石をS型及びP型ドラムミキサー10、11にそれぞれ供給することもできる。
この場合、500μmアンダーの微粉の割合が40質量%以下の鉄鉱石を、S型ドラムミキサーに供給し、微粉の割合が高い鉄鉱石を、P型ドラムミキサーに供給する。
なお、上記したS型ドラムミキサーとP型ドラムミキサーの代わりに、例えば、アイリッヒミキサー、ディスクペレタイザー、又はプロシャミキサー等を使用してもよい。
以上に示した方法を使用し、S型造粒工程で、S型ドラムミキサー10に供給された原料Sを用いて造粒物Sを製造し、P型造粒工程で、P型ドラムミキサー11に供給された原料Pを用いて造粒物Pを製造し、この造粒物Sと造粒物Pを、供給装置13を介して焼結機14に供給する。
上記した造粒物Sは、S型ドラムミキサー10に、鉄鉱石、凝結材であるカーボン、及び石灰石(バインダー)を有する原料Sを供給し、更に水分添加装置15から水分を供給して、核粒子となる粗粒の鉄鉱石の周囲に、微粉の鉄鉱石、カーボン、及び石灰石を付着させて製造する。
この造粒物Sは、造粒が終了した後、ベルトコンベア(搬送手段の一例)16で搬送されて焼結機14に直送されるため、造粒用水分値を増加させると、焼結機14に多量の水分が持ち込まれることとなり、焼結機14での焼結鉱の生産性を著しく阻害することとなる。
そこで、造粒物Sを造粒する際の水分値(以下、造粒用水分ともいう)を、7質量%以上10質量%とする。
なお、造粒物Sを造粒する際の水分値(図1中の点P1での水分値)は、S型ドラムミキサー10に供給された全質量を100質量%とし、このうちの原料S(即ち、鉄鉱石、カーボン、及び石灰石)に初期から含まれる水分と、造粒のために水分添加装置15から添加した水分との合計質量が占める割合で示される。
ここで、S型ドラムミキサー10に供給された全質量とは、S型ドラムミキサー10に供給される原料Sと、この原料Sに初期から含まれる水分と、造粒のために水分添加装置15から添加した水分(液体バインダーを使用する場合はその液体バインダーを含める)である。また、上記した水分の合計質量からは、鉄鉱石の結晶水と、液体バインダーを使用する場合はその水分量が除かれている。
また、上記した造粒物Pは、混練機17に、微粉のみ又は微粉を主体とする鉄鉱石を有する原料Pと、水分及びバインダー添加装置18から水分とバインダーを添加して混合した後、P型ドラムミキサー11で造粒して製造する。この造粒物Pの大きさは、焼結時の焼結性や通気性の観点から、例えば、3mm以上10mm以下がよい。
なお、鉄鉱石は、粉砕機19で粉砕処理して使用しているが、その粒径に応じて、粉砕処理することなく、そのまま使用してもよい。ここで、粉砕処理を行う場合は、粒径22μmアンダーのものが5質量%以上となるように行うことが好ましい。この粉砕後の微粉量の増加は、造粒物Pの更なる強度向上に繋がり、造粒後に行う乾燥処理時の造粒物Pの崩壊の抑制に効果があるためである。
また、原料Pには、例えば、混練ダスト及びペレットフィード等を混ぜてもよい。
そして、造粒物Pを造粒する際の水分値は、例えば、8質量%以上11質量%以下とする。
なお、造粒物Pを造粒する際の水分値は、P型ドラムミキサー11に供給された全質量を100質量%とし、このうちの原料P(鉄鉱石を主体)に初期から含まれる水分と、造粒のために水分及びバインダー添加装置18から添加した水分(液体バインダーを使用する場合はその液体バインダーを含める)との合計質量が占める割合である。
ここで、P型ドラムミキサー11に供給された全質量とは、P型ドラムミキサー11に供給される原料Pと、この原料Pに初期から含まれる水分と、造粒のために水分及び添加装置18から添加した水分である。なお、上記した水分の合計質量からは、鉄鉱石の結晶水と、液体バインダーを使用する場合はその水分量が除かれている。
この造粒物Pを造粒するために使用するバインダーとしては、例えば、分散剤、粘着性バインダー、又は生石灰を使用できる。以下、各バインダーの添加量について説明する。
バインダーとして分散剤を用いる場合、分散剤の固形分(有効成分)量を、原料Pの量に対して0.001質量%以上1質量%以下(好ましくは、下限を0.005質量%、上限を0.5質量%)の範囲内とすることが好ましい。
また、バインダーとして粘着性バインダーを用いる場合、原料Pの量に対して0.1質量%以上5質量%以下(好ましくは、下限を0.05質量%、上限を3質量%)の範囲内とすることが好ましい。この粘着性バインダーは、粘着性バインダー自体の粘着性により、粒子同士を結合させるものであり、例えば、ベントナイト、リグニン亜硫酸塩(パルプ廃液)、澱粉、砂糖、糖蜜、水ガラス、セメント、ゼラチン、コーンスターチ等がある。
そして、バインダーとして生石灰を用いる場合、原料Pの量に対して0.1質量%以上2質量%以下(好ましくは、下限を0.5質量%、上限を1.5質量%)の範囲内とすることが好ましい。
この造粒物Pを、更に乾燥機20で乾燥処理した後、焼結機14に供給する。
ここで、乾燥処理後の造粒物Pの水分値(図1中の点P2での水分値)は、例えば、乾燥時間、乾燥時のガス温度、又は造粒物Pの大きさ等により調整できるが、0又は0を超え5質量%以下程度であることが好ましい。なお、乾燥機20による乾燥処理は、40℃以上250℃以下に設定された雰囲気中で、例えば、20〜60分間程度行う。
乾燥処理後の造粒物Pの水分値は、P型ドラムミキサー11に供給される原料Pと、乾燥処理後も造粒物P中に残存する水分の質量の合計値を100質量%とし、このうちの原料P中に残存する水分の質量が占める割合である。なお、この残存する水分の質量からは、鉄鉱石の結晶水が除かれている。
このように、造粒物Pは、微粉を水分とバインダーを用いて造粒していることから、強固な造粒物となり、前記した造粒物Sとは異なり、熱風による乾燥を行った場合でも崩壊することがない。このため、乾燥処理後の造粒物Pの水分値は、自在に調整できる。
以上の方法により製造した造粒物Sと造粒物Pを、焼結機14に供給する。なお、造粒物Sと造粒物Sは、別々に焼結機14に供給してもよく、また造粒物Sと造粒物Pを合わせた後に、焼結機14に供給してもよい。
このように、造粒物Sと造粒物Pは焼結機14に供給されるが、焼結時、焼結ベッド内下部への水分凝縮に伴う通気性悪化による生産性阻害や、排ガス中の水分上昇に伴う排ガス量増加、排ガス系統の腐食などの懸念がある。このため、焼結機14に供給される水分は、できるだけ低減することが望まれる。
この方法として、乾燥処理した造粒物Pを造粒物Sと合わせる際、造粒物Pの低減した水分値によって、混合後の造粒物の平均水分値を低減する操作が考えられるが、造粒物Sの崩壊を抑制できる範囲に止める必要がある。
そこで、前記したように、造粒物Sを造粒する際の水分値を7質量%以上10質量%以下とした後、造粒物Sと造粒物Pを焼結機14に供給するに際し、造粒物Sと造粒物Pを合わせた造粒物の平均水分値を、造粒物Sのみの水分値よりも、0を超え3質量%以下低減させる水分値を有する乾燥処理後の造粒物P(水分値:0又は0を超え5質量%以下が好ましい)を用いる必要がある。
上記した造粒物の平均水分値(図1中の点P3での水分値)は、S型ドラムミキサー10に供給された全質量と、P型ドラムミキサー11に供給される原料Pの質量と、乾燥処理後も造粒物P中に残存する水分の質量の合計質量を100質量%とし、この造粒物中に含まれる水分の占める割合を示している。この造粒物中に含まれる水分とは、原料S(即ち、鉄鉱石、カーボン、及び石灰石)に初期から含まれる水分と、造粒のために水分添加装置15から添加した水分と、原料P中に残存する水分の合計水分である。なお、上記した合計水分からは、鉄鉱石の結晶水と、液体バインダーを使用する場合はその水分量が除かれている。
ここで、造粒物Sを造粒する際の水分値、乾燥処理後の造粒物Pの水分値、及び造粒物Sと造粒物Pを合わせた造粒物の平均水分値を、前記した数値範囲に規定した理由について説明する。
まず、第1の造粒装置における造粒物Sの造粒挙動について、造粒する際の水分値(造粒用水分量)と、造粒後に残存する500μmアンダーの微粉割合との関係を示す図2を参照しながら説明する。なお、図2には、500μmアンダーの微粉の割合を20質量%、30質量%、及び40質量%に、それぞれ調整した結果を示している。また、第1の造粒装置にはS型ドラムミキサーを使用した。
図2に示すように、造粒用水分量を次第に増加させながら造粒することで、造粒後に残存する500μmアンダーの微粉割合が低減した。これは、造粒用水分量を高めることで、500μmアンダーの微粉が核粒子の周囲に付着し、造粒処理に使用されなかった500μmアンダーの微粉量が減少するためである。
また、S型ドラムミキサーに供給する原料S中の500μmアンダーの微粉割合を低下させることで、造粒用水分量が同一の場合には、造粒後に残存する微粉割合が一層低減した。これは、使用する微粉量が少なくなれば、残存する微粉割合も当然に減少するためである。
次に、第1の造粒装置における造粒物Sの造粒挙動について、造粒する際の水分値(造粒用水分量)と、核粒子周囲の微粉付着厚みとの関係を示す図3を参照しながら説明する。なお、図3には、500μmアンダーの微粉の割合を20質量%、30質量%、及び40質量%に、それぞれ調整した結果を示している。また、第1の造粒装置にはS型ドラムミキサーを使用した。
図3に示すように、造粒用水分量を次第に増加させながら造粒することで、核粒子周囲に付着する微粉の厚みが増大した。これは、造粒用水分量を高めることで、500μmアンダーの微粉が核粒子の周囲に付着し易くなり、付着厚みが厚くなるためである。
また、S型ドラムミキサーに供給する原料S中の500μmアンダーの微粉割合を低下させることで、造粒用水分量が同一の場合には、核粒子周囲に付着する微粉の厚みが薄くなった。これは、使用する微粉量が少なくなれば、微粉の付着量も当然に減少するためである。
なお、上記した造粒物Sの微粉の付着厚みは、以下の手順で算出した。
(1)まず、対象原料を水洗などによって、微粉や粗粒等の各粒子に完全に分離し、5mm、2mm、1mm、0.5mm、0.25mmの篩目の篩い順で、篩下を篩分けていき、各粒度区間の質量比率を求めた(全体を100gとした場合の各粒度区間の質量g)。
(2)各粒子となる5mm以上、5mm未満2mm以上、及び2mm未満1mm以上の各区間の代表粒子径(それぞれ7.5mm、3.5mm、1.5mm)を決めて、全体を100gとした場合の各粒度区間質量比率から、代表粒径ごとの核粒子の個数を計算した。その際、核粒子密度を4g/cmとした。
(3)核粒子への付着粉となる0.25mm以下の微粉を、上記の各核粒子区間ごとに分配するに際し、上記の各核粒子区間の核粒子質量比率に比例させて、各核粒子区間に分配する微粉質量を決定した。
(4)前記(2)で算出した核粒子の各区間代表粒子径の粒子個数と、(3)で算出決定した分配する微粉質量から、各核粒子の付着厚さを計算した。その際、付着粉層の嵩密度を2g/cmとした。
(5)そして、各核粒子区間の付着粉厚さを、各粒度区間質量比率で加重平均し、微粉付着平均厚さとした。
以上に示した造粒処理の結果を使用し、焼結鉱の生産性(焼結生産性)を評価した結果について、図4を参照しながら説明する。
なお、図4の生産性指数とは、造粒物Sに第2の造粒装置で造粒した造粒物Pを混入させ、実機用の焼成試験装置を用いて、焼成速度(kg/時間)と粉砕後の焼結鉱の粒径が6mmアンダーのものを除いた製品歩留(質量%)を求め、これらを乗じて算出した値である。
ここで、乾燥処理後の造粒物Pの水分値は、造粒物Sと造粒物Pを合わせた造粒物の平均水分値が、造粒物S単体の水分値よりも1質量%低減するように、乾燥処理の調整を行った。なお、第1の造粒装置にはS型ドラムミキサーを、第2の造粒装置にはP型ドラムミキサーを、それぞれ使用した。
図4に示すように、S型ドラムミキサーへ供給する原料S中の500μmアンダーの微粉割合が40質量%と多い場合、造粒物Sの造粒用水分が7質量%まで上昇する範囲においては、生産性の改善がみられる。しかし、それ以上の水分としても、改善効果は小さくなって明確ではなく、寧ろ、造粒用水分を10質量%まで増加させることで、生産性指数は実質的に変わらないものの、やや下がる傾向がある。なお、生産性の改善とは、焼結鉱の焼成中の凝縮水分量の低減による通気性の向上、造粒用水分の低減に伴う造粒物S崩壊の通気性への悪影響(通気性阻害)の抑制を意味する。
このため、500μmアンダーの微粉割合が40質量%を超える場合、造粒用水分が10質量%のとき、生産性指数が下がる傾向が強まるため、造粒用水分を7質量%以上9質量%以下の範囲で留めることが好ましい。
一方、S型ドラムミキサーへ供給する原料S中の500μmアンダーの微粉を30質量%以下(30質量%、20質量%)に低減した場合、生産性がステップ的に上昇する。更に、この現象に加え、造粒物Sの造粒用水分が7質量%以上の範囲内においても、造粒用水分の上昇に伴って生産性が改善し、造粒後に残存する500μmアンダーの微粉がほぼ無くなる造粒用水分が10質量%の範囲まで、その効果が現れる。
以上のこと、即ち、残存する微粉割合、微粉の付着厚み、及び生産性指数との関係から、造粒物Sを造粒する際の水分値を、7質量%以上10質量%以下(好ましくは、上限を9質量%)と規定した。
このメカニズムには、通気に影響する未造粒の微粉量の減少と、酸化発熱性に影響する付着厚みの減少の2つのメカニズムが寄与する。
焼結の生産性には、焼結ベッド内の通気性と凝結材であるカーボンの酸化発熱性の影響が大きい。この通気は、造粒後も造粒物S中に残存する微粉、特に、500μmアンダーの微粉の影響が大きく、これを減少させることで、改善が図られる(以上、第1のメカニズム)。
一方、カーボンの酸化発熱性は、核となる粒子周囲に付着する微粉の厚みの影響が大きく、過剰な厚みではカーボンが埋没して酸化発熱性が悪化するため、焼成速度及び歩留が低下し、生産性を阻害する(以上、第2のメカニズム)。
このメカニズムは、造粒用水分を所定範囲内で増加させていく手段(造粒強化手段)においては、生産性向上に相反する。しかし、まずは、未造粒の微粉量減少が生産性向上に大きく効果があり、更に生産性を安定して向上させるには、微粉の付着厚みを減少させることが好ましい。
ここで、微粉の付着厚みを減少させるには、前記したS型ドラムミキサー10に供給する鉄鉱石の500μmアンダーの微粉の質量割合を5質量%以上40質量%以下(好ましくは、30質量%以下)とする各種方法を適用できる。
次に、乾燥処理した造粒物Pを造粒物Sと合わせる際、乾燥処理によって水分値を低減させた造粒物Pによって、造粒物Sの水分値を低減する操作について、図5を参照しながら説明する。
図5は、第1の造粒装置における造粒物Sの造粒用水分を上昇させた場合の残存微粉割合の低下挙動と、造粒用水分8.8質量%で造粒した造粒物Sを乾燥した場合の微粉の発生量の変化を示している。なお、造粒物Sの水分の低減には、造粒物Pの混入による場合(実施例)と、ガス(熱風)乾燥による場合(比較例)の2つについて、比較検討した。ここで、第1の造粒装置には、S型ドラムミキサーを使用した。また、造粒物Sの造粒に使用する原料S中の500μmアンダーの量は、40質量%とした。
図5から明らかなように、造粒用水分量を次第に増加させながら造粒することで、造粒後に残存する500μmアンダーの微粉割合が低減した(図5中の◆)。これは、前記した図2の結果と同様である。
製造した造粒物Sをガス乾燥した場合(図5中のΔ)、造粒物Sに含まれる水分値の低下に伴い、造粒時の挙動とほぼ同じ傾向で微粉の発生量が増加した。これは、造粒物Sの水分値の減少に比例して、造粒物が崩壊していることを示している。
一方、造粒物Sに乾燥した造粒物Pを混入させ、造粒物Sと造粒物Pを合わせた造粒物の平均水分値を、8.6質量%から5質量%まで低下させた場合、平均水分値が5.8質量%に低下するまで、造粒物Sの崩壊が緩慢であり、それ以降はガス乾燥と同様の傾向で造粒物Sの崩壊が生じた(図5中の○印)。
なお、造粒物の平均水分値が8.2質量%の場合においては、ガス乾燥と比較して増加する微粉の量に顕著な差がみられた。これは、ガス乾燥が、造粒物Sの表面から内部に至るまでの水分を蒸発させ、微粉の剥離を生じさせるため、造粒物Sが崩壊し易くなったのに対し、乾燥した造粒物Pを混入させた場合は、造粒物Pによる水分の吸収により、造粒物Sに付着した微粉の剥離、及び造粒物Sの崩壊が発生し難くなったからである。
つまり、造粒物Sの乾燥において、水の蒸発による乾燥か、液体のままの水をそのまま造粒物Pで吸収するかの差を示している。このため、造粒物Sと造粒物Pを焼結機に供給するに際しては、造粒物Sと造粒物Pの接触面積を高めることが好ましい。この方法としては、例えば、造粒物Sと造粒物Pを混合した後、この混合した造粒物を焼結機に供給したり、造粒物Pと混合した造粒物を交互に積層しながら焼結機に供給したり、また、焼結機に供給した造粒物P上に造粒物Sを積層する方法がある。
ここで、造粒物Sの水分を造粒物Pで吸収する際に、造粒物Sの水分値の低減代(低下代)が0質量%を超えれば、微粉割合が少ない範囲で造粒物Sの水分値を低下できる。
一方、造粒物Sの水分値の低減代を3質量%より多くする場合、乾燥した造粒物Pと合わせた場合でも、図5から明らかなように、造粒物Sの崩壊が生じる。
以上のことから、造粒物Sと乾燥した造粒物Pを合わせた造粒物の平均水分値が、造粒物Sの水分値より0質量%を超え3質量%以下低減するよう、乾燥処理後の造粒物Pの水分値を調整する必要がある。
この調整については、造粒物Sの水分値の低減代を3質量%に近づけたい場合、造粒物Pの乾燥後の水分値を下げ、水分値の低減代を0質量%に近づけたい場合、造粒物Pの乾燥後の水分値を上げることにより行う。
また、乾燥処理後の造粒物Pの水分値を一定として、造粒物Sと造粒物Pの混合割合(質量比)を変動させることで、造粒物Sの水分値の低減代を制御することも効果的である。
しかし、一般に、造粒物Sと造粒物Pの生産量(例えば、トン/時間)は、使用する鉄鉱石原料の粒度分布に依存し易いため、混合割合を制御することは任意にできない場合があり、造粒物Pの乾燥処理後の水分値を制御することが最も効果的と考える。
以上に示したように、焼結機14に供給する造粒物Sと造粒物Pを個別に製造するため、造粒物Sと造粒物Pの造粒用水分を、それぞれの造粒に適した量に調整して造粒できる。また、製造した造粒物Pは、バインダーにより強固に造粒されているため、乾燥処理を目的に応じたレベルまで実施でき、通常よりも高い造粒用水分で造粒した造粒物Sの水分値を、造粒物Pで吸収できる。
なお、造粒物Pを乾燥する方法としては、静置状態で通気するバンド乾燥機が、造粒物Pの崩壊を抑制できてベストであるが、より効率的に乾燥する方法として、流動層も適用できる。これは、ガスクッション効果により、造粒物Pの崩壊を十分に抑制できるためである。ここで、キルン等の機械的な衝撃が加わる方法は、崩壊が著しく適用が困難である。
以上のことから、本発明を適用することで、通気性と酸化発熱性に優れた造粒物を製造し、焼結生産性を向上できる。
次に、本発明の作用効果を確認するため、造粒条件を変更して各種試験を実施した結果について説明する。
まず、原料を、篩分けを行うことなく、又は篩分けを行って、S型造粒工程でS型ドラムミキサーを使用して造粒物Sを製造し、P型造粒工程でP型ドラムミキサーを使用して造粒物Pを製造した。
そして、これら事前処理を施した造粒物Sと造粒物Pを、火格子上に積層し、下方から一定負圧を付与して空気を上層から吸引し、上部より点火して下部まで焼成した。
このとき、造粒物Pを造粒物Sと合わせる際に、造粒物Sと造粒物Pの平均水分値が、造粒物Sのみの水分値より所定値(0を超え3質量%以下)低下するよう、造粒物Pを乾燥処理し、その水分調整を適宜実施した。なお、比較例1〜3は、水分値の低減代が適正範囲を外れている場合を示している。
以下、各試験条件について、詳しく説明する。
比較例1は、原料としてマラマンバ鉱石及びピソライト鉱石を含む複数種類の鉄鉱石を用い、これを全量S型ドラムミキサーに供給し、水のみで造粒した結果である。
これに対し、比較例2、3、及び実施例1〜5、参考例1、2は、マラマンバ鉱石及びピソライトの一部を、目開き1mmの篩を用いて篩分け(微粉の抽出)、篩上の原料を他の原料と共にS型ドラムミキサーに供給し、水のみで造粒した結果である。これにより、原料中の微粉量を低減した。
なお、微粉が濃化した篩下の原料(抽出された微粉)は、まず粉砕し、次に混練機を用いてバインダーである分散剤を添加しながら混練し、更にP型ドラムミキサーで造粒した後、乾燥処理した。
この製造した造粒物Sと造粒物Pを合わせて焼結機に供給した。
また、実施例6、7、参考例3は、マラマンバ鉱石の一部を篩分けることなく、前記した各種装置で、粉砕処理、造粒処理、及び乾燥処理を行って製造した造粒物Pを、残りのマラマンバ鉱石(500μmアンダーの微粉量調整)と他原料(赤鉄鉱)を用いて造粒した造粒物Sと合わせて焼結機に供給した。なお、S型造粒工程とP型造粒工程にそれぞれ供給するマラマンバ鉱石は同じものであり、篩選別機による篩分け等の処理は行っていない。
なお、以上に示した比較例2、3、及び実施例1〜7、参考例1〜3において、乾燥処理後の造粒物Pの水分値は、造粒物Sと造粒物Pの平均水分値が目的とする水分値となるように、それぞれ決定している。
以上の各造粒条件を、表1に示す。
Figure 0005058715
なお、表1中の「−500μm」は、S型ドラムミキサーに供した原料S中に含まれる500μmアンダーの質量割合を、「水分値」は、同じくS型ドラムミキサーで造粒物Sを造粒する際の水分値を、それぞれ示している。以下に、「−500μm」と「水分値」の算出方法を示す。
「−500μm(質量%)」=「{S型造粒工程に供給した500μmアンダーの原料(水分は除く、結晶水は含める)の質量(kg)}/{S型造粒工程に供給した原料S(水分は除く、結晶水は含める)の質量(kg)}」×100
「水分値(質量%)」=「造粒物Sを造粒する際の水分値」=「{原料S(即ち、鉄鉱石、カーボン、及び石灰石)に初期から含まれる水分(鉄鉱石の結晶水、及び液体バインダーを使用する場合はその水分量を除く)(kg)}+{造粒のために添加した水分(kg)}」/{S型ドラムミキサーに供給された全質量(kg)}×100
また、「微粉の抽出の有無」とは、P型造粒工程への原料分離の有無を示している。なお、分離された原料は、粉砕処理した後、バインダーである分散剤と水分を添加して混練し、P型ドラムミキサーで造粒してペレット状とした(比較例2、3、及び実施例1〜5、参考例1、2)。
そして、「S+Pの平均水分値の低減代」とは、造粒物Sと造粒物Pを合わせることにより、得られた造粒物の平均水分値が、造粒物Sのみの水分値よりも低減した量を示している。
更に、「生産性指数」とは、前記した実施の形態で算出して求められる値、具体的には、焼結機での焼成速度と製品歩留から、パレット1mあたりの生産性を算出して比較した値である。なお、ここでは、比較例2の生産性を100として、各条件の生産性を比較した。
表1に示す比較例2は、原料中の微粉を抽出し、S型ドラムミキサーへ供給する原料中の500μmアンダーの割合を30質量%まで低減したものであるため、これに伴って比較例1よりも生産性が改善することを知見した。
また、比較例3は、比較例2と同様の処理において、乾燥処理を強化した造粒物Pを造粒物Sと合わせることにより、平均水分値の低減代を4質量%とした結果であるが、過剰乾燥によって造粒物が崩壊したため、生産性の改善が認められなかった。
以下、実施例1〜7、参考例1〜3について、比較例1〜3の中で、生産性が最も改善された比較例2を基準(「生産性指数」を100)として説明する。
実施例1では、平均水分値の低減代を3質量%とすることで、過剰乾燥による造粒物Sの崩壊を抑制し、生産性の改善が顕著に認められた。なお、実施例1では、参考例1に対して、S型ドラムミキサーに供給する原料中の500μmアンダーの質量割合を40質量%まで低減したため、造粒物Sの水分値を10質量%としても、微粉付着厚みの増大の影響を抑えて生産性を改善できることが確認された。更に、実施例2〜5のように、500μmアンダーを30質量%まで低減することで、安定的に生産性の改善が見込めることも確認された。
加えて、実施例4、5のように、造粒物Sの水分値を10質量%まで増やすことや、実施例3、5のように、造粒物Pの乾燥処理を調整し、平均水分値の低減代を3質量%までの範囲で可能な限り低減することで、相乗的に生産性が向上することが確認された。
また、参考例1、2のように、原料中の500μmアンダーの微粉割合が過剰、又は微粉の分離が不十分等により、S型ドラムミキサーに500μmアンダーが40質量%を超えて残存する場合、造粒物の付着厚みが過剰となるため、比較例2よりも生産性の向上はみられるものの、比較的小さいものであった。
一方、実施例6、7、参考例3は、原料の篩分けを実施せず、S型及びP型造粒工程の各々に独立して原料を供給した結果である。このS型造粒工程においては、500μmアンダーが少ない赤鉄鉱を多用し、500μmアンダーの比率を調整するために、微粉の多いマラマンバ鉱石を適宜添加した。
この実施例6、7、参考例3のいずれについても、篩分けを行った場合と比較して、同等の生産性向上の効果が得られた。
以上の結果から、本発明を適用することで、従来よりも多量の微粉を含む鉄鉱石の原料に対応可能で、通気性と酸化発熱性に優れた造粒物を製造し、焼結生産性を向上できることを確認できた。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の焼結用原料の事前処理方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、原料に使用する鉄鉱石は、その一部に褐鉄鉱を使用しているが、全部に褐鉄鉱を使用することで、本発明の効果が更に顕著に現れる。
本発明の一実施の形態に係る焼結用原料の事前処理方法の説明図である。 第1の造粒装置で製造した造粒物Sの造粒用水分量と造粒後に残存する500μmアンダーの微粉割合との関係を示すグラフである。 同造粒物Sの造粒用水分量と核粒子周囲の微粉付着厚みとの関係を示すグラフである。 同造粒物Sの造粒用水分量と生産性指数との関係を示すグラフである。 水分値と500μmアンダーの微粉割合との関係を示すグラフである。 従来例に係る焼結用原料の事前処理方法の説明図である。
符号の説明
10:S型ドラムミキサー(第1の造粒装置)、11:P型ドラムミキサー(第2の造粒装置)、12:篩選別機、13:供給装置、14:焼結機、15:水分添加装置、16:ベルトコンベア(搬送手段)、17:混練機、18:水分及びバインダー添加装置、19:粉砕機、20:乾燥機

Claims (5)

  1. それぞれ粗粒及び微粉を含む2種以上の鉄鉱石を原料とし、核粒子となる粗粒に微粉を付着させて造粒物Sを製造する第1の造粒装置と、微粉のみで又は微粉を主体として水とバインダーの存在下で造粒して造粒物Pを製造する第2の造粒装置を備え、前記造粒物S及び前記造粒物Pを用いる焼結用原料の事前処理方法であって、
    前記第1の造粒装置に供給する前記鉄鉱石は、500μmアンダーの微粉の質量割合が5質量%以上40質量%以下であり、
    前記造粒物Sを造粒する際の水分値を7質量%以上10質量%以下とした後、該造粒物Sと乾燥処理後の前記造粒物Pを焼結機に供給するに際し、該造粒物Sと該造粒物Pを合わせた造粒物の平均水分値を、前記造粒物Sのみの水分値よりも0を超え3質量%以下低減させる水分値を有する乾燥処理後の前記造粒物Pを用いることを特徴とする焼結用原料の事前処理方法。
  2. 請求項記載の焼結用原料の事前処理方法において、前記第1の造粒装置に供給する予定の前記鉄鉱石から500μmアンダーの微粉を含む鉄鉱石を篩分けで分離し、得られた篩下を前記第2の造粒装置に供給することを特徴とする焼結用原料の事前処理方法。
  3. 請求項記載の焼結用原料の事前処理方法において、前記第2の造粒装置に供給する予定の前記鉄鉱石から500μmオーバーの粗粒を含む鉄鉱石を篩分けで分離し、得られた篩上を前記第1の造粒装置に供給することを特徴とする焼結用原料の事前処理方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の焼結用原料の事前処理方法において、乾燥処理後の前記造粒物Pの水分値は、0又は0を超え5質量%以下であることを特徴とする焼結用原料の事前処理方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の焼結用原料の事前処理方法において、前記原料の一部又は全部に、結晶水含有率が3質量%以上の高結晶水鉱石を用いることを特徴とする焼結用原料の事前処理方法。
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