JP2012162796A - 焼結原料の事前処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】焼結原料を少なくとも混練し造粒して造粒物を製造する焼結原料の事前処理方法であり、焼結原料の混練を混練機により行う際に、焼結原料の混練が完了するまでの間に、造粒物中に分散する粒径10μm以下の微粒子の総量が、乾燥状態の焼結原料に対する質量比で11%以上となるように微粒子を添加し、更に焼結原料中の微粒子を分散させる分散剤を添加して、混練機の撹拌羽根の先端速度を3m/秒以上にして60秒以上混練する。
【選択図】図1
Description
ここで、焼成速度を適正に確保するには、積層した焼結原料中の通気を適度に確保する必要があるため、上記した焼結原料を、事前に水を主体として造粒し、通気を阻害する微粉を低減する操作が行われている。
一方、近年の資源劣質化に伴って、原料中の微粉が増加する傾向にあり、更なる造粒強化技術が求められている。また、ペレットフィード(PF)などのように選鉱処理された微粉のみからなる原料を使用する場合、これら原料は、微粉が多いことに加え、造粒に有効な微粒子成分(粘土分)が少なく、造粒し難いことが特徴である。
例えば、特許文献1には、微粒子分の分散判別の方法として、バインダー(分散剤)を用いて造粒した造粒物を採取し、これを水に懸濁させて一定時間静置した後、浮遊している微粒子量が2質量%以上を確保するようバインダー量を調整することで、造粒性を向上させる方法が開示されている。
また、特許文献2には、平均粒径が10μm以下の鉄鉱石超微粉を2〜15質量%の範囲で添加することや、この鉄鉱石超微粉に選鉱残渣である尾鉱を用いることで、造粒物の改善が図れることが開示されている。
更に、特許文献3には、従来の造粒系統に加え、微粉の多い原料を主体に造粒する系統を並行して設け、この微粉主体原料を造粒するに際して、22μm以下の微粉を所定割合確保し、バインダー(有機質バインダーや分散剤)の添加や造粒物の乾燥を組み合わせることで、所望強度の造粒物が得られることが開示されている。
特許文献1の方法では、微粒子の分散量(浮遊している微粒子量)を10質量%超に増やそうとした場合、微粒子量が多くなって凝集し易くなり、増やした微粒子を造粒物の強度向上に積極的に寄与させることができない。このため、造粒物を焼結機のパレットまで搬送するハンドリング過程で、造粒物の一部が壊れて粉化し、焼結機での通気が阻害され、焼結鉱の生産性が低下する恐れがあった。なお、微粒子量の増加に伴い、多量のバインダーが必要となるため、コストが膨大となって不経済である。
また、特許文献2の方法も、鉄鉱石超微粉量の増加に伴って鉄鉱石超微粉の凝集が発生し易くなり、その結果、焼結鉱の生産性が低下する恐れがあった。
そして、特許文献3の方法では、原料の造粒段階でバインダーを添加しているため、バインダーの分散効果には限界があり、その結果、造粒物のハンドリング過程で造粒物が粉化し、焼結鉱の生産性の低下や発塵が顕在化する恐れがあった。なお、更なる強度向上を図るには、多量のバインダーが必要となるが、この場合、コストが膨大となって不経済である。
前記焼結原料の混練を混練機により行う際に、該焼結原料の混練が完了するまでの間に、前記造粒物中に分散する粒径10μm以下の微粒子の総量が、乾燥状態の前記焼結原料に対する質量比で11%以上となるように微粒子を添加し、更に前記焼結原料中の微粒子を分散させる分散剤を添加して、前記混練機の撹拌羽根の先端速度を3m/秒以上にして60秒以上混練する。
更に、焼結原料の混練が完了するまでの間に分散剤を添加し、混練機の撹拌羽根の先端速度を3m/秒以上にして60秒以上混練するので、分散剤の添加による微粒子の分散効果と、高速撹拌による微粒子の再配置効果(分散促進効果)が得られる。これにより、例えば、微粒子を他の焼結原料の表面へ被覆する作用を高めることができ、その結果、微粒子によるバインダー機能が高められる。
従って、造粒物のハンドリング過程において、造粒物の一部が例え壊れたとしても、その粉化率を低下させ、焼結鉱の生産性低下を抑制することが可能となる。
まず、本発明に想到した経緯について説明する。
造粒物の強度を決定する一つの重要な因子は、造粒物中に分散した微粒子(10μm程度以下の粘土分)の量を確保することであり、元来、鉱石中に含まれる微粒子を分散剤で分散する技術の有効性は、前記した通りである。
しかし、分散剤を添加するのみでは、微粒子を撹拌再配置する作用が小さいため、分散させた微粒子による他の焼結原料への被覆効果が十分ではなく、造粒物が粉化して焼結鉱の生産性が低下する恐れがあった。
そこで、本発明者らは、微粒子を更に効率的に増加させ、分散し、再配置する方法について、詳細に検討した。
ここで、図1の横軸となる微粒子の分散量は、造粒物を採取し、この造粒物中に含まれる10μm以下の微粒子量を、JIS Z8820−2「液相重力沈降法による粒子径分布測定方法−第2部:ピペット法」に記載の方法(以下、ピペット法もいう)で求め、乾燥状態の原料の質量を100とした場合の割合で示している。また、縦軸となる粉化による−500μmの生成量は、造粒物の粉化性を示しており、具体的には、含有水分が0質量%程度となるまで乾燥させた造粒物に対し、ロータップシェーカーで10分間打撃を加えながら分級操作を行い、全造粒物に対する500μm以下の微粉量の割合で示している。従って、生成量が少ないほど、粉化性が小さいと判断される。
ここで、微粒子源の添加は、原料中の微粒子量を増やす目的で行っており、ここでは、ローブリバー鉱を粉砕したものを用いた。従って、この微粒子源を上記した原料に添加した場合、微粒子の分散量の算出に用いる乾燥状態の原料の質量は、微粒子源を含む量となる。
また、分散剤には、有機質バインダーの水溶液を用いた。この分散剤の添加位置は、原料の混練段階(混練機で添加)又は造粒段階(造粒機で添加)とした。
なお、混練機にはレディゲミキサーを用い、造粒機にはドラムミキサーを用いた。
特に、分散微粒子量を11質量%以上とした原料を、混練速度(撹拌羽根の周速)を3m/秒以上(図1中の○印)にして混練することで、造粒物の粉化が極端に小さくなる効果が見出された。一方、混練速度が3m/秒未満の場合、微粒子の分散量を11質量%以上に確保しても、造粒物の粉化性は、混練速度を3m/秒以上にしたときと比較して高かった。なお、分散剤の添加位置を混練段階とすることで、造粒段階とした場合よりも、微粒子分散量は増加した。
この作用のメカニズムとしては、第一に、微粒子の分散量が11質量%以上になると、微粒子が、他の原料粒子の表面全体をほぼ覆うことが可能となるものと推定される。
ここで、図2中の原料1は、微粒子以外の原料の粒度を最も細かくした構成(微粒化が進んだ構成)、即ちマラマンバ鉱石とペレットフィードを1:1の割合で混合した構成の原料を想定したものである。また、原料2と原料3は、微粒子以外の原料の粒度を、上記した原料1よりもやや粗くした構成、即ち、原料1に、粒径が大きなピソライト鉱石を更に添加し、その添加量を変化させて粒度を変化させた構成の原料を想定したものである(原料3の方が原料2よりも粒度が粗い)。なお、微粒子の被覆厚みの試算は、各原料1〜3中の微粒子の分散量を変化させて行った。
また、原料1〜原料3の試算結果から、粒度構成の違いにより、同一の被覆厚みを確保するために必要な微粒子分散量が変化することが分かった。しかし、粒度が最も細かい原料は原料1であるため、微粒子分散量が11質量%以上を確保できれば、どのような粒度構成の原料でも対応可能であることが分かった。
これに必要な剪断力は、混練機の撹拌羽根の回転によって与えられることから、撹拌羽根の回転にある程度の速度を確保する必要があり、撹拌羽根の先端速度(周速)は3m/秒以上が必要になると考えられる。
また、原料を混練するに際し、その混練時間が不十分であると、上記した微粒子の移動や再配置を促進する作用が不足すると考えられる。
ここでは、マラマンバ鉱石とペレットフィードを1:1の割合で混合した原料(微粒子量:4質量%)に、ローブリバー鉱を粉砕したものを微粒子源(微粒子量:10質量%)として添加し、微粒子分散量を最大で14質量%にできる原料を混練機により混練した。
なお、混練機にはレディゲミキサーを用い、撹拌羽根の先端速度は3m/秒とし、また混練中に、有機質バインダーの水溶液を分散剤として添加した(原料と微粒子源の合計乾燥質量に対する固形分(有効成分)比率で0.16質量%)。
また、図3から、混練時間60秒までは、時間経過と共に微粒子分散量が急激に上昇し、グラフの傾きが大きくなることが確認された。通常、分散剤の使用のみで、微粒子分散量はある程度確保できると考えられ、この原料を混練すると、微粒子分散量は混練時間の経過と共に徐々に上昇、即ちグラフの傾きが緩やかになると考えられる。しかし、図3に示す結果から、本発明のように、微粒子量を多くした場合には、単に分散剤を添加しても、目標とする分散量を容易に達成できないことが分かる。更に、混練時間60秒まではグラフの傾きが大きいため、混練時間の小さな変動でも、微粒子分散量(質量%)の変動が発生し、分散量が安定しないことが分かる。
そして、得られた混練物を、造粒機で造粒した後、この造粒物を焼結機のパレットへ搬送し、焼結鉱を製造する。
なお、微粒子を添加するに際しては、微粒子のみを添加すればよいが、微粒子は粒径が10μm以下と細かく凝集し易いため、微粒子を含む微粒子源を添加するのがよい。この微粒子源は、粒径10μm以下の微粒子が含まれていれば、前記したローブリバー鉱を粉砕したものに限定されるものではなく、例えば、生石灰や消石灰の粉砕品、又はベントナイトなどのように、粒径10μm以下の微粒子を相当量含むものを使用できる。
また、微粒子源の添加時期は、混練機で他の焼結原料と混練できれば、特に限定されるものではなく、例えば、微粒子源を他の焼結原料と共に混練機に供給してもよく、また、他の焼結原料の混練中の混練機に微粒子源を供給してもよい。
一方、微粒子分散量の上限値については、100質量%でも構わないため特に規定していないが、鉄鉱石を造粒するという観点からすれば、上限値を50質量%、更には30質量%とするのがよい。
一方、先端速度を速くすることで、造粒物の崩壊を抑制できるため、上限値については特に規定していないが、世の中にある混練機を考慮すれば、例えば、20m/秒程度である。
この先端速度を確保できる混練機としては、例えば、レディゲミキサーやアイリッヒミキサー等のように、撹拌容器内で撹拌羽根が高速回転する機種が考えられる。なお、撹拌羽根の長さ(撹拌容器の内径)は、例えば、0.5〜2m程度である。
一方、混練時間を長くすることで、安定した微粒子分散量を確保できるため、上限値については特に規定していないが、混練機は高速撹拌を行うため混練機での原料の撹拌可能量は少なくなり、これが混練物の生産量の低下を招く恐れがある。そこで、混練時間の上限を10分程度にすることが好ましい。
なお、分散剤には、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムやリグニン等の微粒子分散機能を有するバインダーを使用できる。
この造粒機には、例えば、ドラムミキサーやパンペレタイザー等を使用できる。
なお、造粒物は、乾燥処理されることなく焼結機のパレットへ搬送できるが、造粒物の強度を向上させるため、乾燥処理することが好ましい。
ここでは、マラマンバ鉱石とペレットフィードを1対1の割合で混合した原料を用いて、微粒子添加量(微粒子分散量)、分散剤の添加量(固形分量)、分散剤の添加位置、及び混練機の撹拌羽根の先端速度(混練速度)を種々変更し、得られた造粒物の粉化性について検討した。
試験条件と結果を、表1に示す。
また、微粒子の計算値とは、微粒子源を添加する前の原料、即ち元原料に元来含まれる10μm以下の微粒子量を、上記した「JIS Z8820−2」に記載のピペット法で求め、これと添加した微粒子源に含まれる微粒子量とを合計した量であり、造粒物中で分散が期待できる微粒子の最大量(凝集した微粒子量も含む)を示している。
また、混練機にはレディゲミキサーを用い、その撹拌羽根の回転周速(混練速度)を変化させた。なお、混練機の混練時間は60秒とした。
更に、微粒子分散量と造粒物の粉化性は、前記した図1の説明に記載の方法と同様の方法で求めた。なお、造粒物の粉化性の目標値を、焼結鉱の生産性低下に悪影響を及ぼさない5質量%以下とした。
比較例2は、比較例1の条件において、原料に有機質バインダーを0.1質量%添加したため、微粒子の分散量を4質量%まで増加させることができた。これにより、粉化性を比較例1よりも低下できたが、原料には微粒子が4質量%しか含まれていなかったため、目標値よりも高かった(30質量%)。
比較例4は、比較例3の条件において、更に分散剤を0.30質量%まで増やした結果である。表1に示すように、分散剤の添加量の増加により、微粒子の分散量を比較例3よりも多い8質量%まで増加させることができたため、粉化性を比較例3よりも低下できた。しかし、混練機を使用せず、しかも混練機の不使用により分散剤の添加位置が造粒段階であったため、微粒子の被覆効果が十分ではなく、粉化性は目標値よりも高かった(18質量%)。
比較例6は、比較例5の条件において、更に分散剤を0.40質量%まで増やした結果である。表1に示すように、分散剤の添加量の増加により、微粒子の分散量を比較例5よりも多い10質量%まで増加させることができたため、粉化性を比較例5よりも低下できた。しかし、微粒子の計算値から、微粒子の分散量は最大で10質量%であるため、バインダー機能を発揮できる微粒子の分散量が不足し、粉化性が目標値よりも高くなった(14質量%)。なお、分散剤の使用量が増加するため不経済であった。
比較例8は、原料に微粒子源を添加し、微粒子の分散量を最大で14質量%まで増加できるようにしたため、微粒子の分散量を比較例7よりも多い11質量%まで増加させることができた。しかし、混練機の混練速度が遅かったため、微粒子の被覆効果が十分ではなく、粉化性は比較例7と同程度であった(14質量%)。
比較例10は、比較例9の条件において、分散剤の添加量を減らすと共に、混練機の混練速度を3m/秒まで速くした結果である。表1に示すように、分散剤の添加量を減らしたため、微粒子分散量が比較例9よりも低下したが、混練速度を速くしたため、微粒子を撹拌し再配置する作用が大きくなった。しかし、微粒子の分散量が11質量%未満であったため、粉化性は比較例9と同程度であった(12質量%)。
このことから、高速撹拌のみでは、微粒子分散の効果が得られず、少なからず分散剤が必要であることが確認された。
比較例12は、比較例11の条件において、分散剤を0.40質量%添加すると共に、混練機の混練速度を1m/秒まで遅くした結果である。表1に示すように、分散剤を添加したため、微粒子分散量を16質量%まで高めることができたが、混練機の混練速度が遅かったため、微粒子の被覆効果が十分ではなく、粉化が多かった(10質量%)。
このことから、高速混練による被覆効果の必要性が再確認された。
実施例2は、実施例1の条件において、分散剤の添加量を0.16質量%まで僅かに減らした結果であるが、分散剤の添加による微粒子の分散効果は確保され、また混練速度を3m/秒以上に設定したため、微粒子分散量は実施例1と同程度であり、粉化性も目標値を達成できた(2.9質量%)。
実施例4は、実施例3の条件において、分散剤の添加量を0.30質量%まで増やした結果である。表1に示すように、分散剤を0.30質量%まで増やしたため、分散剤の添加量の増加による微粒子の分散効果が得られ、微粒子分散量は16質量%まで増加し、粉化性を実施例3よりも低下できた(1.4質量%)。
実施例6は、実施例5の条件において、分散剤の添加量を0.20質量%まで僅かに減らした結果であるが、分散剤の添加による微粒子の分散効果は確保され、また混練速度を3m/秒以上に設定したため、微粒子分散量は実施例5よりも僅かに低下したにもかかわらず、粉化性は目標値を達成できた(1.8質量%)。
また、前記実施の形態においては、焼結原料を混練し造粒して造粒物を製造することのみ記載したが、これに限定されるものではなく、少なくとも混練と造粒を行えば、例えば、使用する焼結原料の種類等に応じて、篩選別処理等を実施してもよい。
Claims (2)
- 焼結原料を少なくとも混練し造粒して造粒物を製造する焼結原料の事前処理方法において、
前記焼結原料の混練を混練機により行う際に、該焼結原料の混練が完了するまでの間に、前記造粒物中に分散する粒径10μm以下の微粒子の総量が、乾燥状態の前記焼結原料に対する質量比で11%以上となるように微粒子を添加し、更に前記焼結原料中の微粒子を分散させる分散剤を添加して、前記混練機の撹拌羽根の先端速度を3m/秒以上にして60秒以上混練することを特徴とする焼結原料の事前処理方法。 - 請求項1記載の焼結原料の事前処理方法において、前記造粒物を乾燥処理することを特徴とする焼結原料の事前処理方法。
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JP2015206072A (ja) * | 2014-04-18 | 2015-11-19 | 新日鐵住金株式会社 | 焼結原料配合方法 |
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