JP2000290734A - 焼結原料の事前処理方法 - Google Patents

焼結原料の事前処理方法

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JP2000290734A
JP2000290734A JP9974199A JP9974199A JP2000290734A JP 2000290734 A JP2000290734 A JP 2000290734A JP 9974199 A JP9974199 A JP 9974199A JP 9974199 A JP9974199 A JP 9974199A JP 2000290734 A JP2000290734 A JP 2000290734A
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Takeshi Hashimoto
健 橋本
Hideaki Sato
秀明 佐藤
Takashi Watanabe
隆 渡辺
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脆弱な擬似粒子構造を改善するために、その
最外殻層にもバインダーを含有させてバインダー効果を
十分発揮させる方法を開発する。 【解決手段】 事前処理で第一及び第二工程は原料を混
合、造粒する工程からなり、第一において混合、調湿、
一部造粒した中間処理原料を第二において下記方法で処
理する。混合・造粒装置としてディスクペレタイザを用
い、中間処理原料をディスクぺレタイザで処理中に細粒
領域と粗粒領域とに分級し、細粒領域の粉状原料にバイ
ンダーを添加する。細粒領域に生石灰、消石灰、ベント
ナイト、焼成ドロマイト及び半焼成ドロマイトからなる
1種以上の粉体を吹き付けか、スラリーを細粒領域に噴
霧する。鉄鉱石として、125μm以下の微粉鉱石が2
0〜90%を占める粉鉱石を用い、バインダーの、第一
での添加量対第二での添加量を、1:1から1:9の範
囲内に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鉄鉱石の焼結鉱
製造工程において、焼結機に装入する原料の事前処理方
法に関するものであり、焼結原料を焼結機に装入するに
先立ち、これを混合・造粒して擬似粒子化する技術であ
る。そして、擬似粒子を構成する粒子間に高い結合強度
を付与することにより擬似粒子化された焼結原料が、そ
のハンドリング過程及び焼結機での焼成過程で崩壊しな
いようにその物性を改善する。このようにして、焼結機
ベッド上における原料層内擬似粒子間の通気性を改善
し、焼結鉱の生産性及び成品歩留の向上を図る。焼結原
料をこのような特性を有する擬似粒子に造粒する技術に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、製鉄原料である鉄鉱石は、その採
掘法や選鉱法の進歩により、微粉鉱石の供給割合が多く
なった。このような製鉄原料としての粉状鉄鉱石を高炉
等において効率よく使用するために、鉄鉱石は通常、焼
結鉱の形態に焼成されたものが使用される。焼結に際し
ては固体燃料とバインダーが鉄鉱石に添加される。ここ
で、良質な焼結鉱を効率よく生産するために、焼結機に
装入される焼結原料は予め、事前処理により擬似粒子に
調製される。この焼結原料としての擬似粒子の性状は、
焼結鉱製造工程における生産性及び成品歩留を左右す
る。
【0003】上記焼結原料の事前処理工程で行なわれる
鉄鉱石の擬似粒子化は、次のようにして行なわれる。即
ち、粉鉱石を粉コークス等の固体燃料及び生石灰粉等所
定の粉状バインダーと混合すると共に、水分を添加して
湿分を調整し、所定の性状を有する擬似粒子に形成させ
る。こにようにして調製された擬似粒子からなる焼結原
料を焼結工程へ運び込むまでのハンドリングにより、擬
似粒子は、原料粒子間の結合強度不足により崩壊しやす
い。
【0004】次いで、上記焼結原料は焼結機に装入され
る。焼結機ベッド上に500〜700mm程度の厚さに
装入された層状焼結原料は、その上表面に点火され、次
いで、上表面側に供給される空気等の酸素含有ガスが当
該焼結原料層を通して下方に吸引される。そして、擬似
粒子中粉コークスの燃焼により、生石灰等の副原料がバ
インダーとしてその機能を発揮して粉鉱石の焼結が進行
する。
【0005】ここで、焼結原料の焼成が良好に行なわれ
るためには、先ず、擬似粒子の造粒過程でその粉体状原
料が所要の大きさの擬似粒子径まで成長すること、及
び、焼成時に焼結原料である擬似粒子が崩壊して擬似粒
子間の通気性が悪化しないようにすることが重要であ
る。元来、上記焼結原料層の通気性に関しては、十分に
良好であることが常に要請されてきた。即ち、擬似粒子
は焼成時に崩壊しないように十分な強度を持つと共に、
その粒径が所定値以上に大きく、しかも整粒されている
ことが要請されてきた。
【0006】図3に、焼結原料事前処理方法の従来例を
説明する概略工程図を示す。配合槽1から、粉鉱ヤード
においてべッディング法により混合されたブレンディン
グ粉2、返し鉱3、粉コークス4、生石灰粉5並びにス
ラグ成分調整材6をそれぞれ所定量切り出し、これらの
原料に水分7を添加し、ドラムミキサー8で混合、調湿
する。ドラムミキサー8で焼結原料の一部分が造粒され
る。造粒された擬似粒子9とドラムミキサー8では造粒
されなかった未造粒原料部分9’とが混合残留する。
【0007】次いで、この混合物をディスクペレタイザ
10に装入して擬似粒子に形成する。得られた擬似粒子
11を別途準備された粉コークス12と共にコーティン
グミキサー13に装入し、擬似粒子表面に粉コークスを
被覆する処理をする。このようにして調製された擬似粒
子からなる焼結原料を焼結機に装入し、所定の操業条件
で焼成して焼結鉱を製造する。
【0008】上記方法で事前処理された焼結原料として
の擬似粒子の内部構造は、通常、図4に示すように、中
心に粗粒粉鉱石からなる核14を有し、その外側に多数
の細粒粉鉱石からなる微粉鉱石層15が付着している。
微粉鉱石層15は、核14近傍側から外表面側に向かっ
て移行するにつれてバインダー機能を有する石灰の濃度
が低くなり、微粒粉鉱石間の結合強度は低下する。そし
て、擬似粒子の外表面近傍における微粒粉鉱石間の結合
は、水分の表面張力が主体の結合力によって支えられた
層となっている。
【0009】このような内部構造の擬似粒子16は、搬
送過程においても崩壊し易いが、また、焼結機内部での
焼成過程においても、その外層部から崩壊し易い。この
ような焼結原料が焼結機に装入されると、焼成過程にお
ける焼結原料層内の通気性が悪化して、焼成が遅れる。
また、焼結鉱成品歩留も低下する。よって、焼結原料で
ある擬似粒子は、焼成時の強度が高くて崩壊せず、そし
て所定の粒径を確保し、しかも整粒化されていることが
要請される 。
【0010】上記要請に寄与し得る技術として、擬似粒
子の核近傍の内層部よりも外表面に近い外層部のバイン
ダー濃度を高めることにより、外層部微粉鉱石層におけ
る微粒粉鉱石間の結合強度を高めることにより、ハンド
リング及び焼成過程における擬似粒子の崩壊を抑制し
て、焼結原料層内の通気性を改善する技術が開示されて
いる。
【0011】例えば、特開昭57−200530号公報
には、調湿された粉鉱石及び粉コークス等原料を所定時
間混合し、造粒が所定割合以上進行した後にはじめて、
バインダーを添加することにより、外層部内の粒子間結
合力を高め、擬似粒子の崩壊を抑制する方法が開示され
ている(以下、先行技術1という)。
【0012】また、特公昭55−11730号公報に
は、焼結原料事前処理工程の前部において、粉鉱石その
他の原料に粉コークスの一部及びバインダーの一部を添
加して混合、造粒し、次いで、後部の工程において更に
粉コークスの残部及びバインダーの残部を添加し、混
合、造粒して、擬似粒子の崩壊を抑制する方法が開示さ
れている(以下、先行技術2という)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この発明においては、
焼結原料の粒度条件が、特に細粒粉鉱石の粒径が小さ
く、しかもその割合が多い場合を対象として、擬似粒子
の崩壊を抑制する技術を開発しようとする。これに対し
て、先行技術1の主たる目的は、製造コスト低減のため
に、高価なバインダーである生石灰や消石灰の添加量を
減らすことにあり、その点においては有効である。
【0014】しかしながら、焼結原料としての擬似粒子
の崩壊を極力減らすことができるという観点からは不十
分である。また、先行技術2によれば、焼結時にNOx
発生量が少ない焼結原料の事前処理が可能である。この
NOx発生量の低減理由は、擬似粒子中の粉コークスの
燃焼が改善促進されるからであり、擬似粒子のハンドリ
ング時及び焼成時の擬似粒子崩壊が抑制され、その結
果、焼結原料層の通気性が改善されたものと考えられ、
この点において、本願発明の目的からも効果的である。
【0015】しかしながら、焼結原料の微粉鉱石の粒径
が一層微細化し、しかも微粉鉱石の割合が一層多くなっ
た現在の条件下において、例えば、粒径125μm未満
の微粉鉱石の割合が上限として90%といったように多
い場合には、先行技術1及び2によっては、十分な強度
の擬似粒子を形成させることは困難である。
【0016】一般に焼結原料の事前処理において、バイ
ンダーの添加が適切に行なわれないと、擬似粒子内部に
おいてその効果が十分に発揮されない。即ち、擬似粒子
の核の外側に付着した微粒粉鉱石間の結合力として、水
分の表面張力が主体の結合力しか得られず、石灰等のバ
インダー成分による強力な結合力が得られず、脆弱な擬
似粒子となり、造粒後のハンドリングや焼成時にその崩
壊が起こる。
【0017】図5に、このような脆弱な擬似粒子の内部
構造を説明するモデル断面図を示す。粗粒粉鉱石を核1
4として、その外殻層にバインダーをより多く含む微粉
鉱石層17が形成され、その外殻層には、バインダーを
殆んど含まず、水分の表面張力により付着している微粉
鉱石層18が形成されている。
【0018】本発明者等は、上記脆弱な擬似粒子構造を
改善するために、その最外殻層にもバインダーを含有さ
せてバインダー効果を十分発揮させる方法を開発するこ
とを課題とした。こうして、この発明は擬似粒子化され
た焼結原料の崩壊性を抑制し、焼結鉱の生産性及び歩留
の向上を図ることを目的とした。
【0019】
【課題を解決するための手段】上述した観点から、本発
明者等は、焼結原料の事前処理工程における粉鉱石の擬
似粒子化において、微粉鉱石間の結合強度を向上させる
ための試験・研究を行なった。
【0020】その結果、擬似粒子が造粒工程の末期にお
いて成長する最外殻層にバインダーを添加するために
は、造粒工程を第一と第二の工程に分け、第一工程では
バインダーを一部だけ添加して混合機で粉鉱石等の焼結
原料を混合・造粒する。但し、造粒されるのは第一工程
に装入された焼結原料の一部のみである。
【0021】次いで、第一工程で処理された中間段階の
焼結原料を第二工程としてディスクペレタイザに装入す
る。ここで、ディスクペレタイザによる造粒において
は、ディスクペレタイザの構造上及び造粒特性を利用
し、造粒されつつある原料を分級して、図1に示すよう
に、粗粒領域19と細粒領域20とに大きく2つの領域
に区分する。
【0022】粗粒領域19は、ディスク21の回転に伴
い上昇する原料と重力により下降する原料とが交錯して
次第に造粒が進行する領域である。一方、細粒領域20
は、ディスクの回転につれて回転方向に原料が動く領域
である。このようなディスクペレタイザ22による原料
の分級・造粒挙動特性を利用し、上記細粒領域20にバ
インダー25を追加添加する。
【0023】即ち、第二工程においては、バインダーを
微粉鉱石部分に対して重点的に添加する。こうして所要
濃度のバインダーが含有された微粉鉱石が、粗粒領域1
9へ移動・混合するので、粗粒鉱石を核としてその周
りに高濃度バインダーを含む微粉鉱石層が付着形成した
擬似粒子を造粒することができる(新生擬似粒子)。
また、第一工程で既に擬似粒子に成長しているものに対
しては、その外周部表面に更に上記バインダーが添加さ
れた微粉鉱石が付着・形成される(成長擬似粒子)。こ
うして、新生擬似粒子及び成長擬似粒子のいずれにおい
ても、最外殻の微粉鉱石層に所定濃度のバインダーを確
保することが可能となり、擬似粒子のハンドリング過程
及び焼成過程における耐崩壊性を向上させることができ
る。
【0024】この発明は、上記知見に基づきなされたも
のであり、その要旨は次の通りである。
【0025】請求項1記載の焼結原料の事前処理方法
は、高炉用焼結鉱を焼結機で製造するに先立ち、焼結用
の各種原料を事前処理してその各種原料からなる擬似粒
子を造粒形成する方法において、上記事前処理は、第一
工程及び第二工程からなり、その第一工程及び第二工程
は、何れも上記各種原料を混合及び造粒する工程からな
っており、第一工程において上記各種原料が混合され、
調湿され、そして一部造粒されて調製された中間処理原
料を第二工程に装入し、その第二工程において先の中間
処理された原料を下記方法で処理することに特徴を有す
るものである。ここで、上記第二工程における処理方法
とは、混合・造粒装置としてディスクペレタイザを用
い、上記中間処理原料を当該ディスクぺレタイザで処理
中に細粒領域と粗粒領域とに分級し、こうして形成され
た前記細粒領域にバインダーを添加して処理することに
特徴を有するものである。請求項2記載の焼結原料の事
前処理方法は、請求項1記載の発明において、上記第二
工程のペレタイザーにおける処理の上記細粒領域に添加
するバインダーとして、生石灰、消石灰、ベントナイ
ト、焼成ドロマイト及び半焼成ドロマイトからなる物質
群から選ばれた1種以上の粉体を当該細粒領域に吹き付
けるか、又は上記物質群から選ばれた1種以上のスラリ
ー体を当該細粒領域に噴霧することに特徴を有するもの
である。
【0026】請求項3記載の焼結原料の事前処理方法
は、請求項1又は2記載の発明において、上記焼結用各
種原料中に含まれている鉄鉱石として、125μm以下
の微粉鉱石が20〜90%を占める粉鉱石を用い、そし
て、上記バインダーの、第一工程における添加量対第二
工程における添加量を、1:1から1:9の範囲内に調
整することに特徴を有するものである。
【0027】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施の形態を説
明する。
【0028】図2に、この発明の実施に適した焼結原料
の事前処理の概略工程図を示す。配合槽1から、ブレン
ディング粉2、返し鉱3、粉コークス4、生石灰粉5並
びにスラグ成分調整材6をそれぞれ所定量切り出し、こ
れらの原料に水分7を添加し、ドラムミキサー8で調湿
し、混合し、その一部分を造粒する。このようにして、
ドラムミキサー8では、焼結原料の一部分が造粒された
擬似粒子9と、ドラムミキサー8では造粒されなかった
残部の未造粒原料部分9’とが混在する中間処理原料を
調製する。この中間処理原料を複数個の造粒槽24に貯
留する。次いで、各造粒槽24からそれぞれに対応する
ディスクペレタイザ10に中間処理原料を装入して擬似
粒子に造粒する。
【0029】このように、ディスクペレタイザ10で中
間処理原料を更に混合・造粒するに際しては、水分を添
加して調湿すると共に、この発明の最大の特徴である、
ディスク上の細粒領域の粉状原料に、更にバインダーを
追加添加する。
【0030】これは、図1に示したように、細粒領域2
0に、生石灰等のバインダー25を所定量添加するもの
である。添加されたバインダー25が混ざった細粒領域
20の粉状焼結原料は、ディスク上を徐々に下降し、粗
粒領域19の焼結原料と混合しながらその表面に付着・
結合し、擬似粒子の外殻層にバインダーが十分に添加さ
れた微粉鉱石層が形成される。
【0031】なお、ディスク上の粗粒領域には、第一工
程のドラムミキサーで既に形成された擬似粒子が混在し
ている。従って、バインダーが十分に含まれた微粉鉱石
には、上述したように、粗粒粉鉱石を核としてその周り
に付着形成して新たに擬似粒子(「新生擬似粒子」)を
形成する部分と、第一工程での既形成擬似粒子の外周表
面に付着形成し(「成長擬似粒子」)、これを成長させ
る部分とに分かれる。その結果、ディスクぺレタイザか
ら排出される擬似粒子の最外殻の微粉鉱石層には所定濃
度のバインダーが含まれる。
【0032】従って、原料粒子の結合強度が高く、耐崩
壊性が向上した擬似粒子ができあがる。こうして得られ
た擬似粒子26の表面にコーティングミキサー13で粉
コークス12を被覆する。このようにして調製された擬
似粒子からなる焼結原料を焼結機に装入し、所定の操業
条件で焼成して焼結鉱を製造する。
【0033】上記において、焼結用原料に配合する固体
燃料としては、所定粒度の粉コークスを使用すると、擬
似粒子に内・外装されたコークスはいずれも燃焼しやす
く、望ましい。また、バインダーとしては、生石灰、消
石灰、ベントタイト、焼成ドロマイト又は未焼成ドロマ
イトを使用すると、CaO成分がCa(OH)2を生成
し、これが粉体の強力なバインダー機能を発揮する。
【0034】即ち、これらバインダー物質は粉体形態と
することにより上記バインダー機能が発揮され易い。ま
た、これら物質は、水スラリー体に形成して添加する
と、CaO成分からのCa(OH)2 生成に有利であり、
また、飛散防止効果も発揮され、粉体の添加処理をし易
い。
【0035】この発明においては、バインダーの添加を
第二工程のペレタイザーの細粒領域に対して重点的に行
なうので、焼結用原料の粉鉱石粒度が小さく且つその構
成比率が大きい場合でも、擬似粒子最外殻層の原料粒子
間の結合強度を大きくすることができる。
【0036】即ち、Ca(OH)2に富んだ高強度層を最
外殻層にもつ擬似粒子を形成する。例えば、粒径125
μm以下の微粉鉱石が、90%以下であれば、バインダ
ー添加量を多くし且つ第二工程での添加比率を多くする
ことにより、所期のバインダー機能が発揮されて、擬似
粒子の耐崩壊性を良好に確保することができる。
【0037】即ち、この場合のバインダー添加量は、微
粉鉱石比率が高いことを考慮した場合の通常水準の添加
量として、原料重量に対して3〜6%程度とし、第二工
程のディスクぺレタイザにおいて、バインダーの全添加
量の90%を添加すればよい。但し、90%を超える
と、第一工程でのバインダー添加量が少なくなり過ぎ、
第一工程における造粒作用が十分行なわれず、外殻部内
粒子結合が弱くなり、擬似粒子の耐崩壊性が低下する。
【0038】一方、粒径125μm以下の微粉鉱石が2
0%よりも少なくなると、この発明の方法のように、必
ずしも第二工程のディスクぺレタイザの細粒領域にバイ
ンダーを添加する必要はない。この場合は粗粒鉱石の比
率が大きいので、擬似粒子の最外殻層の厚さが薄くなる
ので、例えば、第一工程で調製された中間処理原料に追
加分のバインダーを添加し、次いでディスクぺレタイザ
で混合・造粒しても、Ca(OH)2に比較的富んだ高強
度層をもつ擬似粒子が形成される。
【0039】
【実施例】次に、この発明を実施例によって更に詳細に
説明する。図2に示した装置を用い、粗粒と細粒とが所
定範囲内の比率の粉状各種原料からなる配合原料を、第
一工程のドラムミキサーに装入して、混合及び一部造粒
された中間処理原料を調製し、次いで、第二工程のディ
スクぺレタイザに装入して擬似粒子を造粒する試験を行
なった。使用した原料は、粉鉱石、粉コークス、生石灰
粉、返し鉱及びスラグ成分調整材である。粉鉱石の粒度
構成は、125μm以下の微粉鉱石が30から40%で
あり、バインダーとしての生石灰粉を合計4%添加し
た。
【0040】生石灰の添加方法は、第一工程のドラムミ
キサーへの装入原料中に全量の4%を添加した従来法を
基準とし、第一工程及び第二工程においてそれぞれ2%
ずつ添加したもの、及び4%全量を第二工程で添加した
ものを行なった。第二工程での生石灰添加方法として
は、ディスクぺレタイザの細粒領域の粉状原料に2%添
加した場合(本発明法)、ディスクぺレタイザの粗粒領
域の原料に2%添加した場合(比較法)、ディスクぺレ
タイザへの装入原料にそのコンベアベルト上にて予め2
%添加した場合(比較法)、及び4%全量を上記コンベ
アベルト上原料に予め添加した場合(比較法)について
行なった。
【0041】なお、本発明法については、第2工程終了
後、における水分濃度の水準を変化させた試験も行なっ
た。表1に、上記試験条件をまとめた。
【0042】こうして得られた焼結原料としての擬似粒
子の平均粒径を測定した。また、擬似粒子の乾燥試験を
行ない、乾燥後擬似粒子の平均粒径を測定した。次い
で、乾燥前擬似粒子を焼結原料として焼結機に装入して
焼成し、焼結鉱の製造試験を行ない、操業成績を調査し
た。表2に、これらの試験結果を示す。なお、上記試験
において、乾燥後の擬似粒子平均粒径は、これを乾燥前
の擬似粒子平均粒径と比較することにより、ハンドリン
グ及び焼成過程における粒子の崩壊性を評価した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】 上記結果より、下記事項がわかる。
【0045】本発明の焼結原料の事前処理方法により造
粒した擬似粒子は、実施例1から3のいずれの場合にお
いても、乾燥前後の擬似粒子平均粒径の差は小さく、耐
崩壊性にすぐれていることがわかる。従って、これらの
焼結原料を使用した場合焼結鉱の生産率は高い。また、
装入密度が小さく、焼結時間が短いことからも粒子崩壊
が軽度であったことが推定される。従ってまた、焼結鉱
の成品歩留も良好となる。
【0046】これに対して、本発明範囲外の条件で焼結
原料を事前処理して造粒した擬似粒子は、上記実施例と
比較してその粒子の耐崩壊性に劣る。その理由は次のよ
うに考えられる。比較例1ではバインダーを第一工程の
ドラムミキサーで全量添加したので、第二工程で形成さ
れた擬似粒子外殻層にはバインダーが実質的には含まれ
ず、水の表面張力が主体の粉体原料粒子間結合をもった
微粉鉱石層が形成されたものと推定される。比較例2及
び3では第二工程のディスクぺレタイザへの装入原料全
体に対してバインダーが添加されているので、擬似粒子
の外殻層を形成した微粉鉱石層中濃度が低下したものと
推定される。
【0047】また、比較例3においては第二工程添加の
生石灰粉粒径が粗粒であったために比表面積が小さく、
バインダー機能発揮上、一層不利であった。比較例4に
おいては、第二工程のディスクぺレタイザでバインダー
が添加されたけれども、粗粒領域に対して添加されたの
で、擬似粒子外殻層の微粉鉱石層内の結合強度向上に対
しては寄与しなかった。
【0048】比較例5においては、バインダーの全量を
第二工程で添加したが、ディスクぺレタイザへの装入原
料全体に対して添加したため、実施例1〜3にみられた
ようなバインダー効果は発揮されず、外殻層のバインダ
ー濃度は低下した。このように、比較例ではいずれも擬
似粒子外殻層、特に最外殻層中のバインダー濃度が確保
されなかったので、その耐粒子崩壊性は十分ではなく、
あるいは極めて小さく、本願発明の目的を達成すること
はできなかった。
【0049】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
焼結原料である擬似粒子の外殻層を形成する微粉鉱石層
中に、特に最外殻層中に十分な濃度のバインダーを残留
させることができる。従って、原料鉱石が微粉であって
しかもその構成比率が大きい場合であっても、粉状原料
の事前処理で造粒される擬似粒子は、ハンドリング過程
及び焼結過程での粒子崩壊を軽減させることができる。
これにより、焼結鉱の生産性及び成品歩留が向上する。
このような焼結原料の事前処理方法を提供することがで
き、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の事前処理の第二工程で使用するディ
スクぺレタイザにおける原料の分級状態及びこれにおけ
るバインダー添加場所を説明する概略斜視図である。
【図2】この発明の実施に適した焼結原料の事前処理の
概略工程図である。
【図3】従来の焼結原料事前処理方法の例を説明する概
略工程図である。
【図4】一般的擬似粒子形態の焼結原料の内部構造説明
図である。
【図5】従来の焼結原料事前処理方法により造粒される
脆弱な擬似粒子のモデル断面図である。
【符号の説明】
1:配合槽 2:ブレンディング粉 3:返し鉱 4:粉コークス 5:生石灰粉 6:スラグ成分調整材 7:水分 8:ドラムミキサー 9:擬似粒子 9’:未造粒原料部分 10:ディスクぺレタイザ 11:擬似粒子 12:粉コークス 13:コーティングミキサー 14:核 15:微粉鉱石層 16:擬似粒子 17:バインダーに富む微粉鉱石層 18:バインダーを殆んど含まない微粉鉱石層 19:粗粒領域 20:細粒領域 21:ディスク 22:ディスクぺレタイザ 23:ディスクの中心 24:造粒槽 25:バインダー 26、26’:擬似粒子
フロントページの続き (72)発明者 渡辺 隆 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K001 AA10 BA04 CA33 CA39

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製鉄高炉用焼結鉱を焼結機で製造するに
    先立ち、焼結用各種原料を事前処理して前記各種原料か
    らなる擬似粒子を造粒形成する方法において、前記事前
    処理は、第一工程及び第二工程からなり、前記第一工程
    及び第二工程は、何れも前記各種原料を混合及び造粒す
    る工程からなり、前記第一工程において前記各種原料が
    混合、調湿され、そして、一部造粒されて調製された中
    間処理原料を前記第二工程に装入し、当該第二工程にお
    いて前記中間処理原料を下記方法で処理する、焼結原料
    の事前処理方法において、 前記第二工程における処理方法は、混合・造粒装置とし
    てディスクペレタイザを用い、前記中間処理原料を当該
    ディスクぺレタイザで処理中に細粒領域と粗粒領域とに
    分級し、このようにして形成された前記細粒領域の粉状
    原料にバインダーを添加して処理することを特徴とする
    焼結原料の事前処理方法。
  2. 【請求項2】 前記第二工程のペレタイザーにおいて、
    前記細粒領域に添加する前記バインダーとして、生石
    灰、消石灰、ベントナイト、焼成ドロマイト及び半焼成
    ドロマイトからなる物質群から選ばれた1種以上の粉体
    を当該細粒領域に吹き付けるか、又は前記物質群から選
    ばれた1種以上のスラリー体を当該細粒領域に噴霧する
    ことを特徴とする、請求項1記載の焼結原料の事前処理
    方法。
  3. 【請求項3】 前記焼結用各種原料中に含まれている鉄
    鉱石として、125μm以下の微粉鉱石が20〜90%
    を占める粉鉱石を用い、そして、前記バインダーの、前
    記第一工程における添加量対前記第二工程における添加
    量を、1:1から1:9の範囲内に調整することを特徴
    とする、請求項1又は2記載の焼結原料の事前処理方
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007113087A (ja) * 2005-10-21 2007-05-10 Nisshin Steel Co Ltd 焼結原料の造粒方法
RU2505611C1 (ru) * 2012-08-07 2014-01-27 Виктор Михайлович Павловец Способ получения окатышей
JP2015045059A (ja) * 2013-08-28 2015-03-12 Jfeスチール株式会社 造粒設備および造粒方法
RU2612102C1 (ru) * 2015-11-17 2017-03-02 Виктор Михайлович Павловец Способ получения окатышей

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