JP2006241575A - 焼結原料の事前処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱により分解して気体を発生する熱分解性焼結副原料を使用して焼結鉱を製造する際に、焼結機での通気性を阻害することなく、しかも製造した焼結鉱の焼結性状も良好にすることが可能な焼結原料の事前処理方法を提供する。
【解決手段】熱により分解して気体を発生する熱分解性焼結副原料10を、鉄鉱石粉11及びその他の焼結原料と混合して焼結原料とするに際し、熱分解性焼結副原料10と鉄鉱石粉11とをパンペレタイザーで造粒して、核となる熱分解性焼結副原料10の周囲に鉄鉱石粉11を付着させたペレット状造粒物20を製造し、このペレット状造粒物20をその他の焼結原料と混合する。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱により分解して気体を発生する熱分解性焼結副原料(例えば、ブルーサイト)を使用して焼結原料を製造するための事前処理方法に関する。
従来、高炉で使用される焼結鉱は、鉄鉱石を主原料とし、例えば、石灰石、蛇紋岩、及び珪石の副原料、並びに返鉱及び粉コークスを混合して疑似造粒し、これらを焼結機の火格子上に装入して粉コークスを燃焼させ、鉄鉱石原料と副原料とを焼結させることにより製造されている。
副原料として使用される蛇紋岩は、発生するスラグの流動性を良好にするためのMgO源として使用されているが、SiO2 量が多く、スラグ発生量の増加に繋がる。
そこで、蛇紋岩に代わる焼結副原料として使用でき、しかもSiO2 量が少ないものとして、例えば、マグネサイト及びブルーサイトのいずれか一方又は双方を使用した焼結原料が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−348622号公報
しかしながら、マグネサイト及びブルーサイトは、熱により分解して発生する気体(例えば、蒸気及び二酸化炭素)量が蛇紋岩よりも多く、かつ組織も緻密であるため、混合して疑似造粒した後に焼結パレットへ装入される焼結原料が、火格子上で破裂し粉砕して、火格子上での通気性を阻害し、製造する焼結鉱の歩留り低下を招いていた。
また、粉砕されることによって、MgO成分が鉄鉱石原料及び副原料と反応し易くなり、製造した焼結鉱の例えば強度及び被還元性の焼結性状を悪化させる要因にもなっていた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、熱により分解して気体を発生する熱分解性焼結副原料を使用して焼結鉱を製造する際に、焼結機での通気性を阻害することなく、しかも製造した焼結鉱の焼結性状も良好にすることが可能な焼結原料の事前処理方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る焼結原料の事前処理方法は、熱により分解して気体を発生する熱分解性焼結副原料を、鉄鉱石粉及びその他の焼結原料と混合して焼結原料とするに際し、
前記熱分解性焼結副原料と前記鉄鉱石粉とをパンペレタイザーで造粒して、核となる前記熱分解性焼結副原料の周囲に前記鉄鉱石粉を付着させたペレット状造粒物を製造し、このペレット状造粒物を前記その他の焼結原料と混合する。
また、本発明に係る焼結原料の事前処理方法において、前記核となる熱分解性焼結副原料の粒径は0.5mm以上5mm以下であることが好ましい。
本発明に係る焼結原料の事前処理方法において、前記熱分解性焼結副原料はブルーサイトであることが好ましい。
請求項1〜3記載の焼結原料の事前処理方法は、熱分解性焼結副原料と鉄鉱石粉とをパンペレタイザーで造粒して、熱分解性焼結副原料を核とし、その周囲に鉄鉱石粉を付着させたペレット状造粒物を製造するので、熱分解性焼結副原料が熱割れしてもペレット状造粒物が粉砕して粉々になることを抑制でき、例えば、焼結鉱を製造する際に、焼結機での通気性を阻害することなく、しかも製造した焼結鉱の焼結性状も良好にできる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る焼結原料の事前処理方法の説明図、図2は同焼結原料の事前処理方法を使用して製造したペレット状造粒物の説明図である。
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る焼結原料の事前処理方法は、熱により分解して気体を発生する熱分解性焼結副原料10を、鉄鉱石粉11及びその他の焼結原料(例えば、他の銘柄の鉄鉱石粉、石灰石、蛇紋岩、珪石、返鉱、及び粉コークス)と混合して焼結原料を製造する方法である。
まず、本発明の一実施の形態に係る焼結原料の事前処理方法に使用する焼結原料の製造設備(以下、単に製造設備ともいう)12について説明した後、本発明の一実施の形態に係る焼結原料の事前処理方法について説明する。
図1に示すように、製造設備12は、熱分解性焼結副原料及び鉄鉱石粉が一緒に貯留される複数(本実施の形態では2個)の造粒物用ホッパー群13と、他の焼結原料、即ち他の鉄鉱石粉、石灰石、蛇紋岩、珪石、返鉱、及び粉コークスがそれぞれ貯留される複数の疑似造粒物用ホッパー群14とを有している。造粒物用ホッパー群13と疑似造粒物用ホッパー群14との間には、上流側から下流側へかけて、篩選別機15、混練装置の一例であるアジテータ16、及び造粒物製造装置の一例であるパンペレタイザー(パン式造粒機)17が、順次配置されている。また、疑似造粒物用ホッパー群14の下流側には、造粒機18が設置されている。
まず、造粒物用ホッパー群13から熱分解性焼結副原料及び鉄鉱石粉を、ベルトコンベヤ19に所定量ずつ切り出す。なお、造粒物用ホッパー群13に貯留される熱分解性焼結副原料と鉄鉱石粉との混合比率は、製造される焼結原料の成分組成に応じて設定される。
熱分解性焼結副原料とは、焼結鉱中でMgO源となるものであり、その形態としては、例えば、Mg(OH)2 又はMgCO3 を含むものがある。この熱分解性焼結副原料としては、例えば、ブルーサイト、マグネサイト、及びドロマイトを使用できる。
ここで、ブルーサイト、マグネサイト、ドロマイト、及び従来使用している蛇紋岩の各化学成分を表1に示す。
Figure 2006241575
表1から、明らかなように、熱分解性焼結副原料に含まれるMgO成分量は、20質量%以上62質量%以下であり、従来使用している蛇紋岩の一部又は全部に代わって使用可能な量だけ含まれていることが分かる。一方、スラグの発生量増加に繋がるSiO2 成分量は、熱分解性焼結副原料が蛇紋岩と比較して大幅に低い(蛇紋岩:39質量%、熱分解性焼結副原料:4質量%以下)ことが分かる。
しかし、熱により分解して気体となる量(LOI:強熱減量)は、蛇紋岩が12.5質量%であるのに対し、熱分解性焼結副原料がそれよりも高い15質量%以上50質量%以下(本実施の形態では、30質量%以上48質量%以下)である。
このため、この熱分解性焼結副原料を使用した焼結原料を加熱し焼結鉱を製造するに際しては、熱分解性焼結副原料が分解して気体(例えば、蒸気及び二酸化炭素)が発生し、焼結原料が粉砕され易い。
そこで、篩選別機15で選別された粒径が5mm以下の篩下の熱分解性焼結副原料10を、熱分解性焼結副原料と同様に篩選別機15で選別された粒径が5mm以下の篩下の鉄鉱石粉11と共に混合して造粒する。
ここで、造粒に使用する熱分解性焼結副原料10及び鉄鉱石粉11の粒径をそれぞれ5mm以下にするため、篩選別機15で篩分けしているが、この粒径は製造する焼結原料の造粒物の粒径に応じて、0.5mm以上5mm以下の範囲内で調整できる。これは、通常焼結鉱の製造に使用する焼結原料の平均粒径を考慮して、熱分解性焼結副原料の粒径を0.5mm以上5mm以下に設定した。
また、このブルーサイトには、粒径が0.5mm未満のものが存在してもよい。これは、粒径が0.5mm未満のブルーサイトは、0.5mm以上5mm以下のブルーサイトと比較して、分解して発生する気体量が少なく、焼結原料が粉砕する影響を無視できるからである。
この造粒過程においては、まず熱分解性焼結副原料10と鉄鉱石粉11との混合をアジテータ16を使用して行う。このとき、アジテータ16の出側で、水分が8質量%以上12質量%以下になるように水分を供給し、混練物を製造する。そして、この混練物をパンペレタイザー17へ供給し、混練物を強制的に掻き混ぜ、図2に示すように、粒径が、例えば3mm以上6mm以下のペレット状造粒物20を製造する。
ペレット状造粒物20は、核となる熱分解性焼結副原料10の周囲に鉄鉱石粉11を付着させたものであるので、熱分解性焼結副原料10が熱によって分解して気体が発生した場合においても、例えば、ペレット状造粒物20内部の熱分解性焼結副原料10自体に割れが発生する恐れはあるが、ペレット状造粒物20自体が粉砕することを抑制できる。
次に、造粒されたペレット状造粒物20を、複数の疑似造粒物用ホッパー群14が設置されるベルトコンベヤ21に送る。
なお、熱分解性焼結副原料は粒径が5mm以下のため、篩選別機15の篩下になって篩上になることはない。
ベルトコンベヤ21で搬送されるペレット状造粒物20と、篩上の粒径の大きな鉄鉱石粉は、疑似造粒物用ホッパー群14から所定量ずつ切り出される他の銘柄の鉄鉱石粉、蛇紋岩、珪石、返鉱、及び粉コークス等の焼結原料と共に、造粒機18へ順次供給されて混合される。これにより、ペレット状造粒物20の周囲に、他の銘柄の鉄鉱石粉、石灰石、蛇紋岩、珪石、返鉱、及び粉コークスが付着して、粒径が、例えば1mm以上8mm以下の疑似造粒焼結原料を製造できる。
また、本実施の形態では、造粒機を1台配置しているが、複数台でもよい。また、造粒機としては、例えば、ドラムミキサー及びアイリッヒミキサーのいずれか一方を使用することも、また双方を組み合わせて使用することもできる。
このようにして製造した焼結原料をドラムフィーダ22へ供給し、この焼結原料を所定量ずつ装入装置23を介して焼結機24の無端状に連結された複数の焼結パレット25へ装入した後、点火炉26によって着火して焼結鉱を製造する。
なお、製造された焼結鉱は、焼結機24の下流側に配置される破砕工程にて、クラッシャー及び篩選別機を使用して粒径調整が行われた後、高炉へ供給される。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
焼結鉱の製造に際しては、パンペレタイザー原料であるブルーサイト及び鉄鉱石粉と、このパンペレタイザー原料を除くその他の焼結原料(他の鉄鉱石、石灰石、生石灰、熱源、及びその他)を使用した。これらの配合割合、焼結鉱の製造条件、及びその結果(製品歩留、焼結パレットでの通気度、製品強度(TI)、及び還元率(RDI))を表2に示す。
Figure 2006241575
表2に示すように、実施例1、2、及び従来例1に使用するパンペレタイザー原料とその他の焼結原料の配合割合はいずれも同じである(合計量:100質量%)。なお、実施例1は、ブルーサイトの平均粒径を実施例2よりも小さくした結果である。
また、実施例1、2では、パンペレタイザーを使用してブルーサイトと鉄鉱石粉とを予め造粒しているが、従来例1は、ブルーサイトをパンペレタイザーで造粒することなく使用したものである。この際におけるブルーサイトの平均粒径は2.2mmであった。
ここで、焼結鉱の製造過程で使用する焼結機は、有効焼結面積が600m2 のドワイトロイド式(下方吸引式)である。また、ブルーサイトと鉄鉱石粉の造粒に際して使用したパンペレタイザーは、造粒物の製造容器の内径:6000mm、製造容器の傾斜角度:50〜55度、撹拌羽根の回転数:7rpmである。そして、パンペレタイザー17で製造されたペレット状造粒物とその他の焼結原料との造粒に際して使用した造粒機18としてのアイリッヒミキサーは、内径:23m、有効深さ:0.9m、撹拌羽根の回転数:13rpmである。
実施例1のように、ブルーサイトと鉄鉱石粉とを予め造粒することで、従来例1と比較して、焼結機での製品歩留及び通気度を向上できることを確認できた。また、製造した焼結鉱の品質についても、製品強度及び還元率をそれぞれ向上できた。
なお、実施例2のように、実施例1と比較して平均粒径が大きなブルーサイトを使用した場合については、実施例1と同等か僅かに悪い結果が得られたが、従来例1と比較して、製品歩留、通気度、製品強度、及び還元率をそれぞれ向上できることを確認できた。
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の焼結原料の事前処理方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、熱分解性焼結副原料として、ブルーサイト、マグネサイト、及びドロマイトを使用した場合について説明したが、焼結鉱中でMgO源となるものであり、熱により分解して気体を発生するものであれば、これに限定されるものではない。
本発明の一実施の形態に係る焼結原料の事前処理方法の説明図である。 同焼結原料の事前処理方法を使用して製造したペレット状造粒物の説明図である。
符号の説明
10:熱分解性焼結副原料、11:鉄鉱石粉、12:焼結原料の製造設備、13:造粒物用ホッパー群、14:疑似造粒物用ホッパー群、15:篩選別機、16:アジテータ、17:パンペレタイザー、18:造粒機、19:ベルトコンベヤ、20:ペレット状造粒物、21:ベルトコンベヤ、22:ドラムフィーダ、23:装入装置、24:焼結機、25:焼結パレット、26:点火炉

Claims (3)

  1. 熱により分解して気体を発生する熱分解性焼結副原料を、鉄鉱石粉及びその他の焼結原料と混合して焼結原料とするに際し、
    前記熱分解性焼結副原料と前記鉄鉱石粉とをパンペレタイザーで造粒して、核となる前記熱分解性焼結副原料の周囲に前記鉄鉱石粉を付着させたペレット状造粒物を製造し、このペレット状造粒物を前記その他の焼結原料と混合することを特徴とする焼結原料の事前処理方法。
  2. 請求項1記載の焼結原料の事前処理方法において、前記核となる熱分解性焼結副原料の粒径は0.5mm以上5mm以下であることを特徴とする焼結原料の事前処理方法。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の焼結原料の事前処理方法において、前記熱分解性焼結副原料はブルーサイトであることを特徴とする焼結原料の事前処理方法。
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