JP2004134011A - 光ディスクの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】減圧環境下において、ディスク基板に貼り合わされたカバーシートに残留する応力の分布を均一化して光入射面の寸法精度を向上する。
【解決手段】光ディスク製造装置では、ディスク基板12の記録面上に重ね合わされたカバーシート24に加圧ローラ102を圧接させつつ、この加圧ローラ102をカバーシート24の表面部における一端部から他端部へ転動させ、粘着膜28を介してカバーシート24をディスク基板12の記録面14に貼り合せる加圧貼合工程を、10〜20Paまで減圧された真空槽68内にて行う。これにより、カバーシート24に張力を付与しつつ、このカバーシート24をディスク基板12に隙間無く貼り合わすことができるので、光ディスクにおける光入射面の平面性を向上できる。
【選択図】 図6
【解決手段】光ディスク製造装置では、ディスク基板12の記録面上に重ね合わされたカバーシート24に加圧ローラ102を圧接させつつ、この加圧ローラ102をカバーシート24の表面部における一端部から他端部へ転動させ、粘着膜28を介してカバーシート24をディスク基板12の記録面14に貼り合せる加圧貼合工程を、10〜20Paまで減圧された真空槽68内にて行う。これにより、カバーシート24に張力を付与しつつ、このカバーシート24をディスク基板12に隙間無く貼り合わすことができるので、光ディスクにおける光入射面の平面性を向上できる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク基板の記録面上に薄膜状のカバーシートを貼り合わせて光ディスクを製造する光ディスクの製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光を用いて情報を記録し、又は再生する光ディスクとしては、例えば、CD−R(Compact Disc−recordable)、CD(Compact Disc)、DVD(digitalversatile disc)、DVD−R(digital versatile disc−recordable)等が既に普及しているが、近年、光ディスクに対しては、映像情報等の情報を更に大量に格納したいという要望があり、高密度化の検討が進んでいる。このような光ディスクに対する記録密度は、おおむねディスク上の光ビームのスポットサイズで決まり、このスポットサイズは、レーザ波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、λ/NAに比例する。このため、光ディスクに対する記録密度を高めるためには、レーザ光の短波長化と対物レンズの高NA化が必要となる。しかし、光ディスクの傾きにより発生するコマ収差はNAの3乗に比例して大きくなるため、高NA化によってディスクの傾きに対するマージンが極めて小さくなり、わずかな傾きでもビームスポットがぼやけ、高密度での記録及び再生が実現できなくなる。従って、高密度化に適した従来の光ディスクでは、レーザ光の透過層であるカバー層を十分薄いもの(例えば、0.1mm程度のもの)とし、高NAに伴うディスクの傾きによるコマ収差の増加を抑制する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−31337号公報(第9−10頁、図4)
【0004】
上記のような光ディスクの製造ラインでは、例えば、情報記録層が形成されたディスク基板の記録面上に樹脂フィルムを基材とする薄膜状のカバーシートを貼り合せ、このカバーシートによりディスク基板上に透明なカバー層を形成して光ディスクを製造する。ここで、カバーシートは、樹脂フィルム及びこの樹脂フィルムの片側の面に形成された粘着膜から構成されている。このカバーシートをディスク基板に貼り合わせる際には、例えば、粘着膜を介してカバーシートをディスク基板上に重ね合せてディスク積層体を構成する。この状態では、粘着膜全体がディスク基板の記録面に均一に密着しておらず、カバーシートがディスク基板へ十分な接合力で接合されていない。このため、光ディスクの製造ラインでは、貼合装置によりディスク積層体におけるカバーシートをディスク基板側へ加圧して、カバーシート全体をディスク基板の記録面に均一に密着させる。これにより、ディスク積層体におけるカバーシートがディスク基板へ十分な接合力で貼り合わされて、製品素材として光ディスクが製造される。
【0005】
上記のような貼合装置としては、例えば、粘着膜を上方へ向けた状態で支持テーブル上に載置されたカバーシート上にディスク基板を重ね合わせ、これらのディスク基板及びカバーシートを格納する減圧槽内から空気を排出して所定の真空度まで減圧した後に、この減圧槽内でディスク基板を支持テーブル上のカバーシート側へ加圧してカバーシートをディスク基板に貼り合わせるものがある。このようにカバーシートをディスク基板の記録面に貼り合せる加圧貼合工程を、十分に高い真空度まで減圧された減圧環境下で行うことにより、ディスク基板に貼り合わされたカバーシートと記録面との間にエアーが残留することを防止し、カバーシートとディスク基板の記録面との密着性が低下することを防止できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような貼合装置では、カバーシートを支持テーブル上に載置する際に、カバーシートに僅かに皺、弛み等が生じて、カバーシートの一部が支持テーブルに密着しなくなることがある。このようにカバーシートの一部が支持テーブルに密着していないまま、このカバーシート上にディスク基板を重ね合わせ、カバーシートをディスク基板に貼り合わせた場合には、皺、弛み等が生じていたカバーシートの一部に残留する応力が他の部分に残留する応力よりも大きくなる現象が生じる。このように光ディスクにおけるカバーシートに残留する応力分布が不均一になることは、光ディスクにおける光入射面の寸法精度を低下させる原因となる。
【0007】
本発明の目的は、上記事実を考慮し、減圧環境下において、ディスク基板に貼り合わされたカバーシートに残留する応力の分布を均一化して光入射面の寸法精度を向上できる光ディスクの製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光ディスクの製造方法は、少なくとも片側の面が記録面とされ、該記録面に情報記録層が形成されたディスク基板と、樹脂フィルムの片側の面に粘着膜が成膜されて構成され、該粘着膜を介して前記情報記録層を覆うように前記記録面に貼り合わされるカバーシートと、を有する光ディスクの製造方法であって、前記記録面上に重ね合わされた前記カバーシートに加圧部材を圧接させつつ、該加圧部材を前記カバーシートの表面部における一端部から他端部へ移動させ、前記粘着膜を介してカバーシートを記録面に貼り合せる加圧貼合工程を、大気圧に対して減圧された減圧環境下にて行うことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る光ディスクの製造方法によれば、ディスク基板の記録面上に重ね合わされたカバーシートに加圧部材を圧接させつつ、この加圧部材をカバーシートの表面部における一端部から他端部へ移動させ、粘着膜を介してカバーシートをディスク基板の記録面に貼り合せる加圧貼合工程を、大気圧に対して減圧された減圧環境下にて行うことにより、加圧貼合工程が行われる減圧環境を十分に高い高真空度まで減圧した後、加圧部材を作動させてカバーシートをディスク基板の記録面に貼り合せるようにすれば、ディスク基板の記録面との間に殆どエアーが介在しない状態でカバーシートを記録面上へ加圧できるので、ディスク基板の記録面に貼り合わされたカバーシートと記録面との間にエアーが残留することを防止し、この残留エアーの影響によりカバーシートとディスク基板の記録面との密着性が低下することを効果的に防止できる。
【0010】
さらに、上記のような減圧環境下でのカバーシートのディスク基板への貼合時には、加圧部材によりディスク基板の記録面に貼り合わされるカバーシートに圧縮荷重及び引張り力が作用することから、ディスク基板の貼り合わされるカバーシートに、加圧部材により生じる引張り力に対応する張力を付与しつつ、このカバーシートをディスク基板の記録面に貼り合わすことができるので、減圧環境下にてディスク基板に貼り合わされたカバーシートに残留する応力の分布を均一化できる。
【0011】
この結果、ディスク基板の記録面に貼り合わされたカバーシートを確実に記録面に密着させることができ、かつカバーシートに残留する応力の分布の十分に均一化できるので、光ディスクにおける光入射面の寸法精度を向上できる。
【0012】
また、本願発明に係る光ディスクの製造装置は、少なくとも片側の面が記録面とされ、該記録面に情報記録層が形成されたディスク基板と、樹脂フィルムの片側の面に粘着膜が成膜されて構成され、該粘着膜を介して前記情報記録層を覆うように前記記録面に貼り合わされるカバーシートと、を有する光ディスクの製造装置であって、前記ディスク基板の上方に前記カバーシートを保持しつつ、該カバーシートを、その一端部から他端部へ向かって前記記録面上に重ね合わせて行くシート保持部材と、前記記録面上に重ね合わされた前記カバーシートに圧接しつつ、前記カバーシートの表面部における一端部から他端部へ移動して、前記粘着膜を介してカバーシートを記録面に貼り合せる加圧部材と、前記シート保持部材により前記記録面上に重ね合わされると共に、前記加圧部材により前記記録面に貼り合わされる前記カバーシート及び、該カバーシートが貼り合わされる前記ディスク基板を、大気圧に対して減圧された減圧環境下に保持する減圧手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る光ディスクの製造装置によれば、加圧部材が、ディスク基板の記録面上に重ね合わされたカバーシートに圧接しつつ、カバーシートの表面部における一端部から他端部へ移動し、粘着膜を介してカバーシートをディスク基板の記録面に貼り合せると共に、減圧手段が、カバーシート及びディスク基板を大気圧に対して減圧された減圧環境下に保持することにより、上記した光ディスクの製造方法と同様に、減圧手段により減圧環境を十分に高い高真空度まで減圧した後、加圧部材によりカバーシートをディスク基板の記録面に貼り合せるようにすれば、ディスク基板の記録面に貼り合わされたカバーシートと記録面との間にエアーが残留することを防止し、この残留エアーの影響によりカバーシートとディスク基板の記録面との密着性が低下することを効果的に防止でき、さらに減圧環境下にてディスク基板に貼り合わされたカバーシートに残留する応力の分布を均一化できるので、ディスク基板の記録面に貼り合わされたカバーシートを確実に記録面に密着させ、かつカバーシートに残留する応力の分布の十分に均一化でき、光ディスクにおける光入射面の寸法精度を向上できる。
【0014】
以上説明した本願発明に係る光ディスクの製造方法及び製造装置は、本出願の発明者等が行った実験及びシミュレーションにより得られた知見に基づいて案出されたものであり、具体的には、発明者等が行った実験及びシミュレーションによれば、減圧環境下にてカバーシートをディスク基板に貼り合わせる場合には、ディスク基板上に重ね合わされるカバーシートに一定の張力を付与しつつ、このカバーシートをディスク基板側へ加圧することで、張力を付与することなくカバーシートをディスク基板に貼り合わす場合と比較し、ディスク基板に貼り合わされたカバーシートに残留する応力を均一化できることが明らかになった。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法及び製造装置について図面を参照して説明する。
【0016】
(実施形態の構成)
先ず、本発明の実施形態に係る光ディスクの構成について説明する。図1には、本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法により製造された光ディスクが示されている。この光ディスク10は、従来のDVD−R等の光ディスクに対して高密度の情報記録が可能とされたものであり、例えば、従来の光ディスクと比較して、記録再生用のレーザ光として短波長の青紫レーザ光を用いると共に、ディスク駆動装置の対物レンズの開口数NAを0.85程度まで増大することで、12cm径の光ディスク10に対する片面記録容量が25Gバイト以上に高められている。
【0017】
光ディスク10には、円板状に形成されたディスク基板12が設けられており、このディスク基板12の片側の面は情報の記録面14とされている。このディスク基板12の記録面14側には、光反射層18及び光吸収層20が順に積層されており、これらの光反射層18及び光吸収層20により情報記録層(以下、単に「記録層」という。)16が構成されている。また光ディスク10には、記録層16を覆うようにディスク基板12上に透明なカバー層22が設けられている。このカバー層22は、透明樹脂を素材とするカバーシート24により構成され、その厚さが100μm程度とされている。
【0018】
ディスク基板12は、PC(ポリカーボネイト)等の樹脂を素材としてモールド成形されている。またカバー層22を構成するカバーシート24は、PC(ポリカーボネイト)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明な樹脂フィルム26及び、この樹脂フィルム26の片側の面に形成された粘着膜28からなる。粘着膜28は、公知のアクリル系、ゴム系、シリコン系等の粘着剤により形成されるが、透明性及び耐久性の観点からは、アクリル系粘着剤が望ましい。またカバーシート24における樹脂フィルム26及び粘着膜28のそれぞれの厚さは、カバー層22の設定値に応じて決められるが、例えば、カバー層22の厚さの設定値が100μmの場合には、樹脂フィルム26の厚さが80μmに設定され、粘着膜28の厚さが20μmに設定される。
【0019】
ディスク基板12の中心部には、光ディスク10の回転中心となる軸心SDに沿って円形のセンターホール29が穿設されている。またカバー層22の中心部にも、軸心SDを中心としてセンターホール29と略同一内径を有する円形の開口部30が形成されている。但し、カバー層22については、その内周端がディスク基板12の記録層16よりも内周側に位置していれば良いことから、この位置関係を満たす範囲で、開口部30の内径をセンターホール29の内径よりも大くしても良い。
【0020】
図2には、光ディスクの製造ラインにおける本発明の実施形態に係る光ディスク製造装置が示されている。この光ディスク製造装置40は、モールド成形等により成形されたディスク基板12にカバーシート24を貼り合わせて光ディスク10を製造するためのものであり、光ディスク製造装置40には、光ディスクの製造ラインにてそれぞれ独立した工程を経て製造されたディスク基板12及びカバーシート24が供給される。
【0021】
光ディスク製造装置40には、制御ユニット(図示省略)等を内蔵した本体ケーシング42が設けられており、この本体ケーシング42の上面部には、その中央付近に円板状の第1ターンテーブル44が軸心S1を中心として回転可能に設置されている。この第1ターンテーブル44上には、その軸心S1を中心とする周方向に沿って下部ケーシング45が配置されると共に、この下部ケーシング45内にディスク基板12が載置可能とされた6個のディスク支持台46が設けられている。
【0022】
ここで、図3に示されるように、下部ケーシング45は上方へ向って開口した容器状に形成されており、後述する上部ケーシング110又は上部ケーシング114と共に外部から密閉された真空槽68又は加圧槽70を構成する。またディスク支持台46には、その中心部にそれぞれディスク基板12のセンターホール29に対応するセンターピン48が設けられている。センターピン48は、ディスク支持台46の上面部からの突出長が調整可能とされており、ディスク支持台46上にディスク基板12が載置されると、ディスク支持台46から突出してディスク基板12のセンターホール29内へ嵌挿し、ディスク基板12をディスク支持台46上の中心位置に位置決めする。
【0023】
ディスク支持台46の上面部には多数の吸引穴(図示省略)が開口しており、これらの吸引穴はそれぞれ真空ポンプ等の真空発生装置に接続されている。この真空発生装置は、ディスク支持台46上にディスク基板12が載置されると、ディスク支持台46の各吸引穴へ負圧を供給する。これにより、ディスク基板12が吸引穴内における負圧の作用によりディスク支持台46の上面部に吸着される。
【0024】
図2に示されるように、光ディスク製造装置40には、第1ターンテーブル44の外周側に、ディスク供給ユニット52、第1ターンテーブル44よりも小径の第2ターンテーブル56及び、ディスク搬出ユニット58が設置されている。なお、図2では、ディスク供給ユニット52によりディスク基板12の供給を受ける位置にあるディスク支持台46を起点とし、第1ターンテーブル44の回転方向(反時計方向)に沿って6個のディスク支持台46がそれぞれ保持される位置(周回位置)をP1〜P6として示している。
【0025】
ディスク供給ユニット52は周回位置P1の外周付近に配置されており、このディスク供給ユニット52には、複数枚のディスク基板12が積載可能とされたディスク台60及び、このディスク台60上に積載された複数枚のディスク基板12から1枚のディスク基板12を把持し、この1枚のディスク基板12を周回位置P1にあるディスク支持台46上へ搬送する搬送アーム62が設けられている。
【0026】
光ディスク製造装置40には、周回位置P3に保持されたディスク支持台46の上方に気密構造を有する真空槽68の上部ケーシング110(図3参照)が配置されている。この上部ケーシング110は、図3に示されるように、下方に向った開いた容器状に形成されており、その下端面には全周に亘って弾性を有するシール部材112が取り付けられている。上部ケーシング110は、昇降機構(図示省略)により下部ケーシング45の上方へ離間する開放位置(図3参照)と下部ケーシング45に密着して外部から密閉された真空槽68を構成する閉止位置(図5参照)との間で昇降可能とされている。
【0027】
ここで、上部ケーシング110が閉止位置に下降した際には、上部ケーシング110の下端面と下部ケーシング45の上端面とがシール部材112を介して圧接することにより、ケーシング45,110間の継目がシール部材112により気密状態にシールされる。また真空槽68には、真空ポンプ等の真空発生装置(図示省略)が配管等を通して接続されており、この真空発生装置は、ケーシング45,110により真空槽68が構成されると、真空槽68内の空気を吸入して真空槽68内を所定の真空度まで減圧する。
【0028】
図3〜図6に示されるように、光ディスク製造装置40には、周回位置P3に保持されたディスク支持台46の上方に貼合ユニット54が設けられている。この貼合ユニット54は、ディスク支持台46上に載置されたディスク基板12にカバーシート24を貼り合わせるためのものであり、この貼合ユニット54には、カバーシート24を保持するためのシート搬送台66が設けられている。また光ディスク製造装置40には、周回位置P3に保持されたディスク支持台46のの外周側にシート供給ユニット64が配置されている。
【0029】
図2に示されるように、光ディスク製造装置40には、周回位置P4に保持されたディスク支持台46の上方に下部ケーシング45と共に加圧槽70を構成する上部ケーシング114が配置されている。この上部ケーシング114は、真空槽68の上部ケーシング110と同様に、下方に向った開いた容器状に形成されており、その下端面には全周に亘って弾性を有するシール部材(図示省略)が取り付けられている。
【0030】
加圧槽70の上部ケーシング114も、真空槽68の上部ケーシング110と同様に、昇降機構(図示省略)により下部ケーシング45の上方へ離間する開放位置と下部ケーシング45に密着して外部から密閉された加圧槽70を構成する閉止位置との間で昇降可能とされている。また加圧槽70には、コンプレッサ等の空気圧縮装置(図示省略)が配管等を通して接続されており、この空気圧縮装置は、ケーシング45,114により加圧槽70が構成されると、加圧槽70内に加圧された空気を供給して加圧槽70内を所定の気圧まで加圧する。
【0031】
第2ターンテーブル56は、第1ターンテーブル44上で製造された光ディスク10を一時保管するためのものであり、周回位置P6の外周付近に配置されている。この第2ターンテーブル56上には、その軸心S2を中心とする周方向に沿ってディスク基板12が載置可能とされた4個のディスク支持台72が設けられている。なお、図2では、周回位置P6に保持されたディスク支持台46と最も近接してディスク支持台46の位置を起点とし、第2ターンテーブル56の回転方向(反時計方向)に沿って4個のディスク支持台72がそれぞれ保持される位置(周回位置)をR1〜R4として示している。
【0032】
図2に示されるように、光ディスク製造装置40には第2ターンテーブル56に隣接してディスク搬出ユニット58が設置されており、このディスク搬出ユニット58には、複数枚のディスク基板12がそれぞれ積載可能とされたNGディスク台74及び良品ディスク台76が設けられると共に、周回位置P6に保持されたディスク支持台46、周回位置R1に保持されたディスク支持台72、NGディスク台74及び良品ディスク台76の間で光ディスク10を搬送する搬送アーム78が設けられている。
【0033】
光ディスク製造装置40には、第2ターンテーブル56における周回位置R2に保持されたディスク支持台72の上方に光ディスク10の表面(光入射面)から保護シート(図3参照)を剥離、回収する剥離ユニット80が設置されると共に、周回位置R3に保持されたディスク支持台72の上方に光ディスク10の光入射面の平面性、軸心SDを基準とする傾き量等を検査するための面状検査ユニット82が設置されている。
【0034】
なお、ディスク基板12に貼り合わされるカバーシート24(図3参照)は、長尺帯状の樹脂フィルム26、この樹脂フィルム26の片側の面に形成された粘着膜28、この粘着膜28に貼り付けられた剥離シート88及び、樹脂フィルム26の粘着膜28とは反対側の面に貼り付けられた保護シート90からなる4層構造の積層シート材を加工素材として製造される。具体的には、環状の打抜刃により積層シート材における保護シート、樹脂フィルム26及び粘着膜28を円板状に打抜くことでカバーシート24を成形する。このとき、カバーシート24の粘着膜28に貼り付けられた剥離シート88は、打抜刃により打抜かれることなく長尺帯状のまま残される。この長尺帯状の剥離シート88は、図3に示されるように、積層シート材から打抜かれたカバーシート24を搬送するためのキャリアベースとして用いられる。
【0035】
次に、上記のような光ディスク製造装置40におけるシート供給ユニット64及び貼合ユニット54について詳細に説明する。図3に示されるように、シート供給ユニット64には、長尺帯状の剥離シート88からカバーシート24を剥離しつつ、このカバーシート24を貼合ユニット54のシート搬送台66へ供給するための略クサビ状の剥離ガイド部材84が設けられている。剥離ガイド部材84は、支持部材116を介して上部ケーシング110の外周側に配置された剥離ガイド駆動機構(図示省略)に連結されている。剥離ガイド駆動機構は、剥離ガイド部材84を、上下方向(矢印H方向)及び軸心S1を中心とする第1ターンテーブル44の径方向(矢印D方向)に沿って移動可能に支持しており、剥離ガイド部材84を図3に示されるシート供給位置と上部ケーシング110の外周側に退避させる退避位置との間で移動させる。
【0036】
図3に示されるように、貼合ユニット54のシート搬送台66は内部が中空とされた肉厚板状とされており、このシート搬送台66には、その上面中央部にL字状に屈曲した長尺棒状のスライド部材118の先端部が連結されている。一方、上部ケーシング110には、側壁部の外周側に径方向に沿ってスライド穴120が貫通しており、このスライド穴120内には、スライド部材118が径方向に沿って摺動可能に嵌挿されている。スライド穴120の内周面には、一対のシールリング122,124が配置されており、これらのシールリング122,124はそれぞれスライド部材118の外周面に圧接して、スライド部材118とスライド穴120との間を気密状態にシールしている。
【0037】
シート搬送台66は、スライド部材118を介して上部ケーシング110の外周側に配置された搬送台駆動機構(図示省略)に連結されており、この搬送台駆動機構は、シート搬送台66を第1ターンテーブル44の径方向に沿って所定の貼合開始位置(図5参照)と貼合完了位置との間で移動させる。ここで、シート搬送台66は上下方向(図3の矢印H方向)へは上部ケーシング110と一体となって昇降し、上部ケーシング110が開放位置へ移動すると、ディスク支持台46の上方へ離間した待機位置(図3参照)に移動し、上部ケーシング110が閉止位置へ移動すると、後述する加圧ローラ102をディスク支持台46上のディスク基板12に圧接させる圧接位置(図5参照)に移動する。
【0038】
図3及び図4に示されるように、シート搬送台66には、その下面部に平面状のシート吸着面92が設けられており、このシート吸着面92は、内周側から外周側へ向って所定の角度で上方へ傾斜している。シート搬送台66内には、シート吸着面92に対向して負圧室96が設けられると共に、この負圧室96からシート吸着面92へ貫通する複数の吸引穴98が穿設されている。ここで、負圧室96は、スライド部材118内に配置された吸気配管126を通して真空ポンプ等の真空発生装置(図示省略)に接続されており、この真空発生装置は、シート供給ユニット64によりシート吸着面92にカバーシート24が供給されると、負圧室96内に負圧を供給する。これにより、カバーシート24が吸引穴98からの負圧の作用によりシート吸着面92上に吸着される。
【0039】
シート搬送台66には、内周側の端部に揺動アーム128を介して円柱状の加圧ローラ102が回転可能に取り付けられている。加圧ローラ102は、その軸心がスライド部材118の第1ターンテーブル44の径方向と直交するように配置されると共に、揺動アーム128によりシート搬送台66の厚さ方向(図3の矢印T方向)に沿って揺動可能に支持されている。またシート搬送台66には、揺動アーム128を介して加圧ローラ102を常に下方へ付勢するローラ付勢機構130が設けられており、このローラ付勢機構130はコイルスプリング132の復元力により揺動アーム128を常に下方へ付勢している。
【0040】
加圧ローラ102は、そのローラ面104の表層部がシリコンゴム、ウレタンゴム、バイトン等の弾性材料により形成されると共に、このローラ面104の軸方向に沿った寸法がカバーシート24の直径よりも長くされている。また加圧ローラ102は、揺動アーム128によりシート搬送台66のシート吸着面92に対して内周側であって、そのローラ面104の下端がシート吸着面92よりも僅かに下側となるように支持されている。
【0041】
シート供給ユニット64には、カバーシート24が貼り付けられた長尺帯状の剥離シート88を剥離ガイド部材84の上面部及び下面部に圧接させつつ、この剥離シート88を所定の剥離方向(矢印E方向)へスライドさせるテンション機構(図示省略)が設けられている。このテンション機構が剥離シート88を剥離方向へスライドさせることにより、シート供給ユニット64では、剥離シート88を介してカバーシート24が剥離ガイド部材84の上面部に一定の圧接力で圧接しつつ、剥離ガイド部材84の基端側から先端側へ向って移動する。このとき、剥離ガイド部材84の先端部85付近では、カバーシート24が剥離シート88から剥離する。また剥離ガイド部材84の先端側に形成されたスロープ状の傾斜面86はシート搬送台66のシート吸着面92と平行とされており、図3に示されるように、剥離ガイド部材84がシート供給位置にあり、かつシート搬送台66が貼合開始位置にあるときには、剥離ガイド部材84の傾斜面86はカバーシート24を介してシート吸着面92に密着する。
【0042】
従って、図3に示されるように、剥離ガイド部材84がシート供給位置にある状態から、テンション機構により剥離シート88を剥離方向へスライドさせつつ、剥離ガイド機構により剥離ガイド部材84をシート吸着面92と平行な方向に沿って外周側へ移動させることにより、剥離ガイド部材84の先端部85付近でカバーシート24を剥離シート88から剥離させつつシート吸着面92上へ密着させたままで転移できる。このとき、シート搬送台66の負圧室96へ負圧を供給しておくことにより、図4に示されるように、剥離シート88から剥離されたカバーシート24がシート吸着面92上に吸着される。また剥離ガイド部材84は、カバーシート24をその内周側の一端部が加圧ローラ102のローラ面104に正対するように位置調整した後、このカバーシート24をシート吸着面92へ転移させる。
【0043】
シート供給ユニット64は、カバーシート24がシート吸着面92上に吸着されると、剥離ガイド駆動機構により剥離ガイド部材84を退避位置へ移動させる。この後、昇降機構は、上部ケーシング110を開放位置から閉止位置へ下降させることにより、図5に示されるように、ケーシング45,110により真空槽68を構成すると共に、貼合開始位置にあるシート搬送台66を待機位置から圧接位置へ下降させる。これにより、シート搬送台66の加圧ローラ102が、カバーシート24の内周側の一端部を介してディスク支持台46上のディスク基板12に圧接する。
【0044】
上部ケーシング110が閉止位置に移動して真空槽68が構成されると、真空発生装置が作動して真空槽68内を所定の真空度まで減圧する。このとき、真空槽68内は、10Pa〜20Paの範囲内から選択された設定値になるように真空発生装置により減圧される。なお、このような真空度まで減圧された真空槽68内で、カバーシート24をシート搬送台66のシート吸着面92上に吸着しておくために、シート搬送台66の負圧室96内は、常に真空槽68内の真空度よりも高い真空度(低圧)に保つ必要がある。
【0045】
真空槽68内が所定の真空度まで減圧されると、貼合ユニット54では、搬送台駆動機構により貼合開始位置にあるシート搬送台66を第1ターンテーブル44の径方向に沿って外周側へ移動させる。このとき、加圧ローラ102は、ローラ付勢機構130のコイルスプリング132により設定される所定の荷重値Lでカバーシート24に圧接しつつ、カバーシート24上を貼合開始位置から貼合完了位置側へ転動する。これにより、カバーシート24がシート搬送台66のシート吸着面92上から相対的に内周側へスライドし、カバーシート24のシート吸着面92上から内周側へ延出した部分が加圧ローラ102によりディスク基板12上へ荷重値Lに対応する加圧力で加圧されて行く。このとき、カバーシート24はシート吸着面92からの吸着力に抗してシート吸着面92上を相対的に内周側へスライドする。
【0046】
加圧ローラ102は、シート搬送台66が貼合開始位置から貼合完了位置側へ移動すると、このシート搬送台66と共に外周側へ移動しつつカバーシート24上を転動する。これにより、図5に示されるように、加圧ローラ102からの加圧力によりカバーシート24が、その一端部から他端部側へ向ってディスク基板12に貼り合わされて行き、加圧ローラ102がディスク基板12の外周側へ離脱すると略同時に、カバーシート24のディスク基板12への貼り合わせが完了する。このカバーシート24の貼り合せの開始から完了までの間、カバーシート24には、加圧ローラ102とシート吸着面92との間に張り渡される部分にシート吸着面92による吸引力により対応する張力が付与される。従って、カバーシート24は、シート吸着面92による吸着力に対応する張力が付与されつつ、加圧ローラ102からの加圧力によりディスク基板12に貼り合わされる。
【0047】
ここで、カバーシート24に付与される張力の大きさは、シート搬送台66の負圧室96内における真空度を調整することにより調整可能であり、本実施形態では、このカバーシート24に付与される張力が0.2N〜3.0Nの範囲内から選択された設定値になるように負圧室96内の真空度の大きさが予め設定される。
【0048】
但し、シート吸着面92によるカバーシート24に対する吸着力だけではカバーシート24に付与される張力を十分に大きくできない場合には、例えば、カバーシート24に貼り付けられた保護シートとして磁力により吸引が可能なものを用いて、シート搬送台66に設置した電磁石により保護シートを介してカバーシート24を吸着することや、保護シートとして帯電可能なものを用いて、シート搬送台66に保護シートと逆極性の電圧を印加することで保護シートに静電的な吸引力を作用させ、カバーシート24をシート吸着面92へ吸着することで、カバーシート24に付与される張力を十分に大きなものにすることが可能になる。
【0049】
光ディスク製造装置40では、貼合ユニット54によるカバーシート24のディスク基板12への貼り合わせが完了すると、真空発生装置が真空槽68内を開放して大気圧に戻した後、昇降機構が上部ケーシング110を閉止位置から開放位置へ復帰させる。これにより、第1ターンテーブル44が回転回転可能になり、周回位置P2にあってディスク基板12の載置されているディスク支持台46が周回位置P3へ移動可能になる。
【0050】
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成された光ディスク製造装置40を用いて光ディスク10を製造する製造工程の全体について説明する。
【0051】
光ディスク製造装置40では、先ず、ディスク供給ユニット52の搬送アーム62によりディスク台60上から1枚のディスク基板12が把持され、このディスク基板12が第1ターンテーブル44における周回位置P1にあるディスク支持台46上に載置される。これに同期し、周回位置P1にあるディスク支持台46では、センターピン48が上方へ突出してセンターホール29内へ嵌挿することで、ディスク基板12がディスク支持台46上における中心位置に位置決めされる。
【0052】
第1ターンテーブル44は、ディスク供給ユニット52によりディスク基板12がディスク支持台46上に載置されると、軸心S1を中心として反時計方向へ回転し、ディスク基板12が載置されたディスク支持台46を周回位置P3まで移動させる。この時、シート搬送台66のシート吸着面92上には、既に1枚のカバーシート24が吸着されている。このカバーシート24は、前述したように、真空槽68内における所定の真空度まで減圧された減圧環境下に保持され、貼合ユニット54により周回位置P3にあるディスク支持台46上に載置されたディスク基板12の記録面14に貼り合わされる。
【0053】
第1ターンテーブル44は、カバーシート24のディスク基板12への貼り合わせが完了し、閉止位置にあった真空槽68の上部ケーシング110が開放位置に復帰すると、反時計方向へ回転してディスク基板12及び、これに貼り合わされたカバーシート24が載置されたディスク支持台46を周回位置P5まで移動させる。これに同期し、光ディスク製造装置40は、昇降機構により上部ケーシング114を開放位置から閉止位置へ下降させて加圧槽70を構成した後、空気圧縮装置により加圧槽70内に加圧空気を供給して加圧槽70内の気圧を、50kPa〜200kPaの範囲内から選択された設定値まで上昇させ、この加圧環境下にディスク基板12及びこのディスク基板12に貼り合わされたカバーシート24を所定の時間に亘って保持する。このように加圧環境下にディスク基板12及び、これに貼り合わされたカバーシート24を所定時間に亘って保持することで、カバーシート24がディスク基板12へ均一な接合力で貼り合わされて光ディスク10の製造が完了する。
【0054】
ここで、上記のようにディスク基板12及び、これに貼り合わされたカバーシート24を加圧環境下に所定時間に亘って保持することにより、カバーシート24全体に加圧空気の静圧が均一に作用し、加圧ローラ102からカバーシート24へ加えられた加圧力の分布にムラがあった場合でも、カバーシート24とディスク基板12との接合力を均一化できると共に、カバーシート24のディスク基板12への密着性を向上できる。但し、例えば、加圧ローラ102の剛性を十分に高いものにしたり、又は加圧ローラ102を複数回それぞれ異なる方向に沿ってカバーシート24上を転動させることにより、加圧ローラ102によりカバーシート24へ加えられた加圧力の分布を均一化できるならば、必ずしもディスク基板12及びカバーシート24を加圧槽70内で加圧する必要は無い。
【0055】
光ディスク製造装置40では、ディスク基板12及びカバーシート24が加圧槽70内の加圧環境下に所定の時間に亘り保持されると、空気圧縮装置を停止させると共に、昇降機構により上部ケーシング114を閉止位置から開放位置へ復帰させる。この後、第1ターンテーブル44は、反時計方向へ回転して光ディスク10が載置されたディスク支持台46を周回位置P6まで移動させる。これに同期し、光ディスク製造装置40は、ディスク搬出ユニット58の搬送アーム78により周回位置P6にあるディスク支持台46上に載置された光ディスク10を把持し、この光ディスク10を第2ターンテーブル56における周回位置R1にあるディスク支持台72上に載置する。
【0056】
第2ターンテーブル56は、周回位置R1にあるディスク支持台72上に光ディスク10が載置されると、反時計方向へ間欠的に回転し、光ディスク10が載置されたディスク支持台46を周回位置R2及び周回位置R3にそれぞれ一旦停止させた後、周回位置R4まで移動させる。このとき、剥離ユニット80は、周回位置R2に一旦停止しているディスク支持台72上に載置された光ディスク10から保護シートを剥離し、この保護シートを回収する。
【0057】
また面状検査ユニット82は、周回位置R3に一旦停止しているディスク支持台72上に載置された光ディスク10の上面(光入射面)の平面性、傾き量等の面状を検査する。この面状検査ユニット82による検査結果は、光ディスク製造装置40の制御ユニット(図示省略)へ送信される。制御ユニットは、面状検査ユニット82による検査結果に基づいて、第2ターンテーブル56により周回位置R3まで搬送されてきた光ディスク10が予め決められた品質基準を満たしていないNG品か、品質基準を満たしている良品かを判断する。
【0058】
面状検査ユニット82による検査完了後に、第2ターンテーブル56により光ディスク10が周回位置P4まで搬送されてくると、光ディスク製造装置40の制御ユニットは、周回位置P4にある光ディスク10がNG品である場合には、この光ディスク10を搬送アーム78により把持させ、ディスク支持台72上からNGディスク台74上に搬送してNGディスク台74上に積載し、また周回位置P4にある光ディスク10が良品である場合には、この光ディスク10を搬送アーム78により把持させ、ディスク支持台72上から良品ディスク台76上に搬送して良品ディスク台76上に積載する。これらのディスク台74,76上に積載されたNG品及び良品としての光ディスク10は、それぞれ所定のロット枚数まで貯まると、ディスク台74,76上から再検査工程、塗装工程等の他の工程が行われる装置等へ搬出される。
【0059】
以上説明した本実施形態に係る光ディスク製造装置40により実施される光ディスク10の製造方法によれば、ディスク基板12の記録面14上に重ね合わされたカバーシート24に加圧ローラ102を圧接させつつ、この加圧ローラ102をカバーシート24の表面部における一端部から他端部へ移動させ、粘着膜28を介してカバーシート24をディスク基板12の記録面14に貼り合せる加圧貼合工程を、10Pa〜20Paの範囲内から選択された設定値まで減圧された減圧環境下にて行うことにより、ディスク基板12の記録面14との間に殆どエアーが介在しない状態でカバーシート24を記録面14上へ加圧できるので、ディスク基板12の記録面14に貼り合わされたカバーシート24と記録面14との間にエアーが残留することを防止し、この残留エアーの影響によりカバーシート24とディスク基板12の記録面14との密着性が低下することを効果的に防止できる。
【0060】
さらに、上記のような減圧環境下でのカバーシート24のディスク基板12への貼合時には、加圧ローラ102によりディスク基板12の記録面14に貼り合わされるカバーシート24に荷重値Lの圧縮荷重及び引張り力が作用することから、ディスク基板12の貼り合わされるカバーシート24に、加圧ローラ102及びシート搬送台66により生じる引張り力に対応する張力を付与しつつ、このカバーシート24をディスク基板12の記録面14に貼り合わすことができるので、減圧環境下にてディスク基板12に貼り合わされたカバーシート24に残留する応力の分布を均一化できる。
【0061】
この結果、ディスク基板12の記録面14に貼り合わされたカバーシート24を確実に記録面に密着させることができ、かつカバーシート24に残留する応力の分布の十分に均一化できるので、光ディスク10における光入射面の寸法精度を向上できる。
【0062】
(実施形態の変形例)
図7〜図9には、本実施形態に係る光ディスク製造装置40における貼合ユニット150の変形例が示されている。この貼合ユニット150には、シート供給ユニット64により供給されたカバーシート24を保持するためのシート搬送台152が設けられている。図7に示されるように、シート搬送台152は内部が中空とされた肉厚板状とされており、このシート搬送台152には、その上面中央部に長尺棒状のスライド部材154の下端部が連結されている。一方、上部ケーシング110には、頂板中央部に上下方向に沿ってスライド穴156が貫通しており、このスライド穴156内には、スライド部材154が摺動可能に嵌挿されている。スライド穴156の内周面には、一対のシールリング158,160が配置されており、これらのシールリング158,160はそれぞれスライド部材154の外周面に圧接して、スライド部材154とスライド穴156との間を気密状態にシールしている。
【0063】
シート搬送台152は上下方向(図3の矢印H方向)へは上部ケーシング110と一体となって昇降し、上部ケーシング110が開放位置へ移動すると、ディスク支持台46の上方へ離間した待機位置(図3参照)に移動し、上部ケーシング110が閉止位置へ移動すると、シート吸着面162上に吸着したカバーシート24の一端部をディスク支持台46上のディスク基板12に圧接させる貼合開始位置(図7参照)に移動する。またシート搬送台152には、ヒンジ部164を介してスライド部材154が連結されており、このスライド部材154を介して、シート搬送台152は上部ケーシング110の上方に配置された搬送台駆動機構(図示省略)に連結されている。この搬送台駆動機構は、カバーシート24をディスク基板12へ貼り合せる際に、真空槽68内で貼合開始位置にあるシート搬送台152を下方へ加圧する。
【0064】
図7に示されるように、シート搬送台152には、その下面部に曲面状のシート吸着面162が設けられている。このシート吸着面92は、下方へ向って凸状とされた曲率半径が一定の湾曲面とされている。ここで、シート吸着面162は、その曲率中心が第1ターンテーブル44の径方向と直交する接線方向ヘ直線的に延在し、曲率半径が100mm〜500mmの範囲内から任意に選択された値とされている。シート搬送台66は、ヒンジ部164によりスライド部材154に揺動可能に連結されており、このヒンジ部164は、その中心軸がシート吸着面162の曲率中心と平行となるように配置されている。
【0065】
シート搬送台152内には、シート吸着面162に対向して負圧室166が設けられると共に、この負圧室166からシート吸着面162へ貫通する複数の吸引穴168が穿設されている。ここで、負圧室166は、スライド部材118内に配置された吸気配管172を通して真空ポンプ等の真空発生装置(図示省略)に接続されており、この真空発生装置は、シート供給ユニット64によりシート吸着面92上にカバーシート24が供給されると、負圧室166内に負圧を供給する。これにより、カバーシート24が吸引穴168からの負圧の作用によりシート吸着面162上に吸着される。
【0066】
シート搬送台152は、ヒンジ部164を中心として、図8に示される貼合開始位置と図9に示される貼合完了位置との間で揺動可能とされている。またシート搬送台152は、外周側の端部がコイルスプリング170によりスライド部材154に連結されており、このコイルスプリング170の復元力により常に貼合開始位置に付勢されている。またシート搬送台152のシート吸着面162は、その表層部がシリコンゴム、ウレタンゴム、バイトン等の弾性材料により形成されると共に、ヒンジ部164の軸方向に沿った寸法がカバーシート24の直径よりも十分に長くされている。
【0067】
シート供給ユニット64は、図7に示されるように、上部ケーシング110及びシート搬送台152が開放位置及び待機位置にあるときに、カバーシート24を介して剥離ガイド部材84をシート吸着面162に圧接させつつ、シート搬送台66の場合と同様な方法で、カバーシート24を剥離シート88からシート吸着面162上へ転移させる。このとき、シート搬送台152の負圧室166へ負圧を供給しておくことにより、図7に示されるように、剥離シート88から剥離されたカバーシート24がシート吸着面162上に吸着される。
【0068】
シート供給ユニット64は、カバーシート24がシート吸着面162上に吸着されると、剥離ガイド駆動機構により剥離ガイド部材84を退避位置へ移動させる。この後、昇降機構は、図8に示されるように、上部ケーシング110を開放位置から閉止位置へ下降させてケーシング45,110により真空槽68を構成すると共に、シート搬送台152を貼合開始位置に保持する。これにより、シート吸着面162がカバーシート24の一端部を介してディスク支持台46上に載置されたディスク基板12の一端部に圧接する。
【0069】
上部ケーシング110が閉止位置に移動して真空槽68が構成されると、真空発生装置が作動して真空槽68内を所定の真空度まで減圧する。このとき、真空槽68内は、10Pa〜20Paの範囲内から選択された設定値になるように真空発生装置により減圧される。なお、このような真空度まで減圧された真空槽68内で、カバーシート24をシート搬送台152のシート吸着面162上に吸着しておくために、シート搬送台152の負圧室166内は、常に真空槽68内の真空度よりも高い真空度(低圧)に保つ必要がある。
【0070】
真空槽68内が所定の真空度まで減圧されると、貼合ユニット150では、搬送台駆動機構により貼合開始位置にあるシート搬送台152を下方へ加圧する。これにより、シート搬送台152は、コイルスプリング170の付勢力に抗し、ヒンジ部164を中心として貼合開始位置から貼合完了位置側へ揺動する。このシート搬送台152の貼合開始位置から貼合完了位置側への揺動に伴って、シート吸着面162上に吸着されているカバーシート24は、その一端部から他端部へ向ってシート吸着面92から剥離しつつ、シート吸着面92からの加圧力により一端部から他端部側へ向ってディスク基板12に貼り合わされて行き、シート搬送台152が貼合完了位置まで揺動すると同時に、全体がディスク基板12に貼り合わされる。
【0071】
光ディスク製造装置40では、貼合ユニット150によるカバーシート24のディスク基板12への貼り合わせが完了すると、真空発生装置が真空槽68内を開放して大気圧に戻した後、昇降機構が上部ケーシング110を閉止位置から開放位置へ復帰させる。これにより、第1ターンテーブル44が回転回転可能になり、周回位置P2にあってディスク基板12の載置されているディスク支持台46が周回位置P3へ移動可能になる。
【0072】
上記のように構成された貼合ユニット150を用いた場合でも、ディスク基板12の記録面14に貼り合わされたカバーシート24と記録面14との間にエアーが残留することを防止し、この残留エアーの影響によりカバーシート24とディスク基板12の記録面14との密着性が低下することを効果的に防止できる。この貼合ユニット150は、貼合ユニット54と比較して、カバーシート24をディスク基板12に貼り合わせる際には、カバーシート24に張力を付与できないが、搬送台駆動機構により貼合開始位置にあるシート搬送台152を加圧するだけで貼合完了位置へ移動でき、かつカバーシート24をディスク基板12に貼り合わすことができるので、搬送台駆動機構及びシート搬送台152の構造を簡単なものにできる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る光ディスクの製造方法及び製造装置によれば、減圧環境下において、ディスク基板に貼り合わされたカバーシートに残留する応力の分布を均一化して光入射面の寸法精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスクの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法が実施される光ディスク製造装置の構成を示す平面図である。
【図3】図2に示される光ディスク製造装置におけるシート供給ユニット及び貼合ユニットの構成を示す側面断面図であり、シート供給ユニットによりカバーシートを貼合ユニットに供給している状態を示している。
【図4】図3に示されるシート供給ユニット及び貼合ユニットの構成を示す側面断面図であり、シート供給ユニットによりカバーシートを貼合ユニットに供給完了した状態を示している。
【図5】図2に示されるシート供給ユニット及び貼合ユニットの構成を示す側面断面図であり、貼合ユニットによるカバーシートのディスク基板への貼合開始時の状態を示している。
【図6】図2に示されるシート供給ユニット及び貼合ユニットの構成を示す側面断面図であり、貼合ユニットによりカバーシートをディスク基板に貼り合わせている状態を示している。
【図7】本発明の実施形態に係る光ディスク製造装置における貼合ユニットの変形例の側面断面図であり、シート供給ユニットによりカバーシートを貼合ユニットに供給している状態を示している。
【図8】図7に示される貼合ユニットの側面断面図であり、貼合ユニットによるカバーシートのディスク基板への貼合開始時の状態を示している。
【図9】図7に示される貼合ユニットの側面断面図であり、貼合ユニットによるカバーシートのディスク基板への貼合完了時の状態を示している。
【符号の説明】
10 光ディスク
12 ディスク基板
14 記録面(情報記録面)
24 カバーシート
26 樹脂フィルム
28 粘着膜
40 光ディスク製造装置
66 シート搬送台(シート保持手段)
68 真空槽(減圧手段)
102 加圧ローラ(加圧手段)
126 吸気配管(減圧手段)
152 シート搬送台(シート保持手段、加圧手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク基板の記録面上に薄膜状のカバーシートを貼り合わせて光ディスクを製造する光ディスクの製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光を用いて情報を記録し、又は再生する光ディスクとしては、例えば、CD−R(Compact Disc−recordable)、CD(Compact Disc)、DVD(digitalversatile disc)、DVD−R(digital versatile disc−recordable)等が既に普及しているが、近年、光ディスクに対しては、映像情報等の情報を更に大量に格納したいという要望があり、高密度化の検討が進んでいる。このような光ディスクに対する記録密度は、おおむねディスク上の光ビームのスポットサイズで決まり、このスポットサイズは、レーザ波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、λ/NAに比例する。このため、光ディスクに対する記録密度を高めるためには、レーザ光の短波長化と対物レンズの高NA化が必要となる。しかし、光ディスクの傾きにより発生するコマ収差はNAの3乗に比例して大きくなるため、高NA化によってディスクの傾きに対するマージンが極めて小さくなり、わずかな傾きでもビームスポットがぼやけ、高密度での記録及び再生が実現できなくなる。従って、高密度化に適した従来の光ディスクでは、レーザ光の透過層であるカバー層を十分薄いもの(例えば、0.1mm程度のもの)とし、高NAに伴うディスクの傾きによるコマ収差の増加を抑制する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−31337号公報(第9−10頁、図4)
【0004】
上記のような光ディスクの製造ラインでは、例えば、情報記録層が形成されたディスク基板の記録面上に樹脂フィルムを基材とする薄膜状のカバーシートを貼り合せ、このカバーシートによりディスク基板上に透明なカバー層を形成して光ディスクを製造する。ここで、カバーシートは、樹脂フィルム及びこの樹脂フィルムの片側の面に形成された粘着膜から構成されている。このカバーシートをディスク基板に貼り合わせる際には、例えば、粘着膜を介してカバーシートをディスク基板上に重ね合せてディスク積層体を構成する。この状態では、粘着膜全体がディスク基板の記録面に均一に密着しておらず、カバーシートがディスク基板へ十分な接合力で接合されていない。このため、光ディスクの製造ラインでは、貼合装置によりディスク積層体におけるカバーシートをディスク基板側へ加圧して、カバーシート全体をディスク基板の記録面に均一に密着させる。これにより、ディスク積層体におけるカバーシートがディスク基板へ十分な接合力で貼り合わされて、製品素材として光ディスクが製造される。
【0005】
上記のような貼合装置としては、例えば、粘着膜を上方へ向けた状態で支持テーブル上に載置されたカバーシート上にディスク基板を重ね合わせ、これらのディスク基板及びカバーシートを格納する減圧槽内から空気を排出して所定の真空度まで減圧した後に、この減圧槽内でディスク基板を支持テーブル上のカバーシート側へ加圧してカバーシートをディスク基板に貼り合わせるものがある。このようにカバーシートをディスク基板の記録面に貼り合せる加圧貼合工程を、十分に高い真空度まで減圧された減圧環境下で行うことにより、ディスク基板に貼り合わされたカバーシートと記録面との間にエアーが残留することを防止し、カバーシートとディスク基板の記録面との密着性が低下することを防止できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような貼合装置では、カバーシートを支持テーブル上に載置する際に、カバーシートに僅かに皺、弛み等が生じて、カバーシートの一部が支持テーブルに密着しなくなることがある。このようにカバーシートの一部が支持テーブルに密着していないまま、このカバーシート上にディスク基板を重ね合わせ、カバーシートをディスク基板に貼り合わせた場合には、皺、弛み等が生じていたカバーシートの一部に残留する応力が他の部分に残留する応力よりも大きくなる現象が生じる。このように光ディスクにおけるカバーシートに残留する応力分布が不均一になることは、光ディスクにおける光入射面の寸法精度を低下させる原因となる。
【0007】
本発明の目的は、上記事実を考慮し、減圧環境下において、ディスク基板に貼り合わされたカバーシートに残留する応力の分布を均一化して光入射面の寸法精度を向上できる光ディスクの製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光ディスクの製造方法は、少なくとも片側の面が記録面とされ、該記録面に情報記録層が形成されたディスク基板と、樹脂フィルムの片側の面に粘着膜が成膜されて構成され、該粘着膜を介して前記情報記録層を覆うように前記記録面に貼り合わされるカバーシートと、を有する光ディスクの製造方法であって、前記記録面上に重ね合わされた前記カバーシートに加圧部材を圧接させつつ、該加圧部材を前記カバーシートの表面部における一端部から他端部へ移動させ、前記粘着膜を介してカバーシートを記録面に貼り合せる加圧貼合工程を、大気圧に対して減圧された減圧環境下にて行うことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る光ディスクの製造方法によれば、ディスク基板の記録面上に重ね合わされたカバーシートに加圧部材を圧接させつつ、この加圧部材をカバーシートの表面部における一端部から他端部へ移動させ、粘着膜を介してカバーシートをディスク基板の記録面に貼り合せる加圧貼合工程を、大気圧に対して減圧された減圧環境下にて行うことにより、加圧貼合工程が行われる減圧環境を十分に高い高真空度まで減圧した後、加圧部材を作動させてカバーシートをディスク基板の記録面に貼り合せるようにすれば、ディスク基板の記録面との間に殆どエアーが介在しない状態でカバーシートを記録面上へ加圧できるので、ディスク基板の記録面に貼り合わされたカバーシートと記録面との間にエアーが残留することを防止し、この残留エアーの影響によりカバーシートとディスク基板の記録面との密着性が低下することを効果的に防止できる。
【0010】
さらに、上記のような減圧環境下でのカバーシートのディスク基板への貼合時には、加圧部材によりディスク基板の記録面に貼り合わされるカバーシートに圧縮荷重及び引張り力が作用することから、ディスク基板の貼り合わされるカバーシートに、加圧部材により生じる引張り力に対応する張力を付与しつつ、このカバーシートをディスク基板の記録面に貼り合わすことができるので、減圧環境下にてディスク基板に貼り合わされたカバーシートに残留する応力の分布を均一化できる。
【0011】
この結果、ディスク基板の記録面に貼り合わされたカバーシートを確実に記録面に密着させることができ、かつカバーシートに残留する応力の分布の十分に均一化できるので、光ディスクにおける光入射面の寸法精度を向上できる。
【0012】
また、本願発明に係る光ディスクの製造装置は、少なくとも片側の面が記録面とされ、該記録面に情報記録層が形成されたディスク基板と、樹脂フィルムの片側の面に粘着膜が成膜されて構成され、該粘着膜を介して前記情報記録層を覆うように前記記録面に貼り合わされるカバーシートと、を有する光ディスクの製造装置であって、前記ディスク基板の上方に前記カバーシートを保持しつつ、該カバーシートを、その一端部から他端部へ向かって前記記録面上に重ね合わせて行くシート保持部材と、前記記録面上に重ね合わされた前記カバーシートに圧接しつつ、前記カバーシートの表面部における一端部から他端部へ移動して、前記粘着膜を介してカバーシートを記録面に貼り合せる加圧部材と、前記シート保持部材により前記記録面上に重ね合わされると共に、前記加圧部材により前記記録面に貼り合わされる前記カバーシート及び、該カバーシートが貼り合わされる前記ディスク基板を、大気圧に対して減圧された減圧環境下に保持する減圧手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る光ディスクの製造装置によれば、加圧部材が、ディスク基板の記録面上に重ね合わされたカバーシートに圧接しつつ、カバーシートの表面部における一端部から他端部へ移動し、粘着膜を介してカバーシートをディスク基板の記録面に貼り合せると共に、減圧手段が、カバーシート及びディスク基板を大気圧に対して減圧された減圧環境下に保持することにより、上記した光ディスクの製造方法と同様に、減圧手段により減圧環境を十分に高い高真空度まで減圧した後、加圧部材によりカバーシートをディスク基板の記録面に貼り合せるようにすれば、ディスク基板の記録面に貼り合わされたカバーシートと記録面との間にエアーが残留することを防止し、この残留エアーの影響によりカバーシートとディスク基板の記録面との密着性が低下することを効果的に防止でき、さらに減圧環境下にてディスク基板に貼り合わされたカバーシートに残留する応力の分布を均一化できるので、ディスク基板の記録面に貼り合わされたカバーシートを確実に記録面に密着させ、かつカバーシートに残留する応力の分布の十分に均一化でき、光ディスクにおける光入射面の寸法精度を向上できる。
【0014】
以上説明した本願発明に係る光ディスクの製造方法及び製造装置は、本出願の発明者等が行った実験及びシミュレーションにより得られた知見に基づいて案出されたものであり、具体的には、発明者等が行った実験及びシミュレーションによれば、減圧環境下にてカバーシートをディスク基板に貼り合わせる場合には、ディスク基板上に重ね合わされるカバーシートに一定の張力を付与しつつ、このカバーシートをディスク基板側へ加圧することで、張力を付与することなくカバーシートをディスク基板に貼り合わす場合と比較し、ディスク基板に貼り合わされたカバーシートに残留する応力を均一化できることが明らかになった。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法及び製造装置について図面を参照して説明する。
【0016】
(実施形態の構成)
先ず、本発明の実施形態に係る光ディスクの構成について説明する。図1には、本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法により製造された光ディスクが示されている。この光ディスク10は、従来のDVD−R等の光ディスクに対して高密度の情報記録が可能とされたものであり、例えば、従来の光ディスクと比較して、記録再生用のレーザ光として短波長の青紫レーザ光を用いると共に、ディスク駆動装置の対物レンズの開口数NAを0.85程度まで増大することで、12cm径の光ディスク10に対する片面記録容量が25Gバイト以上に高められている。
【0017】
光ディスク10には、円板状に形成されたディスク基板12が設けられており、このディスク基板12の片側の面は情報の記録面14とされている。このディスク基板12の記録面14側には、光反射層18及び光吸収層20が順に積層されており、これらの光反射層18及び光吸収層20により情報記録層(以下、単に「記録層」という。)16が構成されている。また光ディスク10には、記録層16を覆うようにディスク基板12上に透明なカバー層22が設けられている。このカバー層22は、透明樹脂を素材とするカバーシート24により構成され、その厚さが100μm程度とされている。
【0018】
ディスク基板12は、PC(ポリカーボネイト)等の樹脂を素材としてモールド成形されている。またカバー層22を構成するカバーシート24は、PC(ポリカーボネイト)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明な樹脂フィルム26及び、この樹脂フィルム26の片側の面に形成された粘着膜28からなる。粘着膜28は、公知のアクリル系、ゴム系、シリコン系等の粘着剤により形成されるが、透明性及び耐久性の観点からは、アクリル系粘着剤が望ましい。またカバーシート24における樹脂フィルム26及び粘着膜28のそれぞれの厚さは、カバー層22の設定値に応じて決められるが、例えば、カバー層22の厚さの設定値が100μmの場合には、樹脂フィルム26の厚さが80μmに設定され、粘着膜28の厚さが20μmに設定される。
【0019】
ディスク基板12の中心部には、光ディスク10の回転中心となる軸心SDに沿って円形のセンターホール29が穿設されている。またカバー層22の中心部にも、軸心SDを中心としてセンターホール29と略同一内径を有する円形の開口部30が形成されている。但し、カバー層22については、その内周端がディスク基板12の記録層16よりも内周側に位置していれば良いことから、この位置関係を満たす範囲で、開口部30の内径をセンターホール29の内径よりも大くしても良い。
【0020】
図2には、光ディスクの製造ラインにおける本発明の実施形態に係る光ディスク製造装置が示されている。この光ディスク製造装置40は、モールド成形等により成形されたディスク基板12にカバーシート24を貼り合わせて光ディスク10を製造するためのものであり、光ディスク製造装置40には、光ディスクの製造ラインにてそれぞれ独立した工程を経て製造されたディスク基板12及びカバーシート24が供給される。
【0021】
光ディスク製造装置40には、制御ユニット(図示省略)等を内蔵した本体ケーシング42が設けられており、この本体ケーシング42の上面部には、その中央付近に円板状の第1ターンテーブル44が軸心S1を中心として回転可能に設置されている。この第1ターンテーブル44上には、その軸心S1を中心とする周方向に沿って下部ケーシング45が配置されると共に、この下部ケーシング45内にディスク基板12が載置可能とされた6個のディスク支持台46が設けられている。
【0022】
ここで、図3に示されるように、下部ケーシング45は上方へ向って開口した容器状に形成されており、後述する上部ケーシング110又は上部ケーシング114と共に外部から密閉された真空槽68又は加圧槽70を構成する。またディスク支持台46には、その中心部にそれぞれディスク基板12のセンターホール29に対応するセンターピン48が設けられている。センターピン48は、ディスク支持台46の上面部からの突出長が調整可能とされており、ディスク支持台46上にディスク基板12が載置されると、ディスク支持台46から突出してディスク基板12のセンターホール29内へ嵌挿し、ディスク基板12をディスク支持台46上の中心位置に位置決めする。
【0023】
ディスク支持台46の上面部には多数の吸引穴(図示省略)が開口しており、これらの吸引穴はそれぞれ真空ポンプ等の真空発生装置に接続されている。この真空発生装置は、ディスク支持台46上にディスク基板12が載置されると、ディスク支持台46の各吸引穴へ負圧を供給する。これにより、ディスク基板12が吸引穴内における負圧の作用によりディスク支持台46の上面部に吸着される。
【0024】
図2に示されるように、光ディスク製造装置40には、第1ターンテーブル44の外周側に、ディスク供給ユニット52、第1ターンテーブル44よりも小径の第2ターンテーブル56及び、ディスク搬出ユニット58が設置されている。なお、図2では、ディスク供給ユニット52によりディスク基板12の供給を受ける位置にあるディスク支持台46を起点とし、第1ターンテーブル44の回転方向(反時計方向)に沿って6個のディスク支持台46がそれぞれ保持される位置(周回位置)をP1〜P6として示している。
【0025】
ディスク供給ユニット52は周回位置P1の外周付近に配置されており、このディスク供給ユニット52には、複数枚のディスク基板12が積載可能とされたディスク台60及び、このディスク台60上に積載された複数枚のディスク基板12から1枚のディスク基板12を把持し、この1枚のディスク基板12を周回位置P1にあるディスク支持台46上へ搬送する搬送アーム62が設けられている。
【0026】
光ディスク製造装置40には、周回位置P3に保持されたディスク支持台46の上方に気密構造を有する真空槽68の上部ケーシング110(図3参照)が配置されている。この上部ケーシング110は、図3に示されるように、下方に向った開いた容器状に形成されており、その下端面には全周に亘って弾性を有するシール部材112が取り付けられている。上部ケーシング110は、昇降機構(図示省略)により下部ケーシング45の上方へ離間する開放位置(図3参照)と下部ケーシング45に密着して外部から密閉された真空槽68を構成する閉止位置(図5参照)との間で昇降可能とされている。
【0027】
ここで、上部ケーシング110が閉止位置に下降した際には、上部ケーシング110の下端面と下部ケーシング45の上端面とがシール部材112を介して圧接することにより、ケーシング45,110間の継目がシール部材112により気密状態にシールされる。また真空槽68には、真空ポンプ等の真空発生装置(図示省略)が配管等を通して接続されており、この真空発生装置は、ケーシング45,110により真空槽68が構成されると、真空槽68内の空気を吸入して真空槽68内を所定の真空度まで減圧する。
【0028】
図3〜図6に示されるように、光ディスク製造装置40には、周回位置P3に保持されたディスク支持台46の上方に貼合ユニット54が設けられている。この貼合ユニット54は、ディスク支持台46上に載置されたディスク基板12にカバーシート24を貼り合わせるためのものであり、この貼合ユニット54には、カバーシート24を保持するためのシート搬送台66が設けられている。また光ディスク製造装置40には、周回位置P3に保持されたディスク支持台46のの外周側にシート供給ユニット64が配置されている。
【0029】
図2に示されるように、光ディスク製造装置40には、周回位置P4に保持されたディスク支持台46の上方に下部ケーシング45と共に加圧槽70を構成する上部ケーシング114が配置されている。この上部ケーシング114は、真空槽68の上部ケーシング110と同様に、下方に向った開いた容器状に形成されており、その下端面には全周に亘って弾性を有するシール部材(図示省略)が取り付けられている。
【0030】
加圧槽70の上部ケーシング114も、真空槽68の上部ケーシング110と同様に、昇降機構(図示省略)により下部ケーシング45の上方へ離間する開放位置と下部ケーシング45に密着して外部から密閉された加圧槽70を構成する閉止位置との間で昇降可能とされている。また加圧槽70には、コンプレッサ等の空気圧縮装置(図示省略)が配管等を通して接続されており、この空気圧縮装置は、ケーシング45,114により加圧槽70が構成されると、加圧槽70内に加圧された空気を供給して加圧槽70内を所定の気圧まで加圧する。
【0031】
第2ターンテーブル56は、第1ターンテーブル44上で製造された光ディスク10を一時保管するためのものであり、周回位置P6の外周付近に配置されている。この第2ターンテーブル56上には、その軸心S2を中心とする周方向に沿ってディスク基板12が載置可能とされた4個のディスク支持台72が設けられている。なお、図2では、周回位置P6に保持されたディスク支持台46と最も近接してディスク支持台46の位置を起点とし、第2ターンテーブル56の回転方向(反時計方向)に沿って4個のディスク支持台72がそれぞれ保持される位置(周回位置)をR1〜R4として示している。
【0032】
図2に示されるように、光ディスク製造装置40には第2ターンテーブル56に隣接してディスク搬出ユニット58が設置されており、このディスク搬出ユニット58には、複数枚のディスク基板12がそれぞれ積載可能とされたNGディスク台74及び良品ディスク台76が設けられると共に、周回位置P6に保持されたディスク支持台46、周回位置R1に保持されたディスク支持台72、NGディスク台74及び良品ディスク台76の間で光ディスク10を搬送する搬送アーム78が設けられている。
【0033】
光ディスク製造装置40には、第2ターンテーブル56における周回位置R2に保持されたディスク支持台72の上方に光ディスク10の表面(光入射面)から保護シート(図3参照)を剥離、回収する剥離ユニット80が設置されると共に、周回位置R3に保持されたディスク支持台72の上方に光ディスク10の光入射面の平面性、軸心SDを基準とする傾き量等を検査するための面状検査ユニット82が設置されている。
【0034】
なお、ディスク基板12に貼り合わされるカバーシート24(図3参照)は、長尺帯状の樹脂フィルム26、この樹脂フィルム26の片側の面に形成された粘着膜28、この粘着膜28に貼り付けられた剥離シート88及び、樹脂フィルム26の粘着膜28とは反対側の面に貼り付けられた保護シート90からなる4層構造の積層シート材を加工素材として製造される。具体的には、環状の打抜刃により積層シート材における保護シート、樹脂フィルム26及び粘着膜28を円板状に打抜くことでカバーシート24を成形する。このとき、カバーシート24の粘着膜28に貼り付けられた剥離シート88は、打抜刃により打抜かれることなく長尺帯状のまま残される。この長尺帯状の剥離シート88は、図3に示されるように、積層シート材から打抜かれたカバーシート24を搬送するためのキャリアベースとして用いられる。
【0035】
次に、上記のような光ディスク製造装置40におけるシート供給ユニット64及び貼合ユニット54について詳細に説明する。図3に示されるように、シート供給ユニット64には、長尺帯状の剥離シート88からカバーシート24を剥離しつつ、このカバーシート24を貼合ユニット54のシート搬送台66へ供給するための略クサビ状の剥離ガイド部材84が設けられている。剥離ガイド部材84は、支持部材116を介して上部ケーシング110の外周側に配置された剥離ガイド駆動機構(図示省略)に連結されている。剥離ガイド駆動機構は、剥離ガイド部材84を、上下方向(矢印H方向)及び軸心S1を中心とする第1ターンテーブル44の径方向(矢印D方向)に沿って移動可能に支持しており、剥離ガイド部材84を図3に示されるシート供給位置と上部ケーシング110の外周側に退避させる退避位置との間で移動させる。
【0036】
図3に示されるように、貼合ユニット54のシート搬送台66は内部が中空とされた肉厚板状とされており、このシート搬送台66には、その上面中央部にL字状に屈曲した長尺棒状のスライド部材118の先端部が連結されている。一方、上部ケーシング110には、側壁部の外周側に径方向に沿ってスライド穴120が貫通しており、このスライド穴120内には、スライド部材118が径方向に沿って摺動可能に嵌挿されている。スライド穴120の内周面には、一対のシールリング122,124が配置されており、これらのシールリング122,124はそれぞれスライド部材118の外周面に圧接して、スライド部材118とスライド穴120との間を気密状態にシールしている。
【0037】
シート搬送台66は、スライド部材118を介して上部ケーシング110の外周側に配置された搬送台駆動機構(図示省略)に連結されており、この搬送台駆動機構は、シート搬送台66を第1ターンテーブル44の径方向に沿って所定の貼合開始位置(図5参照)と貼合完了位置との間で移動させる。ここで、シート搬送台66は上下方向(図3の矢印H方向)へは上部ケーシング110と一体となって昇降し、上部ケーシング110が開放位置へ移動すると、ディスク支持台46の上方へ離間した待機位置(図3参照)に移動し、上部ケーシング110が閉止位置へ移動すると、後述する加圧ローラ102をディスク支持台46上のディスク基板12に圧接させる圧接位置(図5参照)に移動する。
【0038】
図3及び図4に示されるように、シート搬送台66には、その下面部に平面状のシート吸着面92が設けられており、このシート吸着面92は、内周側から外周側へ向って所定の角度で上方へ傾斜している。シート搬送台66内には、シート吸着面92に対向して負圧室96が設けられると共に、この負圧室96からシート吸着面92へ貫通する複数の吸引穴98が穿設されている。ここで、負圧室96は、スライド部材118内に配置された吸気配管126を通して真空ポンプ等の真空発生装置(図示省略)に接続されており、この真空発生装置は、シート供給ユニット64によりシート吸着面92にカバーシート24が供給されると、負圧室96内に負圧を供給する。これにより、カバーシート24が吸引穴98からの負圧の作用によりシート吸着面92上に吸着される。
【0039】
シート搬送台66には、内周側の端部に揺動アーム128を介して円柱状の加圧ローラ102が回転可能に取り付けられている。加圧ローラ102は、その軸心がスライド部材118の第1ターンテーブル44の径方向と直交するように配置されると共に、揺動アーム128によりシート搬送台66の厚さ方向(図3の矢印T方向)に沿って揺動可能に支持されている。またシート搬送台66には、揺動アーム128を介して加圧ローラ102を常に下方へ付勢するローラ付勢機構130が設けられており、このローラ付勢機構130はコイルスプリング132の復元力により揺動アーム128を常に下方へ付勢している。
【0040】
加圧ローラ102は、そのローラ面104の表層部がシリコンゴム、ウレタンゴム、バイトン等の弾性材料により形成されると共に、このローラ面104の軸方向に沿った寸法がカバーシート24の直径よりも長くされている。また加圧ローラ102は、揺動アーム128によりシート搬送台66のシート吸着面92に対して内周側であって、そのローラ面104の下端がシート吸着面92よりも僅かに下側となるように支持されている。
【0041】
シート供給ユニット64には、カバーシート24が貼り付けられた長尺帯状の剥離シート88を剥離ガイド部材84の上面部及び下面部に圧接させつつ、この剥離シート88を所定の剥離方向(矢印E方向)へスライドさせるテンション機構(図示省略)が設けられている。このテンション機構が剥離シート88を剥離方向へスライドさせることにより、シート供給ユニット64では、剥離シート88を介してカバーシート24が剥離ガイド部材84の上面部に一定の圧接力で圧接しつつ、剥離ガイド部材84の基端側から先端側へ向って移動する。このとき、剥離ガイド部材84の先端部85付近では、カバーシート24が剥離シート88から剥離する。また剥離ガイド部材84の先端側に形成されたスロープ状の傾斜面86はシート搬送台66のシート吸着面92と平行とされており、図3に示されるように、剥離ガイド部材84がシート供給位置にあり、かつシート搬送台66が貼合開始位置にあるときには、剥離ガイド部材84の傾斜面86はカバーシート24を介してシート吸着面92に密着する。
【0042】
従って、図3に示されるように、剥離ガイド部材84がシート供給位置にある状態から、テンション機構により剥離シート88を剥離方向へスライドさせつつ、剥離ガイド機構により剥離ガイド部材84をシート吸着面92と平行な方向に沿って外周側へ移動させることにより、剥離ガイド部材84の先端部85付近でカバーシート24を剥離シート88から剥離させつつシート吸着面92上へ密着させたままで転移できる。このとき、シート搬送台66の負圧室96へ負圧を供給しておくことにより、図4に示されるように、剥離シート88から剥離されたカバーシート24がシート吸着面92上に吸着される。また剥離ガイド部材84は、カバーシート24をその内周側の一端部が加圧ローラ102のローラ面104に正対するように位置調整した後、このカバーシート24をシート吸着面92へ転移させる。
【0043】
シート供給ユニット64は、カバーシート24がシート吸着面92上に吸着されると、剥離ガイド駆動機構により剥離ガイド部材84を退避位置へ移動させる。この後、昇降機構は、上部ケーシング110を開放位置から閉止位置へ下降させることにより、図5に示されるように、ケーシング45,110により真空槽68を構成すると共に、貼合開始位置にあるシート搬送台66を待機位置から圧接位置へ下降させる。これにより、シート搬送台66の加圧ローラ102が、カバーシート24の内周側の一端部を介してディスク支持台46上のディスク基板12に圧接する。
【0044】
上部ケーシング110が閉止位置に移動して真空槽68が構成されると、真空発生装置が作動して真空槽68内を所定の真空度まで減圧する。このとき、真空槽68内は、10Pa〜20Paの範囲内から選択された設定値になるように真空発生装置により減圧される。なお、このような真空度まで減圧された真空槽68内で、カバーシート24をシート搬送台66のシート吸着面92上に吸着しておくために、シート搬送台66の負圧室96内は、常に真空槽68内の真空度よりも高い真空度(低圧)に保つ必要がある。
【0045】
真空槽68内が所定の真空度まで減圧されると、貼合ユニット54では、搬送台駆動機構により貼合開始位置にあるシート搬送台66を第1ターンテーブル44の径方向に沿って外周側へ移動させる。このとき、加圧ローラ102は、ローラ付勢機構130のコイルスプリング132により設定される所定の荷重値Lでカバーシート24に圧接しつつ、カバーシート24上を貼合開始位置から貼合完了位置側へ転動する。これにより、カバーシート24がシート搬送台66のシート吸着面92上から相対的に内周側へスライドし、カバーシート24のシート吸着面92上から内周側へ延出した部分が加圧ローラ102によりディスク基板12上へ荷重値Lに対応する加圧力で加圧されて行く。このとき、カバーシート24はシート吸着面92からの吸着力に抗してシート吸着面92上を相対的に内周側へスライドする。
【0046】
加圧ローラ102は、シート搬送台66が貼合開始位置から貼合完了位置側へ移動すると、このシート搬送台66と共に外周側へ移動しつつカバーシート24上を転動する。これにより、図5に示されるように、加圧ローラ102からの加圧力によりカバーシート24が、その一端部から他端部側へ向ってディスク基板12に貼り合わされて行き、加圧ローラ102がディスク基板12の外周側へ離脱すると略同時に、カバーシート24のディスク基板12への貼り合わせが完了する。このカバーシート24の貼り合せの開始から完了までの間、カバーシート24には、加圧ローラ102とシート吸着面92との間に張り渡される部分にシート吸着面92による吸引力により対応する張力が付与される。従って、カバーシート24は、シート吸着面92による吸着力に対応する張力が付与されつつ、加圧ローラ102からの加圧力によりディスク基板12に貼り合わされる。
【0047】
ここで、カバーシート24に付与される張力の大きさは、シート搬送台66の負圧室96内における真空度を調整することにより調整可能であり、本実施形態では、このカバーシート24に付与される張力が0.2N〜3.0Nの範囲内から選択された設定値になるように負圧室96内の真空度の大きさが予め設定される。
【0048】
但し、シート吸着面92によるカバーシート24に対する吸着力だけではカバーシート24に付与される張力を十分に大きくできない場合には、例えば、カバーシート24に貼り付けられた保護シートとして磁力により吸引が可能なものを用いて、シート搬送台66に設置した電磁石により保護シートを介してカバーシート24を吸着することや、保護シートとして帯電可能なものを用いて、シート搬送台66に保護シートと逆極性の電圧を印加することで保護シートに静電的な吸引力を作用させ、カバーシート24をシート吸着面92へ吸着することで、カバーシート24に付与される張力を十分に大きなものにすることが可能になる。
【0049】
光ディスク製造装置40では、貼合ユニット54によるカバーシート24のディスク基板12への貼り合わせが完了すると、真空発生装置が真空槽68内を開放して大気圧に戻した後、昇降機構が上部ケーシング110を閉止位置から開放位置へ復帰させる。これにより、第1ターンテーブル44が回転回転可能になり、周回位置P2にあってディスク基板12の載置されているディスク支持台46が周回位置P3へ移動可能になる。
【0050】
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成された光ディスク製造装置40を用いて光ディスク10を製造する製造工程の全体について説明する。
【0051】
光ディスク製造装置40では、先ず、ディスク供給ユニット52の搬送アーム62によりディスク台60上から1枚のディスク基板12が把持され、このディスク基板12が第1ターンテーブル44における周回位置P1にあるディスク支持台46上に載置される。これに同期し、周回位置P1にあるディスク支持台46では、センターピン48が上方へ突出してセンターホール29内へ嵌挿することで、ディスク基板12がディスク支持台46上における中心位置に位置決めされる。
【0052】
第1ターンテーブル44は、ディスク供給ユニット52によりディスク基板12がディスク支持台46上に載置されると、軸心S1を中心として反時計方向へ回転し、ディスク基板12が載置されたディスク支持台46を周回位置P3まで移動させる。この時、シート搬送台66のシート吸着面92上には、既に1枚のカバーシート24が吸着されている。このカバーシート24は、前述したように、真空槽68内における所定の真空度まで減圧された減圧環境下に保持され、貼合ユニット54により周回位置P3にあるディスク支持台46上に載置されたディスク基板12の記録面14に貼り合わされる。
【0053】
第1ターンテーブル44は、カバーシート24のディスク基板12への貼り合わせが完了し、閉止位置にあった真空槽68の上部ケーシング110が開放位置に復帰すると、反時計方向へ回転してディスク基板12及び、これに貼り合わされたカバーシート24が載置されたディスク支持台46を周回位置P5まで移動させる。これに同期し、光ディスク製造装置40は、昇降機構により上部ケーシング114を開放位置から閉止位置へ下降させて加圧槽70を構成した後、空気圧縮装置により加圧槽70内に加圧空気を供給して加圧槽70内の気圧を、50kPa〜200kPaの範囲内から選択された設定値まで上昇させ、この加圧環境下にディスク基板12及びこのディスク基板12に貼り合わされたカバーシート24を所定の時間に亘って保持する。このように加圧環境下にディスク基板12及び、これに貼り合わされたカバーシート24を所定時間に亘って保持することで、カバーシート24がディスク基板12へ均一な接合力で貼り合わされて光ディスク10の製造が完了する。
【0054】
ここで、上記のようにディスク基板12及び、これに貼り合わされたカバーシート24を加圧環境下に所定時間に亘って保持することにより、カバーシート24全体に加圧空気の静圧が均一に作用し、加圧ローラ102からカバーシート24へ加えられた加圧力の分布にムラがあった場合でも、カバーシート24とディスク基板12との接合力を均一化できると共に、カバーシート24のディスク基板12への密着性を向上できる。但し、例えば、加圧ローラ102の剛性を十分に高いものにしたり、又は加圧ローラ102を複数回それぞれ異なる方向に沿ってカバーシート24上を転動させることにより、加圧ローラ102によりカバーシート24へ加えられた加圧力の分布を均一化できるならば、必ずしもディスク基板12及びカバーシート24を加圧槽70内で加圧する必要は無い。
【0055】
光ディスク製造装置40では、ディスク基板12及びカバーシート24が加圧槽70内の加圧環境下に所定の時間に亘り保持されると、空気圧縮装置を停止させると共に、昇降機構により上部ケーシング114を閉止位置から開放位置へ復帰させる。この後、第1ターンテーブル44は、反時計方向へ回転して光ディスク10が載置されたディスク支持台46を周回位置P6まで移動させる。これに同期し、光ディスク製造装置40は、ディスク搬出ユニット58の搬送アーム78により周回位置P6にあるディスク支持台46上に載置された光ディスク10を把持し、この光ディスク10を第2ターンテーブル56における周回位置R1にあるディスク支持台72上に載置する。
【0056】
第2ターンテーブル56は、周回位置R1にあるディスク支持台72上に光ディスク10が載置されると、反時計方向へ間欠的に回転し、光ディスク10が載置されたディスク支持台46を周回位置R2及び周回位置R3にそれぞれ一旦停止させた後、周回位置R4まで移動させる。このとき、剥離ユニット80は、周回位置R2に一旦停止しているディスク支持台72上に載置された光ディスク10から保護シートを剥離し、この保護シートを回収する。
【0057】
また面状検査ユニット82は、周回位置R3に一旦停止しているディスク支持台72上に載置された光ディスク10の上面(光入射面)の平面性、傾き量等の面状を検査する。この面状検査ユニット82による検査結果は、光ディスク製造装置40の制御ユニット(図示省略)へ送信される。制御ユニットは、面状検査ユニット82による検査結果に基づいて、第2ターンテーブル56により周回位置R3まで搬送されてきた光ディスク10が予め決められた品質基準を満たしていないNG品か、品質基準を満たしている良品かを判断する。
【0058】
面状検査ユニット82による検査完了後に、第2ターンテーブル56により光ディスク10が周回位置P4まで搬送されてくると、光ディスク製造装置40の制御ユニットは、周回位置P4にある光ディスク10がNG品である場合には、この光ディスク10を搬送アーム78により把持させ、ディスク支持台72上からNGディスク台74上に搬送してNGディスク台74上に積載し、また周回位置P4にある光ディスク10が良品である場合には、この光ディスク10を搬送アーム78により把持させ、ディスク支持台72上から良品ディスク台76上に搬送して良品ディスク台76上に積載する。これらのディスク台74,76上に積載されたNG品及び良品としての光ディスク10は、それぞれ所定のロット枚数まで貯まると、ディスク台74,76上から再検査工程、塗装工程等の他の工程が行われる装置等へ搬出される。
【0059】
以上説明した本実施形態に係る光ディスク製造装置40により実施される光ディスク10の製造方法によれば、ディスク基板12の記録面14上に重ね合わされたカバーシート24に加圧ローラ102を圧接させつつ、この加圧ローラ102をカバーシート24の表面部における一端部から他端部へ移動させ、粘着膜28を介してカバーシート24をディスク基板12の記録面14に貼り合せる加圧貼合工程を、10Pa〜20Paの範囲内から選択された設定値まで減圧された減圧環境下にて行うことにより、ディスク基板12の記録面14との間に殆どエアーが介在しない状態でカバーシート24を記録面14上へ加圧できるので、ディスク基板12の記録面14に貼り合わされたカバーシート24と記録面14との間にエアーが残留することを防止し、この残留エアーの影響によりカバーシート24とディスク基板12の記録面14との密着性が低下することを効果的に防止できる。
【0060】
さらに、上記のような減圧環境下でのカバーシート24のディスク基板12への貼合時には、加圧ローラ102によりディスク基板12の記録面14に貼り合わされるカバーシート24に荷重値Lの圧縮荷重及び引張り力が作用することから、ディスク基板12の貼り合わされるカバーシート24に、加圧ローラ102及びシート搬送台66により生じる引張り力に対応する張力を付与しつつ、このカバーシート24をディスク基板12の記録面14に貼り合わすことができるので、減圧環境下にてディスク基板12に貼り合わされたカバーシート24に残留する応力の分布を均一化できる。
【0061】
この結果、ディスク基板12の記録面14に貼り合わされたカバーシート24を確実に記録面に密着させることができ、かつカバーシート24に残留する応力の分布の十分に均一化できるので、光ディスク10における光入射面の寸法精度を向上できる。
【0062】
(実施形態の変形例)
図7〜図9には、本実施形態に係る光ディスク製造装置40における貼合ユニット150の変形例が示されている。この貼合ユニット150には、シート供給ユニット64により供給されたカバーシート24を保持するためのシート搬送台152が設けられている。図7に示されるように、シート搬送台152は内部が中空とされた肉厚板状とされており、このシート搬送台152には、その上面中央部に長尺棒状のスライド部材154の下端部が連結されている。一方、上部ケーシング110には、頂板中央部に上下方向に沿ってスライド穴156が貫通しており、このスライド穴156内には、スライド部材154が摺動可能に嵌挿されている。スライド穴156の内周面には、一対のシールリング158,160が配置されており、これらのシールリング158,160はそれぞれスライド部材154の外周面に圧接して、スライド部材154とスライド穴156との間を気密状態にシールしている。
【0063】
シート搬送台152は上下方向(図3の矢印H方向)へは上部ケーシング110と一体となって昇降し、上部ケーシング110が開放位置へ移動すると、ディスク支持台46の上方へ離間した待機位置(図3参照)に移動し、上部ケーシング110が閉止位置へ移動すると、シート吸着面162上に吸着したカバーシート24の一端部をディスク支持台46上のディスク基板12に圧接させる貼合開始位置(図7参照)に移動する。またシート搬送台152には、ヒンジ部164を介してスライド部材154が連結されており、このスライド部材154を介して、シート搬送台152は上部ケーシング110の上方に配置された搬送台駆動機構(図示省略)に連結されている。この搬送台駆動機構は、カバーシート24をディスク基板12へ貼り合せる際に、真空槽68内で貼合開始位置にあるシート搬送台152を下方へ加圧する。
【0064】
図7に示されるように、シート搬送台152には、その下面部に曲面状のシート吸着面162が設けられている。このシート吸着面92は、下方へ向って凸状とされた曲率半径が一定の湾曲面とされている。ここで、シート吸着面162は、その曲率中心が第1ターンテーブル44の径方向と直交する接線方向ヘ直線的に延在し、曲率半径が100mm〜500mmの範囲内から任意に選択された値とされている。シート搬送台66は、ヒンジ部164によりスライド部材154に揺動可能に連結されており、このヒンジ部164は、その中心軸がシート吸着面162の曲率中心と平行となるように配置されている。
【0065】
シート搬送台152内には、シート吸着面162に対向して負圧室166が設けられると共に、この負圧室166からシート吸着面162へ貫通する複数の吸引穴168が穿設されている。ここで、負圧室166は、スライド部材118内に配置された吸気配管172を通して真空ポンプ等の真空発生装置(図示省略)に接続されており、この真空発生装置は、シート供給ユニット64によりシート吸着面92上にカバーシート24が供給されると、負圧室166内に負圧を供給する。これにより、カバーシート24が吸引穴168からの負圧の作用によりシート吸着面162上に吸着される。
【0066】
シート搬送台152は、ヒンジ部164を中心として、図8に示される貼合開始位置と図9に示される貼合完了位置との間で揺動可能とされている。またシート搬送台152は、外周側の端部がコイルスプリング170によりスライド部材154に連結されており、このコイルスプリング170の復元力により常に貼合開始位置に付勢されている。またシート搬送台152のシート吸着面162は、その表層部がシリコンゴム、ウレタンゴム、バイトン等の弾性材料により形成されると共に、ヒンジ部164の軸方向に沿った寸法がカバーシート24の直径よりも十分に長くされている。
【0067】
シート供給ユニット64は、図7に示されるように、上部ケーシング110及びシート搬送台152が開放位置及び待機位置にあるときに、カバーシート24を介して剥離ガイド部材84をシート吸着面162に圧接させつつ、シート搬送台66の場合と同様な方法で、カバーシート24を剥離シート88からシート吸着面162上へ転移させる。このとき、シート搬送台152の負圧室166へ負圧を供給しておくことにより、図7に示されるように、剥離シート88から剥離されたカバーシート24がシート吸着面162上に吸着される。
【0068】
シート供給ユニット64は、カバーシート24がシート吸着面162上に吸着されると、剥離ガイド駆動機構により剥離ガイド部材84を退避位置へ移動させる。この後、昇降機構は、図8に示されるように、上部ケーシング110を開放位置から閉止位置へ下降させてケーシング45,110により真空槽68を構成すると共に、シート搬送台152を貼合開始位置に保持する。これにより、シート吸着面162がカバーシート24の一端部を介してディスク支持台46上に載置されたディスク基板12の一端部に圧接する。
【0069】
上部ケーシング110が閉止位置に移動して真空槽68が構成されると、真空発生装置が作動して真空槽68内を所定の真空度まで減圧する。このとき、真空槽68内は、10Pa〜20Paの範囲内から選択された設定値になるように真空発生装置により減圧される。なお、このような真空度まで減圧された真空槽68内で、カバーシート24をシート搬送台152のシート吸着面162上に吸着しておくために、シート搬送台152の負圧室166内は、常に真空槽68内の真空度よりも高い真空度(低圧)に保つ必要がある。
【0070】
真空槽68内が所定の真空度まで減圧されると、貼合ユニット150では、搬送台駆動機構により貼合開始位置にあるシート搬送台152を下方へ加圧する。これにより、シート搬送台152は、コイルスプリング170の付勢力に抗し、ヒンジ部164を中心として貼合開始位置から貼合完了位置側へ揺動する。このシート搬送台152の貼合開始位置から貼合完了位置側への揺動に伴って、シート吸着面162上に吸着されているカバーシート24は、その一端部から他端部へ向ってシート吸着面92から剥離しつつ、シート吸着面92からの加圧力により一端部から他端部側へ向ってディスク基板12に貼り合わされて行き、シート搬送台152が貼合完了位置まで揺動すると同時に、全体がディスク基板12に貼り合わされる。
【0071】
光ディスク製造装置40では、貼合ユニット150によるカバーシート24のディスク基板12への貼り合わせが完了すると、真空発生装置が真空槽68内を開放して大気圧に戻した後、昇降機構が上部ケーシング110を閉止位置から開放位置へ復帰させる。これにより、第1ターンテーブル44が回転回転可能になり、周回位置P2にあってディスク基板12の載置されているディスク支持台46が周回位置P3へ移動可能になる。
【0072】
上記のように構成された貼合ユニット150を用いた場合でも、ディスク基板12の記録面14に貼り合わされたカバーシート24と記録面14との間にエアーが残留することを防止し、この残留エアーの影響によりカバーシート24とディスク基板12の記録面14との密着性が低下することを効果的に防止できる。この貼合ユニット150は、貼合ユニット54と比較して、カバーシート24をディスク基板12に貼り合わせる際には、カバーシート24に張力を付与できないが、搬送台駆動機構により貼合開始位置にあるシート搬送台152を加圧するだけで貼合完了位置へ移動でき、かつカバーシート24をディスク基板12に貼り合わすことができるので、搬送台駆動機構及びシート搬送台152の構造を簡単なものにできる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る光ディスクの製造方法及び製造装置によれば、減圧環境下において、ディスク基板に貼り合わされたカバーシートに残留する応力の分布を均一化して光入射面の寸法精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスクの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法が実施される光ディスク製造装置の構成を示す平面図である。
【図3】図2に示される光ディスク製造装置におけるシート供給ユニット及び貼合ユニットの構成を示す側面断面図であり、シート供給ユニットによりカバーシートを貼合ユニットに供給している状態を示している。
【図4】図3に示されるシート供給ユニット及び貼合ユニットの構成を示す側面断面図であり、シート供給ユニットによりカバーシートを貼合ユニットに供給完了した状態を示している。
【図5】図2に示されるシート供給ユニット及び貼合ユニットの構成を示す側面断面図であり、貼合ユニットによるカバーシートのディスク基板への貼合開始時の状態を示している。
【図6】図2に示されるシート供給ユニット及び貼合ユニットの構成を示す側面断面図であり、貼合ユニットによりカバーシートをディスク基板に貼り合わせている状態を示している。
【図7】本発明の実施形態に係る光ディスク製造装置における貼合ユニットの変形例の側面断面図であり、シート供給ユニットによりカバーシートを貼合ユニットに供給している状態を示している。
【図8】図7に示される貼合ユニットの側面断面図であり、貼合ユニットによるカバーシートのディスク基板への貼合開始時の状態を示している。
【図9】図7に示される貼合ユニットの側面断面図であり、貼合ユニットによるカバーシートのディスク基板への貼合完了時の状態を示している。
【符号の説明】
10 光ディスク
12 ディスク基板
14 記録面(情報記録面)
24 カバーシート
26 樹脂フィルム
28 粘着膜
40 光ディスク製造装置
66 シート搬送台(シート保持手段)
68 真空槽(減圧手段)
102 加圧ローラ(加圧手段)
126 吸気配管(減圧手段)
152 シート搬送台(シート保持手段、加圧手段)
Claims (6)
- 少なくとも片側の面が記録面とされ、該記録面に情報記録層が形成されたディスク基板と、樹脂フィルムの片側の面に粘着膜が成膜されて構成され、該粘着膜を介して前記情報記録層を覆うように前記記録面に貼り合わされるカバーシートと、を有する光ディスクの製造方法であって、
前記記録面上に重ね合わされた前記カバーシートに加圧部材を圧接させつつ、該加圧部材を前記カバーシートの表面部における一端部から他端部へ移動させ、前記粘着膜を介してカバーシートを記録面に貼り合せる加圧貼合工程を、大気圧に対して減圧された減圧環境下にて行うことを特徴とする光ディスクの製造方法。 - 前記加圧貼合工程が行われる減圧環境の真空度を、10Pa〜20Paの範囲内に設定することを特徴とする請求項1記載の光ディスクの製造方法。
- 前記加圧貼合工程では、前記記録面上に貼り合わされる前記カバーシートに0.2N〜3.0Nの範囲内の張力を付与しつつ、該カバーシートに前記加圧部材を圧接させることを特徴とする請求項1又は2記載の光ディスクの製造方法。
- 前記加圧部材として、前記記録面上に重ね合わされた前記カバーシートに圧接しつつ、該カバーシートを転動する加圧ローラを用いたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の光ディスクの製造方法。
- 前記加圧部材は、100mm〜500mmの範囲内から任意に選択された曲率半径を有する加圧面を有し、該加圧面により吸着保持した前記カバーシートを一端部から他端部へ向って前記記録面上に加圧しつつ、該カバーシートを一端部から他端部へ向って前記加圧面上から離脱させて前記記録面上へ貼り合せることを特徴とする請求項1又は2記載の光ディスクの製造方法。
- 少なくとも片側の面が記録面とされ、該記録面に情報記録層が形成されたディスク基板と、樹脂フィルムの片側の面に粘着膜が成膜されて構成され、該粘着膜を介して前記情報記録層を覆うように前記記録面に貼り合わされるカバーシートと、を有する光ディスクの製造装置であって、
前記ディスク基板の上方に前記カバーシートを保持しつつ、該カバーシートを、その一端部から他端部へ向かって前記記録面上に重ね合わせて行くシート保持部材と、
前記記録面上に重ね合わされた前記カバーシートに圧接しつつ、前記カバーシートの表面部における一端部から他端部へ移動して、前記粘着膜を介してカバーシートを記録面に貼り合せる加圧部材と、
前記シート保持部材により前記記録面上に重ね合わされると共に、前記加圧部材により前記記録面に貼り合わされる前記カバーシート及び、該カバーシートが貼り合わされる前記ディスク基板を、大気圧に対して減圧された減圧環境下に保持する減圧手段と、
を有することを特徴とする光ディスクの製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002297434A JP2004134011A (ja) | 2002-10-10 | 2002-10-10 | 光ディスクの製造方法及び製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002297434A JP2004134011A (ja) | 2002-10-10 | 2002-10-10 | 光ディスクの製造方法及び製造装置 |
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JP2004134011A true JP2004134011A (ja) | 2004-04-30 |
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JP2002297434A Pending JP2004134011A (ja) | 2002-10-10 | 2002-10-10 | 光ディスクの製造方法及び製造装置 |
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JP (1) | JP2004134011A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010225254A (ja) * | 2009-03-25 | 2010-10-07 | Victor Co Of Japan Ltd | 光ディスク製造方法及び光ディスク製造装置 |
-
2002
- 2002-10-10 JP JP2002297434A patent/JP2004134011A/ja active Pending
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