JP2004132428A - 空圧緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】空圧緩衝器を比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下、特に車両のサスペンション等に適用可能なものとして、作動油の廃棄や漏洩による地球環境の悪化を防止することにある。
【解決手段】空圧緩衝器K1に、下室R2と上室R1とを接続するバイパス路B1と、ピストン1またはピストンロッド2に上室R1と下室R2とを連通する連通路Lを設け、バイパス路B1と連通路Lにはそれぞれ減衰弁V1、V3と逆止弁V3、V4を設けて、空圧緩衝器Kに充填される少量の作動油Jが上室R1と下室R2とを循環させ、シリンダ3とピストン1との間を潤滑させるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】空圧緩衝器K1に、下室R2と上室R1とを接続するバイパス路B1と、ピストン1またはピストンロッド2に上室R1と下室R2とを連通する連通路Lを設け、バイパス路B1と連通路Lにはそれぞれ減衰弁V1、V3と逆止弁V3、V4を設けて、空圧緩衝器Kに充填される少量の作動油Jが上室R1と下室R2とを循環させ、シリンダ3とピストン1との間を潤滑させるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両等に搭載される緩衝器に関し、特に車両等のサスペンションとして使用可能な空圧緩衝器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空圧緩衝器としては、図7に示すようなステイダンパ(たとえば、特許文献1参照)や図8に示すエアダンパ(たとえば、特許文献2参照)が知られており、車両のバックドアと車体との間や引き戸と引き戸が滑動自在に挿嵌された枠体との間に介装され、バックドアの開閉やドアの開閉速度の調節等に使用されている。
【0003】
そして、図7に示すステイダンパは、シリンダ43と、シリンダ43内を上室Aと下室Bに区画するピストン40と、シリンダ43にピストン40を介して移動自在に挿入したピストンロッド41と、ピストンに設けた上室と下室を連通する空路44と、空路の途中に設けたオリフィス45とで構成され、シリンダ43内にガスが封入されており、ピストンロッド41がシリンダ43から出没する際にガスが圧縮もしくは膨張すること、および、上記オリフィス45を通過することによりガススプリングおよび緩衝器としての機能を発揮するものである。
【0004】
他方、図8に示すエアダンパは、シリンダ52と、シリンダ52内を上室A1と下室B1に区画するピストン50と、シリンダ52にピストン50を介して移動自在に挿入したピストンロッド51と、ピストンロッド51内に上室A1と下室B1を連通する第1の空路57と、当該第1の空路57の途中に設けたオリフィス58と、ピストン50に設けられた第2の空路55と、第2の空路55の途中に上室A1から下室B1への空気の流れのみを許容するバネ54で付勢された逆止弁53とで構成され、ピストンロッド51がシリンダ53から出没する際に空気が上記オリフィス58または逆止弁53を通過することによって、減衰作用を発生させている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−299818号公報(段落番号0022、図1)
【特許文献2】
特開2002−5212号公報(段落番号0007から0013、図1、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
さて、上述のようなステイダンパやエアダンパ(以下「ステイダンパ等」という。)は、構造が簡単であるから、そのまま車両のサスペンション等として利用できれば加工性や経済性において有利であるが、車両のサスペンション等として使用するには、問題がある。
【0007】
すなわち、ステイダンパ等はその伸縮動作が間欠的な、つまり少頻度・低周波数の伸縮の場合にはあまり問題とならないが、その伸縮動作が連続的、且つ伸縮が高周波数の場合には、シリンダとピストンとの摺動性の確保が困難であり、その結果耐久性にかけるという弊害がある。
【0008】
この弊害を、除去するためにシリンダ内に少量の作動油を充填したり、特開2000−65116号公報に開示されているようにシリンダに油成分を含む熱可塑性エラストマーを使用したり、摺動性能を確保しようとする試みもあるが、作動油を充填しただけでは、ピストンが作動油に浸かるまで伸長もしくは収縮しなければならず、潤滑は不十分であり、シリンダに熱可塑性エラストマーを使用したのでは、特に温度上昇の激しいサスペンションには不向きであり、その耐久性にも問題がある。
【0009】
したがって、上述の種々の問題もあり、車両のサスペンション等に使用される緩衝器は、一般に従来から知られている油圧緩衝器が主流である。
【0010】
しかしながら、従来から知られている油圧緩衝器では、本体内に鉱物性作動油が多量に充填されている。したがって、油圧緩衝器やこの油圧緩衝器が搭載されている車両が寿命を経て廃棄される場合の作動油を処分しなければならず、また、油圧緩衝器に外力が加わり、その結果シリンダにひびがはいる等により油漏れを生じた場合には、作動油が環境汚染を招来する危惧があると指摘される恐れがある。
【0011】
このため、油圧緩衝器に使用する作動油を、環境を汚染しない生分解性作動油とすることが提言されているが、生分解性作動油は極めて高価であり、またこの種の作動油の特性は緩衝器の適正な減衰力を発生させるのに不十分であるので、実用化されていない。
【0012】
したがって、作動油を必要としない空圧緩衝器を使用するほうが、環境の点からは有利であるといえる。
【0013】
そこで、本発明は、上記した不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、空圧緩衝器を比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下、特に車両のサスペンション等に適用可能なものとして、作動油の廃棄や漏洩による地球環境の悪化を防止することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の課題解決手段の空圧緩衝器は、シリンダと、シリンダ内を上室と下室に区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたピストンロッドと、上室と下室とを接続するバイパス路と、ピストンまたはピストンロッドに設けた上室と下室とを連通する連通路とを備え、下室に作動油を充填し、シリンダ内にガスを封入した空圧緩衝器において、上記バイパス路に下室から上室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第1の逆止弁と第1の減衰弁を直列に設けるとともに、上記連通路に上室から下室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第2の逆止弁と第2の減衰弁を直列に設け、作動油を油面が上記バイパス路の下室への接続位置より上方に位置するように下室に充填したことを特徴とする。
【0015】
上記の構成により、ピストンロッドがシリンダ内から退出する、すなわち、空圧緩衝器が伸長する場合には、連通路に設けた第2の逆止弁が下室から上室へのガスの移動を規制するので、下室に接続されているバイパス路の圧力が上昇し、作動油を油面が上記バイパス路の下室への接続位置より上方に位置するように下室に充填しているので、先ず、作動油が第1の逆止弁を開きバイパス路を通過して、上室へ流入する。
【0016】
そして、作動油の油面が上記の接続位置より下方になると、今度はガスがバイパス路内を通過して上室へと流入する。このとき、バイパス路の途中に設けられた第1の減衰弁を作動油およびガスが通過するので、減衰作用を発生することが可能である。
【0017】
かくして、作動油が上室に流入するので、ピストンの上室側面に作動油が溜まるので、ピストンとシリンダとの間に作動油が入り込んで、ピストンとシリンダとの間が潤滑される。
【0018】
今度は、逆にシリンダ内にピストンロッドが侵入する、すなわち、空圧緩衝器が収縮する場合には、バイパス路に設けた第1の逆止弁が上室から下室へのガスの移動を規制するので、上室の圧力が上昇し、ピストンの上室側面に溜まった作動油が連通路に設けた第2の逆止弁を押し開き下室へ流入し、続いて、ガスが上室から下室へ同じく連通路を通過して流入する。そして、シリンダ内に侵入したピストンロッドの体積分の余剰ガスもしくは作動油が下室からバイパス路へ流入し、一部のガスもしくは作動油が第1の減衰弁を通過する。
【0019】
このとき、連通路の途中に設けられた第2の減衰弁およびバイパス路の途中に設けられた第1の減衰弁を作動油およびガスが通過するので、減衰作用を発生することが可能である。
【0020】
上述のように、空圧緩衝器が伸縮動作をすることにより、作動油が下室と上室とを循環することとなり、ピストンとシリンダの間を潤滑することが可能となる。したがって、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンとシリンダの摺動性の確保が可能であり、その耐久性も向上する。
【0021】
さらに、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンの外周に附着した作動油がシリンダとピストンと間を流通するガスの漏洩を防止するので、シール性が向上し安定した減衰力を発生できるという効果もある。
【0022】
そして、空圧緩衝器の摺動性の確保と耐久性の向上が可能となることに加えて、安定した減衰力を発生できるので、特に比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下、たとえば車両のサスペンション等に適用可能となり、その結果、本発明の空圧緩衝器においては、作動油量が大量に必要な油圧緩衝器に比較して、少量の作動油を使用すればよいので、コスト的に有利なだけでなく、空圧緩衝器の廃棄による作動油の処分の点でも有利となり、空圧緩衝器の重量も油圧緩衝器に比較して軽量となり、ひいては作動油の漏れが生じた場合にあっても、作動油量は少量であるから環境汚染を防止できる。
【0023】
また、空圧緩衝器が伸長して、下室の作動油中にピストンが侵入すると、ガスがすべて上室に流入した状態となるので、第1の減衰弁を作動油のみが通過することになり、ガスが第1の減衰弁を通過する場合の流れ抵抗に比較して作動油が第1の減衰弁を通過する場合の流れ抵抗の方が極度に大きいので、ピストンロッドの作動抵抗も上昇し、ピストンとシリンダを封止しているボトム部材との衝突による衝撃を緩和することとなる。したがって、衝撃を緩和することが可能なので、空圧緩衝器の損傷する機会を減少することが可能である。
【0024】
本発明の第2の課題解決手段は、シリンダと、シリンダ内をリザーバ室と作動室とに区画する区画部材と、シリンダ内の作動室を上室と下室に区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたピストンロッドと、リザーバ室と下室とを接続するバイパス路と、リザーバ室と上室とを接続する接続路と、ピストンまたはピストンロッドに設けた上室と下室とを連通する連通路とを備え、下室に作動油を充填し、シリンダ内にガスを封入した空圧緩衝器において、上記接続路にリザーバ室から上室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第1の逆止弁と第1の減衰弁を直列に設けるとともに、上記連通路に上室から下室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第2の逆止弁と第2の減衰弁を直列に設け、作動油を油面が上記バイパス路の下室への接続位置より上方に位置するように下室に充填したことを特徴とする。
【0025】
この場合には、上述の第1の課題解決手段の効果に加えて、一旦区画部材で区画したリザーバ室に作動油を溜めることが可能であるので、ガスと作動油とを分離し易くなるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。
【0026】
また、本発明の第3の課題解決手段は、シリンダと、シリンダ端部を封止するとともにリザーバ室を備えた区画部材と、シリンダ内を上室と下室に区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたピストンロッドと、リザーバ室と下室とを接続するバイパス路と、リザーバ室と上室とを接続する接続路と、ピストンまたはピストンロッドに設けた上室と下室とを連通する連通路とを備え、下室に作動油を充填し、シリンダ内およびリザーバ室内にガスを封入した空圧緩衝器において、上記接続路にリザーバ室から上室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第1の逆止弁と第1の減衰弁を直列に設けるとともに、上記連通路に上室から下室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第2の逆止弁と第2の減衰弁を直列に設け、作動油を油面が上記バイパス路の下室への接続位置より上方に位置するように下室に充填したことを特徴とする。
【0027】
このように、リザーバ室を区画部材に形成しても、第2の課題解決手段と同様の効果を得られる。
【0028】
さらに、本発明の第4の課題解決手段は、第1、2または3の課題解決手段において、ピストンロッドがピストンの下室側端部に設けられていることを特徴とする。
【0029】
したがって、この場合には、ピストンロッドは、常に下室内の作動油に接しているので、ピストンロッドの潤滑も可能となるので、より一層摺動性の向上が可能である。
【0030】
また、本発明の第5の課題解決手段は、第1、2、3または4の課題解決手段において、シリンダの外方に外筒を設け、シリンダと外筒との間の隙間をバイパス路としたことを特徴とする。
【0031】
このように、シリンダと外筒との間にバイパス路を形成したので、空圧緩衝器の外部にバイパス路を設ける必要がなくなるので、空圧緩衝器をコンパクト化でき、車両等への搭載性をも向上させることが可能である。
【0032】
さらに、本発明の第6の課題解決手段は、第1、2、3、4または5の課題解決手段において、ピストンの上室側面に凹部を設けるとともに、上記連通路が当該ピストン凹部の底部に接続されてなることを特徴とする。
【0033】
したがって、ガスより作動油の方が単位体積あたりの重量が重いので、凹部に作動油を溜めることが可能となり、これにより、より一層ガスと作動油とを分離し易くなることに加え、かつ、凹部の底部に連通路が接続されているので、空圧緩衝器が収縮する際に、積極的にガスに優先して作動油を上室から下室へ流入させるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。
【0034】
また、凹部を設けることにより、凹部に作動油を溜めることが可能となるので、速やかに作動油を連通路に導くことが可能となるので、当該空圧緩衝器にあっては、円滑に潤滑を行うことができる。
【0035】
そして、また、本発明の第7の課題解決手段は、第2、3、4、5または6の課題解決手段において、区画部材のリザーバ室側面に凹部を設けるとともに、上記接続路が当該凹部の底部に接続されることを特徴とする。
【0036】
したがって、第6の課題解決手段と同様に、凹部に作動油を溜めることが可能となり、これにより、より一層ガスと作動油とを分離し易くなることに加え、かつ、凹部の底部に接続路が接続されているので、空圧緩衝器が伸長する際に、積極的にガスに優先して作動油をリザーバ室から上室へ流入させるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。
【0037】
また、凹部を設けることにより、凹部に作動油を溜めることが可能となるので、速やかに作動油を接続路に導くことが可能となるので、当該空圧緩衝器にあっては、円滑に潤滑を行うことができる。
【0038】
そして、さらに、本発明の第8の課題解決手段は、第1、2、3、4、5、6または7の課題解決手段において、ピストンの上室側面の外周に面取りを施したことを特徴とする。
【0039】
したがって、上室に流入した作動油が、ピストンの外周に設けた面取り部分に溜まるので、シリンダとピストンとの間の潤滑を円滑に行うことができ、さらに、この面取り部分に作動油が溜まることにより、より一層シリンダとピストンと間を流通するガスの漏洩を防止するので、シール性が向上し安定した減衰力を発生させるという効果がある。
【0040】
また、さらに、本発明の第9の課題解決手段は、第1、2、3、4、5、6、7または8の課題解決手段において、下室の作動油の油面に浮遊可能なフロートを設けたことを特徴とする。
【0041】
この場合には、空圧緩衝器が振動を負荷された場合にも、作動油の油面が波立って、ガスと作動油が混ざり合うのを、油面に浮遊するフロートが防止するので、安定した減衰力が得られるという効果がある。
【0042】
そして、また、本発明の第10の課題解決手段は、第1、2、3、4、5、6、7、8または9の課題解決手段において、第1の逆止弁と第1の減衰弁が一体に形成されるとともに、第2の逆止弁と第2の減衰弁が一体に形成されることを特徴とする。
【0043】
第1の逆止弁と第1の減衰弁を一体に形成し、かつ、第2の逆止弁と第2の減衰弁を一体に形成したので、逆止弁と減衰弁を独立して設けなくて済むので、弁自体を小型化可能であり、これにより、空圧緩衝器のコンパクト化が図れる。
【0044】
また、さらに、本発明の第11の課題解決手段は、第1、2、3、4、5、6、7、8または9の課題解決手段において、第1の逆止弁が上記第1の減衰弁よりガスの流れの下流に設けられるとともに、第2の逆止弁が上記第2の減衰弁よりガスの流れの下流に設けられることを特徴とする。
【0045】
この場合には、逆止弁に減衰弁としての機能を付加させておけば、減衰特性を調節することが可能であるので、この空圧緩衝器を様々な車両に適用可能となる。
【0046】
また、さらに、本発明の第12の課題解決手段は、第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の課題解決手段において、接続路および第1の減衰弁および第1の逆止弁が区画部材に設けられることを特徴とする。
【0047】
したがって、区画部材に第1の逆止弁と第1の減衰弁を設けているので、シリンダ外に第1の逆止弁と第1の減衰弁を設けるのに比較して、空圧緩衝器をいたずらに空圧緩衝器を大型化しなくてすみ、コンパクト化することが可能である。
【0048】
そして、本発明の第13の課題解決手段は、第3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の課題解決手段において、ピストンロッドの端部が車軸側に接続され、シリンダが車体側に接続されることにより、車両に介装されることを特徴とする。
【0049】
この空圧緩衝器は、上述のような各作用効果を奏するので、特に車両のサスペンションに使用された場合にその効果が高い。
【0050】
さらに、本発明の第14の課題解決手段は、シリンダと、シリンダ内を上室と下室に区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたピストンロッドと、上室と下室とを接続するバイパス路と、ピストンまたはピストンロッドに設けた上室と下室とを連通する連通路とを備え、下室に作動油を充填し、シリンダ内にガスを封入した空圧緩衝器において、上記作動油を上室と下室とに循環させる作動油循環手段を備えたことを特徴とする。
【0051】
この場合には、下室に充填した作動油が作動油循環手段によって上室と下室とに循環するので、ピストンとシリンダの間を潤滑することが可能となる。したがって、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンとシリンダの摺動性の確保が可能であり、その耐久性も向上する。
【0052】
そして、空圧緩衝器の摺動性の確保と耐久性の向上が可能となることに加えて、安定した減衰力を発生できるので、特に比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下、たとえば車両のサスペンション等に適用可能となり、その結果、本発明の空圧緩衝器においては、作動油量が大量に必要な油圧緩衝器に比較して、少量の作動油を使用すればよいので、コスト的に有利なだけでなく、空圧緩衝器の廃棄による作動油の処分の点でも有利となり、空圧緩衝器の重量も油圧緩衝器に比較して軽量となり、ひいては作動油の漏れが生じた場合にあっても、作動油量は少量であるから環境汚染を防止できる。
【0053】
【発明の実施の形態】
本発明の空圧緩衝器には、図1に示す第1の実施の形態と、図2に示す第2の実施の形態と、図3に示す第3の実施の形態とがあり、以下各実施の形態ごとに説明する。
【0054】
第1の実施の形態における空圧緩衝器K1は、図1に示すように、シリンダ3と、シリンダ3内をリザーバ室Rと、作動室たる上室R1および下室R2と、に区画する区画部材たるバルブケース5と、作動室を上室R1と下室R2とに区画するピストン1と、シリンダ3内にピストン1を介して移動自在に挿入されたピストンロッド2と、上記リザーバ室Rと下室R2とを接続するバイパス路B1とで構成され、シリンダ3内にはガスが封入されるとともに下室R2には作動油Jが充填されている。
【0055】
以下、各部材について詳細に説明すると、シリンダ3の上端には車体側に接続可能なようにアイ型ブラケット7が設けられ、シリンダ3の上方および下方の側面にはシリンダ3内外を連通する孔3a、3dが穿設されている。この孔3a、3bはシリンダ3外部に設けたバイパス路B1に接続されている。また、シリンダ3の下方の開口部にはピストンロッド2を挿入可能なように孔(付示せず)を設けた封止部材6が設けられている。なお、本実施の形態ではシリンダ3を有底筒状のものとしているが、たとえば、シリンダ3を筒状として、その上開口端を封止するヘッド部材を別途設けてもよい。
【0056】
また、本実施の形態では、シリンダ3の上方および下方の側面にバイパス路B1に接続する各孔3a、3bを穿設しているが、孔3aを封止部材の下室側面から外方に向けて設けて、シリンダ3を迂回するように下方からバイパス路と下室とを接続してもよく、同様に孔3bもシリンダ3の上面に設けるか、ヘッド部材を別途を設ける場合にはシリンダ3に孔3bを穿設するのではなくヘッド部材に孔3bを設けるとしてもよい。
【0057】
特に、ヘッド部材を設ける場合には、シリンダ3に直接各孔3a、3bを設ける必要が無いので、いたずらにシリンダ3の強度を低下させることも無く、また、後述するように作動油Jの充填量は、バイパス路の下室R2への接続位置が影響し、孔3aの穿設位置は下室R2の最下方近傍に設けることが好ましいので、封止部材6側に孔3aを設けると作動油Jの充填量も少なくできる点で有利である。
【0058】
バルブケース5は、バルブケース本体5aとバルブケース5の上面、すなわちリザーバ室R側面に、凹部5bを設けてあり、この凹部5bの底部にリザーバ室Rと上室R1とを接続する接続路Sが設けられ、さらに、接続路Sの途中には、第1の減衰弁V1とその第1の減衰弁V1の下方にリザーバ室Rから上室R1へと向うガスおよび作動油の流れのみを許容する第1の逆止弁V2が設けられている。したがって、ガスまたは作動油の流れの上流に第1の減衰弁V1が位置している。この場合には、逆止弁をも減衰弁としての機能を付加させておけば、減衰特性を調節することが可能であるので、この空圧緩衝器を様々な車両に適用可能となる。また、区画部材たるバルブケース5に第1の減衰弁V1と第1の逆止弁V2を設けているので、シリンダ外に第1の減衰弁V1と第1の逆止弁V2を設けるのに比較して、空圧緩衝器K1をいたずらに大型化しなくてすみ、コンパクト化することが可能である。
【0059】
ピストン1は、ピストンロッド2の上端に接続されており、ピストン本体1aと、ピストン1の上面、すなわち上室R1側面に凹部1bとピストン1の外周であって、上室R1側面に面取り部1cが設けられるとともに、上記凹部1bの底部に上室R1と下室R2とを連通する連通路Lが設けられ、さらに、連通路Lの途中には、第2の減衰弁V3とその第2の減衰弁V4の下方に上室R1から下室R2へと向うガスおよび作動油の流れのみを許容する第2の逆止弁V2が設けられている。したがって、ガスまたは作動油の流れの上流に第2の減衰弁V3が位置している。
【0060】
なお、図示はしないが、ピストン1の外周にはブッシュ等を設けてその摺動性および気密性を確保することが好ましい。また、この第2の減衰弁V3と第2の逆止弁V4は、図示するところでは、ピストン1に配在しているが、図示しないが、このピストン1に連設されるピストンロッド2に、特に、ピストン1を連設させるピストンロッド2における先端部あるいは先端近傍部に配在されることとしてもよい。
【0061】
ちなみに、各減衰弁V1、V3にはオリフィスやリーフバルブ等の種々の減衰力を発生可能なものを使用すればよい。
【0062】
ピストンロッド2は、上述のように上端にピストン1が接続されているが、他端にアイ型ブラケット8を備えており、シリンダ3内に封止部材6の孔に挿入されるが、このとき、封止部材6に設けたブッシュ6bよりシリンダ3とピストンロッド2がシールされるので、シリンダ3内は密閉されるとともに、シリンダ3に対するピストンロッド2の摺動性が確保されるとともに、軸ぶれが防止されることとなる。
【0063】
他方、ガス(付示せず)は、上述のように、シリンダ3内、すなわち、リザーバ室R、上室R1および下室R2に、封入され、作動油Jは下室R2に充填されるが、このとき、シリンダ3の下方に設けた孔3aより、つまり、バイパス路B1の下室R2への接続位置より、作動油Jの油面Oが上方となるように充填されている。このとき、作動油Jが上述したバルブケース5およびピストン1の各凹部5b、1bに留まることやバイパス路B1内に滞在することも想定して、あらかじめ上記した各凹部に留まる作動油等の量を差し引いても、油面Oが上記接続位置より上方になる量の作動油Jを充填することが好ましい。
【0064】
また、ここでシリンダ3に設ける孔3aは、その穿設される位置により上述の通り作動油Jを充填する量に影響するので、下室R2の最下端近傍に設けることが望ましい。シリンダ3の上端に穿設する孔3bについても、後述するように、この孔3bから作動油Jがリザーバ室Rに流入することとなるので、リザーバ室Rの最上端近傍に穿設することが好ましい。なお、後述するが、バルブケース5を設けなくとも本空圧緩衝器は使用可能であるが、この場合には孔3bをバルブケース5により区画されるリザーバ室Rは存在しないので上室R1の最上端近傍に設けると良い。
【0065】
なお、本発明の空圧緩衝器の減衰力は、封入ガス圧と減衰弁の絞りの大きさに決定されるが、高い減衰力を発生させる場合には、ガス圧を高いものとして、減衰弁の絞りを小さくすることが好ましい。ガス圧を低くしすぎると、ピストンの上下動によって下室または上室のガス圧が上昇するだけとなり大きな減衰力が得られないからである。
【0066】
つづいて、その作用であるが、ピストンロッド2がシリンダ3内から退出する、すなわち、空圧緩衝器K1が伸長する場合には、連通路Lに設けた第2の逆止弁V3が下室R2から上室R1へのガスの移動を規制するので、下室R2に接続されているバイパス路B1の圧力が上昇し、作動油Jを油面Oが上記バイパス路B1の下室R2への接続位置、すなわち、シリンダ3の孔3aの穿設されている位置より上方に位置するように下室R2に充填しているので、先ず、作動油Jが孔3a、バイパス路B1および孔3bを通過してリザーバ室Rに流入し、バルブケース5の凹部5bに流れ込み、つづいて第1の逆止弁V1を開き接続路Sを通過して、上室R1へ流入する。
【0067】
そして、作動油Jの油面Oが上記の接続位置より下方になると、今度はガスが孔3a、バイパス路B1および孔3bを通過してリザーバ室Rへ流入し、やはり作動油Jと同様に、接続路Sを通過して上室R1へと流入する。このとき、接続路Sの途中に設けられた第1の減衰弁V1を作動油Jおよびガスが通過するので、減衰作用を発生することが可能である。したがって、空圧緩衝器K1が伸長する場合には、第1の減衰弁V1が減衰力を発生させることとなる。
【0068】
なお、シリンダ3内がバルブケース5によりリザーバ室Rと上室R1とが区画されているので、一旦リザーバ室Rに作動油Jを溜めることが可能であるので、ガスと作動油Jとを分離し易くなるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。さらに、バルブケース5には凹部5bが設けられているので、凹部5bに作動油Jを溜めることが可能となり、かつ、凹部5bの底部に接続路Sが接続されているので、これにより、空圧緩衝器K1が伸長する際に、積極的にガスに優先して作動油Jをリザーバ室Rから上室R1へ流入させるので、より一層ガスと作動油Jとを分離し易くなることに加え、空圧緩衝器K1の減衰力を安定させることが可能である。
【0069】
なお、本実施の形態では、バルブケース5を設けているが、上述のバルブケース5でシリンダ3内をリザーバ室Rと上室R1とに区画したことによる効果および凹部5bの効果が失われることになるが、バルブケース5を設けずにバイパス路の途中に第1の減衰弁と第1の逆止弁を設けても良い。
【0070】
かくして、作動油Jが上室R1に流入するので、ピストン1の上室R1側面の凹部1bに作動油が溜まり、かつ、作動油Jが凹部1bから溢れるとピストン1の上室R1側面の外周に設けた面取り部1cに作動油Jが入り込み、その場に作動油Jが留まることとなる。すると、ピストン1とシリンダ3との間に作動油Jが入り込んで、ピストン1とシリンダ3との間が潤滑される。
【0071】
したがって、ピストン1の外周に設けた面取り部1cに溜まるので、シリンダ3とピストン1との間の潤滑を円滑に行うことができ、さらに、この面取り部1cに作動油Jが溜まることにより、シリンダ3とピストン1と間を流通するガスの漏洩を防止するので、シール性が向上し安定した減衰力を発生できるという効果がある。
【0072】
また、面取り部1cを設けなくとも、ピストン1の上室側面には作動油Jが溜まるので、ピストン1とシリンダ3との間は、潤滑可能であるが、面取り部1cを設ける方が、面取り部1cに積極的に作動油Jを溜めることができるので、より潤滑効果およびシール効果が高い。
【0073】
今度は、逆にシリンダ3内にピストンロッド2が侵入する、すなわち、空圧緩衝器K1が収縮する場合には、上記接続路Sに設けた第1の逆止弁V2が上室R1からリザーバ室Rへのガスの移動を規制するので、上室R1の圧力が上昇し、ピストン1の上室R1側面の凹部1bに溜まった作動油Jが連通路Lに設けた第2の逆止弁V4を押し開き下室R2へ流入し、続いて、ガスが上室R1から下室R2へ同じく連通路Lを通過して流入する。そして、シリンダ3内に侵入したピストンロッド2の体積分の余剰ガスもしくは作動油Jが下室R2からバイパス路B1を通過しリザーバ室Rへ流入する。
【0074】
ここで、ピストン1の凹部1bに作動油Jを溜めているので、これにより、より一層ガスと作動油Jとを分離し易くなることに加え、かつ、凹部1bの底部に連通路Lが接続されているので、空圧緩衝器が収縮する際に、積極的にガスに優先して作動油Jを上室R1から下室R2へ流入させるので、この場合も空圧緩衝器K1の減衰力を安定させることが可能である。
【0075】
このとき、連通路Lの途中に設けられた第2の減衰弁V3を作動油Jおよびガスが通過するので、減衰作用を発生することが可能である。したがって、空圧緩衝器K1が収縮する場合には、第2の減衰弁V3が減衰力を発生させることとなる。なお、バイパス路B1の途中に第1の減衰弁V1を設けておけば、上記した余剰のガスおよび作動油Jが第1の減衰弁V1を通過するので、この場合には、第2の減衰弁V3および第1の減衰弁V1が減衰力を発生することとなる。
【0076】
上述のように、空圧緩衝器が伸縮動作をすることにより、作動油が下室と上室とを循環することとなり、ピストンとシリンダの間を潤滑することが可能となる。したがって、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンとシリンダの摺動性の確保が可能であり、その耐久性も向上する。
【0077】
また、バルブケースおよびピストンに各凹部を設けることにより、凹部に作動油を溜めることが可能となるので、速やかに作動油を接続路もしくは連通路に導くことが可能となるので、当該空圧緩衝器にあっては、円滑に潤滑を行うことができる。
【0078】
したがって、以上のように、構成された空圧緩衝器K1は、具体的には、たとえば、図4に示すように、ピストンロッド2を車軸14側のロアアーム13に、シリンダ3を車体(図示せず)に接続して、いわゆる倒立型として使用される。
【0079】
このように、本実施の形態の空圧緩衝器K1を倒立型として使用すれば、ピストンロッド2は、常に下室R2内の作動油Jに接しているので、ピストンロッド2の潤滑も可能となるので、より一層摺動性の向上が可能である。また、各凹部1b、5bは必然的に上方を向くこととなり、この凹部に作動油Jを留めることが可能となる。ここで、正立型として使用したい場合には、図示はしないが、ピストンロッドをバルブケース5およびシリンダ3の上端部を貫通するように配置し、その他の構成は第1の実施の形態と同様にすれば良いことになる。この場合にもシリンダとピストンとの間が潤滑されるので、ピストンとシリンダの摺動性の確保が可能であり、その耐久性も向上するという本発明の効果を達成することは無論可能であるが、ピストンロッドが常時作動油に接していないので、倒立型に比べてやや摺動性の確保という点で劣るとともに、構造がやや複雑となるので好ましくはない。
【0080】
なお、上述のように空圧緩衝器の摺動性の確保と耐久性の向上が可能となることに加えて、安定した減衰力を発生できるので、特に比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下、たとえば車両のサスペンション等にも適用可能となるが、本発明の空圧緩衝器においては、作動油量が大量に必要な油圧緩衝器に比較して、少量の作動油を使用すればよいので、コスト的に有利なだけでなく、空圧緩衝器の廃棄による作動油の処分の点でも有利となり、空圧緩衝器の重量も油圧緩衝器に比較して軽量となり、ひいては作動油の漏れが生じた場合にあっても、作動油量は少量であるから環境汚染を防止できる。
【0081】
また、空圧緩衝器が伸長して、下室の作動油中にピストンが侵入すると、ガスがすべてリザーバ室または上室に流入した状態となるので、第1の減衰弁を作動油のみが通過することになり、ガスが第1の減衰弁を通過する場合の流れ抵抗に比較して作動油が第1の減衰弁を通過する場合の流れ抵抗の方が極度に大きいので、ピストンロッドの作動抵抗も上昇し、ピストンとシリンダを封止しているボトム部材たる封止部材との衝突による衝撃を緩和することとなる。したがって、衝撃を緩和することが可能なので、空圧緩衝器の損傷する機会を減少することが可能である。
【0082】
ちなみに、本実施の形態の空圧緩衝器K1においては、ピストン1の上室R1側面より下室R2側面のほうがピストンロッド2の面積分だけ、受圧面積が小さいので、ピストンロッド2がシリンダ3から退出する場合、すなわち、空圧緩衝器K1が伸長する場合に効く第1の減衰弁V1とピストンロッド2がシリンダ3に侵入する場合、すなわち、空圧緩衝器K1が収縮に効く第2の減衰弁V3(または第2の減衰弁V3および第1の減衰弁V1)におけるガスおよび作動油Jの各流れ抵抗を同一のものとすると、空圧緩衝器K1の伸長する場合と収縮する場合とでは作動抵抗が異なり、伸側と収縮側ではその発生減衰力が異なることになるので、この空圧緩衝器が適用される車種や使用される環境に合わせて、各減衰弁におけるガスおよび作動油Jの流れ抵抗を決定することが好ましい。
【0083】
なお、第2の減衰弁と第2の逆止弁を、図6(A)(B)に示すように構成してもよい。
【0084】
図6(A)に示した第2の減衰弁V3と第2の逆止弁V5は、第2の減衰弁V3を上述した減衰弁と同様として、第2の逆止弁V5をバネV6で付勢したものである。このような構成とすることで、主としてピストンロッドの移動速度が低速の場合には、ガスおよび作動油Jが第2の減衰弁V3をさほど抵抗無く通過するので、バネV6で付勢された第2の逆止弁V5側で減衰力を増大させ、主としてピストンロッドの移動速度が中高速の場合には、第2の減衰弁V3側で減衰力を増大させることが可能となる。
【0085】
したがって、この場合には、第2の減衰弁V3ばかりでなく、第2の逆止弁V5によっても減衰力を発生することができ、ピストンロッド2の移動速度により減衰特性を変化させることが可能である。第2の減衰弁と第2の逆止弁をこのように構成させることで、この空圧緩衝器K1が適用される環境に適合した減衰特性を発生させることが可能となるので、特に車両のサスペンションとして使用される場合には車両の乗り心地を向上させることが可能である。
【0086】
他方、図6(B)に示したものは、第2の減衰弁V10と第2の逆止弁V8は、上述した第2の減衰弁V3、第2の逆止弁V4とそれぞれ同様であるが、連通路L1に第2の減衰弁V10とバネV9で付勢された圧力調整弁V7とを並列に設けたものである。このような構成とすることで、主としてピストンロッドの移動速度が低速の場合には、第2の減衰弁V10側で減衰力を発生させ、主としてピストンロッドの移動速度が中高速の場合には、圧力調整弁V7の開口度合いが大きくなり優先的にガスおよび作動油Jが圧力調整弁V7を通過するので、圧力調整弁V7側で減衰力増大を抑制させることが可能となる。
【0087】
なお、図6(A)(B)は、ピストン1に具現化された場合についての図であるで、基本的に第2の減衰弁と第2の逆止弁についての説明としたが、その構成を第1の減衰弁と第1の逆止弁に適用することにより、上述の効果を得られることは言うまでもない。
【0088】
また、図5に示すように、第1の減衰弁と第1の逆止弁とを、および、第2の減衰弁と第2の逆止弁とを、一体に形成することにより弁自体の小型化により空圧緩衝器K1をコンパクト化することが可能である。図5の弁は、バイパス路B1もしくは接続路Sもしくは連通路L(以下「バイパス路等」という。)の途中に設けた中空なバルブボディ20と、ポペット21と、このポペット21が上記バイパス路等を塞ぐように付勢するバネ22と、バルブボディ20の下方に設けたオリフィス23とで構成されている。
【0089】
詳しく説明すると、バルブボディ20の上下の開口端をバイパス路等に接続し、バイパス路等の径より大径のバルブ室20aを設け、このバルブ室20aの一端にポペット21のテーパ部21bを当接させ、バルブ室20aの他端側内周面とポペット21との間にバネ22を介装している。また、ポペット21のバネ22が当接する面には突起21aが設けられ、この突起21aがバネ22の内周に嵌合し、ポペット21のバルブボディ20に対する軸芯が図られている。
【0090】
このような弁とすることにより、図5中下方のバイパス路等のガス圧が高まると、まず、ガスおよび作動油Jがオリフィス23を通過し、つづいて、バネ22のバネ力に抗してポペット21を図中上方に押し付けるので、ポペット21とバルブ室20の端部とに隙間が生じバイパス路等が連通し、ガスおよび作動油Jはバイパス路等を通過することが可能であり、このとき、ガスおよび作動油Jがオリフィス23を通過し減衰力が発生する。また、バネ22のバネ力を調整することにより、ガスおよび作動油Jがポペット21とバルブ室20の端部とでつくられる隙間を通過するときに減衰力を発生させることもできる。すなわち、減衰弁としての機能を発揮できる。
【0091】
逆に、図中上方のバイパス路等のガス圧が高まったときには、ポペット21を図中下方のバイパス路等内へ押し込むこととなるので、ポペット21とバルブ室20端部との間に隙間は生じないので、バイパス路等は遮断されることとなる。
すなわち、この場合には逆止弁として作用を呈することとなる。
【0092】
したがって、上述のように構成すれば、第1の減衰弁と第1の逆止弁とを、および、第2の減衰弁と第2の逆止弁とを、一体に形成することができる。なお、上述した第1の減衰弁と第1の逆止弁とを、および、第2の減衰弁と第2の逆止弁とを、一体に形成する構成は、一例であって、他の構成により実現してもよい。
【0093】
つぎに、第2の実施の形態における空圧緩衝器K2について説明するが、第1の実施の形態と同様の部分については説明が重複するので、符号を付すのみとしてその詳しい説明は省略する。空圧緩衝器K2は、図2に示すように、シリンダ11の外側に外筒4を設け、シリンダ11の上端を区画部材たるバルブケース10でリザーバ室Rを区画して、シリンダ11内をピストン1で上室R1と下室R2とに区画し、同じくシリンダ11内に上記ピストン1を介して移動自在にピストンロッド2を挿入し、上記リザーバ室Rと下室R2を接続するバイパス路B2を上記シリンダと外筒4との間の隙間として、バルブケース10に、リザーバ室Rと上室R1とを接続する接続路Sと、接続路Sの途中に直列に接続される第1の減衰弁V1と第1の逆止弁V2とを設け、ピストン1に、上室R1と下室R2とを連通する連通路Lと、連通路Lの途中に直列に接続される第2の減衰弁V3と第2の逆止弁V4とを設けて、構成されている。
【0094】
したがって、第1の実施の形態と異なる部分は、外筒4を設け、その外筒4とシリンダ3との間の隙間をバイパス路B2としている点、および、バルブケース10の形状が第1の実施の形態と異なっている。
【0095】
以下、上記の異なる部分について詳細に説明すると、バルブケース10は、バルブケース本体10aによりシリンダ11の上端部を封止するとともに、リザーバ室Rを外筒4とバルブケース10とで区画している。また、バルブケース本体10aの側方に設けた切欠10c、10dにより、上述のバイパス路B2とリザーバ室Rとを連通可能としている。したがって、この場合には、第1の実施の形態のようにシリンダ11にリザーバ室Rとシリンダ外とを連通する孔を穿設する必要は無く、上記の切欠10c、10dが上記孔3bと同様の機能を果たすこととなるので、シリンダ11にリザーバ室Rとバイパス路B2とを接続する孔を設ける必要がなくなるので、シリンダの強度をいたずらに低下させない。
【0096】
バイパス路B2は上述のように外筒4とシリンダ11との間の隙間で形成され、シリンダ11の下方に設けた孔11aによりバイパス路B2と下室R2とが接続されており、上記切欠10c、10dとバイパス路B2と孔11aとでリザーバ室Rと下室R2が接続されていることとなる。
【0097】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様であって、また、図5、図6に示した第1、第2の減衰弁や第1、第2の逆止弁を本実施の形態の空圧緩衝器K2に適用可能なのは言うまでもない。
【0098】
そして、第2の実施の形態においては、第1の実施の形態で説明した作用効果を奏することは勿論であるが、外筒4を設けて、シリンダ11と外筒4との間にバイパス路B2を形成したので、空圧緩衝器K2の外部にバイパス路B2を設ける必要がなくなるので、空圧緩衝器K2をコンパクト化でき、車両等への搭載性をも向上させることが可能である。
【0099】
最後に第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態における空圧緩衝器K3は、図3に示すように、第2の実施の形態の空圧緩衝器K2の作動油Jの油面Oに浮遊可能なフロートFを設けたものである。
【0100】
フロートFは、ピストンロッド2に挿入可能なように中央に孔を設けてあり、油面に浮遊させる。ここで、フロートFは、ピストンロッド2がシリンダ11から退出する方向に移動すると、やがてはピストン1と干渉するので、ある程度強度を有するものを使用することが好ましい。
【0101】
この場合には、空圧緩衝器K3に振動等が負荷されても、フロートFが油面Oに浮遊しているため作動油の油面が波立って、ガスと作動油が混ざり合うことを防止するので、安定した減衰力が得られるという効果がある。
【0102】
また、フロートFにある程度の弾性を有する材料を使用すれば、フロートFにピストン1と封止部材6とが直接干渉することを防止するクッションとしての機能を持たせることも可能であり、この場合には第1の実施の形態で説明したピストンが作動油に侵入することにより、作動油が減衰力を発生してピストンとシリンダを封止しているボトム部材たる封止部材との衝突による衝撃を緩和することに加えて、フロートFもクッションになるので、より一層空圧緩衝器の損傷する機会を減少することが可能である。
【0103】
なお、本実施の形態は第2の実施の形態の空圧緩衝器にフロートを付加したものであるので、その他の作用効果は第2の実施の形態と同様であるので、上述したように第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0104】
また、上述した各実施の形態においては、空圧緩衝器の伸縮動作および各逆止弁と各油空路(バイパス路、連通路、接続路)により作動油を下室と上室とに循環させているが、作動油を循環させることによりシリンダとピストンとの間を潤滑して、ピストンとシリンダの摺動性の確保と耐久性を向上することができれば本発明の目的を達成可能であるから、たとえば他に形成した油路の途中にポンプ等を用いて作動油を循環させる等の、別途他の作動油循環手段を用いても良い。
【0105】
以上で実施の形態の説明を終えるが、本実施の形態では、特に本発明の空圧緩衝器が車両のサスペンションに具現化した場合について説明したが、本発明の意図するところは、空圧緩衝器を比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下にも適用可能なものとして、作動油の廃棄や漏洩による地球環境の悪化を防止することにあるので、車両のサスペンションに以外にこの空圧緩衝器が具現化可能であることは明らかである。
【0106】
【発明の効果】
請求項1から13の発明によれば、以上のように空圧緩衝器が伸縮動作をすることにより、作動油が下室と上室とを循環することとなり、ピストンとシリンダの間を潤滑することが可能となる。したがって、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンとシリンダの摺動性の確保が可能であり、その耐久性も向上する。
【0107】
さらに、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンの外周に附着した作動油がシリンダとピストンと間を流通するガスの漏洩を防止するので、シール性が向上し安定した減衰力を発生できるという効果もある。
【0108】
そして、空圧緩衝器の摺動性の確保と耐久性の向上が可能となることに加えて、安定した減衰力を発生できるので、特に比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下、たとえば車両のサスペンション等に適用可能となり、その結果、本発明の空圧緩衝器においては、作動油量が大量に必要な油圧緩衝器に比較して、少量の作動油を使用すればよいので、コスト的に有利なだけでなく、空圧緩衝器の廃棄による作動油の処分の点でも有利となり、空圧緩衝器の重量も油圧緩衝器に比較して軽量となり、ひいては作動油の漏れが生じた場合にあっても、作動油量は少量であるから環境汚染を防止できる。
【0109】
また、空圧緩衝器が伸長して、下室の作動油中にピストンが侵入すると、ガスがすべてリザーバ室または上室に流入した状態となるので、第1の減衰弁を作動油のみが通過することになり、ガスが第1の減衰弁を通過する場合の流れ抵抗に比較して作動油が第1の減衰弁を通過する場合の流れ抵抗の方が極度に大きいので、ピストンロッドの作動抵抗も上昇し、ピストンとシリンダを封止しているボトム部材との衝突による衝撃を緩和することとなる。したがって、衝撃を緩和することが可能なので、空圧緩衝器の損傷する機会を減少することが可能である。
【0110】
また、請求項2および3の発明によれば、一旦区画部材で区画したリザーバ室に作動油を溜めることが可能であるので、ガスと作動油とを分離し易くなるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。
【0111】
そして、請求項4の発明によれば、ピストンロッドは、常に下室内の作動油に接しているので、ピストンロッドの潤滑も可能となるので、より一層摺動性の向上が可能である。
【0112】
さらに、請求項5の発明によれば、シリンダと外筒との間にバイパス路を形成したので、空圧緩衝器の外部にバイパス路を設ける必要がなくなるので、空圧緩衝器をコンパクト化でき、車両等への搭載性をも向上させることが可能である。
【0113】
また、さらに、請求項6の発明によれば、ガスより作動油の方が単位体積あたりの重量が重いので、ピストンの凹部に作動油を溜めることが可能となり、これにより、より一層ガスと作動油とを分離し易くなることに加え、かつ、凹部の底部に連通路が接続されているので、空圧緩衝器が収縮する際に、積極的にガスに優先して作動油を上室から下室へ流入させるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。
【0114】
また、凹部を設けることにより、凹部に作動油を溜めることが可能となるので、速やかに作動油を連通路に導くことが可能となるので、当該空圧緩衝器にあっては、円滑に潤滑を行うことができる。
【0115】
そして、さらに、請求項7の発明によれば、区画部材の凹部に作動油を溜めることが可能となり、これにより、より一層ガスと作動油とを分離し易くなることに加え、かつ、凹部の底部に接続路が接続されているので、空圧緩衝器が伸長する際に、積極的にガスに優先して作動油をリザーバ室から上室へ流入させるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。
【0116】
また、凹部を設けることにより、凹部に作動油を溜めることが可能となるので、速やかに作動油を接続路に導くことが可能となるので、当該空圧緩衝器にあっては、円滑に潤滑を行うことができる。
【0117】
そして、また、請求項8の発明によれば、上室に流入した作動油が、ピストンの外周に設けた面取り部分に溜まるので、シリンダとピストンとの間の潤滑を円滑に行うことができ、さらに、この面取り部分に作動油が溜まることにより、より一層シリンダとピストンと間を流通するガスの漏洩を防止するので、シール性が向上し安定した減衰力を発生できるという効果がある。
【0118】
さらに、また、請求項9の発明によれば、空圧緩衝器が振動を負荷された場合にも、作動油の油面が波立って、ガスと作動油が混ざり合うのを、油面に浮遊するフロートが防止するので、安定した減衰力が得られるという効果がある。
【0119】
なお、フロートにある程度の弾性を有する材料を使用すれば、フロートにピストンと封止部材とが直接干渉することを防止するクッションとしての機能を持たせることも可能であり、この場合にはピストンが作動油に侵入することにより、作動油が減衰力を発生してピストンとシリンダを封止しているボトム部材たる封止部材との衝突による衝撃を緩和することに加えて、フロートもクッションになるので、より一層空圧緩衝器の損傷する機会を減少することが可能である。
【0120】
そして、また、請求項10の発明によれば、第1の逆止弁と第1の減衰弁を一体に形成し、かつ、第2の逆止弁と第2の減衰弁を一体に形成したので、逆止弁と減衰弁を独立して設けなくて済むので、弁自体を小型化可能であり、これにより、空圧緩衝器のコンパクト化が図れる。
【0121】
また、さらに、請求項11の発明によれば、第1の逆止弁が上記第1の減衰弁よりガスの流れの下流に設け、第2の逆止弁が上記第2の減衰弁よりガスの流れの下流に設けており、逆止弁に減衰弁としての機能を付加させておけば、減衰特性を調節することが可能であるので、この空圧緩衝器を様々な車両に適用可能となる。
【0122】
さらに、請求項12の発明によれば、区画部材に第1の逆止弁と第1の減衰弁を設けているので、シリンダ外に第1の逆止弁と第1の減衰弁を設けるのに比較して、空圧緩衝器をいたずらに空圧緩衝器を大型化しなくてすみ、コンパクト化することが可能である。
【0123】
また、請求項13の発明によれば、この空圧緩衝器は、上述のような各作用効果を奏するので、特に車両のサスペンションに使用された場合にその効果が高い。
そして、さらに、請求項14の発明によれば、下室に充填した作動油が作動油循環手段によって上室と下室とに循環するので、ピストンとシリンダの間を潤滑することが可能となる。したがって、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンとシリンダの摺動性の確保が可能であり、その耐久性も向上する。
【0124】
そして、空圧緩衝器の摺動性の確保と耐久性の向上が可能となることに加えて、安定した減衰力を発生できるので、特に比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下、たとえば車両のサスペンション等に適用可能となり、その結果、本発明の空圧緩衝器においては、作動油量が大量に必要な油圧緩衝器に比較して、少量の作動油を使用すればよいので、コスト的に有利なだけでなく、空圧緩衝器の廃棄による作動油の処分の点でも有利となり、空圧緩衝器の重量も油圧緩衝器に比較して軽量となり、ひいては作動油の漏れが生じた場合にあっても、作動油量は少量であるから環境汚染を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における空圧緩衝器を原理的に示す概略断面図である。
【図2】第2の実施の形態における空圧緩衝器を原理的に示す概略断面図である。
【図3】第3の実施の形態における空圧緩衝器を原理的に示す概略断面図である。
【図4】本発明に係る空圧緩衝器を車両へ適用した状態における斜視図である。
【図5】第1の減衰弁と第1の逆止弁もしくは第2の減衰弁と第2の逆止弁を一体に形成した弁の断面図である。
【図6】(A)第2の減衰弁とバネにより付勢された第2の逆止弁を直列に連通路に配置した場合のピストンの断面図である。
(B)連通路に第2の減衰弁と圧力調整弁を並列に配置した場合のピストンの断面図である。
【図7】従来のステイダンパを示す縦断面図である。
【図8】従来のエアダンパを示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ピストン
1a ピストン本体
1b、5b、10b 凹部
1c 面取り部
2 ピストンロッド
3、11 シリンダ
3a、3b、11a 孔
4 外筒
5、10 区画部材たるバルブケース
5a、10a バルブケース本体
6 封止部材
6b ブッシュ
10c、10d 切欠
13 ロアアーム
14 車軸
15 タイヤ
20 バルブボディ
20a バルブ室
21 ポペット
21a 突起
22、V6、V9 バネ
B1、B2、B3 バイパス路
F フロート
J 作動油
K1、K2、K3 空圧緩衝器
L、L1 連通路
O 油面
R リザーバ室
R1 上室
R2 下室
S 接続路
V1 第1の減衰弁
V2 第1の逆止弁
V3、V10 第2の減衰弁
V4、V5、V8 第2の逆止弁
V7 圧力調整弁
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両等に搭載される緩衝器に関し、特に車両等のサスペンションとして使用可能な空圧緩衝器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空圧緩衝器としては、図7に示すようなステイダンパ(たとえば、特許文献1参照)や図8に示すエアダンパ(たとえば、特許文献2参照)が知られており、車両のバックドアと車体との間や引き戸と引き戸が滑動自在に挿嵌された枠体との間に介装され、バックドアの開閉やドアの開閉速度の調節等に使用されている。
【0003】
そして、図7に示すステイダンパは、シリンダ43と、シリンダ43内を上室Aと下室Bに区画するピストン40と、シリンダ43にピストン40を介して移動自在に挿入したピストンロッド41と、ピストンに設けた上室と下室を連通する空路44と、空路の途中に設けたオリフィス45とで構成され、シリンダ43内にガスが封入されており、ピストンロッド41がシリンダ43から出没する際にガスが圧縮もしくは膨張すること、および、上記オリフィス45を通過することによりガススプリングおよび緩衝器としての機能を発揮するものである。
【0004】
他方、図8に示すエアダンパは、シリンダ52と、シリンダ52内を上室A1と下室B1に区画するピストン50と、シリンダ52にピストン50を介して移動自在に挿入したピストンロッド51と、ピストンロッド51内に上室A1と下室B1を連通する第1の空路57と、当該第1の空路57の途中に設けたオリフィス58と、ピストン50に設けられた第2の空路55と、第2の空路55の途中に上室A1から下室B1への空気の流れのみを許容するバネ54で付勢された逆止弁53とで構成され、ピストンロッド51がシリンダ53から出没する際に空気が上記オリフィス58または逆止弁53を通過することによって、減衰作用を発生させている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−299818号公報(段落番号0022、図1)
【特許文献2】
特開2002−5212号公報(段落番号0007から0013、図1、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
さて、上述のようなステイダンパやエアダンパ(以下「ステイダンパ等」という。)は、構造が簡単であるから、そのまま車両のサスペンション等として利用できれば加工性や経済性において有利であるが、車両のサスペンション等として使用するには、問題がある。
【0007】
すなわち、ステイダンパ等はその伸縮動作が間欠的な、つまり少頻度・低周波数の伸縮の場合にはあまり問題とならないが、その伸縮動作が連続的、且つ伸縮が高周波数の場合には、シリンダとピストンとの摺動性の確保が困難であり、その結果耐久性にかけるという弊害がある。
【0008】
この弊害を、除去するためにシリンダ内に少量の作動油を充填したり、特開2000−65116号公報に開示されているようにシリンダに油成分を含む熱可塑性エラストマーを使用したり、摺動性能を確保しようとする試みもあるが、作動油を充填しただけでは、ピストンが作動油に浸かるまで伸長もしくは収縮しなければならず、潤滑は不十分であり、シリンダに熱可塑性エラストマーを使用したのでは、特に温度上昇の激しいサスペンションには不向きであり、その耐久性にも問題がある。
【0009】
したがって、上述の種々の問題もあり、車両のサスペンション等に使用される緩衝器は、一般に従来から知られている油圧緩衝器が主流である。
【0010】
しかしながら、従来から知られている油圧緩衝器では、本体内に鉱物性作動油が多量に充填されている。したがって、油圧緩衝器やこの油圧緩衝器が搭載されている車両が寿命を経て廃棄される場合の作動油を処分しなければならず、また、油圧緩衝器に外力が加わり、その結果シリンダにひびがはいる等により油漏れを生じた場合には、作動油が環境汚染を招来する危惧があると指摘される恐れがある。
【0011】
このため、油圧緩衝器に使用する作動油を、環境を汚染しない生分解性作動油とすることが提言されているが、生分解性作動油は極めて高価であり、またこの種の作動油の特性は緩衝器の適正な減衰力を発生させるのに不十分であるので、実用化されていない。
【0012】
したがって、作動油を必要としない空圧緩衝器を使用するほうが、環境の点からは有利であるといえる。
【0013】
そこで、本発明は、上記した不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、空圧緩衝器を比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下、特に車両のサスペンション等に適用可能なものとして、作動油の廃棄や漏洩による地球環境の悪化を防止することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の課題解決手段の空圧緩衝器は、シリンダと、シリンダ内を上室と下室に区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたピストンロッドと、上室と下室とを接続するバイパス路と、ピストンまたはピストンロッドに設けた上室と下室とを連通する連通路とを備え、下室に作動油を充填し、シリンダ内にガスを封入した空圧緩衝器において、上記バイパス路に下室から上室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第1の逆止弁と第1の減衰弁を直列に設けるとともに、上記連通路に上室から下室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第2の逆止弁と第2の減衰弁を直列に設け、作動油を油面が上記バイパス路の下室への接続位置より上方に位置するように下室に充填したことを特徴とする。
【0015】
上記の構成により、ピストンロッドがシリンダ内から退出する、すなわち、空圧緩衝器が伸長する場合には、連通路に設けた第2の逆止弁が下室から上室へのガスの移動を規制するので、下室に接続されているバイパス路の圧力が上昇し、作動油を油面が上記バイパス路の下室への接続位置より上方に位置するように下室に充填しているので、先ず、作動油が第1の逆止弁を開きバイパス路を通過して、上室へ流入する。
【0016】
そして、作動油の油面が上記の接続位置より下方になると、今度はガスがバイパス路内を通過して上室へと流入する。このとき、バイパス路の途中に設けられた第1の減衰弁を作動油およびガスが通過するので、減衰作用を発生することが可能である。
【0017】
かくして、作動油が上室に流入するので、ピストンの上室側面に作動油が溜まるので、ピストンとシリンダとの間に作動油が入り込んで、ピストンとシリンダとの間が潤滑される。
【0018】
今度は、逆にシリンダ内にピストンロッドが侵入する、すなわち、空圧緩衝器が収縮する場合には、バイパス路に設けた第1の逆止弁が上室から下室へのガスの移動を規制するので、上室の圧力が上昇し、ピストンの上室側面に溜まった作動油が連通路に設けた第2の逆止弁を押し開き下室へ流入し、続いて、ガスが上室から下室へ同じく連通路を通過して流入する。そして、シリンダ内に侵入したピストンロッドの体積分の余剰ガスもしくは作動油が下室からバイパス路へ流入し、一部のガスもしくは作動油が第1の減衰弁を通過する。
【0019】
このとき、連通路の途中に設けられた第2の減衰弁およびバイパス路の途中に設けられた第1の減衰弁を作動油およびガスが通過するので、減衰作用を発生することが可能である。
【0020】
上述のように、空圧緩衝器が伸縮動作をすることにより、作動油が下室と上室とを循環することとなり、ピストンとシリンダの間を潤滑することが可能となる。したがって、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンとシリンダの摺動性の確保が可能であり、その耐久性も向上する。
【0021】
さらに、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンの外周に附着した作動油がシリンダとピストンと間を流通するガスの漏洩を防止するので、シール性が向上し安定した減衰力を発生できるという効果もある。
【0022】
そして、空圧緩衝器の摺動性の確保と耐久性の向上が可能となることに加えて、安定した減衰力を発生できるので、特に比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下、たとえば車両のサスペンション等に適用可能となり、その結果、本発明の空圧緩衝器においては、作動油量が大量に必要な油圧緩衝器に比較して、少量の作動油を使用すればよいので、コスト的に有利なだけでなく、空圧緩衝器の廃棄による作動油の処分の点でも有利となり、空圧緩衝器の重量も油圧緩衝器に比較して軽量となり、ひいては作動油の漏れが生じた場合にあっても、作動油量は少量であるから環境汚染を防止できる。
【0023】
また、空圧緩衝器が伸長して、下室の作動油中にピストンが侵入すると、ガスがすべて上室に流入した状態となるので、第1の減衰弁を作動油のみが通過することになり、ガスが第1の減衰弁を通過する場合の流れ抵抗に比較して作動油が第1の減衰弁を通過する場合の流れ抵抗の方が極度に大きいので、ピストンロッドの作動抵抗も上昇し、ピストンとシリンダを封止しているボトム部材との衝突による衝撃を緩和することとなる。したがって、衝撃を緩和することが可能なので、空圧緩衝器の損傷する機会を減少することが可能である。
【0024】
本発明の第2の課題解決手段は、シリンダと、シリンダ内をリザーバ室と作動室とに区画する区画部材と、シリンダ内の作動室を上室と下室に区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたピストンロッドと、リザーバ室と下室とを接続するバイパス路と、リザーバ室と上室とを接続する接続路と、ピストンまたはピストンロッドに設けた上室と下室とを連通する連通路とを備え、下室に作動油を充填し、シリンダ内にガスを封入した空圧緩衝器において、上記接続路にリザーバ室から上室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第1の逆止弁と第1の減衰弁を直列に設けるとともに、上記連通路に上室から下室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第2の逆止弁と第2の減衰弁を直列に設け、作動油を油面が上記バイパス路の下室への接続位置より上方に位置するように下室に充填したことを特徴とする。
【0025】
この場合には、上述の第1の課題解決手段の効果に加えて、一旦区画部材で区画したリザーバ室に作動油を溜めることが可能であるので、ガスと作動油とを分離し易くなるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。
【0026】
また、本発明の第3の課題解決手段は、シリンダと、シリンダ端部を封止するとともにリザーバ室を備えた区画部材と、シリンダ内を上室と下室に区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたピストンロッドと、リザーバ室と下室とを接続するバイパス路と、リザーバ室と上室とを接続する接続路と、ピストンまたはピストンロッドに設けた上室と下室とを連通する連通路とを備え、下室に作動油を充填し、シリンダ内およびリザーバ室内にガスを封入した空圧緩衝器において、上記接続路にリザーバ室から上室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第1の逆止弁と第1の減衰弁を直列に設けるとともに、上記連通路に上室から下室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第2の逆止弁と第2の減衰弁を直列に設け、作動油を油面が上記バイパス路の下室への接続位置より上方に位置するように下室に充填したことを特徴とする。
【0027】
このように、リザーバ室を区画部材に形成しても、第2の課題解決手段と同様の効果を得られる。
【0028】
さらに、本発明の第4の課題解決手段は、第1、2または3の課題解決手段において、ピストンロッドがピストンの下室側端部に設けられていることを特徴とする。
【0029】
したがって、この場合には、ピストンロッドは、常に下室内の作動油に接しているので、ピストンロッドの潤滑も可能となるので、より一層摺動性の向上が可能である。
【0030】
また、本発明の第5の課題解決手段は、第1、2、3または4の課題解決手段において、シリンダの外方に外筒を設け、シリンダと外筒との間の隙間をバイパス路としたことを特徴とする。
【0031】
このように、シリンダと外筒との間にバイパス路を形成したので、空圧緩衝器の外部にバイパス路を設ける必要がなくなるので、空圧緩衝器をコンパクト化でき、車両等への搭載性をも向上させることが可能である。
【0032】
さらに、本発明の第6の課題解決手段は、第1、2、3、4または5の課題解決手段において、ピストンの上室側面に凹部を設けるとともに、上記連通路が当該ピストン凹部の底部に接続されてなることを特徴とする。
【0033】
したがって、ガスより作動油の方が単位体積あたりの重量が重いので、凹部に作動油を溜めることが可能となり、これにより、より一層ガスと作動油とを分離し易くなることに加え、かつ、凹部の底部に連通路が接続されているので、空圧緩衝器が収縮する際に、積極的にガスに優先して作動油を上室から下室へ流入させるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。
【0034】
また、凹部を設けることにより、凹部に作動油を溜めることが可能となるので、速やかに作動油を連通路に導くことが可能となるので、当該空圧緩衝器にあっては、円滑に潤滑を行うことができる。
【0035】
そして、また、本発明の第7の課題解決手段は、第2、3、4、5または6の課題解決手段において、区画部材のリザーバ室側面に凹部を設けるとともに、上記接続路が当該凹部の底部に接続されることを特徴とする。
【0036】
したがって、第6の課題解決手段と同様に、凹部に作動油を溜めることが可能となり、これにより、より一層ガスと作動油とを分離し易くなることに加え、かつ、凹部の底部に接続路が接続されているので、空圧緩衝器が伸長する際に、積極的にガスに優先して作動油をリザーバ室から上室へ流入させるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。
【0037】
また、凹部を設けることにより、凹部に作動油を溜めることが可能となるので、速やかに作動油を接続路に導くことが可能となるので、当該空圧緩衝器にあっては、円滑に潤滑を行うことができる。
【0038】
そして、さらに、本発明の第8の課題解決手段は、第1、2、3、4、5、6または7の課題解決手段において、ピストンの上室側面の外周に面取りを施したことを特徴とする。
【0039】
したがって、上室に流入した作動油が、ピストンの外周に設けた面取り部分に溜まるので、シリンダとピストンとの間の潤滑を円滑に行うことができ、さらに、この面取り部分に作動油が溜まることにより、より一層シリンダとピストンと間を流通するガスの漏洩を防止するので、シール性が向上し安定した減衰力を発生させるという効果がある。
【0040】
また、さらに、本発明の第9の課題解決手段は、第1、2、3、4、5、6、7または8の課題解決手段において、下室の作動油の油面に浮遊可能なフロートを設けたことを特徴とする。
【0041】
この場合には、空圧緩衝器が振動を負荷された場合にも、作動油の油面が波立って、ガスと作動油が混ざり合うのを、油面に浮遊するフロートが防止するので、安定した減衰力が得られるという効果がある。
【0042】
そして、また、本発明の第10の課題解決手段は、第1、2、3、4、5、6、7、8または9の課題解決手段において、第1の逆止弁と第1の減衰弁が一体に形成されるとともに、第2の逆止弁と第2の減衰弁が一体に形成されることを特徴とする。
【0043】
第1の逆止弁と第1の減衰弁を一体に形成し、かつ、第2の逆止弁と第2の減衰弁を一体に形成したので、逆止弁と減衰弁を独立して設けなくて済むので、弁自体を小型化可能であり、これにより、空圧緩衝器のコンパクト化が図れる。
【0044】
また、さらに、本発明の第11の課題解決手段は、第1、2、3、4、5、6、7、8または9の課題解決手段において、第1の逆止弁が上記第1の減衰弁よりガスの流れの下流に設けられるとともに、第2の逆止弁が上記第2の減衰弁よりガスの流れの下流に設けられることを特徴とする。
【0045】
この場合には、逆止弁に減衰弁としての機能を付加させておけば、減衰特性を調節することが可能であるので、この空圧緩衝器を様々な車両に適用可能となる。
【0046】
また、さらに、本発明の第12の課題解決手段は、第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の課題解決手段において、接続路および第1の減衰弁および第1の逆止弁が区画部材に設けられることを特徴とする。
【0047】
したがって、区画部材に第1の逆止弁と第1の減衰弁を設けているので、シリンダ外に第1の逆止弁と第1の減衰弁を設けるのに比較して、空圧緩衝器をいたずらに空圧緩衝器を大型化しなくてすみ、コンパクト化することが可能である。
【0048】
そして、本発明の第13の課題解決手段は、第3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の課題解決手段において、ピストンロッドの端部が車軸側に接続され、シリンダが車体側に接続されることにより、車両に介装されることを特徴とする。
【0049】
この空圧緩衝器は、上述のような各作用効果を奏するので、特に車両のサスペンションに使用された場合にその効果が高い。
【0050】
さらに、本発明の第14の課題解決手段は、シリンダと、シリンダ内を上室と下室に区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたピストンロッドと、上室と下室とを接続するバイパス路と、ピストンまたはピストンロッドに設けた上室と下室とを連通する連通路とを備え、下室に作動油を充填し、シリンダ内にガスを封入した空圧緩衝器において、上記作動油を上室と下室とに循環させる作動油循環手段を備えたことを特徴とする。
【0051】
この場合には、下室に充填した作動油が作動油循環手段によって上室と下室とに循環するので、ピストンとシリンダの間を潤滑することが可能となる。したがって、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンとシリンダの摺動性の確保が可能であり、その耐久性も向上する。
【0052】
そして、空圧緩衝器の摺動性の確保と耐久性の向上が可能となることに加えて、安定した減衰力を発生できるので、特に比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下、たとえば車両のサスペンション等に適用可能となり、その結果、本発明の空圧緩衝器においては、作動油量が大量に必要な油圧緩衝器に比較して、少量の作動油を使用すればよいので、コスト的に有利なだけでなく、空圧緩衝器の廃棄による作動油の処分の点でも有利となり、空圧緩衝器の重量も油圧緩衝器に比較して軽量となり、ひいては作動油の漏れが生じた場合にあっても、作動油量は少量であるから環境汚染を防止できる。
【0053】
【発明の実施の形態】
本発明の空圧緩衝器には、図1に示す第1の実施の形態と、図2に示す第2の実施の形態と、図3に示す第3の実施の形態とがあり、以下各実施の形態ごとに説明する。
【0054】
第1の実施の形態における空圧緩衝器K1は、図1に示すように、シリンダ3と、シリンダ3内をリザーバ室Rと、作動室たる上室R1および下室R2と、に区画する区画部材たるバルブケース5と、作動室を上室R1と下室R2とに区画するピストン1と、シリンダ3内にピストン1を介して移動自在に挿入されたピストンロッド2と、上記リザーバ室Rと下室R2とを接続するバイパス路B1とで構成され、シリンダ3内にはガスが封入されるとともに下室R2には作動油Jが充填されている。
【0055】
以下、各部材について詳細に説明すると、シリンダ3の上端には車体側に接続可能なようにアイ型ブラケット7が設けられ、シリンダ3の上方および下方の側面にはシリンダ3内外を連通する孔3a、3dが穿設されている。この孔3a、3bはシリンダ3外部に設けたバイパス路B1に接続されている。また、シリンダ3の下方の開口部にはピストンロッド2を挿入可能なように孔(付示せず)を設けた封止部材6が設けられている。なお、本実施の形態ではシリンダ3を有底筒状のものとしているが、たとえば、シリンダ3を筒状として、その上開口端を封止するヘッド部材を別途設けてもよい。
【0056】
また、本実施の形態では、シリンダ3の上方および下方の側面にバイパス路B1に接続する各孔3a、3bを穿設しているが、孔3aを封止部材の下室側面から外方に向けて設けて、シリンダ3を迂回するように下方からバイパス路と下室とを接続してもよく、同様に孔3bもシリンダ3の上面に設けるか、ヘッド部材を別途を設ける場合にはシリンダ3に孔3bを穿設するのではなくヘッド部材に孔3bを設けるとしてもよい。
【0057】
特に、ヘッド部材を設ける場合には、シリンダ3に直接各孔3a、3bを設ける必要が無いので、いたずらにシリンダ3の強度を低下させることも無く、また、後述するように作動油Jの充填量は、バイパス路の下室R2への接続位置が影響し、孔3aの穿設位置は下室R2の最下方近傍に設けることが好ましいので、封止部材6側に孔3aを設けると作動油Jの充填量も少なくできる点で有利である。
【0058】
バルブケース5は、バルブケース本体5aとバルブケース5の上面、すなわちリザーバ室R側面に、凹部5bを設けてあり、この凹部5bの底部にリザーバ室Rと上室R1とを接続する接続路Sが設けられ、さらに、接続路Sの途中には、第1の減衰弁V1とその第1の減衰弁V1の下方にリザーバ室Rから上室R1へと向うガスおよび作動油の流れのみを許容する第1の逆止弁V2が設けられている。したがって、ガスまたは作動油の流れの上流に第1の減衰弁V1が位置している。この場合には、逆止弁をも減衰弁としての機能を付加させておけば、減衰特性を調節することが可能であるので、この空圧緩衝器を様々な車両に適用可能となる。また、区画部材たるバルブケース5に第1の減衰弁V1と第1の逆止弁V2を設けているので、シリンダ外に第1の減衰弁V1と第1の逆止弁V2を設けるのに比較して、空圧緩衝器K1をいたずらに大型化しなくてすみ、コンパクト化することが可能である。
【0059】
ピストン1は、ピストンロッド2の上端に接続されており、ピストン本体1aと、ピストン1の上面、すなわち上室R1側面に凹部1bとピストン1の外周であって、上室R1側面に面取り部1cが設けられるとともに、上記凹部1bの底部に上室R1と下室R2とを連通する連通路Lが設けられ、さらに、連通路Lの途中には、第2の減衰弁V3とその第2の減衰弁V4の下方に上室R1から下室R2へと向うガスおよび作動油の流れのみを許容する第2の逆止弁V2が設けられている。したがって、ガスまたは作動油の流れの上流に第2の減衰弁V3が位置している。
【0060】
なお、図示はしないが、ピストン1の外周にはブッシュ等を設けてその摺動性および気密性を確保することが好ましい。また、この第2の減衰弁V3と第2の逆止弁V4は、図示するところでは、ピストン1に配在しているが、図示しないが、このピストン1に連設されるピストンロッド2に、特に、ピストン1を連設させるピストンロッド2における先端部あるいは先端近傍部に配在されることとしてもよい。
【0061】
ちなみに、各減衰弁V1、V3にはオリフィスやリーフバルブ等の種々の減衰力を発生可能なものを使用すればよい。
【0062】
ピストンロッド2は、上述のように上端にピストン1が接続されているが、他端にアイ型ブラケット8を備えており、シリンダ3内に封止部材6の孔に挿入されるが、このとき、封止部材6に設けたブッシュ6bよりシリンダ3とピストンロッド2がシールされるので、シリンダ3内は密閉されるとともに、シリンダ3に対するピストンロッド2の摺動性が確保されるとともに、軸ぶれが防止されることとなる。
【0063】
他方、ガス(付示せず)は、上述のように、シリンダ3内、すなわち、リザーバ室R、上室R1および下室R2に、封入され、作動油Jは下室R2に充填されるが、このとき、シリンダ3の下方に設けた孔3aより、つまり、バイパス路B1の下室R2への接続位置より、作動油Jの油面Oが上方となるように充填されている。このとき、作動油Jが上述したバルブケース5およびピストン1の各凹部5b、1bに留まることやバイパス路B1内に滞在することも想定して、あらかじめ上記した各凹部に留まる作動油等の量を差し引いても、油面Oが上記接続位置より上方になる量の作動油Jを充填することが好ましい。
【0064】
また、ここでシリンダ3に設ける孔3aは、その穿設される位置により上述の通り作動油Jを充填する量に影響するので、下室R2の最下端近傍に設けることが望ましい。シリンダ3の上端に穿設する孔3bについても、後述するように、この孔3bから作動油Jがリザーバ室Rに流入することとなるので、リザーバ室Rの最上端近傍に穿設することが好ましい。なお、後述するが、バルブケース5を設けなくとも本空圧緩衝器は使用可能であるが、この場合には孔3bをバルブケース5により区画されるリザーバ室Rは存在しないので上室R1の最上端近傍に設けると良い。
【0065】
なお、本発明の空圧緩衝器の減衰力は、封入ガス圧と減衰弁の絞りの大きさに決定されるが、高い減衰力を発生させる場合には、ガス圧を高いものとして、減衰弁の絞りを小さくすることが好ましい。ガス圧を低くしすぎると、ピストンの上下動によって下室または上室のガス圧が上昇するだけとなり大きな減衰力が得られないからである。
【0066】
つづいて、その作用であるが、ピストンロッド2がシリンダ3内から退出する、すなわち、空圧緩衝器K1が伸長する場合には、連通路Lに設けた第2の逆止弁V3が下室R2から上室R1へのガスの移動を規制するので、下室R2に接続されているバイパス路B1の圧力が上昇し、作動油Jを油面Oが上記バイパス路B1の下室R2への接続位置、すなわち、シリンダ3の孔3aの穿設されている位置より上方に位置するように下室R2に充填しているので、先ず、作動油Jが孔3a、バイパス路B1および孔3bを通過してリザーバ室Rに流入し、バルブケース5の凹部5bに流れ込み、つづいて第1の逆止弁V1を開き接続路Sを通過して、上室R1へ流入する。
【0067】
そして、作動油Jの油面Oが上記の接続位置より下方になると、今度はガスが孔3a、バイパス路B1および孔3bを通過してリザーバ室Rへ流入し、やはり作動油Jと同様に、接続路Sを通過して上室R1へと流入する。このとき、接続路Sの途中に設けられた第1の減衰弁V1を作動油Jおよびガスが通過するので、減衰作用を発生することが可能である。したがって、空圧緩衝器K1が伸長する場合には、第1の減衰弁V1が減衰力を発生させることとなる。
【0068】
なお、シリンダ3内がバルブケース5によりリザーバ室Rと上室R1とが区画されているので、一旦リザーバ室Rに作動油Jを溜めることが可能であるので、ガスと作動油Jとを分離し易くなるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。さらに、バルブケース5には凹部5bが設けられているので、凹部5bに作動油Jを溜めることが可能となり、かつ、凹部5bの底部に接続路Sが接続されているので、これにより、空圧緩衝器K1が伸長する際に、積極的にガスに優先して作動油Jをリザーバ室Rから上室R1へ流入させるので、より一層ガスと作動油Jとを分離し易くなることに加え、空圧緩衝器K1の減衰力を安定させることが可能である。
【0069】
なお、本実施の形態では、バルブケース5を設けているが、上述のバルブケース5でシリンダ3内をリザーバ室Rと上室R1とに区画したことによる効果および凹部5bの効果が失われることになるが、バルブケース5を設けずにバイパス路の途中に第1の減衰弁と第1の逆止弁を設けても良い。
【0070】
かくして、作動油Jが上室R1に流入するので、ピストン1の上室R1側面の凹部1bに作動油が溜まり、かつ、作動油Jが凹部1bから溢れるとピストン1の上室R1側面の外周に設けた面取り部1cに作動油Jが入り込み、その場に作動油Jが留まることとなる。すると、ピストン1とシリンダ3との間に作動油Jが入り込んで、ピストン1とシリンダ3との間が潤滑される。
【0071】
したがって、ピストン1の外周に設けた面取り部1cに溜まるので、シリンダ3とピストン1との間の潤滑を円滑に行うことができ、さらに、この面取り部1cに作動油Jが溜まることにより、シリンダ3とピストン1と間を流通するガスの漏洩を防止するので、シール性が向上し安定した減衰力を発生できるという効果がある。
【0072】
また、面取り部1cを設けなくとも、ピストン1の上室側面には作動油Jが溜まるので、ピストン1とシリンダ3との間は、潤滑可能であるが、面取り部1cを設ける方が、面取り部1cに積極的に作動油Jを溜めることができるので、より潤滑効果およびシール効果が高い。
【0073】
今度は、逆にシリンダ3内にピストンロッド2が侵入する、すなわち、空圧緩衝器K1が収縮する場合には、上記接続路Sに設けた第1の逆止弁V2が上室R1からリザーバ室Rへのガスの移動を規制するので、上室R1の圧力が上昇し、ピストン1の上室R1側面の凹部1bに溜まった作動油Jが連通路Lに設けた第2の逆止弁V4を押し開き下室R2へ流入し、続いて、ガスが上室R1から下室R2へ同じく連通路Lを通過して流入する。そして、シリンダ3内に侵入したピストンロッド2の体積分の余剰ガスもしくは作動油Jが下室R2からバイパス路B1を通過しリザーバ室Rへ流入する。
【0074】
ここで、ピストン1の凹部1bに作動油Jを溜めているので、これにより、より一層ガスと作動油Jとを分離し易くなることに加え、かつ、凹部1bの底部に連通路Lが接続されているので、空圧緩衝器が収縮する際に、積極的にガスに優先して作動油Jを上室R1から下室R2へ流入させるので、この場合も空圧緩衝器K1の減衰力を安定させることが可能である。
【0075】
このとき、連通路Lの途中に設けられた第2の減衰弁V3を作動油Jおよびガスが通過するので、減衰作用を発生することが可能である。したがって、空圧緩衝器K1が収縮する場合には、第2の減衰弁V3が減衰力を発生させることとなる。なお、バイパス路B1の途中に第1の減衰弁V1を設けておけば、上記した余剰のガスおよび作動油Jが第1の減衰弁V1を通過するので、この場合には、第2の減衰弁V3および第1の減衰弁V1が減衰力を発生することとなる。
【0076】
上述のように、空圧緩衝器が伸縮動作をすることにより、作動油が下室と上室とを循環することとなり、ピストンとシリンダの間を潤滑することが可能となる。したがって、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンとシリンダの摺動性の確保が可能であり、その耐久性も向上する。
【0077】
また、バルブケースおよびピストンに各凹部を設けることにより、凹部に作動油を溜めることが可能となるので、速やかに作動油を接続路もしくは連通路に導くことが可能となるので、当該空圧緩衝器にあっては、円滑に潤滑を行うことができる。
【0078】
したがって、以上のように、構成された空圧緩衝器K1は、具体的には、たとえば、図4に示すように、ピストンロッド2を車軸14側のロアアーム13に、シリンダ3を車体(図示せず)に接続して、いわゆる倒立型として使用される。
【0079】
このように、本実施の形態の空圧緩衝器K1を倒立型として使用すれば、ピストンロッド2は、常に下室R2内の作動油Jに接しているので、ピストンロッド2の潤滑も可能となるので、より一層摺動性の向上が可能である。また、各凹部1b、5bは必然的に上方を向くこととなり、この凹部に作動油Jを留めることが可能となる。ここで、正立型として使用したい場合には、図示はしないが、ピストンロッドをバルブケース5およびシリンダ3の上端部を貫通するように配置し、その他の構成は第1の実施の形態と同様にすれば良いことになる。この場合にもシリンダとピストンとの間が潤滑されるので、ピストンとシリンダの摺動性の確保が可能であり、その耐久性も向上するという本発明の効果を達成することは無論可能であるが、ピストンロッドが常時作動油に接していないので、倒立型に比べてやや摺動性の確保という点で劣るとともに、構造がやや複雑となるので好ましくはない。
【0080】
なお、上述のように空圧緩衝器の摺動性の確保と耐久性の向上が可能となることに加えて、安定した減衰力を発生できるので、特に比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下、たとえば車両のサスペンション等にも適用可能となるが、本発明の空圧緩衝器においては、作動油量が大量に必要な油圧緩衝器に比較して、少量の作動油を使用すればよいので、コスト的に有利なだけでなく、空圧緩衝器の廃棄による作動油の処分の点でも有利となり、空圧緩衝器の重量も油圧緩衝器に比較して軽量となり、ひいては作動油の漏れが生じた場合にあっても、作動油量は少量であるから環境汚染を防止できる。
【0081】
また、空圧緩衝器が伸長して、下室の作動油中にピストンが侵入すると、ガスがすべてリザーバ室または上室に流入した状態となるので、第1の減衰弁を作動油のみが通過することになり、ガスが第1の減衰弁を通過する場合の流れ抵抗に比較して作動油が第1の減衰弁を通過する場合の流れ抵抗の方が極度に大きいので、ピストンロッドの作動抵抗も上昇し、ピストンとシリンダを封止しているボトム部材たる封止部材との衝突による衝撃を緩和することとなる。したがって、衝撃を緩和することが可能なので、空圧緩衝器の損傷する機会を減少することが可能である。
【0082】
ちなみに、本実施の形態の空圧緩衝器K1においては、ピストン1の上室R1側面より下室R2側面のほうがピストンロッド2の面積分だけ、受圧面積が小さいので、ピストンロッド2がシリンダ3から退出する場合、すなわち、空圧緩衝器K1が伸長する場合に効く第1の減衰弁V1とピストンロッド2がシリンダ3に侵入する場合、すなわち、空圧緩衝器K1が収縮に効く第2の減衰弁V3(または第2の減衰弁V3および第1の減衰弁V1)におけるガスおよび作動油Jの各流れ抵抗を同一のものとすると、空圧緩衝器K1の伸長する場合と収縮する場合とでは作動抵抗が異なり、伸側と収縮側ではその発生減衰力が異なることになるので、この空圧緩衝器が適用される車種や使用される環境に合わせて、各減衰弁におけるガスおよび作動油Jの流れ抵抗を決定することが好ましい。
【0083】
なお、第2の減衰弁と第2の逆止弁を、図6(A)(B)に示すように構成してもよい。
【0084】
図6(A)に示した第2の減衰弁V3と第2の逆止弁V5は、第2の減衰弁V3を上述した減衰弁と同様として、第2の逆止弁V5をバネV6で付勢したものである。このような構成とすることで、主としてピストンロッドの移動速度が低速の場合には、ガスおよび作動油Jが第2の減衰弁V3をさほど抵抗無く通過するので、バネV6で付勢された第2の逆止弁V5側で減衰力を増大させ、主としてピストンロッドの移動速度が中高速の場合には、第2の減衰弁V3側で減衰力を増大させることが可能となる。
【0085】
したがって、この場合には、第2の減衰弁V3ばかりでなく、第2の逆止弁V5によっても減衰力を発生することができ、ピストンロッド2の移動速度により減衰特性を変化させることが可能である。第2の減衰弁と第2の逆止弁をこのように構成させることで、この空圧緩衝器K1が適用される環境に適合した減衰特性を発生させることが可能となるので、特に車両のサスペンションとして使用される場合には車両の乗り心地を向上させることが可能である。
【0086】
他方、図6(B)に示したものは、第2の減衰弁V10と第2の逆止弁V8は、上述した第2の減衰弁V3、第2の逆止弁V4とそれぞれ同様であるが、連通路L1に第2の減衰弁V10とバネV9で付勢された圧力調整弁V7とを並列に設けたものである。このような構成とすることで、主としてピストンロッドの移動速度が低速の場合には、第2の減衰弁V10側で減衰力を発生させ、主としてピストンロッドの移動速度が中高速の場合には、圧力調整弁V7の開口度合いが大きくなり優先的にガスおよび作動油Jが圧力調整弁V7を通過するので、圧力調整弁V7側で減衰力増大を抑制させることが可能となる。
【0087】
なお、図6(A)(B)は、ピストン1に具現化された場合についての図であるで、基本的に第2の減衰弁と第2の逆止弁についての説明としたが、その構成を第1の減衰弁と第1の逆止弁に適用することにより、上述の効果を得られることは言うまでもない。
【0088】
また、図5に示すように、第1の減衰弁と第1の逆止弁とを、および、第2の減衰弁と第2の逆止弁とを、一体に形成することにより弁自体の小型化により空圧緩衝器K1をコンパクト化することが可能である。図5の弁は、バイパス路B1もしくは接続路Sもしくは連通路L(以下「バイパス路等」という。)の途中に設けた中空なバルブボディ20と、ポペット21と、このポペット21が上記バイパス路等を塞ぐように付勢するバネ22と、バルブボディ20の下方に設けたオリフィス23とで構成されている。
【0089】
詳しく説明すると、バルブボディ20の上下の開口端をバイパス路等に接続し、バイパス路等の径より大径のバルブ室20aを設け、このバルブ室20aの一端にポペット21のテーパ部21bを当接させ、バルブ室20aの他端側内周面とポペット21との間にバネ22を介装している。また、ポペット21のバネ22が当接する面には突起21aが設けられ、この突起21aがバネ22の内周に嵌合し、ポペット21のバルブボディ20に対する軸芯が図られている。
【0090】
このような弁とすることにより、図5中下方のバイパス路等のガス圧が高まると、まず、ガスおよび作動油Jがオリフィス23を通過し、つづいて、バネ22のバネ力に抗してポペット21を図中上方に押し付けるので、ポペット21とバルブ室20の端部とに隙間が生じバイパス路等が連通し、ガスおよび作動油Jはバイパス路等を通過することが可能であり、このとき、ガスおよび作動油Jがオリフィス23を通過し減衰力が発生する。また、バネ22のバネ力を調整することにより、ガスおよび作動油Jがポペット21とバルブ室20の端部とでつくられる隙間を通過するときに減衰力を発生させることもできる。すなわち、減衰弁としての機能を発揮できる。
【0091】
逆に、図中上方のバイパス路等のガス圧が高まったときには、ポペット21を図中下方のバイパス路等内へ押し込むこととなるので、ポペット21とバルブ室20端部との間に隙間は生じないので、バイパス路等は遮断されることとなる。
すなわち、この場合には逆止弁として作用を呈することとなる。
【0092】
したがって、上述のように構成すれば、第1の減衰弁と第1の逆止弁とを、および、第2の減衰弁と第2の逆止弁とを、一体に形成することができる。なお、上述した第1の減衰弁と第1の逆止弁とを、および、第2の減衰弁と第2の逆止弁とを、一体に形成する構成は、一例であって、他の構成により実現してもよい。
【0093】
つぎに、第2の実施の形態における空圧緩衝器K2について説明するが、第1の実施の形態と同様の部分については説明が重複するので、符号を付すのみとしてその詳しい説明は省略する。空圧緩衝器K2は、図2に示すように、シリンダ11の外側に外筒4を設け、シリンダ11の上端を区画部材たるバルブケース10でリザーバ室Rを区画して、シリンダ11内をピストン1で上室R1と下室R2とに区画し、同じくシリンダ11内に上記ピストン1を介して移動自在にピストンロッド2を挿入し、上記リザーバ室Rと下室R2を接続するバイパス路B2を上記シリンダと外筒4との間の隙間として、バルブケース10に、リザーバ室Rと上室R1とを接続する接続路Sと、接続路Sの途中に直列に接続される第1の減衰弁V1と第1の逆止弁V2とを設け、ピストン1に、上室R1と下室R2とを連通する連通路Lと、連通路Lの途中に直列に接続される第2の減衰弁V3と第2の逆止弁V4とを設けて、構成されている。
【0094】
したがって、第1の実施の形態と異なる部分は、外筒4を設け、その外筒4とシリンダ3との間の隙間をバイパス路B2としている点、および、バルブケース10の形状が第1の実施の形態と異なっている。
【0095】
以下、上記の異なる部分について詳細に説明すると、バルブケース10は、バルブケース本体10aによりシリンダ11の上端部を封止するとともに、リザーバ室Rを外筒4とバルブケース10とで区画している。また、バルブケース本体10aの側方に設けた切欠10c、10dにより、上述のバイパス路B2とリザーバ室Rとを連通可能としている。したがって、この場合には、第1の実施の形態のようにシリンダ11にリザーバ室Rとシリンダ外とを連通する孔を穿設する必要は無く、上記の切欠10c、10dが上記孔3bと同様の機能を果たすこととなるので、シリンダ11にリザーバ室Rとバイパス路B2とを接続する孔を設ける必要がなくなるので、シリンダの強度をいたずらに低下させない。
【0096】
バイパス路B2は上述のように外筒4とシリンダ11との間の隙間で形成され、シリンダ11の下方に設けた孔11aによりバイパス路B2と下室R2とが接続されており、上記切欠10c、10dとバイパス路B2と孔11aとでリザーバ室Rと下室R2が接続されていることとなる。
【0097】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様であって、また、図5、図6に示した第1、第2の減衰弁や第1、第2の逆止弁を本実施の形態の空圧緩衝器K2に適用可能なのは言うまでもない。
【0098】
そして、第2の実施の形態においては、第1の実施の形態で説明した作用効果を奏することは勿論であるが、外筒4を設けて、シリンダ11と外筒4との間にバイパス路B2を形成したので、空圧緩衝器K2の外部にバイパス路B2を設ける必要がなくなるので、空圧緩衝器K2をコンパクト化でき、車両等への搭載性をも向上させることが可能である。
【0099】
最後に第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態における空圧緩衝器K3は、図3に示すように、第2の実施の形態の空圧緩衝器K2の作動油Jの油面Oに浮遊可能なフロートFを設けたものである。
【0100】
フロートFは、ピストンロッド2に挿入可能なように中央に孔を設けてあり、油面に浮遊させる。ここで、フロートFは、ピストンロッド2がシリンダ11から退出する方向に移動すると、やがてはピストン1と干渉するので、ある程度強度を有するものを使用することが好ましい。
【0101】
この場合には、空圧緩衝器K3に振動等が負荷されても、フロートFが油面Oに浮遊しているため作動油の油面が波立って、ガスと作動油が混ざり合うことを防止するので、安定した減衰力が得られるという効果がある。
【0102】
また、フロートFにある程度の弾性を有する材料を使用すれば、フロートFにピストン1と封止部材6とが直接干渉することを防止するクッションとしての機能を持たせることも可能であり、この場合には第1の実施の形態で説明したピストンが作動油に侵入することにより、作動油が減衰力を発生してピストンとシリンダを封止しているボトム部材たる封止部材との衝突による衝撃を緩和することに加えて、フロートFもクッションになるので、より一層空圧緩衝器の損傷する機会を減少することが可能である。
【0103】
なお、本実施の形態は第2の実施の形態の空圧緩衝器にフロートを付加したものであるので、その他の作用効果は第2の実施の形態と同様であるので、上述したように第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0104】
また、上述した各実施の形態においては、空圧緩衝器の伸縮動作および各逆止弁と各油空路(バイパス路、連通路、接続路)により作動油を下室と上室とに循環させているが、作動油を循環させることによりシリンダとピストンとの間を潤滑して、ピストンとシリンダの摺動性の確保と耐久性を向上することができれば本発明の目的を達成可能であるから、たとえば他に形成した油路の途中にポンプ等を用いて作動油を循環させる等の、別途他の作動油循環手段を用いても良い。
【0105】
以上で実施の形態の説明を終えるが、本実施の形態では、特に本発明の空圧緩衝器が車両のサスペンションに具現化した場合について説明したが、本発明の意図するところは、空圧緩衝器を比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下にも適用可能なものとして、作動油の廃棄や漏洩による地球環境の悪化を防止することにあるので、車両のサスペンションに以外にこの空圧緩衝器が具現化可能であることは明らかである。
【0106】
【発明の効果】
請求項1から13の発明によれば、以上のように空圧緩衝器が伸縮動作をすることにより、作動油が下室と上室とを循環することとなり、ピストンとシリンダの間を潤滑することが可能となる。したがって、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンとシリンダの摺動性の確保が可能であり、その耐久性も向上する。
【0107】
さらに、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンの外周に附着した作動油がシリンダとピストンと間を流通するガスの漏洩を防止するので、シール性が向上し安定した減衰力を発生できるという効果もある。
【0108】
そして、空圧緩衝器の摺動性の確保と耐久性の向上が可能となることに加えて、安定した減衰力を発生できるので、特に比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下、たとえば車両のサスペンション等に適用可能となり、その結果、本発明の空圧緩衝器においては、作動油量が大量に必要な油圧緩衝器に比較して、少量の作動油を使用すればよいので、コスト的に有利なだけでなく、空圧緩衝器の廃棄による作動油の処分の点でも有利となり、空圧緩衝器の重量も油圧緩衝器に比較して軽量となり、ひいては作動油の漏れが生じた場合にあっても、作動油量は少量であるから環境汚染を防止できる。
【0109】
また、空圧緩衝器が伸長して、下室の作動油中にピストンが侵入すると、ガスがすべてリザーバ室または上室に流入した状態となるので、第1の減衰弁を作動油のみが通過することになり、ガスが第1の減衰弁を通過する場合の流れ抵抗に比較して作動油が第1の減衰弁を通過する場合の流れ抵抗の方が極度に大きいので、ピストンロッドの作動抵抗も上昇し、ピストンとシリンダを封止しているボトム部材との衝突による衝撃を緩和することとなる。したがって、衝撃を緩和することが可能なので、空圧緩衝器の損傷する機会を減少することが可能である。
【0110】
また、請求項2および3の発明によれば、一旦区画部材で区画したリザーバ室に作動油を溜めることが可能であるので、ガスと作動油とを分離し易くなるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。
【0111】
そして、請求項4の発明によれば、ピストンロッドは、常に下室内の作動油に接しているので、ピストンロッドの潤滑も可能となるので、より一層摺動性の向上が可能である。
【0112】
さらに、請求項5の発明によれば、シリンダと外筒との間にバイパス路を形成したので、空圧緩衝器の外部にバイパス路を設ける必要がなくなるので、空圧緩衝器をコンパクト化でき、車両等への搭載性をも向上させることが可能である。
【0113】
また、さらに、請求項6の発明によれば、ガスより作動油の方が単位体積あたりの重量が重いので、ピストンの凹部に作動油を溜めることが可能となり、これにより、より一層ガスと作動油とを分離し易くなることに加え、かつ、凹部の底部に連通路が接続されているので、空圧緩衝器が収縮する際に、積極的にガスに優先して作動油を上室から下室へ流入させるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。
【0114】
また、凹部を設けることにより、凹部に作動油を溜めることが可能となるので、速やかに作動油を連通路に導くことが可能となるので、当該空圧緩衝器にあっては、円滑に潤滑を行うことができる。
【0115】
そして、さらに、請求項7の発明によれば、区画部材の凹部に作動油を溜めることが可能となり、これにより、より一層ガスと作動油とを分離し易くなることに加え、かつ、凹部の底部に接続路が接続されているので、空圧緩衝器が伸長する際に、積極的にガスに優先して作動油をリザーバ室から上室へ流入させるので、空圧緩衝器の減衰力を安定させることが可能である。
【0116】
また、凹部を設けることにより、凹部に作動油を溜めることが可能となるので、速やかに作動油を接続路に導くことが可能となるので、当該空圧緩衝器にあっては、円滑に潤滑を行うことができる。
【0117】
そして、また、請求項8の発明によれば、上室に流入した作動油が、ピストンの外周に設けた面取り部分に溜まるので、シリンダとピストンとの間の潤滑を円滑に行うことができ、さらに、この面取り部分に作動油が溜まることにより、より一層シリンダとピストンと間を流通するガスの漏洩を防止するので、シール性が向上し安定した減衰力を発生できるという効果がある。
【0118】
さらに、また、請求項9の発明によれば、空圧緩衝器が振動を負荷された場合にも、作動油の油面が波立って、ガスと作動油が混ざり合うのを、油面に浮遊するフロートが防止するので、安定した減衰力が得られるという効果がある。
【0119】
なお、フロートにある程度の弾性を有する材料を使用すれば、フロートにピストンと封止部材とが直接干渉することを防止するクッションとしての機能を持たせることも可能であり、この場合にはピストンが作動油に侵入することにより、作動油が減衰力を発生してピストンとシリンダを封止しているボトム部材たる封止部材との衝突による衝撃を緩和することに加えて、フロートもクッションになるので、より一層空圧緩衝器の損傷する機会を減少することが可能である。
【0120】
そして、また、請求項10の発明によれば、第1の逆止弁と第1の減衰弁を一体に形成し、かつ、第2の逆止弁と第2の減衰弁を一体に形成したので、逆止弁と減衰弁を独立して設けなくて済むので、弁自体を小型化可能であり、これにより、空圧緩衝器のコンパクト化が図れる。
【0121】
また、さらに、請求項11の発明によれば、第1の逆止弁が上記第1の減衰弁よりガスの流れの下流に設け、第2の逆止弁が上記第2の減衰弁よりガスの流れの下流に設けており、逆止弁に減衰弁としての機能を付加させておけば、減衰特性を調節することが可能であるので、この空圧緩衝器を様々な車両に適用可能となる。
【0122】
さらに、請求項12の発明によれば、区画部材に第1の逆止弁と第1の減衰弁を設けているので、シリンダ外に第1の逆止弁と第1の減衰弁を設けるのに比較して、空圧緩衝器をいたずらに空圧緩衝器を大型化しなくてすみ、コンパクト化することが可能である。
【0123】
また、請求項13の発明によれば、この空圧緩衝器は、上述のような各作用効果を奏するので、特に車両のサスペンションに使用された場合にその効果が高い。
そして、さらに、請求項14の発明によれば、下室に充填した作動油が作動油循環手段によって上室と下室とに循環するので、ピストンとシリンダの間を潤滑することが可能となる。したがって、ピストンとシリンダとの間が潤滑されるので、ピストンとシリンダの摺動性の確保が可能であり、その耐久性も向上する。
【0124】
そして、空圧緩衝器の摺動性の確保と耐久性の向上が可能となることに加えて、安定した減衰力を発生できるので、特に比較的広い周波数領域の伸縮作動を強いられる環境下、たとえば車両のサスペンション等に適用可能となり、その結果、本発明の空圧緩衝器においては、作動油量が大量に必要な油圧緩衝器に比較して、少量の作動油を使用すればよいので、コスト的に有利なだけでなく、空圧緩衝器の廃棄による作動油の処分の点でも有利となり、空圧緩衝器の重量も油圧緩衝器に比較して軽量となり、ひいては作動油の漏れが生じた場合にあっても、作動油量は少量であるから環境汚染を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における空圧緩衝器を原理的に示す概略断面図である。
【図2】第2の実施の形態における空圧緩衝器を原理的に示す概略断面図である。
【図3】第3の実施の形態における空圧緩衝器を原理的に示す概略断面図である。
【図4】本発明に係る空圧緩衝器を車両へ適用した状態における斜視図である。
【図5】第1の減衰弁と第1の逆止弁もしくは第2の減衰弁と第2の逆止弁を一体に形成した弁の断面図である。
【図6】(A)第2の減衰弁とバネにより付勢された第2の逆止弁を直列に連通路に配置した場合のピストンの断面図である。
(B)連通路に第2の減衰弁と圧力調整弁を並列に配置した場合のピストンの断面図である。
【図7】従来のステイダンパを示す縦断面図である。
【図8】従来のエアダンパを示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ピストン
1a ピストン本体
1b、5b、10b 凹部
1c 面取り部
2 ピストンロッド
3、11 シリンダ
3a、3b、11a 孔
4 外筒
5、10 区画部材たるバルブケース
5a、10a バルブケース本体
6 封止部材
6b ブッシュ
10c、10d 切欠
13 ロアアーム
14 車軸
15 タイヤ
20 バルブボディ
20a バルブ室
21 ポペット
21a 突起
22、V6、V9 バネ
B1、B2、B3 バイパス路
F フロート
J 作動油
K1、K2、K3 空圧緩衝器
L、L1 連通路
O 油面
R リザーバ室
R1 上室
R2 下室
S 接続路
V1 第1の減衰弁
V2 第1の逆止弁
V3、V10 第2の減衰弁
V4、V5、V8 第2の逆止弁
V7 圧力調整弁
Claims (14)
- シリンダと、シリンダ内を上室と下室に区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたピストンロッドと、上室と下室とを接続するバイパス路と、ピストンまたはピストンロッドに設けた上室と下室とを連通する連通路とを備え、下室に作動油を充填し、シリンダ内にガスを封入した空圧緩衝器において、上記バイパス路に下室から上室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第1の逆止弁と第1の減衰弁を直列に設けるとともに、上記連通路に上室から下室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第2の逆止弁と第2の減衰弁を直列に設け、作動油を油面が上記バイパス路の下室への接続位置より上方に位置するように下室に充填したことを特徴とする空圧緩衝器。
- シリンダと、シリンダ内をリザーバ室と作動室とに区画する区画部材と、シリンダ内の作動室を上室と下室に区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたピストンロッドと、リザーバ室と下室とを接続するバイパス路と、リザーバ室と上室とを接続する接続路と、ピストンまたはピストンロッドに設けた上室と下室とを連通する連通路とを備え、下室に作動油を充填し、シリンダ内にガスを封入した空圧緩衝器において、上記接続路にリザーバ室から上室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第1の逆止弁と第1の減衰弁を直列に設けるとともに、上記連通路に上室から下室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第2の逆止弁と第2の減衰弁を直列に設け、作動油を油面が上記バイパス路の下室への接続位置より上方に位置するように下室に充填したことを特徴とする空圧緩衝器。
- シリンダと、シリンダ端部を封止するとともにリザーバ室を備えた区画部材と、シリンダ内を上室と下室に区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたピストンロッドと、リザーバ室と下室とを接続するバイパス路と、リザーバ室と上室とを接続する接続路と、ピストンまたはピストンロッドに設けた上室と下室とを連通する連通路とを備え、下室に作動油を充填し、シリンダ内およびリザーバ室内にガスを封入した空圧緩衝器において、上記接続路にリザーバ室から上室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第1の逆止弁と第1の減衰弁を直列に設けるとともに、上記連通路に上室から下室へ向うガスおよび作動油のみの流れを許容する第2の逆止弁と第2の減衰弁を直列に設け、作動油を油面が上記バイパス路の下室への接続位置より上方に位置するように下室に充填したことを特徴とする空圧緩衝器。
- ピストンロッドがピストンの下室側端部に設けられていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の空圧緩衝器。
- シリンダの外方に外筒を設け、シリンダと外筒との間の隙間をバイパス路としたことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の空圧緩衝器。
- ピストンの上室側面に凹部を設けるとともに、上記連通路が当該ピストン凹部の底部に接続されてなる請求項1、2、3、4または5に記載の空圧緩衝器。
- 区画部材のリザーバ室側面に凹部を設けるとともに、上記接続路が当該凹部の底部に接続されることを特徴とする請求項2、3、4、5または6に記載の空圧緩衝器。
- ピストンの上室側面の外周に面取りを施したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の空圧緩衝器。
- 下室の作動油の油面に浮遊可能なフロートを設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の空圧緩衝器。
- 第1の逆止弁と第1の減衰弁が一体に形成されるとともに、第2の逆止弁と第2の減衰弁が一体に形成されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の空圧緩衝器。
- 第1の逆止弁が上記第1の減衰弁よりガスの流れの下流に設けられるとともに、第2の逆止弁が上記第2の減衰弁よりガスの流れの下流に設けられることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載の空圧緩衝器。
- 接続路および第1の減衰弁および第1の逆止弁が区画部材に設けられることを特徴とする請求項2、3、4、5、6、7、8、9、10および11に記載の空圧緩衝器。
- ピストンロッドの端部が車軸側に接続され、シリンダが車体側に接続されることにより、車両に介装されることを特徴とする請求項4、5、6、7、8、9、10、11または12に記載の空圧緩衝器。
- シリンダと、シリンダ内を上室と下室に区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたピストンロッドと、上室と下室とを接続するバイパス路と、ピストンまたはピストンロッドに設けた上室と下室とを連通する連通路とを備え、下室に作動油を充填し、シリンダ内にガスを封入した空圧緩衝器において、上記作動油を上室と下室とに循環させる作動油循環手段を備えたことを特徴とする空圧緩衝器。
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