JP2004132408A - 施設物設置具 - Google Patents
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Abstract
【課題】現場での仮設やコンクリートの打設に必要とされる大掛かりな作業が必要なく、施設物の支えの高さを容易に調整して固定することのできる施設物設置具を提供すること。
【解決手段】ベース部材2の上下方向に沿って設けられた肉抜き部6に垂直梁材4bの下端部を嵌合させて上下方向に摺動可能とし、ベース部材2の外周面から肉抜き部6に貫通したボルト8の締め付けによって垂直梁材4bを任意の上下位置で固定する。水平梁材4aの高さ調整に関わる仮設作業を施設物設置具1それ自体の機能によって達成することで煩雑な仮設作業を不要とする。また、予め作成されたベース部材2や施設物支持部材4を現場に持ち込んで作業を行なうことで、これまでベース部材の形成に必要とされていた現場でのコンクリート打設作業を不要とし、汚れの発生を防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】ベース部材2の上下方向に沿って設けられた肉抜き部6に垂直梁材4bの下端部を嵌合させて上下方向に摺動可能とし、ベース部材2の外周面から肉抜き部6に貫通したボルト8の締め付けによって垂直梁材4bを任意の上下位置で固定する。水平梁材4aの高さ調整に関わる仮設作業を施設物設置具1それ自体の機能によって達成することで煩雑な仮設作業を不要とする。また、予め作成されたベース部材2や施設物支持部材4を現場に持ち込んで作業を行なうことで、これまでベース部材の形成に必要とされていた現場でのコンクリート打設作業を不要とし、汚れの発生を防止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給水槽からの配管や冷暖房設備の配管あるいはエアコンの室外機等の設置に利用される施設物設置具の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来技術としては、給水槽からの配管や冷暖房設備の配管等の施設物を支える形鋼の下部に合成樹脂製の型を設置し、この型の中にコンクリートを打設して形成したベース部材によって形鋼を固定するものが一般的であった。
【0003】
しかし、このような工法を適用する場合には、コンクリートの打設作業で周辺が汚れる問題があり、また、施設物を支えるために必要とされる形鋼とは別の形鋼を仮設して施設物を支える形鋼の高さを現場で調整し、その状態を維持してコンクリートの打設作業を行なわなければならず、作業が大掛かりとなって所要時間も増長するといった欠点があった。
【0004】
また、ベース部材に対する形鋼の取り付け状態を調整可能とした施設物設置具としては、コンクリートブロック(ベース部材)の上部に支持台ケースを設け、この支持台ケースの端部および上面部を開口させて係合部(水平梁材)を形成し、この係合部に半割り状の締付体を介して配管等の施設物を取り付けるようにしたものが、例えば、特許文献1として既に提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平08−042761号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1として開示された施設物設置具は、配管等の施設物を把持する締付体の移動方向が水平面内の一方向に制限され、上下方向の高さ調整には対処することができないものであった。
【0007】
【発明の目的】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、現場での型鋼の仮設やコンクリートの打設に必要とされる大掛かりな作業が必要なく、施設物の支えの高さを容易に調整して固定することのできる施設物設置具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、施設物を支える水平梁材と水平梁材に直交して固設された垂直梁材とを備えた施設物支持部材と、前記垂直梁材の下端部を支えるベース部材とからなる施設物設置具であり、前記目的を達成するため、特に、
垂直梁材の断面形状に嵌合する肉抜き部をベース部材の上下方向に沿って設けると共に、ベース部材の外周面から前記肉抜き部に貫通するボルト通し穴を設け、このボルト通し穴にボルトを螺合したことを特徴とする構成を有する。
【0009】
以上の構成において、垂直梁材の下端部をベース部材の肉抜き部に突入させて嵌合させることにより、ベース部材で施設物支持部材を保持する。
垂直梁材はベース部材の肉抜き部に沿って上下方向に摺動可能であるので、ベース部材に対する垂直梁材の突入量を加減することによって水平梁材の高さを調整し、水平梁材で施設物を適切に支えられるようにする。
更に、この状態でボルト通し穴のボルトを締め付けてボルトの先端を肉抜き部の内側に突入させ、ボルトの先端で垂直梁材を押えることによってベース部材に対する施設物支持部材の上下位置を固定し、施設物支持部材とベース部材とを一体化する。
このように、施設物を支える水平梁材の高さ調整に関わる仮設作業を施設物設置具それ自体の機能によって達成することができるため、施設物支持部材の高さ調整に必要とされる煩雑な仮設作業、つまり、施設物を支えるために必要とされる形鋼とは別の形鋼を仮設して施設物を支える形鋼の高さを現場で調整するといった仮設作業が不要となり、施設物の設置に必要とされる所要時間が大幅に短縮され、同時に、コンクリートの打設作業による周辺の汚れも防止される。
【0010】
また、水平梁材の両端部の各々に垂直梁材を設けて施設物支持部材とし、各垂直梁材毎にベース部材を配備するようにしてもよい。
【0011】
このような構成を適用することによって、長尺の水平梁材を立設することが可能となり、給水槽からの配管や冷暖房設備の配管等のように水平梁材と交叉して一点で支えられる施設物の他、面によって支えられる必要のある施設物、例えば、エアコンの室外機等の矩形状の施設物も容易に設置することができるようになる。
更に、ベース部材は各々の垂直梁材毎に配備されているので、各ベース部材に対する垂直梁材の突入量を加減することにより、地面等を始めとする設置面の傾斜あるいは凹凸等の有無に関わりなく、水平梁材の水平状態を維持して施設物を支えることができる。
【0012】
ここで、施設物支持部材は断面略L字型の山形鋼を屈曲して一体に形成することが可能である。
【0013】
L字型の山形鋼を利用することで重量の大きな施設物を確実に支えることができる。しかも、ボルト通し穴のボルトを締め付けてボルトの先端を強力に垂直梁材の部分に押し当てても非パイプ構造の垂直梁材に変形が生じることはないので、施設物支持部材の上下位置を確実に保持することができるようになる。
【0014】
また、施設物支持部材は、水平梁材の中央部に垂直梁材を固設して構成することも可能である。
【0015】
この場合、設置するベース部材は1つで済むので、狭小なスペースで配管作業を行なうような場合に有利である。
【0016】
更に、ベース部材をコンクリートブロックによって形成し、そのボルト通し穴にボルトに螺合するナットを回転不能な状態で一体的に埋設するようにしてもよい。
【0017】
ベース部材をコンクリートによって打設してナットを一体的に埋設することによりナットがベース部材に対して回転不能な状態で確実に固着され、垂直梁材を固定するボルトを強力に締結することができるようになる。
この場合、ベース部材の製造に必要とされる要素はコンクリートとボルトおよびナットのみであるから、製造コストの低減化に有利である。
また、コンクリートに焼却残灰を混入させて混練することで資源のリサイクル使用を図ることも可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は一実施形態の施設物設置具1の全体的な構造について示した斜視図、図2は施設物設置具1の一部を構成するベース部材2の構造について示した斜視図、図3はボルト通し穴3を含む平面でベース部材2を垂直に割ってベース部材2の製造工程と其の内部構造を示した断面図である。
【0019】
図1に示されるように、本実施形態の施設物設置具1は、給水槽からの配管や冷暖房設備の配管あるいはエアコンの室外機等の施設物を支えるための水平梁材4aと、この水平梁材4aに直交してその両端部の各々に固設された垂直梁材4b,4b’とを備えた施設物支持部材4と、垂直梁材4b,4b’の下端部を支える個別のベース部材2,2’とによって構成される。
【0020】
施設物支持部材4は、断面略L字型の等辺山形鋼や不等辺山形鋼あるいは不等辺不等厚山形鋼等の山形鋼をコの字型に屈曲させることによって水平梁材4aの部分と垂直梁材4b,4b’の部分が一体に形成され、その長手方向に沿って多数の長穴5が一定のピッチで連続的に穿設されている。
【0021】
このうち、水平梁材4aの部分に穿設された複数の長穴5は、水平梁材4a上に施設物を取り付ける際の固定手段の一部として利用される。
水平梁材4a上に取り付けられる配管や室外機等の施設物は、固定用の金属ベルトやボルトおよびナット等を介して水平梁材4a上に固定されるが、これらの固定手段に関しては周知であり、また、本発明の要旨と直接的に関連するものでもないので詳細な説明は省略する。
【0022】
一方、図2に示されるように、ベース部材2の側には、垂直梁材4bの断面形状に嵌合する略L字型の肉抜き部6が上下方向に貫通して設けられ、更に、ベース部材2の外周面の一側から肉抜き部6に貫通するボルト通し穴3が形成されている。
肉抜き部6の寸法は、垂直梁材4bの外形寸法に比べて僅かに大きく、この肉抜き部6に垂直梁材4bを突入して嵌合させた状態で垂直梁材4bが摺動可能な大きさである。
【0023】
図3にベース部材2の製造工程と其の内部構造を詳細に示す。このベース部材2は略直方体形状の仮枠7の内側に焼却残灰等を含むコンクリートスラリーを打設して形成したものである。
【0024】
図3に示されるように、ベース部材2におけるボルト通し穴3の配設位置に相当する仮枠7の側面には、有効ネジ部のみによって構成されるボルト8の外径に対応した貫通孔9が予め穿設されており、ベース部材2の製造工程においては、まず、この貫通孔9にボルト8と同径の仮止めボルト10が挿通される。
更に、仮枠7の側面を表裏から挟むようにして仮止めボルト10にナット11および仮止めナット12が螺合されて、仮枠7の内側にナット11が固定される。
【0025】
ボルト8はナット11を介して仮枠7の内側に固定され、ナット11から露出したボルト8の外周部がビニールあるいはゴム等によって形成されたパイプ状の被覆材13によって被われ、更に、ボルト8の先端部に固定用ナット14が螺合されて、押圧用ナット16の外周部を一定の間隙を置いて包囲するナット保護カバー15が取り付けられると共に、ボルト8の最先端部には、先端面に座金(平ワッシャ)を備えた押圧用ナット16が接着剤によって一体的に固着される。
【0026】
そして、図3に示されるようにして、肉抜き部6と同形状の入れ子17を仮枠7の中央部にセットした後、保護カバー15の先端開口部を入れ子17の面に当接させた状態で仮枠7にコンクリートスラリーを流し込み、コンクリートが固化した段階で仮枠7から仮止めボルト10と仮止めナット12および入れ子17を取り外し、コンクリートブロックからなるベース部材2を型枠7から取り出す。
【0027】
ボルト通し穴3に埋設されたナット11と固定用ナット14は外周部が6角形等の多角形形状によって形成されているので、これらのナット11,14はボルト通し穴3に対して回転不能の状態で固着されることになる。
【0028】
一方、押圧用ナット16の外周部には一定の間隙を置いて保護カバー15が取り付けられており、更に、保護カバー15の先端開口部はベース部材2の製造工程において入れ子17の面で封止されているので、押圧用ナット16の外周部にコンクリートスラリーが侵入することはなく、コンクリートが固化した後もボルト8と一体に回転することが許容される。
【0029】
ボルト8の端面にはスクリュードライバーやレンチ等を嵌合するための溝あるいは6角穴等の係合部18が形成されているので、仮止めボルト10を取り外した後のボルト通し穴3(ナット11)にスクリュードライバーやレンチ等を差し込んでボルト8を回転させることで、固定用ナット14を図3中の左右方向に移動させることができる。
【0030】
取り外された入れ子17に代えてベース部材2の肉抜き部6に差し込まれる垂直梁材4bは、このボルト8を締め付けることにより押圧用ナット16の先端面と肉抜き部6の内壁で挾圧され、ベース部材2に対する上下位置を固定されることになる。この際、固定用ナット14に作用する反力は、ボルト通し穴3の段差部、より具体的には、被覆材13に外接するボルト通し穴3の小径の内周部と固定用ナット14に外接する大径の内周部との間に形成された段差部によって確実に支持される。
【0031】
垂直梁材4bは断面がL字型の中実構造であるから、円筒パイプ等の中空体を利用した場合とは違い、ボルト8を締め付けてボルト8の先端(押圧用ナット16)を強力に押し当てても変形が生じることはなく、施設物支持部材4の上下位置を確実に保持することができる。
【0032】
図1においてはL字型の断面を有する施設物支持部材4の片方の面にだけ長穴5が穿設されているものについて例示しているが、L字を形成する両方の面に長穴5が穿設されている場合もある。
図3に示す通り、押圧用ナット16の先端には大径の座金が設けられているので、仮に、長穴5が穿設された部分に押圧用ナット16を押し当てた場合であっても、押圧用ナット16が長穴5に突入して押えが効かなくなるような問題が生じることはない。
【0033】
図1ではベース部材2に対して左右対称の形状を有するベース部材2’によって他方の垂直梁材4b’を支えた例について示している。しかし、施設物支持部材4が等辺等厚山形鋼等で形成されているような場合には、水平投影面に対する垂直梁材4b,4b’の断面形状に90°の回転互換性があるので、完全に同一の形状のベース部材2,2あるいは2’,2’を用いて左右の垂直梁材4b,4b’を支えることも可能である。
ここで、仮に、図1においてベース部材2’に代わるベース部材2を使用して垂直梁材4b’を支えたとすると、このベース部材2のボルト通し穴3の位置は図1に示される3’の位置ではなく90°位相の異なる面、つまり、垂直梁材4bを支えるベース部材2に対向した面に移動することになる。
【0034】
図4は給水槽や冷暖房設備等の配管19を本実施形態の施設物設置具1で支えた場合の例について示した斜視図である。
【0035】
図4に示される通り、各々の配管19は、周知の金属ベルトやボルトおよびナット等の固定手段20を介して施設物支持部材4の水平梁材4a上の長穴5に固定されている。このように、複数の配管19を並列して支えるような場合には一般に各配管19の高さを揃える必要がある。
本実施形態においては、複数の配管19を固定した水平梁材4aの姿勢を水平に維持した状態で、左右のベース部材2’,2に対する垂直梁材4b’,4bの突入状態を加減することによって垂直梁材4b’,4bの実質的な有効長を調整し、ベース部材2’,2の底面を地面等の設置面Gに確実に設置させることが可能であるので、仮に、設置面Gに傾斜や凹凸等がある場合であっても、これらの傾斜や凹凸等の影響を受けることなく、水平梁材4aの水平状態を維持して確実に複数の配管19を支えることができる。
【0036】
施設物支持部材4の垂直梁材4b,4b’に相当する形鋼の下部に合成樹脂製の型を設置してコンクリートを打設することによってベース部材を形成させる従来の工法では、水平梁材4aに相当する形鋼の水平状態を他の形鋼を利用して維持する仮設作業が必要なために作業が大掛かりとなり、また、他の形鋼を利用して水平梁材4aに相当する形鋼の水平状態を維持したままでコンクリートの固化を待つ必要があるために作業に必要とされる所要時間も非常に長かった。
しかし、本実施形態の施設物設置具1を利用した場合では、施設物設置具1自体の上下位置調整機能を利用して仮設作業に相当する作業を行ないながら水平出しや高さの調整を行なうことができ、しかも、ベース部材となるコンクリートの固化を待つための待機時間が不要であって、ボルト8を締め付けるだけの簡単な操作で最終的な固定作業を完了することができるので、作業の所要時間も従来の工法に比べて著しく短縮することができる。
【0037】
また、予め作成されたベース部材2,2’と施設物支持部材4を現場に持ち込むだけで簡単に作業を開始することができ、ベース部材の形成に必要とされる現場でのコンクリートの打設作業が不要となり、コンクリートの打設作業に起因する作業場周辺の汚れの問題も完全に解消される。
【0038】
図5は2組の施設物設置具1を利用してエアコンの室外機21を支えた場合の例について示した斜視図である。
【0039】
前記と同様、室外機21の姿勢を水平に維持した状態で其の四隅に位置するベース部材2,2’に対する垂直梁材4b,4b’の突入状態を加減することにより垂直梁材4b,4b’の実質的な有効長を調整し、ベース部材2,2’の底面を地面等の設置面Gに確実に設置させることができるので、設置面Gに傾斜や凹凸等がある場合であっても、これらの傾斜や凹凸等の影響を受けることなく、室外機21の水平状態を維持することができる。
【0040】
また、長期間に亘って室外機21を地面に設置すると、地面の一部が沈下して何れかのベース部材2,2’の底面が地面から浮いたりする問題が発生する可能性もあるが、そのような場合には、地面から浮いたベース部材2あるいは2’のボルト8を緩めて改めてベース部材2,2’の底面を地面に密着させてボルト8を締め直すといった簡単な作業でベース部材2,2’の底面と地面との接触を回復することができる。
従って、仮に、設置作業完了後の地面の沈下等によって設置面の傾斜や凹凸等に変化が生じたような場合であっても、土盛り等の面倒な作業を行なうことなく室外機21の水平状態を維持し続けることが可能である。
【0041】
以上、一実施形態として、水平梁材4aの両端部の各々に垂直梁材4b,4b’を設け、垂直梁材4b,4b’毎にベース部材2,2’を配備した例について説明したが、その他にも、例えば図6に示すように、水平梁材4aの中央部下面に溶接等によって1本の垂直梁材4bを固着してT字型の施設物支持部材4を構成し、この垂直梁材4bを単一のベース部材2によって支えるといったようなことも可能である。
【0042】
この場合はベース部材2が1つで済むので、特に、狭小なスペースで配管作業等を施すような場合に有利である。
【0043】
【発明の効果】
本発明の施設物設置具は、ベース部材の上下方向に沿って設けられた肉抜き部に垂直梁材の下端部を嵌合させて上下方向に摺動可能とすると共に、ベース部材の外周面から肉抜き部に貫通したボルトの締め付けによって垂直梁材を任意の上下位置で固定できるようにしたので、施設物を支える水平梁材の高さ調整に関わる仮設作業を施設物設置具それ自体の機能によって達成することができる。従って、施設物支持部材の高さ調整に必要とされる煩雑な仮設作業が不要となり、施設物の設置に必要とされる所要時間が大幅に短縮される。また、予め作成されたベース部材を現場に持ち込んで使用する構成であるので、これまで必要とされていた現場でのベース部材の打設作業は不要となり、コンクリートの打設作業等に伴う作業場周辺の汚れも解消される。
【0044】
また、水平梁材の両端部の各々に垂直梁材を設けて施設物支持部材とし、各垂直梁材毎にベース部材を配備したので、長尺の水平梁材を立設することが可能であり、給水槽からの配管や冷暖房設備の配管等のように水平梁材と交叉して一点で支えられる施設物の他、面によって支えられる必要のある施設物、例えば、エアコンの室外機等の施設物も容易に設置することができる。
更に、ベース部材が各々の垂直梁材毎に配備されているので、各ベース部材に対する垂直梁材の突入量を加減することにより、地面等を始めとする設置面の傾斜あるいは凹凸等の有無に関わりなく、水平梁材の水平状態を確実に維持して施設物を支えることができ、また、設置作業の完了後に設置面に傾斜や凹凸等が発生したような場合であっても、土盛り等の面倒な作業を行うことなく、ベース部材の底面を設置面に確実に設置し、且つ、施設物の水平を維持することができる。
【0045】
更に、施設物支持部材は断面略L字型の山形鋼を屈曲して一体に形成するようにしたので重量の大きな施設物を確実に支えることができ、しかも、ボルト通し穴のボルトを締め付けてボルトの先端を強力に垂直梁材に押し当てた場合であっても垂直梁材が座屈したり降伏したりすることはなく、一旦決められた施設物支持部材の上下位置を確実に保持することができる。
【0046】
また、水平梁材の中央部に垂直梁材を固設して施設物支持部材を構成すればベース部材が1つで済むので、狭小なスペースで配管作業を行なうこともできる。
【0047】
更に、ベース部材をコンクリートブロックによって形成し、そのボルト通し穴にはボルトに螺合するナットを回転不能な状態で一体的に埋設するようにしたので、靱性が不足気味のコンクリートブロックを使用した場合であってもベース部材を損傷させることなく垂直梁材を固定するボルトを強力に締結することができる。
ベース部材の製造に必要とされる要素はコンクリートとボルトおよびナットのみであるから製造コストの低減化の面で有利であり、しかも、素材の靱性が不足気味であってもベース部材の損傷を免れることができるので、その製造工程において焼却残灰の混入等も可能となり、資源のリサイクル使用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の施設物設置具の全体的な構造について示した斜視図である。
【図2】同実施形態の施設物設置具の一部を構成するベース部材の構造について示した斜視図である。
【図3】ベース部材を垂直に割って示した断面図であり、其の製造工程を示す図面を兼ねる。
【図4】同実施形態の施設物設置具の使用例を示した斜視図である。
【図5】同実施形態の施設物設置具の他の使用例を示した斜視図である。
【図6】他の一実施形態の施設物設置具の全体的な構造について示した斜視図である。
【符号の説明】
1 施設物設置具
2,2’ ベース部材
3 ボルト通し穴
4 施設物支持部材
4a 水平梁材
4b,4b’ 垂直梁材
5 長穴
6 肉抜き部
7 仮枠
8 ボルト
9 貫通孔
10 仮止めボルト
11 ナット
12 仮止めナット
13 被覆材
14 固定用ナット
15 保護カバー
16 押圧用ナット
17 入れ子
18 係合部
19 配管(施設物)
20 固定手段
21 室外機
G 設置面
【発明の属する技術分野】
本発明は、給水槽からの配管や冷暖房設備の配管あるいはエアコンの室外機等の設置に利用される施設物設置具の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来技術としては、給水槽からの配管や冷暖房設備の配管等の施設物を支える形鋼の下部に合成樹脂製の型を設置し、この型の中にコンクリートを打設して形成したベース部材によって形鋼を固定するものが一般的であった。
【0003】
しかし、このような工法を適用する場合には、コンクリートの打設作業で周辺が汚れる問題があり、また、施設物を支えるために必要とされる形鋼とは別の形鋼を仮設して施設物を支える形鋼の高さを現場で調整し、その状態を維持してコンクリートの打設作業を行なわなければならず、作業が大掛かりとなって所要時間も増長するといった欠点があった。
【0004】
また、ベース部材に対する形鋼の取り付け状態を調整可能とした施設物設置具としては、コンクリートブロック(ベース部材)の上部に支持台ケースを設け、この支持台ケースの端部および上面部を開口させて係合部(水平梁材)を形成し、この係合部に半割り状の締付体を介して配管等の施設物を取り付けるようにしたものが、例えば、特許文献1として既に提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平08−042761号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1として開示された施設物設置具は、配管等の施設物を把持する締付体の移動方向が水平面内の一方向に制限され、上下方向の高さ調整には対処することができないものであった。
【0007】
【発明の目的】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、現場での型鋼の仮設やコンクリートの打設に必要とされる大掛かりな作業が必要なく、施設物の支えの高さを容易に調整して固定することのできる施設物設置具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、施設物を支える水平梁材と水平梁材に直交して固設された垂直梁材とを備えた施設物支持部材と、前記垂直梁材の下端部を支えるベース部材とからなる施設物設置具であり、前記目的を達成するため、特に、
垂直梁材の断面形状に嵌合する肉抜き部をベース部材の上下方向に沿って設けると共に、ベース部材の外周面から前記肉抜き部に貫通するボルト通し穴を設け、このボルト通し穴にボルトを螺合したことを特徴とする構成を有する。
【0009】
以上の構成において、垂直梁材の下端部をベース部材の肉抜き部に突入させて嵌合させることにより、ベース部材で施設物支持部材を保持する。
垂直梁材はベース部材の肉抜き部に沿って上下方向に摺動可能であるので、ベース部材に対する垂直梁材の突入量を加減することによって水平梁材の高さを調整し、水平梁材で施設物を適切に支えられるようにする。
更に、この状態でボルト通し穴のボルトを締め付けてボルトの先端を肉抜き部の内側に突入させ、ボルトの先端で垂直梁材を押えることによってベース部材に対する施設物支持部材の上下位置を固定し、施設物支持部材とベース部材とを一体化する。
このように、施設物を支える水平梁材の高さ調整に関わる仮設作業を施設物設置具それ自体の機能によって達成することができるため、施設物支持部材の高さ調整に必要とされる煩雑な仮設作業、つまり、施設物を支えるために必要とされる形鋼とは別の形鋼を仮設して施設物を支える形鋼の高さを現場で調整するといった仮設作業が不要となり、施設物の設置に必要とされる所要時間が大幅に短縮され、同時に、コンクリートの打設作業による周辺の汚れも防止される。
【0010】
また、水平梁材の両端部の各々に垂直梁材を設けて施設物支持部材とし、各垂直梁材毎にベース部材を配備するようにしてもよい。
【0011】
このような構成を適用することによって、長尺の水平梁材を立設することが可能となり、給水槽からの配管や冷暖房設備の配管等のように水平梁材と交叉して一点で支えられる施設物の他、面によって支えられる必要のある施設物、例えば、エアコンの室外機等の矩形状の施設物も容易に設置することができるようになる。
更に、ベース部材は各々の垂直梁材毎に配備されているので、各ベース部材に対する垂直梁材の突入量を加減することにより、地面等を始めとする設置面の傾斜あるいは凹凸等の有無に関わりなく、水平梁材の水平状態を維持して施設物を支えることができる。
【0012】
ここで、施設物支持部材は断面略L字型の山形鋼を屈曲して一体に形成することが可能である。
【0013】
L字型の山形鋼を利用することで重量の大きな施設物を確実に支えることができる。しかも、ボルト通し穴のボルトを締め付けてボルトの先端を強力に垂直梁材の部分に押し当てても非パイプ構造の垂直梁材に変形が生じることはないので、施設物支持部材の上下位置を確実に保持することができるようになる。
【0014】
また、施設物支持部材は、水平梁材の中央部に垂直梁材を固設して構成することも可能である。
【0015】
この場合、設置するベース部材は1つで済むので、狭小なスペースで配管作業を行なうような場合に有利である。
【0016】
更に、ベース部材をコンクリートブロックによって形成し、そのボルト通し穴にボルトに螺合するナットを回転不能な状態で一体的に埋設するようにしてもよい。
【0017】
ベース部材をコンクリートによって打設してナットを一体的に埋設することによりナットがベース部材に対して回転不能な状態で確実に固着され、垂直梁材を固定するボルトを強力に締結することができるようになる。
この場合、ベース部材の製造に必要とされる要素はコンクリートとボルトおよびナットのみであるから、製造コストの低減化に有利である。
また、コンクリートに焼却残灰を混入させて混練することで資源のリサイクル使用を図ることも可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は一実施形態の施設物設置具1の全体的な構造について示した斜視図、図2は施設物設置具1の一部を構成するベース部材2の構造について示した斜視図、図3はボルト通し穴3を含む平面でベース部材2を垂直に割ってベース部材2の製造工程と其の内部構造を示した断面図である。
【0019】
図1に示されるように、本実施形態の施設物設置具1は、給水槽からの配管や冷暖房設備の配管あるいはエアコンの室外機等の施設物を支えるための水平梁材4aと、この水平梁材4aに直交してその両端部の各々に固設された垂直梁材4b,4b’とを備えた施設物支持部材4と、垂直梁材4b,4b’の下端部を支える個別のベース部材2,2’とによって構成される。
【0020】
施設物支持部材4は、断面略L字型の等辺山形鋼や不等辺山形鋼あるいは不等辺不等厚山形鋼等の山形鋼をコの字型に屈曲させることによって水平梁材4aの部分と垂直梁材4b,4b’の部分が一体に形成され、その長手方向に沿って多数の長穴5が一定のピッチで連続的に穿設されている。
【0021】
このうち、水平梁材4aの部分に穿設された複数の長穴5は、水平梁材4a上に施設物を取り付ける際の固定手段の一部として利用される。
水平梁材4a上に取り付けられる配管や室外機等の施設物は、固定用の金属ベルトやボルトおよびナット等を介して水平梁材4a上に固定されるが、これらの固定手段に関しては周知であり、また、本発明の要旨と直接的に関連するものでもないので詳細な説明は省略する。
【0022】
一方、図2に示されるように、ベース部材2の側には、垂直梁材4bの断面形状に嵌合する略L字型の肉抜き部6が上下方向に貫通して設けられ、更に、ベース部材2の外周面の一側から肉抜き部6に貫通するボルト通し穴3が形成されている。
肉抜き部6の寸法は、垂直梁材4bの外形寸法に比べて僅かに大きく、この肉抜き部6に垂直梁材4bを突入して嵌合させた状態で垂直梁材4bが摺動可能な大きさである。
【0023】
図3にベース部材2の製造工程と其の内部構造を詳細に示す。このベース部材2は略直方体形状の仮枠7の内側に焼却残灰等を含むコンクリートスラリーを打設して形成したものである。
【0024】
図3に示されるように、ベース部材2におけるボルト通し穴3の配設位置に相当する仮枠7の側面には、有効ネジ部のみによって構成されるボルト8の外径に対応した貫通孔9が予め穿設されており、ベース部材2の製造工程においては、まず、この貫通孔9にボルト8と同径の仮止めボルト10が挿通される。
更に、仮枠7の側面を表裏から挟むようにして仮止めボルト10にナット11および仮止めナット12が螺合されて、仮枠7の内側にナット11が固定される。
【0025】
ボルト8はナット11を介して仮枠7の内側に固定され、ナット11から露出したボルト8の外周部がビニールあるいはゴム等によって形成されたパイプ状の被覆材13によって被われ、更に、ボルト8の先端部に固定用ナット14が螺合されて、押圧用ナット16の外周部を一定の間隙を置いて包囲するナット保護カバー15が取り付けられると共に、ボルト8の最先端部には、先端面に座金(平ワッシャ)を備えた押圧用ナット16が接着剤によって一体的に固着される。
【0026】
そして、図3に示されるようにして、肉抜き部6と同形状の入れ子17を仮枠7の中央部にセットした後、保護カバー15の先端開口部を入れ子17の面に当接させた状態で仮枠7にコンクリートスラリーを流し込み、コンクリートが固化した段階で仮枠7から仮止めボルト10と仮止めナット12および入れ子17を取り外し、コンクリートブロックからなるベース部材2を型枠7から取り出す。
【0027】
ボルト通し穴3に埋設されたナット11と固定用ナット14は外周部が6角形等の多角形形状によって形成されているので、これらのナット11,14はボルト通し穴3に対して回転不能の状態で固着されることになる。
【0028】
一方、押圧用ナット16の外周部には一定の間隙を置いて保護カバー15が取り付けられており、更に、保護カバー15の先端開口部はベース部材2の製造工程において入れ子17の面で封止されているので、押圧用ナット16の外周部にコンクリートスラリーが侵入することはなく、コンクリートが固化した後もボルト8と一体に回転することが許容される。
【0029】
ボルト8の端面にはスクリュードライバーやレンチ等を嵌合するための溝あるいは6角穴等の係合部18が形成されているので、仮止めボルト10を取り外した後のボルト通し穴3(ナット11)にスクリュードライバーやレンチ等を差し込んでボルト8を回転させることで、固定用ナット14を図3中の左右方向に移動させることができる。
【0030】
取り外された入れ子17に代えてベース部材2の肉抜き部6に差し込まれる垂直梁材4bは、このボルト8を締め付けることにより押圧用ナット16の先端面と肉抜き部6の内壁で挾圧され、ベース部材2に対する上下位置を固定されることになる。この際、固定用ナット14に作用する反力は、ボルト通し穴3の段差部、より具体的には、被覆材13に外接するボルト通し穴3の小径の内周部と固定用ナット14に外接する大径の内周部との間に形成された段差部によって確実に支持される。
【0031】
垂直梁材4bは断面がL字型の中実構造であるから、円筒パイプ等の中空体を利用した場合とは違い、ボルト8を締め付けてボルト8の先端(押圧用ナット16)を強力に押し当てても変形が生じることはなく、施設物支持部材4の上下位置を確実に保持することができる。
【0032】
図1においてはL字型の断面を有する施設物支持部材4の片方の面にだけ長穴5が穿設されているものについて例示しているが、L字を形成する両方の面に長穴5が穿設されている場合もある。
図3に示す通り、押圧用ナット16の先端には大径の座金が設けられているので、仮に、長穴5が穿設された部分に押圧用ナット16を押し当てた場合であっても、押圧用ナット16が長穴5に突入して押えが効かなくなるような問題が生じることはない。
【0033】
図1ではベース部材2に対して左右対称の形状を有するベース部材2’によって他方の垂直梁材4b’を支えた例について示している。しかし、施設物支持部材4が等辺等厚山形鋼等で形成されているような場合には、水平投影面に対する垂直梁材4b,4b’の断面形状に90°の回転互換性があるので、完全に同一の形状のベース部材2,2あるいは2’,2’を用いて左右の垂直梁材4b,4b’を支えることも可能である。
ここで、仮に、図1においてベース部材2’に代わるベース部材2を使用して垂直梁材4b’を支えたとすると、このベース部材2のボルト通し穴3の位置は図1に示される3’の位置ではなく90°位相の異なる面、つまり、垂直梁材4bを支えるベース部材2に対向した面に移動することになる。
【0034】
図4は給水槽や冷暖房設備等の配管19を本実施形態の施設物設置具1で支えた場合の例について示した斜視図である。
【0035】
図4に示される通り、各々の配管19は、周知の金属ベルトやボルトおよびナット等の固定手段20を介して施設物支持部材4の水平梁材4a上の長穴5に固定されている。このように、複数の配管19を並列して支えるような場合には一般に各配管19の高さを揃える必要がある。
本実施形態においては、複数の配管19を固定した水平梁材4aの姿勢を水平に維持した状態で、左右のベース部材2’,2に対する垂直梁材4b’,4bの突入状態を加減することによって垂直梁材4b’,4bの実質的な有効長を調整し、ベース部材2’,2の底面を地面等の設置面Gに確実に設置させることが可能であるので、仮に、設置面Gに傾斜や凹凸等がある場合であっても、これらの傾斜や凹凸等の影響を受けることなく、水平梁材4aの水平状態を維持して確実に複数の配管19を支えることができる。
【0036】
施設物支持部材4の垂直梁材4b,4b’に相当する形鋼の下部に合成樹脂製の型を設置してコンクリートを打設することによってベース部材を形成させる従来の工法では、水平梁材4aに相当する形鋼の水平状態を他の形鋼を利用して維持する仮設作業が必要なために作業が大掛かりとなり、また、他の形鋼を利用して水平梁材4aに相当する形鋼の水平状態を維持したままでコンクリートの固化を待つ必要があるために作業に必要とされる所要時間も非常に長かった。
しかし、本実施形態の施設物設置具1を利用した場合では、施設物設置具1自体の上下位置調整機能を利用して仮設作業に相当する作業を行ないながら水平出しや高さの調整を行なうことができ、しかも、ベース部材となるコンクリートの固化を待つための待機時間が不要であって、ボルト8を締め付けるだけの簡単な操作で最終的な固定作業を完了することができるので、作業の所要時間も従来の工法に比べて著しく短縮することができる。
【0037】
また、予め作成されたベース部材2,2’と施設物支持部材4を現場に持ち込むだけで簡単に作業を開始することができ、ベース部材の形成に必要とされる現場でのコンクリートの打設作業が不要となり、コンクリートの打設作業に起因する作業場周辺の汚れの問題も完全に解消される。
【0038】
図5は2組の施設物設置具1を利用してエアコンの室外機21を支えた場合の例について示した斜視図である。
【0039】
前記と同様、室外機21の姿勢を水平に維持した状態で其の四隅に位置するベース部材2,2’に対する垂直梁材4b,4b’の突入状態を加減することにより垂直梁材4b,4b’の実質的な有効長を調整し、ベース部材2,2’の底面を地面等の設置面Gに確実に設置させることができるので、設置面Gに傾斜や凹凸等がある場合であっても、これらの傾斜や凹凸等の影響を受けることなく、室外機21の水平状態を維持することができる。
【0040】
また、長期間に亘って室外機21を地面に設置すると、地面の一部が沈下して何れかのベース部材2,2’の底面が地面から浮いたりする問題が発生する可能性もあるが、そのような場合には、地面から浮いたベース部材2あるいは2’のボルト8を緩めて改めてベース部材2,2’の底面を地面に密着させてボルト8を締め直すといった簡単な作業でベース部材2,2’の底面と地面との接触を回復することができる。
従って、仮に、設置作業完了後の地面の沈下等によって設置面の傾斜や凹凸等に変化が生じたような場合であっても、土盛り等の面倒な作業を行なうことなく室外機21の水平状態を維持し続けることが可能である。
【0041】
以上、一実施形態として、水平梁材4aの両端部の各々に垂直梁材4b,4b’を設け、垂直梁材4b,4b’毎にベース部材2,2’を配備した例について説明したが、その他にも、例えば図6に示すように、水平梁材4aの中央部下面に溶接等によって1本の垂直梁材4bを固着してT字型の施設物支持部材4を構成し、この垂直梁材4bを単一のベース部材2によって支えるといったようなことも可能である。
【0042】
この場合はベース部材2が1つで済むので、特に、狭小なスペースで配管作業等を施すような場合に有利である。
【0043】
【発明の効果】
本発明の施設物設置具は、ベース部材の上下方向に沿って設けられた肉抜き部に垂直梁材の下端部を嵌合させて上下方向に摺動可能とすると共に、ベース部材の外周面から肉抜き部に貫通したボルトの締め付けによって垂直梁材を任意の上下位置で固定できるようにしたので、施設物を支える水平梁材の高さ調整に関わる仮設作業を施設物設置具それ自体の機能によって達成することができる。従って、施設物支持部材の高さ調整に必要とされる煩雑な仮設作業が不要となり、施設物の設置に必要とされる所要時間が大幅に短縮される。また、予め作成されたベース部材を現場に持ち込んで使用する構成であるので、これまで必要とされていた現場でのベース部材の打設作業は不要となり、コンクリートの打設作業等に伴う作業場周辺の汚れも解消される。
【0044】
また、水平梁材の両端部の各々に垂直梁材を設けて施設物支持部材とし、各垂直梁材毎にベース部材を配備したので、長尺の水平梁材を立設することが可能であり、給水槽からの配管や冷暖房設備の配管等のように水平梁材と交叉して一点で支えられる施設物の他、面によって支えられる必要のある施設物、例えば、エアコンの室外機等の施設物も容易に設置することができる。
更に、ベース部材が各々の垂直梁材毎に配備されているので、各ベース部材に対する垂直梁材の突入量を加減することにより、地面等を始めとする設置面の傾斜あるいは凹凸等の有無に関わりなく、水平梁材の水平状態を確実に維持して施設物を支えることができ、また、設置作業の完了後に設置面に傾斜や凹凸等が発生したような場合であっても、土盛り等の面倒な作業を行うことなく、ベース部材の底面を設置面に確実に設置し、且つ、施設物の水平を維持することができる。
【0045】
更に、施設物支持部材は断面略L字型の山形鋼を屈曲して一体に形成するようにしたので重量の大きな施設物を確実に支えることができ、しかも、ボルト通し穴のボルトを締め付けてボルトの先端を強力に垂直梁材に押し当てた場合であっても垂直梁材が座屈したり降伏したりすることはなく、一旦決められた施設物支持部材の上下位置を確実に保持することができる。
【0046】
また、水平梁材の中央部に垂直梁材を固設して施設物支持部材を構成すればベース部材が1つで済むので、狭小なスペースで配管作業を行なうこともできる。
【0047】
更に、ベース部材をコンクリートブロックによって形成し、そのボルト通し穴にはボルトに螺合するナットを回転不能な状態で一体的に埋設するようにしたので、靱性が不足気味のコンクリートブロックを使用した場合であってもベース部材を損傷させることなく垂直梁材を固定するボルトを強力に締結することができる。
ベース部材の製造に必要とされる要素はコンクリートとボルトおよびナットのみであるから製造コストの低減化の面で有利であり、しかも、素材の靱性が不足気味であってもベース部材の損傷を免れることができるので、その製造工程において焼却残灰の混入等も可能となり、資源のリサイクル使用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の施設物設置具の全体的な構造について示した斜視図である。
【図2】同実施形態の施設物設置具の一部を構成するベース部材の構造について示した斜視図である。
【図3】ベース部材を垂直に割って示した断面図であり、其の製造工程を示す図面を兼ねる。
【図4】同実施形態の施設物設置具の使用例を示した斜視図である。
【図5】同実施形態の施設物設置具の他の使用例を示した斜視図である。
【図6】他の一実施形態の施設物設置具の全体的な構造について示した斜視図である。
【符号の説明】
1 施設物設置具
2,2’ ベース部材
3 ボルト通し穴
4 施設物支持部材
4a 水平梁材
4b,4b’ 垂直梁材
5 長穴
6 肉抜き部
7 仮枠
8 ボルト
9 貫通孔
10 仮止めボルト
11 ナット
12 仮止めナット
13 被覆材
14 固定用ナット
15 保護カバー
16 押圧用ナット
17 入れ子
18 係合部
19 配管(施設物)
20 固定手段
21 室外機
G 設置面
Claims (5)
- 施設物を支える水平梁材と前記水平梁材に直交して固設された垂直梁材とを備えた施設物支持部材と、前記垂直梁材の下端部を支えるベース部材とからなる施設物設置具であって、
前記垂直梁材の断面形状に嵌合する肉抜き部を前記ベース部材の上下方向に沿って設けると共に、前記ベース部材の外周面から前記肉抜き部に貫通するボルト通し穴を設け、このボルト通し穴にボルトを螺合したことを特徴とする施設物設置具。 - 前記施設物支持部材は前記水平梁材の両端部の各々に前記垂直梁材を有し、前記ベース部材は、各垂直梁材毎に配備されていることを特徴とした請求項1記載の施設物設置具。
- 前記施設物支持部材は断面略L字型の山形鋼を屈曲して一体に形成されていることを特徴とした請求項2記載の施設物設置具。
- 前記施設物支持部材は前記水平梁材の中央部に前記垂直梁材を有していることを特徴とした請求項1記載の施設物設置具。
- 前記ベース部材がコンクリートブロックによって形成され、前記ボルト通し穴には、前記ボルトに螺合するナットが回転不能な状態で一体的に埋設されていることを特徴とした請求項1,請求項2,請求項3または請求項4記載の施設物設置具。
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JP2002295318A JP2004132408A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | 施設物設置具 |
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Cited By (2)
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JP2010266007A (ja) * | 2009-05-15 | 2010-11-25 | Burest Kogyo Kenkyusho Co Ltd | 結露防止プレート用保持具 |
JP6312896B1 (ja) * | 2017-04-17 | 2018-04-18 | 株式会社ブレスト工業研究所 | ゴム製支持ブロック |
-
2002
- 2002-10-08 JP JP2002295318A patent/JP2004132408A/ja not_active Withdrawn
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