JPH067183Y2 - 支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、主として建築現場において水平支保工を支持
するのに用いる支持装置に関する。

＜従来の技術＞ 一般に、建築現場において床スラブにコンクリートを打
設する場合、床スラブの型枠はビーム状の水平支保工に
より支持される。そして、床スラブの形成個所の下側に
Ｈ型鋼で梁が設けられている場合、このＨ型鋼を利用し
て、その上フランジに前記の水平支保工が吊り持ち支持
される。

従来、このように水平支保工をＨ型鋼に吊持させる場
合、第６図に示すように、Ｈ型鋼ｈの上フランジｆの上
面に取付片２０を溶接により取り付け、この取付片２０
の先端から吊り下げボルト２１を垂下させ、この吊り下
げボルト２１の垂下端部に水平支保工ｂの先端部を吊り
下げ状に支持させていた。

また、第７図に示すように、Ｌ字形の吊り下げボルト２
２を用いる場合もあり、その場合は、Ｌ字形吊り下げボ
ルト２２の基部を直接的にＨ型鋼ｈの上フランジｆの上
面に溶接していた。

＜考案が解決しようとする問題点＞ しかしながら、このような吊持構造では、各水平支保工
ｂに対応してＨ型鋼ｈの上フランジｆに取付片２０やＬ
字形吊り下げボルト２２を多数溶接する必要があり、作
業が面倒であり、しかも、最近の建設現場では、溶接作
業が規制されることもあって、実施が難しい、という問
題がある。

また、Ｈ型鋼ｈの上フランジｆから吊り下げボルト２
１，２２を垂下させると、水平支保工ｂにより支承され
るパネルｐを、水平支保工ｂとＨ型鋼ｈとの間にかませ
るために、パネルｐの一部を切り欠く必要があり、この
作業も面倒で、手数がかかる。

さらに、取付面２０やＬ字形吊り下げボルト２２は打設
コンクリートｃの内部に埋め込まれるのであって、埋め
込まれる部材が多く、コストを削減する上で好ましくな
い。

本考案は、主として上述のように梁を構成するＨ型鋼に
対して水平支保工を支持する場合の問題点に鑑みてなさ
れたものであって、梁を構成するＨ型鋼の下フランジの
ような、従来使用されていなかったフランジ状被取付部
材を利用して、水平支保工のような被支持体の荷重を支
えられるようにしたもので、特に、Ｈ型鋼に対して水平
支保工を支持する場合は、コンクリート内部に埋め込ま
れる部材を無くすとともに、吊り下げボルトの取付のた
めの溶接作業や、型枠のパネルを切り欠く作業を不要と
し、水平支保工を仮説する作業を容易化するとともに、
水平支保工の仮設のためのコストの低減化を図ることを
目的とする。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案は、上記目的を達成するために、本考案の支持装
置は、外周面に、フランジ状被取付部材を上下から挟む
一対の挟持部が設けられるとともにネジ部が形成され、
かつ長手方向に沿って長孔が穿設された外パイプと、前
記外パイプの内部に上下スライド自在に嵌挿され、かつ
外パイプの上端からの突出寸法を可変調整するための複
数のピン挿入孔が長手方向所定間隔おきに列設される内
パイプと、外パイプの長孔を通じて内パイプの任意のピ
ン挿入孔に貫通挿入される固定ピンと、外パイプのネジ
部に螺合され、内外両パイプを貫通する前記固定ピンを
受け止めるリングとを備えた構成であり、外パイプの挟
持部でフランジ状被取付部材を挟むことにより、外パイ
プおよびそれに固定ピンで一体的に取り付けられた内パ
イプがフランジ状被取付部材に直交する姿勢で固定され
るとともに、この外パイプから突出する内パイプの端部
で被支持体を支持するものである。

＜作用＞ 上記の構成において、一対の挟持部でフランジ状被取付
部材を挟持することにより、支持装置の全体がフランジ
状被取付部材に固定される。この状態で、外パイプに対
して内パイプを上下にスライドさせて、所要の突出長さ
となったところで、内パイプに被支持体の荷重がかかる
ようにして、受け止めリングよりも上側で、外パイプの
長孔を通じて内パイプのピン挿入孔に固定ピンを挿入す
る。

このように各部を結合すると、内パイプにかかる被支持
体の荷重は、内パイプから固定ピン、受け止めリング、
外パイプを介してフランジ状被取付部材にかかり、フラ
ンジ状被取付部材に支持されることになる。

＜実施例＞ 以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明
する。第１図は本考案の一実施例に係る支持装置の側面
図、第２図はその分解斜視図、第３図は使用状態を示す
側面図である。

この実施例の支持装置は、外パイプ１と、内パイプ２
と、固定ピン３と、受け止めリング４とを備える。

外パイプ１は、被取付部材であるフランジgに固定され
るもので、外周面にネジ部５が形成され、このネジ部５
上で長手方向に長孔６が形成されている。また、この外
パイプ１の外周面上部には、一対の挟持部７，８が固着
されている。一対の挟持部７，８間の間隔は、取り付け
るべきフランジgの最大厚みに対応しており、下側の挟
持部８に螺挿したネジ９の締め付けで被取付フランジg
への挟持状態が固定されるようになっている。

内パイプ２は、水平支保工bのような被支持体の荷重を
受けるもので、この例では、上端に水平支保工b用の受
け金具１０が取り付けられている。この内パイプ２は、
長手方向に複数のピン挿入孔１１，…が一定間隔で列設
されており、外パイプ１の内部に上下スライド自在に嵌
挿される。

固定ピン３は、外パイプ１の長孔６を通じて内パイプ２
のピン挿入孔１１に挿入されるもので、両孔６，１１を
通じて内外両パイプ１，２を直径方向に貫通する。１２
は固定ピン３を外パイプ１から分離しないように保持す
る鎖である。

受け止めリング４は、内周面に雌ネジ部１３を有し、外
パイプ１のネジ部５に螺合した状態で、前記固定ピン３
を受け止めるものである。１４は受け止めリング４を回
転操作するためのハンドルである。

次に、第３図に基づいて上記構成の支持装置の使用状態
を説明する。第３図は、梁を構成するＨ型鋼hを利用し
て、その上フランジf側に水平支保工bを支持する場合を
示している。

まず、一対の挟持部７，８をＨ型鋼hの下フランジgの上
下にはめて、ネジ９の締め付けにより挟持部７，８を下
フランジgに固定する。これによって、支持装置の全体
が上下の向きで下フランジgに対して固定される。

この状態で、外パイプ１に対して内パイプ２をスライド
させて上方へ伸ばし、ほぼ所要の支持高さとなった位置
で、外パイプ１の長孔６を通じて内パイプ２のピン挿入
孔１１に固定ピン３を挿入する。この場合、受け止めリ
ング４は、固定ピン３の挿入位置より下側に位置させて
おく。このように固定ピン３を挿入すると、受け止めリ
ング４は、固定ピン３の突出端部を受け止め、この固定
ピン４を介して内パイプ２を下方にスライドしないよう
に受け止める。ここで、内パイプ２のピン挿入孔１１に
対する固定ピン３の挿入位置を変えると、内パイプ２の
支持高さが段階的に調整される。

次いで、受け止めリング４を回転操作することにより、
受け止めリング４を上下に移動させると、内パイプ２の
支持高さを微量調整することができる。この場合、受け
止めリング４は下フランジgの下側の広い空間内に位置
するから、受け止めリング４の回転操作を支障なく行な
うことができる。水平支保工bは、その端部を内パイプ
２の先端の受け金具１０上に嵌置すればよい。ここで、
水平支保工bの荷重は受け止めリング４に対しては圧縮
荷重として作用するが、挟持部７，８との間では引っ張
り荷重として作用する。

これによって、支持装置はＨ型鋼hの下フランジgに対し
て水平支保工bを上フランジf側に支持することになり、
上フランジfには取付片やＬ字形ボルトのような部材を
溶接したり、これらの部材をコンクリートc中に埋め込
んだりしなくて済む。また、パネルpに切欠を形成する
必要もない。また、水平支保工を下側から支持するもの
でありながら、水平支保工の下側の床面を占有しない。

上記実施例では、一対の挟持部７，８をいずれも外パイ
プ１の外周面に固着した場合を示したが、挟持部の構造
は、これに限定されるものではなく、たとえば、第４図
に示すように、挟持部の一方を可動としてもよい。第３
図のものでは、上下の挟持部１５，１６を、全周にフラ
ンジを有するリングとするとともに、上側の挟持部１５
は外パイプ１に固着し、下側の挟持部１６には雌ネジ部
を設け、外パイプ１に下側の挟持部１６に対応する位置
までネジ部５を形成しておき、下側の挟持部１６を外パ
イプ１のネジ部５に螺合している。下側の挟持部１６
は、回転操作することにより、上下に移動させることが
できる。また、この挟持部１５，１６によれば、任意の
向きで外パイプ１をフランジ状被取付部材に取り付ける
ことができる。１６ａは、下側の挟持部１６の固定ネジ
である。

第５図は、さらに他の実施例を示すもので、この実施例
では、一方の挟持部７に外パイプ１を貫通する窓孔１７
を穿設し、この窓孔１７にクサビ１８を圧入し、このク
サビ１８により外パイプ１に対する内パイプ２のがたつ
きを防止するようにしている。

さらに、上記各実施例では、内パイプ１の上端に受け金
具１０を設け、被支持体の荷重を下側から支える支持装
置として使用する場合を示したが、本考案の支持装置
は、第３図に示すように、内パイプ２の下部に吊持用金
具１９を取り付けることにより、各種支保工を吊り下げ
支持するのに使用することができる他、さらに他の金具
を用いて足場用の長板を吊り下げたりするのにも使用す
ることかできる。

本考案の支持装置は、横向き、もしくは上下逆向きにし
て使用しうることはいうまでもない。

＜考案の効果＞ 以上のように、本考案の支持装置によれば、梁を構成す
るＨ型鋼の下フランジのようなフランジ状の被取付部材
に宙ぶらり状態に引っ掛けて固定することができ、その
状態で外パイプから突出させられる内パイプの上端に水
平支保工のような被支持体を載せたり、あるいは内パイ
プの下端に足場用の長板のような被支持体を吊り下げる
ことにより、結果として被支持体をフランジ状被取付部
材に支持させることができるようになる。

特に、床スラブのコンクリートの打設の場合、梁を構成
するＨ型鋼を利用してその下フランジに対して上フラン
ジ側に水平支保工を支持することができ、Ｈ型鋼の上フ
ランジには、取付片やＬ字形の吊持ボルトを溶接する必
要がなく、また、パネルに吊り下げボルトに対応した切
欠を形成する必要もないから、水平支保工を支持するた
めの作業が簡略化される。さらに、吊り下げボルト用の
取付片やＬ字形の吊り下げボルトの部材を無駄にコンク
リート中に埋め込んでしまう必要もなく、水平支保工の
仮設のコストを低減化することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案の一実施例に係り、第１図
は側面図、第２図は分解斜視図、第３図は取付状態を示
す側面図、第４図および第５図はいずれも他の実施例の
側面図である。 第６図および第７図は従来の支保工の支持状態を示す側
面図である。 １…外パイプ、２…内パイプ、３…固定ピン、４…受け
止めリング、５…ネジ部、６…長孔、７，８，１５，１
６…挟持部、１１…ピン挿入孔。

フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭55−145639（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭45−24113（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭51−34744（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】外周面に、フランジ状被取付部材(g)を上
   下から挟む一対の挟持部(7,8)が設けられるとともにネ
   ジ部(5)が形成され、かつ長手方向に沿って長孔(6)が穿
   設された外パイプ(1)と、 前記外パイプ(1)の内部に上下スライド自在に嵌挿さ
   れ、かつ外パイプ(1)の上端からの突出寸法を可変調整
   するための複数のピン挿入孔(11)が長手方向所定間隔お
   きに列設される内パイプ(2)と、 外パイプ(1)の長孔(6)を通じて内パイプ(2)の任意のピ
   ン挿入孔(11)に貫通挿入される固定ピン(3)と、 外パイプ(1)のネジ部(5)に螺合され、内外両パイプ(2,
   1)を貫通する前記固定ピン(3)を受け止めるリング(4)と
   を備え、 外パイプ(1)の挟持部(7,8)でフランジ状被取付部材(g)
   を挟むことにより、外パイプ(1)およびそれに固定ピン
   (3)で一体的に取り付けられた内パイプ(2)がフランジ状
   被取付部材(g)に直交する姿勢で固定されるとともに、
   この外パイプ(1)から突出する内パイプ(2)の端部で被支
   持体(b)を支持するものである、ことを特徴とする支持
   装置。