JP2714804B2 - 床パネルの固定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、主としてプレハブ住宅に使用される床パ
ネルの固定金具に関する。

従来の技術 フレーム枠とそれに張り付けられる床板とを予め工場
で一体に製作し、これを現場へ搬入して設置する床パネ
ルの工法は従来から公知である（例えば実開昭54−1609
19号公報参照）。この場合、２階の床パネルの取付け
は、１階の躯体を構成する梁へ、その床パネルをボルト
により固定している。第４図は、従来の取付け構造の具
体例を示したもので、梁（41）へ予め床受プレート（4
2）を溶接しており、床パネル（43）のフレーム（44）
を、この床受プレート（42）へ当接させるとともに、両
者に設けたボルト穴（45）（45）へボルト（46）を挿し
込んで相互に固定するようにしている。

他方、実開昭57−58611号公報には、「梁の上に水平
な床受プレートをその梁より張り出して固定し、この床
受プレートより上方に突出させた固定プレートへ、同じ
く床受プレートへ載置した床パネルをボルトで固定する
ようにしたものが開示されている。

発明が解決しようとする課題 しかしながら、上記第４図の従来の取付け構造におい
ては、まず、ボルト（46）の締付け作業を、床パネル
（43）の床板よりも下側で行なわなければならない。そ
のためには、脚立を設置してその上に乗って手を伸ばし
ながら作業を行なうこととなり、作業性が非常に悪いと
いう欠点がある。しかも、床パネル（43）は吊下げ状態
で作業することから、ボルト穴（45）（45）の位置合わ
せも困難であるという欠点があった。

他方、前記公報に記載されたものでは、固定プレート
が梁より上方にあるため、梁上からボルト締め作業を行
える利点があるが、床パネルを床受プレート上に設置す
ると床面が高くなりすぎ、相対的に天井高が低くなる欠
点がある。また、この場合床受プレートを下方に折り曲
げて床パネルの設置面を低くすることも可能であるが、
いずれにしても、床受プレートは梁の上面部分に固定さ
れているだけであるので、支持強度が弱いという欠点が
ある。

この発明は、これらの従来の欠点を解消して、床パネ
ルの上部側からボルトの締め付け作業を行える強度の高
い固定装置を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段 上記の課題を解決するため、この発明は、概略コの字
形に形成された金具本体下端の水平片下面にピンが突設
されて、このピンが梁などの床支持体の下部フランジに
形成した位置決め穴へ上方から挿入して設置され、同じ
く金具本体上端の水平片が床支持体の上部フランジ上面
へ設置されて上下方向のボルトで固定されるとともに、
床支持体の上部フランジよりも下方において金具本体側
面に設けた床受部材上へ床パネルが載置された状態で、
上部水平片より上方に突出するようにして金具本体へ一
体に設けた垂直固定部材へ床パネルがボルトで固定され
てなることを特徴とする。

作用 床パネル（21）をボルト固定するための固定部材
（４）が、床支持体（12）（19）よりも上方に突出して
おり、上部側からそのボルト（27）の締付け作業を行な
うことができる。その際、床パネル（21）は床受部材
（５）によって支持されているので、この床パネル（2
1）を作業床として使用することができる。更に、床パ
ネル（21）設置の際、その下面の穴（26）へピン（10）
を挿し込むことにより自動的に位置決めがなされること
になる。

実 施 例 この発明の実施例を示す第１図〜第３図において、
（１）はこの発明の固定金具を示している。この固定金
具（１）は、短尺の帯状金属板を概略コの字形に折り曲
げた金具本体（２）と、この金具本体（２）の折曲げ水
平片（３）上面に固着したボルト固定部材（４）と、金
具本体（２）の本体部側面に固着した床受部材（５）と
から構成されている。固定部材（４）は、金属板をＬ形
に折り曲げたものであって、その水平部が、金具本体
（２）の上端の折曲げ水平片（３）上面に溶接して一体
となるよう固着され、垂直部（６）が、本体（２）の垂
直部と略同一面となるようにして上方に突出されてい
る。その垂直部（６）にボルト穴（７）が形成されてい
る。同じく金具本体（２）の下端の折曲げ水平片（８）
には、その下面に、第２図及び第３図で示すようにピン
（９）が突設してある。（10）は床パネルの位置決めピ
ンであり、金具本体（２）の垂直部外方に突出する床受
部材（５）の水平部（11）上に突設されている。

第１図及び第２図の金具本体（１）は、建物の外壁フ
レーム上弦材である壁梁（12）へ取り付けるものを示し
ている。この梁（12）は、フランジ（13）（13）が上下
平行となるようにして配置した溝形鋼からなり、金具本
体（２）の折曲げ水平片（３）（８）を、夫々各フラン
ジ（13）（13）上へ設置する。その際、下側の折曲げ水
平片（８）下方に突出するピン（９）が、フランジ（1
3）に形成した位置決め穴（14）へ挿し込まれている。
他方、上部側フランジ（13）には、予めボルト穴（15）
が形成されており、このボルト穴（15）と上部側折曲げ
水平片（３）、及び、固定部材（４）の水平部に形成し
たボルト穴（16）へ取付けボルト（17）を挿し込んで、
そのフランジ（13）裏面の裏ナット（18）へ螺じ込んで
締付け固定している。

第３図に示す（19）は、前記の壁梁（12）と平行に配
置される床梁であって、この床梁（19）は、フランジ
（20）（20）が上下平行となるようにして配置されたＨ
型溝からなる。この床梁（19）へ取り付けられる固定金
具（１）は、前記第１図及び第２図のものと異なり、そ
の固定の際の位置決めピン（９）が、金具本体（２）の
上端部における折曲げ水平片（３）裏面に突出されて、
このピン（９）を上部側フランジ（20）の位置決め穴
（14）へ挿し込んでいる。他方、下側の折曲げ水平片
（８）と、これに対応する下側フランジ（20）とにボル
ト穴（16）（15）が形成されて、これに挿し込んだボル
ト（17）によって固定してある。

第３図で示すように、床パネル（21）は、溝形鋼から
なる外周フレーム（23）と、その外周フレーム（23）上
に張り付けた床板（24）とからなる。外周フレーム（2
3）には、前記固定部材（４）のボルト穴（７）に対応
するボルト穴（25）が形成されている。そして、この床
パネル（21）の設置の際、その外周フレーム（23）下面
に形成した位置決め穴（26）（26）へ、床受部材（５）
より突出する位置決めピン（10）を挿入させる。これに
より、床パネル（21）は、床受部材（５）によって支持
されるとともに、その位置決めが自動的になされる。こ
の状態で、前記固定部材（４）のボルト穴（７）と外周
フレーム（23）のボルト穴（25）へボルト（27）を外側
から挿し込み、外周フレーム（23）の裏面に固着した裏
ナット（28）（28）へ螺じ込んで、床パネル（21）を固
定するものである。

第３図中、（29）は、外周フレーム（23）内に渡した
木製根太、（30）は、この木製根太（29）と外周フレー
ム（23）下部との間に介在させたスペーサを示してい
る。前記のピン（10）（10）は、このスペーサ（30）
（30）に形成した穴内にも挿し込まれている。また、
（31）は、壁梁（12）を支える柱材である。

発明の効果 以上のように、この発明によれば、床支持体よりも上
方に突出する固定部材において床パネルをボルトで締結
するものであり、それ故、従来のように床パネルの下側
で作業する必要がなく、上部側から容易に作業を行なう
ことができる。その際、床パネルは床受部材によって支
持されていることから、このようなボルト締結作業或い
はその後の作業の作業床として使用することができ、脚
立等のようなものが不要である。また、この発明では、
金具本体を概略コの字形として、床支持体の上部フラン
ジよりも下方においてその金具本体へ床受部材を設けて
床パネルを設置するようにしているため、床パネルを床
支持体の上面より下げた位置に設置でき、そのため、床
パネル上方の天井高が高くとれる利点がある。

しかも、金具本体は、その上端の水平片を床支持体の
上部フランジ上面に、下端の水平片を下部フランジ上面
に設置して固定しているから、前記床受部材を支持する
垂直部分が上下２点で確実に支持されて、支持強度の高
いものが得られる。

加えて、この金具本体は、そのように上下２点で支持
するものでありながら、下部水平片を床支持体の下部フ
ランジに形成した位置決め穴へピンを挿入して位置決め
しながら、上部水平片を上部フランジへボルトで固定す
れば良く、取付け作業が容易である。その際、上部水平
片は、床支持体の上部フランジの上面側に固定されるも
のであるから、下面側に固定する場合に比較して、ピン
の位置決め穴への挿入が容易である。

更に、床パネルからその床パネルを固定しているボル
トを通じて垂直固定部材へ伝達される荷重は、金具本体
の上部水平片から床受部材の上部フランジに伝達される
が、金具本体の垂直部から下部水平片より下部フランジ
にも分散して伝達されるので、床受部材のフランジの負
担が少なく、また、床の振動が低減される効果がある。

加えて、床支持体の上方に突出する固定部材は、金具
本体へ一体に設けてあるから、これら固定部材と金具本
体を別々に取り付ける必要がなく、取付け作業が容易と
なる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の実施例を示す床パネル取付け部分
の分解斜視図、第２図は、固定金具の取付け状態を示す
正面図、第３図は、床パネルの取付け状態を示す縦断面
図、第４図は、従来の床パネルの取付け構造を示す要部
縦断面図である。 （１）……固定金具、（２）……金具本体、（３）……
水平片、（４）……固定部材、（５）……床受部材、
（６）……垂直部、（７）……ボルト穴、（８）……水
平片、（９）……位置決めピン、（12）……床支持体、
（13）……フランジ、（14）……位置決めピン、（21）
……床パネル、（17）……ボルト、（27）……ボルト。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】概略コの字形に形成された金具本体下端の
   水平片下面にピンが突設されて、このピンが梁などの床
   支持体の下部フランジに形成した位置決め穴へ上方から
   挿入して設置され、同じく金具本体上端の水平片が床支
   持体の上部フランジ上面へ設置されて上下方向のボルト
   で固定されるとともに、床支持体の上部フランジよりも
   下方において金具本体側面に設けた床受部材上へ床パネ
   ルが載置された状態で、上部水平片より上方に突出する
   ようにして金具本体へ一体に設けた垂直固定部材へ床パ
   ネルがボルトで固定されてなることを特徴とする床パネ
   ルの固定装置。