JP2004131949A - サムターンキャップ及びそれを備えたピッキング防止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】より多くの種類のサムターンに対応でき、しかも多数の種類のサムターンキャップを製品に同梱する必要がないピッキング防止装置、及びこれに使用するサムターンキャップを提供する。
【解決手段】ドア錠の室内側サムターンに外装され、室内側のドア面又はドア取付面に装着された係止手段に係止されることによって、施錠状態にある前記サムターンとの一体回転を阻止されるサムターンキャップにおいて、それぞれ嵌合部を有し、該嵌合部により互いに入れ子式に嵌合する内側、中間、及び外側部材を備え、前記外側部材を単独で、又は前記外側部材と前記中間部材との組み合わせを、又はすべての部材の組み合わせを、最も内側に位置する部材の嵌合部により、前記サムターンに外嵌すべくなしてある。
【選択図】 図1
【解決手段】ドア錠の室内側サムターンに外装され、室内側のドア面又はドア取付面に装着された係止手段に係止されることによって、施錠状態にある前記サムターンとの一体回転を阻止されるサムターンキャップにおいて、それぞれ嵌合部を有し、該嵌合部により互いに入れ子式に嵌合する内側、中間、及び外側部材を備え、前記外側部材を単独で、又は前記外側部材と前記中間部材との組み合わせを、又はすべての部材の組み合わせを、最も内側に位置する部材の嵌合部により、前記サムターンに外嵌すべくなしてある。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ドア錠の室内側にあるサムターンに外装されるサムターンキャップを、サムターンの施錠状態を維持すべく係止することによって、ドア錠のピッキングを防止するピッキング防止装置に関し、特にそのサムターンキャップの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ドア錠の室内側にあるサムターンに、係合部を有するサムターンキャップを被せ、このサムターンと一体回転するサムターンキャップを、サムターンの施錠状態を維持すべく係止することによってピッキングを防止する装置が種々開発されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
サムターンキャップの係止は、室内側のドア面に取り付けられた係止手段を手動で作動させて行なう手動式のもの、また、ソレノイド等を利用した電動式のものがある。電動式のものには、車のドアを開閉するときに使用する所謂「キーレスエントリー」方式のリモートコントローラにより作動させるタイプのものがあり、このタイプのものは、外出時にも室外から操作できて非常に利便性が高い。
【0004】
ところで、このようなピッキング防止装置に利用されるサムターンキャップとしては、様々なメーカから販売されている様々なタイプのドア錠のそれぞれのサムターンの形状に合わせて製作されており、メーカは、ピッキング防止装置に多数の種類のサムターンキャップを同梱して販売している。
【0005】
【特許文献1】
登録実用新案第3081773号公報(第2−3頁、第1−3図)
【特許文献2】
国際公開第02/057574号パンフレット(第13−15頁、第6−11図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、メーカも、製品コストを抑えるために、すべての種類のサムターンに対応したサムターンキャップをピッキング防止装置製品に同梱するわけにもいかず、主要な種類のみを同梱するケースが多いのが実情である。具体的には、同梱されるサムターンは、国内向けに販売されているサムターンのすべての種類のうちの約数割のサムターンにしか対応できていない。
【0007】
本願発明は、以上の如き事情に鑑みてなされたものであり、より多くの種類のサムターンに対応でき、しかも多数の種類のサムターンキャップを製品に同梱する必要がないピッキング防止装置、及びこれに使用するサムターンキャップを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明に係るサムターンキャップは、ドア錠の室内側サムターンに外装され、室内側のドア面又はドア取付面に装着された係止手段に係止されることによって、施錠状態にある前記サムターンとの一体回転を阻止されるサムターンキャップにおいて、それぞれ嵌合部を有し、該嵌合部により互いに入れ子式に嵌合する内側、中間、及び外側部材を備え、前記外側部材を単独で、又は前記外側部材と前記中間部材との組み合わせを、又はすべての部材の組み合わせを、最も内側に位置する部材の嵌合部により、前記サムターンに外嵌すべくなしてあることを特徴とする。
【0009】
また、本願発明に係るピッキング防止装置は、ドア錠の室内側サムターンに外装されるサムターンキャップを備え、施錠状態にあるサムターンとサムターンキャップとの一体回転を阻止すべく該サムターンキャップを係止することによって、ドア錠のピッキングを防止するピッキング防止装置において、前記サムターンキャップは、それぞれ嵌合部を有し、該嵌合部により互いに入れ子式に嵌合する内側、中間、及び外側部材を備え、前記外側部材を単独で、又は前記外側部材と前記中間部材との組み合わせを、又はすべての部材の組み合わせを、最も内側に位置する部材の嵌合部により、前記サムターンに外嵌すべくなしてあることを特徴とする。
【0010】
上記発明によれば、サムターンキャップが入れ子式に嵌合する複数の部材からなり、外側部材のみを単独で使用しても、外側部材と中間部材との2つの部材を組み合わせて使用しても、さらには、内側、中間、及び外側部材のすべての部材を組み合わせて使用しても良いようになっている。しかも、このように単独又は組み合わせて使用されるサムターンキャップの最も内側に位置する部材の嵌合部により、サムターンに嵌合するように構成してあるので、1つのサムターンキャップで実質的に従来よりも多くの種類のサムターンに適用することが可能となり、メーカーは、多数の種類のサムターンキャップを製品に同梱する必要がなくなる。
【0011】
本願発明に係るサムターンキャップは、基本的には、上記した内側、中間、及び外側部材の3つの部材から構成されるが、各部材は、更に分割できるように構成されてもよく、また、各部材として複数の種類のものを用意しておくような構成としてもよい。このように構成することにより、本願発明に係るサムターンキャップは、より多くの種類の部材の組み合わせを実現することができ、更に多くの種類のサムターンに適合することができる。
【0012】
例えば、上記内側部材として、異なる種類のサムターンに外嵌するように構成した複数種類の内側部材を用意しておくことが可能であり、より特定的には、異なる厚さのサムターンに外嵌するように構成した複数種類の内側部材を用意しておくことが可能である。
【0013】
内側部材を異なる厚さのサムターンに対応して製作する場合には、例えば、2種類のものを用意すれば十分である。これは、国内で最も一般的な薄型のサムターンは、その厚さが約3mmのものと、約6mmのものとが多いからである。
【0014】
また、互いに入れ子式に嵌合する内側、中間、及び外側部材を、嵌合方向に沿った軸回りの角度を変えて嵌合するように互いに構成することにより、当該軸回りでの係止手段との係止位置を自在に調整することができる。
【0015】
さらに、上記内側、中間、及び外側部材は、互いの嵌合状態を維持すべく、それぞれの内側に嵌合する部材を固定するネジを備えることも可能であり、また、締まり嵌めにて嵌合すべく互いの形状寸法が設定されてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明に係るサムターンキャップを備えたピッキング防止装置について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
図1は、本願発明の実施の形態に係るサムターンキャップの全体構成、及び当該サムターンキャップのサムターンへの取り付けを説明するための分解斜視図である。図1は、一般的なドア錠を備えたドアCを室内側から見た図であり、該ドアCの室内側の面(ドア面)Cfには、上記ドア錠のサムターンTが突出している。
【0018】
以後、説明の簡略化のため、ドアCの室内側からドア面Cfに向かって見た方向を基準として説明する。
【0019】
本実施の形態に係るサムターンキャップ1は、概ね、内側部材10,中間部材20,及び外側部材30の3つの部材を入れ子式に嵌合する構成とされている。また、当該サムターンキャップ1は、サムターンTの種類に応じて、これを構成する内側部材10,中間部材20,及び外側部材30の各部材のうち少なくとも外側部材30が、単独で、又は他の部材と組み合わせてサムターンTに外嵌されるようになっている。
【0020】
また、本実施の形態に係るサムターンキャップ1の内側部材10としては、図2(a)に示す如き第1の種類の内側部材10aと、図2(b)に示す如き第2の種類の内側部材10bとの2種類が用意されている。
【0021】
まず、第1の種類の内側部材10aは、図2(a)に示す如く、第1の種類のサムターンT1に取り付け可能に構成されている。このサムターンT1は、厚さ約3mmの薄型のものであり、これに適合する内側部材10aは、サムターンT1の長手方向(図2(a)においては、サムターンT1に向かって見て左右方向)に長い全体として横長直方体状をなす本体部分14からなる。該本体部分14には、サムターンT1の幅方向(図2(b)においては、サムターンT1に向かって見て前後方向)に貫通する孔からなる嵌合凹部12が、本体部分14の長手方向の全長に亘って設けられており、その高さ方向の寸法は、サムターンT1の厚さに合わせて約3mmとされている。また、本体部分14の高さ方向の一方の面(図2(a)においては上側の面)には、2つのネジ孔13,13が嵌合凹部12まで螺設されている。
【0022】
第1の種類の内側部材10aは、このような構成とされ、その嵌合凹部12の一方の開口からサムターンT1を挿通して覆い、サムターンT1からの脱落防止のために、ネジ孔13,13に取付ネジ11,11をそれぞれ螺合され、サムターンT1に取り付けられる(図6(a)参照)。
【0023】
一方、第2の種類の内側部材10bは、図2(b)に示す如く、第2の種類のサムターンT2に取り付け可能に構成されている。このサムターンT2は、上述の第1の種類のサムターン10aよりも厚いが、厚さ約6mmと比較的薄型のものであり、これに適合する内側部材10bは、サムターンT2の長手方向(図2(b)においては、サムターンT2に向かって見て左右方向)に長い全体として横長直方体状をなす本体部分14を備えており、該本体部分14は、上記第1の種類のサムターンT1の本体部分14と同一の大きさに形成されている。この本体部分14は、サムターンT2の幅方向(図2(b)においては、サムターンT2に向かって見て前後方向)の一方側に、高さ方向に離隔して設けられた2つの板状部分15,15を備え、これら板状部分14,14は、互いの板面を対向するように並設され、その左右方向の寸法は、第2の種類のサムターンT2の長手方向寸法よりも若干長く形成されている。また、この内側部材10bの嵌合凹部12は、これら板状部分14,14の間の間隙と、この間隙に連続して形成された本体部分14の凹部(図示せず)とから構成されており、その高さ方向の寸法をサムターンT2に合わせて約6mmとされている。さらに、一方(図2(b)においては上側)の板状部分14には、2つのネジ孔13,13が嵌合凹部12まで螺設されている。
【0024】
第2の種類の内側部材10bは、このような構成とされ、その嵌合凹部12でサムターンT2を覆い、サムターンT2からの脱落防止のために、ネジ孔13,13に取付ネジ11,11をそれぞれ螺合され、サムターンT2に取り付けられる(図7(a)参照)。
【0025】
これら2種類の内側部材10a,10bの何れとも組み合わせ可能に構成された中間部材20は、図3に示す如く、全体として厚肉の菱形状をなし、その厚さ方向(図3における「サムターン側」方向)に貫通して、内側部材10a,10bの何れかの本体部分14を収容可能な嵌合凹部22が形成されている。該嵌合凹部22は、図3における水平方向に略横長矩形状をなして菱形の1つの対角線に沿って延びている。また、嵌合凹部22は、その中央部にて、上記対角線と直交する方向(図3における上下方向)に拡大され、後述する別の種類のサムターンを収容可能なように略正方形状の領域を規定している。さらに、この中間部材20の菱形の4つの頂点に相当する部位には、矩形の突設部分24,24…がそれぞれ形成されており、一対の対向する(図3における上下の)突設部分24,24には、嵌合凹部22まで、取付ネジ21を螺合可能なネジ孔23が螺設され、残る対の(図3における左右の)突設部分24,24には、中間部材20の厚さ方向(図3における「サムターン側」方向)に長い切欠き部25,25がそれぞれ形成されている。
【0026】
このような中間部材20と組み合わせ可能に構成された外側部材30は、図3に示す如く、第1外側部材40と第2外側部材50との2つの部分から構成されている。第1外側部材40は、全体として一端を封止された有底円筒状をなし、端面の外側にサムターンTを模擬したつまみ部41が突設されている。また、第1外側部材40は、その外周面の所定の周方向位置(図3においては、つまみ部41を水平にしたときの上側の位置)に係合部42を有している。該係合部42は、上記外周面から略径方向外方に突設され、互いに平行に配置された2つの板状部分からなっている。第1外側部材40の封止されていない側の開口は、嵌合凹部43とされ、該嵌合凹部43は、8つの頂点を有する略星形をなし、各頂点に相当する部位には、中間部材20の突設部24,24…をそれぞれ収容可能な形状及び大きさの矩形凹部44,44…が形成されている。上記係合部42の部位及びこれに対向する部位以外の矩形凹部44,44…の位置に相当する第1外側部材40の周面には、嵌合凹部43まで、ネジ孔45,45…が螺設されている。
【0027】
一方、第2外側部材50は、第1外側部材40と略同一の外側及び内側形状寸法を有する環状をなし、その内周部からなる嵌合凹部51も、第1外側部材40の嵌合凹部43と同様の形状寸法に形成されている。第1外側部材40の8つの矩形凹部44,44…のうち4つに対応する第2外側部材50の内周位置には、矩形凹部44,44…と同様の形状寸法の矩形凹部54,54…がそれぞれ形成されている。第1外側部材40の残りの4つの矩形凹部44,44…に対応する第2外側部材50の内周位置には、これら矩形凹部44,44…に嵌合する矩形板状のタブ部52,52…がそれぞれ設けられている。4つのタブ部52,52…は、2つずつ対とされてそれぞれ周方向に対向する位置に配されている。
【0028】
以上のように構成された第2外側部材50は、そのタブ部52,52…が突設された側の環状端面を第1外側部材40の環状端面に突き合わせ、各タブ部52を第1外側部材40の対応する位置にある矩形凹部44に挿入することによって組み付けられる。そして、これら第1外側部材40及び第2外側部材50の組み付け状態の固定は、2つの対向する位置にあるタブ部52,52に対応する第1外側部材40の位置に形成された2つのネジ孔45,45から螺合される固定ネジ46,46によりなされ、該固定ネジ46,46は、タブ部52,52に螺設されたネジ孔53,53まで到達して、第1外側部材40及び第2外側部材50の両部材をしっかりと固定する。
【0029】
このように分割可能に構成された外側部材30は、第1外側部材40を単独で、又は第2外側部材50と組み合わされて使用される。
【0030】
例えば、図4に示す如く、第1外側部材40を単独で使用する場合には、直接、中間部材20と組み合わせることが可能である。中間部材20は、第1外側部材40の嵌合凹部43に図4における一点鎖線で示す方向に沿って内嵌することが可能であり、このとき、第1外側部材40の嵌合凹部43には、前述した如く、中間部材20の4つの突設部分24,24…に対応して周方向に等配された8つの矩形凹部44,44…を有しているので、中間部材20を0°,45°,90°…と45°単位の周方向位置(図4において一点鎖線で示す第1外側部材40と中間部材20との嵌合方向に沿った軸回りの角度位置)で任意に第1外側部材40と組み合わせることができるようになっている。なお、第1外側部材40の嵌合凹部43に内嵌された中間部材20は、第1外側部材40の矩形凹部44,44…に対応する周方向位置に螺設された2つの(図4においては左右方向の)ネジ孔45,45に螺合される取付ネジ47,47により、第1外側部材40に固定される。
【0031】
また、図5に示す如く、第1外側部材40を第2外側部材50と組み合わせて使用する場合には、第2外側部材50を介して中間部材20と組み合わせることが可能である。中間部材20は、上述した第1外側部材40単独の場合と同様に、第2外側部材50の嵌合凹部51に図5における一点鎖線で示す方向に沿って内嵌することが可能であり、このときには、第2外側部材50の嵌合凹部51には、前述した如く、中間部材20の4つの突設部分24,24…に対応して周方向に等配された4つの矩形凹部54,54…が形成されているので、中間部材20を0°,90°…と90°単位の周方向位置(図5において一点鎖線で示す第2外側部材50と中間部材20との嵌合方向に沿った軸回りの角度位置)で任意に第2外側部材50と組み合わせることができるようになっている。なお、第2外側部材50の嵌合凹部51に内嵌された中間部材20は、更に奥へ押し込まれて第1外側部材40の嵌合凹部43に到達し、第1外側部材40の矩形凹部44,44…に対応する周方向位置に螺設された2つの(図5においては左右方向の)ネジ孔45,45に螺合される取付ネジ47,47により、第1外側部材40に固定される。勿論、組み合わせに応じて、第2外側部材50の矩形凹部54,54…に対応する周方向位置に螺設された2つの(図5においては左右方向の)ネジ孔55,55に取付ネジ47,47を螺合することにより、中間部材20を第2外側部材50に固定することも可能である。
【0032】
前述の如く構成された中間部材20は、図6(a)に示す如く、例えば、図2(a)に示した第1の種類のサムターンT1に取り付けられた第1の種類の内側部材10aの本体部分14に、その嵌合凹部22の長手方向を水平方向に向け、また、その切欠き部25,25をサムターンT1側に向けて外嵌され、ネジ孔23,23に上下方向から取付ネジ21,21を螺合されて内側部材10aに固定される。
【0033】
次いで、図6(b)に示す如く、中間部材20に外側部材30を嵌合し、前述した如く、外側部材30の水平方向の2つのネジ孔45,45(一方のみを図示)に取付ネジ47,47を螺合させることによって中間部材20の切欠き部25,25に係合し、外側部材30の中間部材20からの脱落が防止される。
【0034】
同様にして、図7(a)に示す如く、中間部材20を、例えば、図2(b)に示した第2の種類のサムターンT2に取り付けられた第2の種類の内側部材10bにに取り付ける場合には、中間部材20は、その嵌合凹部22の長手方向を水平方向に向け、また、その切欠き部25,25をサムターンT2側に向けて内側部材10bの本体部分14に外嵌され、ネジ孔23,23に上下方向から取付ネジ21,21を螺合されて内側部材10bに固定される。
【0035】
そして、図6(b)を用いて説明したのと全く同じ方法で、図7(b)に示す如く、中間部材20に外側部材30を嵌合し、外側部材30の水平方向の2つのネジ孔45,45(一方のみを図示)に取付ネジ47,47を螺合させることによって中間部材20の切欠き部25,25に係合し、外側部材30の中間部材20からの脱落が防止される。
【0036】
なお、ここでは、第1外側部材40及び第2外側部材50を組み合わせた外側部材30を中間部材20に組み付ける例を示したが、前述したように、第1外側部材40のみを単独で中間部材20に組み付けることも可能であることは言うまでもない。
【0037】
また、図8(a)に示す如く、より厚く大型の第3の種類のサムターンT3に対しては、内側部材10を使用せず、中間部材20を直接取り付ける。取り付けに際しては、中間部材20を、その嵌合凹部22の長手方向を水平方向に向け、また、その切欠き部25,25をサムターンT1側に向けてサムターンT3に外嵌し、ネジ孔23,23に上下方向から取付ネジ21,21を螺合して、図8(b)に示す如く、サムターンT3に固定される。この状態における中間部材20への外側部材30の取り付けは前述した方法と同じである。
【0038】
また、図9(a)に示す如く、箱形をなした中型の第4の種類のサムターンT4を具備した所謂、面付箱錠に対しては、まず、中間部材20を、その嵌合凹部22の長手方向を水平方向に向け、また、その切欠き部25,25をサムターンT4側に向ける。この状態で、中間部材20の嵌合凹部22の中央部、即ち略正方形状の領域にサムターンT4を挿通し、中間部材20のネジ孔23,23に上下方向から取付ネジ21,21を螺合して、中間部材20をサムターンT4に固定する(図9(b)参照)。そして、この中間部材20へは、第1外側部材40のみが単独で取り付けられる。これは、上記面付箱錠は、ドア面Cf(図11参照)に突設されるものであり、このため、ドア面Cfから離隔して位置するサムターンT4に取り付けられる第1外側部材40の係合部42のドア面Cfからの位置が、他のサムターンへ取り付けられたときと位置的な差異が少なくなるようにするためからである。
【0039】
そして、図6(b)を用いて説明したのと同様の方法で、図9(b)に示す如く、中間部材20に第1外側部材40を嵌合し、第1外側部材40の水平方向の2つのネジ孔45,45(一方のみを図示)に取付ネジ47,47を螺合させることによって中間部材20の切欠き部25,25に係合し、第1外側部材40の中間部材20からの脱落が防止される。
【0040】
さらに、図10に示す如く、ダイヤル形をなした大型の第5の種類のサムターンT5に対しては、内側部材10も中間部材20も使用せず、外側部材30が直接取り付けられる。外側部材30がサムターンT5に被せられた状態で、外側部材30の水平方向の2つのネジ孔45,45(一方のみを図示)に取付ネジ47,47が螺合されることによって、取付ネジ47,47がサムターンT5に直接係合し、外側部材30のサムターンT5からの脱落が防止される。
【0041】
本実施の形態に係るサムターンキャップ1は、以上に説明したように構成されており、最終的には、図11に示す如く、外側部材30(又は第1外側部材40)だけが露出した状態で、サムターンと一体回転するように該サムターンを覆い、本実施の形態に係るサムターンキャップ1を備えたピッキング防止装置に利用されるようになっている。図11においては、図9(a)及び(b)に示した面付箱錠に、本実施の形態に係るサムターンキャップ1が取り付けられている状態を示している。
【0042】
基本的には、各種のサムターンに取り付けられるサムターンキャップ1は、その内側に収容されるサムターンの向きと、そのつまみ部41の向きとが同じとなるようにサムターンに取り付けられる。この場合、施錠状態にあるサムターンは通常は水平方向に向いており、このとき、サムターンキャップ1の係合部42は上側を向くように配置される。しかしながら、この方向は、あくまでも基本形であり、以下に説明するようなピッキング防止装置としての作用を得るべく、適切な方向へ係合部42を向けるように構成することが望ましい。
【0043】
図11に示す如く、本実施の形態に係るピッキング防止装置は、前述の如く構成されたサムターンキャップ1と、施錠状態にあるサムターンに一体的に取り付けられたサムターンキャップ1の回動を係止する駆動ユニット100とを備えている。該駆動ユニット100は、通常は、ドア面Cfであって、サムターンキャップ1の上方に設置される。但し、駆動ユニット100は、上述した如きサムターンキャップ1の係合部42の向きによっては、ドア面Cf以外の例えばドア取付面(図示せず)に設置されることも可能である。
【0044】
駆動ユニット100は、ドア面Cfに沿って(図11においては、上下方向に)出入自在なロック部材201を備え、該ロック部材201により、施錠状態にあっては通常上方に向けて配置されるサムターンキャップ1の係合部42に係脱可能とされている。
【0045】
次に、上記駆動ユニット100の構造について具体的に詳述する。図11に示したように、駆動ユニット100は、上述したロック部材201を備えた駆動ユニット本体200と、該駆動ユニット本体200をその取付面(例えば、ドア面Cf)に保持するホルダ300及び台座400とから構成されている。
【0046】
図12に示す如く、駆動ユニット本体200は、合成樹脂製の縦長矩形状の筐体200cの内部にその各部を収納した構成とされ、その下面から板状のロック部材201が進退自在に配されている。筐体200cの前面上部は、内蔵される電池(図示せず)の出し入れ用の蓋202となっており、該蓋202は、その下部を押しながら上方へずらすことによって開放される一般的なものである。
【0047】
筐体200cの左右の側面の上部には、所定の長さを有する揺動軸204,204がそれぞれ突設され、また、下部には、螺設されたネジ孔に止めネジ205,205がそれぞれ螺合されている。
【0048】
一方、ホルダ300は、駆動ユニット本体200の筐体200cを、ドア面Cf側及び左右両側の三方から覆う態様に、合成樹脂材料から成形されており、筐体200cの左右両側の側面を覆う一対のアーム部分310,310の上端には、上方から切り欠く態様に揺動軸溝304,304がそれぞれ形成されている。また、アーム部分310,310の下部には、前面側から切り欠く態様に角度調整溝305,305がそれぞれ形成されている。
【0049】
このような構成により、駆動ユニット本体200は、ホルダ300のアーム部分310,310間に前側上方から填め込まれ、その左右の揺動軸204,204をホルダ300の揺動軸溝304,304に上方から填め込まれる。この際、駆動ユニット本体200の左右の止めネジ205,205の軸部が、これらに対応する位置に配された角度調整溝305,305にそれぞれ填め込まれ、この状態で、左右のアーム部分310,310の外側にある止めネジ205,205の頭部が、手等で仮締めされ、駆動ユニット本体200がホルダ300にセットされる。従って、駆動ユニット本体200は、止めネジ205,205を緩めることにより、揺動軸204,204を支点に前後方向へその姿勢を変えられるようになっている。姿勢変更後の状態は、止めネジ205,205を締め込むことによって維持することができる。
【0050】
図13は、駆動ユニット本体200がホルダ300にセットされた状態を、ドア面Cf側から示した斜視図であり、ホルダ300のドア面Cf側の面には、一又は複数の磁石301(図13においては3つ)が配されている。また、この面には、複数の位置決めピン302(図13においては4つ)が突設されている。
【0051】
ホルダ300は、上記磁石301,301により、ドア面Cfの適切な位置に貼付される磁性材料からなる台座400に吸着される。該台座400は、その一面の全面に亘って強力な両面粘着テープ403を貼付されており、これによって、ドア面Cfに取り付けられる。本実施の形態においては、ホルダ300を台座400を介してドア面Cfに取り付けるように構成してあるが、ドア面Cfが磁性材料から構成されている場合には、ドア面Cfに直接取り付けるようにしてもよい。また、台座400は、ホルダ300をドア面Cfに取り付けるための補助部材として利用するものであるが、その形状は本実施の形態の如き板状に限定されるものではない。
【0052】
また、台座400には、他面に吸着されるホルダ300の位置決めピン302,302…に対応した位置に、上下方向に長い位置調整溝402,402…がそれぞれ穿設されている。このように、駆動ユニット本体200を保持するホルダ300は、ドア面Cfに貼付される台座400に対して上下方向へ位置を変えられるようになっている。
【0053】
図14(a)及び(b)に示す如く、駆動ユニット本体200は、その下面にてロック部材201を進退動作させ、その下方位置にあるサムターンキャップ1の係合部42の間隙に填まり込んで、サムターンキャップ1の回動を係止するようになっている。
【0054】
図14(a)に示す如きロック部材201が筐体200c内に引き込まれた状態(係止解除状態)にあっては、ロック部材201は、サムターンキャップ1に干渉することはなく、サムターンキャップ1と共にその内部のサムターン(ここでは図示せず)を自由に回動させることができる。一方、サムターンキャップ1を、サムターンの施錠位置に回動させると、この状態においては、前述した如くサムターンキャップ1の係合部42が上方を向くように設定されており、図14(b)に示す如く、ロック部材201が突出せしめられた状態(係止状態)にあっては、ロック部材201は、サムターンキャップ1の係合部42の間隙に填まり込み、サムターンキャップ1の回動が阻止される。これによって、ピッキング操作によってサムターンキャップ1の内部のサムターンが回動され、開錠位置に操作されるのを確実に阻止することができる。
【0055】
また、図15に示す如く、駆動ユニット本体200は、制御部211と、該制御部211に接続された手動スイッチ203、信号受信部212、ピン駆動部210、及びブザー213等とを備えている。
【0056】
手動スイッチ203は、図12にも示した如く、筐体200cの上面に設けられた押しボタン式のスイッチである。信号受信部212は、駆動ユニット100が有するリモートコントローラ500からの係止及び係止解除信号を受信する。
【0057】
リモートコントローラ500は、自動車の所謂「キーレスエントリ」と同様の通信方式を利用した小型のものであり、係止操作ボタン502(図15中「LOCK」で示す)と、係止解除操作ボタン503(図15中「OPEN」で示す)と、これらのボタンの操作時に点灯するように構成された操作確認ランプ501とを備えている。リモートコントローラ500は、係止操作ボタン502が押下された場合には係止信号を送信し、係止解除操作ボタン503が押下された場合には係止解除信号をそれぞれ送信するようになっている。
【0058】
ピン駆動部210は、図示しない直流モータの回転力を減速ギヤにより減速してロック部材201の進退動作に変換する。ブザー213は、制御部211の指示に応じて通電され、駆動ユニット本体200の動作確認音等を発する。
【0059】
以上の如き構成により、例えば、手動スイッチ203が押下された場合、又は信号受信部212がリモートコントローラ500から係止信号を受信した場合には、制御部211がこれを認識し、ピン駆動部210に通電してロック部材201を突出するように動作させる一方、ブザー213に通電して動作完了を報知する。
【0060】
その後、手動スイッチ203が再び押下された場合、又は信号受信部212がリモートコントローラ500から係止解除信号を受信した場合には、制御部211がこれを認識し、ピン駆動部210のモータを逆転させてロック部材201を引き込むように動作させる一方、ブザー213に通電して動作完了を報知する。
【0061】
【発明の効果】
本願発明に係るサムターンキャップ及びこれを備えたピッキング防止装置によれば、より多くの種類のサムターンに対応でき、しかも多数の種類のサムターンキャップを製品に同梱する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態に係るサムターンキャップの全体構成、及び当該サムターンキャップのサムターンへの取り付けを説明するための分解斜視図である。
【図2】図1に示したサムターンキャップを構成する内側部材の構成、及び当該内側部材のサムターンへの取り付けを説明するための斜視図であり、(a)は第1の種類のサムターンに対応する第1の種類の内側部材を示し、(b)は第2の種類のサムターンに対応する第2の種類の内側部材を示している。
【図3】図1に示したサムターンキャップを構成する中間部材及び外側部材の構成、並びにこれらの部材の組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図4】図3に示した外側部材が分割された状態で中間部材と組み合わされる場合の、該内側部材の嵌合方向に沿った軸回りの角度位置(0°,45°,及び90°)を示す分解斜視図である。
【図5】図3に示した外側部材が分割されていない状態で中間部材と組み合わされる場合の、該内側部材の嵌合方向に沿った軸回りの角度位置(0°及び90°)を示す分解斜視図である。
【図6】(a)は図2(a)に示した第1の種類の内側部材への中間部材の組み付けを説明するための分解斜視図であり、(b)は内側部材に組み付けられた中間部材への外側部材の組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図7】(a)は図2(b)に示した第2の種類の内側部材への中間部材の組み付けを説明するための分解斜視図であり、(b)は内側部材に組み付けられた中間部材への外側部材の組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図8】(a)は第3の種類のサムターンへの中間部材の組み付けを説明するための分解斜視図であり、(b)はその組み付け状態を示す斜視図である。
【図9】(a)は第4の種類のサムターンへの中間部材の組み付けを説明するための分解斜視図であり、(b)は第4の種類のサムターンに組み付けられた中間部材への外側部材の組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図10】(a)は第5の種類のサムターンへの中間部材の組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図11】本実施の形態に係るサムターンキャップを備えたピッキング防止装置の全体構成を示す斜視図である。
【図12】図11に示したピッキング防止装置を構成する装置本体及びホルダの構成、及び装置本体のホルダへの組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図13】図11に示す如く装置本体が組み付けられたホルダの背面の構造、及びホルダのベースプレートへの組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図14】図11に示した装置本体の作動状態、及びこのときのサムターンキャップの係止状態を説明するための動作図である。
【図15】図11に示した装置本体の内部構成、及びこれを遠隔操作するリモートコントローラとの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 サムターンキャップ
10,10a,10b 内側部材
11 取付ネジ
20 中間部材
21 取付ネジ
30 外側部材
33 取付ネジ
34 固定ネジ
100 装置本体
200 駆動ユニット
300 ホルダ
400 台座
500 リモートコントローラ
C ドア
Cf 室内側のドア面
T,T1〜T5 サムターン
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ドア錠の室内側にあるサムターンに外装されるサムターンキャップを、サムターンの施錠状態を維持すべく係止することによって、ドア錠のピッキングを防止するピッキング防止装置に関し、特にそのサムターンキャップの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ドア錠の室内側にあるサムターンに、係合部を有するサムターンキャップを被せ、このサムターンと一体回転するサムターンキャップを、サムターンの施錠状態を維持すべく係止することによってピッキングを防止する装置が種々開発されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
サムターンキャップの係止は、室内側のドア面に取り付けられた係止手段を手動で作動させて行なう手動式のもの、また、ソレノイド等を利用した電動式のものがある。電動式のものには、車のドアを開閉するときに使用する所謂「キーレスエントリー」方式のリモートコントローラにより作動させるタイプのものがあり、このタイプのものは、外出時にも室外から操作できて非常に利便性が高い。
【0004】
ところで、このようなピッキング防止装置に利用されるサムターンキャップとしては、様々なメーカから販売されている様々なタイプのドア錠のそれぞれのサムターンの形状に合わせて製作されており、メーカは、ピッキング防止装置に多数の種類のサムターンキャップを同梱して販売している。
【0005】
【特許文献1】
登録実用新案第3081773号公報(第2−3頁、第1−3図)
【特許文献2】
国際公開第02/057574号パンフレット(第13−15頁、第6−11図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、メーカも、製品コストを抑えるために、すべての種類のサムターンに対応したサムターンキャップをピッキング防止装置製品に同梱するわけにもいかず、主要な種類のみを同梱するケースが多いのが実情である。具体的には、同梱されるサムターンは、国内向けに販売されているサムターンのすべての種類のうちの約数割のサムターンにしか対応できていない。
【0007】
本願発明は、以上の如き事情に鑑みてなされたものであり、より多くの種類のサムターンに対応でき、しかも多数の種類のサムターンキャップを製品に同梱する必要がないピッキング防止装置、及びこれに使用するサムターンキャップを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明に係るサムターンキャップは、ドア錠の室内側サムターンに外装され、室内側のドア面又はドア取付面に装着された係止手段に係止されることによって、施錠状態にある前記サムターンとの一体回転を阻止されるサムターンキャップにおいて、それぞれ嵌合部を有し、該嵌合部により互いに入れ子式に嵌合する内側、中間、及び外側部材を備え、前記外側部材を単独で、又は前記外側部材と前記中間部材との組み合わせを、又はすべての部材の組み合わせを、最も内側に位置する部材の嵌合部により、前記サムターンに外嵌すべくなしてあることを特徴とする。
【0009】
また、本願発明に係るピッキング防止装置は、ドア錠の室内側サムターンに外装されるサムターンキャップを備え、施錠状態にあるサムターンとサムターンキャップとの一体回転を阻止すべく該サムターンキャップを係止することによって、ドア錠のピッキングを防止するピッキング防止装置において、前記サムターンキャップは、それぞれ嵌合部を有し、該嵌合部により互いに入れ子式に嵌合する内側、中間、及び外側部材を備え、前記外側部材を単独で、又は前記外側部材と前記中間部材との組み合わせを、又はすべての部材の組み合わせを、最も内側に位置する部材の嵌合部により、前記サムターンに外嵌すべくなしてあることを特徴とする。
【0010】
上記発明によれば、サムターンキャップが入れ子式に嵌合する複数の部材からなり、外側部材のみを単独で使用しても、外側部材と中間部材との2つの部材を組み合わせて使用しても、さらには、内側、中間、及び外側部材のすべての部材を組み合わせて使用しても良いようになっている。しかも、このように単独又は組み合わせて使用されるサムターンキャップの最も内側に位置する部材の嵌合部により、サムターンに嵌合するように構成してあるので、1つのサムターンキャップで実質的に従来よりも多くの種類のサムターンに適用することが可能となり、メーカーは、多数の種類のサムターンキャップを製品に同梱する必要がなくなる。
【0011】
本願発明に係るサムターンキャップは、基本的には、上記した内側、中間、及び外側部材の3つの部材から構成されるが、各部材は、更に分割できるように構成されてもよく、また、各部材として複数の種類のものを用意しておくような構成としてもよい。このように構成することにより、本願発明に係るサムターンキャップは、より多くの種類の部材の組み合わせを実現することができ、更に多くの種類のサムターンに適合することができる。
【0012】
例えば、上記内側部材として、異なる種類のサムターンに外嵌するように構成した複数種類の内側部材を用意しておくことが可能であり、より特定的には、異なる厚さのサムターンに外嵌するように構成した複数種類の内側部材を用意しておくことが可能である。
【0013】
内側部材を異なる厚さのサムターンに対応して製作する場合には、例えば、2種類のものを用意すれば十分である。これは、国内で最も一般的な薄型のサムターンは、その厚さが約3mmのものと、約6mmのものとが多いからである。
【0014】
また、互いに入れ子式に嵌合する内側、中間、及び外側部材を、嵌合方向に沿った軸回りの角度を変えて嵌合するように互いに構成することにより、当該軸回りでの係止手段との係止位置を自在に調整することができる。
【0015】
さらに、上記内側、中間、及び外側部材は、互いの嵌合状態を維持すべく、それぞれの内側に嵌合する部材を固定するネジを備えることも可能であり、また、締まり嵌めにて嵌合すべく互いの形状寸法が設定されてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明に係るサムターンキャップを備えたピッキング防止装置について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
図1は、本願発明の実施の形態に係るサムターンキャップの全体構成、及び当該サムターンキャップのサムターンへの取り付けを説明するための分解斜視図である。図1は、一般的なドア錠を備えたドアCを室内側から見た図であり、該ドアCの室内側の面(ドア面)Cfには、上記ドア錠のサムターンTが突出している。
【0018】
以後、説明の簡略化のため、ドアCの室内側からドア面Cfに向かって見た方向を基準として説明する。
【0019】
本実施の形態に係るサムターンキャップ1は、概ね、内側部材10,中間部材20,及び外側部材30の3つの部材を入れ子式に嵌合する構成とされている。また、当該サムターンキャップ1は、サムターンTの種類に応じて、これを構成する内側部材10,中間部材20,及び外側部材30の各部材のうち少なくとも外側部材30が、単独で、又は他の部材と組み合わせてサムターンTに外嵌されるようになっている。
【0020】
また、本実施の形態に係るサムターンキャップ1の内側部材10としては、図2(a)に示す如き第1の種類の内側部材10aと、図2(b)に示す如き第2の種類の内側部材10bとの2種類が用意されている。
【0021】
まず、第1の種類の内側部材10aは、図2(a)に示す如く、第1の種類のサムターンT1に取り付け可能に構成されている。このサムターンT1は、厚さ約3mmの薄型のものであり、これに適合する内側部材10aは、サムターンT1の長手方向(図2(a)においては、サムターンT1に向かって見て左右方向)に長い全体として横長直方体状をなす本体部分14からなる。該本体部分14には、サムターンT1の幅方向(図2(b)においては、サムターンT1に向かって見て前後方向)に貫通する孔からなる嵌合凹部12が、本体部分14の長手方向の全長に亘って設けられており、その高さ方向の寸法は、サムターンT1の厚さに合わせて約3mmとされている。また、本体部分14の高さ方向の一方の面(図2(a)においては上側の面)には、2つのネジ孔13,13が嵌合凹部12まで螺設されている。
【0022】
第1の種類の内側部材10aは、このような構成とされ、その嵌合凹部12の一方の開口からサムターンT1を挿通して覆い、サムターンT1からの脱落防止のために、ネジ孔13,13に取付ネジ11,11をそれぞれ螺合され、サムターンT1に取り付けられる(図6(a)参照)。
【0023】
一方、第2の種類の内側部材10bは、図2(b)に示す如く、第2の種類のサムターンT2に取り付け可能に構成されている。このサムターンT2は、上述の第1の種類のサムターン10aよりも厚いが、厚さ約6mmと比較的薄型のものであり、これに適合する内側部材10bは、サムターンT2の長手方向(図2(b)においては、サムターンT2に向かって見て左右方向)に長い全体として横長直方体状をなす本体部分14を備えており、該本体部分14は、上記第1の種類のサムターンT1の本体部分14と同一の大きさに形成されている。この本体部分14は、サムターンT2の幅方向(図2(b)においては、サムターンT2に向かって見て前後方向)の一方側に、高さ方向に離隔して設けられた2つの板状部分15,15を備え、これら板状部分14,14は、互いの板面を対向するように並設され、その左右方向の寸法は、第2の種類のサムターンT2の長手方向寸法よりも若干長く形成されている。また、この内側部材10bの嵌合凹部12は、これら板状部分14,14の間の間隙と、この間隙に連続して形成された本体部分14の凹部(図示せず)とから構成されており、その高さ方向の寸法をサムターンT2に合わせて約6mmとされている。さらに、一方(図2(b)においては上側)の板状部分14には、2つのネジ孔13,13が嵌合凹部12まで螺設されている。
【0024】
第2の種類の内側部材10bは、このような構成とされ、その嵌合凹部12でサムターンT2を覆い、サムターンT2からの脱落防止のために、ネジ孔13,13に取付ネジ11,11をそれぞれ螺合され、サムターンT2に取り付けられる(図7(a)参照)。
【0025】
これら2種類の内側部材10a,10bの何れとも組み合わせ可能に構成された中間部材20は、図3に示す如く、全体として厚肉の菱形状をなし、その厚さ方向(図3における「サムターン側」方向)に貫通して、内側部材10a,10bの何れかの本体部分14を収容可能な嵌合凹部22が形成されている。該嵌合凹部22は、図3における水平方向に略横長矩形状をなして菱形の1つの対角線に沿って延びている。また、嵌合凹部22は、その中央部にて、上記対角線と直交する方向(図3における上下方向)に拡大され、後述する別の種類のサムターンを収容可能なように略正方形状の領域を規定している。さらに、この中間部材20の菱形の4つの頂点に相当する部位には、矩形の突設部分24,24…がそれぞれ形成されており、一対の対向する(図3における上下の)突設部分24,24には、嵌合凹部22まで、取付ネジ21を螺合可能なネジ孔23が螺設され、残る対の(図3における左右の)突設部分24,24には、中間部材20の厚さ方向(図3における「サムターン側」方向)に長い切欠き部25,25がそれぞれ形成されている。
【0026】
このような中間部材20と組み合わせ可能に構成された外側部材30は、図3に示す如く、第1外側部材40と第2外側部材50との2つの部分から構成されている。第1外側部材40は、全体として一端を封止された有底円筒状をなし、端面の外側にサムターンTを模擬したつまみ部41が突設されている。また、第1外側部材40は、その外周面の所定の周方向位置(図3においては、つまみ部41を水平にしたときの上側の位置)に係合部42を有している。該係合部42は、上記外周面から略径方向外方に突設され、互いに平行に配置された2つの板状部分からなっている。第1外側部材40の封止されていない側の開口は、嵌合凹部43とされ、該嵌合凹部43は、8つの頂点を有する略星形をなし、各頂点に相当する部位には、中間部材20の突設部24,24…をそれぞれ収容可能な形状及び大きさの矩形凹部44,44…が形成されている。上記係合部42の部位及びこれに対向する部位以外の矩形凹部44,44…の位置に相当する第1外側部材40の周面には、嵌合凹部43まで、ネジ孔45,45…が螺設されている。
【0027】
一方、第2外側部材50は、第1外側部材40と略同一の外側及び内側形状寸法を有する環状をなし、その内周部からなる嵌合凹部51も、第1外側部材40の嵌合凹部43と同様の形状寸法に形成されている。第1外側部材40の8つの矩形凹部44,44…のうち4つに対応する第2外側部材50の内周位置には、矩形凹部44,44…と同様の形状寸法の矩形凹部54,54…がそれぞれ形成されている。第1外側部材40の残りの4つの矩形凹部44,44…に対応する第2外側部材50の内周位置には、これら矩形凹部44,44…に嵌合する矩形板状のタブ部52,52…がそれぞれ設けられている。4つのタブ部52,52…は、2つずつ対とされてそれぞれ周方向に対向する位置に配されている。
【0028】
以上のように構成された第2外側部材50は、そのタブ部52,52…が突設された側の環状端面を第1外側部材40の環状端面に突き合わせ、各タブ部52を第1外側部材40の対応する位置にある矩形凹部44に挿入することによって組み付けられる。そして、これら第1外側部材40及び第2外側部材50の組み付け状態の固定は、2つの対向する位置にあるタブ部52,52に対応する第1外側部材40の位置に形成された2つのネジ孔45,45から螺合される固定ネジ46,46によりなされ、該固定ネジ46,46は、タブ部52,52に螺設されたネジ孔53,53まで到達して、第1外側部材40及び第2外側部材50の両部材をしっかりと固定する。
【0029】
このように分割可能に構成された外側部材30は、第1外側部材40を単独で、又は第2外側部材50と組み合わされて使用される。
【0030】
例えば、図4に示す如く、第1外側部材40を単独で使用する場合には、直接、中間部材20と組み合わせることが可能である。中間部材20は、第1外側部材40の嵌合凹部43に図4における一点鎖線で示す方向に沿って内嵌することが可能であり、このとき、第1外側部材40の嵌合凹部43には、前述した如く、中間部材20の4つの突設部分24,24…に対応して周方向に等配された8つの矩形凹部44,44…を有しているので、中間部材20を0°,45°,90°…と45°単位の周方向位置(図4において一点鎖線で示す第1外側部材40と中間部材20との嵌合方向に沿った軸回りの角度位置)で任意に第1外側部材40と組み合わせることができるようになっている。なお、第1外側部材40の嵌合凹部43に内嵌された中間部材20は、第1外側部材40の矩形凹部44,44…に対応する周方向位置に螺設された2つの(図4においては左右方向の)ネジ孔45,45に螺合される取付ネジ47,47により、第1外側部材40に固定される。
【0031】
また、図5に示す如く、第1外側部材40を第2外側部材50と組み合わせて使用する場合には、第2外側部材50を介して中間部材20と組み合わせることが可能である。中間部材20は、上述した第1外側部材40単独の場合と同様に、第2外側部材50の嵌合凹部51に図5における一点鎖線で示す方向に沿って内嵌することが可能であり、このときには、第2外側部材50の嵌合凹部51には、前述した如く、中間部材20の4つの突設部分24,24…に対応して周方向に等配された4つの矩形凹部54,54…が形成されているので、中間部材20を0°,90°…と90°単位の周方向位置(図5において一点鎖線で示す第2外側部材50と中間部材20との嵌合方向に沿った軸回りの角度位置)で任意に第2外側部材50と組み合わせることができるようになっている。なお、第2外側部材50の嵌合凹部51に内嵌された中間部材20は、更に奥へ押し込まれて第1外側部材40の嵌合凹部43に到達し、第1外側部材40の矩形凹部44,44…に対応する周方向位置に螺設された2つの(図5においては左右方向の)ネジ孔45,45に螺合される取付ネジ47,47により、第1外側部材40に固定される。勿論、組み合わせに応じて、第2外側部材50の矩形凹部54,54…に対応する周方向位置に螺設された2つの(図5においては左右方向の)ネジ孔55,55に取付ネジ47,47を螺合することにより、中間部材20を第2外側部材50に固定することも可能である。
【0032】
前述の如く構成された中間部材20は、図6(a)に示す如く、例えば、図2(a)に示した第1の種類のサムターンT1に取り付けられた第1の種類の内側部材10aの本体部分14に、その嵌合凹部22の長手方向を水平方向に向け、また、その切欠き部25,25をサムターンT1側に向けて外嵌され、ネジ孔23,23に上下方向から取付ネジ21,21を螺合されて内側部材10aに固定される。
【0033】
次いで、図6(b)に示す如く、中間部材20に外側部材30を嵌合し、前述した如く、外側部材30の水平方向の2つのネジ孔45,45(一方のみを図示)に取付ネジ47,47を螺合させることによって中間部材20の切欠き部25,25に係合し、外側部材30の中間部材20からの脱落が防止される。
【0034】
同様にして、図7(a)に示す如く、中間部材20を、例えば、図2(b)に示した第2の種類のサムターンT2に取り付けられた第2の種類の内側部材10bにに取り付ける場合には、中間部材20は、その嵌合凹部22の長手方向を水平方向に向け、また、その切欠き部25,25をサムターンT2側に向けて内側部材10bの本体部分14に外嵌され、ネジ孔23,23に上下方向から取付ネジ21,21を螺合されて内側部材10bに固定される。
【0035】
そして、図6(b)を用いて説明したのと全く同じ方法で、図7(b)に示す如く、中間部材20に外側部材30を嵌合し、外側部材30の水平方向の2つのネジ孔45,45(一方のみを図示)に取付ネジ47,47を螺合させることによって中間部材20の切欠き部25,25に係合し、外側部材30の中間部材20からの脱落が防止される。
【0036】
なお、ここでは、第1外側部材40及び第2外側部材50を組み合わせた外側部材30を中間部材20に組み付ける例を示したが、前述したように、第1外側部材40のみを単独で中間部材20に組み付けることも可能であることは言うまでもない。
【0037】
また、図8(a)に示す如く、より厚く大型の第3の種類のサムターンT3に対しては、内側部材10を使用せず、中間部材20を直接取り付ける。取り付けに際しては、中間部材20を、その嵌合凹部22の長手方向を水平方向に向け、また、その切欠き部25,25をサムターンT1側に向けてサムターンT3に外嵌し、ネジ孔23,23に上下方向から取付ネジ21,21を螺合して、図8(b)に示す如く、サムターンT3に固定される。この状態における中間部材20への外側部材30の取り付けは前述した方法と同じである。
【0038】
また、図9(a)に示す如く、箱形をなした中型の第4の種類のサムターンT4を具備した所謂、面付箱錠に対しては、まず、中間部材20を、その嵌合凹部22の長手方向を水平方向に向け、また、その切欠き部25,25をサムターンT4側に向ける。この状態で、中間部材20の嵌合凹部22の中央部、即ち略正方形状の領域にサムターンT4を挿通し、中間部材20のネジ孔23,23に上下方向から取付ネジ21,21を螺合して、中間部材20をサムターンT4に固定する(図9(b)参照)。そして、この中間部材20へは、第1外側部材40のみが単独で取り付けられる。これは、上記面付箱錠は、ドア面Cf(図11参照)に突設されるものであり、このため、ドア面Cfから離隔して位置するサムターンT4に取り付けられる第1外側部材40の係合部42のドア面Cfからの位置が、他のサムターンへ取り付けられたときと位置的な差異が少なくなるようにするためからである。
【0039】
そして、図6(b)を用いて説明したのと同様の方法で、図9(b)に示す如く、中間部材20に第1外側部材40を嵌合し、第1外側部材40の水平方向の2つのネジ孔45,45(一方のみを図示)に取付ネジ47,47を螺合させることによって中間部材20の切欠き部25,25に係合し、第1外側部材40の中間部材20からの脱落が防止される。
【0040】
さらに、図10に示す如く、ダイヤル形をなした大型の第5の種類のサムターンT5に対しては、内側部材10も中間部材20も使用せず、外側部材30が直接取り付けられる。外側部材30がサムターンT5に被せられた状態で、外側部材30の水平方向の2つのネジ孔45,45(一方のみを図示)に取付ネジ47,47が螺合されることによって、取付ネジ47,47がサムターンT5に直接係合し、外側部材30のサムターンT5からの脱落が防止される。
【0041】
本実施の形態に係るサムターンキャップ1は、以上に説明したように構成されており、最終的には、図11に示す如く、外側部材30(又は第1外側部材40)だけが露出した状態で、サムターンと一体回転するように該サムターンを覆い、本実施の形態に係るサムターンキャップ1を備えたピッキング防止装置に利用されるようになっている。図11においては、図9(a)及び(b)に示した面付箱錠に、本実施の形態に係るサムターンキャップ1が取り付けられている状態を示している。
【0042】
基本的には、各種のサムターンに取り付けられるサムターンキャップ1は、その内側に収容されるサムターンの向きと、そのつまみ部41の向きとが同じとなるようにサムターンに取り付けられる。この場合、施錠状態にあるサムターンは通常は水平方向に向いており、このとき、サムターンキャップ1の係合部42は上側を向くように配置される。しかしながら、この方向は、あくまでも基本形であり、以下に説明するようなピッキング防止装置としての作用を得るべく、適切な方向へ係合部42を向けるように構成することが望ましい。
【0043】
図11に示す如く、本実施の形態に係るピッキング防止装置は、前述の如く構成されたサムターンキャップ1と、施錠状態にあるサムターンに一体的に取り付けられたサムターンキャップ1の回動を係止する駆動ユニット100とを備えている。該駆動ユニット100は、通常は、ドア面Cfであって、サムターンキャップ1の上方に設置される。但し、駆動ユニット100は、上述した如きサムターンキャップ1の係合部42の向きによっては、ドア面Cf以外の例えばドア取付面(図示せず)に設置されることも可能である。
【0044】
駆動ユニット100は、ドア面Cfに沿って(図11においては、上下方向に)出入自在なロック部材201を備え、該ロック部材201により、施錠状態にあっては通常上方に向けて配置されるサムターンキャップ1の係合部42に係脱可能とされている。
【0045】
次に、上記駆動ユニット100の構造について具体的に詳述する。図11に示したように、駆動ユニット100は、上述したロック部材201を備えた駆動ユニット本体200と、該駆動ユニット本体200をその取付面(例えば、ドア面Cf)に保持するホルダ300及び台座400とから構成されている。
【0046】
図12に示す如く、駆動ユニット本体200は、合成樹脂製の縦長矩形状の筐体200cの内部にその各部を収納した構成とされ、その下面から板状のロック部材201が進退自在に配されている。筐体200cの前面上部は、内蔵される電池(図示せず)の出し入れ用の蓋202となっており、該蓋202は、その下部を押しながら上方へずらすことによって開放される一般的なものである。
【0047】
筐体200cの左右の側面の上部には、所定の長さを有する揺動軸204,204がそれぞれ突設され、また、下部には、螺設されたネジ孔に止めネジ205,205がそれぞれ螺合されている。
【0048】
一方、ホルダ300は、駆動ユニット本体200の筐体200cを、ドア面Cf側及び左右両側の三方から覆う態様に、合成樹脂材料から成形されており、筐体200cの左右両側の側面を覆う一対のアーム部分310,310の上端には、上方から切り欠く態様に揺動軸溝304,304がそれぞれ形成されている。また、アーム部分310,310の下部には、前面側から切り欠く態様に角度調整溝305,305がそれぞれ形成されている。
【0049】
このような構成により、駆動ユニット本体200は、ホルダ300のアーム部分310,310間に前側上方から填め込まれ、その左右の揺動軸204,204をホルダ300の揺動軸溝304,304に上方から填め込まれる。この際、駆動ユニット本体200の左右の止めネジ205,205の軸部が、これらに対応する位置に配された角度調整溝305,305にそれぞれ填め込まれ、この状態で、左右のアーム部分310,310の外側にある止めネジ205,205の頭部が、手等で仮締めされ、駆動ユニット本体200がホルダ300にセットされる。従って、駆動ユニット本体200は、止めネジ205,205を緩めることにより、揺動軸204,204を支点に前後方向へその姿勢を変えられるようになっている。姿勢変更後の状態は、止めネジ205,205を締め込むことによって維持することができる。
【0050】
図13は、駆動ユニット本体200がホルダ300にセットされた状態を、ドア面Cf側から示した斜視図であり、ホルダ300のドア面Cf側の面には、一又は複数の磁石301(図13においては3つ)が配されている。また、この面には、複数の位置決めピン302(図13においては4つ)が突設されている。
【0051】
ホルダ300は、上記磁石301,301により、ドア面Cfの適切な位置に貼付される磁性材料からなる台座400に吸着される。該台座400は、その一面の全面に亘って強力な両面粘着テープ403を貼付されており、これによって、ドア面Cfに取り付けられる。本実施の形態においては、ホルダ300を台座400を介してドア面Cfに取り付けるように構成してあるが、ドア面Cfが磁性材料から構成されている場合には、ドア面Cfに直接取り付けるようにしてもよい。また、台座400は、ホルダ300をドア面Cfに取り付けるための補助部材として利用するものであるが、その形状は本実施の形態の如き板状に限定されるものではない。
【0052】
また、台座400には、他面に吸着されるホルダ300の位置決めピン302,302…に対応した位置に、上下方向に長い位置調整溝402,402…がそれぞれ穿設されている。このように、駆動ユニット本体200を保持するホルダ300は、ドア面Cfに貼付される台座400に対して上下方向へ位置を変えられるようになっている。
【0053】
図14(a)及び(b)に示す如く、駆動ユニット本体200は、その下面にてロック部材201を進退動作させ、その下方位置にあるサムターンキャップ1の係合部42の間隙に填まり込んで、サムターンキャップ1の回動を係止するようになっている。
【0054】
図14(a)に示す如きロック部材201が筐体200c内に引き込まれた状態(係止解除状態)にあっては、ロック部材201は、サムターンキャップ1に干渉することはなく、サムターンキャップ1と共にその内部のサムターン(ここでは図示せず)を自由に回動させることができる。一方、サムターンキャップ1を、サムターンの施錠位置に回動させると、この状態においては、前述した如くサムターンキャップ1の係合部42が上方を向くように設定されており、図14(b)に示す如く、ロック部材201が突出せしめられた状態(係止状態)にあっては、ロック部材201は、サムターンキャップ1の係合部42の間隙に填まり込み、サムターンキャップ1の回動が阻止される。これによって、ピッキング操作によってサムターンキャップ1の内部のサムターンが回動され、開錠位置に操作されるのを確実に阻止することができる。
【0055】
また、図15に示す如く、駆動ユニット本体200は、制御部211と、該制御部211に接続された手動スイッチ203、信号受信部212、ピン駆動部210、及びブザー213等とを備えている。
【0056】
手動スイッチ203は、図12にも示した如く、筐体200cの上面に設けられた押しボタン式のスイッチである。信号受信部212は、駆動ユニット100が有するリモートコントローラ500からの係止及び係止解除信号を受信する。
【0057】
リモートコントローラ500は、自動車の所謂「キーレスエントリ」と同様の通信方式を利用した小型のものであり、係止操作ボタン502(図15中「LOCK」で示す)と、係止解除操作ボタン503(図15中「OPEN」で示す)と、これらのボタンの操作時に点灯するように構成された操作確認ランプ501とを備えている。リモートコントローラ500は、係止操作ボタン502が押下された場合には係止信号を送信し、係止解除操作ボタン503が押下された場合には係止解除信号をそれぞれ送信するようになっている。
【0058】
ピン駆動部210は、図示しない直流モータの回転力を減速ギヤにより減速してロック部材201の進退動作に変換する。ブザー213は、制御部211の指示に応じて通電され、駆動ユニット本体200の動作確認音等を発する。
【0059】
以上の如き構成により、例えば、手動スイッチ203が押下された場合、又は信号受信部212がリモートコントローラ500から係止信号を受信した場合には、制御部211がこれを認識し、ピン駆動部210に通電してロック部材201を突出するように動作させる一方、ブザー213に通電して動作完了を報知する。
【0060】
その後、手動スイッチ203が再び押下された場合、又は信号受信部212がリモートコントローラ500から係止解除信号を受信した場合には、制御部211がこれを認識し、ピン駆動部210のモータを逆転させてロック部材201を引き込むように動作させる一方、ブザー213に通電して動作完了を報知する。
【0061】
【発明の効果】
本願発明に係るサムターンキャップ及びこれを備えたピッキング防止装置によれば、より多くの種類のサムターンに対応でき、しかも多数の種類のサムターンキャップを製品に同梱する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態に係るサムターンキャップの全体構成、及び当該サムターンキャップのサムターンへの取り付けを説明するための分解斜視図である。
【図2】図1に示したサムターンキャップを構成する内側部材の構成、及び当該内側部材のサムターンへの取り付けを説明するための斜視図であり、(a)は第1の種類のサムターンに対応する第1の種類の内側部材を示し、(b)は第2の種類のサムターンに対応する第2の種類の内側部材を示している。
【図3】図1に示したサムターンキャップを構成する中間部材及び外側部材の構成、並びにこれらの部材の組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図4】図3に示した外側部材が分割された状態で中間部材と組み合わされる場合の、該内側部材の嵌合方向に沿った軸回りの角度位置(0°,45°,及び90°)を示す分解斜視図である。
【図5】図3に示した外側部材が分割されていない状態で中間部材と組み合わされる場合の、該内側部材の嵌合方向に沿った軸回りの角度位置(0°及び90°)を示す分解斜視図である。
【図6】(a)は図2(a)に示した第1の種類の内側部材への中間部材の組み付けを説明するための分解斜視図であり、(b)は内側部材に組み付けられた中間部材への外側部材の組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図7】(a)は図2(b)に示した第2の種類の内側部材への中間部材の組み付けを説明するための分解斜視図であり、(b)は内側部材に組み付けられた中間部材への外側部材の組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図8】(a)は第3の種類のサムターンへの中間部材の組み付けを説明するための分解斜視図であり、(b)はその組み付け状態を示す斜視図である。
【図9】(a)は第4の種類のサムターンへの中間部材の組み付けを説明するための分解斜視図であり、(b)は第4の種類のサムターンに組み付けられた中間部材への外側部材の組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図10】(a)は第5の種類のサムターンへの中間部材の組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図11】本実施の形態に係るサムターンキャップを備えたピッキング防止装置の全体構成を示す斜視図である。
【図12】図11に示したピッキング防止装置を構成する装置本体及びホルダの構成、及び装置本体のホルダへの組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図13】図11に示す如く装置本体が組み付けられたホルダの背面の構造、及びホルダのベースプレートへの組み付けを説明するための分解斜視図である。
【図14】図11に示した装置本体の作動状態、及びこのときのサムターンキャップの係止状態を説明するための動作図である。
【図15】図11に示した装置本体の内部構成、及びこれを遠隔操作するリモートコントローラとの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 サムターンキャップ
10,10a,10b 内側部材
11 取付ネジ
20 中間部材
21 取付ネジ
30 外側部材
33 取付ネジ
34 固定ネジ
100 装置本体
200 駆動ユニット
300 ホルダ
400 台座
500 リモートコントローラ
C ドア
Cf 室内側のドア面
T,T1〜T5 サムターン
Claims (14)
- ドア錠の室内側サムターンに外装され、室内側のドア面又はドア取付面に装着された係止手段に係止されることによって、施錠状態にある前記サムターンとの一体回転を阻止されるサムターンキャップにおいて、
それぞれ嵌合部を有し、該嵌合部により互いに入れ子式に嵌合する内側、中間、及び外側部材を備え、
前記外側部材を単独で、又は前記外側部材と前記中間部材との組み合わせを、又はすべての部材の組み合わせを、最も内側に位置する部材の嵌合部により、前記サムターンに外嵌すべくなしてある
ことを特徴とするサムターンキャップ。 - 異なる種類のサムターンに外嵌すべくなしてある複数種類の内側部材を備え、該複数種類の内側部材の中から何れかを前記中間部材と選択的に組み合わせることができるように構成してあることを特徴とする請求項1記載のサムターンキャップ。
- 前記複数種類の内側部材は、厚さの異なるサムターンに外嵌すべくなしてあることを特徴とする請求項2記載のサムターンキャップ。
- 前記複数種類の内側部材は、第1の厚さのサムターンに外嵌すべくなしてあるものと、前記第1の厚さよりも厚い第2の厚さのサムターンに外嵌すべくなしてあるものとの2種類からなり、前記第1の厚さは、約3mmであり、前記第2の厚さは、約6mmであることを特徴とする請求項3記載のサムターンキャップ。
- 前記中間部材及び前記外側部材は、嵌合方向に沿った軸回りの角度を変えて嵌合すべく互いに構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のサムターンキャップ。
- 前記内側、中間、及び外側部材は、それぞれの内側に嵌合するサムターン又は他の部材を固定するネジを有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のサムターンキャップ。
- 前記内側、中間、及び外側部材は、それぞれの内側に嵌合するサムターン又は他の部材と締まり嵌めにて嵌合すべくなしてあることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のサムターンキャップ。
- ドア錠の室内側サムターンに外装されるサムターンキャップを備え、施錠状態にあるサムターンとサムターンキャップとの一体回転を阻止すべく該サムターンキャップを係止することによって、ドア錠のピッキングを防止するピッキング防止装置において、
前記サムターンキャップは、
それぞれ嵌合部を有し、該嵌合部により互いに入れ子式に嵌合する内側、中間、及び外側部材を備え、
前記外側部材を単独で、又は前記外側部材と前記中間部材との組み合わせを、又はすべての部材の組み合わせを、最も内側に位置する部材の嵌合部により、前記サムターンに外嵌すべくなしてある
ことを特徴とするピッキング防止装置。 - 前記サムターンキャップは、異なる種類のサムターンに外嵌すべくなしてある複数種類の内側部材を備え、該複数種類の内側部材の中から何れかを前記中間部材と選択的に組み合わせることができるように構成してあることを特徴とする請求項8記載のピッキング防止装置。
- 前記複数種類の内側部材は、厚さの異なるサムターンに外嵌すべくなしてあることを特徴とする請求項9記載のピッキング防止装置。
- 前記複数種類の内側部材は、第1の厚さのサムターンに外嵌すべくなしてあるものと、前記第1の厚さよりも厚い第2の厚さのサムターンに外嵌すべくなしてあるものとの2種類からなり、前記第1の厚さは、約3mmであり、前記第2の厚さは、約6mmであることを特徴とする請求項10記載のピッキング防止装置。
- 前記中間部材及び前記外側部材は、嵌合方向に沿った軸回りの角度を変えて嵌合すべく互いに構成されていることを特徴とする請求項8乃至11の何れかに記載のピッキング防止装置。
- 前記内側、中間、及び外側部材は、それぞれの内側に嵌合するサムターン又は他の部材を固定するネジを有することを特徴とする請求項8乃至12の何れかに記載のピッキング防止装置。
- 前記内側、中間、及び外側部材は、それぞれの内側に嵌合するサムターン又は他の部材と締まり嵌めにて嵌合すべくなしてあることを特徴とする請求項8乃至12の何れかに記載のピッキング防止装置。
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JP2002294900A JP2004131949A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | サムターンキャップ及びそれを備えたピッキング防止装置 |
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JP2002294900A Pending JP2004131949A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | サムターンキャップ及びそれを備えたピッキング防止装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016145480A (ja) * | 2015-02-06 | 2016-08-12 | 株式会社フォトシンス | 開錠補助装置及びその付属部材 |
-
2002
- 2002-10-08 JP JP2002294900A patent/JP2004131949A/ja active Pending
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