JP2004131561A - 光カチオン重合性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】光カチオン重合性組成物、詳しくはカチオン重合性基を含む化合物を重合あるいは硬化させて用いるための組成物であって、吸湿による反応阻害が抑制され、少々吸湿しても硬化性が損なわれない光カチオン重合性組成物を提供する。
【解決手段】光カチオン重合性物質、光カチオン触媒及び酸性もしくは中性の吸湿性無機微粒子(例、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト)からなる光カチオン重合性組成物。吸湿性無機微粒子が光カチオン重合性物質100重量部に対して0.01〜5重量部である上記の光カチオン重合性組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】光カチオン重合性物質、光カチオン触媒及び酸性もしくは中性の吸湿性無機微粒子(例、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト)からなる光カチオン重合性組成物。吸湿性無機微粒子が光カチオン重合性物質100重量部に対して0.01〜5重量部である上記の光カチオン重合性組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光カチオン重合性組成物に関し、詳しくは、光を照射することによりカチオン重合し硬化する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
光を照射することでカチオン重合性基を含む化合物を重合あるいは硬化させる光カチオン触媒は、従来よりアリールジアゾニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、ベンジルスルフォニウム塩、ホスフォニウム塩等が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このような化合物が、カチオン重合性基を含む化合物、例えばエポキシ樹脂、オキセタン誘導体、ビニルエーテル誘導体の光重合あるいは光硬化に利用されている。このような硬化反応は、工業的には塗料、コーティング、ワニス、複合材マトリックス、光造形、接着剤、粘着剤分野での利用が検討されている。特にエポキシ樹脂は、その硬化物が密着性、耐クリープ性、耐光性、耐水性、耐熱性、耐薬品性等に優れていることから、上記のような工業用途で検討されてきた(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭61−174221号公報
【非特許文献1】
垣内弘編者、新エポキシ樹脂、昭晃堂、1985年初版
【0004】
光カチオン重合性樹脂の特徴としては光を照射した後にも硬化もしくは重合が進行するため、接着分野では不透明材料同士の貼り合わせが可能なことである。しかし、光カチオン重合性樹脂の問題点として、吸湿(含有水分)の影響により反応性が低下し、硬化物の物性が低下するという問題がある。この問題点は上記樹脂の粘度が低くなればなるほど顕著に現れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の実情に着目してなされたものであり、本発明の目的は、光カチオン重合性組成物、詳しくはカチオン重合性基を含む化合物を重合あるいは硬化させて用いるための組成物であって、吸湿による反応阻害が抑制され、少々吸湿しても硬化性が損なわれない光カチオン重合性組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明による光カチオン重合性組成物は、光カチオン重合性物質、光カチオン触媒及び酸性もしくは中性の吸湿性無機微粒子からなることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明による光カチオン重合性組成物は、上記請求項1記載の光カチオン重合性組成物において、上記の吸湿性無機微粒子が光カチオン重合性物質100重量部に対して0.01〜5重量部であることを特徴とする。
【0008】
本発明における光カチオン重合性物質としては、光カチオン触媒により硬化反応を起こす化合物であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノール−エポキシ樹脂、フェノリックエポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールエポキシ樹脂、ポリアルキレングリコールエポキシ樹脂、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物、イソプロピルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物、オキセタン等が挙げられる。上記化合物の内、硬化性、硬化後の物性、接着性等からエポキシ化合物が好適に用いられる。上記化合物は単独で用いられても良いし2種以上が併用されて用いられても良い。
【0009】
本発明における光カチオン触媒とは、光によってカチオン種を発生させる触媒のことであり、光照射によってカチオン種を発生させる化合物であれば特に限定されないが、一般的にはオニウム塩が良く知られている。オニウム塩としてはルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨウドニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩などが挙げられる。具体的には、例えば、四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩、六フッ化リンのジフェニルヨウドニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨウドニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩等が挙げられる。しかし、これらに限定されることなく光照射によってカチオン種を発生させる化合物であれば用いることができる。
【0010】
更に、上記カチオン触媒として、例えば、イルガキュアー261(チバガイギー社製)、オプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171(旭電化工業社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトリック社製)、CD−1012(サートマー社製)、サンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L(三新化学工業社製)、CI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481(日本曹達社製)、RHODORSIL PHOTOINITIATOR2074(ローヌ・プーラン社製)、UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)、BBI−103、MPI−103、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103(ミドリ化学社製)等の市販品を挙げることができる。
【0011】
上記光カチオン触媒の量は、光カチオン重合性物質100重量部に対して0.02〜20重量部が好ましい。光カチオン触媒が0. 02重量部より少ないと十分な反応が起こり難くなり、20重量部を越えて配合すると可使時間と硬化速度の両立が困難となり易い。さらに好ましくは0. 1〜10重量部である。
【0012】
本発明における吸湿性無機微粒子とは、組成物が吸湿した水分を捕捉する作用を有する酸性もしくは中性の無機質の微粒子を指す。吸湿性無機微粒子が塩基性であると、カチオン重合を阻害し、組成物の硬化もしくは重合が起こりにくくなるので、本発明では酸性もしくは中性であるものに限定される。上記酸性の微粒子とは、水溶液中で水素イオンを生じ、塩基を中和して塩を生ずるような微粒子だけでなく、水以外の溶媒系での反応に適用しうる電子対受容体として定義されるルイス酸、溶媒系に関係なくプロトン供与体として定義されるブレンステッド酸となる無機質の微粒子も指すものとする。また、上記塩基性の微粒子とは、水溶液中において解離して水酸イオンを生じ、酸を中和して塩を生ずるような微粒子だけでなく、電子対供与体として定義されるルイス塩基、プロトン受容体として定義されるブレンステッド塩基となる無機質の微粒子も指すものとする。上記中性の微粒子とは、酸性でも塩基性でもない性質の微粒子を指し、溶液についてはpH値が7のものを指すものとする。このような吸湿性無機微粒子としては、酸性のものとしては、例えば、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、シリカゲルなどが挙げられ、中性のものとしては、例えば、塩化カルシウム、ゼオライト等が挙げられる。これらの物質は、単独で使用されてもよいし、2種以上併用されてもよい。
【0013】
上記吸湿性無機微粒子の粒子径は、特に制限されないが、100nm〜400μmが好ましい。100nm以下の場合は均一に分散させるのが困難で塊になりやすく、外観が悪くなったり、光の透過性が低下してしまうことがある。400μmを超えると紫外線が深部まで到達せず、本発明の組成物の硬化が不完全となり易くなることがある。
【0014】
本発明において、上記吸湿性無機微粒子の配合割合は、光カチオン重合性物質100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。0.01重量部より少なくなると十分な脱水効果が得られず、5重量部を越えて配合すると硬化物の物性に影響を及ぼすことがある。より好ましくは1〜5重量部である。
【0015】
本発明の光カチオン重合性組成物は、少なくとも300nm〜800nmの波長成分を含む光に感光することが好ましい。300nm未満の波長成分のみを含む光に感光すると、組成物からなる塗膜が厚い場合に、光照射面に皮張りが生じやすくなると共に、表層から深部にかけて硬化が不均一に起こってしまう。一方、800nmを越える波長成分のみを含む光に感光すると、皮張りが生じにくく深部にかけ均一に硬化するものの、十分な光エネルギーを与えることが難しくなり、十分な硬化速度が期待できなくなる。
【0016】
上記光照射に用いられる光源ランプとしては、光波長300nm〜800nmに分布を有するものが用いられ、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、蛍光灯等が用いられる。この場合において、表層だけの硬化を防ぎ、内部硬化を実現するために300nm以下の光をカットして照射することもできる。さらに太陽光のような自然光を用いても良い。
【0017】
本発明の光カチオン重合性組成物の粘度は特に制限されないが、施工性、製造の容易さ等から、0℃以上40℃以下の何れかの温度において0.001〜1000Pa・sであることが好ましい。該粘度が0.001Pa・s未満の場合、流動性が高くなりすぎ、塗布すべきでない箇所まで流れやすくなり、作業性に劣る。一方、該粘度が1000Pa・sを越えると流動性が著しく劣るようになり、塗布作業が困難となる。より好ましくは1〜100Pa・sである。
【0018】
本発明の光カチオン重合性組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で公知の粘着付与樹脂、増量剤等を適宜配合してもよい。例えば、粘着性を付与する目的で、ロジン系樹脂、変性ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、C5系またはC9系の石油系樹脂、クマロン樹脂等の粘着付与樹脂を添加してもよい。また、塗工性能を向上させるために、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム等の増粘剤、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン等のチキソトロープ剤、炭酸カルシウム、クレー等の増量剤、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリビニルエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、ワックス類等の調整剤を添加しても良い。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、以下の実施例で用いたエピコート828、デナコールEX145はエポキシ樹脂、UVI−6990は光カチオン触媒である。
【0020】
実施例1
約200mLのサンプル瓶内で、エピコート828(油化シェルエポキシ社製)80g、デナコールEX145(ナガセケムテック社製)20g、UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)3g、硫酸バリウム(和光純薬社製)5gを混合し、光カチオン重合性組成物を得た。
【0021】
実施例2
硫酸バリウムを硫酸マグネシウムに代えたことの他は、実施例1と同様にして光カチオン重合性組成物を得た。
【0022】
比較例1
硫酸バリウムを除くことの他は、実施例1と同様にして光カチオン重合性組成物を得た。
【0023】
比較例2
硫酸バリウムを酸化マグネシウムに代えたことの他は、実施例1と同様にして光カチオン重合性組成物を得た。
【0024】
評価
実施例及び比較例で得られた光カチオン重合性組成物について、下記の評価を行なうことにより、吸湿性無機微粒子の光カチオン反応への影響を評価し、結果を表1に示した。
【0025】
硬化性の測定
上記実施例及び比較例で調製した光カチオン重合性組成物を25℃、60%RH雰囲気下で72時間放置して吸湿させた後、ガラス板上に厚さ約100μmに塗布し、紫外線を照射(365nmの強度が1500mJ/cm2 )し、硬化物を作製し、その硬化性を目視にて観察した。良好に硬化するものを○、硬化不良のものを×で表した。
【0026】
ゲル分率の測定
上記方法で得た硬化物を約0.5g秤量(以下、秤量重量という)し、25℃でメチルエチルケトン100mlに24時間浸漬した後、メチルエチルケトン溶液を除去し、メチルエチルケトン非溶解分を乾燥させた。乾燥後の重量を秤量重量で割った値を百分率としたものをゲル分率とした。このようにして得られるゲル分率は、組成物の吸湿度合いを反映するものである。すなわち、組成物の吸湿度合いが高ければ硬化阻害が起こってゲル分率が低くなり、吸湿度合いが低ければ硬化阻害が起こらずゲル分率は高くなる。
【0027】
【表1】
【0028】
実施例の光カチオン重合性組成物では、吸湿性無機微粒子が配合されているので、吸湿が抑制されることによって高ゲル分率となり、吸湿性無機微粒子が配合されていない比較例1の場合にはゲル分率が低くなった。また、吸湿性無機微粒子として塩基性である酸化マグネシウムを用いた比較例2の場合は、反応阻害のため、硬化さえ進行しなかった。
【0029】
【発明の効果】
本発明の光カチオン重合性組成物は、酸性もしくは中性の吸湿性無機微粒子が含有されているため、吸湿による反応阻害が抑制され、少々吸湿しても硬化性が損なわれない。従って、本発明の光カチオン重合性組成物は、接着剤、塗料、コーティング剤、シール剤等に好適に使用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光カチオン重合性組成物に関し、詳しくは、光を照射することによりカチオン重合し硬化する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
光を照射することでカチオン重合性基を含む化合物を重合あるいは硬化させる光カチオン触媒は、従来よりアリールジアゾニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、ベンジルスルフォニウム塩、ホスフォニウム塩等が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このような化合物が、カチオン重合性基を含む化合物、例えばエポキシ樹脂、オキセタン誘導体、ビニルエーテル誘導体の光重合あるいは光硬化に利用されている。このような硬化反応は、工業的には塗料、コーティング、ワニス、複合材マトリックス、光造形、接着剤、粘着剤分野での利用が検討されている。特にエポキシ樹脂は、その硬化物が密着性、耐クリープ性、耐光性、耐水性、耐熱性、耐薬品性等に優れていることから、上記のような工業用途で検討されてきた(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭61−174221号公報
【非特許文献1】
垣内弘編者、新エポキシ樹脂、昭晃堂、1985年初版
【0004】
光カチオン重合性樹脂の特徴としては光を照射した後にも硬化もしくは重合が進行するため、接着分野では不透明材料同士の貼り合わせが可能なことである。しかし、光カチオン重合性樹脂の問題点として、吸湿(含有水分)の影響により反応性が低下し、硬化物の物性が低下するという問題がある。この問題点は上記樹脂の粘度が低くなればなるほど顕著に現れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の実情に着目してなされたものであり、本発明の目的は、光カチオン重合性組成物、詳しくはカチオン重合性基を含む化合物を重合あるいは硬化させて用いるための組成物であって、吸湿による反応阻害が抑制され、少々吸湿しても硬化性が損なわれない光カチオン重合性組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明による光カチオン重合性組成物は、光カチオン重合性物質、光カチオン触媒及び酸性もしくは中性の吸湿性無機微粒子からなることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明による光カチオン重合性組成物は、上記請求項1記載の光カチオン重合性組成物において、上記の吸湿性無機微粒子が光カチオン重合性物質100重量部に対して0.01〜5重量部であることを特徴とする。
【0008】
本発明における光カチオン重合性物質としては、光カチオン触媒により硬化反応を起こす化合物であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノール−エポキシ樹脂、フェノリックエポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールエポキシ樹脂、ポリアルキレングリコールエポキシ樹脂、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物、イソプロピルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物、オキセタン等が挙げられる。上記化合物の内、硬化性、硬化後の物性、接着性等からエポキシ化合物が好適に用いられる。上記化合物は単独で用いられても良いし2種以上が併用されて用いられても良い。
【0009】
本発明における光カチオン触媒とは、光によってカチオン種を発生させる触媒のことであり、光照射によってカチオン種を発生させる化合物であれば特に限定されないが、一般的にはオニウム塩が良く知られている。オニウム塩としてはルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨウドニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩などが挙げられる。具体的には、例えば、四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩、六フッ化リンのジフェニルヨウドニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨウドニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩等が挙げられる。しかし、これらに限定されることなく光照射によってカチオン種を発生させる化合物であれば用いることができる。
【0010】
更に、上記カチオン触媒として、例えば、イルガキュアー261(チバガイギー社製)、オプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171(旭電化工業社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトリック社製)、CD−1012(サートマー社製)、サンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L(三新化学工業社製)、CI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481(日本曹達社製)、RHODORSIL PHOTOINITIATOR2074(ローヌ・プーラン社製)、UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)、BBI−103、MPI−103、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103(ミドリ化学社製)等の市販品を挙げることができる。
【0011】
上記光カチオン触媒の量は、光カチオン重合性物質100重量部に対して0.02〜20重量部が好ましい。光カチオン触媒が0. 02重量部より少ないと十分な反応が起こり難くなり、20重量部を越えて配合すると可使時間と硬化速度の両立が困難となり易い。さらに好ましくは0. 1〜10重量部である。
【0012】
本発明における吸湿性無機微粒子とは、組成物が吸湿した水分を捕捉する作用を有する酸性もしくは中性の無機質の微粒子を指す。吸湿性無機微粒子が塩基性であると、カチオン重合を阻害し、組成物の硬化もしくは重合が起こりにくくなるので、本発明では酸性もしくは中性であるものに限定される。上記酸性の微粒子とは、水溶液中で水素イオンを生じ、塩基を中和して塩を生ずるような微粒子だけでなく、水以外の溶媒系での反応に適用しうる電子対受容体として定義されるルイス酸、溶媒系に関係なくプロトン供与体として定義されるブレンステッド酸となる無機質の微粒子も指すものとする。また、上記塩基性の微粒子とは、水溶液中において解離して水酸イオンを生じ、酸を中和して塩を生ずるような微粒子だけでなく、電子対供与体として定義されるルイス塩基、プロトン受容体として定義されるブレンステッド塩基となる無機質の微粒子も指すものとする。上記中性の微粒子とは、酸性でも塩基性でもない性質の微粒子を指し、溶液についてはpH値が7のものを指すものとする。このような吸湿性無機微粒子としては、酸性のものとしては、例えば、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、シリカゲルなどが挙げられ、中性のものとしては、例えば、塩化カルシウム、ゼオライト等が挙げられる。これらの物質は、単独で使用されてもよいし、2種以上併用されてもよい。
【0013】
上記吸湿性無機微粒子の粒子径は、特に制限されないが、100nm〜400μmが好ましい。100nm以下の場合は均一に分散させるのが困難で塊になりやすく、外観が悪くなったり、光の透過性が低下してしまうことがある。400μmを超えると紫外線が深部まで到達せず、本発明の組成物の硬化が不完全となり易くなることがある。
【0014】
本発明において、上記吸湿性無機微粒子の配合割合は、光カチオン重合性物質100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。0.01重量部より少なくなると十分な脱水効果が得られず、5重量部を越えて配合すると硬化物の物性に影響を及ぼすことがある。より好ましくは1〜5重量部である。
【0015】
本発明の光カチオン重合性組成物は、少なくとも300nm〜800nmの波長成分を含む光に感光することが好ましい。300nm未満の波長成分のみを含む光に感光すると、組成物からなる塗膜が厚い場合に、光照射面に皮張りが生じやすくなると共に、表層から深部にかけて硬化が不均一に起こってしまう。一方、800nmを越える波長成分のみを含む光に感光すると、皮張りが生じにくく深部にかけ均一に硬化するものの、十分な光エネルギーを与えることが難しくなり、十分な硬化速度が期待できなくなる。
【0016】
上記光照射に用いられる光源ランプとしては、光波長300nm〜800nmに分布を有するものが用いられ、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、蛍光灯等が用いられる。この場合において、表層だけの硬化を防ぎ、内部硬化を実現するために300nm以下の光をカットして照射することもできる。さらに太陽光のような自然光を用いても良い。
【0017】
本発明の光カチオン重合性組成物の粘度は特に制限されないが、施工性、製造の容易さ等から、0℃以上40℃以下の何れかの温度において0.001〜1000Pa・sであることが好ましい。該粘度が0.001Pa・s未満の場合、流動性が高くなりすぎ、塗布すべきでない箇所まで流れやすくなり、作業性に劣る。一方、該粘度が1000Pa・sを越えると流動性が著しく劣るようになり、塗布作業が困難となる。より好ましくは1〜100Pa・sである。
【0018】
本発明の光カチオン重合性組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で公知の粘着付与樹脂、増量剤等を適宜配合してもよい。例えば、粘着性を付与する目的で、ロジン系樹脂、変性ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、C5系またはC9系の石油系樹脂、クマロン樹脂等の粘着付与樹脂を添加してもよい。また、塗工性能を向上させるために、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム等の増粘剤、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン等のチキソトロープ剤、炭酸カルシウム、クレー等の増量剤、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリビニルエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、ワックス類等の調整剤を添加しても良い。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、以下の実施例で用いたエピコート828、デナコールEX145はエポキシ樹脂、UVI−6990は光カチオン触媒である。
【0020】
実施例1
約200mLのサンプル瓶内で、エピコート828(油化シェルエポキシ社製)80g、デナコールEX145(ナガセケムテック社製)20g、UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)3g、硫酸バリウム(和光純薬社製)5gを混合し、光カチオン重合性組成物を得た。
【0021】
実施例2
硫酸バリウムを硫酸マグネシウムに代えたことの他は、実施例1と同様にして光カチオン重合性組成物を得た。
【0022】
比較例1
硫酸バリウムを除くことの他は、実施例1と同様にして光カチオン重合性組成物を得た。
【0023】
比較例2
硫酸バリウムを酸化マグネシウムに代えたことの他は、実施例1と同様にして光カチオン重合性組成物を得た。
【0024】
評価
実施例及び比較例で得られた光カチオン重合性組成物について、下記の評価を行なうことにより、吸湿性無機微粒子の光カチオン反応への影響を評価し、結果を表1に示した。
【0025】
硬化性の測定
上記実施例及び比較例で調製した光カチオン重合性組成物を25℃、60%RH雰囲気下で72時間放置して吸湿させた後、ガラス板上に厚さ約100μmに塗布し、紫外線を照射(365nmの強度が1500mJ/cm2 )し、硬化物を作製し、その硬化性を目視にて観察した。良好に硬化するものを○、硬化不良のものを×で表した。
【0026】
ゲル分率の測定
上記方法で得た硬化物を約0.5g秤量(以下、秤量重量という)し、25℃でメチルエチルケトン100mlに24時間浸漬した後、メチルエチルケトン溶液を除去し、メチルエチルケトン非溶解分を乾燥させた。乾燥後の重量を秤量重量で割った値を百分率としたものをゲル分率とした。このようにして得られるゲル分率は、組成物の吸湿度合いを反映するものである。すなわち、組成物の吸湿度合いが高ければ硬化阻害が起こってゲル分率が低くなり、吸湿度合いが低ければ硬化阻害が起こらずゲル分率は高くなる。
【0027】
【表1】
【0028】
実施例の光カチオン重合性組成物では、吸湿性無機微粒子が配合されているので、吸湿が抑制されることによって高ゲル分率となり、吸湿性無機微粒子が配合されていない比較例1の場合にはゲル分率が低くなった。また、吸湿性無機微粒子として塩基性である酸化マグネシウムを用いた比較例2の場合は、反応阻害のため、硬化さえ進行しなかった。
【0029】
【発明の効果】
本発明の光カチオン重合性組成物は、酸性もしくは中性の吸湿性無機微粒子が含有されているため、吸湿による反応阻害が抑制され、少々吸湿しても硬化性が損なわれない。従って、本発明の光カチオン重合性組成物は、接着剤、塗料、コーティング剤、シール剤等に好適に使用できる。
Claims (2)
- 光カチオン重合性物質、光カチオン触媒及び酸性もしくは中性の吸湿性無機微粒子からなることを特徴とする光カチオン重合性組成物。
- 吸湿性無機微粒子が光カチオン重合性物質100重量部に対して0.01〜5重量部であることを特徴とする請求項1記載の光カチオン重合性組成物。
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---|---|---|---|
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Cited By (3)
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JP2006276614A (ja) * | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Toppan Printing Co Ltd | カラーフィルタ |
JP2006284674A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Toppan Printing Co Ltd | カラーフィルタ |
JP2017512235A (ja) * | 2014-02-27 | 2017-05-18 | ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフトWacker Chemie AG | 高い吸水能力を有する付加架橋性シリコーン組成物 |
-
2002
- 2002-10-09 JP JP2002296434A patent/JP2004131561A/ja not_active Withdrawn
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