JP2004131123A - 内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶 - Google Patents

内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶 Download PDF

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Abstract

【課題】加工密着性、耐食性に優れた内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶を提供する。
【解決手段】缶内面となる側のアルミニウム板上にトータルクロム量で5〜40mg/mのりん酸クロメート処理膜を形成し、缶外面となる側のアルミニウム板上にトータルクロム量で8mg/m2 以下のりん酸クロメート処理膜を形成し、缶内面となる側に飽和ポリエステル樹脂フィルムを被覆し、ブランクに打ち抜き絞り加工によりカップを成形し、前記カップ側壁部の缶開口端部近傍をTg〜Tm+50℃に加熱処理することにより前記樹脂フィルムをアルミニウム板に融着させた後、再絞りしごき加工することを特徴とする内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジュース、アルコール、水等の飲料を保持させるための樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶に関し、より詳しくは、内面に樹脂被覆(ラミネート)されたアルミニウム絞りしごき缶であって、樹脂フィルムの密着性、耐食性及び外面光沢性に優れた内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、片面樹脂被覆金属板を絞り・しごき成形した内面樹脂被覆絞りしごき缶が提案されている。この内面樹脂被覆絞りしごき缶は、予め金属板の缶内面になる表面に樹脂層を被覆させた片面樹脂被覆金属板にルブリカントを塗布したのち、樹脂被覆面をカップ内面側にして絞り成形し、そのカップを、クーラントをかけつつ再絞りと数段のしごき加工を行いカップ状に成形し、洗浄・乾燥、外面印刷、ネッキング、フランジングを行い製造される。
この内面樹脂被覆絞りしごき缶は、その内部に内容物が充填された後、カップ状の開口部の周縁を別に成形された円盤状等の蓋部の周縁と互いに重ね合わせて機械的に巻き締めて接合される。
アルミニウム板を基本とする内面樹脂被覆絞りしごき缶において、耐衝撃性を改善した2ピース缶には、例えば特許2707965号公報などがある。
また、EP 0469774 B1では、ウオッシャー後のポリマーフィルム剥離防止のために、陽極酸化皮膜やりん酸クロム皮膜を処理したアルミニウム板を用い、しごき成形後かつ洗浄前に150℃〜樹脂結晶融点の温度で熱処理する方法が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特許2707965号公報
【0004】
【特許文献2】
EP 0469774 B1公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の特許2707965号公報記載の内面樹脂被覆絞りしごき缶は、ウオッシャーオーブン後での樹脂に剥離が生じるという問題があった。
また、EP 0469774 B1記載の方法では、成形直後およびウオッシャーオーブン通過後に樹脂剥離するカップが頻発し完全ではないこと、付着したクーラント中水分の影響により加熱が不均一になること、外面に付着したクーラントが外面に固着し洗浄ムラにより外面光沢が不良となること、などの問題があり、実用化されるには到っていない。
さらに、前記した缶開口端部の樹脂の剥離を防止するため、従来のDI缶成形用のアルミニウム板に、表面処理を施した後、缶内面側には樹脂を被覆し、缶外面側は表面処理層のままであると、缶成形後の缶外面側壁に色ムラが発生し缶の外観性を損なうという新たな問題点が発生した。
この理由として考えられるのは、アイアニング成形時に缶外面に施されている表面処理皮膜がしごかれて破壊されてまばらに存在するようになり、表面処理皮膜のないアルミニウム金属が露出するようになり、その露出金属部分が缶体ウォッシャー時の脱脂エッチング工程で優先的にエッチングされるため、ムラ状に見えるためであると考えられる。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、飲料を保持させるための内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶及びその製造方法に関し、容器加工後の缶内面樹脂皮膜が剥離しない、フィルム密着性、耐衝撃性を有するとともに缶外面の外観光沢性に優れた内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶は、内面に樹脂被覆されたアルミニウム絞りしごき缶であって、
前記缶の内面側が、アルミニウム板上にりん酸クロメート処理膜が形成され、その上に飽和ポリエステル樹脂が被覆されており、
缶の外面側が、トータルクロム量で8mg/m2 以下のりん酸クロメート処理膜がアルミニウム板上に形成されたものであることを特徴とする。
請求項2の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶は、前記缶内面側に形成されたりん酸クロメート処理が、トータルクロム量で5〜40mg/m2 であることを特徴とする。
請求項3の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶は、前記飽和ポリエステル樹脂が、イソフタル酸共重合の結晶性ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする。
請求項4の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶は、前記飽和ポリエステル樹脂が、アイオノマー樹脂とのブレンドであることを特徴とする。
本発明の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶の製造方法は、缶内面となる側のアルミニウム板上にトータルクロム量で5〜40mg/m2 のりん酸クロメート処理膜を形成し、缶外面となる側のアルミニウム板上にトータルクロム量で8mg/m2 以下のりん酸クロメート処理膜を形成し、缶内面となる側に飽和ポリエステル樹脂フィルムを被覆し、ブランクに打ち抜き絞り加工によりカップを成形し、前記カップ側壁部の缶開口端部近傍をTg〜Tm+50℃に加熱処理することにより前記樹脂フィルムをアルミニウム板に融着させた後、再絞りしごき加工することを特徴とする。
【0008】
すなわち、内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶は一般に、片面樹脂被覆アルミニウムからまず絞りカップを作成し、その後、再絞り加工と数段のしごき加工を1ストローク加工で行って成形され、次いで缶高さを合わせるべくトリミングされ、次に付着したルブリカントやクーラントを洗浄・水洗され、更に脱イオン水で洗浄され、その水分を乾燥するための乾燥オーブンで、例えばピーク温度約220℃、トータル加熱約2分で乾燥処理される。
その際に、絞りしごき加工後、あるいはトリミング処理し、ウオッシャーオーブン通過後、さらにはその後のネッキング・フランジング加工後に缶開口端部を起点にした樹脂剥離が生じることがある。
この剥離の機構としては、絞り加工によってカップ側壁は、塑性変形した金属部分に対し、歪が大きく残留した樹脂層の組合せになり、その界面に剥離に影響するせん断力が発生し、このカップがさらに再絞り・しごき加工を受け、樹脂の歪はさらに大きくなり、このせん断力はさらに増加し、クーラントの水分による界面密着力低下効果と合わさって、金属と樹脂の密着性が劣化し、剥離し易い缶開口端部から、樹脂剥離が進行するものと考えられ、密着性の劣化したカップ側壁をトリミングした場合に、樹脂が界面で剥離することがある。
また、トリミングされたカップがウオッシャーオーブンを通過する時、歪をうけた状態の樹脂は、高温で分子が動き、歪を緩和すべく分子移動するとともに、樹脂結晶化がおこり、体積縮小挙動がおこるため、金属との界面にせん断力が働き金属との剥離となると思われる。このとき付着している水分は、両者の密着力を低下させるように作用し、剥離を助長すると考えられる。
この段階で剥離とならなかった場合であっても、密着力が上記の理由で低下した場合、次工程のネッキング、フランジングで更に加工歪をうけるため、最終的にエッジから樹脂が剥離することもある。
本発明においては、このような問題となる樹脂剥離を、次の手段で解決した。
一つは、アルミニウム板と樹脂との密着性を向上させるために、アルミニウム板表面に特定の厚みのりん酸クロム系の表面処理を行ったことである。全クロム量として5mg/m2 未満では皮膜のカバレッジが悪くアルミニウム面が露出しているためこの効果はないが、5mg/m2 以上であれば、成形後であっても樹脂とアルミ板との密着性は向上することが分かった。皮膜量が全クロム量で40mg/m2 を超えるとりん酸クロム皮膜自体の凝集破壊がおこるため密着性が低下し、またコスト的にも不利となる。
他の対策としては、最初の絞りカップを成形した後、カップエッジから約1〜5mmの部分を樹脂のTgから“Tm+50℃”の範囲の温度で加熱処理することである。絞りカップのこの部分は、トリミング工程でのトリム部に相当する。被覆樹脂は熱可塑性樹脂であるため、この処理により、剥離の起点になるトリミング相当箇所の、絞り成形による樹脂歪は解消され、材料的には歪のない状態になり、更なる再絞り・しごき加工後の総合歪が緩和される。これにより成形後剥離・トリミング後剥離・ウオッシャーオーブン後剥離・ネックフランジング後剥離は、いずれも起こり難くなる。しごき成形後に加熱処理した場合に発生した問題点すなわち、しごき成形後(すなわち加熱処理前)剥離・外面の変色による外観不良は絞りカップで処理することによって防止できることが分かった。処理温度がTg未満では低温すぎて樹脂分子が動かないため歪緩和の効果がなく、“Tm+50℃”を超えると高温すぎて樹脂の酸化劣化や分解がおこり樹脂の加工性が低下する。
さらに使用する樹脂にはアイオノマーを添加したものを用いるのが好ましい。アイオノマー樹脂は、低温での加工性、耐衝撃性、金属密着性を向上させる。アイオノマー樹脂は1〜25重量%の含有がよく、1重量%未満では密着性向上の効果がなく、25重量%を超えると均一な樹脂皮膜形成が困難になるため良くない。
また使用する樹脂は、イソフタル酸共重合のポリエチレンテレフタレート樹脂にすることが好ましい。これにより、結晶性を抑え、ウオッシャーオーブンでの結晶化による収縮量を低下させ、密着性劣化を抑制することができる。なお、樹脂の結晶性は、示差熱分析で樹脂を一旦溶融後、急冷させたのち、昇温速度20℃/分の条件での冷結晶化熱量・融解熱量がいずれも30J/g以下にした。これ以上の結晶能力では、結晶化による剥離を防止しにくい。
以上の対策をもって、安定的にウオッシャオーブン後、さらにはネッキング・フランジング後の樹脂剥離を防止することができる。
【0009】
(外面光沢ムラ対策)
アルミニウム板の表面処理は、コイルの状態で通板し上下面から薬液をスプレーし、化成反応して処理するため、両面に同一皮膜量に処理することが一般であるが、上記光沢ムラを防止するために、外面の適正皮膜量を検討し、0〜8mg/m2 であれば、外面光沢ムラが発生せず、また外面印刷インキとの密着性も良好なことが分かった。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態を説明する内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶の模式断面図である。図1において、10は内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶、11は内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶10の基体となるアルミニウム板、12は内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶10の内面側に被覆された内面側樹脂層である。なお、缶外面側の再外表面には、図示しない印刷インキ層および/または仕上げニス層が存在してもよい。
【0012】
本発明の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶10の基体となるアルミニウム板としては、各種アルミ材、例えば3004、3104等が使用される。アルミ材としては、例えば純アルミニウムやアルミニウムと他の合金用金属、特に銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)等の少量を含むアルミニウム合金を用いることができる。
【0013】
含有されるCu成分は、0〜0.8%(%は重量基準、以下同様)、特に0.05〜0.4%の範囲であることが耐食性の点より好ましい。また、Mg 成分は0〜2.8%、の範囲であることが耐食性の点より好ましい。さらに、Mn成分は0〜1.5%が加工性の点より望ましい。その他、Fe:0〜0.5%、Si:0〜0.5%を含んでいても良い。
【0014】
アルミニウム板の金属板としての厚みは、成形後の缶強度、成形性の観点から一般に0.20〜1.00mmの範囲内にあるのがよい。
【0015】
(表面処理)
前述したように、前記アルミニウム板には、その表面に表面処理を施し被覆樹脂との加工密着性を高める必要がある。
【0016】
表面処理としては、前記アルミ材を冷間圧延し、りん酸クロム処理、その他の有機・無機系の表面処理を浸漬またはスプレー処理で施すことができる。また、塗布型の表面処理も用いることができる。
アルミニウム合金板にりん酸クロム処理により処理皮膜を形成させる場合、積層される樹脂フィルムの加工密着性の観点から、クロム量は、トータルクロムとして5〜40mg/m2 が好ましく、15〜30mg/m2 の範囲がより好ましい。
りん酸クロム処理等の表面処理を行わなかった場合には、樹脂フィルムの加工密着性が悪く、成形・洗浄後に剥離を生じる。金属及び酸化物を含んだトータルクロムの量が5mg/m2 未満の場合にも、樹脂フィルムの加工密着性が悪く、剥離を生じる場合が多く好ましくない。また、トータルクロムの量が40mg/m2 を超える場合には、経済的観点、凝集破壊発生などの観点から好ましくない。
一方、樹脂フィルムを被覆しない側のりん酸クロム処理におけるトータルクロム量は、8mg/m22 以下とする。
外面トータルクロム量8mg/m2 を超えると色ムラを生じたり金属光沢色調が失われる。缶の外観色調として金属光沢は重要であるからである。
【0017】
表面処理被膜の形成方法として一例を挙げると、りん酸クロム処理膜の形成は、それ自体公知の手段、例えば、アルミニウム板を、苛性ソーダで脱脂と若干のエッチングを行なった後、CrO3:4g/L、H3PO4:12g/L、F:0.65g/L、残りは水のような処理液に浸漬する化学処理により行われる。
【0018】
(被覆樹脂膜)
表面処理を施したアルミニウム板上に缶内面側となる樹脂層12を形成させる。
【0019】
缶内面側となる樹脂層12は、[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層と、[B](a)飽和ポリエステル樹脂、および(b) アイオノマー樹脂からなる樹脂組成物層との2層からなる樹脂被膜で構成されている。それぞれの樹脂特性を生かした、表層[A]と下層[B]とから構成される。
表層[A]には耐衝撃性の高い樹脂層を積層することができ、この場合は、耐疵つき性、フレーバー吸着性を向上させることができる。
下層[B]はアルミニウム板11と接する層であり、アルミニウム板との密着性が良い樹脂層を積層することが出来る。
【0020】
本発明で用いられる[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂および(a) 飽和ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とから誘導される構成単位から形成されている。
【0021】
このうち[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂は、特定の2種のジカルボン酸から誘導されるジカルボン酸成分を含む共重合ポリエステルである。本発明で用いられる[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂を形成しているジカルボン酸成分は、ジカルボン酸成分を100モル%としたときに、テレフタル酸99〜80モル%、好ましくは95〜85モル%と、イソフタル酸1〜20モル%、好ましくは5〜15モル%とからなっている。
【0022】
また[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂を形成しているジヒドロキシ成分としては、具体的には、エチレングリコール、トリメチレングリコール(プロピレングリコール)、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0023】
上記のような[A]結晶性飽和ポリエステルは、発明の目的を損なわない範囲で、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物から誘導される構成単位を少量、たとえば2モル%以下の量で含んでいてもよい。
【0024】
本発明で用いられる[A]結晶性飽和ポリエステルは、実質上線状であり、このことは該飽和ポリエステルが、o−クロロフェノールに溶解することによって確認される。
【0025】
本発明で用いられる[A]結晶性飽和ポリエステルは、o−クロロフェノール中で25℃で測定した極限粘度[η]が、それぞれ通常0.5〜1.4dl/g、好ましくは0.5〜1.0dl/g、さらに好ましくは0.6〜1.0dl/gであることが好ましい。
【0026】
このような極限粘度[η]を有する飽和ポリエステルは、溶融成形性および絞りしごき成形性に優れるとともに耐衝撃性などの機械的強度にも優れていて好ましい。
【0027】
本発明で用いられる[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が、通常50〜120℃、好ましくは60〜100℃であり、低温結晶化温度(Tc)が、通常130〜210℃、好ましくは140〜200℃であり、結晶融解温度(Tm)が、通常210〜265℃、好ましくは220〜260℃であることが望ましい。
【0028】
上記のような組成を有する本発明で用いられる[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂は、加工性に優れているとともに、この[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂から形成される被膜は、テレフタル酸とエチレングリコールとから誘導される従来公知のポリエステル樹脂から形成される被膜に比べて、テルペン系臭気を吸着しにくく、保香性に優れている。
【0029】
本発明において、[B]樹脂組成物層を形成する際に用いられる(a) 飽和ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分が、テレフタル酸またはそのエステル誘導体(たとえば低級アルキルエステル、フェニルエステルなど)からなり、ジヒドロキシ成分が、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体(たとえばモノカルボン酸エステルエチレンオキサイドなど)からなる。
【0030】
この(a) 飽和ポリエステルは、他のジカルボン酸および/または他のジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位を40モル%以下の量で含有してもよい。テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、具体的に、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0031】
これらのテレフタル酸以外のジカルボン酸は、そのエステル誘導体として用いてもよい。またエチレングリコール以外のジヒドロキシ化合物としては、具体的には、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族グリコール;シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール;ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジオール類などが挙げられる。
【0032】
これらのジヒドロキシ化合物は、そのエステル誘導体として用いてもよい。また本発明で用いられる(a)飽和ポリエステルは、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物から誘導される構成単位を少量、たとえば2モル%以下の量で含んでいてもよい。
【0033】
このような(a)飽和ポリエステルは、実質上線状であり、このことは該飽和ポリエステルが、o−クロロフェノールに溶解することによって確認される。本発明で用いられる飽和ポリエステルは、o−クロロフェノール中で25℃で測定した極限粘度[η]は、通常0.5〜1.4dl/g、好ましくは0.5〜1.0dl/g、さらに好ましくは0.6〜1.0dl/gであることが望ましい。
【0034】
このような極限粘度[η]を有する(a)飽和ポリエステルは、溶融成形性および絞りしごき成形性に優れるとともに耐衝撃性などの機械的強度にも優れていて好ましい。
【0035】
本発明で用いられる(a)飽和ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が、通常50〜120℃、好ましくは60〜100℃であることが望ましい。この(a)飽和ポリエステル樹脂は、非晶性であっても結晶性であってもよく、結晶性である場合には、結晶融解温度(Tm)が、通常210〜265℃、好ましくは220〜260℃であり、低温結晶化温度(Tc)が、通常130〜210℃、好ましくは135〜205℃であることが望ましい。
【0036】
本発明では、(a)飽和ポリエステル樹脂として、特に限定されないが、上記のうちでもアルミニウム板との接着性が優れ、かつ耐衝撃性に優れている点で、結晶性の小さい共重合系の飽和ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0037】
本発明において、[B]樹脂組成物層を形成する際に用いられる(b) アイオノマー樹脂としては、従来公知のアイオノマー樹脂が広く用いられるが、このアイオノマー樹脂は、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の一部または全部が金属陽イオンで中和されたイオン性塩である。
アイオノマー樹脂のブレンドにより、樹脂被膜の耐衝撃性向上等の効果がみられる。
【0038】
このα,β−不飽和カルボン酸としては、炭素数3〜8の不飽和カルボン酸、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノメチルエステルなどが挙げられる。
【0039】
このようなエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基を中和する金属陽イオンとしては、具体的に、Na 、K 、Li 、Zn 、Zn++、Mg++、Ca++、Co++、Ni++、Mn++、Pb++、Cu++などの1〜2価の金属陽イオンが挙げられる。また金属陽イオンで中和されてない残余のカルボキシル基の一部は、低級アルコールでエステル化されていてもよい。
【0040】
本発明で用いられる(b)アイオノマー樹脂は、上述のようにエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体の金属塩であるが、金属塩を形成するためのエチレン・不飽和カルボン酸との共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を、80〜99モル%、好ましくは85〜98モル%であり、不飽和カルボン酸から誘導される構成単位(カルボキシル基を有する構成単位)を1〜20モル%、好ましくは2〜15モル%の量で含有している。
【0041】
本発明で用いられる(b)アイオノマー樹脂では、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の一部または全部が、具体的には15〜100%のカルボキシル基が中和されている。この中和度は、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜70%であり、このような中和度の(b) アイオノマー樹脂から形成される組成物は、溶融押出性に優れている。
【0042】
このような(b)アイオノマー樹脂としては、具体的には、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカルボン酸との共重合体あるいはエチレンとマレイン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の一部または全部がナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどの金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂が挙げられる。
【0043】
これらのうち、エチレンとアクリル酸またはメタクリル酸の共重合体(カルボキシル基を有する構成単位が2〜15モル%)中のカルボキシル基の30〜70%が、Naなどの金属で中和されたものが好ましい。
【0044】
またNaなどの金属で中和されたものと、中和されていないものとをブレンドして用いることもできる。
【0045】
これらアイオノマー樹脂としては、“ハイミラン”(商品名:三井デュポンポリケミカル社製)などの市販品を使用することができる。本発明において、[B]樹脂組成物は、(a)飽和ポリエステル樹脂と(b)アイオノマー樹脂との合計を100重量部としたときに、上記のような(a)飽和ポリエステル樹脂を75〜99重量部、好ましくは80〜95重量部の量で、(b)アイオノマー樹脂を1〜25重量部、好ましくは20〜5重量部、さらに好ましくは18〜7重量部の量で含有している。
【0046】
このような[B]樹脂組成物は、冷結晶化温度・融解熱量がいずれも30J/g以下であることが望ましい。なお冷結晶化熱量(J/g)は、示差熱分析計(Perkin Elmer−7型)を用いて20℃/分の昇温速度で測定したときに観察される結晶化による発熱量である。
【0047】
上記のような[B]樹脂組成物は、従来公知の樹脂組成物の調製方法により調製することができ、具体的には、(a)飽和ポリエステル樹脂と(b)アイオノマー樹脂とを、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサー、V形ブレンダーなどにより混合した後、さらに押出機、ニーダーバンバリーミキサーなどで溶融混合することにより調製することができる。
【0048】
前記飽和ポリエステル樹脂又は結晶性飽和ポリエステル樹脂としては、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート(PET)/イソフタレート(IA))を主成分とする樹脂が好ましく用いられる。
ポリエチレンテレフタレート(PET)/イソフタレート(IA)を用いる場合の付随的な成分として、p−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の二塩基酸や、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロへキサンジメタノール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のグリコール成分が少量含有されていてもよい。
【0049】
表層[A]におけるイソフタル酸含有量が15%以下、特に3〜13モル%(すなわちIA=3〜13)の低イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
また、下層[B]に用いられる樹脂は、そのイソフタル酸含有量が4〜20モル%(すなわちIA=4〜20)の高イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレートであり、共に固有粘度[IV値]が0.55dl/g以上であることが好ましい。
【0050】
表層[A]及び下層[B]はポリエチレンテレフタレート(PET)/イソフタレート(IA)の2層構成から成り、しかもこの2層構成の樹脂被覆は絞りしごき缶成形前の樹脂被覆アルミニウム板の状態で実質上未配向の2層構成であることが好ましい。
即ち、二軸延伸フィルムラミネートのように樹脂層を延伸して配向させた後アルミニウム板にラミネートすると、引張り強さ等の機械的強度は向上するが破断伸びが減少する。従って、絞り、しごき加工等のような厳しい加工に付される場合には、未だ配向していない無延伸樹脂層の方が加工により樹脂層の破断が生じることが無く、加工性に優れているからである。
このような技術思想は、前述の樹脂層が単層の場合にも同じであって、樹脂被覆は絞りしごき缶成形前の樹脂被積アルミニウム板の状態で実質上未配向であることが好ましい。
【0051】
その一方、未配向の無延伸樹脂層は延伸樹脂層に比してバリヤー性が劣るという欠点が考えられる。これを改良するために、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレートをイソフタル酸含有量が3〜13モル%のものを表層[A]、イソフタル酸含有量が4〜20モルのものを下層[B]とする2層構成とすることが好ましい。これにより、延伸樹脂層とほぼ同様のバリヤー性を有するものとすることが可能となる。
【0052】
ポリエチレンテレフタレート(PET)/イソフタレート(IA)は、溶融重縮合法や固相重合法等の従来公知の製造方法により製造することができる。
固相重合法は、溶融重縮合法によって一旦低重合度のポリエチレンテレフタレートを合成した後、冷却固化し、細粒化もしくは粉砕し、これを220〜250℃で真空または不活性ガス流下で加熱することにより得られる。
この方法では、反応が比較的低温で行われるため、熱分解が少なく、重縮合の増大と共にカルボン酸含有量も著しく減少しているため、固有粘度の高い、高重合度のポリエチレンテレフタレート/イソフタレートが得られ、樹脂中のオリゴマー成分を減少させることができる。
【0053】
さらに、缶内面側となる樹脂層12は単層でもよく、この場合、前記下層[B]のみをアルミニウム板に被覆する。特に耐衝撃性の高い樹脂層や耐疵つき性、フレーバー吸着性を要求されない場合は、前記[A]層を省略させることができる。
【0054】
樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶10は、このような樹脂被覆アルミニウム板を素材として絞り成形、ストレッチ成形やしごき成形等によって成形されるため、表層[A]の樹脂は配向して結晶化し硬度が上昇し、延伸フィルムを用いた場合と同様にバリヤー性が向上し耐食性や耐デント性、耐工具疵つき性が向上する。
また、アルミニウム板に接した下層[B]の樹脂も配向結晶化し内容物充填後の熱処理等によって無秩序な結晶化や熱結晶化を抑制できるという効果を有する。
このように、樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶10はアルミニウム板11の表面に、表層[A]及び下層[B]からなる2層構造を形成し、それぞれが別の性質を有する樹脂を用いて、それぞれの樹脂の優れた効果を組み合わせて発揮させることができるようにしている。
【0055】
本発明においては、上述した樹脂層表層[A]の厚みは、絞りしごき缶加工に際して、パンチ等の工具との摩擦で発生する樹脂の剥離によって部分的に厚みが減少していることも考慮すると平均1μm以上あることが好ましく、特に2μm以上あることが好ましい。
一方、表層[A]の厚みの上限は下層ほど厚くなくてもよく、2層の樹脂層とすることを考慮すると25μm以下とすることが好ましく、特に20μm以下とすることが好ましい。
【0056】
下層[B]の厚みは、アルミニウム板との密着性を確保する観点から一定の厚み以上にすることが必要で、3μm以上とすることが好ましく、特に4μm以上あることが好ましい。
一方、下層[B]の厚みの上限は、本発明では更に表層を形成させた2層樹脂層とすることを考慮すると40μm以下とすることが好ましく、特に35μm以下とすることが好ましい。
【0057】
また表層[A]と下層[B]の膜厚関係は、加工性、耐食性、フレーバー性等の観点から、下層[B]≧表層[A]の厚み比とすることが好ましい。
表層[A]と下層[B]との膜厚関係は、相対的に、下層[B]の厚みが表層[A]の厚みより薄くなると、アルミニウム板11との密着性が劣り、加工時に樹脂剥離が生ずる可能性が増す傾向にある。したがって、表層[A]と下層[B]との膜厚関係は、上記膜厚みの範囲内で、しかも下層[B]≧表層[A]の厚み比とすることが好ましい。
なお、本発明における樹脂層は、アルミニウム板と接触する面にアイオノマーを含んだ樹脂層を存在させればよく、3層、4層などの多層樹脂層であってもよい。
【0058】
アルミニウム板11への樹脂層の被覆は、公知の方法により製造することができるが、好適には、多層キャストフィルムのラミネーション、共押出コート法を用いて形成した2層の樹脂層をアルミニウム板11へ熱融着などで被覆する方法などが挙げられる。
多層キャストフィルムのラミネーションは、表層及び下層のポリエチレンテレフタレート(PET)/イソフタレート(IA)樹脂チップをそれぞれ別の押出機に入れ、加熱溶融してダイよりシート状に押出し、キャスティングドラム上で冷却固化することにより形成される。
一方、共押出コートは2台の押出機を使用し、表層及び下層のポリエチレンテレフタレート(PET)/イソフタレート(IA)樹脂をダイに供給し押出し、アルミニウム板に被覆することにより形成される。
本発明においては、多層キャストフィルムのラミネーションまたは共押出コートにより2層樹脂層とすることができ、接着剤を使用することなく、強固に2層間の接着が可能となって、樹脂層の加工性を向上することができる。
【0059】
(カッピング)
次に、前記樹脂被覆アルミニウム板11に潤滑剤を塗布し、カッピング・プレスで、打抜き、絞り加工法により、図2に示すような絞りカップ20が高速で形成される。
【0060】
(加熱処理)
本発明では、カッピング後、絞りしごき缶成形前に、図2に示す絞りカップ20の缶開口端部15から缶側壁部を下方に1〜5mmほどわずかに下がった絞りカップ側壁部の缶開口端部近傍16を高周波誘導加熱等により熱処理し、樹脂皮膜の製缶後の加工密着性、耐食性等の缶特性を向上させる。この缶開口端部近傍16は、絞りしごき缶成形後においては、缶体のフランジ17に相当する部分である。
この特徴により、本発明によれば、絞りカップ20の絞りカップ側壁部の缶開口端部近傍16のポリエステル系樹脂の歪みを緩和させ密着させてアルミニウム基体に対する密着性を向上させ、絞り−しごき加工時、ないしは洗浄後、製品充填時等の被覆樹脂の剥離の発生を押さえることができ、より高い耐食性等を得ることが出来る。
また、高周波誘導加熱を用いると、絞りカップ側壁部の缶開口端部近傍16のみの局所加熱が可能となるので、缶胴部の加熱が回避され、この部分の硬度低下による耐圧性の低下を防止することができる。
なお、加熱処理は、高周波誘導加熱に替えて、バーナー加熱、電気ヒーター加熱、熱風加熱など類似の技術手段を用いることができる。
【0061】
本発明における高周波誘導加熱では、加熱コイルに対面するアルミニウム基体が渦電流により加熱されるので、加熱が集中的且つ局所的に行われ、加熱時間が著しく少なくて済み、きわめて短時間の処理でよく、生産性が高いという利点も達成される。
【0062】
高周波誘導加熱処理を施した場合の絞りカップ側壁部の缶開口端部近傍16の温度は、用いるポリエステル樹脂層のガラス転移点(Tg)以上で且つポリエステル樹脂の融点(Tm)+50℃以下の温度であるのが好ましい。
高周波誘導加熱の電源としては、例えば周波数が10〜200KHzの高周波が使用される。
加熱時間は、到達温度や高周波出力によっても相違するが、到達温度が200乃至250℃の場合、一般に0.5〜10secの短時間でよい。
高周波誘導加熱では、アルミニウム基体そのものが誘導される渦電流により加熱されるため、缶体と加熱コイルとの電磁結合を遮断すると、缶体の冷却が始まるため、格別の冷却工程が不要であるという利点もある。
【0063】
高周波誘導加熱には、それ自体公知の高周波誘導加熱コイルを備えた加熱装置を用いることができる。この加熱装置は一般に、高周波加熱コイル、コイルと電源とを接続するための電極、コイルとラミネート蓋との電磁結合を強めると共にラミネート蓋の加熱部分を規制する磁性部材、及びコイルを冷却するための冷却機構からなっている。
【0064】
本発明に好適に使用される高周波誘導加熱装置の概略を図3に示す。図3のように、この装置は、高周波加熱コイル31、コイル31と電源とを接続するための電極32a、32b、及びコイルを冷却するための冷却機構34からなっている。
コイル31はワンターンの導電性パイプからなっており、その表面には電極32a、32bからの高周波電流が通ると共に、内部には冷却水34が通る構造となっている。加熱コイルを構成する銅パイプが太すぎる場合には、加熱領域が缶開口端部近傍以外に広がり、加熱効率が悪くなるとともに、缶開口端部近傍だけでなく缶胴部近傍をも加熱してしまい耐圧性能を損なう問題がある。また銅パイプが細すぎる場合には、冷却能力が不足しコイルの耐久性が不足してしまう。高周波加熱の出力にもよるが、銅パイプの外径φ1(mm)は3<φ1<10、内径φ2(mm)は0.6×φ1<φ2<0.8×φ1のものが好ましい。
【0065】
(絞りしごき缶の成形方法)
上述のように、絞りカップ側壁部の缶開口端部近傍16を加熱処理した後、缶胴部の形成を行う。
本発明の樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶10は、上述したアルミニウム板11の樹脂被覆面が缶内面側に形成されるようにして、絞りしごき加工(DI加工)等の従来公知の手段に付すことによって製造される。
【0066】
しごき加工(DI加工)の方法としては、しごきポンチを用いて一段階もしくは数段階しごき加工する方法により、本発明の樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶を製造することができる。
【0067】
上記絞り−しごき加工のカップ成形→しごき加工の一連の加工は、下記のような条件下に行うことができる。
ブランク径 …70〜300mm
絞り条件 …絞り比: 1.1〜3.0
しごき率…30〜85%
【0068】
しごき加工に際しては、下記の式で定義される薄肉化率RIが30〜85%の厚みになるように薄肉化することが好ましい。
RI=((tB−tW)/tB)×100
なお、前記式において、tBはアルミニウム板素板厚みであり、tWは絞りしごき缶側壁部のアルミニウム板厚みである。
【0069】
なお、絞りカップを加熱処理すると説明したが、多段で絞り加工をする場合は、カップ加熱処理やカップしごき加工は、第2絞り加工以降のカップで実施しても良い。
【0070】
絞り成形及びしごき成形に際して、アルミニウム板或いは更にカップに、各種潤滑剤、例えば流動パラフィン、合成パラフィン、食用油、水添食用油、パーム油、各種天然ワックス、ポリエチレンワックス、合成エステル、鉱物油等を塗布して成形を行うことができる。
潤滑剤の塗布量は、その種類によっても相違するが、一般に片面について50〜6000mg/m2 、特に200〜2000mg/m2 の範囲内にあるのがよく、潤滑剤の塗布は、これを溶融又は水溶性、原液状態で表面にスプレー塗布あるいはロール塗布することにより行われる。しごき成形は、絞りカップにクーラントをかけて潤滑と冷却とを行いながら、再絞りと数段のしごき加工で行われる。
【0071】
缶体製造後、洗浄、乾燥を行い、缶外面となる側に印刷、仕上げニスを施し、ネッキング、フランジングして缶体を完成させる。上記のようにして、本発明の樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶を形成することができる。
【0072】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、これらの例は説明のためのものであり、いかなる意味においても以下の例に限定されるものではない。
【0073】
評価及び測定方法
(1)剥離試験
絞りしごき缶を成形・洗浄後、缶開口端部をネッキング、フランジングし、フランジ17の先端部位に生じた樹脂フィルム剥離長さを目視で観察した。結果を表1に示す(長さ単位:mm)。
缶体となった時には、絞りしごき成形時に生じた耳部が切り落とされ、カップにおける缶開口端部近傍16がフランジ17となり、この部分に樹脂フィルム剥離が発生している、フィルム剥離が拡大するおそれがあり好ましくない。
表1において、フランジ17に生じた剥離長さのうちの最大値が、0.1mm未満の範囲にあるものを○(良)、0.2mm未満で0.1mm以上のものを△(許容内)、0.2mm以上のものを×(不良)として評価した。
【0074】
(2)外面光沢性評価
絞りしごき缶成形後、洗浄、乾燥後の缶側壁部外観を観察して、目視で色ムラの発生が確認されないものを○(良)、確認されたものを×(不良)として評価した。
その結果を表1に示す。
【0075】
絞りしごき缶の基体となる金属材料として、板厚0.38mmのアルミニウム合金3004からなるアルミニウム板の片面にりん酸クロメート処理を実施した。 りん酸クロメート処理においては、アルミニウム板を苛性ソーダで脱脂と若干のエッチングを行なった後、CrO3:4g/L、H3PO4:12g/L、F:0.65g/L、残りは水の処理液に、時間を変えて浸漬した。クロム量は、蛍光分析値で3〜40mg/m2 となるようにした。
内面側樹脂皮膜12は、表層[A]、下層[B]の二層となるようにした。表層[A]は厚さ4μmのエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体(モル比;92:8)、下層[B]は厚さ16μmのエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体(モル比;92:8)にアイオノマーを15重量%ブレンドした構成とした。
これら樹脂被膜[A]、[B]を形成するポリエステル系樹脂の融点は約230℃、ガラス転移点(Tg)は約72℃であった。
次に、上記樹脂材料をエクストリュージョン・ラミネーション設備を備えた45mmφ単軸押出機に供給し、バレル及びTダイの温度を250℃でドラム上に溶融押出を行い、直ちに水冷することでラミネート用樹脂フィルムを得た。その後、このフィルムをラミネートロールを用いて250℃に加熱した上記アルミニウム板上の片面に熱圧着させ樹脂被覆アルミニウム板を得た。
【0076】
こうして得られた樹脂被覆アルミニウム板を、樹脂被覆面が缶内面となるようにして下記の成形条件にて絞りしごき加工を行って絞りしごき缶を製造した。
上記樹脂被覆アルミニウム板の両面に、合成エステル系潤滑油を各600mg/m2 の量(片面当たり)を塗布した。塗布後、絞り成形機により、直径140mmの円形ブランクに打抜き、絞り比1.60で絞り加工して、胴壁部の平均高さが35mm、内径が88mmの絞りカップを形成した。
次に、上記絞りカップのカップ側壁部の缶開口端部近傍16に、後に述べるような方法で高周波誘導加熱により加熱処理を行った。
【0077】
(高周波誘導加熱)
前記絞りカップに対して、カップ側壁部の缶開口端部近傍16をトータル1.0秒間、以下の高周波誘導加熱により局所加熱した。到達温度は樹脂表面で230℃であった。
【0078】
(高周波誘導加熱装置)
加熱コイルは外径5mm、内径3mmの銅パイプを缶開口端部とほぼ同じ形状に湾曲させたリング状コイル(図3参照)であり、冷却水を流すことによりコイルの発熱を抑制する構造となっている。コイルの周囲およびコイル中央部にはフェライトコアを設置してあり、加熱がカップ側壁部の缶開口端部近傍16に集中するよう工夫されている。
カップ側壁部の缶開口端部近傍16だけでなく缶胴部全体をも加熱してしまうと、耐圧性能を損ない、破胴が生じる問題がある。
高周波誘導加熱機は定格出力30kW、公称周波数30±5kHzの装置を用いて、カップ側壁部の缶開口端部近傍16をTg(樹脂ガラス転移点)〜Tm(樹脂溶融温度)+50℃の範囲に加熱処理する。加熱時間は、樹脂の密着性を向上させれば十分なので、0.5〜10秒の範囲で行うことが好ましい。
【0079】
(高周波誘導加熱方法)
高周波加熱は図4のように缶体の上側からおこなった。加熱効率の面から、加熱コイルはカップ側壁部の缶開口端部近傍にできるだけ近い場所に設置することが好ましい。
【0080】
上記加熱処理後、前記絞りカップを、
しごきポンチ径:3段アイアニング 65.8mmφ
総しごき率:68%
の条件でしごき加工し、内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶を作製した。
【0081】
アルミニウム板に上記の方法でりん酸クロメート処理を行った後、缶内面となる側にポリエチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂被膜を形成し、絞りカップ側壁部の缶開口端部近傍に高周波電磁誘導加熱処理を行ったもの又は省略したものを形成し、その後絞りしごき缶を成形し、洗浄・乾燥、外面印刷、ネッキング、フランジングしたものを、実施例1〜6とした。
【0082】
前記アルミニウム板の表面処理条件及び前記高周波電磁誘導加熱処理の条件を本発明の範囲外に設定して行い、評価した。
[比較例1]
前記アルミニウム合金板の内面表面処理量が3mg/m2 である以外は実施例1と同様にして絞りしごき缶を形成した。
その結果を表1に示す。
[比較例2]
前記アルミニウム合金板の外面表面処理量が10mg/m2 である以外は実施例4と同様にして絞りしごき缶を形成した。
その結果を表1に示す。
[比較例3]
前記アルミニウム合金板の内面表面処理量が1mg/m2 であり、外面表面処理量が25mg/m2 である以外は実施例1と同様にして絞りしごき缶を形成した。
[比較例4]
前記アルミニウム合金板の内面表面処理量が20mg/m2 であり、外面表面処理量が20mg/m2 である以外は実施例1と同様にして絞りしごき缶を形成した。
【0083】
【表1】
Figure 2004131123
表1からわかるように、本発明実施例1〜6の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶は、内面のフランジ部樹脂剥離が見られず、また外観色ムラも発生せず、優れた缶であった。
一方、比較例1〜4の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶は、缶内外面側に施した表面処理が適量でないため不良缶であった。
【0084】
【発明の効果】
本発明の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶は、基体となるアルミニウム板の両面又は片面にりん酸クロメート処理の表面処理を行い、被覆樹脂層の密着加工性を向上させている。さらに、缶成形後において、絞りカップ側壁部の缶開口端部近傍を加熱処理することにより、缶成形後、製品充填時に、樹脂被膜の剥離を防止することが出来る。また、日本酒、ビール、チューハイ等、高い保香性を要求されるアルコール飲料や、炭酸飲料、スポーツドリンク等に対しても、優れた性能を有する内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶の模式断面図である。
【図2】本発明の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶の製造工程における絞りカップを示す模式断面図である。
【図3】本発明に好適に使用される高周波誘導加熱装置の構造を示す概略図である。
【図4】高周波誘導加熱装置を用いた加熱処理を説明する概略図である。
【符号の説明】
10:内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶
11:アルミニウム板
12:内面側樹脂層
15:缶開口端部
16:絞りカップ側壁部の缶開口端部近傍
17:フランジ
20:絞りカップ
31:加熱コイル
32a,32b:電極
34:冷却機構

Claims (5)

  1. 内面に樹脂被覆されたアルミニウム絞りしごき缶であって、
    前記缶の内面側が、アルミニウム板上にりん酸クロメート処理膜が形成され、その上に飽和ポリエステル樹脂が被覆されており、
    缶の外面側が、トータルクロム量で8mg/m2 以下のりん酸クロメート処理膜がアルミニウム板上に形成されたものである内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶。
  2. 前記缶内面側に形成されたりん酸クロメート処理が、トータルクロム量で5〜40mg/m2 であることを特徴とする、請求項1に記載の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶。
  3. 前記飽和ポリエステル樹脂が、イソフタル酸共重合の結晶性ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶。
  4. 前記飽和ポリエステル樹脂が、アイオノマー樹脂とのブレンドであることを特徴とする、請求項3に記載の内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶。
  5. 缶内面となる側のアルミニウム板上にトータルクロム量で5〜40mg/mのりん酸クロメート処理膜を形成し、缶外面となる側のアルミニウム板上にトータルクロム量で8mg/m2 以下のりん酸クロメート処理膜を形成し、缶内面となる側に飽和ポリエステル樹脂フィルムを被覆し、ブランクに打ち抜き絞り加工によりカップを成形し、前記カップ側壁部の缶開口端部近傍をTg〜Tm+50℃に加熱処理することにより前記樹脂フィルムをアルミニウム板に融着させた後、再絞りしごき加工することを特徴とする内面樹脂被覆アルミニウム絞りしごき缶の製造方法。
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