JP2004128164A - 電子部品及び電子部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板11表面に磁気抵抗パターンを設けた磁気センサ素子15を具備し、磁気抵抗パターンから磁気センサ素子15の下辺に向けて引き出した端子接続パターン表面に印刷した導電塗料層16上に外部端子20を接続し、さらに磁気抵抗パターンを形成した側の面を露出した状態でその裏面と外周側面とを成形樹脂30で覆うように成形し、且つ外部端子20上も成形樹脂30で覆って固定する構造の磁気センサ10である。磁気センサ素子15の外周側面に凹部19を設け、凹部19内に成形樹脂30を成形することで磁気センサ素子15の離脱防止部40を形成する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板表面に磁気抵抗パターン等の素子パターンを設けた電子部品素子を成形樹脂内にインサート成形する構造の電子部品及び電子部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品素子を成形樹脂内にインサートした構成の電子部品は数多く開発されている。例えば基板の表面に外部磁場によりその抵抗値が変化する磁気抵抗材からなる素子パターンを形成した磁気センサ素子を成形樹脂内にインサート成形した構成の磁気センサがある。
【0003】
図6はこの種の特許文献1に示されている磁気センサ100の斜視図、図7は断面図(図6のB−B断面図)である。両図に示すように磁気センサ100は、平板状の磁気センサ素子110の下部に四本の外部端子120の一端を接続した状態で、その周囲に直接成形樹脂130を成形して構成されている。
【0004】
ここで磁気センサ素子110は平板状のガラス、シリコン若しくはセラミックからなる基板111表面に、磁気抵抗パターン113と、磁気抵抗パターン113から引き出されて前記各外部端子120に接続される図示しない四本の電極パターンとを形成することによって構成されている。一方成形樹脂130は、前記磁気センサ素子110をその磁気抵抗パターン113形成面を露出した状態でその反対側の面と外周側面とを覆うように成形して構成されているが、前記磁気センサ素子110の端子接続パターンに接続した外部端子120の上にも前記成形樹脂120が覆うように成形されている。
【0005】
即ち上記磁気センサ100の磁気センサ素子110は外部端子120を固定するその下辺側の部分のみがその表面に成形樹脂130を成形することで表面側から固定されており、その他の辺、即ち上辺と左右両側辺については成形樹脂130によって表面側から固定されていなかった。磁気センサ素子110の上辺と左右両側辺の表面側に成形樹脂130を成形しないのは、磁気抵抗パターン113を被測定物に接近して設置することができなくなるためである。このため完成した磁気センサ100に外部から熱や湿気が加わると、成形樹脂130が膨張・収縮することによって、磁気センサ素子110は経時的に図7に点線で示すように成形樹脂130で固定された下辺側を中心にしてその上辺側が手前側に突出してくる恐れがあった。
【0006】
一方図6,図7に示す3つの131は磁気センサ素子110の周囲に形成される成形樹脂用凹部である。この成形樹脂用凹部131は以下の「発明の実施の形態」でも説明するが、磁気センサ素子110を金型内に収納した状態で成形樹脂130を成形する際に磁気センサ素子110が金型内で移動しないようにするために金型面に設けるガイド突起によって形成されてしまう凹部である。しかしながら金型内への溶融成形樹脂の充填固化後に金型を取り外す際、前記ガイド突起が磁気センサ素子110の外周辺を引っ掛けて欠いてしまう恐れがあった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−181909号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、成形樹脂に対して磁気センサ素子等の電子部品素子を確実に固定しておくことができる構造の磁気センサ等の電子部品及び電子部品の製造方法を提供することにある。
【0009】
また本発明の目的は、金型のキャビティー内への溶融成形樹脂の充填固化後に金型を取り外す際に、ガイド突起が磁気センサ素子の外周辺を引っ掛けて欠いてしまう恐れのない電子部品及び電子部品の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため本発明は、基板表面に素子パターンを設けた電子部品素子を具備し、前記素子パターン形成面を露出した状態でその裏面と外周側面とを成形樹脂で覆うように成形してなる構造の電子部品において、前記電子部品素子の外周側面に凹部を設け、この凹部内に前記成形樹脂を成形することで電子部品素子の離脱防止部を形成したことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、基板表面に素子パターンを設けた電子部品素子を具備し、この素子パターンから引き出した端子接続パターンに外部端子を接続し、さらに前記素子パターン形成面を露出した状態でその裏面と外周側面とを成形樹脂で覆うように成形し、且つ前記外部端子上も前記成形樹脂で覆って固定する構造の電子部品において、前記電子部品素子の外周側面に凹部を設け、この凹部内に前記成形樹脂を成形することで電子部品素子の離脱防止部を形成したことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、基板表面に素子パターンを設け且つ基板の外周側面に設けた当接部から素子パターンを形成した側の面まで切り欠くことで凹部を形成してなる電子部品素子を金型のキャビティー内に収納し、その際前記素子パターン形成面を金型面に密着するとともに、前記素子パターン形成面を当接した金型面に設けた位置決め用のガイド突起を電子部品素子の外周側面に設けた前記当接部に当接させて位置決めし、この状態で前記キャビティー内に溶融成形樹脂を成形し、その際前記凹部内にも前記溶融成形樹脂を成形することで電子部品素子の離脱防止部を形成し、固化した後に金型から電子部品を取り出すことで、前記素子パターン形成面を露出した状態でその裏面と外周側面とを成形樹脂で覆う構造の電子部品を製造することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる電子部品(以下この実施形態では「磁気センサ」という)10の斜視図、図2は磁気センサ10の断面図(図1のA−A断面図)である。両図に示すように磁気センサ10は、基板11表面に素子パターン(以下この実施形態では「磁気抵抗パターン」という)13を設けた電子部品素子(以下この実施形態では「磁気センサ素子」という)15を具備し、この磁気センサ素子15の前記磁気抵抗パターン13を形成した側の面の下辺(一外周辺)に向けて磁気抵抗パターン13から引き出した端子接続パターン17(図3参照)に外部端子20を接続し、さらに前記磁気抵抗パターン13を形成した面を露出した状態でその裏面と外周側面とを成形樹脂30で覆うようにインサート成形し、且つ前記外部端子20上にも前記成形樹脂30で覆われる固定部35を設けて構成されている。そしてこの磁気センサ素子15の磁気抵抗パターン13を形成した側の面の上辺には凹部19が設けられ、この凹部19内に前記成形樹脂30の一部を成形することで磁気センサ素子15の離脱防止部40を形成している。なお磁気センサ素子15の磁気抵抗パターン13を形成している露出面とそれを囲む成形樹脂30(固定部35を除く)の面は同一面である。以下各構成部品について説明する。
【0014】
図3は本実施形態に用いる磁気センサ素子15の斜視図である。磁気センサ素子15は矩形の平板状のガラス、シリコン若しくはセラミックからなる基板11表面に、磁気抵抗パターン13と、磁気抵抗パターン13から引き出した四本の端子接続パターン17とを形成し、さらに基板11の外周側面に設ける直線状の当接部Sから磁気抵抗パターン13を形成した側の面まで階段状に切り欠くことで、基板11の上側の辺にその全長に亘って一本の凹部19を形成して構成されている。各端子接続パターン17は基板11の下辺近傍に設けられている。なお磁気抵抗パターン13部分は図4に示すようにパーマロイ薄膜等からなる磁気抵抗パターン部A11〜A22,B11〜B22の上に保護膜をコートすることにより形成されている。
【0015】
一方成形樹脂30は略矩形形状に成形されており、その中央に磁気センサ素子15をその磁気抵抗パターン13の形成面が露出するようにインサート成形している。成形樹脂30の磁気センサ素子15の周囲三ヶ所には成形樹脂用凹部32が設けられている。また外部端子20の一端は、成形樹脂30の下面から外部に突出している。
【0016】
以上のようにして構成された磁気センサ10はその磁気センサ素子15の下辺側部分が成形樹脂30の固定部35によって固定されると同時に、磁気センサ素子15の上辺側部分が成形樹脂30の離脱防止部40によって固定されるので、成形樹脂30に対する磁気センサ素子15の固定が確実になり、これによって例え磁気センサ10に外部から熱や湿気が加わって成形樹脂30が膨張・収縮等しても、磁気センサ素子15が成形樹脂30から抜け出てくることは確実に防止される。しかも凹部19内に成形樹脂30を成形するので、離脱防止部40は磁気センサ10の磁気抵抗パターン13の露出面側に突出せず、磁気抵抗パターン13を被測定物に接近して設置することは阻害されない。
【0017】
ここで図5を用いて前記図1に示す磁気センサ10の製造方法について説明すると、まず第二金型E2上に四本の金属製の外部端子20(図5では一本のみ示す)を載置し、その上に磁気センサ素子15をその磁気抵抗パターン13の形成面を下にして第二金型E2上に載置する。その際磁気センサ素子15は第二金型E2の金型面Aに設けた3つの位置決め用のガイド突起E11(図では2つのみ示すが、もう一本のガイド突起E11は図5に示す右側のガイド突起E11の紙面手前側であって磁気センサ素子15の紙面手前側の外周側面をガイドする位置に設けられている)の間でガイドされて磁気センサ素子15の外周に当接して位置決めされる。即ち図1に示す3つの成形樹脂用凹部32は3つのガイド突起E11を設けることで形成される。
【0018】
このとき磁気センサ素子15の凹部19を設けた外周側面においてはガイド突起E11を、磁気センサ素子15の磁気抵抗パターン13の形成面の外周辺ではなく、磁気センサ素子15の外周側面に設けた当接部Sに当接させている。このように構成したのは以下の理由による。即ち前記「従来の技術」の欄でも述べたが、下記するキャビティーC1,C2内への溶融成形樹脂の充填固化後に第一,第二金型E1,E2を取り外す際、ガイド突起E11が磁気センサ素子15の磁気抵抗パターン13を形成した側の面の外周辺を引っ掛けて欠いてしまう恐れがあった。そこでガイド突起E11が磁気センサ素子15の磁気抵抗パターン13の形成面側の外周辺に当接しないように、磁気センサ素子15の外周側面内にある当接部Sに当接するようにし、前記引っ掛けを防止したのである。従ってこの点から言えばこの実施形態では磁気センサ素子15の上辺のみに凹部19を設けたが、左右両辺(場合によってはさらに下辺)にも凹部19を設けることが好ましい。
【0019】
なお磁気センサ素子15の各端子接続パターン17(図3参照)上には予め導電塗料層16を印刷乾燥形成しておいたものを用意しておく。前記各導電塗料層16の表面は各金属端子20の一端面に直接当接する。なお導電塗料層16は、一層でも2層以上でも良く、また場合によっては不用であり、端子接続パターン17上に直接外部端子20を当接させても良い。また導電塗料層16の代わりに半田層を使用して、一旦半田ごて等で加熱溶融させ、端子接続パターン17と金属端子20を接続しておいても良い。またこのとき磁気センサ素子15の磁気抵抗パターン13の形成面は、第二金型E2の金型面(平面)Aに密着する。
【0020】
次に第二金型E2の上に第一金型E1を載置して外部端子20を挟持し、この状態で第一金型E1側に設けたピンゲートP1から例えば260℃で射出圧力例えば100〜600kgf/cm2程度の高温高圧の溶融成形樹脂、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリエチレンテレフタレート(PET)やポリフェニレンスルフイド(PPS)樹脂等を圧入して、第一,第二金型E1,E2によって形成されるキャビティーC1,C2内を成形樹脂で満たす。このとき磁気センサ素子15の凹部19を設けた部分も成形樹脂で満たされて離脱防止部40が形成される。そして前記溶融モールド樹脂が固化した後に第一,第二金型E1,E2を取り外せば、図1,図2に示す磁気センサ10が完成する。
【0021】
図8は本発明の他の実施形態にかかる電子部品(以下この実施形態では「磁気センサ」という)10−2の断面図(図2と同一部分の断面図)である。同図に示す磁気センサ10−2において、前記図1,図2に示す磁気センサ10と同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。この磁気センサ10−2において前記磁気センサ10と相違する点は、電子部品素子(以下この実施形態では「磁気センサ素子」という)15に接続する外部端子20−2として金属端子の代わりにフレキシブル基板(ポリエチレンテレフタレートフイルム等の合成樹脂フイルム表面に前記端子接続パターン17に当接する端子パターン(図示せず)を形成したもの)を用い、固定部35を省略し、その代わりに接着材25を用いて外部端子20−2を固定した点である。この実施形態においては、磁気センサ素子15の外部端子20−2を接続する側の外周側面(下面)を成形樹脂30に固定するため、外部端子20−2を接続する側の磁気センサ素子15の外周側面の中間に(即ち磁気センサ素子15の外周側面であって磁気抵抗パターン13の形成面と磁気センサ素子15の裏面との間の部分に)凹部27を設けている。端子接続パターン17と外部端子20−2に設けた端子パターン間は例えば導電性接着材や半田等によって接続する。このように磁気センサ10−2の構造は種々の変形が可能である。また外部端子20−2を固定するのに、接着材25の代わりに図1,図2に示す固定部35で覆う構造を用いても良い。
【0022】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば本発明を適用するのは磁気センサのみではなく、他の各種電子部品にも適用でき、要は基板表面に素子パターンを設けた電子部品素子を具備し、前記素子パターン形成面を露出した状態でその裏面と外周側面とを成形樹脂で覆うように成形してなる構造の電子部品であれば、どのような電子部品でも良い。
【0023】
また前記凹部19は必ずしも磁気センサ素子15の上辺に設ける必要はなく、左右側辺の何れかに設けても良く、また凹部19は磁気センサ素子15の外周一辺の全長に亘って設ける必要はなく、その一部のみに設けてもよい。また凹部19は図3に示すように階段状もあるがこれにとらわれず、当該基板端部を三角形状に切り欠いてもかまわない。また凹部は図8に示す凹部27のように磁気センサ素子15の外周側面の中間部分に設けても良い。
【0024】
また磁気センサ10を取り付ける部材に応じて成形樹脂30の形状を種々変更してもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、電子部品素子に設けた凹部内に成形樹脂を成形することで離脱防止部を形成したので、成形樹脂に対して磁気センサ素子等の電子部品素子を確実に固定しておくことができるという優れた効果を有する。
【0026】
また本発明によれば、位置決め用のガイド突起を電子部品素子の外周側面に設けた当接部に当接させて位置決めしたので、金型のキャビティー内への溶融成形樹脂の充填固化後に金型を取り外す際に、ガイド突起が磁気センサ素子の外周辺を引っ掛けて欠いてしまう恐れがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる磁気センサ(電子部品)10の斜視図である。
【図2】磁気センサ10の断面図(図1のA−A断面図)である。
【図3】磁気センサ素子15の斜視図である。
【図4】磁気抵抗パターン13の一例を示す要部拡大図である。
【図5】磁気センサ10の製造方法を示す図である。
【図6】従来の磁気センサ100の斜視図である。
【図7】従来の磁気センサ100の断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態にかかる磁気センサ(電子部品)10−2の断面図である。
【符号の説明】
10 磁気センサ(電子部品)
11 基板
13 磁気抵抗パターン(素子パターン)
15 磁気センサ素子(電子部品素子)
16 導電塗料層
17 端子接続パターン
19 凹部
S 当接部
20 外部端子
30 成形樹脂
35 固定部
40 離脱防止部
10−2 磁気センサ(電子部品)
20−2 外部端子
25 接着材
Claims (3)
- 基板表面に素子パターンを設けた電子部品素子を具備し、前記素子パターン形成面を露出した状態でその裏面と外周側面とを成形樹脂で覆うように成形してなる構造の電子部品において、
前記電子部品素子の外周側面に凹部を設け、この凹部内に前記成形樹脂を成形することで電子部品素子の離脱防止部を形成したことを特徴とする電子部品。 - 基板表面に素子パターンを設けた電子部品素子を具備し、この素子パターンから引き出した端子接続パターンに外部端子を接続し、さらに前記素子パターン形成面を露出した状態でその裏面と外周側面とを成形樹脂で覆うように成形し、且つ前記外部端子上も前記成形樹脂で覆って固定する構造の電子部品において、
前記電子部品素子の外周側面に凹部を設け、この凹部内に前記成形樹脂を成形することで電子部品素子の離脱防止部を形成したことを特徴とする電子部品。 - 基板表面に素子パターンを設け且つ基板の外周側面に設けた当接部から素子パターンを形成した側の面まで切り欠くことで凹部を形成してなる電子部品素子を金型のキャビティー内に収納し、その際前記素子パターン形成面を金型面に密着するとともに、前記素子パターン形成面を当接した金型面に設けた位置決め用のガイド突起を電子部品素子の外周側面に設けた前記当接部に当接させて位置決めし、
この状態で前記キャビティー内に溶融成形樹脂を成形し、その際前記凹部内にも前記溶融成形樹脂を成形することで電子部品素子の離脱防止部を形成し、固化した後に金型から電子部品を取り出すことで、前記素子パターン形成面を露出した状態でその裏面と外周側面とを成形樹脂で覆う構造の電子部品を製造することを特徴とする電子部品の製造方法。
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