JP2004125818A - 有機感光体及び有機感光体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、感度がよく、かつ湿度依存性の少ないチタニルフタロシアニン顔料を用いた有機感光体及び該有機感光体の製造方法を提供する事にある。
【解決手段】(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料を含有し、その分光吸収スペクトルが、750±5nmに主ピーク、818±5nmに副ピークを持ち、かつその副ピークの吸光度(Ab2)と主ピークの吸光度(Ab1)の比率(Ab2/Ab1:900nmでの吸光度をベースとして補正した値で)が0.4〜0.75である電荷発生層を有することを特徴とする有機感光体。
【選択図】 なし
【解決手段】(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料を含有し、その分光吸収スペクトルが、750±5nmに主ピーク、818±5nmに副ピークを持ち、かつその副ピークの吸光度(Ab2)と主ピークの吸光度(Ab1)の比率(Ab2/Ab1:900nmでの吸光度をベースとして補正した値で)が0.4〜0.75である電荷発生層を有することを特徴とする有機感光体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプリンタなどに使用され、LED光、半導体レーザ光に対して有効な電子写真用有機感光体及び該有機感光体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の発達にともない電子写真を利用した複写機やプリンターの使用頻度が益々高まっており、高感度な感光体が次々に発表されている。なかでも粉末X線回折スペクトルにてブラッグ角2θの27.2±0.2°に最大ピークを有するY型チタニルフタロシアニン顔料(以後、単にY型顔料ともいう)は高感度な素材として知られ学会報告もされている(非特許文献1)。さらに藤巻はこのY型チタニルフタロシアニン顔料が乾燥した不活性ガス中での脱水処理によっての光量子効率が低下することを見いだした。常温常湿度環境に放置して水を再吸収すると再び量子効率が上がることから、Y型顔料は水を含んだ結晶構造を有し、水分子が光によって生成した励起子のホールとエレクトロンとの解離を促進し、これが高い光量子効率を示す原因の一つと推測している(非特許文献2)。
【0003】
このような素材をキャリヤ発生物質として用いた有機感光体では、環境、特に湿度変動により感度特性が変化することが懸念されてきた。このY型顔料の感度の湿度依存の欠点は近年、高画質を要求されるにつれて目立ってきた。例えば夜雨が降り、翌日晴天になる場合、有機感光体も密閉された部分(現像器付近)が前日の高湿度雰囲気を保持しており感光体の他の開放された部分と間に感度差が生じて、朝一の運転開始直後に中間濃度の画像に感度差によって生じたと考えられる帯状の画像欠陥が発生する。
【0004】
この湿度依存性を解決するために、水の代わりに他の極性基をチタニルフタロシアニン顔料に付与する試みも以前よりなされており、“ジオール化合物を含有するチタニルフタロシアニン結晶の生成と特性”と題する講演(非特許文献3)、及び“Syntheses and Properties of Titanyl Phthalocyanine New polymorphs”と題する講演(非特許文献4)に隣接するジオール化合物がチタニルフタロシアニンと付加化合物を作ることが発表されている。又、有機感光体用の2,3−ブタンジオールとの付加体チタニルフタロシアニン顔料も報告されている(特許文献1)。
【0005】
さらに、立体規則性を有した2,3−ブタンジオールのチタニルフタロシアニン付加体がその中で特に優れた性質をもつものとして報告されており(特許文献2、3)、2,3−ブタンジオールのチタニルフタロシアニン付加体とチタニルフタロシアニンの混晶も公表されている(特許文献4)。
【0006】
しかしながら、これらの公開されたものはいずれも感度の湿度依存性は改善された反面、尚、前記Y型顔料に比して感度不足であり、高画質と同時に高速性を要求される高速のデジタル複写機等の有機感光体に適用するには、湿度依存性の改良と共に、いっそうの高感度化を達成することが要求されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−273775号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平7−173405号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平8−82942号公報
【0010】
【特許文献4】
特開平9−230615号公報
【0011】
【非特許文献1】
電子写真学会誌,29(3),250(1990)
【0012】
【非特許文献2】
Y.Fujimaki:IS&T’s 7th International Congress on Advance in Nonimpact Printing Technologies, Paper Summaries,269(1991)
【0013】
【非特許文献3】
1992年電子写真学会“Japan Hardcopy’92”予稿集153−156頁
【0014】
【非特許文献4】
1993年電子写真学会国際会議”Japan Hardcopy’93”予稿集659−662頁
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記した事情に鑑み、感度がよく、かつ湿度依存性の少ないチタニルフタロシアニン顔料を用いた有機感光体(以下、単に感光体ともいう)及び該有機感光体の製造方法を提供する事にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
発明者は上記の欠点を改良すべく検討を加えた結果、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとチタニルフタロシアニンとの付加体が、その分光吸収スペクトルで特定のスペクトル形状を形成するとき、感度と湿度依存性のどちらもが両立することを見いだし本発明を完成した。即ち、本発明の目的は以下の構造を有することによって達成される。
【0017】
1.(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料を含有し、その分光吸収スペクトルが、750±5nmに主ピーク、818±5nmに副ピークを持ち、かつその副ピークの吸光度(Ab2)と主ピークの吸光度(Ab1)の比率(Ab2/Ab1:900nmでの吸光度をベースとして補正した値で)が0.4〜0.75である電荷発生層を有することを特徴とする有機感光体。
【0018】
2.前記ジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料が無定型チタニルフタロシアニン顔料と前記ジオールとを反応させて得られることを特徴とする前記1に記載の有機感光体。
【0019】
3.前記無定型チタニルフタロシアニン顔料がアシッドペースト処理、凍結処理を経て製造されることを特徴とする前記2に記載の有機感光体。
【0020】
4.前記チタニルフタロシアニン顔料がアルコキシチタンを原料とした塩素フリーチタニルフタロシアニン顔料であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体。
【0021】
5.導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を有する有機感光体の製造方法において、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料を溶媒中に分散し、該分散液の分光吸収スペクトル(成膜して測定する)が750±5nmに主ピーク、818±5nmに副ピークを持ち、かつその副ピークの吸光度(Ab2)と主ピークの吸光度(Ab1)の比率(Ab2/Ab1:900nmでの吸光度をベースとして補正した値で)が0.4〜0.75に達したとき、該分散液を塗布乾燥し、電荷発生層を形成することを特徴とする有機感光体の製造方法。
【0022】
即ち、本発明の有機感光体は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料を含有し、その分光吸収スペクトルが、750±5nmに主ピーク、818±5nmに副ピークを持ち、かつその副ピークの吸光度(Ab2)と主ピークの吸光度(Ab1)の比率(Ab2/Ab1:900nmでの吸光度をベースとして補正した値で)が0.4〜0.75である電荷発生層を有することを特徴とする。即ち、本発明の(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料を含有する有機感光体はこのようなスペクトル特性を有することにより、前記したY型チタニルフタロシアニン顔料を用いた場合と同等の感度を有し、且つ湿度環境が変化しても感度が変化しない特性を有することができる。
【0023】
図(1)はブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料の分光吸収を示す図である。本発明のブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料は図1(a)に示すような分光吸収スペクトルを有し、750±5nmに主ピーク、818±5nmに副ピークを持ち、かつその副ピークの吸光度(Ab2)と主ピークの吸光度(Ab1)の比率(Ab2/Ab1:900nmでの吸光度をベースとして補正した値で)が0.4〜0.75である。該副ピークは成長が飽和する傾向にあり、該Ab2/Ab1は0.75より大きくはなりにくい。又、0.4〜0.65がより好ましい。一方図1(b)は、従来のブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料の分光吸収スペクトルを示す。図(b)では、Ab2/Ab1は19である。
【0024】
本発明の(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料(以後、単にブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料とも云う)は(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとチタニルフタロシアニンを各種溶媒のもとで、室温又は加熱混合して合成することができる。
【0025】
しかしながら、ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いて、電荷発生層の分散液を作製し、その後塗布乾燥して電荷発生層を形成しても、上記したスペクトル特性を示さない場合が多い。本発明の分光吸収スペクトルを有するブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を得るには、以下のようなチタニルフタロシアニン顔料を原料としてブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を合成することが好ましく、且つ、該顔料を分散した分散液をしばらく保存して、818nmの副ピークを増大させた後、塗布乾燥して電荷発生層を形成することが好ましい。
【0026】
▲1▼チタニルフタロシアニン顔料は塩素フリーのチタニルフタロシアニン顔料が好ましい。
【0027】
即ち、フタロニトリルと四塩化チタンから得られるものよりも、ジイミノイソインドリンとアルコキシチタン、或いはフタロニトリルと尿素とアルコキシチタン(Bull.Chem.Soc.Japan.,68,1001−1005(1995))から得られる塩素フリーのチタニルフタロシアニンを用いる方が高感度のブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を得ることができる。
【0028】
▲2▼チタニルフタロシアニン顔料は無定型のチタニルフタロシアニン顔料が好ましい。
【0029】
無定型チタニルフタロシアニン顔料とは図2のX線回折スペクトルに示すように結晶構造が明確でないチタニルフタロシアニン顔料をいい、チタニルフタロシアニン顔料にアシッドペースト処理を行うことにより、製造することができる。ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を作製するに際し、無定型チタニルフタロシアニン顔料を用いると、分光吸収スペクトルの818nm近辺の副ピークが発達しやすく、ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料の比率(Ab2/Ab1)が0.4〜0.65になりやすい。
【0030】
▲3▼無定型チタニルフタロシアニン顔料はアシッドペースト処理後、凍結処理し、乾燥させたものが好ましい。
【0031】
無定型チタニルフタロシアニンはアシッドペースト処理をして含水ペ−スト状態(固形分10〜20%)で得られる。ここでアシッドペースト処理とは、顔料を硫酸等に溶かして水に注いで微粒子化と同時に水溶性無機不純物の除去処理及び顔料粒子のアモルファス化処理したものでフタロシアニン顔料ではよく用いられる処理技術である。
【0032】
水が付加するY型顔料を作る場合は前記含水ペーストをそのまま使うことができるが、ジオール化合物との付加体を作る本発明の場合には乾燥粉末にする必要がある。そのとき、含水ペ−スト状態(固形分10〜20%)の顔料を直接加熱乾燥させるよりも、含水ペーストを水を多量に含んだまま凍結処理し、この後、解凍、濾過乾燥した無定型チタニルフタロシアニン乾燥物を使用したほうが分光吸収スペクトルの818nm近辺の副ピークが発達しやすく、ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料の比率(Ab2/Ab1)が0.4〜0.65になりやすい。この理由は凍結処理を経由して製造されたチタニルフタロシアニン顔料は乾燥後の顔料が柔らかく、軽い加重等でほぐれるので、その後のジオールとの付加反応が顔料内部まで均一に進行するためと推定している。
【0033】
▲4▼ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を分散後1日以上、常温で保存するのが好ましい。
【0034】
電荷発生層の分散液を作製した後、常温で保存放置すると保存中に818nm近辺の副ピークが発達しやすく、ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料の比率(Ab2/Ab1)が0.4〜0.65になりやすい。
【0035】
以上、▲1▼〜▲4▼の条件を取り入れてブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を作製することにより、本発明の分光吸収特性を有するブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を得やすい。但し、上記▲1▼〜▲4▼の条件の内、▲1▼及び▲2▼がより重要度が高く、▲3▼、▲4▼の条件はより好ましい要件である。
【0036】
無定型チタニルフタロシアニンとジオール化合物との反応には通常5〜30倍の溶媒が使用される。溶媒には特に制限はなくクロルベンゼン、ジクロルベンゼン、アニソール、クロルナフタレン、キノリンなどの芳香族溶媒からメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、さらにはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒、その他ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒など多数に上る。
【0037】
チタニルフタロシアニンとジオールとの反応は、広範囲な温度条件下で行うことができ、反応温度は25〜300℃の範囲が好ましく、50〜150℃の範囲であることがより好ましい。
【0038】
ジオール化合物とチタニルフタロシアニンとの反応は下記反応式(1)で示されるように進行する。ジオール化合物はチタニルフタロシアニン1モルに対して通常0.2〜2.0モルの割合で添加される。反応式(1)を見ればわかるように等モルの付加体であるためには、ジオール化合物を前記割合で1.0モル以上使用することが必要である。ジオール化合物を前記割合で1.0モル以下の添加量の場合には、得られた付加体はチタニルフタロシアニンとの混晶となる。本発明の分散吸収を満たすかぎり混晶も本発明の範囲にはいる。
【0039】
【化1】
【0040】
本発明のブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いて、電荷発生層等の分散液を作るには、これらの付加体を溶媒中で分散する。溶媒としては特に制限はなくメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブタノールなどのアルコール系溶媒、その酢酸エチル、酢酸t−ブチルなどのエステル系溶媒、トルエン、クロルベンゼンなどの芳香属溶媒、ジクロルエタン、トリクロルエタンなどのハロゲン系溶媒など多数に上る。
【0041】
分散液にはバインダーを使用することが出来る。バインダーとしては使用する溶媒に溶解する範囲で広く選ぶことが出来る。例えばポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルおよびこれらのコポリマーなど多数に上る。バインダーと顔料の比率は特に制限はないが通常1/10から10/1である。バインダーが少ないと分散液が不安定になり、多すぎると電気抵抗がたかくなって電子写真感光体にしたとき繰り返しで残留電位が上昇するなどの欠点が起きやすい。分散手段も制限はなくサンドグラインダー、ボールミル、超音波、ペイントシェーカー、マントンゴーリンなど多くの手段を選ぶことが出来る。
【0042】
本発明の有機感光体の作成に当たっては公知の技術をそのまま使うことが出来る。以下、本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
【0043】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0044】
上記有機感光体の層構成は、特に限定はないが、基本的には電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層(電荷発生と電荷輸送の機能を同一層に有する層)等の感光層から構成されるが、その上に表面層を塗設した構成でもよい。又、表面層は保護層の機能と電荷輸送の機能を有していることが好ましい。
【0045】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0046】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0047】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0048】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0049】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることが好まく、特にはポリアミド等のバインダー樹脂中に酸化チタン微粒子を分散含有させる中間層が好ましい。該酸化チタン粒子の平均粒径は、数平均一次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液の酸化チタン粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中の酸化チタン粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均一次粒径が前記範囲の酸化チタン粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0050】
本発明に用いられる酸化チタン粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状の酸化チタン粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0051】
本発明の酸化チタン粒子は表面処理されていることが好ましい。中でも複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものが好ましい。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0052】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とは酸化チタン粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0053】
この様に、酸化チタン粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、酸化チタン粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理された酸化チタン粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0054】
表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはメチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキチシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等の各種アルコキシシラン及びメチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0055】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0056】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0057】
本発明の有機感光体には、電荷発生物質として前述のブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を使用するが、他のフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを併用して用いることができる。
【0058】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0059】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0060】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
【0061】
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わない。例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらの中で吸水率が小さく、CTMの分散性、電子写真特性が良好なポリカーボネート樹脂が最も好ましい。
【0062】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0063】
以上、本発明の最も好ましい感光体の層構成を例示したが、本発明では上記以外の感光体層構成でも良い。
【0064】
感光層の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0065】
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0066】
次に、本発明の有機感光体を用いた画像形成装置について説明する。
図8は本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図である。
【0067】
図8に於いて50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に本発明の樹脂層を塗設した感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器(帯電手段)で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0068】
感光体への一様帯電の後、像露光手段としての像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0069】
ここで本発明の反転現像プロセスとは帯電器52により、感光体表面を一様に帯電し、像露光が行われた領域、即ち感光体の露光部電位(露光部領域)を現像工程(手段)により、顕像化する画像形成方法である。一方未露光部電位は現像スリーブ541に印加される現像バイアス電位により現像されない。
【0070】
その静電潜像は次いで現像手段としての現像器54で現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像器54内部は現像剤攪拌搬送部材544、543、搬送量規制部材542等から構成されており、現像剤は攪拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材542により制御される。該現像剤の搬送量は適用される有機電子写真感光体の線速及び現像剤比重によっても異なるが、一般的には20〜200mg/cm2の範囲である。
【0071】
現像剤は、例えば前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は搬送量規制部材によって層厚を規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。感光体の電位測定は電位センサー547を図8のように現像位置上部に設けて行う。
【0072】
記録紙Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0073】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写電極(転写手段:転写器)58が作動し、給紙された記録紙Pにトナーと反対極性の帯電を与えてトナーを転写する。
【0074】
次いで記録紙Pは分離電極(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ローラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写電極58及び分離電極59は記録紙Pの通過後、一次作動を中止し、次なるトナー像の形成に備える。図8では転写電極58にコロトロンの転写帯電極を用いている。転写電極の設定条件としては、感光体のプロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、転写電流としては+100〜+400μA、転写電圧としては+500〜+2000Vを設定値とすることができる。
【0075】
一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器(クリーニング手段)62のブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び帯電前露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0076】
尚、70は感光体、帯電器、転写器、分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0077】
本発明の有機電子写真感光体は電子写真複写機、レーザプリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【0078】
【実施例】
以下合成例、実施例を説明する。
【0079】
合成例1
特開平3−35245号公報(塩素フリーチタニルフタロシアニン)に準じて、中間体の無定型(正確には結晶化度の低いα型)チタニルフタロシアニン顔料を合成した。即ち、ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラブトキシドからチタニルフタロシアニン粗品を作り、これを硫酸に溶かし水に注いで生じた沈殿を濾過し水で十分に洗って(濾液の電気伝導度が20μS/cm以下になるまで)無定型チタニルフタロシアニン顔料含水ペーストを得た。この顔料含水ペーストを冷凍庫で凍結し、解凍後、濾過し、乾燥して無定型チタニルフタロシアニン顔料の塊を得た。この顔料の塊はスパーテルで軽く押しつぶすだけで粉末にほぐれていく柔らかいものであった。このようにして得た無定型チタニルフタロシアニン乾燥粉末8.0gと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール2.0gをクロルナフタレン100ml中、200℃、1.5時間加熱還流した。放冷後、メタノールを加えて濾過し、メタノールで洗って合成物((2R,3R)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料:CG−1)8.3gを得た。CG−1のX線回折スペクトルを図3に示す。9.5度に大きなピークがある。又、マススペクトルから648にピ−クがあり、熱分析(TG)では、390〜410℃に約11%の質量減少があることが見いだされた。その結果、該合成物は下記構造式の(2R,3R)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料と推定される。
【0080】
【化2】
【0081】
合成例(2)
合成例(1)で無定型チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとの反応で溶媒をクロルナフタレンからオルトジクロルベンゼンに代え、反応温度100ml中、120℃、6時間加熱還流した。放冷後、メタノールを加えて濾過し、メタノールで洗ってチタニルフタロシアニンの(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体(CG−2)8.3gを得た。CG−2のX線回折スペクトルを図4に示す。9.5度に大きなピークがある。マススペクトルから648にピークがあり、熱分析(TG)で390・410℃に約11%の質量減少があることから、このものもチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの付加体と推定される
合成例(3)
合成例(1)の無定型チタニルフタロシアニン乾燥粉末8.0gに(2R,3R)−2,3−ブタンジオール2.0gを加えジメチルホルムアミド100ml中、120℃、6時間加熱した。放冷後、メタノールを加えて濾過し、メタノールで洗って顔料(CG−3)8.0gを得た。CG−3のX線回折スペクトルを図5に示す。8.3度に大きなピークがある。マススペクトルから648にピークがあり、熱分析(TG)で400〜410℃に約7%の質量減少があることから、該顔料はチタニルフタロシアニンの(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体とチタニルフタロシアニンの混晶顔料と推定される。
【0082】
合成例(4)
合成例(1)中の無定型チタニルフタロシアニンをアッシドペースト処理で得た後(無定型チタニルフタロシアニン顔料含水ペースト)、凍結処理を経ることなく50℃で加熱乾燥した。顔料の硬い塊が得られたがこれを1.0mmのメッシュが通るまで乳鉢でつぶした。後は合成例(1)と同様にしてチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの付加体(CG−4)を作った。このもののX線回折スペクトル,TGは合成例(1)のCG−1と同様であった。
【0083】
比較合成例(1)
X線回折スペクトルで27.3度に最大ピークを有するY型チタニルフタロシアニンを以下の方法で作った。ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラブトキシドからチタニルフタロシアニン粗品を作り、これを硫酸に溶かし水に注いで生じた沈殿を濾過し水で十分に洗って無定型チタニルフタロシアニン顔料含水ペーストを得る。この顔料含水ペースト(固形分換算約10g)をオルトジクロルベンゼン100mlと水100mlの混合液(水層は分離している)に分散し、70℃で6時間加熱後、メタノールに注いで生じた結晶を濾過し、乾燥してY型チタニルフタロシアニン顔料(CG−5)を得た。CG−5のX線回折スペクトルを図6に示す。
【0084】
比較合成例(2)
特開平7−92699号に準じて結晶の発達したα型チタニルフタロシアニン顔料を合成した。即ち、フタロニトリルと四塩化チタンをクロルナフタレン中で加熱して240℃に加熱してジクロルチタニウムフタロシアニンを合成し、ピリジン/アンモニア水(1/1)で加水分解して結晶の発達したα型チタニルフタロシアニン顔料を得た(X線回折スペクトルは図7)。該顔料を合成例(1)で使用した無定型チタニルフタロシアニン乾燥粉末の代わりに用いた他は合成例(1)に従って反応させた。CG−6のX線回折スペクトル、TGは合成例(1)のCG−1と同様であった。
【0085】
比較合成例(3)
合成例(1)の中間原料である無定型チタニルフタロシアニン乾燥粉末を15倍量のメチルイソプロピルケトンに分散し、6時間加熱還流した。反応後、メタノールで希釈、濾過しメタノールで洗って比較合成例(2)と同じく結晶の発達したα型チタニルフタロシアニン顔料を得た。(X線回折スペクトルは図7と同じ、但し塩素フリー)。この顔料を合成例(1)で使用した無定型チタニルフタロシアニン乾燥粉末の代わりに用いた他は合成例(1)に従って反応させた。得られた顔料(CG−7)のX線回折スペクトル、TGは合成例(1)のCG−1と同様であった。
【0086】
実施例1
分散液(No.1〜7)の作製
合成例(1)(2)(3)(4)比較合成例(1)(2)(3)で得た顔料(CG−1〜CG−7)を用い、各顔料毎に、顔料2部とブチラール樹脂(BX−1、積水化学)1部とメチルエチルケトン60部、シクロヘキサノン20部を取り、サンドグラインダーで7時間分散した。分散後、さらにメチルエチルケトン20部を加えて希釈し分散液とした。但し、比較合成例(1)のCG−5(Y型顔料)は上記の条件だと結晶変換が起こるので溶媒を酢酸t−ブチル、バインダーをシリコン変性ブチラール樹脂(X41−1211MP、信越化学)に代えて分散した。これらの分散液を各顔料CG−1〜7に対応して、分散液No.1〜7とする。
【0087】
上記各分散液の経時特性の変化を分光吸収及び電子写真特性の両方で以下のように評価した。
【0088】
分光吸収測定用試料(No.1〜16)の作製
上記各分散液を20℃で保存し、表1記載のように分散直後、1日後、2日後、5日後、20日後に透明ペットベース上に乾燥膜厚0.5μmで塗布乾燥(乾燥温度24℃)し、分光吸収測定用試料(No.1〜16)を作製した。
【0089】
分光吸収測定
上記各分光吸収測定用試料(No.1〜16)の分光吸収を測定した。
【0090】
測定器:分光光度計UV3100(島津製作所社製)
測定条件:最大スケールを2.5に設定して測定した。
【0091】
Ab2/Ab1の吸光度比は図1のように750±5nmの主ピーク吸光度及び818±5nmの副ピーク吸光度(副ピークが不明な場合は818nmの吸光度を測定した)を900nmでの吸光度を0として補正して求めた。但し、分光吸収測定用試料10、11は上記750nm及び818nmにピークがなく、Ab2/Ab1の比は計算できない。
【0092】
分散液の経時による電子写真特性の変化
上記各分散液を20℃で保存し、表1記載のように分散直後、1日後、2日後、5日後、20日後に下記のように有機感光体を作製し、電子写真特性を評価した。
【0093】
感光体(No.1〜16)の作製
アルミ蒸着ペットベース上に以下の中間層、電荷発生層、電荷輸送層を塗布乾燥し、表1の分散液経時時間に対応した感光体(No.1〜16)を作製した。
【0094】
中間層
ポリアミド樹脂CM8000(東レ) 1.0部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製:1回目シリカアルミナ処理、2
回目メチルハイドロジェンポリシロキサン処理) 3.0部
メタノール 10部
ホモジナイザーで分散後、アルミ蒸着ベース上に浸漬塗布し厚さ4.0μmの中間層とした。
【0095】
電荷発生層
表1の経時に対応した分散液を用いて、#6のワイヤーバーで塗布して電荷発生層とした。
【0096】
電荷輸送層
ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZ300、三菱瓦斯化学) 15部
電荷輸送物質(N−(4−メチルフェニル)−N−{4−(β−フェニルスチ
リル)フェニル}−p−トルイジン) 9部
1,2−ジクロルエタン 100部
シリコーンオイル(KF54 信越化学) 0.001部
上記分散液を電荷発生層上にブレード塗布し、100℃で70分乾燥し、膜厚24μmの電荷輸送層を形成し、分散液経時に対応した感光体を表1のように作製した。
【0097】
評価
得られたサンプルを川口電器製(EPA8100)にて測定した。帯電は6kv、5秒間帯電させ、5秒間暗所放置後8ルックスの光を10秒間あてて表面電位の変化する様を測定した。感度(E600/100)は表面電位を600vから100vに減らす際に必要な露光量、暗減衰(DD)は帯電直後の表面電位(Va)から5秒間暗所放置した後の表面電位(Vi)の変化した割合(DD=((Va−Vi)/Va)×100:%)をあらわす。
【0098】
【表1】
【0099】
表1より、本発明の要件(Ab2/Ab1が0.4〜0.75)を満たしたブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いた感光体No.3、5、6、7、9は前記要件を満たしていないブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いた感光体No.1、2、4、8、12〜16に比し、E600/100で示される感度が著しく改善され、Y型顔料を用いた感光体No.10、11と同等の感度特性を示しており、表面電位Va及び暗減衰特性DDも実用性の範囲内の特性を示していることが、見いだされる。即ち、前記した▲1▼〜▲2▼、▲1▼〜▲3▼、或いは▲1▼〜▲4▼の条件の下に製造されたブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いた感光体、特にCG−3を用いた感光体No.6を除いて、分散液を1日以上保存することにより、本発明の分光吸収特性を得て、感度が向上している。一方、無定型ではなく発達したα型チタニルフタロシアニン顔料を原料としたブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いた感光体No.12〜16は分散後の経時保存後でも、818nm付近の副ピークの発達が悪く、感度も悪い。又、感光体No.12〜16は20日の保存後も感度上昇は小さく、副ピークの発達も小さい(例えば感光体No.14)。
【0100】
尚、本発明内の感光体No.3、5、6、7、9は副ピークの発達がAb2/Ab1比で、0.62近辺で飽和しており、このスペクトル比の飽和と共に感度も安定してくる。
【0101】
又、本発明の感光体の中でも、ジメチルホルムアミド溶媒中でブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を合成した合成例(3)のCG−3を用いた感光体No.6は、即日塗布でも高感度である。一方、アッシドペーストしたチタニルフタロシアニン顔料の製造で、凍結処理を省いた合成例(4)のCG−4を用いた感光体No.8、9は、暗減衰DDがやや大きく感度も少しおとる。
【0102】
実施例2
実施例1で作製した分散液No.3、5、7、9、11を用いてアルミドラムに塗布して感光体No.3D、5D、7D、9D、11Dを作製した。これらの各感光体をコニカデジタル複写機Sitios7060(コニカ社製レーザデジタル複写機:半導体レーザ露光器、2成分反転現像方式、クリーニングブレード等を備えている)に装着し、グリッド電圧を700Vに調整し,常温常湿度(NN)(25℃60%RH)、低温低湿度(LL)(20℃10%RH)の各環境条件下にて未露光部電位:VH、露光部電位:VLを測定した。又、以下の条件で、NNからLLに環境が変化した場合の画像評価を行った。
【0103】
画像評価
上記Konica7060複写機をNN下に24hr放置後、LL下に置き、30分後、コピーした。ハーフトーン画像を0.4の濃度でコピーし、コピー画像に表われた帯状の画像欠陥の濃度差(ΔHD=最大濃度−最小濃度)で判定
◎:ΔHDが0.05以下(良好)
○:ΔHDが0.05より大で0.1未満(実用上問題なし)
×:ΔHDが0.1以上(実用上問題あり)
【0104】
【表2】
【0105】
表2中、ΔVLはVL(NN)とVL(LL)の差を示す。
上記表2より、感光体3D、5D、7D、9Dは低温低湿度下と常温常湿度下での感度の差(ΔVL)を比べてみても20V以下である。一方、感光体11D(Y型顔料を用いた感光体)は、ΔVLは55Vと温湿度による変動が大きい。この電位変動の差は画像評価でも帯状の画像欠陥の発生の有無となって現れている。
【0106】
【発明の効果】
本発明によって、感度がよく、かつ湿度依存性の少ない有機感光体が提供され、良好な電子写真画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料の分光吸収を示す図である。
【図2】無定型チタニルフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルを示す図である。
【図3】CG−1のX線回折スペクトルの図である。
【図4】CG−2のX線回折スペクトルの図である。
【図5】CG−3のX線回折スペクトルの図である。
【図6】CG−5のX線回折スペクトルの図である。
【図7】結晶の発達したα型チタニルフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルの図である。
【図8】本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
50 感光体ドラム(感光体)
51 帯電前露光部
52 帯電器
53 像露光器
54 現像器
541 現像スリーブ
543,544 現像剤攪拌搬送部材
547 電位センサー
57 給紙ローラー
58 転写電極
59 分離電極(分離器)
60 定着装置
61 排紙ローラー
62 クリーニング器
70 プロセスカートリッジ
【発明の属する技術分野】
本発明はプリンタなどに使用され、LED光、半導体レーザ光に対して有効な電子写真用有機感光体及び該有機感光体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の発達にともない電子写真を利用した複写機やプリンターの使用頻度が益々高まっており、高感度な感光体が次々に発表されている。なかでも粉末X線回折スペクトルにてブラッグ角2θの27.2±0.2°に最大ピークを有するY型チタニルフタロシアニン顔料(以後、単にY型顔料ともいう)は高感度な素材として知られ学会報告もされている(非特許文献1)。さらに藤巻はこのY型チタニルフタロシアニン顔料が乾燥した不活性ガス中での脱水処理によっての光量子効率が低下することを見いだした。常温常湿度環境に放置して水を再吸収すると再び量子効率が上がることから、Y型顔料は水を含んだ結晶構造を有し、水分子が光によって生成した励起子のホールとエレクトロンとの解離を促進し、これが高い光量子効率を示す原因の一つと推測している(非特許文献2)。
【0003】
このような素材をキャリヤ発生物質として用いた有機感光体では、環境、特に湿度変動により感度特性が変化することが懸念されてきた。このY型顔料の感度の湿度依存の欠点は近年、高画質を要求されるにつれて目立ってきた。例えば夜雨が降り、翌日晴天になる場合、有機感光体も密閉された部分(現像器付近)が前日の高湿度雰囲気を保持しており感光体の他の開放された部分と間に感度差が生じて、朝一の運転開始直後に中間濃度の画像に感度差によって生じたと考えられる帯状の画像欠陥が発生する。
【0004】
この湿度依存性を解決するために、水の代わりに他の極性基をチタニルフタロシアニン顔料に付与する試みも以前よりなされており、“ジオール化合物を含有するチタニルフタロシアニン結晶の生成と特性”と題する講演(非特許文献3)、及び“Syntheses and Properties of Titanyl Phthalocyanine New polymorphs”と題する講演(非特許文献4)に隣接するジオール化合物がチタニルフタロシアニンと付加化合物を作ることが発表されている。又、有機感光体用の2,3−ブタンジオールとの付加体チタニルフタロシアニン顔料も報告されている(特許文献1)。
【0005】
さらに、立体規則性を有した2,3−ブタンジオールのチタニルフタロシアニン付加体がその中で特に優れた性質をもつものとして報告されており(特許文献2、3)、2,3−ブタンジオールのチタニルフタロシアニン付加体とチタニルフタロシアニンの混晶も公表されている(特許文献4)。
【0006】
しかしながら、これらの公開されたものはいずれも感度の湿度依存性は改善された反面、尚、前記Y型顔料に比して感度不足であり、高画質と同時に高速性を要求される高速のデジタル複写機等の有機感光体に適用するには、湿度依存性の改良と共に、いっそうの高感度化を達成することが要求されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−273775号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平7−173405号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平8−82942号公報
【0010】
【特許文献4】
特開平9−230615号公報
【0011】
【非特許文献1】
電子写真学会誌,29(3),250(1990)
【0012】
【非特許文献2】
Y.Fujimaki:IS&T’s 7th International Congress on Advance in Nonimpact Printing Technologies, Paper Summaries,269(1991)
【0013】
【非特許文献3】
1992年電子写真学会“Japan Hardcopy’92”予稿集153−156頁
【0014】
【非特許文献4】
1993年電子写真学会国際会議”Japan Hardcopy’93”予稿集659−662頁
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記した事情に鑑み、感度がよく、かつ湿度依存性の少ないチタニルフタロシアニン顔料を用いた有機感光体(以下、単に感光体ともいう)及び該有機感光体の製造方法を提供する事にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
発明者は上記の欠点を改良すべく検討を加えた結果、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとチタニルフタロシアニンとの付加体が、その分光吸収スペクトルで特定のスペクトル形状を形成するとき、感度と湿度依存性のどちらもが両立することを見いだし本発明を完成した。即ち、本発明の目的は以下の構造を有することによって達成される。
【0017】
1.(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料を含有し、その分光吸収スペクトルが、750±5nmに主ピーク、818±5nmに副ピークを持ち、かつその副ピークの吸光度(Ab2)と主ピークの吸光度(Ab1)の比率(Ab2/Ab1:900nmでの吸光度をベースとして補正した値で)が0.4〜0.75である電荷発生層を有することを特徴とする有機感光体。
【0018】
2.前記ジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料が無定型チタニルフタロシアニン顔料と前記ジオールとを反応させて得られることを特徴とする前記1に記載の有機感光体。
【0019】
3.前記無定型チタニルフタロシアニン顔料がアシッドペースト処理、凍結処理を経て製造されることを特徴とする前記2に記載の有機感光体。
【0020】
4.前記チタニルフタロシアニン顔料がアルコキシチタンを原料とした塩素フリーチタニルフタロシアニン顔料であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体。
【0021】
5.導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を有する有機感光体の製造方法において、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料を溶媒中に分散し、該分散液の分光吸収スペクトル(成膜して測定する)が750±5nmに主ピーク、818±5nmに副ピークを持ち、かつその副ピークの吸光度(Ab2)と主ピークの吸光度(Ab1)の比率(Ab2/Ab1:900nmでの吸光度をベースとして補正した値で)が0.4〜0.75に達したとき、該分散液を塗布乾燥し、電荷発生層を形成することを特徴とする有機感光体の製造方法。
【0022】
即ち、本発明の有機感光体は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料を含有し、その分光吸収スペクトルが、750±5nmに主ピーク、818±5nmに副ピークを持ち、かつその副ピークの吸光度(Ab2)と主ピークの吸光度(Ab1)の比率(Ab2/Ab1:900nmでの吸光度をベースとして補正した値で)が0.4〜0.75である電荷発生層を有することを特徴とする。即ち、本発明の(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料を含有する有機感光体はこのようなスペクトル特性を有することにより、前記したY型チタニルフタロシアニン顔料を用いた場合と同等の感度を有し、且つ湿度環境が変化しても感度が変化しない特性を有することができる。
【0023】
図(1)はブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料の分光吸収を示す図である。本発明のブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料は図1(a)に示すような分光吸収スペクトルを有し、750±5nmに主ピーク、818±5nmに副ピークを持ち、かつその副ピークの吸光度(Ab2)と主ピークの吸光度(Ab1)の比率(Ab2/Ab1:900nmでの吸光度をベースとして補正した値で)が0.4〜0.75である。該副ピークは成長が飽和する傾向にあり、該Ab2/Ab1は0.75より大きくはなりにくい。又、0.4〜0.65がより好ましい。一方図1(b)は、従来のブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料の分光吸収スペクトルを示す。図(b)では、Ab2/Ab1は19である。
【0024】
本発明の(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料(以後、単にブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料とも云う)は(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとチタニルフタロシアニンを各種溶媒のもとで、室温又は加熱混合して合成することができる。
【0025】
しかしながら、ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いて、電荷発生層の分散液を作製し、その後塗布乾燥して電荷発生層を形成しても、上記したスペクトル特性を示さない場合が多い。本発明の分光吸収スペクトルを有するブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を得るには、以下のようなチタニルフタロシアニン顔料を原料としてブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を合成することが好ましく、且つ、該顔料を分散した分散液をしばらく保存して、818nmの副ピークを増大させた後、塗布乾燥して電荷発生層を形成することが好ましい。
【0026】
▲1▼チタニルフタロシアニン顔料は塩素フリーのチタニルフタロシアニン顔料が好ましい。
【0027】
即ち、フタロニトリルと四塩化チタンから得られるものよりも、ジイミノイソインドリンとアルコキシチタン、或いはフタロニトリルと尿素とアルコキシチタン(Bull.Chem.Soc.Japan.,68,1001−1005(1995))から得られる塩素フリーのチタニルフタロシアニンを用いる方が高感度のブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を得ることができる。
【0028】
▲2▼チタニルフタロシアニン顔料は無定型のチタニルフタロシアニン顔料が好ましい。
【0029】
無定型チタニルフタロシアニン顔料とは図2のX線回折スペクトルに示すように結晶構造が明確でないチタニルフタロシアニン顔料をいい、チタニルフタロシアニン顔料にアシッドペースト処理を行うことにより、製造することができる。ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を作製するに際し、無定型チタニルフタロシアニン顔料を用いると、分光吸収スペクトルの818nm近辺の副ピークが発達しやすく、ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料の比率(Ab2/Ab1)が0.4〜0.65になりやすい。
【0030】
▲3▼無定型チタニルフタロシアニン顔料はアシッドペースト処理後、凍結処理し、乾燥させたものが好ましい。
【0031】
無定型チタニルフタロシアニンはアシッドペースト処理をして含水ペ−スト状態(固形分10〜20%)で得られる。ここでアシッドペースト処理とは、顔料を硫酸等に溶かして水に注いで微粒子化と同時に水溶性無機不純物の除去処理及び顔料粒子のアモルファス化処理したものでフタロシアニン顔料ではよく用いられる処理技術である。
【0032】
水が付加するY型顔料を作る場合は前記含水ペーストをそのまま使うことができるが、ジオール化合物との付加体を作る本発明の場合には乾燥粉末にする必要がある。そのとき、含水ペ−スト状態(固形分10〜20%)の顔料を直接加熱乾燥させるよりも、含水ペーストを水を多量に含んだまま凍結処理し、この後、解凍、濾過乾燥した無定型チタニルフタロシアニン乾燥物を使用したほうが分光吸収スペクトルの818nm近辺の副ピークが発達しやすく、ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料の比率(Ab2/Ab1)が0.4〜0.65になりやすい。この理由は凍結処理を経由して製造されたチタニルフタロシアニン顔料は乾燥後の顔料が柔らかく、軽い加重等でほぐれるので、その後のジオールとの付加反応が顔料内部まで均一に進行するためと推定している。
【0033】
▲4▼ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を分散後1日以上、常温で保存するのが好ましい。
【0034】
電荷発生層の分散液を作製した後、常温で保存放置すると保存中に818nm近辺の副ピークが発達しやすく、ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料の比率(Ab2/Ab1)が0.4〜0.65になりやすい。
【0035】
以上、▲1▼〜▲4▼の条件を取り入れてブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を作製することにより、本発明の分光吸収特性を有するブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を得やすい。但し、上記▲1▼〜▲4▼の条件の内、▲1▼及び▲2▼がより重要度が高く、▲3▼、▲4▼の条件はより好ましい要件である。
【0036】
無定型チタニルフタロシアニンとジオール化合物との反応には通常5〜30倍の溶媒が使用される。溶媒には特に制限はなくクロルベンゼン、ジクロルベンゼン、アニソール、クロルナフタレン、キノリンなどの芳香族溶媒からメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、さらにはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒、その他ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒など多数に上る。
【0037】
チタニルフタロシアニンとジオールとの反応は、広範囲な温度条件下で行うことができ、反応温度は25〜300℃の範囲が好ましく、50〜150℃の範囲であることがより好ましい。
【0038】
ジオール化合物とチタニルフタロシアニンとの反応は下記反応式(1)で示されるように進行する。ジオール化合物はチタニルフタロシアニン1モルに対して通常0.2〜2.0モルの割合で添加される。反応式(1)を見ればわかるように等モルの付加体であるためには、ジオール化合物を前記割合で1.0モル以上使用することが必要である。ジオール化合物を前記割合で1.0モル以下の添加量の場合には、得られた付加体はチタニルフタロシアニンとの混晶となる。本発明の分散吸収を満たすかぎり混晶も本発明の範囲にはいる。
【0039】
【化1】
【0040】
本発明のブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いて、電荷発生層等の分散液を作るには、これらの付加体を溶媒中で分散する。溶媒としては特に制限はなくメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブタノールなどのアルコール系溶媒、その酢酸エチル、酢酸t−ブチルなどのエステル系溶媒、トルエン、クロルベンゼンなどの芳香属溶媒、ジクロルエタン、トリクロルエタンなどのハロゲン系溶媒など多数に上る。
【0041】
分散液にはバインダーを使用することが出来る。バインダーとしては使用する溶媒に溶解する範囲で広く選ぶことが出来る。例えばポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルおよびこれらのコポリマーなど多数に上る。バインダーと顔料の比率は特に制限はないが通常1/10から10/1である。バインダーが少ないと分散液が不安定になり、多すぎると電気抵抗がたかくなって電子写真感光体にしたとき繰り返しで残留電位が上昇するなどの欠点が起きやすい。分散手段も制限はなくサンドグラインダー、ボールミル、超音波、ペイントシェーカー、マントンゴーリンなど多くの手段を選ぶことが出来る。
【0042】
本発明の有機感光体の作成に当たっては公知の技術をそのまま使うことが出来る。以下、本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
【0043】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0044】
上記有機感光体の層構成は、特に限定はないが、基本的には電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層(電荷発生と電荷輸送の機能を同一層に有する層)等の感光層から構成されるが、その上に表面層を塗設した構成でもよい。又、表面層は保護層の機能と電荷輸送の機能を有していることが好ましい。
【0045】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0046】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0047】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0048】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0049】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることが好まく、特にはポリアミド等のバインダー樹脂中に酸化チタン微粒子を分散含有させる中間層が好ましい。該酸化チタン粒子の平均粒径は、数平均一次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液の酸化チタン粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中の酸化チタン粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均一次粒径が前記範囲の酸化チタン粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0050】
本発明に用いられる酸化チタン粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状の酸化チタン粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0051】
本発明の酸化チタン粒子は表面処理されていることが好ましい。中でも複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものが好ましい。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0052】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とは酸化チタン粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0053】
この様に、酸化チタン粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、酸化チタン粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理された酸化チタン粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0054】
表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはメチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキチシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等の各種アルコキシシラン及びメチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0055】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0056】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0057】
本発明の有機感光体には、電荷発生物質として前述のブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を使用するが、他のフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを併用して用いることができる。
【0058】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0059】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0060】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
【0061】
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わない。例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらの中で吸水率が小さく、CTMの分散性、電子写真特性が良好なポリカーボネート樹脂が最も好ましい。
【0062】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0063】
以上、本発明の最も好ましい感光体の層構成を例示したが、本発明では上記以外の感光体層構成でも良い。
【0064】
感光層の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0065】
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0066】
次に、本発明の有機感光体を用いた画像形成装置について説明する。
図8は本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図である。
【0067】
図8に於いて50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に本発明の樹脂層を塗設した感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器(帯電手段)で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0068】
感光体への一様帯電の後、像露光手段としての像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0069】
ここで本発明の反転現像プロセスとは帯電器52により、感光体表面を一様に帯電し、像露光が行われた領域、即ち感光体の露光部電位(露光部領域)を現像工程(手段)により、顕像化する画像形成方法である。一方未露光部電位は現像スリーブ541に印加される現像バイアス電位により現像されない。
【0070】
その静電潜像は次いで現像手段としての現像器54で現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像器54内部は現像剤攪拌搬送部材544、543、搬送量規制部材542等から構成されており、現像剤は攪拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材542により制御される。該現像剤の搬送量は適用される有機電子写真感光体の線速及び現像剤比重によっても異なるが、一般的には20〜200mg/cm2の範囲である。
【0071】
現像剤は、例えば前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は搬送量規制部材によって層厚を規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。感光体の電位測定は電位センサー547を図8のように現像位置上部に設けて行う。
【0072】
記録紙Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0073】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写電極(転写手段:転写器)58が作動し、給紙された記録紙Pにトナーと反対極性の帯電を与えてトナーを転写する。
【0074】
次いで記録紙Pは分離電極(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ローラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写電極58及び分離電極59は記録紙Pの通過後、一次作動を中止し、次なるトナー像の形成に備える。図8では転写電極58にコロトロンの転写帯電極を用いている。転写電極の設定条件としては、感光体のプロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、転写電流としては+100〜+400μA、転写電圧としては+500〜+2000Vを設定値とすることができる。
【0075】
一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器(クリーニング手段)62のブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び帯電前露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0076】
尚、70は感光体、帯電器、転写器、分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0077】
本発明の有機電子写真感光体は電子写真複写機、レーザプリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【0078】
【実施例】
以下合成例、実施例を説明する。
【0079】
合成例1
特開平3−35245号公報(塩素フリーチタニルフタロシアニン)に準じて、中間体の無定型(正確には結晶化度の低いα型)チタニルフタロシアニン顔料を合成した。即ち、ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラブトキシドからチタニルフタロシアニン粗品を作り、これを硫酸に溶かし水に注いで生じた沈殿を濾過し水で十分に洗って(濾液の電気伝導度が20μS/cm以下になるまで)無定型チタニルフタロシアニン顔料含水ペーストを得た。この顔料含水ペーストを冷凍庫で凍結し、解凍後、濾過し、乾燥して無定型チタニルフタロシアニン顔料の塊を得た。この顔料の塊はスパーテルで軽く押しつぶすだけで粉末にほぐれていく柔らかいものであった。このようにして得た無定型チタニルフタロシアニン乾燥粉末8.0gと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール2.0gをクロルナフタレン100ml中、200℃、1.5時間加熱還流した。放冷後、メタノールを加えて濾過し、メタノールで洗って合成物((2R,3R)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料:CG−1)8.3gを得た。CG−1のX線回折スペクトルを図3に示す。9.5度に大きなピークがある。又、マススペクトルから648にピ−クがあり、熱分析(TG)では、390〜410℃に約11%の質量減少があることが見いだされた。その結果、該合成物は下記構造式の(2R,3R)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料と推定される。
【0080】
【化2】
【0081】
合成例(2)
合成例(1)で無定型チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとの反応で溶媒をクロルナフタレンからオルトジクロルベンゼンに代え、反応温度100ml中、120℃、6時間加熱還流した。放冷後、メタノールを加えて濾過し、メタノールで洗ってチタニルフタロシアニンの(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体(CG−2)8.3gを得た。CG−2のX線回折スペクトルを図4に示す。9.5度に大きなピークがある。マススペクトルから648にピークがあり、熱分析(TG)で390・410℃に約11%の質量減少があることから、このものもチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの付加体と推定される
合成例(3)
合成例(1)の無定型チタニルフタロシアニン乾燥粉末8.0gに(2R,3R)−2,3−ブタンジオール2.0gを加えジメチルホルムアミド100ml中、120℃、6時間加熱した。放冷後、メタノールを加えて濾過し、メタノールで洗って顔料(CG−3)8.0gを得た。CG−3のX線回折スペクトルを図5に示す。8.3度に大きなピークがある。マススペクトルから648にピークがあり、熱分析(TG)で400〜410℃に約7%の質量減少があることから、該顔料はチタニルフタロシアニンの(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体とチタニルフタロシアニンの混晶顔料と推定される。
【0082】
合成例(4)
合成例(1)中の無定型チタニルフタロシアニンをアッシドペースト処理で得た後(無定型チタニルフタロシアニン顔料含水ペースト)、凍結処理を経ることなく50℃で加熱乾燥した。顔料の硬い塊が得られたがこれを1.0mmのメッシュが通るまで乳鉢でつぶした。後は合成例(1)と同様にしてチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの付加体(CG−4)を作った。このもののX線回折スペクトル,TGは合成例(1)のCG−1と同様であった。
【0083】
比較合成例(1)
X線回折スペクトルで27.3度に最大ピークを有するY型チタニルフタロシアニンを以下の方法で作った。ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラブトキシドからチタニルフタロシアニン粗品を作り、これを硫酸に溶かし水に注いで生じた沈殿を濾過し水で十分に洗って無定型チタニルフタロシアニン顔料含水ペーストを得る。この顔料含水ペースト(固形分換算約10g)をオルトジクロルベンゼン100mlと水100mlの混合液(水層は分離している)に分散し、70℃で6時間加熱後、メタノールに注いで生じた結晶を濾過し、乾燥してY型チタニルフタロシアニン顔料(CG−5)を得た。CG−5のX線回折スペクトルを図6に示す。
【0084】
比較合成例(2)
特開平7−92699号に準じて結晶の発達したα型チタニルフタロシアニン顔料を合成した。即ち、フタロニトリルと四塩化チタンをクロルナフタレン中で加熱して240℃に加熱してジクロルチタニウムフタロシアニンを合成し、ピリジン/アンモニア水(1/1)で加水分解して結晶の発達したα型チタニルフタロシアニン顔料を得た(X線回折スペクトルは図7)。該顔料を合成例(1)で使用した無定型チタニルフタロシアニン乾燥粉末の代わりに用いた他は合成例(1)に従って反応させた。CG−6のX線回折スペクトル、TGは合成例(1)のCG−1と同様であった。
【0085】
比較合成例(3)
合成例(1)の中間原料である無定型チタニルフタロシアニン乾燥粉末を15倍量のメチルイソプロピルケトンに分散し、6時間加熱還流した。反応後、メタノールで希釈、濾過しメタノールで洗って比較合成例(2)と同じく結晶の発達したα型チタニルフタロシアニン顔料を得た。(X線回折スペクトルは図7と同じ、但し塩素フリー)。この顔料を合成例(1)で使用した無定型チタニルフタロシアニン乾燥粉末の代わりに用いた他は合成例(1)に従って反応させた。得られた顔料(CG−7)のX線回折スペクトル、TGは合成例(1)のCG−1と同様であった。
【0086】
実施例1
分散液(No.1〜7)の作製
合成例(1)(2)(3)(4)比較合成例(1)(2)(3)で得た顔料(CG−1〜CG−7)を用い、各顔料毎に、顔料2部とブチラール樹脂(BX−1、積水化学)1部とメチルエチルケトン60部、シクロヘキサノン20部を取り、サンドグラインダーで7時間分散した。分散後、さらにメチルエチルケトン20部を加えて希釈し分散液とした。但し、比較合成例(1)のCG−5(Y型顔料)は上記の条件だと結晶変換が起こるので溶媒を酢酸t−ブチル、バインダーをシリコン変性ブチラール樹脂(X41−1211MP、信越化学)に代えて分散した。これらの分散液を各顔料CG−1〜7に対応して、分散液No.1〜7とする。
【0087】
上記各分散液の経時特性の変化を分光吸収及び電子写真特性の両方で以下のように評価した。
【0088】
分光吸収測定用試料(No.1〜16)の作製
上記各分散液を20℃で保存し、表1記載のように分散直後、1日後、2日後、5日後、20日後に透明ペットベース上に乾燥膜厚0.5μmで塗布乾燥(乾燥温度24℃)し、分光吸収測定用試料(No.1〜16)を作製した。
【0089】
分光吸収測定
上記各分光吸収測定用試料(No.1〜16)の分光吸収を測定した。
【0090】
測定器:分光光度計UV3100(島津製作所社製)
測定条件:最大スケールを2.5に設定して測定した。
【0091】
Ab2/Ab1の吸光度比は図1のように750±5nmの主ピーク吸光度及び818±5nmの副ピーク吸光度(副ピークが不明な場合は818nmの吸光度を測定した)を900nmでの吸光度を0として補正して求めた。但し、分光吸収測定用試料10、11は上記750nm及び818nmにピークがなく、Ab2/Ab1の比は計算できない。
【0092】
分散液の経時による電子写真特性の変化
上記各分散液を20℃で保存し、表1記載のように分散直後、1日後、2日後、5日後、20日後に下記のように有機感光体を作製し、電子写真特性を評価した。
【0093】
感光体(No.1〜16)の作製
アルミ蒸着ペットベース上に以下の中間層、電荷発生層、電荷輸送層を塗布乾燥し、表1の分散液経時時間に対応した感光体(No.1〜16)を作製した。
【0094】
中間層
ポリアミド樹脂CM8000(東レ) 1.0部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製:1回目シリカアルミナ処理、2
回目メチルハイドロジェンポリシロキサン処理) 3.0部
メタノール 10部
ホモジナイザーで分散後、アルミ蒸着ベース上に浸漬塗布し厚さ4.0μmの中間層とした。
【0095】
電荷発生層
表1の経時に対応した分散液を用いて、#6のワイヤーバーで塗布して電荷発生層とした。
【0096】
電荷輸送層
ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZ300、三菱瓦斯化学) 15部
電荷輸送物質(N−(4−メチルフェニル)−N−{4−(β−フェニルスチ
リル)フェニル}−p−トルイジン) 9部
1,2−ジクロルエタン 100部
シリコーンオイル(KF54 信越化学) 0.001部
上記分散液を電荷発生層上にブレード塗布し、100℃で70分乾燥し、膜厚24μmの電荷輸送層を形成し、分散液経時に対応した感光体を表1のように作製した。
【0097】
評価
得られたサンプルを川口電器製(EPA8100)にて測定した。帯電は6kv、5秒間帯電させ、5秒間暗所放置後8ルックスの光を10秒間あてて表面電位の変化する様を測定した。感度(E600/100)は表面電位を600vから100vに減らす際に必要な露光量、暗減衰(DD)は帯電直後の表面電位(Va)から5秒間暗所放置した後の表面電位(Vi)の変化した割合(DD=((Va−Vi)/Va)×100:%)をあらわす。
【0098】
【表1】
【0099】
表1より、本発明の要件(Ab2/Ab1が0.4〜0.75)を満たしたブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いた感光体No.3、5、6、7、9は前記要件を満たしていないブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いた感光体No.1、2、4、8、12〜16に比し、E600/100で示される感度が著しく改善され、Y型顔料を用いた感光体No.10、11と同等の感度特性を示しており、表面電位Va及び暗減衰特性DDも実用性の範囲内の特性を示していることが、見いだされる。即ち、前記した▲1▼〜▲2▼、▲1▼〜▲3▼、或いは▲1▼〜▲4▼の条件の下に製造されたブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いた感光体、特にCG−3を用いた感光体No.6を除いて、分散液を1日以上保存することにより、本発明の分光吸収特性を得て、感度が向上している。一方、無定型ではなく発達したα型チタニルフタロシアニン顔料を原料としたブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いた感光体No.12〜16は分散後の経時保存後でも、818nm付近の副ピークの発達が悪く、感度も悪い。又、感光体No.12〜16は20日の保存後も感度上昇は小さく、副ピークの発達も小さい(例えば感光体No.14)。
【0100】
尚、本発明内の感光体No.3、5、6、7、9は副ピークの発達がAb2/Ab1比で、0.62近辺で飽和しており、このスペクトル比の飽和と共に感度も安定してくる。
【0101】
又、本発明の感光体の中でも、ジメチルホルムアミド溶媒中でブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を合成した合成例(3)のCG−3を用いた感光体No.6は、即日塗布でも高感度である。一方、アッシドペーストしたチタニルフタロシアニン顔料の製造で、凍結処理を省いた合成例(4)のCG−4を用いた感光体No.8、9は、暗減衰DDがやや大きく感度も少しおとる。
【0102】
実施例2
実施例1で作製した分散液No.3、5、7、9、11を用いてアルミドラムに塗布して感光体No.3D、5D、7D、9D、11Dを作製した。これらの各感光体をコニカデジタル複写機Sitios7060(コニカ社製レーザデジタル複写機:半導体レーザ露光器、2成分反転現像方式、クリーニングブレード等を備えている)に装着し、グリッド電圧を700Vに調整し,常温常湿度(NN)(25℃60%RH)、低温低湿度(LL)(20℃10%RH)の各環境条件下にて未露光部電位:VH、露光部電位:VLを測定した。又、以下の条件で、NNからLLに環境が変化した場合の画像評価を行った。
【0103】
画像評価
上記Konica7060複写機をNN下に24hr放置後、LL下に置き、30分後、コピーした。ハーフトーン画像を0.4の濃度でコピーし、コピー画像に表われた帯状の画像欠陥の濃度差(ΔHD=最大濃度−最小濃度)で判定
◎:ΔHDが0.05以下(良好)
○:ΔHDが0.05より大で0.1未満(実用上問題なし)
×:ΔHDが0.1以上(実用上問題あり)
【0104】
【表2】
【0105】
表2中、ΔVLはVL(NN)とVL(LL)の差を示す。
上記表2より、感光体3D、5D、7D、9Dは低温低湿度下と常温常湿度下での感度の差(ΔVL)を比べてみても20V以下である。一方、感光体11D(Y型顔料を用いた感光体)は、ΔVLは55Vと温湿度による変動が大きい。この電位変動の差は画像評価でも帯状の画像欠陥の発生の有無となって現れている。
【0106】
【発明の効果】
本発明によって、感度がよく、かつ湿度依存性の少ない有機感光体が提供され、良好な電子写真画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料の分光吸収を示す図である。
【図2】無定型チタニルフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルを示す図である。
【図3】CG−1のX線回折スペクトルの図である。
【図4】CG−2のX線回折スペクトルの図である。
【図5】CG−3のX線回折スペクトルの図である。
【図6】CG−5のX線回折スペクトルの図である。
【図7】結晶の発達したα型チタニルフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルの図である。
【図8】本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
50 感光体ドラム(感光体)
51 帯電前露光部
52 帯電器
53 像露光器
54 現像器
541 現像スリーブ
543,544 現像剤攪拌搬送部材
547 電位センサー
57 給紙ローラー
58 転写電極
59 分離電極(分離器)
60 定着装置
61 排紙ローラー
62 クリーニング器
70 プロセスカートリッジ
Claims (5)
- (2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料を含有し、その分光吸収スペクトルが、750±5nmに主ピーク、818±5nmに副ピークを持ち、かつその副ピークの吸光度(Ab2)と主ピークの吸光度(Ab1)の比率(Ab2/Ab1:900nmでの吸光度をベースとして補正した値で)が0.4〜0.75である電荷発生層を有することを特徴とする有機感光体。
- 前記ジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料が無定型チタニルフタロシアニン顔料と前記ジオールとを反応させて得られることを特徴とする請求項1に記載の有機感光体。
- 前記無定型チタニルフタロシアニン顔料がアシッドペースト処理、凍結処理を経て製造されることを特徴とする請求項2に記載の有機感光体。
- 前記チタニルフタロシアニン顔料がアルコキシチタンを原料とした塩素フリーチタニルフタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体。
- 導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を有する有機感光体の製造方法において、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを付加したチタニルフタロシアニン顔料を溶媒中に分散し、該分散液の分光吸収スペクトル(成膜して測定する)が750±5nmに主ピーク、818±5nmに副ピークを持ち、かつその副ピークの吸光度(Ab2)と主ピークの吸光度(Ab1)の比率(Ab2/Ab1:900nmでの吸光度をベースとして補正した値で)が0.4〜0.75に達したとき、該分散液を塗布乾燥し、電荷発生層を形成することを特徴とする有機感光体の製造方法。
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