JP2002040693A - 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、電荷発生層の分散塗布液の製造方法、画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、電荷発生層の分散塗布液の製造方法、画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ

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JP2002040693A
JP2002040693A JP2000218982A JP2000218982A JP2002040693A JP 2002040693 A JP2002040693 A JP 2002040693A JP 2000218982 A JP2000218982 A JP 2000218982A JP 2000218982 A JP2000218982 A JP 2000218982A JP 2002040693 A JP2002040693 A JP 2002040693A
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perylene
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JP2000218982A
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English (en)
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Kenichi Yasuda
憲一 安田
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた感度及び電位安定性を有し長期に亘り
繰り返して画像形成を行った場合でも感度低下及び帯電
電位の劣化を生ずることがなく、且つメモリ現象が発生
しない正帯電用電子写真感光体を提供することであり、
該電子写真感光体を用いた画像形成方法、画像形成装
置、及びプロセスカートリッジの提供。 【解決手段】 電荷発生層が電荷発生物質として1つ以
上の金属原子を含有するペリレン混成顔料を有し、バイ
ンダー樹脂としてポリカーボネート樹脂又はポリアリレ
ート樹脂を有し、且つ該電荷発生層の分散塗布溶媒とし
てシクロヘキサノン及びトルエンの少なくとも一方を用
いることを特徴とする電子写真感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真感光体に関
し、特にプリンターや複写機等に有用な正帯電用電子写
真感光体に関する。更に該電子写真感光体の製造方法、
電荷発生層の分散塗布液の製造方法、該電子写真感光体
を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカー
トリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体(以後単に感光体
ともいう)としては、セレン、酸化亜鉛、硫化カドミウ
ム、シリコン等の無機光導電性物質を主成分とする感光
層を有する無機感光体が広く用いられてきた。しかしな
がら、これらは感度、熱安定性、耐湿性、耐久性等にお
いて必ずしも満足し得るものではなく、また一部の無機
感光体では人体に有害な物質を含むため、廃棄に際して
環境汚染の問題がある。
【0003】これらの無機感光体の持つ欠点を克服する
目的で様々な有機光導電性物質を主成分とする感光層を
有する有機感光体の研究、開発が近年盛んに行われてい
る。特に電荷発生機能を電荷発生物質(CGM)に、電
荷輸送機能を電荷輸送物質(CTM)にそれぞれ分担さ
せた感光体は、それぞれの材料を広い範囲から選択する
ことができ、任意の性能を有するものを比較的容易に作
製し得ることから多くの研究開発がなされており、広く
実用化されている。
【0004】ところで、上記感光体においては、導電性
支持体上にCGMを含有する電荷発生層(CGL)を設
け、該CGL上に正孔輸送物質(p−CTM)を含有す
る電荷輸送層(CTL)を設けた積層構成の負帯電用感
光体が主流であった。しかしながら、上記負帯電用感光
体では表面に一様な帯電を付与する際、多量のオゾンや
NOXを発生して環境条件を悪化させるといった欠点が
ある。
【0005】そこで、オゾンやNOXの発生が少なく環
境に優しい正帯電用の感光体が注目されている。上記正
帯電用感光体としては、導電性支持体上にCGM及びp
−CTMを共に含有する単層構成の感光層を設けた感光
体の開発が進められている。
【0006】しかしながら上記正帯電用感光体はいずれ
も、感光層中で光照射時に発生する電子、或いは正孔対
の輸送能が十分でなく、表面電荷の消去露光を行っても
感光体の表面正電荷を十分に消去できず、又、繰り返し
て使用した場合、さらに感度低下及び帯電電位の劣化を
生じて長期間の使用に対しては十分な耐久性が得られて
いないのが実状であった。このような現象を回避するた
めに電荷輸送層上に1μm以下の電荷発生層を設けた積
層構成の正帯電感光体が提案されているが、このタイプ
の薄層電荷発生層はクリーニングブレード等で容易に摩
耗され、十分な耐久性が得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みて提案されたものであり、その目的とするところ
は、優れた感度及び電位安定性を有し長期に亘り繰り返
して画像形成を行った場合でも感度低下及び帯電電位の
劣化を生ずることがなく、且つメモリ現象が発生しない
正帯電用電子写真感光体を提供することであり、該電子
写真感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置、及び
プロセスカートリッジを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は下記構成に
より達成される。
【0009】1.導電性支持体上に電荷発生物質、電荷
輸送物質、及びバインダー樹脂を含有する電荷発生層を
有する電子写真感光体において、該電荷発生物質として
1つ以上の金属原子を含有するペリレン混成顔料を有
し、前記バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂又
はポリアリレート樹脂を有し、且つ前記電荷発生層を分
散塗布溶媒としてシクロヘキサノン及びトルエンの少な
くとも一方を用いることを特徴とする電子写真感光体。
【0010】2.前記ペリレン混成顔料の金属原子がT
i、Cu、V、Gaのいずれかであることを特徴とする
前記1に記載の電子写真感光体。
【0011】3.前記ペリレン混成顔料の金属原子含有
量が50ppm〜10000ppmであることを特徴と
する前記1又は2に記載の電子写真感光体。
【0012】4.前記金属原子がペリレン混成顔料中に
含有された金属フタロシアニン化合物の金属原子である
ことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の電
子写真感光体。
【0013】5.前記ペリレン混成顔料中の金属フタロ
シアニン化合物の含有量が0.01〜10質量%である
ことを特徴とする前記4に記載の電子写真感光体。
【0014】6.前記ペリレン混成顔料が前記構造で表
される化合物(1)のビスイミダゾールペリレンを含有
することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載
の電子写真感光体。
【0015】7.前記ペリレン混成顔料のX線回折パタ
ーンがCu−Kα特性X線回折の2θ(2θ±0.2)
角度で少なくとも6.2、10.1、12.2、に回折
ピークを有することを特徴とする前記1〜6のいずれか
1項に記載の電子写真感光体。
【0016】8.前記バインダー樹脂が分子量30,0
00以上の樹脂成分を40質量%以上含有するポリカー
ボネートであることを特徴とする前記1〜7のいずれか
1項に記載の電子写真感光体。
【0017】9.前記電荷発生層の分散塗布溶媒が更に
50〜100℃の低沸点ケトン溶媒を含有することを特
徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感
光体。
【0018】10.前記電荷発生層の分散塗布液は平均
分子量5,000〜30,000のポリカーボネートと
溶媒の溶液中でペリレン混成顔料を粉砕、分散を進行さ
せた後、平均分子量45,000〜200,000の樹
脂溶液を加えて作製することを特徴とする前記1〜9の
いずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0019】11.前記導電性支持体と電荷発生層の間
に電荷輸送層を有することを特徴とする前記1〜10の
いずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0020】12.導電性支持体上に1つ以上の金属原
子を含有するペリレン混成顔料、ポリカーボネート樹脂
又はポリアリレート樹脂、及び分散塗布するための溶媒
としてシクロヘキサノン又はトルエンを含有する電荷発
生層の分散塗布液を塗布乾燥することにより電荷発生層
を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方
法。
【0021】13.前記1〜11のいずれか1項に記載
の電子写真感光体の製造に用いられる電荷発生層の分散
塗布液の製造方法において、ペリレン混成顔料を平均分
子量5,000〜30,000のポリカーボネートと溶
媒の溶液中で粉砕、分散を進行させた後、平均分子量4
5,000〜200,000の樹脂溶液を加えて作製す
ることを特徴とする電荷発生層の分散塗布液の製造方
法。
【0022】14.少なくとも帯電、像露光、現像の各
工程を有する画像形成方法において、前記1〜11のい
ずれか1項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴
とする画像形成方法。
【0023】15.少なくとも帯電、像露光、現像の各
手段を有する画像形成装置において、前記1〜11のい
ずれか1項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴
とする画像形成装置。
【0024】16.少なくとも帯電、像露光、現像の手
段を有する画像形成装置に使用するプロセスカートリッ
ジにおいて、該プロセスカートリッジは前記1〜11の
いずれか1項に記載の電子写真感光体と帯電、像露光、
現像の少なくとも1つの手段とを一体に組み合わせて有
しており、且つ前記画像形成装置に出し入れ自由に設計
されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0025】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
感光体の層構成について記載する。本発明の感光体の層
構成は導電性支持体上に電荷発生物質、電荷輸送物質、
及びバインダー樹脂を含有する電荷発生層を設けた構成
を基本的な層構成とする。該電荷発生層の上下に必要に
より中間層や保護層を設けても良い。又、導電性支持体
と電荷発生層の間に電荷輸送層を設けることが好まし
い。
【0026】本発明の電荷発生層は主として電荷発生物
質(CGM)、バインダー樹脂、及び電荷輸送物質(C
TM)から構成され、電荷発生物質(CGM)とバイン
ダー樹脂の質量比は0.10〜0.25:1が、電荷輸
送物質(CTM)とバインダー樹脂の質量比が0.50
〜1.50:1であることが好ましい。本発明の電荷発
生層の膜厚は2μm〜18μmが好ましい。
【0027】本発明の電荷輸送層は主として電荷輸送物
質(CTM)、及びバインダー樹脂から構成され、電荷
輸送物質(CTM)とバインダー樹脂の質量比は0.2
〜2.0:1であることが好ましい。このような質量比
の範囲を外れると感度低下が大きくなったり、電位変動
が大きくなったり、画像メモリーが発生しやすい。本発
明の電荷輸送層の膜厚は10〜30μmが好ましい。
【0028】次に、本発明の主要技術である電荷発生物
質として用いる顔料中の金属原子含有状態についてその
特徴を説明する。ここで本発明の顔料とは粒体状の顔料
をイメージしており、顔料粒子と同意義である。即ち、
本発明の顔料とは顔料粒子を意味する。
【0029】本発明では、特定の顔料を作製後に他の顔
料や化合物を混ぜ合わせる手段を通して得られた顔料を
顔料混合(もしくは顔料混合粒子)と記する。
【0030】また、特定の顔料作製段階で該顔料と他の
顔料や化合物を一旦溶解し、この複数の物質を分子レベ
ルで混合する操作を混成処理と呼ぶことにし、同混成処
理を経て作製した複数の顔料、化合物を有する顔料粒子
を混成顔料(もしくは混成顔料粒子)と記する。本発明
の顔料粒子はこの混成顔料を基本技術として開発され
た。
【0031】ここで本発明で記する混成顔料について詳
細に説明する。第一に混成顔料は該顔料粒子製造段階で
複数の物質(例えば、顔料と金属原子含有化合物)を一
旦分子レベルで混合する混成処理を経たことを特徴とす
る。混成処理後に粒子化する操作を行うため複数の物
質、化合物を同時に含有する顔料粒子として形成され
る。
【0032】混成処理された物質、化合物の一部は分子
状態で顔料粒子中に取り込まれているため顔料粒子中に
取り込まれた物質、化合物のエネルギー準位によっては
電荷発生物質の結晶機構中に不純物レベルを作りだすた
め粒子中のトラップ準位に起因すると思われる様々な問
題の解決手段となり得たと推測している。
【0033】また、混成顔料に分散処理等を行い画像欠
陥を生じない感光層を形成しうる状態まで微粒化した後
も顔料粒子中には前記混成処理により複数種の物質、化
合物が含有された状態が保持されている。
【0034】一方顔料混合では特定の顔料粒子作製後に
他の顔料や化合物と混合、分散が行われるので、これら
の混合、分散処理では例え複数の顔料が存在したとして
も、各顔料粒子はそれぞれ独立に存在しているものと考
えられる。たとえ一部粒子同士が集合体を形成したり、
溶解状態で粒子内に浸透したとしても混成のような分子
レベルでの均一分散状態から得られた混成顔料とは状態
が異なる。
【0035】本発明のペリレン混成顔料はペリレン化合
物と他の1つ以上の金属原子含有化合物を混成処理して
得られたペリレン混成顔料であることを特徴とする。即
ち、ペリレンと金属原子含有化合物との混成処理により
得られた本発明のペリレン混成顔料を電荷発生物質とし
て用いた本発明の正帯電用電子写真感光体は、繰り返し
使用時の感度低下及び電位変動が少なく、メモリの発生
もなく電子写真性能を示し、優れた電子写真画像を提供
することができる。
【0036】更に、該ペリレン混成顔料のX線回折パタ
ーンがCu−Kα特性X線回折の2θ(2θ±0.2)
角度で少なくとも6.2、10.1、12.2、に回折
ピークを有することが好ましい。
【0037】以下に本発明の優れた特性を具体的に説明
するために電子写真感光体を構成するうえで使用しうる
材料の例を示すが、本発明の本質はこれらの具体例によ
ってなんら限定されるものでは無い。
【0038】本発明中のペリレン化合物としては前記化
合物(1)以外に下記のような化合物を例示する事がで
きる。
【0039】
【化2】
【0040】
【化3】
【0041】これらの中でも前記化合物(1)のビスイ
ミダゾールペリレンが最も好ましい。化合物(1)は一
般に構造異性体を有している。
【0042】一方、前記混成処理に混入される金属原子
含有化合物としては金属原子を有するフタロシアニン化
合物が好ましい。該金属原子を有するフタロシアニン化
合物としてはTi、Cu、V及びGaの少なくとも1種
の金属を有するフタロシアニン化合物を用いるのが好ま
しい。そしてペリレン混成顔料の金属原子含有量は50
ppm〜10000ppmであることが好ましい。本発
明のペリレン混成顔料が上記範囲の金属原子を含有する
ことにより、感度の低下、電位変動を小さくでき、メモ
リーの発生を防止することができる。
【0043】前記ペリレン混成顔料の金属原子含有量を
達成するためにはペリレン混成顔料中の金属フタロシア
ニン化合物の含有量が0.01〜10質量%であること
が好ましい。ペリレン混成顔料作製の混成処理時にこの
ような比率の金属フタロシアニンを混合することによ
り、ペリレン混成顔料の金属原子含有量を50ppm〜
10000ppmの範囲に調整することができる。
【0044】又、本発明のペリレン混成顔料を得る為に
成される混成処理は前記した共蒸着、アシッドペースト
処理、溶融混合等の方法があるが、本発明ではアシッド
ペースト処理による混成処理が好ましい。
【0045】本発明でアシッドペースト処理とは顔料を
溶解可能な酸(硫酸等)に一度溶解し、必要により不溶
分はフィルターで除去した後、該顔料溶液を適当な貧溶
媒(例えば水)中に注ぎ、再度粒子化する処理方法であ
る。実例は後記の合成例で示す。
【0046】本発明に用いられる電荷輸送層物質(CT
M)としては、例えばオキサゾール、オキサジアゾー
ル、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、等に
代表される含窒素複素環核及びその縮合環核を有する化
合物、ポリアリールアルカン系の化合物、ピラゾリン系
化合物、ヒドラゾン系化合物、トリアリールアミン系化
合物、スチリル系化合物、スチリルトリフェニルアミン
系化合物、β−フェニルスチリルトリフェニルアミン系
化合物、ベンジジン系化合物、ブタジエン系化合物、ヘ
キサトリエン系化合物、カルバゾール系化合物、縮合多
環系化合物等が挙げられる。
【0047】本発明の特性は前記ペリレン混成顔料と共
に主要構成成分である電荷輸送物質の性質とその量に大
きく依存する。上記各種の電荷輸送物質の中で本発明の
有用な電荷輸送性物質はイオン化ポテンシャルの値が
5.0〜5.7(eV)にある化合物が好ましく、より
好ましくは5.2〜5.5(eV)のイオン化ポテンシ
ャルを有する化合物である。下記に本発明に好ましく用
いられる電荷輸送物質を挙げる。
【0048】
【化4】
【0049】
【化5】
【0050】
【化6】
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】
【化9】
【0054】本発明の電荷輸送物質のイオン化ポテンシ
ャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定す
る。測定は電荷輸送物質を粉体のまま測定する。
【0055】又、本発明の電荷発生層に用いられるバイ
ンダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアリ
レート樹脂及びポリエステル樹脂の少なくとも1種を用
いることを特徴としている。
【0056】ポリカーボネート樹脂としては下記化学式
で示されるポリカーボネートA、ポリカーボネートZ、
ポリカーボネートC、シリコン変成ポリカーボネート
等、一般に市場で流通しているポリカーボネートが好ま
しく用いられる。その他、特開平10−20524号、
特開平07−13362号に記載のポリカーボネートが
好ましく用いられる。
【0057】
【化10】
【0058】ポリアリレート樹脂としては下記化学式で
示されるビスフェノールAとテレフタル酸とイソフタル
酸の共重合体構造のポリアリレートが好ましく用いられ
る。このポリアリレート樹脂はUポリマー等として市販
されている。その他、特開平11−311876号、特
開平11−38654号に記載のポリアリレートが好ま
しく用いられる。
【0059】
【化11】
【0060】これらのバインダー樹脂は前記電荷発生物
質、電荷輸送物質の分散性、成膜性に主として機能する
と同時に、本発明の感光体に高感度特性及び電位安定性
を付与することができる。
【0061】これらのバインダー樹脂の中でも平均分子
量が5,000〜200,000のポリカーボネートが
好ましい。更には平均分子量が45,000〜200,
000のポリカーボネートが好ましく、特に分子量3
0,000以上の樹脂が40質量%以上のポリカーボネ
ートが好ましい。
【0062】本発明のポリカーボネートの平均分子量は
粘度平均分子量を示す。粘度平均分子量の測定はポリカ
ーボネート0.5gをメチレンクロライド100mlに
溶解し、この溶液を改良ウベローデ型粘度計を用いて、
25℃における比粘度を測定する。この比粘度から極限
粘度を求め、Mark−Houwinkの粘度式により
平均分子量を算出する。
【0063】又、本発明は感光層の分散塗布液溶媒とし
てシクロヘキサノン又はトルエンを用いることを特徴と
する。該シクロヘキサノン及びトルエン溶媒は本発明の
ペリレン混成顔料を凝集顔料粒子を発生させず、塗布液
の均一で安定した分散性を達成する。又、シクロヘキサ
ノン及びトルエン溶媒は前記ポリカーボネート樹脂、ポ
リアリレート樹脂等のバインダー樹脂を均一に分散し、
良好な成膜特性を有する。更にシクロヘキサノン及びト
ルエン溶媒の他に、低沸点(常圧下、50〜110℃)
のケトン系溶媒を併用すると電子写真特性の良好な、即
ち帯電特性、感度特性、繰り返し特性の良好な電子写真
感光体を達成することができる。
【0064】低沸点(50〜110℃)のケトン系溶媒
としては例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ル−n−プロピルケトン、ジエチルケトン等が挙げられ
る。
【0065】又、電荷輸送層に用いられるバインダー樹
脂としては、例えばポリカーボネート、ポリチオカーボ
ネート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリ
レート、ポリビニルピリジン、ポリビニルトルエン、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルエーテ
ル、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体樹脂、
スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、ポリ酢酸ビニル、
ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルアセタール、ポリビニルカルバゾール、スチレン−
アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキ
ッド樹脂、ポリエステル、フェノール樹脂、ポリウレタ
ン、エポキシ樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル
共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、
塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂
等が挙げられる。
【0066】電荷輸送層のバインダー樹脂としては平均
分子量が45,000〜200,000のポリカーボネ
ートが好ましい。
【0067】上記電荷輸送層の形成に用いられる溶剤或
は分散媒としては広く任意のものを用いることができ
る。例えば、ブチルアミン、エチレンジアミン、N,N
−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ジオキソラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセ
ルソルブ、エチルセルソルブ、エチレングリコールジメ
チルエーテル、トルエン、キシレン、アセトフエノン、
クロロホルム、ジクロルメタン、ジクロルエタン、トリ
クロルエチン、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール等が挙げられる。
【0068】各感光層の分散、塗布 一般に電荷発生物質は溶剤への溶解度が低いため、超音
波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサ等の分
散装置を用いて適当な分散媒中に微粒子分散させ、該分
散液とバインダー樹脂その他添加剤を溶解した他の分散
液を混合し、電荷発生層塗布液を作製するのが好まし
い。又、各感光層は例えばバーコート塗布、スピンコー
ト塗布、アプリケーター塗布、スプレー塗布、ディップ
塗布、スライドホッパ型塗布装置による塗布等の塗布方
法で加工して得られる。
【0069】また、上記感光層には保存性、耐久性、耐
環境依存性を向上させる目的で酸化防止剤や光安定剤等
の劣化防止剤を含有させることができる。そのような目
的に用いられる化合物としては例えば、トコフェロール
等のクロマール誘導体及びそのエーテル化化合物もしく
はエステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、ハ
イドロキノン誘導体及びそのモノ及びジエーテル化化合
物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導
体、チオエーテル化合物、ホスホン酸エステル、亜燐酸
エステル、フェニレンジアミン誘導体、フェノール化合
物、ヒンダードフェノール化合物、直鎖アミン化合物、
環状アミン化合物、ヒンダードアミン化合物、などが有
効である。特に有効な化合物の具体例としては、「IR
GANOX1010」、「IRGANOX 565」
(チバ・ガイギー(株)製)、「スミライザー BH
T」、「スミライザー MDP」(住友化学工業(株)
製)等のヒンダードフェノール化合物又はその誘導体、
「サノール LS−2626」、「サノール LS−6
22LD」(三共(株)製)等のヒンダードアミン化合
物が挙げられる。
【0070】中間層、及び必要により設けられる保護層
等に用いられるバインダー樹脂としては、上記感光層用
に挙げたものを用いることができるが、その他にポリア
ミド樹脂、ナイロン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合
体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合
体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体
樹脂等のエチレン系樹脂、ポリビニルアルコール、セル
ロース誘導体等が有効である。又、メラミン樹脂、エポ
キシ樹脂、イソシアネート樹脂等の熱硬化型或は化学的
硬化型のバインダ樹脂を用いることができる。
【0071】導電性支持体としては、金属板、金属ドラ
ムが用いられる他、導電性ポリマーや酸化インジウム等
の導電性化合物、もしくはアルミニウム、パラジウム等
の金属の薄層を塗布、蒸着、ラミネート等の手段により
紙やプラスチックフィルムなどの基体の上に設けてなる
ものを用いることができる。
【0072】図1は本発明の画像形成装置の1例として
の断面図である。図1において50は像担持体である感
光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布
し、その上に本発明の樹脂層を塗設した感光体で、接地
されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロン
の帯電器で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電を
コロナ放電によって与えられる。この帯電器52による
帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくす
ために発光ダイオード等を用いた露光部51による露光
を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0073】感光体への一様帯電ののち像露光器53に
より画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像
露光器53は図示しないレーザーダイオードを露光光源
とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等
を経て反射ミラー542により光路を曲げられた光によ
り感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成され
る。
【0074】その静電潜像は次いで現像器54で現像さ
れる。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとか
ら成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、
マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリ
ーブ541によって現像が行われる。現像剤は、例えば
前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂
をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリ
ル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と
荷電制御剤と本発明の低分子量ポリオレフィンからなる
着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーと
からなるもので、現像剤は層形成手段によって現像スリ
ーブ541上に100〜600μmの層厚に規制されて
現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感
光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイア
ス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行わ
れる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接
触の状態で現像される。
【0075】記録紙Pは画像形成後、転写のタイミング
の整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写
域へと給紙される。
【0076】転写域においては転写のタイミングに同期
して感光体ドラム50の周面に転写ローラー(転写器)
58が圧接され、給紙された記録紙Pを挟着して転写さ
れる。
【0077】次いで記録紙Pは転写ローラーとほぼ同時
に圧接状態とされた分離ブラシ(分離器)59によって
除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して
定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ロー
ラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち
排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお
前記の転写ローラー58及び分離ブラシ59は記録紙P
の通過後感光体ドラム50の周面より退避離間して次な
るトナー像の形成に備える。
【0078】一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム
50は、クリーニング器62のブレード621の圧接に
より残留トナーを除去・清掃し、再び露光部51による
除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成の
プロセスに入る。
【0079】尚、70は感光体、帯電器、転写器・分離
器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプ
ロセスカートリッジである。
【0080】電子写真画像形成装置としては、上述の感
光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセ
スカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニ
ットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。
又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及び
クリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体
に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に
着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの
案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0081】プロセスカートリッジには、一般には以下
に示す一体型カートリッジ及び分離型カートリッジがあ
る。一体型カートリッジとは、帯電器、像露光器、現像
器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも
1つを感光体とともに一体に構成し、装置本体に着脱可
能な構成であり、分離型カートリッジとは感光体とは別
体に構成されている帯電器、像露光器、現像器、転写又
は分離器、及びクリーニング器であるが、装置本体に着
脱可能な構成であり、装置本体に組み込まれた時には感
光体と一体化される。本発明におけるプロセスカートリ
ッジは上記双方のタイプのカートリッジを含む。
【0082】又、上記画像形成装置は、感光体ドラム
と、帯電器、現像器、クリーニング器あるいはリサイク
ル部材等の少なくとも一つを含むプロセスカートリッジ
を搭載する形態にすることもできる。
【0083】次に、転写紙は代表的には普通紙である
が、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に限定
されず、OHP用のPETベース等も無論含まれる。
【0084】像露光は、電子写真画像形成装置を複写機
やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射
光や透過光を感光体に照射すること、或いはセンサーで
原稿を読み取り信号化し、この信号に従ってレーザービ
ームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッター
アレイの駆動を行い感光体に光を照射することなどによ
り行われる。
【0085】尚、ファクシミリのプリンターとして使用
する場合には、像露光器53は受信データをプリントす
るための露光を行うことになる。
【0086】本発明の電子写真感光体は、複写機、レー
ザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式
プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであ
るが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記
録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用
し得るものである。
【0087】次に、本発明のペリレン混成顔料、及び比
較例の顔料の合成例を以下に示す。 合成例1 チタニルフタロシアニン0.3gと化合物(1)のビス
イミダゾールペリレン30gを900mlの濃硫酸に室
温で加え、さらに2時間撹拌を行った。この硫酸溶液を
ガラスフィルターで濾過し不溶物を除いた後、30℃以
下の水温を保って水15リットルに注ぎ込んだ。析出し
た粒子を濾過した後、さらに5リットルの水で3回洗浄
した。濾過により得られたウエットケーキを一旦凍結し
た後、解凍し濾過、乾燥してペリレン混成顔料(1)を
28g得た。
【0088】合成例2 チタニルフタロシアニンの代わりにバナジュウムオキシ
フタロシアニン0.1gを用いた他は合成例1と同様に
ペリレン混成顔料(2)を26.5g得た。
【0089】合成例3 チタニルフタロシアニンの代わりにヒドロキシガリウム
フタロシアニン 0.15gを用いた他は合成例1と同
様にペリレン混成顔料(3)を27g得た。
【0090】合成例4 チタニルフタロシアニンの代わりに銅フタロシアニン
0.3gを用いた他は合成例1と同様にペリレン混成顔
料(4)を27g得た。
【0091】合成例5(比較合成例) 合成例1のチタニルフタロシアニンを除いた他は合成例
1と同様にして作製し、ペリレン顔料(1)を25.8
g得た。
【0092】合成例1〜5の各顔料のCu−Kα特性X
線によるX線回折分析による回折角度2θ:6.2、1
0.1、12.2、の回折ピークの有無、及び金属原子
含有の有無及びその含有量を下記表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】表中;○は回折ピークがあることを示す。 X線回折測定 合成例1のペリレン混成顔料粒子を後記する実施例1記
載の方法で分散した後、塗布、乾燥して形成した約1m
mの厚さの塗膜の粉末X線回折の結果を図2に示す。
【0095】金属原子の有無確認方法 本発明のペリレン混成顔料中の金属原子は蛍光X線(W
DX)、原子吸光分析、ICP等の手段により、金属原
子の有無、及びその含有量を測定することができる。
【0096】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の様態はこれに限定されない。なお、文中
「部」とは「質量部」を表す。
【0097】下記のごとくして感光体を作製した 比較例1 〈中間層(UCL)塗布液〉 ポリビニルブチラール樹脂(積水化学(株)製BX−1精製品) 10g メチルエチルケトン 1000ml シクロヘキサノン 100ml 電荷輸送物質(T−18:IP;5.4eV) 5g 上記中間層塗布液を調製し、洗浄済み80mmφ、長さ
360mmの円筒状アルミニウム基体(表面粗さRz
0.9)上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.2μm
の中間層を形成した。
【0098】 〈電荷輸送層〉 電荷輸送物質(T−18) 135g ポリカーボネート(TS2050:帝人化成(株)製) 180g 1,3−ジオキソラン 1000ml シリコンオイル(KF−54:信越化学) 0.1g を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この
塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜
厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0099】 〈電荷発生層〉 分散液1 メチルエチルケトン 200ml シクロヘキサノン 200ml フェノキシ樹脂(平均分子量:40,000) 15g シリコンオイル(KF−54) 0.1g 電荷発生物質(合成例5のペリレン顔料(1)) 15g フェノキシ樹脂を溶解後、電荷発生物質を加え、サンド
ミルで20時間分散し分散液1を作製した。
【0100】 分散液2 メチルエチルケトン 300ml シクロヘキサノン 300ml 電荷輸送物質(T−18) 52.7g フェノキシ樹脂(平均分子量:40,000) 59.7g 酸化防止剤(サノールLS2626) 1.3g シリコンオイル(KF−54) 0.1g 上記分散液を溶解し分散液2を作製した。この分散液2
に前記分散液1を300ml加え攪拌した後、5μmの
リジメッシュフィルターにて濾過し、電荷発生層塗布液
をえた。この塗布液を前記電荷輸送層上に円形スライド
コーター塗布装置で塗布し、110℃で80分乾燥し、
乾燥膜厚8μmの電荷発生層を形成し、比較例感光体1
を作製した。
【0101】比較例2 比較例1の電荷発生層に使用するバインダー樹脂をフェ
ノキシ樹脂からポリエチレン樹脂(平均分子量:40,
000)に変更した以外は同様にして比較例感光体2を
作製した。
【0102】比較例3 比較例1の電荷発生層に使用するバインダー樹脂をフェ
ノキシ樹脂からポリスチレン樹脂(平均分子量:40,
000)に変更した以外は同様にして比較例感光体3を
作製した。
【0103】実施例1 比較例1の電荷発生層に使用するバインダー樹脂をフェ
ノキシ樹脂から前記の化学構造を有するポリアリレート
樹脂(平均分子量:40,000)に変更した以外は同
様にして実施例感光体1を作製した。
【0104】実施例2 比較例1の電荷発生層に使用するバインダー樹脂をフェ
ノキシ樹脂から前記の化学構造を有するポリカーボネー
トZ樹脂(平均分子量:50,000)に変更した以外
は同様にして実施例感光体2を作製した。
【0105】実施例3 比較例1の電荷発生層に使用するバインダー樹脂をフェ
ノキシ樹脂から前記の化学構造を有するポリカーボネー
トA樹脂(平均分子量:50,000)に変更した以外
は同様にして実施例感光体3を作製した。
【0106】実施例4 比較例1の電荷発生層に使用するバインダー樹脂をフェ
ノキシ樹脂から前記の化学構造を有するポリカーボネー
トC樹脂(平均分子量:50,000)に変更した以外
は同様にして実施例感光体4を作製した。
【0107】実施例5 比較例1の電荷発生層に使用するバインダー樹脂をフェ
ノキシ樹脂から前記の化学構造を有するシリコン変成ポ
リカーボネート樹脂(平均分子量:50,000)に変
更した以外は同様にして実施例感光体5を作製した。
【0108】上記実施例、及び比較例の各感光体をKo
nica7050を正帯電に改造したデジタル複写機を
用いて評価した。この複写機に7%文字画像、べた黒画
像、白地画像、ハーフトーン画像がそれぞれ1/4のオ
リジナル画像を用いてA4紙1万枚の連続コピーを行
い、各感光体の電位安定性を評価した。
【0109】評価条件 評価機;Konica7050改造機(正帯電、反転現
像) 帯電器;スコロトロン(帯電電流;500μA、グリッ
ト電圧;700V) 露光強度(680nm半導体レーザ;1500μW) 現像バイアス;600V 現像剤;Konica3240用現像剤(2成分正帯電
トナー) 転写電流;−170μA 電位安定性の評価 ○;VH/VL共に:スタート時と1万コピー後の変動
が50V未満 △;VH/VLのいずれかもしくは両方共に:スタート
時と1万コピー後の変動が50V〜100V未満 ×;VH/VLのいずれかもしくは両方共に:スタート
時と1万コピー後の変動が100V以上 −;製膜せず評価不能 電荷発生層塗布液の分散安定性評価 電荷発生層の塗布液を塗布後に透明ビーカーに採取し、
目視判定。
【0110】 ○;顔料の色に分散し、凝集沈殿成分もなし △;顔料が黒っぽく分散(凝集分散している) ×;凝集沈降成分多い 評価結果を表2に示す。
【0111】
【表2】
【0112】BPA;ポリカーボネートA BPZ;ポリカーボネートZ BPC;ポリカーボネートC Si変成PC;シリコン変成ポリカーボネート 表2から判るように、比較例感光体を用いた比較例1〜
3では塗布液の分散自体は他の実施例と違いがないがV
H/VL共1万コピーの前後の電位変動が大きい。これ
に対し、本発明の実施例感光体を用いた実施例1〜5は
塗布液の分散性、及びVH/VLの電位変動も少なく良
好な性能を示している。
【0113】比較例4 電荷発生層を下記の処方に変更した以外は比較例1と同
様にして比較例感光体4を作製した。
【0114】 〈電荷発生層〉 分散液1 ジクロルメタン 400ml ポリカーボネートZ(平均分子量:20,000) 15g 電荷発生物質(合成例5のペリレン顔料(1)) 15g シリコンオイル(KF−54) 0.04g ポリカーボネート樹脂を溶解後、電荷発生物質を加え、
サンドミルで20時間分散し分散液1を作製した。
【0115】 分散液2 ジクロルメタン 600ml 電荷輸送物質(T−18) 52.7g ポリカーボネートZ(平均分子量:50,000) 59.7g 酸化防止剤(サノールLS2626) 1.3g シリコンオイル(KF−54) 0.1g 上記分散液を溶解し分散液2を作製した。この分散液2
に前記分散液1を300ml加え攪拌した後、5μmの
リジメッシュフィルターにて濾過し、電荷発生層塗布液
をえた。この塗布液を前記電荷輸送層上に円形スライド
コーター塗布装置で塗布し、110℃で80分乾燥し、
乾燥膜厚8μmの電荷発生層を形成し、比較例感光体4
を作製した。
【0116】比較例5 比較例4の電荷発生層溶媒をジクロルメタンからテトラ
ヒロドフランに変更した以外は全て同じにして比較例感
光体5を作製した。
【0117】比較例6 比較例4の電荷発生層溶媒をジクロルメタンからジオキ
ソランに変更した以外は全て同じにして比較例感光体6
を作製した。
【0118】実施例6 比較例4の電荷発生層溶媒をジクロルメタンからシクロ
ヘキサノンに変更した以外は全て同じにして実施例感光
体6を作製した。
【0119】実施例7 比較例4の電荷発生層溶媒をシクロヘキサノン(主溶
媒)/メチルエチルケトン(副溶媒)=5/5となるよ
うに変更した以外は全て同じにして実施例感光体7を作
製した。
【0120】実施例8 比較例4の電荷発生層溶媒をシクロヘキサノン(主溶
媒)/メチルエチルケトン(副溶媒)=6/4となるよ
うに変更した以外は全て同じにして実施例感光体8を作
製した。
【0121】実施例9 比較例4の電荷発生層溶媒をシクロヘキサノン(主溶
媒)/メチルエチルケトン(副溶媒)=7/3となるよ
うに変更した以外は全て同じにして実施例感光体9を作
製した。
【0122】実施例10 比較例4の電荷発生層溶媒をシクロヘキサノン(主溶
媒)/イソプロピルケトン(副溶媒)=5/5となるよ
うに変更した以外は全て同じにして実施例感光体10を
作製した。
【0123】実施例11 比較例4の電荷発生層溶媒をシクロヘキサノン(主溶
媒)/イソプロピルケトン(副溶媒)=6/4となるよ
うに変更した以外は全て同じにして実施例感光体11を
作製した。
【0124】実施例12 比較例4の電荷発生層溶媒をシクロヘキサノン(主溶
媒)/イソプロピルケトン(副溶媒)=7/3となるよ
うに変更した以外は全て同じにして実施例感光体12を
作製した。
【0125】実施例13 比較例4の電荷発生層溶媒をトルエンに変更した以外は
全て同じにして実施例感光体13を作製した。
【0126】実施例14 比較例4の電荷発生層溶媒をトルエン(主溶媒)/メチ
ルエチルケトン(副溶媒)=5/5となるように変更し
た以外は全て同じにして実施例感光体14を作製した。
【0127】実施例15 比較例4の電荷発生層溶媒をトルエン(主溶媒)/メチ
ルエチルケトン(副溶媒)=6/4となるように変更し
た以外は全て同じにして実施例感光体15を作製した。
【0128】実施例16 比較例4の電荷発生層溶媒をトルエン(主溶媒)/メチ
ルエチルケトン(副溶媒)=7/3となるように変更し
た以外は全て同じにして実施例感光体16を作製した。
【0129】実施例17 比較例4の電荷発生層溶媒をトルエン(主溶媒)/イソ
プロピルケトン(副溶媒)=5/5となるように変更し
た以外は全て同じにして実施例感光体17を作製した。
【0130】実施例18 比較例4の電荷発生層溶媒をトルエン(主溶媒)/イソ
プロピルケトン(副溶媒)=6/4となるように変更し
た以外は全て同じにして実施例感光体18を作製した。
【0131】実施例19 比較例4の電荷発生層溶媒をトルエン(主溶媒)/イソ
プロピルケトン(副溶媒)=7/3となるように変更し
た以外は全て同じにして実施例感光体19を作製した。
【0132】以上比較例4〜6と実施例6〜19で作製
した感光体の電荷発生層塗布液の分散安定性、電荷発生
層の成膜性、及び各感光体の感度、電位安定性、画像メ
モリを評価した。
【0133】評価項目と評価方法 電荷発生層塗布液の分散安定性評価 評価方法及び判定基準;前記と同じ。
【0134】電荷発生層の成膜性評価 φ80mm、長さ360mmの円筒感光体の円筒軸に沿
って等間隔に10点の乾燥膜厚を測定し、測定した10
点の膜厚偏差で判定。(但し、両端の各50mmは除
く) ○;偏差1.0μm未満 △;偏差1.0〜2μm未満 ×;偏差2μm以上 −;成膜せず。
【0135】感光体の感度 感度の測定方法;図1の画像形成装置を例にすると、該
画像形成装置の現像器を取り外し、該現像器の位置に透
過型プローブを設定し、該プローブ位置において、感光
体の帯電電位が700Vとなるように帯電条件を調整し
た後、感光体の回転を停止し、同時に露光を開始する。
該露光による帯電電位の減衰を電位センサーで測定し、
帯電電位が350Vに低下した露光量、即ち半減露光量
(700→350V)から感度を求めた。尚、前記透過
型プローブには680nmのバンドパスフィルターが設
定されたハロゲンランプ(電光強度:0.5μW)の露
光器と電位センサーがセットで組み込まれている。
【0136】感度の評価基準 ○;70〜120V・cm2/erg ×;50V・cm2/erg 以下 −;製膜せず評価不能 電位安定性 評価方法及び判定基準;前記と同じ。
【0137】画像メモリ 前記Konica7050を正帯電に改造したデジタル
複写機を用いて評価した。画像メモリはハーフトーン画
像の濃度ムラ発生により評価した。
【0138】評価の判定基準は下記に記す。 ○;画像ムラ発生なし △;視認できるが目立たない ×;容易に画像ムラを確認できる −;製膜せず評価不能 結果を表3に示す。
【0139】
【表3】
【0140】MDC;ジクロルメタン THF;テトラヒロドフラン MEK;メチルエチルケトン MIPK;イソプロピルケトン 表3から電荷発生層の溶媒としてシクロヘキサノン又は
トルエンを用いた本発明の感光体、即ち実施例感光体6
〜19は比較例感光体4〜6に比べ各評価項目で優れた
特性を示しているが、中でもシクロヘキサノン又はトル
エンとメチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン
等の低沸点ケトン溶媒を併用することにより、更に良好
な性能を示している。
【0141】実施例20〜22 実施例7の電荷発生層の分散液1及び分散液2のポリカ
ーボネートZを表4のように変更した以外は全て同じに
して実施例感光体20〜22を作製した。
【0142】
【表4】
【0143】ポリカZ2は平均分子量20,000のポ
リカーボネートZ ポリカZ5は平均分子量50,000のポリカーボネー
トZ ポリカZ8は平均分子量80,000のポリカーボネー
トZ 表4中の分子量分布の測定は以下のようにして行った。
【0144】電荷発生層塗布液を乾燥させ溶媒を除去し
た乾燥試料0.5gをメチレンクロライド100mlに
溶解し、GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラ
フィー)により分子量分布の測定をおこなった。
【0145】表4から電荷発生層のポリカーボネート樹
脂の分子量が高くなるほど良好な感度と電位安定性を示
していることが見いだされる。特に、分子量30,00
0以上のポリマー成分を40質量%以上含有する電荷発
生層の感光体、即ち実施例7及び20〜22では良好な
感度特性を示している。
【0146】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、金
属原子を含有するペリレン混成顔料を電荷発生物質と
し、バインダーにポリカーボネート又はポリアリレー
ト、塗布溶媒にシクロヘキサノン及びトルエンの少なく
とも一方を用いた電荷発生層を有する正帯電の層構成を
有する電子写真感光体はデジタル反転現像方式の画像評
価で電位変動も小さく、メモリーの発生もない良好な電
子写真画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の1例としての断面図。
【図2】合成例1の顔料粒子分散後の粉末X線回折図。
【符号の説明】
50 感光体ドラム(又は感光体) 51 露光部 52 帯電器 53 像露光器 54 現像器 57 給紙ローラー 58 転写ローラー(転写器) 59 分離ブラシ(分離器) 60 定着装置 61 排紙ローラー 62 クリーニング器 70 プロセスカートリッジ

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に電荷発生物質、電荷輸
    送物質、及びバインダー樹脂を含有する電荷発生層を有
    する電子写真感光体において、該電荷発生物質として1
    つ以上の金属原子を含有するペリレン混成顔料を有し、
    前記バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂又はポ
    リアリレート樹脂を有し、且つ前記電荷発生層を分散塗
    布溶媒としてシクロヘキサノン及びトルエンの少なくと
    も一方を用いることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 前記ペリレン混成顔料の金属原子がT
    i、Cu、V、Gaのいずれかであることを特徴とする
    請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記ペリレン混成顔料の金属原子含有量
    が50ppm〜10000ppmであることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記金属原子がペリレン混成顔料中に含
    有された金属フタロシアニン化合物の金属原子であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電
    子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記ペリレン混成顔料中の金属フタロシ
    アニン化合物の含有量が0.01〜10質量%であるこ
    とを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 前記ペリレン混成顔料が下記構造で表さ
    れる化合物(1)のビスイミダゾールペリレンを含有す
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載
    の電子写真感光体。 【化1】
  7. 【請求項7】 前記ペリレン混成顔料のX線回折パター
    ンがCu−Kα特性X線回折の2θ(2θ±0.2)角
    度で少なくとも6.2、10.1、12.2、に回折ピ
    ークを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    1項に記載の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 前記バインダー樹脂が分子量30,00
    0以上の樹脂成分を40質量%以上含有するポリカーボ
    ネートであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    1項に記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 前記電荷発生層の分散塗布溶媒が更に5
    0〜100℃の低沸点ケトン溶媒を含有することを特徴
    とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感
    光体。
  10. 【請求項10】 前記電荷発生層の分散塗布液は平均分
    子量5,000〜30,000のポリカーボネートと溶
    媒の溶液中でペリレン混成顔料を粉砕、分散を進行させ
    た後、平均分子量45,000〜200,000以上の
    樹脂溶液を加えて作製することを特徴とする請求項1〜
    9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 前記導電性支持体と電荷発生層の間に
    電荷輸送層を有することを特徴とする請求項1〜10の
    いずれか1項に記載の電子写真感光体。
  12. 【請求項12】 導電性支持体上に1つ以上の金属原子
    を含有するペリレン混成顔料、ポリカーボネート樹脂又
    はポリアリレート樹脂、及び分散塗布するための溶媒と
    してシクロヘキサノン又はトルエンを含有する電荷発生
    層の分散塗布液を塗布乾燥することにより電荷発生層を
    形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    の電子写真感光体の製造に用いられる電荷発生層の分散
    塗布液の製造方法において、ペリレン混成顔料を平均分
    子量5,000〜30,000のポリカーボネートと溶
    媒の溶液中で粉砕、分散を進行させた後、平均分子量4
    5,000〜200,000の樹脂溶液を加えて作製す
    ることを特徴とする電荷発生層の分散塗布液の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 少なくとも帯電、像露光、現像の各工
    程を有する画像形成方法において、請求項1〜11のい
    ずれか1項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴
    とする画像形成方法。
  15. 【請求項15】 少なくとも帯電、像露光、現像の各手
    段を有する画像形成装置において、請求項1〜11のい
    ずれか1項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴
    とする画像形成装置。
  16. 【請求項16】 少なくとも帯電、像露光、現像の手段
    を有する画像形成装置に使用するプロセスカートリッジ
    において、該プロセスカートリッジは請求項1〜11の
    いずれか1項に記載の電子写真感光体と帯電、像露光、
    現像の少なくとも1つの手段とを一体に組み合わせて有
    しており、且つ前記画像形成装置に出し入れ自由に設計
    されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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